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明細書 :炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4877900号 (P4877900)
公開番号 特開2006-325433 (P2006-325433A)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発行日 平成24年2月15日(2012.2.15)
公開日 平成18年12月7日(2006.12.7)
発明の名称または考案の名称 炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システム
国際特許分類 C12P   5/00        (2006.01)
C12N   1/20        (2006.01)
C12N   1/26        (2006.01)
C12R   1/01        (2006.01)
FI C12P 5/00
C12N 1/20 D
C12N 1/20 F
C12N 1/26
C12P 5/00
C12R 1:01
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2005-150169 (P2005-150169)
出願日 平成17年5月23日(2005.5.23)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年11月23日東北学院大学において開催された日本微生物生態学会2004年度大会で発表
審査請求日 平成20年5月22日(2008.5.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】中嶋 睦安
【氏名】砂入 道夫
【氏名】岩淵 範之
【氏名】来住 絵美
個別代理人の代理人 【識別番号】100079108、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100080953、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 克郎
【識別番号】100093861、【弁理士】、【氏名又は名称】大賀 眞司
審査官 【審査官】白井 美香保
参考文献・文献 Applied and Environmental Microbiology,2000年,Vol.66, No.11,p.5073-5077
Journal of Fermentation and Bioengineering,1996年,Vol.82, No.6,p.570-574
調査した分野 IPC
C12P 5/00

DB名
BIOSIS/MEDLINE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
WPI

特許請求の範囲 【請求項1】
培地成分を含む水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、
を有する炭化水素の処理方法。
【請求項2】
前記水性溶媒が、一般細菌用培地を含む請求項1記載の炭化水素の処理方法。
【請求項3】
前記炭素数14以上の炭化水素が、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、プリスタン、スクワランからなる群から選択される少なくとも1種以上の炭化水素である請求項1又は2記載の炭化水素の処理方法。
【請求項4】
前記炭化水素の処理が、撹拌しながら行われる請求項1~3のいずれか1項記載の炭化水素の処理方法。
【請求項5】
培地成分を含む第1の水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数14以上の炭化水素を含む第1の有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該第1の有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、
培地成分を含む第2の水性溶媒に、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させたロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数13以下の炭化水素を含む第2の有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該第の有機溶媒中へ移行させ、該炭素数13以下の炭化水素を代謝させる工程と、
を有する炭化水素の処理方法。
【請求項6】
炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を供給する有機溶媒供給手段と、
培地成分を含む水性溶媒を供給する水性溶媒供給手段と、
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する菌体添加手段と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を処理させる処理手段と、
該水性溶媒中に生産された生成物を分離する生成物分離手段と、
を備えた炭化水素処理システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関し、詳細には、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の一種を利用した効率のよい炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌は、土壌や海洋などにありふれて存在するグラム陽性細菌、高G+C含量のコリネ型細菌の一種である。ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌には、石油系炭化水素やポリ塩化ビフェニール類(PCB)などをはじめとした数多くの難分解性化合物に対して分解・資化能力をもつことに加え、アクリルアミドや有用酵素群、あるいは細胞外多糖をはじめとした機能性バイオポリマーなどの生産菌が多く存在することが知られている。それゆえ、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用などが期待されている(非特許文献1)。特に、バイオプロセスを考える場合、応用が期待される微生物には、有機溶媒を含む特殊な環境下での良好な生育や活発な代謝活動などの性質が求められる。また、石油流出事故などによる石油汚染環境の浄化に必要な微生物にも、高濃度難揮発性化合物存在下でこれらの分解を行いながら良好な生育を示すために、これらに対する分解能だけでなく、共存する難揮発性化合物の毒性に対する耐性能が高いことが求められる。
【0003】
上述したこれらの性質を解析するためには、まず、その切り口として微生物の有機溶媒耐性が必要であり、特にバイオプロセスにおいては、高濃度有機溶媒存在下での生育が求められる。微生物の有機溶媒耐性に関する研究では、これまでにグラム陰性菌の大腸菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌などのモデル微生物を中心に遺伝生化学的な研究が行われ、細胞表層構造の変化やエプラックスポンプ、ベシクルの形成などの耐性機構が提案されている(非特許文献2)。一方、グラム陽性菌においては、炭化水素分解遺伝子などに関する遺伝性化学的研究は進んできたが、有機溶媒耐性に関した研究は多くない。このことは、一般にグラム陽性菌は陰性菌に比べ有機溶媒耐性レベルが低いと考えられていることに起因していると予想される。しかしながら、バイオプロセスを考える場合には、極めて応用に近い段階の微生物において、実際の利用環境に近い条件での有機溶媒耐性に関する情報が求められる。上述したようにロドコッカス(Rhodococcus)属細菌はバイオプロセスへの応用が期待されていることから、同菌の有機溶媒耐性に関する知見の蓄積が必要である。
【0004】
Iwabuchiらは、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株が高濃度石油耐性石油分解菌であることを見出し、その石油耐性に検討を加えた結果、同菌の生産する細胞外多糖(以下、「EPS」という)が長鎖アルカンなどの難揮発性有機溶媒の耐性に深く関与していることを明らかにした。さらに、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌のコロニー形態と溶媒耐性について検討したところ、EPS生産量の少ないラフ型菌は溶媒に親和性が高く結果的に溶媒感受性であり、一方で、EPS生産量の多いムコイド型菌は耐性を示したことから、同属細菌においては、コロニー形態と有機溶媒耐性に高い相関があることを明らかにした。また、EPSは溶媒に感受性のラフ型菌にも溶媒耐性を与えることが示されており、これらのことから、ムコイド型コロニーの形成が同属細菌の溶媒耐性を考える上での一つの指標であることが見出された(非特許文献3)。
【0005】
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株は分岐アルカンの一種であるプリスタン(2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)分解菌として単離された株であり(非特許文献4)、培養の経過と共にEPSの生産に基づいた自身のコロニー形態をラフ型→ムコイド型→ラフ型へと変化させる株である。同株は難揮発性有機溶媒に耐性を示すことが知られていることから、ゲノム解析株に選定され、また、宿主-ベクター系の開発にも着手されている。従って、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株は、近い将来、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の中で、遺伝子操作系の発達した株になることが予想される。

【非特許文献1】Finnerty, W. R. et al. (1992) Annual Review of Microbiology, p193-218.
【非特許文献2】Ramos, J. L. et al. (2002) Annual Review of Microbiology, p743-768.
【非特許文献3】Iwabuchi, N. et al. (2000) Applied Environmental Microbiology, 66: 5073-5077.
【非特許文献4】Komukai-Nakamura, S. et al. (1996) Journal of Fermentation and Bioengineering, 82:p570-574
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、有機溶媒を細菌で処理する場合、有機溶媒と培地成分を含む水性溶媒との二層培養系で行う。しかしながら、水性溶媒中に添加された細菌は、有機溶媒-水性溶媒界面でしか反応できないため、バイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用には、菌体の親油性を改善し、炭化水素の処理効率を向上させる必要がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株の親油性を改善した、効率のよい炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、難揮発性有機溶媒を含む有機層と液体培地を含む水層とからなる二層培養系の培地条件でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を培養し、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の溶媒耐性機構の検討を行った。その際、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は水層にはほとんど観察することができず、有機溶媒粒子の中に移行し、その有機溶媒粒子の中で生育している様子が観察された。
【0009】
本発明は、上記の知見に基づきなされたものであり、培地成分を含む水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該有機溶媒中に移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、を有する炭化水素の処理方法を提供するものである。
【0010】
このような構成により、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を有機溶媒中に移行させた状態で炭素数14以上の炭化水素を代謝させることができるため、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の表面積がそのまま炭化水素との接触面積となる。従って、菌と炭化水素との接触面積が増加する結果、従来の有機溶媒-水性溶媒界面で炭化水素を処理するよりも処理効率を格段に向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、培地成分を含む第1の水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数14以上の炭化水素を含む第1の有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該第1の有機溶媒中に移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、培地成分を含む第2の水性溶媒に、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させたロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数13以下の炭化水素を含む第2の有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該第の有機溶媒中に移行させ、該炭素数13以下の炭化水素を代謝させる工程と、を有する炭化水素の処理方法を提供するものである。
【0012】
このような構成により、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を、炭素数14以上の炭化水素を処理したときと同様に、炭素数13以下の炭化水素中に移行させた状態で培養することができるため、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の表面積がそのまま炭化水素との接触面積となる。従って、菌と炭化水素との接触面積が増加する結果、従来の有機溶媒-水性溶媒界面で炭化水素を処理するよりも処理効率を格段に向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を供給する有機溶媒供給手段と、培地成分を含む水性溶媒を供給する水性溶媒供給手段と、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する菌体添加手段と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を処理させる処理手段と、該水性溶媒中に生成された生成物を分離する生成物分離手段と、を備えた炭化水素処理システムを提供するものである。
【0014】
このような構成により、有機溶媒中に移行したロドコッカス・エリスロポリスPR-4株に有機溶媒中の炭化水素を処理させることができるとともに、処理の際に生じた反応によって生成された水溶性の有用物質を水性溶媒中に溶出させることができる。そして、溶出した水溶性の有用物質を回収することで、炭化水素の処理と有用物質の生産を同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る炭化水素の処理方法によれば、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が水性溶媒中から有機溶媒中へ移行し、その有機溶媒中で生育するという性質を利用して炭化水素を処理するものであるため、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の表面積がそのまま炭化水素の接触面積となる。従って、従来の有機溶媒-水性溶媒界面で炭化水素を処理するよりも処理効率が格段に向上する。
【0016】
また、本発明に係る炭化水素処理システムによれば、炭化水素の処理と有用物質の生産を同時に行うことができる。従って、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。本発明に係る炭化水素の処理方法は、既述のとおり、培地成分を含む水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、を有する。
【0018】
本実施形態において、「炭化水素」とは、鎖式炭化水素および環状炭化水素が含まれる。「炭化水素の処理」とは、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株に炭素数14以上の炭化水素を代謝させることを意味する。また、「有機溶媒中へ移行する」とは、水性溶媒中に存在していたロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が、水性溶媒から、有機溶媒に含まれる炭素数14以上の炭化水素中へ移動することをいう。
【0019】
本発明は、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を使用する。同株は培養の経過に応じて自身のコロニー形態をラフ型及びムコイド型のいずれの形態をもとりうるが、いずれの形態でも有機溶媒中へロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を移行させることができる。また、同株のラフ型又はムコイド型の形態を維持している変異株を用いてもよい。さらに、同株の形質転換体を用いることもできる。
【0020】
培地成分を含む水性溶媒としては、一般細菌用培地を用いることができる。また、一般細菌用培地に他の培地成分を含んでいてもよい。一般細菌用培地としては、例えば、IB液体培地、YG液体培地、LB培地、マリンブロス、ニュートリエントブロス、トリプトソイブロス等を挙げることができる。一般細菌用培地の中でも、IB液体培地を用いることが特に好ましい。
【0021】
上記IB液体培地を用いる場合、酵母エキスは、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が水性溶媒から有機溶媒へ移行する際に重要な培地成分である。酵母エキスが存在しない水性溶媒中にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加しても、有機溶媒中への移行は起こりにくい。
【0022】
前記水性溶媒中の前記酵母エキスの添加量は、水性溶媒の全量を基準(100%)としたときに、0.05%(w/w)以上であることが好ましく、0.5~5%(w/w)であることがより好ましく、1%(w/w)程度であることが更に好ましい。
【0023】
炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒は、炭素数14以上の炭化水素で100%占められていることが好ましいが、炭素数13以下の炭化水素又はその他の疎水性物質が含まれていてもよい。炭素数13以下の炭化水素を含む場合は、有機溶媒の全量を基準として、炭素数14以上の炭化水素が20%(v/v)以上含まれることが好ましく、40%(v/v)以上含まれることがより好ましく、60%(v/v)以上含まれることが更に好ましい。
【0024】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を炭化水素中へ移行させるには、炭素数14以上の炭化水素であることを要する。炭素数14未満の炭化水素ではロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は炭化水素中に移行しない。また、炭素数の上限は特に制限はない。例えば、常温で固体であっても、他の炭化水素の存在により固体の炭化水素を溶解し、液体とすることができれば用いることが可能である。

【0025】
炭素数14以上の炭化水素の具体例としては、例えば、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、n-ヘキサデカン(C16)、n-ヘプタデカン(C17)、n-オクタデカン(C18)、プリスタン(C19)、スクワラン(C30)等を挙げることができる。これらの炭化水素は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が水性溶媒中に添加された後に、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加すると、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は、水性溶媒から有機溶媒に含まれる炭素数14以上の炭化水素中へ移行する。そして、有機溶媒中で、それに含まれる炭素数14以上の炭化水素を代謝する。また、炭化水素の種類に応じて、種々の代謝産物を生成する。
【0027】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が有機溶媒中へ移行する機構は不明な点も多いが、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が、その細胞表面の特性を変化させることによって有機溶媒中への移行を可能にしていると推定される。
【0028】
図1は、炭化水素の処理開始から物質生産が行われるまでの一連の過程を概念的に示した図である。図1(a)は水性溶媒10中にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…を添加した直後の様子を示した図である。ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…添加した直後は、有機溶媒14の周囲、即ち水性溶媒10中にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…が分散した状態で存在している。
【0029】
その後、図1(b)に示すように、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…は有機溶媒14の中に移動し、有機溶媒14中に凝集した状態となる。この時点で、水性溶媒10中にはロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…はほとんど存在しない状態となる。
【0030】
そして、図1(c)に示すように、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12…は有機溶媒12中の炭化水素を代謝して増殖すると共に、水溶性の生成物Pを生成する。有機溶媒14は疎水性であるため、水溶性の生成物Pは有機溶媒14から水性溶媒10中に移動し、水性溶媒10中に分散される。
【0031】
なお、炭化水素の処理は撹拌を行っても行わなくてもよいが、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株12を有機溶媒14により多く接触させるという観点及び培地中の溶存酸素量を確保するという観点からは、撹拌を行いつつ処理することが好ましい。撹拌は、例えば撹拌装置や振盪装置を用いることで行うことができる。
【0032】
(実施形態2)
実施形態2に係る炭化水素の処理方法は、炭素数14以上の炭化水素を処理した後、炭素数13以下の炭化水素を処理する工程を有する点が実施形態1とは異なる。即ち、本実施形態は、培地成分を含む第1の水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数14以上の炭化水素を含む第1の有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該第1の有機溶媒中に移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、培地成分を含む第2の水性溶媒に、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させたロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数13以下の炭化水素を含む第2の有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該第の有機溶媒中に移行させ、該炭素数13以下の炭化水素を代謝させる工程と、を有する。
【0033】
通常、実施形態1のように、単に炭素数14以上の炭化水素を炭素数13以下の炭化水素に変えてロドコッカス・エリスロポリスPR-4株に代謝させようとしても、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は炭素数13以下の炭化水素中へ移行することができない。しかしながら、本実施形態のように、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒中でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を培養した菌体を回収し、炭素数13以下の炭化水素を含む有機溶媒中に懸濁すると、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を炭素数13以下の炭化水素を含む有機溶媒中に移行させることが可能となる。
【0034】
従って、本実施形態において、「炭化水素の処理」とは、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株に炭素数14以上の炭化水素を代謝させること及びロドコッカス・エリスロポリスPR-4株に炭素数13以下の炭化水素を代謝させることを意味する。また、「有機溶媒中へ移行する」とは、水性溶媒中に存在していたロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が、水性溶媒から、有機溶媒に含まれる炭素数14以上の炭化水素中へ移動すること及びロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が、水性溶媒から、有機溶媒に含まれる炭素数13以下の炭化水素中へ移動することをいう。
【0035】
炭素数13以下の炭化水素としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
本実施形態においては代謝される炭化水素の種類が異なるため、複数の種類の炭化水素の処理が可能となる。また、代謝産物(生成物)も複数の種類を得ることができる。
【0037】
なお、炭化水素の定義、炭素数14以上の炭化水素の具体例、第1及び第2の水性溶媒の培地組成、その他の培養条件については実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
(実施形態3)
実施形態3は、炭化水素処理システムに関する。図2は、本実施形態の炭化水素処理システム2の概念図である。図2に示すように、炭化水素処理システム2は、有機溶媒供給手段20と、水性溶媒供給手段22と、菌体添加手段24と、処理手段26と、生成物分離手段28と、を備えている。
【0039】
有機溶媒供給手段20は、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を、後述する処理手段26に供給するものである。炭素数14以上の炭化水素の具体例としては、例えば、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、n-ヘキサデカン(C16)、n-ヘプタデカン(C17)、n-オクタデカン(C18)、プリスタン(C19)、スクワラン(C30)等を挙げることができる。これらの炭化水素は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
水性溶媒供給手段22は、培地成分を含む水性溶媒を、後述する処理手段26に供給するものである。培地成分を含む水性溶媒としては、一般細菌用培地を用いることができる。また、一般細菌用培地に他の培地成分を含んでいてもよい。一般細菌用培地としては、例えば、IB液体培地、YG液体培地、LB培地、マリンブロス、ニュートリエントブロス、トリプトソイブロス等を挙げることができる。一般細菌用培地の中でも、IB液体培地を用いることが特に好ましい。
【0041】
菌体添加手段24は、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を、後述する処理手段26に添加するものである。ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は培養の経過に応じて自身のコロニー形態をラフ型及びムコイド型のいずれの形態をもとりうるが、いずれの形態でも使用することができる。また、同株のラフ型又はムコイド型の形態を維持している変異株を用いてもよい。菌体添加手段24には、予めロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を前培養する機能を有する前培養手段を備えることもできる。前培養は、例えば前記IB培地を用い、28~30℃でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を振盪培養することにより行うことができる。
【0042】
処理手段26は、有機溶媒と水性溶媒とからなる培地中でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が有機溶媒に含まれる炭素数14以上の炭化水素を処理するものである。有機溶媒は有機溶媒供給手段20から供給され、水性溶媒は水性溶媒供給手段22から供給される。これにより、有機溶媒-水性溶媒の二層培養系が形成される。そして、菌体供給手段24から水性溶媒中にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が供給される。その後図示しない撹拌器によって有機溶媒と水性溶媒が撹拌され、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が炭素数14以上の炭化水素の代謝及び物質生産を開始する。炭化水素の処理条件は、例えば、図示しない撹拌装置で培地を撹拌しつつ、28~30℃で、数日~2週間程度行われる。なお、処理条件は、処理する炭化水素の種類に応じて適宜設定することができる。
【0043】
炭化水素の処理開始から物質生産が行われるまでの一連の過程は、図1(a)~(c)において説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
【0044】
生成物分離手段18は、水性溶媒中に生産された生成物P、有機溶媒12及び水性溶媒10を分離するものである。分離方法は、従来公知の分離・精製方法(各種クロマトグラフィー又は各種電気泳動等)を利用することができる。また、有機溶媒-水性溶媒の二層培養系の性質を利用して、培地を所定時間放置し、有機溶媒と水性溶媒とが二層に分離された状態となってから、水性溶媒のみ分離し、生産物Pを精製することもできる。なお、有機溶媒中にはロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が存在しているため、水性溶媒と菌の分離も容易である。
【0045】
なお、以上は炭素数14以上の炭化水素を処理する場合について説明したが、実施形態2において説明したように、炭素数13以下の炭化水素の処理に応用することもできる。具体的には、まず、処理手段26において炭素数14以上の炭化水素をロドコッカス・エリスロポリスPR-4株で処理させ、生成物分離手段28により菌体を回収した後、再度処理手段26に戻す。
【0046】
次いで、有機溶媒供給手段20により炭素数13以下の炭化水素を含む有機溶媒を処理手段26に投入し、図示しない撹拌装置で培地を撹拌する。これにより、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が炭素数13以下の炭化水素中に移行し、炭素数13以下の炭化水素を処理することが可能となる。なお、炭素数13以下の炭化水素を含む有機溶媒中に、炭素数14以上の炭化水素を含んでいてもよい。処理後は、生成物分離手段18により、有機溶媒12、水性溶媒10及び生成物Pに分離・精製される。
【0047】
[試験例1]各種炭化水素の処理
(1)IB液体培地の調製
以下の要領で、IB液体培地を調製した。即ち、ミリQを水1L用意し、これにグルコース(和光純薬工業)を10g、酵母エキス(DIFCO LABORATOREIS)を10g、MgCl2・7H2O(和光純薬工業)を0.2g、CaCl2・2H2O(和光純薬工業)を0.1g、NaCl(和光純薬工業)を0.1g、FeCl2・6H2O(和光純薬工業)を0.02g、(NH42SO4(和光純薬工業)を0.5g加え、NaOH溶液でpH7.2に調整後、121℃、15分間オートクレーブ滅菌した。
【0048】
(2)各種炭化水素
n-アルカンとして、n-ヘキサン(C6)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、n-ヘキサデカン(C16)、n-ヘプタデカン(C17)、n-オクタデカン(C18)を使用した。分岐アルカンとして、プリスタン(C19)、スクワラン(C30)を使用した。
【0049】
(3)供試菌株
供試菌株として、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株及びロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株を用いた。
【0050】
(4)炭化水素の処理方法
上記(3)に示した供試菌株を上記(1)で調製したIB液体培地に一白金耳接種し、28℃で3日間振盪培養した。前培養液を1ml採取し、15,000rpm、4℃、10分間遠心分離した。得られた沈殿に生理食塩水1mlを加え懸濁し、再度遠心分離を行った。その後、この洗浄操作を二回繰り返し、得られた沈殿を生理食塩水1mlに懸濁し、これを原液とした。
【0051】
供試菌株の初期濃度が104cfu/mlになるように原液を適宜希釈してφ24試験管(IWAKI GLASS)に入っている新しいIB培地に添加した。続いて上記(2)に示した各種炭化水素を、終濃度5%(v/v)になるようにそれぞれ加え、28℃、110rpmで振盪培養した。そして、培養開始から3日目に供試菌株の生育状況と供試菌株が局在している場所を観察した。ここで、有機溶媒中に存在している場合は「内在」、有機溶媒の表面に存在している場合は「表在」とした。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
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【0053】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株(表中、「PR-4株」と表記する)を用いた場合、培養液の様子を比較したところ、炭素数14以上のn-アルカンと分岐アルカンを添加した条件で、有機溶媒と水性溶媒での濁度の上昇が確認された。また、顕微鏡観察を行ったところ、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が炭素数14以上の炭化水素粒子中に転移して存在している様子が確認された。
【0054】
炭素数10~12のn-アルカンを添加した条件では、有機溶媒と水性溶媒の界面にだけ濁度の上昇が認められた。これらを顕微鏡観察を行ったところ、炭化水素粒子の表面にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が吸着して存在している様子が確認された。
【0055】
炭素数8以下のn-アルカンを用いた条件ではほとんど濁りが認められなかった。また、顕微鏡観察を行ったところ、水性溶媒及び有機溶媒中にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が観察されなかったことから、他の条件に比べロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の数が著しく少ないものと予想された。
【0056】
一方、同様の検討をロドコッカス・ロドクラウスS-2株(表中、「S-2株」と表記する)についても行った。その結果、炭素数14以上のn-アルカンと分岐アルカンを添加した条件では、培養液全体に乳濁液の形成が認められた。また、顕微鏡観察を行ったところ、これらの条件ではロドコッカス・ロドクラウスS-2株は水性溶媒中に存在し、炭化水素粒子の表面にロドコッカス・ロドクラウスS-2株が吸着している様子が観察された。
【0057】
炭素数12以下のn-アルカンを添加した条件では、乳濁液の形成は認められず、培養液中にロドコッカス・ロドクラウスS-2株を確認することができなかった。
【0058】
このことから、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株とロドコッカス・ロドクラウスS-2株では、炭化水素との相互作用が異なることが判明した。また、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株は炭素数の異なる炭化水素を認識し、炭素数に適応した相互作用を行っていることが示唆された。
【0059】
[試験例2]異なる炭化水素の混合比が炭化水素の処理に与える影響の検討
相互作用の異なる2種類の炭化水素を選択し、それぞれの割合をかえて、IB液体培地に添加し、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株による炭化水素の処理に与える影響を検討した。
【0060】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株(表中、「PR-4株」と表記する)をIB液体培地に一白金耳接種し、28℃で3日間振盪培養した。前培養液を1ml採取し、15,000rpm、4℃、10分間遠心分離した。得られた沈殿に生理食塩水1mlを加え懸濁し、再度遠心分離を行った。その後、この洗浄操作を二回繰り返し、得られた沈殿を生理食塩水1mlに懸濁し、これを原液とした。
【0061】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の初期濃度が104cfu/mlになるように原液を適宜希釈し、別途調製したIB培地にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加した。続いて異なる炭化水素をそれぞれ加え、28℃、110rpmで振盪培養した。
【0062】
炭化水素としては、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が移行して代謝することができる炭化水素であるプリスタン(C19)と、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が有機溶媒の表面に吸着して代謝する炭化水素であるドデカン(C12)を混合したものを用いた。そして、混合した炭化水素の終濃度が5%(v/v)になるようにそれぞれの混合比を変化させて培養液に添加し、炭化水素の処理を行った。
【0063】
また、プリスタンと、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が移行して生育することができない炭化水素であるオクタン(C8)を用いて、上述した操作と同様の方法で炭化水素の処理を行った。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
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【0065】
表2に示すように、ドデカンとプリスタンを混合した場合では、ドデカンとプリスタンの混合比が8:2~1:9のときにロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の有機溶媒への移行が確認された。
【0066】
一方、プリスタンとオクタンを混合した場合では、オクタンとプリスタンの混合比が6:4~1:9のときにロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の有機溶媒への移行が確認された。
【0067】
[試験例3]ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株のアダプテーションの検討
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株(表中、「PR-4株」と表記する)をIB液体培地に一白金耳接種し、28℃で3日間振盪培養した。前培養液を1ml採取し、15,000rpm、4℃、10分間遠心分離した。得られた沈殿に生理食塩水1mlを加え懸濁し、再度遠心分離を行った。その後、この洗浄操作を二回繰り返し、得られた沈殿を生理食塩水1mlに懸濁し、これを原液とした。
【0068】
ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の初期濃度が104cfu/mlになるように原液を適宜希釈してφ24試験管(IWAKI GLASS)に入っている新しいIB液体培地に添加した。続いてプリスタン(C19)の終濃度が5%(v/v)になるように加え、28℃、110rpmで3日間振盪培養した。
【0069】
培養開始から3日経過後に、プリスタン(C19)を添加したIB液体培地で培養したロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を回収した。そして、回収したロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を、初期濃度が104cfu/mlになるように、別途調製したIB液体培地に添加した。そして今度はドデカン(C12)の終濃度が5%(v/v)になるように加え、28℃、110rpmで振盪培養した。
【0070】
なお、対照として、ドデカン(C12)を添加したIB液体培地でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を培養した後、プリスタン(C19)を添加したIB液体培地でロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を培養した。
【0071】
培養開始から3日目にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の生育状況とロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が局在している場所を観察した。ここで、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株が炭化水素中に存在している場合は「内在」、炭化水素の表面に存在している場合は「表在」とした。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
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【0073】
表3に示すように、プリスタン(C19)を単独で処理したときと同様に、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株がドデカン(C12)の中に移行していることが判明した。逆にドデカン(C12)を添加した培地で培養したロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を回収し、プリスタン(C19)を添加した培地で培養したところ、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株はプリスタン(C19)中には移行せず、プリスタン(C19)の表面に表在することが判明した。このことから、第1段階目の処理時に、ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株の細胞壁及び/又は細胞膜が炭化水素の種類に適応して変化し(アダプテーションを起こし)、その性質は、第2段階目の処理に用いる炭化水素が変わっても維持されると推察された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を有機溶媒中へ移行させて炭化水素を代謝させることが可能であるため、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】炭化水素の処理開始から物質生産が行われるまでの一連の過程を概念的に示した図である。
【図2】炭化水素処理システム2の概念図である。
【符号の説明】
【0076】
2…炭化水素処理システム、10…水性溶媒、12…ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株、14…有機溶媒、20…有機溶媒供給手段、22…水性溶媒供給手段、24…菌体添加手段、処理手段…26、生成物分離手段…28、P…生成物
図面
【図1】
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【図2】
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