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明細書 :機能的近赤外分光装置の信号解析装置、機能的近赤外分光装置並びにプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4813128号 (P4813128)
公開番号 特開2007-054376 (P2007-054376A)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
発行日 平成23年11月9日(2011.11.9)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
発明の名称または考案の名称 機能的近赤外分光装置の信号解析装置、機能的近赤外分光装置並びにプログラム
国際特許分類 A61B   5/145       (2006.01)
A61B  10/00        (2006.01)
FI A61B 5/14 310
A61B 10/00 E
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2005-244370 (P2005-244370)
出願日 平成17年8月25日(2005.8.25)
審査請求日 平成20年8月12日(2008.8.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】綱島 均
【氏名】内堀 朝子
【氏名】塩澤 友規
個別代理人の代理人 【識別番号】100070150、【弁理士】、【氏名又は名称】伊東 忠彦
審査官 【審査官】宮澤 浩
参考文献・文献 特開2001-095769(JP,A)
特開平09-019408(JP,A)
特開平09-211040(JP,A)
特開2002-215871(JP,A)
特開2004-261265(JP,A)
国際公開第2002/087434(WO,A1)
Syoji KOBAYASHI ,Brain State Recognition Using Fuzzy C-Means (FCM) Clustering with Near Infrared Spectroscopy (NIRS),,Lecture Notes in Computer Science,,2001年,vol.2206,, p.124-136,
調査した分野 A61B 5/145
A61B 10/00
特許請求の範囲 【請求項1】
機能的近赤外分光装置により検出された信号に基づいて所望の被検査対象の機能を解析する機能的近赤外分光装置の信号解析装置であって、
前記機能的近赤外分光装置により検出された検出信号に対して離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行ない、該多重解像度解析の結果、検査しようとする機能の状態が反映された成分に、その前後の周波数帯域の成分を加算した成分を解析結果として出力する解析部を有することを特徴とする機能的近赤外分光装置の信号解析装置。
【請求項2】
前記検査しようとする機能の状態が反映された成分は、検査周期の逆数を包含する周波数帯域の成分である、請求項1に記載の機能的近赤外分光装置の信号解析装置。
【請求項3】
機能的近赤外分光法により信号を検出し、検査対象の所望の機能を解析する機能的近赤外分光装置であって、
前記機能的近赤外分光法により検出された検出信号に対して離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行ない、該多重解像度解析の結果、検査しようとする機能の状態が反映された成分に、その前後の周波数帯域の成分を加算した成分を解析結果として出力する解析部を有することを特徴とする機能的近赤外分光装置。
【請求項4】
前記検査しようとする機能の状態が反映された成分は、検査周期の逆数を包含する周波数帯域の成分である、請求項3に記載の機能的近赤外分光装置。
【請求項5】
コンピュータに、
前記機能的近赤外分光装置により検出された検出信号を取得する信号取得手順と、
前記信号取得手順で取得した信号に対して離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行ない、該多重解像度解析の結果、検査しようとする機能の状態が反映された成分に、その前後の周波数帯域の成分を加算した成分を解析結果として出力する解析手順と、
を実行させることを特徴とするコンピュータに読み取り可能なプログラム。
【請求項6】
前記検査しようとする機能の状態が反映された成分は、検査周期の逆数を包含する周波数帯域の成分である、請求項5に記載のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は機能的近赤外分光装置の信号解析方法及び信号解析装置、機能的近赤外分光装置並びに信号解析プログラムに係り、特に、機能的近赤外分光装置により検出された信号を解析する機能的近赤外分光装置の信号解析方法及び信号解析装置、機能的近赤外分光装置並びに信号解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳機能の非侵襲的な画像検査法として機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)検査方法がある。fMRI検査は、磁気を用いて脳内の酸素化ヘモグロビン濃度変化の局在を画像として観察可能とするもので、言語や認知など、脳の高次機能の解明に大きく貢献をしている。しかしながら、fMRI検査に用いられる装置は、検査機器の中でも最も高価かつ大型の機器の一つであり、また、使用環境も機器本体を覆うほどの大掛かりな磁気シールドルームが必要となる。このため、fMRI装置本体の移動は不可能であり、実験には多くの制約がある。
【0003】
一方、近年、機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy:fNIRS;光トポグラフィー)と呼ばれる検査法が普及してきている(特許文献1~3参照)。これは近赤外光により組織の酸素化ヘモグロビンあるいは脱酸素化ヘモグロビンの増減を体表から検査可能である非侵襲的検査法である。fNIRS検査法に用いられる装置は、比較的簡単な構成であり、かつ、移動も容易であるとともに、使用環境も通常の環境下で使用が可能となる。
【0004】
このfNIRS検査装置を用いることによりfMRI装置などの大掛かりな装置では不可能であった実験を多く行なえるようになっており、注目を集めている。

【特許文献1】特開2001-87250号公報
【特許文献2】特表2002-509453号公報
【特許文献3】特表2002-502653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、fNIRS装置で得られる時系列信号は基本的には非定常信号であり、高周波数領域から低周波数領域までの様々な変動成分を多く含んでいる。したがって、これらの信号では、検査対象となる成分とそれ以外の成分が混在しており、信号から検査対象となる成分を的確に抽出できる信号処理が望まれている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、fNIRSによる検出信号から検査対象となる成分を的確に抽出できる機能的近赤外分光装置の信号解析方法及び信号解析装置、機能的近赤外分光装置並びに信号解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、機能的近赤外分光装置により検出された信号を解析する機能的近赤外分光装置の信号解析方法であって、機能的近赤外分光装置により検出された検出信号を取得する信号取得手順と、信号取得手順で取得した信号に対してウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なう解析手順とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、機能的近赤外分光装置により検出された信号に基づいて所望の被検査対象の機能を解析する機能的近赤外分光装置の信号解析装置であって、機能的近赤外分光装置により検出された検出信号に対してウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なう解析部を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、機能的近赤外分光法により信号を検出し、検査対象の所望の機能を解析する機能的近赤外分光装置であって、機能的近赤外分光法により検出された検出信号に対してウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なう解析部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプログラムは、コンピュータに、機能的近赤外分光装置により検出された検出信号を取得する信号取得手順と、信号取得手順で取得した信号に対してウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なう解析手順とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機能的近赤外分光装置により検出された検出信号を取得する信号取得手順と、信号取得手順で取得した信号に対してウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なうことにより、検査対象となる機能を最も反映した成分を用いて解析を行うことができ、よって、検査すべき機能の状態を確実に解析できる。また、処理が簡単な離散ウェーブレット変換を用いることで小型のコンピュータによって処理を実現できる。また、リアルタイムに解析が行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔システム構成〕
図1は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。
【0013】
本実施例のfNIRS検査システム100は、例えば、fNIRS検査装置111及び解析装置112から構成されている。fNIRS検査装置111は、近赤外光を検査対象に照射し、その反射光を検出し、検出信号を解析装置112に供給する。解析装置112は、fNIRS検査装置111から供給される検出信号を解析して、その波形などを表示する。
【0014】
〔fNIRS検査装置111〕
図2はfNIRS検査装置111のブロック構成図を示す。
【0015】
fNIRS検査装置111は、主に、ホルダ121、122、送光ファイバ123、検出ファイバ124、近赤外光発生装置125、受光装置126、処理装置127、操作パネル128、記憶装置129、表示装置130、インタフェース131から構成されている。ホルダ121、122には、複数の送光ファイバ123及び複数の検出ファイバ124の先端が装着される。ホルダ121、122は、検査対象141に取り付けられて、複数の送光ファイバ123、及び、複数の検出ファイバ124の先端を検査対象141に密着させる。
【0016】
送光ファイバ123及び検出ファイバ124は、検査対象141に対して格子状に配置されている。また、このとき、送光ファイバ123及び検出ファイバ124は、互いに交互に配置されている。
【0017】
送光ファイバ123の他端には、近赤外光発生装置125から近赤外光が供給される。送光ファイバ123は近赤外光発生装置125から他端に供給された近赤外光を先端から送出し、人体などの検査対象141に照射する。ここでは、例えば、脳の血流であり、血液、特に、酸素化ヘモグロビンや脱酸素化ヘモグロビンが対象となる。
【0018】
送光ファイバ123から送出された近赤外光は、検査対象141の内部に入射する。検査対象141内部に入射した近赤外光は、ヘモグロビンなどに反射して検出ファイバ124の先端に入射する。このとき、光の成分を解析することにより、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)を各々検出することが可能となる。
【0019】
検出ファイバ124は他端が受光装置126に接続されている。検出ファイバ124の先端に入射した近赤外光は、検出ファイバ124を通して受光装置126に入射される。
【0020】
受光装置126は、検出ファイバ124の他端から供給される近赤外光を電気信号に変換する。受光装置126で変換された電気信号は、処理装置127に供給され、ディジタルデータに変換され、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)との信号に分離された後、記憶装置129に記憶される。
【0021】
記憶装置129に記憶された酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)との信号は、操作パネル128の操作により必要に応じて表示装置130に表示される。また、インタフェース131を通して解析装置112に送信される。
【0022】
〔解析装置112〕
解析装置112は、例えば、パーソナルコンピュータシステムから構成されており、インタフェース141、処理装置142、記憶装置143、入力装置144、表示装置145から構成されている。
【0023】
インタフェース141は、fNIRS検査装置111とのインタフェースをとり、データの送受信を可能とする。
【0024】
処理装置142は、記憶装置143にインストールされた解析プログラムに基づいてデータ処理が実行されており、インタフェース141から供給された検出信号に応じたデータを記憶装置143に記憶する。記憶装置143は、ハードディスクドライブ、メモリ、ディスクドライブなどから構成されており、解析プログラムがインストールされているとともに、fNRIS検査装置111から供給された信号データが記憶される。また、記憶装置143は、処理装置142の作業用記憶領域としても用いられる。
【0025】
入力装置144は、キーボード、マウスなどから構成されており、処理装置142に対してデータ入力や各種コマンドの入力を行なう装置である。表示装置145は、CRT、LCDなどから構成されており、処理装置142により実行された解析プログラムの解析結果などを表示する。
【0026】
〔処理〕
図3は本発明の一実施例の解析プログラムの処理フローチャートを示す。
【0027】
処理装置142は、ステップS1-1で検出信号を取得すると、ステップS1-2で解析処理を実行する。解析処理は、離散ウェーブレット変換を用いた多重解像度解析により行なわれる。処理装置142は、ステップS1-3で表示装置145に解析結果の波形を表示する。
【0028】
処理装置142は、ステップS1-4で表示装置145の解析結果の波形から必要な成分が反映された波形が選択されると、ステップS1-5でその前後の周波数帯域の成分を抽出して、ステップS1-6で選択された成分の波形に加算し、その波形を表示装置145に表示する。
【0029】
〔解析処理〕
ここで、ステップS1-2での解析処理について説明を行なう。本実施例の解析処理は、fNIRS検査装置111から取得した信号データに対して離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なう。
【0030】
〔波形解析〕
まず、波形解析について説明する。
【0031】
波形解析としては、フーリエ解析が一般的である。フーリエ解析は、時間領域の情報をフーリエ変換して、周波数領域の情報に置き換えて行なう解析方法である。しかし、通常のフーリエ解析では、時間情報が欠落していた。
【0032】
このため、短時間フーリエ変換、いわゆる、窓フーリエ変換が提案されている。しかし、短時間フーリエ変換では、信号の時間-周波数解析が行なえるが、解析対象に対するある程度の知識、予測が必要となる。このため、未知の信号を検出し、解析するにはかなりの労力が必要であった。
【0033】
そこで、本実施例では、波形解析としてウェーブレット変換を用いる。
【0034】
本実施例で用いられるウェーブレット変換は、マザーウェーブレットと呼ばれる小さな波Ψ(t)を平行移動、伸縮させて解析したい波形f(t)の局所的な様子を表し、これを元に波形を解析していくものである。
【0035】
ウェーブレット変換の数式は、一般に
【0036】
【数1】
JP0004813128B2_000002t.gif
で与えられる。
【0037】
式(1)においてΨ((t-b)/a)は、bだけ時間(位相)をずらした周波数を(1/a)する演算である。これらの演算による変換は、連続ウェーブレット変換と呼ばれている。連続ウェーブレット変換は、式(1)からも明らかように、かなりの計算量を必要とするとともに、情報が重複する。
【0038】
これを簡略化するために、離散ウェーブレット変換と呼ばれるウェーブレット変換が提案されている。
【0039】
離散ウェーブレット変換は、式(1)のaとbとを離散化したものであり、一般に、
【0040】
【数2】
JP0004813128B2_000003t.gif
という数式で表される。この離散ウェーブレット変換は、一般に、連続ウェーブレット変換よりも情報量は少ないが、効率的で、かつ、高精度の解析が行なえるという特徴を有する。そこで、本実施例では、この離散ウェーブレット変換により、波形解析を行なう。また、本実施例では、このとき、離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なっており、多重解像度解析の結果、実行されたタスクに対する影響がもっとも反映されている解析結果を用いてタスクに対する脳の血流の状態を解析している。
【0041】
〔多重解像度解析〕
次に離散ウェーブレット解析を用いた多重解像度解析について説明する。
【0042】
図4は多重解像度解析を説明するための図を示す。
【0043】
解析対象の波形をSとしたとき、例えば、図4に示すように波形を周波数帯域の異なる低周波成分(approximation)a1、a2、a3、及び、高周波成分(detail)d1、d2、d3からなる6つの階層構造に分解する。
【0044】
このとき、図4に示す階層構造において解析対象波形Sは、
S=a3+d3+d2+d1 …(3)
で表される。
【0045】
〔解析結果〕
次に離散ウェーブレット変換を用いた多重解像度解析による解析結果について説明する。
【0046】
ここでは、脳血流信号に対して、離散ウェーブレット変換により多重解像度解析を行う解析方法について説明する。脳血流信号に対して、離散ウェーブレット変換により多重解像度解析を行い、脳血流をあらゆる周波数成分に分解し、有意な信号を含む周波数成分のみ再構成する。これによって、必要のないゆらぎや雑音を取り除くことができる。
【0047】
また、各周波数成分はそれぞれ異なる意味を持つので、周波数で分解することにより、脳血流に含まれる様々な信号、例えば、タスクに対する脳の活動状態や、実験に対する心理変化、心拍による変動などを別々に評価できるようになる。
【0048】
また、連続ウェーブレット変換でなく、離散ウェーブレット変換を用いることにより、リアルタイムに解析処理が行え、さらに計算が比較的簡単であるので計算負荷が少なくできる。測定中に多重解像度解析を行いながら解析結果を逐次モニタに表示させれば、脳血流に含まれる様々な信号を測定しながら個別に見ることができる。あらかじめ必要な周波数がわかっていれば、多重解像度解析で得られる成分をどのように再構成するかを設定しておくことで、有意な情報だけをモニタリングしながら測定できる。
【0049】
〔第1解析例〕
図5は実験内容を説明するための図である。
被験者に対して、刺激文を画面に提示し、正誤判定をする課題を課し、そのときの反応をfNIRS検査装置111により測定した。このとき、図5に示すように14秒レスト、34秒タスク、14秒レストのブロックデザインとした。刺激1(タスクA)、刺激2(タスクB)、刺激3(タスクC)の3種類の異なるタスクを設定して、1回3ブロックとして、これを4回繰り返し、計12ブロック744秒測定した。
図6は脳のブローカ野付近をfNIRS検査装置により検出したときの検出信号の一例を示す図である。同図中、灰色で色付けした領域がタスク部分を示している。
図6に示すように酸素化ヘモグロビンがタスク時に上昇する傾向を見ることができるが、高周波の雑音を含んでいる。また、実験全体にかけて酸素化ヘモグロビンoxy-Hbの増加と脱酸素化ヘモグロビンdeoxy-Hbの減少が見られるが、タスクに対する賦活状態を見るとき、これらの不要な情報は取り除きたい。
〔加算平均結果〕
図7はfNIRS装置の酸素化ヘモグロビンの検出信号に対して加算平均をタスク別に行った結果を示す図である。図7(A)はタスクA、図7(B)はタスクB、図7(C)はタスクCを加算平均したものである。
加算平均を取ることにより、図7に示されるように雑音が除去され、また、タスクごとの変化を見ることができ、タスクに対する賦活状態を評価できる。例えば、図7(C)に示すようにタスクCが最も賦活させる刺激であることがわかる。ところが、図6を見ると、同じタスクCであっても、310秒から372秒ではほとんど変化がないのに対し、682秒から744秒では非常に大きな変化があり、賦活状態に大きなばらつきがあることがわかるが、図7に示すように加算平均を取ることによって、この情報は見えなくなっている。このため、加算平均では、タスクに対する賦活状態を見逃しがちである。
【0050】
〔多重解像度解析結果〕
図8は酸素化ヘモグロビンの検出信号に対して多重解像度解析を行った結果を示す図である。
【0051】
1ブロックの周期は62秒であるので、タスクに関連する周期的な血流変化は、0.00888~0.0178Hzに対応する成分d8の付近に現れる。成分d8には図8(E)に示されるように、タスク時に増加、レスト時に減少する傾向が確認できる。そこで、図8(E)に示されるd8に隣接する図8(F)、図8(D)に示す成分d7、d9を加算して信号を再構成する。
【0052】
図9は図8に示す多重解像度解析結果の成分d7、d8、d9を加算して再構成した信号を示す図である。
【0053】
図9に示す成分d7、d8、d9を加算して再構成した信号は、高周波の雑音除去と同時に長いトレンド成分が取り除かれており、タスクに関連する変化のみが抽出され、はっきり捉えることができる。
【0054】
図10は脳のブローカ野付近をfNIRS検査装置により検出したときの検出信号の他 の一例を示す図、図11は図10に示す検出信号に対して多重解像度解析を行なった結果を示す図。図12は図11に示す多重解像度解析結果の成分d7、d8、d9を加算して再構成した信号を示す図である。
【0055】
図10~図12に示すように他の検出信号に対して同様に離散ウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行ない、必要な成分を抽出して、加算を行なう処理を行なうことにより、高周波の雑音除去と同時に長いトレンド成分が取り除かれており、タスクに関連する変化のみが抽出され、はっきり捉えることができることがわかる。
【0056】
〔効果〕
本実施例によれば、検査対象となる機能を最も反映する成分を用いて解析を行うことができ、よって、検査すべき機能を確実に解析できる。
【0057】
また、離散ウェーブレット変換という比較的簡単な処理によって解析を行なえるため、パーソナルコンピュータなどを用いて解析を行なうことができる。
【0058】
さらに、ベースライン補正などを用いた場合には信号とノイズの分離があいまいであると、情報を失う場合があるが、ウェーブレット変換を用いた場合には情報が欠落することなく、解析を行なうことができる。
【0059】
〔その他〕
なお、本実施例では、解析装置112で信号の解析を行なうようにしたが、fNIRS装置111側でウェーブレット変換を用いて多重解像度解析を行なうようにしてもよい。
【0060】
また、本実施例では、多重解像度解析結果から適正な解析結果を選択するようにしたが、検査内容に応じて最適な解析結果を選択するようにしてもよい。
【0061】
さらに、本実施例では、脳の機能を検査する場合について説明を行なっているが、fNIRS検査装置を用いて行なわれる検査、一般に適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】fNIRS検査装置111のブロック構成図である。
【図3】本発明の一実施例の解析プログラムの処理フローチャートである。
【図4】多重解像度解析を説明するための図である。
【図5】実験内容を説明するための図である。
【図6】脳のブローカ野付近をfNIRS検査装置により検出したときの検出信号の一例を示す図である。
【図7】fNIRS装置の酸素化ヘモグロビンの検出信号に対して加算平均をタスク別に行った結果を示す図である。
【図8】図6に示す酸素化ヘモグロビンの検出信号に対して多重解像度解析を行った結果を示す図である。
【図9】図8に示す多重解像度解析結果の成分d7、d8、d9を加算して再構成した信号を示す図である。
【図10】脳のブローカ野付近をfNIRS検査装置により検出したときの検出信号の他 の一例を示す図である。
【図11】図10に示す酸素化ヘモグロビンの検出信号に対して多重解像度解析を行なった結果を示す図である。
【図12】図11に示す多重解像度解析結果の成分d7、d8、d9を加算して再構成した信号を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100 システム
111 fNIRS検査装置、112 解析装置
121、122 ホルダ、123 送光ファイバ、124 検出ファイバ
125 近赤外光発生装置、126 受光装置、127 処理装置、128 操作パネル129 記憶装置、130 表示装置、131 インタフェース
141 インタフェース、142 処理装置、143 記憶装置、144 入力装置
145 表示装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図11】
7
【図6】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図12】
11