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明細書 :冷却媒体、冷却ユニット、及び冷却装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5062462号 (P5062462)
公開番号 特開2007-146043 (P2007-146043A)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発行日 平成24年10月31日(2012.10.31)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
発明の名称または考案の名称 冷却媒体、冷却ユニット、及び冷却装置
国際特許分類 C09K   5/04        (2006.01)
H05K   7/20        (2006.01)
G06F   1/20        (2006.01)
C09K   5/08        (2006.01)
C12M   1/38        (2006.01)
C12M   1/00        (2006.01)
FI C09K 5/04
H05K 7/20 Q
G06F 1/00 360C
G06F 1/00 360A
C09K 5/00 F
C12M 1/38 Z
C12M 1/00 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 8
出願番号 特願2005-344031 (P2005-344031)
出願日 平成17年11月29日(2005.11.29)
審査請求日 平成20年11月28日(2008.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】山▲崎▼ 博司
【氏名】小幡 義彦
【氏名】氏家 康成
個別代理人の代理人 【識別番号】100079108、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100080953、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 克郎
【識別番号】100093861、【弁理士】、【氏名又は名称】大賀 眞司
審査官 【審査官】天野 宏樹
参考文献・文献 特開平06-271841(JP,A)
特開平10-185379(JP,A)
特開平09-248444(JP,A)
特開平10-110161(JP,A)
特開平02-246255(JP,A)
特開2005-206805(JP,A)
調査した分野 C09K5
特許請求の範囲 【請求項1】
高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成した水中油滴型エマルジョンを含む、冷却媒体であって、
低沸点成分の液滴の沸騰により蒸発潜熱を奪い、かつ、前記低沸点成分の沸騰により発生した蒸気泡を高沸点成分により冷却して凝縮させるメカニズムにより所定の温度領域に温度制御する、冷却媒体。
【請求項2】
連続相である水及び分散相であるn-ヘキサンからなる水中油滴型エマルジョンと、界面活性剤であるエーテル系化合物と、を含む、請求項1記載の冷却媒体。
【請求項3】
前記水中油滴型エマルジョン中における分散相の油滴直径が、0.5μm以上30μm以下である、請求項1又は2記載の冷却媒体。
【請求項4】
前記水中油滴型エマルジョンの粘性係数が、293Kにおいて35mPa・s以上40mPa・s以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の冷却媒体。
【請求項5】
高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成したエマルジョンを含む、冷却媒体であって、
連続相である鉱油、シリコンオイル、又は流動パラフィンと、分散相である水と、からなる油中水滴型エマルジョンと、界面活性剤であるソルビタン系化合物と、を含み、前記ソルビタン系化合物がソルビタンモノオレエートであり、
低沸点成分の液滴の沸騰により蒸発潜熱を奪い、かつ、前記低沸点成分の沸騰により発生した蒸気泡を高沸点成分により冷却して凝縮させるメカニズムにより所定の温度領域に温度制御する、冷却媒体。
【請求項6】
前記エマルジョン中、前記分散相の体積割合が10%以上30%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の冷却媒体。
【請求項7】
被冷却体を冷却するための冷却ユニットであって、
請求項1~6の何れかに記載の冷却媒体と、
前記冷却媒体の移送を促進する冷却媒体移送ポンプと、
前記被冷却体の下流に設けられた放熱器と、
前記放熱器の下流に設けられた攪拌装置と、
前記攪拌装置から排出された冷却媒体を前記被冷却体へ還流する循環系と、
を含む、冷却ユニット。
【請求項8】
請求項7記載の冷却ユニットを備えた、パーソナルコンピュータ。
【請求項9】
請求項7記載の冷却ユニットを備えた、バイオリアクター。
【請求項10】
請求項1~6の何れかに記載の冷却媒体を備えた、冷却装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却媒体、冷却ユニット、これを備えたパーソナルコンピュータ及びバイオリアクター、並びに冷却装置に関わり、より詳細には、微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができる冷却媒体、冷却ユニット、これを備えたパーソナルコンピュータ及びバイオリアクター、並びに冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータにおいて、集密化しているCPU素子には動作限界温度があり、その冷却に当たっては動作限界温度を超えない一定の範囲において冷却制御を行う必要がある。ここで、空気冷却では高密度化には対応することができないため、現在では水冷装置を取り付け、冷却媒体として熱容量の大きい液体を使用して熱伝達率を向上させる工夫がなされている。
また、微生物培養による生物生産において,菌種によっては非常に厳しい温度管理が必要となる。そのような微生物を培養するためのバイオリアクターにおける温度管理には主にセンサやプログラマブルなヒータ出力を利用した温度制御がなされている。
【0003】
このように、CPU素子の冷却やバイオリアクターの温度管理において、従来では冷却媒体として熱容量の大きい液体を使用し、それらの流動場に伝熱面を設置することによって、熱交換を促進して温度制御している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような温度制御の方法では、上限温度や設定温度が組み込まれていないため、CPU素子の冷却では、多くの水量及び大きな伝熱面積を必要とし、また、バイオリアクターでは高度な温度測定及び大きな熱容量を必要とし、いずれも安定動作を行うために装置が大型化してしまうという問題がある。
このように、従来の方法では、微細な領域における冷却又は温度制御を精度よく行うことが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができる冷却媒体、冷却ユニット、これを備えたパーソナルコンピュータ及びバイオリアクター、並びに冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成したエマルジョンを含む、冷却媒体によれば、微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、エマルジョンは油中水滴型、水中油滴型等の乳化形式や分散相滴の直径分布等の内部構造、温度条件等によって流体力学的性質や熱的性質が大きく異なるものであり、その複雑性のゆえに、伝熱媒体設計に資するに十分な基礎的知見が得られていないのが現状であるところ、本発明者らは、特定のエマルジョンが伝熱媒体として優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、〔1〕高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成した水中油滴型エマルジョンを含む、冷却媒体であって、低沸点成分の液滴の沸騰により蒸発潜熱を奪い、かつ、前記低沸点成分の沸騰により発生した蒸気泡を高沸点成分により冷却して凝縮させるメカニズムにより所定の温度領域に温度制御する、冷却媒体;〔2〕連続相である水及び分散相であるn-ヘキサンからなる水中油滴型エマルジョンと、界面活性剤であるエーテル系化合物と、を含む、前記(1)記載の冷却媒体;〔3〕前記水中油滴型エマルジョン中における分散相の油滴直径が、0.5μm以上30μm以下である、前記(1)又は(2)記載の冷却媒体;〔4〕前記水中油滴型エマルジョンの粘性係数が、293Kにおいて35mPa・s以上40mPa・s以下である、前記(1)~(3)の何れかに記載の冷却媒体;〔5〕高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成したエマルジョンを含む、冷却媒体であって、連続相である鉱油、シリコンオイル、又は流動パラフィンと、分散相である水と、からなる油中水滴型エマルジョンと、界面活性剤であるソルビタン系化合物と、を含み、前記ソルビタン系化合物がソルビタンモノオレエートであり、低沸点成分の液滴の沸騰により蒸発潜熱を奪い、かつ、前記低沸点成分の沸騰により発生した蒸気泡を高沸点成分により冷却して凝縮させるメカニズムにより所定の温度領域に温度制御する、冷却媒体;〔6〕前記エマルジョン中、前記分散相の体積割合が10%以上30%以下である、前記(1)~(5)の何れかに記載の冷却媒体;〔7〕被冷却体を冷却するための冷却ユニットであって、前記(1)~(6)の何れかに記載の冷却媒体と、前記冷却媒体の移送を促進する冷却媒体移送ポンプと、前記被冷却体の下流に設けられた放熱器と、前記放熱器の下流に設けられた攪拌装置と、前記攪拌装置から排出された冷却媒体を前記被冷却体へ還流する循環系と、を含む、冷却ユニット;〔8〕前記(7)記載の冷却ユニットを備えた、パーソナルコンピュータ;〔9〕前記(7)記載の冷却ユニットを備えた、バイオリアクター;〔10〕前記(1)~(6)の何れかに記載の冷却媒体を備えた、冷却装置;を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0010】
(冷却媒体)
本発明の冷却媒体は、高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成したエマルジョンを含むものである。
【0011】
本発明の冷却媒体によれば、高沸点成分に、低沸点成分を混入・安定化させたエマルジョンを含む構成としたことにより、微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができる。
すなわち、冷却媒体自体が温度設定機能を有し、伝熱面温度が低沸点成分の沸点より高くなった場合に伝熱面近傍の微小滴は沸騰して蒸気泡が発生し伝熱面より潜熱を奪い、また、その発生した蒸気泡は雰囲気によって沸点以下に冷却されると凝縮し潜熱を放出する。このようなメカニズムにより冷却媒体自体が温度設定機能を有するため、伝熱機器の温度制御を安定、精密、かつ高効率に行うことができる。すなわち、所定の温度領域において温度制御することができる。また、設定温度近傍における熱伝達率の利用効率を高めることができるので、冷却媒体の流量を少なくしても伝熱機器の温度制御をすることができ、冷却装置を小型化することができる。
上記エマルジョンは、水中油滴型エマルジョンであっても、油中水滴型エマルジョンであってもよい。
「高沸点成分を連続相とし、低沸点成分を分散相として構成」とは、上記エマルジョンは沸点の異なる2種の成分を含み、相対的に沸点が高い高沸点成分を連続相とし、相対的に沸点が低い低沸点成分を分散相としてエマルジョンを構成するとの意味である。
【0012】
前記エマルジョン中、前記分散相の体積割合が10%以上30%以下であることが好ましい。
特に、前記エマルジョン中、前記連続相の体積割合が78%であり、前記分散相の体積割合が20%であり、使用される界面活性剤の体積割合が2%であることが好ましい。
このような好適な構成とすることにより、本発明の効果を一層達成することができる。
【0013】
本発明の冷却媒体は、連続相である水及び分散相であるn-ヘキサンからなる水中油滴型エマルジョンと、界面活性剤であるエーテル系化合物と、を含むものであってもよい。
水に、沸点の低い不溶性媒体であるn-ヘキサン(大気圧下における沸点69℃)を混入・安定化させた水中油滴型エマルジョンを含む構成としたことにより、微細な領域を精度よく伝熱制御することができる。
【0014】
連続相である水は、純水(大気圧下において沸点100℃)であることが好ましい。
冷却系の圧力を変化させることにより水や添加油分の沸点が変化する。本発明の冷却媒体は連続相及び分散相の沸点差で伝熱制御を行っているため、冷却系の圧力を変化させることによって温度制御領域を広く設定することができる。
【0015】
界面活性剤であるエーテル系化合物としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが好ましい。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは、(C24O)n・C1524Oで表される(CAS番号:9016-45-9)。ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの親水親油バランス(HLB)は10.4のものが好ましい。
【0016】
前記水中油滴型エマルジョン中における分散相の油滴直径は、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。
このように分散相の油滴直径を制御することにより、発生する蒸気泡の量及び移動距離を適切に調整することができ、微細な領域においての伝熱促進が可能である。
【0017】
前記水中油滴型エマルジョンの粘性係数(粘度)は、293Kにおいて35mPa・s以上40mPa・s以下であることが好ましい。
このような粘性係数を有することにより、微細な領域において対流伝熱を適切に制御することができる。
【0018】
本発明の冷却媒体は、連続相である鉱油、シリコンオイル、又は流動パラフィンと、分散相である水と、からなる油中水滴型エマルジョンと、界面活性剤であるソルビタン系化合物と、を含むものであってもよい。
鉱油(沸点は300℃以上)、シリコンオイル、又は流動パラフィンに、これに対して沸点の低い水を混入・安定化させた油中水滴型エマルジョンを含む構成としたことにより、微細な領域を精度よく伝熱制御することができる。本好適な構成は、100℃を超える高温領域の伝熱制御において有用である。
【0019】
界面活性剤であるソルビタン系化合物としては、ソルビタンモノオレエートが好ましい。
ソルビタンモノオレエートは、C24446で表され(CAS番号:1338-43-8)、親水親油バランス(HLB)は4.3のものが好ましい。
【0020】
(冷却ユニット)
本発明の冷却ユニットは、被冷却体を冷却するための冷却ユニットであって、上記冷却媒体と、前記冷却媒体の移送を促進する冷却媒体移送ポンプと、前記被冷却体の下流に設けられた放熱器と、前記放熱器の下流に設けられた攪拌装置と、前記攪拌装置から排出された冷却媒体を前記被冷却体へ還流する循環系と、を含むものである。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る冷却ユニット10を示す模式図である。図1に示すように、冷却ユニット10は、被冷却体11に設けられ熱交換により被冷却体11を冷却する冷却ヘッド12と、その下流に設けられた放熱器13と、その下流に設けられた攪拌装置15と、その下流に設けられた冷却媒体移送ポンプ14と、攪拌装置15から排出された冷却媒体を被冷却体11へ還流する循環系と、から構成される。循環系には上記冷却媒体が流通・還流する。
本発明の冷却ユニットによれば、動作限界温度を有する被冷却体の微細な領域を精度よく冷却又は温度制御することができる。
【0022】
(応用例)
本発明のパーソナルコンピュータは、上記冷却ユニットを備えたものである。パーソナルコンピュータが備えるCPU素子の動作限界温度は約80℃であり、上記冷却媒体を用いることによりCPU素子からの発生熱を効率よく放熱し、安定して精度よく動作限界温度以下に温度制御することができる。
【0023】
本発明のバイオリアクターは、上記冷却ユニットを備えたものである。上記冷却媒体を用いることにより安定して精度よくバイオリアクターが備える生物培養槽を温度制御することができる。
バイオリアクターは、生化学反応を有用物質の生産、環境汚染物質の分解、分析、医療等に応用するシステムであり、攪拌型リアクター、エアリフト型リアクター、気泡塔型リアクター、充填型リアクター等がある。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本特許請求の範囲に包含される。
【0025】
(実施例)
体積割合0.78の純水、体積割合0.2のn-ヘキサン(試薬特級)、及び体積割合0.02のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=10.4)を混合し、スクリュー型攪拌器を用いて混合・安定化させて、水中油滴型のエマルジョンを得た。
【0026】
得られた水中油滴型エマルジョンは室温で長時間静置したところ上方への分散相の凝集が確認された。分散相である油滴直径は5μmであり、エマルジョンの粘性係数は293Kにおいて38mPa・s以上であった。
【0027】
次に、測定系を、電極を取付けた実験液槽、電流供給系、計測系、及び温度制御系で構成した。実験液槽は、パイレックス(登録商標)ガラス製容器(外径107mm、内径98mm)であって、上蓋に電極、標準温度計、及び凝縮器への導管が取り付けたものを用いた。容器内で発生した蒸気は凝縮器により凝縮されて、導管より滴下され還流した。凝縮器の上部に空気袋を取り付け、容器内は大気圧に保った。伝熱面にはPtワイヤーを用い、定電流回路により直接電気加熱した。
電流供給系は直流安定化電源及びパワーサプライコントローラで構成し、パーソナルコンピュータによってGP-IB制御した。電源装置にはシャント・ユニットを付加して補償するとともに、そのリードバック値を計測することによって電流値を求めた。細線温度は、抵抗値の変化から決定し、その抵抗値は細線間の電圧・電流値から求めた。計測系はデジタルマルチメータとパーソナルコンピュータとで構成し、同系列でGP-IB制御した。温度制御系はヒータ、攪拌器、温度制御装置及び変圧器で構成した。
【0028】
測定は、槽内の温度が所定の温度となったことを確認した後、電流値を変化させながら行った。まず一の電流値において、電圧を10s間隔で60s間測定し、その後、電流値を変化させて同様にして電圧を測定した。熱流束Hを102W/m2K~105W/m2Kの範囲で変化させ、雰囲気温度(Ta)を室温(293K)からn-ヘキサンの沸点直下(343K)までの範囲で適宜変化させ、伝熱面過熱度T(K)と熱流束H(W/m2K)を測定した。
【0029】
図2に、実施例の水中油滴型乳化流体を用いた場合の熱伝達率変化を示す。
図2に示すように、実施例の冷却媒体は過熱度の低い領域で熱伝達率は低い値を示し、過熱度の上昇とともに熱伝達率は急激に増加し、その後増加率は減少し、極大値を示した後に熱伝達率が減少し、さらに単調増加を示した。また、過熱度△50K付近で沸騰音の
発生を確認した。
図2に示すように、実施例の水中油滴型乳化流体では、熱伝達率変化にいくつかの変節点を有することが判った。これは、n-ヘキサンを分散相として内在させたことによる熱輸送変化及びn-ヘキサンの相変化と再凝縮、及び蒸気膜形成とその離脱などによって伝熱モードが変化したためと考えられる。
【0030】
(比較例)
体積割合0.78の純水、体積割合0.2のn-ヘキサン(試薬特級)、及び体積割合0.02のソルビタンモノオレエート(HLB=4.3)を混合し、スクリュー型攪拌器を用いて混合・安定化させて、低沸点成分(n-ヘキサン)を連続相とし、高沸点成分(水)を分散相とする油中水滴型のエマルジョンを得た。
【0031】
得られた油中水滴型エマルジョンは室温で長時間静置しても明らかな相分離は観察されなかった。分散相である水滴直径は1~10μmであり、エマルジョンの粘性係数は293Kにおいて1000mPa・s以上であった。
伝熱面にNiワイヤーを用いた以外は実施例と同様にして、伝熱特性を測定した。
【0032】
図3に、比較例のエマルジョンを用いた場合の熱伝達率変化を示す。図3に示すように、比較例のエマルジョンにおいては、図2のような伝熱モードの変化は観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る冷却ユニットを示す模式図である。
【図2】図2は実施例に係る冷却媒体の熱伝達率変化を示すグラフである。
【図3】図3は比較例に係る冷却媒体の熱伝達率変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0034】
10 冷却ユニット、11 被冷却体、12 冷却ヘッド、13 放熱器、14 冷却媒体移送ポンプ、15 攪拌装置

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2