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明細書 :同軸磁化プラズマ生成装置と同軸磁化プラズマ生成装置を用いた膜形成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4769014号 (P4769014)
公開番号 特開2006-310101 (P2006-310101A)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
発明の名称または考案の名称 同軸磁化プラズマ生成装置と同軸磁化プラズマ生成装置を用いた膜形成装置
国際特許分類 H05H   1/24        (2006.01)
C23C  14/32        (2006.01)
H02M   9/04        (2006.01)
H05H   1/26        (2006.01)
H05H   1/36        (2006.01)
H05H   1/40        (2006.01)
FI H05H 1/24
C23C 14/32 B
H02M 9/04 Z
H05H 1/26
H05H 1/36
H05H 1/40
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2005-131611 (P2005-131611)
出願日 平成17年4月28日(2005.4.28)
審査請求日 平成20年4月11日(2008.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】浅井 朋彦
【氏名】高橋 努
個別代理人の代理人 【識別番号】100102233、【弁理士】、【氏名又は名称】有賀 正光
審査官 【審査官】山口 敦司
参考文献・文献 特開平11-144890(JP,A)
特開平06-151093(JP,A)
特開平06-151094(JP,A)
特開平07-201497(JP,A)
特開平08-179066(JP,A)
特開昭63-216299(JP,A)
Y. Mizuno, T. Sometani,Pulse Vertical Field Circuit for A Small Tokamak,KEK Proc.,日本,1999年11月,99-16,355-356
浅井朋彦ら,日大における高ベータST/FRC研究の現状,電気学会プラズマ研究会資料,日本,2005年,PST-05-64,53-58
調査した分野 H05H 1/24
C23C 14/32
H02M 9/04
H05H 1/26
H05H 1/36
H05H 1/40
特許請求の範囲 【請求項1】
同軸状に配置した外部導体と内部導体、外部導体と内部導体の間の空間にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部を備え、外部導体と内部導体のいずれか一方の対向面、又は双方の対向面にリング状凸部を形成してあり、外部導体と内部導体の間にパワークローバ回路を接続してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記外部導体の外周に前記リング状凸部を囲むようにバイアス磁界を発生する電磁コイルを配置してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記パワークローバ回路は、充電用の容量の小さいコンデンサと充電用の容量の大きいコンデンサを備え、放電の開始時は容量の小さいコンデンサが放電し、容量の小さいコンデンサの電圧が所定値よりも低くなると容量の大きいコンデンサが放電を開始するように構成してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記容量の大きいコンデンサにクローバスイッチ用のダイオードを直列に接続してあることを特徴とする同軸磁化プラズマ生成装置。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置の放出するプラズマ塊を膜形成材料を塗布した基板に照射することを特徴とする膜形成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、外部導体と内部導体を同軸状に配置してプラズマ塊(スフェロマックプラズマ)を生成する同軸磁化プラズマ生成装置とその同軸磁化プラズマ生成装置が放出するプラズマ塊を用いて基板に膜を形成する膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5を用いて従来の同軸磁化プラズマ生成装置を説明する(例えば非特許文献1参照)。
図5(a)は、同軸磁化プラズマ生成装置の軸方向の断面図を示し、図5(b)は、図5(a)のX1部分の矢印方向の断面図を示す。
外部導体23と内部導体24を同軸状に配置し、内部導体24は、ガス供給管22と一体的に形成或いはガス供給管22に固着してある。ガス供給管22は、絶縁部材26によって外部導体23内に固定されている。ガス供給管22は、中空部221、ガス噴出孔222を介してプラズマ生成ガスG(例えばヘリュウムガス、アルゴンガス等)を、外部導体23と内部導体24の間の空間に供給する。外部導体23と内部導体24(ガス供給管22)には、充電したコンデンサCとスイッチSを接続してある。
【0003】
スイッチSを閉じると、外部導体23と内部導体24(ガス供給管22)にコンデンサCの電圧が印加され、外部導体23と内部導体24の間(例えば孔222の付近)に放電が発生して放電電流が流れ、プラズマPが生成する。その際プラズマPは、放電電流とその放電電流により発生する磁界とのローレンツ力により加速されて外部導体23の開放端へ向かって移動し、開放端からプラズマ塊PMとなって放出される。
図5の場合、コンデンサCが放電するとき負荷(外部導体23と内部導体24)にインダクタンスがあると、負荷を流れる電流は、減衰振動となり、所定の周期で極性が反転する。そこで極性を反転させずに非振動の単極電流を発生して放電を継続するクローバ回路が提案されている。
【0004】
図6により従来のクローバ回路について説明する(例えば特許文献1参照)。
図6(a)は、回路構成を示し、図6(b)は、負荷電流の時間的変化を示す。
コンデンサ41の充電電圧Vcを半導体スイッチ42を介して負荷43(インダクタンス431、抵抗432)に印加する例で、負荷43と並列にクローバ回路44を接続してある。クローバ回路44は、逆流防止用ダイオード441、クローバスイッチ442、抵抗433からなる。
制御部46の制御によって半導体スイッチ42が導通すると、コンデンサ41は放電し、負荷電流ILが流れる。制御部46は、検流検出部16の検出する負荷電流ILが所定値(例えば図6(b)の時間t1の最大値)になると、半導体スイッチ42を非導通にし、クローバスイッチ442を導通する。その結果負荷電流ILはクローバ回路44を介して流れ、図6(b)の時間t1以降のように減衰する。
次に図7により従来の膜形成装置の一つであるイオンプレーティング装置について説明する(例えば特許文献2参照)。
【0005】
真空室51内には、プラズマ発生部61、対向電極62、膜形成材料531を入れたルツボ52、基板551を装着する基板保持部54を配置してある。プラズマ生成部61と対向電極62には、直流電源Eを接続し、基板保持部54には、高周波電源56を接続してある。
プラズマ生成部61に発生したプラズマ63は、対向電極62へ引き寄せられる。一方ルツボ52の膜形成材料531は、電子銃561の放出する電子562により加熱されて蒸発し、蒸発した粒子(蒸気)532は、加速されて基板551に付着し堆積して膜552を形成する。その際蒸発した粒子532は、プラズマ63によりイオン化或いは活性化されて基板551を照射する。
【0006】

【特許文献1】特開2003-153555号公報
【特許文献2】特開平7-268614号公報
【非特許文献1】2002年3月20日産業図書株式会社発行の「プラズマ工学の基礎(改訂版)」、赤崎正則、村岡克紀、渡辺征夫、蛯原健治著、第208~209頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5の同軸磁化プラズマ生成装置の負荷電流は、短時間で所定値に立ち上げなければならないが、図5の同軸磁化プラズマ生成装置に図6のクローバ回路を用いた場合、負荷電流ILは、図6(b)のように変化する。負荷電流ILを短時間で所定値に立ち上げるには、負荷電流ILの立ち上り特性(t0~t1の負荷電流ILの変化)を急峻にしなければならない。負荷電流ILの立ち上りを急峻にするためには、図6(a)のコンデンサ41の容量を小さくしなければならないが、コンデンサ41の容量が小さいと、負荷電流ILは、短時間で減衰してしまう。一方負荷電流ILの減衰を緩やかにするためコンデンサ41の容量を大きくすると、負荷電流ILの立ち上りが緩やかになってしまう。そのため図5の同軸磁化プラズマ生成装置に図6(a)のクローバ回路を用いた場合、コンデンサ41の容量を大きくすることができないから、同軸磁化プラズマ生成装置の放電は、単発放電になり、一回のコンデンサの充電で1個のプラズマ塊しか発生できない。即ち一回のコンデンサの充電によりプラズマ塊を連続的に生成することは困難である。
【0008】
また図5の同軸磁化プラズマ生成装置は、外部導体23と内部導体24に発生する放電の位置(場所)が定まらないため、プラズマ塊を連続的に生成する場合、各プラズマ塊毎に放電の位置が変わってしまい、所定の間隔で連続的に安定してプラズマ塊を生成することが困難である。
従来のイオンプレーティング装置は、プラズマ生成手段に加えて膜形成材料の加熱手段や蒸発した粒子の加速手段が必要になる。そのため、従来のイオンプレーティング装置は、装置が複雑になり、操作も複雑になる。また従来のイオンプレーティング装置は、生成するプラズマの電離度が低いため、膜形成材料の蒸発粒子のイオン化率が低く、膜形成能率も低い。
【0009】
本願発明は、前記の従来の同軸磁化プラズマ生成装置、クローバ回路及びイオンプレーティング装置等の膜形成装置の問題点に鑑み、プラズマ塊を連続的に安定して生成できる同軸磁化プラズマ生成装置を提供すること、及びその同軸磁化プラズマ生成装置の放出するプラズマ塊を用いて膜形成装置を簡単に構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、同軸状に配置した外部導体と内部導体、外部導体と内部導体の間の空間にプラズマ生成ガスを供給するプラズマ生成ガス供給部を備え、外部導体と内部導体のいずれか一方の対向面、又は双方の対向面にリング状凸部を形成してあり、外部導体と内部導体の間にパワークローバ回路を接続してあることを特徴とする。
請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記外部導体の外周に前記リング状凸部を囲むようにバイアス磁界を発生する電磁コイルを配置してあることを特徴とする。
請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1又は請求項2に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記パワークローバ回路は、充電用の容量の小さいコンデンサと充電用の容量の大きいコンデンサを備え、放電の開始時は容量の小さいコンデンサが放電し、容量の小さいコンデンサの電圧が所定値よりも低くなると容量の大きいコンデンサが放電を開始するように構成してあることを特徴とする。
請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項3に記載の同軸磁化プラズマ生成装置において、前記容量の大きいコンデンサにクローバスイッチ用のダイオードを直列に接続してあることを特徴とする。
請求項5に記載の同軸磁化プラズマ生成装置は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の同軸磁化プラズマ生成装置の放出するプラズマ塊を膜形成材料を塗布した基板に照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、同軸状の導体にリング状凸部を形成してあるから、プラズマは、常にそのリング状凸部に生成し、そのリング状凸部の位置を変えることにより、所望の位置にプラズマを生成することができる。したがってプラズマ塊は、所定の間隔で安定して生成する。またリング状凸部を囲むようにバイアス磁界を発生する電磁コイルを配置してあるから、生成したプラズマは磁界に閉じ込められた状態でプラズマ塊となって放出される。したがってプラズマ塊は、放出後も高電離度、高密度を保った状態で高速で放出される。
【0012】
本願発明の同軸磁化プラズマ生成装置に用いるパワークローバ回路は、容量の小さいコンデンサと容量の大きいパワークローバ用コンデンサを用い、放電の立ち上り時は容量の小さいコンデンサの放電が寄与し、その後は容量の大きいコンデンサの放電が主として寄与するように構成してあるから、立ち上りが急峻で、長時間所定の電圧を維持した状態で放電を持続できる。したがって本願発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、一回の充電で連続的にプラズマ塊を生成することができる。またパワークローバ回路は、容量の大きいコンデンサと直列にクローバスイッチ用ダイオードを接続するのみで、放電開始後、容量の小さいコンデンサの電圧が容量の大きいコンデンサの電圧よりも低くなると自動的に容量の大きいコンデンサが放電を開始するから、特別の制御回路やクローバスイッチが必要でない。したがってパワークローバ回路は、回路構成が簡単になる。
本願発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、高電離度、高密度のプラズマ塊を連続的に安定して生成でき、高速で放出できるから、膜形成材料を塗布した基板にプラズマ塊を照射することにより、基板に強力な膜を簡単に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1~図4により本願発明の実施例を説明する。なお各図に共通の部分は、同じ符号を使用している。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の同軸磁化プラズマ生成装置を示す。
図1(a)は、同軸磁化プラズマ生成装置の軸方向の断面図を示し、図1(b)は、図1(a)のX1部分の矢印方向の断面図を示し、図1(c)は、図1(a)の同軸磁化プラズマ生成装置のプラズマの発生を説明する図である。
図1において、21は同軸磁化プラズマ生成装置、22はプラズマ生成ガスの供給管(供給部)、221は中空部、222はガス噴出孔、23は外部導体、231はリング状凸部、24は内部導体、25はパワークローバ回路、26は絶縁部材、27はバイアス磁界を発生する円筒状の電磁コイル、Pはプラズマ、PMはプラズマ塊である。
【0015】
外部導体23と内部導体24は、同軸状に配置し、外部導体23は、内部導体24との対向面にリング状凸部231を形成してあり、内部導体24は、ガス供給管22と一体的に形成或いはガス供給管22に固着してある。ガス供給管22は、絶縁部材26によって外部導体23内に固定されている。プラズマ生成ガスG(例えばヘリュウムガス、アルゴンガス等)は、ガス供給管22の中空部221、ガス噴出孔222を介して外部導体23と内部導体24の間の空間に供給する。外部導体23と内部導体24(ガス供給管22)には、パワークローバ回路25(詳細は後述する)を接続してある。電磁コイル27は、外部導体23の外周に、外部導体23のリング状凸部231を囲むように配置してある。
【0016】
外部導体23と内部導体24にパワークローバ回路25のコンデンサの充電電圧を印加すると、外部導体23のリング状凸部231と内部導体24の間に放電が発生して放電電流が流れ、プラズマPが生成する。生成したプラズマPは、放電電流とその放電電流により発生する磁界とのローレンツ力により加速されて外部導体23の開放端へ向かって移動し、その開放端からプラズマ塊PMとなって放出される。その際パワークローバ回路25は、長時間放電を維持することができるから、プラズマ塊PMは連続して放出される。またプラズマPには、電磁コイル27のバイアス磁界が作用して、内部導体24の周方向(トロイダル方向)の電流が誘導される。したがってプラズマPは、外部導体23と内部導体24の間の放電電流によって発生する磁界とトロイダル方向の電流によって発生する磁界に閉じ込められた状態になるため、プラズマ塊PMは、開放端から放出された後も直ぐには拡散することがなく塊の状態を維持している。即ちプラズマ塊PMは、高電離度、高密度の状態を保ったまま高速で放出される。
【0017】
外部導体23には、リング状凸部231を形成してあるから、プラズマPは、常にリング状凸部231の位置に安定して生成し、プラズマ塊PMは、連続的に安定して生成する。その際リング状凸部231と外部導体23の開放端までの距離は一定であるから、プラズマ塊PMは、所定の間隔で連続的に生成する。
プラズマPは、外部導体23のリング状凸部231の位置に生成するから、プラズマPの生成位置は、リング状凸部231の位置によって決まる。したがってリング状凸部231の位置を変えることにより、プラズマPを所望の位置に生成することができる。図1の場合、電磁コイル27のバイアス磁界をプラズマPに適切に作用させるためには、プラズマPと電磁コイル27の位置の調整が必要になるが、プラズマPは、リング状凸部231の位置に生成するから、その調整を容易に行うことができる。
図1の同軸磁化プラズマ生成装置21は、リング状凸部231を外部導体23に形成する例について説明したが、リング状凸部231は、内部導体24に形成してもよいし、或いは外部導体23及び内部導体24の双方に形成してもよい。
【実施例2】
【0018】
図2は、図1のパワークローバ回路25の実施例を示す。
図2(a)は、パワークローバ回路25の構成を示し、図2(b)は、負荷電流の時間的変化を示す。
コンデンサC1、インダクタンスL1、抵抗R1の回路と、バイパス用ダイオードD2を並列に接続したコンデンサC2、インダクタンスL2、抵抗R2、ダイオードD1の回路とを並列に接続し、それらの回路は、イグナイトロンIT(スイッチ素子)を介して負荷Fに接続してある。前記ダイオードD1、コンデンサC2等の回路は、パワークローバ回路であり、ダイオードD1は、クローバスイッチ、コンデンサC2は、パワークローバ用コンデンサである。コンデンサC1,C2は、充電用コンデンサである。
【0019】
コンデンサC1,C2は、それらの容量がC1<C2となるように、即ちコンデンサC2は、コンデンサC1よりも容量の大きいものを用い、コンデンサC1,C2の電圧Vc1,Vc2は、同じ極性で、Vc1>Vc2となるように、即ちコンデンサC1の電圧Vc1がコンデンサC2の電圧Vc2よりも高くなるように充電する。
この状態で制御部(図示せず)の制御によりイグナイトロンITを導通すると、コンデンサC1は、放電を開始して放電電流Ic1が流れ、負荷Fに負荷電流IL(=Ic1)が流れる。この際ダイオードD1は、コンデンサC1の電圧Vc1に対して非道通になるから、コンデンサC2は放電しない。コンデンサC1の放電が進み、コンデンサC1の電圧Vc1がコンデンサC2の電圧Vc2よりも低くなると、ダイオードD1が導通してコンデンサC2が放電を開始し、コンデンサC2の放電電流Ic2が負荷Fに流れる。以後負荷Fには、放電電流Ic1,Ic2(IL=Ic1+Ic2)が流れる。負荷電流ILは、ダイオードD2を流れて還流する。したがって負荷電流ILは、非振動の単極減衰電流となる。
【0020】
コンデンサC1のみの場合には、負荷電流は、図2(b)の破線の放電電流Ic1のように短時間で減衰してしまうが、容量の大きいコンデンサC2の放電が加わることにより負荷電流ILは、図2(b)の実線のように緩やかに減衰する。そして負荷電流ILの立ち上がりは、コンデンサC1によって決まるから、図2(b)の実線のように急峻になる。即ち図2(a)のパワークローバ回路は、立ち上りが急峻で減衰の緩やかな負荷電流を供給することができる。したがって図2(a)のパワークローバ回路を図1の同軸磁化プラズマ生成装置に用いると、1回の充電で連続的にプラズマ塊を生成することができる。
【0021】
以上のように図2のパワークローバ回路は、容量が小さいコンデンサC1と容量が大きいパワークローバ用のコンデンサC2を用い、コンデンサC1の充電電圧をコンデンサC2の充電電圧よりも高くすることにより、負荷電流の立ち上り時は、コンデンサC1の放電電流が寄与し、その後は主としてコンデンサC2の放電電流が寄与するから、負荷電流は、立ち上りが急峻になり、減衰は緩やかになる。またクローバスイッチには、ダイオードD1を用い、コンデンサC1の放電電圧がコンデンサC2の充電電圧よりも低くなると、ダイオードD1が自動的に導通してコンデンサC2の放電を開始するから、従来のクローバスイッチに比べて構成や制御が簡単になる。
【0022】
なお図2において、イグナイトロンITは、イグナイトロンに代えて制御部の制御により導通、非導通の切換えが可能な他の半導体スイッチを用いることもできる。またイグナイトロンITは、抵抗R1と直列に、ダイオードD1の接続点よりも抵抗R1側に接続してもよい。また抵抗R1,R2は、小さいほどロスが小さくなり、インダクタンスL1,L2は、小さいほど負荷電流ILの脈動が小さくなる。そしてインダクタンスL1をインダクタンスL2よりも大きくすると、負荷電流ILのコンデンサC1への戻りが小さくなり、負荷電流ILの大部分は、前記パワークローバ回路を経由して流れる。
【0023】
図3は、図2のパワークローバ回路の負荷電流ILのシミュレーションの結果を示す。
シミュレーションは、R1=11×10-3(Ω)、R2=1×10-3(Ω)、R3=10×10-3(Ω)、L1=5×10-9(H)、L2=5×10-9(H)、L3=200×10-9(H)、C1=90×10-6(F)、C2=367×10-3(F)、に設定して行った。
図3から、図2のパワークローバ回路の負荷電流ILは、立ち上りが急峻で、長時間略一定値を保持していることが分かる。
【実施例3】
【0024】
図4は、図1の同軸磁化プラズマ生成装置が放出するプラズマ塊を用いて基板上に膜を形成する膜形成装置を示す。
図4において、31は真空室、32は基板支持部、33は基板、34は塗布膜、21は同軸磁化プラズマ生成装置、22はガス供給管、PMはプラズマ塊である。基板33には、膜形成材料の粉末を分散させた溶媒を塗布し、乾燥して塗布膜34を形成する。膜形成材料は、アルミニウム、チタン等の金属、ITO(Indium Tin Oxide)、シリコン等を用い、基板33は、金属、セラミックス、プラスチック等からなるものを用いる。
膜の形成には、まず塗布膜34を形成した基板33を基板支持部32に装着する。その状態でプラズマ生成用のガス、例えばアルゴンガス、へリュームガス等の不活性ガスを、ガス供給管22から同軸磁化プラズマ生成装置21内へ供給し、プラズマ塊PMを生成して真空室31内へ放出する。放出されたプラズマ塊PMは、基板33の塗布膜34を照射して塗布膜34の膜形成材料をイオン化或いは活性化し、膜形成材料を基板33に密着させて強固な膜を形成する。
ここで基板とは、フィルムを含めて膜を形成する対象部材(被膜形成部材)をいう。
【0025】
図4の膜形成装置は、同軸磁化プラズマ生成装置21の生成するプラズ塊PMを用いるが、同軸磁化プラズマ生成装置21は、高電離度、高密度のプラズマ塊PMを連続的に安定して生成し、高速で基板33の塗布膜34を照射するから、強固な膜を能率よく形成できる。また前述のように同軸磁化プラズマ生成装置21は、高電離度、高密度のプラズマを磁界に閉じ込めた状態でプラズマ塊PMを放出するから、プラズマ塊PMは、放出後もほとんど拡散することなく大きなエネルギーを保った状態で基板33の塗布膜34を照射する。したがって塗布膜34の膜形成材料は、高電離度、高密度の高エネルギーのプラズマによりイオン化或いは活性化されるため、基板33に密着し強固な膜を形成する。
また図4の膜形成装置は、予め基板33に膜材料を塗布したものを用いるから、膜材料を蒸発させたり、その蒸発した粒子を加速させたりする手段を設ける必要がない。したがって膜形成装置は、構成や操作が簡単になり、かつ膜の形成時間が短くなる。
【0026】
本発明の同軸磁化プラズマ生成装置は、膜形成、不純物のドープ等のプラズマプロセス用装置、核融合炉の燃料補給装置、人工衛星の姿勢制御用駆動源等に利用することができる。また本願発明のパワークローバ回路は、前記の同軸磁化プラズマ生成装置に限らず、他のプラズマ生成用装置等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の実施例に係る同軸磁化プラズマ生成装置を示す。
【図2】図1の同軸磁化プラズマ生成装置に用いるパワークローバ回路を示す。
【図3】図2のパワークローバ回路の負荷電流のシミュレーションの結果を示す。
【図4】図1の同軸磁化プラズマ生成装置を用いた膜形成装置を示す。
【図5】従来の同軸磁化プラズマ生成装置を示す。
【図6】従来のクローバ回路を示す。
【図7】従来のイオンプレーティング装置を示す。
【符号の説明】
【0028】
21 同軸磁化プラズマ生成装置
22 ガス供給管
221 中空部
222 ガス噴出孔
23 外部導体
231 リング状凸部
24 内部導体
25 パワークローバ回路
26 絶縁部材
27 バイアス磁界発生用の電磁コイル
31 真空室
32 基板支持部
33 基板
34 塗布膜
F 負荷
IT イグナイトロン
P プラズマ
PM プラズマ塊
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6