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明細書 :プラズマ発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5004473号 (P5004473)
公開番号 特開2007-188831 (P2007-188831A)
登録日 平成24年6月1日(2012.6.1)
発行日 平成24年8月22日(2012.8.22)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 プラズマ発生装置
国際特許分類 H05H   1/24        (2006.01)
B01J  19/08        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
FI H05H 1/24
B01J 19/08 E
H01L 21/30 531S
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2006-007653 (P2006-007653)
出願日 平成18年1月16日(2006.1.16)
審査請求日 平成21年1月5日(2009.1.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】高杉 恵一
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100086335、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 榮一
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
審査官 【審査官】藤本 加代子
参考文献・文献 特開2001-311799(JP,A)
特開昭62-119844(JP,A)
特開昭61-218056(JP,A)
特開昭61-250948(JP,A)
特開2003-288998(JP,A)
特開2005-276618(JP,A)
特開2002-43220(JP,A)
特開2004-226244(JP,A)
調査した分野 H05H 1/24
H05H 1/06
B01J 19/08
H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
円筒体からなり、該円筒体の長手先端方向に所定のガスを通過させるガス通過路と、上記ガス通過路を通過した上記所定のガスを該長手先端方向に対して垂直又は斜め方向へ均等に誘導して噴出させるガス噴出孔部とを設けた第1の電極部と、
上記ガス噴射孔部のガス噴出面を覆う形状からなる第2の電極部と、
上記第1の電極部と上記第2の電極部とを内設したプラズマ発生室と、
上記プラズマ発生室の残留ガスを排気する真空排気手段と、
上記所定のガスを超音速まで加速させて上記第1の電極部の上記ガス通過路へパルス的に噴出させるガス供給手段と、
上記第1の電極部と上記第2の電極部との間に電圧を印加する電源部とを備え、
上記第1の電極部のガス噴出孔部と該ガス噴射孔部のガス噴出面を覆う上記第2の電極部とは、上記ガス噴出孔部から噴出された第1の電極部と第2の電極との間の上記所定のガスに電圧を印加して中空円錐形状のプラズマを発生させ、発生させた中空円錐形状のプラズマ状態の上記所定のガスが、該ガス噴出孔部の長手先端方向に移動して該ガス噴出孔部の先端部分まで到達するように誘導して、該プラズマ状態の中空円錐形状の所定のガスを該第1の電極部の中心軸へ向かう径方向へ収縮させることを特徴とするプラズマ発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内部電極と外部電極との間に印加される電圧によって、所定のガスを放電させてプラズマを発生させるプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを発生させるプラズマ発生装置の一つに、高温高密度のプラズマを生成するプラズマフォーカス装置がある。プラズマフォーカス装置は、軸対称の同心円筒電極間において、低圧ガスを放電させる単純な構造からなり、他のプラズマ発生装置に比べて小エネルギで、一点に収束した高温高密度のプラズマを発生することができる。
【0003】
また、高温高密度のプラズマは、紫外線からX線にわたる幅広い波長領域の光を放出する。特許文献1に示すX線露光装置は、このような現象を利用して、プラズマフォーカス装置をX線の光源として用いている。
【0004】
ここで、従来のプラズマフォーカス装置のプラズマの発生過程について説明する。
【0005】
従来のプラズマフォーカス装置100は、図8に示すように、円筒状の内部電極部101と、内部電極部101の周囲を覆う同心円筒状の外部電極部102と、内部電極部101と外部電極部102とを所定の絶縁物を介して接合する絶縁部103とからなる。また、プラズマフォーカス装置100には、気密構造のプラズマ発生室内部に、低圧のガスが充填されている。プラズマフォーカス装置100は、電源部105によって内部電極部101と外部電極部102との間に高電圧が印加されることによってプラズマを発生させる。
【0006】
従来のプラズマフォーカス装置100は、プラズマ発生時において、まず、電極間を絶縁させる絶縁部103の表面上の沿面放電によってプラズマ104aを発生させる。絶縁部103の表面上に発生したプラズマ104aは、プラズマ104aが内部電極部101と外部電極部102との間を流れる電流と、この電流によって生じる自己磁場との相互作用により、電極先端方向に向かって移動する。プラズマ104aが内部電極先端角101aまで移動した後、プラズマ104aは、内部電極101の中心軸へ向かう径方向へ収縮する。この収縮作用によって、プラズマフォーカス装置100は、内部電極部101の長手先端方向の延長上に高温高密度状態のプラズマ104bを形成する。この高温高密度状態のプラズマ104bは、放電させるガスの種類等に応じて、紫外線からX線にわたる幅広い波長領域の光を放出する。
【0007】
また、プラズマフォーカス装置100によって放出された光は、X線露光装置等の光源として使用される。つまり、プラズマフォーカス装置100により放出された光は、例えば図9に示すように、多層膜からなる楕円ミラー106で集光されて、平面ミラー107と放物面ミラー108を介して所定方向へ出射される。
【0008】

【特許文献1】特開2001-326096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のプラズマフォーカス装置において、電極間を絶縁する絶縁部は、プラズマの発生によって、当該絶縁部の表面に生じる沿面放電により劣化する。また、従来のプラズマフォーカス装置は、繰り返しプラズマを発生させると当該絶縁部の絶縁耐圧が低下し、二次放電により高温高密度のプラズマが形成できなくなるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、絶縁物の劣化や二次的な放電を低減し、一点に収束した高温高密度状態のプラズマを効率よく形成することができるプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明に係るプラズマ発生装置は、円筒体からなり、該円筒体の長手先端方向に所定のガスを通過させるガス通過路と、上記ガス通過路を通過した上記所定のガスを該長手先端方向に対して垂直又は斜め方向へ均等に誘導して噴出させるガス噴出孔部とを設けた第1の電極部と、上記ガス噴射孔部のガス噴出面を覆う形状からなる第2の電極部と、上記第1の電極部と上記第2の電極部とを内設したプラズマ発生室と、上記プラズマ発生室の残留ガスを排気する真空排気手段と、上記所定のガスを上記第1の電極部の上記ガス通過路へパルス的に噴出させるガス供給手段と、上記第1の電極部と上記第2の電極部との間に電圧を印加する電源部とを備え、上記第1の電極部のガス噴出孔部と該ガス噴射孔部のガス噴出面を覆う上記第2の電極部とは、上記ガス噴出孔部から噴出された第1の電極部と第2の電極との間の上記所定のガスに電圧を印加して中空円錐形状のプラズマ発生させ、発生させた中空円錐形状のプラズマ状態の上記所定のガスが、該ガス噴出孔部の長手先端方向に移動し該ガス噴出孔部の先端部分まで到達するように誘導して、該プラズマ状態の中空円錐形状の所定のガスを該第1の電極部の中心軸へ向かう径方向へ収縮させる
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプラズマ発生装置は、超音速まで加速させたパルス状の所定のガスを第1の電極部の開口部から第2の電極部へ向けて、円筒体からなる第1の電極部の長手先端方向に対して垂直又は斜め方向へ誘導させながら均等に噴出させ、電極間に高電圧を印加させて放電させ、中空円錐形状のプラズマを発生させて、発生させた中空円錐形状のプラズマ状態の所定のガスが、第1の電極部の長手先端方向に移動し第1の電極部の先端部分まで到達するように誘導して第1の電極部の中心軸へ向かう径方向へ収縮させる
このことにより、本発明に係るプラズマ発生装置は、所定のガスをパルス状に噴出させることで絶縁物表面で放電を開始しないようにして絶縁物の劣化及び二次放電を抑止しつつ、円筒体からなる第1の電極部の長手先端方向に移動する中空円錐形状のプラズマを発生させ、第1の電極部の中心軸へ向かう径方向へ収縮させることによって、第1の電極部の長手先端方向の端部近傍に効率よく高温高密度のプラズマを形成することができる。また、プラズマ発生装置は、ガスの供給量を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施例>
プラズマフォーカス装置1は、図1の断面図に示すように、装置内部で所定の動作ガス2を放電させることによりプラズマを発生させる円筒形状のプラズマ発生装置である。ここで、動作ガス2は、内部電極部10と外部電極部11との間に印加される電圧によって放電を起こしてプラズマを発生させるガスであり、例えば、アルゴンガス、キセノンガスなどである。
【0015】
また、プラズマフォーカス装置1は、図1に示すように、円筒体の内部電極部10と、内部電極部10を内設する円筒体の外部電極部11と、内部電極部10と外部電極部11との間を絶縁する絶縁部12とからなる。また、プラズマフォーカス装置1には、内部電極部10と外部電極部11とを内設する密閉されたプラズマ発生空間部13が形成される。さらに、プラズマフォーカス装置1は、内部電極部10と外部電極部11とに高電圧を印加させる電源部14と、動作ガス2が充填されているガス充填部からガス供給管へ動作ガス2を供給させるガス供給弁15と、ガス供給管から内部電極部10へ動作ガス2を噴出させるガス噴出弁16と、内部電極部10と外部電極部11との間を流れる電流を計測する電流計測コイル17と、プラズマ発生空間部13内のガスを排気するガス排気部18とから構成される円筒形状の装置である。
【0016】
内部電極部10内には、長手先端方向に動作ガス2を誘導するガス通過路10aが形成されている。また、内部電極部10には、ガス通過路10aの管路先端部10bに対向した位置にガス噴出孔部10cが形成されている。
【0017】
ガス供給弁15は、開閉動作によりガス充填部からガス供給管へ動作ガス2を供給する。また、ガス供給管は、その両端がそれぞれガス供給弁15とガス噴出弁16とに接続されている。
【0018】
ガス噴出弁16は、ガス供給管に充填されている高圧状態の動作ガス2をガス通過路10aへ供給する。具体的に、ガス供給弁15及びガス噴出弁16は、その内部に設けられたコイルに電流を流すことにより、電磁石の磁力で開閉する構造になっている電磁弁が一般的に用いられている。
【0019】
ガス通過路10aには、ガス噴出弁16の開口によって動作ガス2が供給される。また、ガス通過路10aは、供給された動作ガス2を管路先端部10bへ誘導する。また、ガス噴出孔部10cは、断面が軸対称の凸形状であって、その凸部が管路先端部10bに対向した位置に形成されている。また、ガス噴出孔部10cは、管路先端部10bに誘導された動作ガス2を、ガス通過路10aのガス通過方向に対して垂直な方向へ均等に誘導してプラズマ発生空間部13内へ均等に噴出させる。
【0020】
外部電極部11には、ガス噴出孔部10cのガス噴出面の周囲を覆う円筒状の外部電極先端部11aが形成されている。よって、動作ガス2は、外部電極先端部11aの壁面に対して垂直な方向に、内部電極部10のガス噴出孔部10c付近から噴出される。
【0021】
なお、外部電極先端部11aは、円筒形状、又は棒を円環状に配置したものとなっており、ガス噴射孔部10cのガス噴出面を覆うような形状であれば、いかなるものを用いるようにしてもよい。
【0022】
したがって、動作ガス2は、まず、ガス噴出弁16により高速な開閉動作が行われることによって、パルス的にガス通過路10aへ供給される。その後、動作ガス2は、ガス通過路10aを通過して、管路先端部10bとガス噴出孔部10cと間に形成されている隙間から、ガス通過路10aのガス通過方向に対して垂直な方向に噴出される。
【0023】
なお、内部電極部と外部電極部との電極間に、動作ガス2を局在化させて噴出させる形状を有した電極部であれば、上述した内部電極部10を構成する形状に限られない。
【0024】
また、動作ガス2を内部電極部10と外部電極部11と間に、動作ガス2を局在化させて噴出させるための具体的な条件の一例を示す。例えば、ガス供給管には、4~5気圧の動作ガス2が充填されており、パルス時間間隔が1ms以下の高速な弁の開閉動作を行う。さらに、ガス噴出弁16から噴出された動作ガス2は、ガス噴出弁16とガス通過路10aとの間に設けられたラバルノズルを通過することによって超音速まで加速する。そして、超音速まで加速した動作ガス2は、ガス通過路10aを通過して、管路先端部10bとガス噴出孔部10cとの間に形成されている隙間からプラズマ発生空間部13へ噴出される。
【0025】
電流計測コイル17は、内部電極部10と外部電極部11との間を流れる電流を計測するコイルである。
【0026】
ガス排気部18は、プラズマ発生空間部13に形成された開口部13aに接続された排気管を通じて、プラズマ発生空間部13内部の気体を吸引することにより、プラズマ発生空間部13内を略真空状態に保つ。
【0027】
次に、プラズマフォーカス装置1を用いて、高温高密度のプラズマを発生させる工程について説明する。
【0028】
まず、プラズマフォーカス装置1は、ガス排気部18を用いて、プラズマ発生空間部13内を略真空状態にさせる。
【0029】
動作ガス2は、ガス供給弁15からガス噴出弁16を介して、ガス通過路10aへ供給される。その後、動作ガス2は、図2に示すように、ガス通過路10aから管路先端部10bへ流れ、ガス噴出孔部10cによって、外部電極電極部11aに対して垂直方向へ均等に誘導され、超音速でパルス的に噴出される。
【0030】
動作ガス2は、ガス噴出孔部10cから噴出された後、ガス噴出孔部10c周辺の内部電極部10と外部電極電極部11aとの間に印加された電圧によって、円環状のプラズマ21が発生して内部電極部の軸方向に移動する。ここで、ガス噴出孔部10cから噴出される動作ガス2の噴出速度は、当該動作ガス2を電極間に局在化させるために、超音速でなければならない。よって、プラズマフォーカス装置1において、動作ガス2は、ラバルノズルを通過することにより超音速に加速される。
【0031】
ガス噴出孔部10cと外部電極部11aとの間に形成された円環状のプラズマ21には、当該プラズマ中を流れる電流と、その電流が作る磁場とにより、ガス噴出孔部10cの長手軸先端方向に電流が磁場から受ける力22が作用する。つまり、プラズマ21は、図3に示すように、電流が磁場から受ける力22により内部電極部10の先端方向に向かって加速して移動する。
【0032】
プラズマ21は、図4に示すように、内部電極部10の先端部分まで到達すると、ガス噴出孔部10cの中心軸へ向かう径方向へ収縮する。そして、プラズマ21の収縮運動により、ガス噴出孔部10cの長手先端方向に、高温高密度状態のプラズマ23が形成される。
【0033】
さらに、動作ガス2は、高温高密度状態のプラズマ23が形成された後に、ガス排気部18により排気される。このようにして、プラズマ発生空間部13内は略真空状態に保たれる。
【0034】
ところで、従来のプラズマフォーカス装置は、当該装置内に動作ガスが充填されている。このため、絶縁部表面では、内部電極部と外部電極部との間に電圧が印加されると、沿面放電が起こる。したがって、従来のプラズマフォーカス装置の絶縁部は、繰り返し沿面放電が起こり劣化してしまう。
【0035】
また、従来のプラズマフォーカス装置は、プラズマが電極先端方向へ移動する際にインダクタンスが増加して誘導起電力による高電圧が発生し、絶縁部に二次的な沿面放電が起こる。よって、従来のプラズマフォーカス装置は、この絶縁部の沿面放電により電源回路が短絡して内部電極と外部電極との電極間に供給される電力が低下するため、高温高密度のプラズマを効率よく形成することができなかった。
【0036】
このような従来のプラズマ発生装置に対して、本実施形態に係るプラズマフォーカス装置1は、高圧状態の動作ガス2をパルス的に噴出させて動作ガス2を電極間に局在化させるので、絶縁部12において沿面放電を十分に抑制することができる。したがって、プラズマフォーカス装置1は、絶縁部12の劣化を生じさせることなく、一点に収束した高温高密度のプラズマ23を繰り返し形成することができる。また、プラズマフォーカス装置1は、プラズマ発生空間部13内で、動作ガス2を局在化させて放電させるため、上述した二次的な放電を低減することができる。
【0037】
<第2の実施例>
第2の実施例のプラズマフォーカス装置3は、図5に示すように、第1の実施例のプラズマフォーカス装置1に対して内部電極部30と外部電極部31との形状が異なり、それ以外の構成が第1の実施例のプラズマフォーカス装置1と同様である。
【0038】
内部電極部30内部には、長手先端方向に動作ガス2を誘導するガス通過路30aが形成されている。また、内部電極部10には、ガス通過路30aの長手方向の管路先端部30bに対向して、ガス噴出孔部30cが形成されている。ガス噴出孔部30cは、断面が軸対称の略円錐形体であって、その突起部分が管路先端部30bに対向して形成されている。
【0039】
外部電極部31には、内部電極部30の長手先端方向の延長上に円環形状の外部電極電極板31aが形成されている。また、外部電極電極板31aは、当該円環形状の中空部分の内径が内部電極部30の外径よりも大きい。
【0040】
また、動作ガス4は、ガス供給弁35からガス噴出弁36を介して、ガス通過路30aへ供給される。
【0041】
ガス通過路30aは、ガス噴出弁36の開閉動作によって高圧状態でパルス状の動作ガス4が供給される。ガス噴出孔部30cは、ガス通過路30aを通過して管路先端部30bに誘導された動作ガス2を、ガス通過路10aのガス通過方向に対する鋭角方向に誘導して、プラズマ発生空間部33内へ均等に噴出させる。
【0042】
次に、プラズマフォーカス装置3を用いて、高温高密度状態のプラズマを形成させる形成工程について説明する。
【0043】
まず、プラズマフォーカス装置3は、ガス排気部38を用いて、プラズマ発生空間部33内の圧力を低下させ略真空状態にさせる。
【0044】
動作ガス4は、ガス供給弁35からガス噴出弁36を介して、ガス通過路30aへ供給される。その後、動作ガス4は、図6に示すように、ガス通過路30aから管路先端部30bへ流れる。さらに、動作ガス4は、ガス噴出孔部30cによって、ガス通過路10aのガス通過方向に対して鋭角方向へ均等に誘導され噴出される。
【0045】
その後、ガス噴出孔部30cと外部電極電極板31aとの間に印加された電圧によって、円環状のプラズマが形成される。そして、当該プラズマは、プラズマ発生室33の空間を電極の長手先端方向へ移動する。ここで、プラズマは、当該プラズマに流れる電流によって生じる電流が磁場から受ける力により、ガス噴出孔部30cの中心軸に向かう径方向へ収縮する。この収縮動作により、図6に示すように、電極間に形成されたプラズマ40の一部において、高温高密度状態のプラズマ41が、ガス噴出孔部30cの先端中心でその長手方向の延長上の一点に形成される。
【0046】
ところで、第1の実施例のプラズマフォーカス装置1は、発生させたプラズマの大部分をプラズマ発生空間部13内で膨張させてしまう。したがって、第1の実施例のプラズマフォーカス装置1によって発生されたプラズマは、一部分が収縮作用により高温高密度となる。
【0047】
これに対して、第2の実施例のプラズマフォーカス装置3が発生するプラズマは、第1の実施例のプラズマフォーカス装置1が発生するプラズマに比べて、内部電極部の軸方向への移動が少なく、その大部分が径方向への収縮する。したがって、第2の実施例のプラズマフォーカス装置3は、第1の実施例のプラズマフォーカス装置1に比べて、高温高密度のプラズマを効率よく生成することができる。
【0048】
また、プラズマをより効率よく収縮させる比較例として、ガス噴出孔部30cの形状を変更して、動作ガス4のガス噴出角度を、図7に示すように、内部電極部30の長手方向に対して平行にすることが考えられる。このような比較例に係るプラズマ発生装置は、プラズマフォーカス型ではなくZピンチ型と呼ばれている。ここで、Zピンチ型プラズマ発生装置から形成される高温高密度状態のプラズマ41は、内部電極部の長手先端方向の延長上に点在するため、一点に収束形成されない。
【0049】
このような比較例に対して、第2の実施例のプラズマフォーカス装置3は、一点に収束された高温高密度のプラズマを効率よく形成することができる。
【0050】
ところで、上述したように、プラズマフォーカス装置は、生成した高温高密度状態のプラズマから光が放出されるため、様々な波長領域の光源として用いられる。
【0051】
例えば、半導体リソグラフィのため、プラズマフォーカス装置を波長13.5nmのEUV光源としては、動作ガスにキセノンを使用する方法、又は、内部電極部や外部電極部にスズやリチウムを用いて動作ガスに水素を使用する方法がある。
【0052】
また、プラズマフォーカス装置を軟X線光源として用いる場合には、例えば、動作ガスにアルゴンガスを用いることで4.4nmの波長領域の光が得られる。また、メタンなど炭素を含むガスによる放電で波長2.5nmの波長領域の光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の各構成を示した断面図である。
【図2】プラズマの発生過程を示した、第1の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の断面図である。
【図3】プラズマの発生過程を示した、第1の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の断面図である。
【図4】プラズマの発生過程を示した、第1の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の断面図である。
【図5】第2の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の各構成を示した断面図である。
【図6】プラズマの発生過程を示した、第2の実施形態におけるプラズマフォーカス装置の断面図である。
【図7】プラズマの発生過程を示した、比較例に係るZピンチ型プラズマ発生装置の断面図である。
【図8】従来のプラズマフォーカス装置における、プラズマの発生過程を示した断面図である。
【図9】プラズマフォーカス装置を光源として利用した模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1、3 プラズマフォーカス装置、2、4 動作ガス、10、30 内部電極部、11、31 外部電極部、12、32 絶縁部、13、33 プラズマ発生空間部、14、34 電源部、15、35 ガス供給弁、16、36 ガス噴出弁、17、37 電流計測コイル、18、38 ガス排気部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8