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明細書 :レーザ加工装置及び金属接合材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4296280号 (P4296280)
公開番号 特開2008-049365 (P2008-049365A)
登録日 平成21年4月24日(2009.4.24)
発行日 平成21年7月15日(2009.7.15)
公開日 平成20年3月6日(2008.3.6)
発明の名称または考案の名称 レーザ加工装置及び金属接合材の製造方法
国際特許分類 B23K  26/20        (2006.01)
B23K  26/32        (2006.01)
B23K  26/02        (2006.01)
B23K  26/42        (2006.01)
FI B23K 26/20 310J
B23K 26/32
B23K 26/02 A
B23K 26/42
請求項の数または発明の数 23
全頁数 25
出願番号 特願2006-227238 (P2006-227238)
出願日 平成18年8月24日(2006.8.24)
審査請求日 平成19年2月2日(2007.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】西本 浩司
【氏名】藤井 洋郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100104949、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康司
【識別番号】100074354、【弁理士】、【氏名又は名称】豊栖 康弘
審査官 【審査官】青木 正博
参考文献・文献 特開2002-336983(JP,A)
特開平10-058150(JP,A)
特開平09-174153(JP,A)
特開平09-182970(JP,A)
特開平09-174149(JP,A)
特開平01-295825(JP,A)
特開昭62-282793(JP,A)
調査した分野 B23K 26/00-26/42
B23K 9/00- 9/38
E02D 29/00-37/00
B21C 37/00-43/04
特許請求の範囲 【請求項1】
一方向に延長された棒状の金属棒(1)の外周面に、金属棒(1)を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔(3)を被覆させるためのレーザ加工装置であって、
前記金属棒(1)の外周面と、前記金属箔(3)の一方の面との界面で、該金属棒(1)の外周面と該金属箔(3)の一方の面とが接するよう金属箔(3)を金属棒(1)に向かって供給し、且つ前記金属箔(3)が前記金属棒(1)の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔(3)の位置決めをするための供給ユニット(5)と、
前記金属棒(1)の外周面と、前記金属箔(3)の一方の面との界面にレーザ光を照射する加熱ユニット(2)と
を有しており、
前記加熱ユニット(2)は、
前記金属箔(3)の幅方向側面の内、前記金属棒(1)への巻き付け方向において先行する第1サイド(3a)と、該第1サイド(3a)に接する前記金属棒(1)の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射する異種金属加工用レーザ(2a)と、
前記金属箔(3)の第1サイド(3a)と対向する他方側面である第2サイド(3b)と、該第2サイド(3b)より一周先行して金属棒(1)の外周に既に被覆されている第1サイド(3a')と、の同種金属の界面にレーザ光を照射する同種金属加工用レーザ(2b)と、
を有しており、
さらにレーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、前記供給ユニット(5)が両方の界面を各々押圧するよう構成してなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置であって、
前記異種金属加工用レーザ(2a)が、異種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら該金属棒(1)と該金属箔(3)の両方にレーザ光を照射し、
前記同種金属加工用レーザ(2b)が、同種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら該金属箔(3)同士にレーザ光を照射するよう構成してなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工装置であって、
前記異種金属加工用レーザ(2a)が異種金属にレーザ光を照射する際、該金属棒(1)と該金属箔(3)のいずれか一方への照射時間を長くし、
前記同種金属加工用レーザ(2b)が同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔(3)への照射時間を長くするよう構成してなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記異種金属加工用レーザ(2a)が異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射面積を大きくするよう構成してなり、
前記同種金属加工用レーザ(2b)が同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔(3)への照射面積を大きくするよう構成してなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記異種金属加工用レーザ(2a)が前記異種金属の界面にレーザ光を走査する照射面積を、前記同種金属加工用レーザ(2b)が前記同種金属にレーザ光を走査する照射面積よりも広くしてなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
一方向に延長された棒状の金属棒(1)の外周面に、金属棒(1)を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔(3)を被覆させるためのレーザ加工装置であって、
前記金属棒(1)の外周面と、前記金属箔(3)の一方の面との界面で、該金属棒(1)の外周面と該金属箔(3)の一方の面とが接するよう金属箔(3)を金属棒(1)に向かって供給し、且つ前記金属箔(3)が前記金属棒(1)の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔(3)の位置決めをするための供給ユニット(5)と、
前記金属棒(1)の外周面と、前記金属箔(3)の一方の面との界面にレーザ光を照射する加熱ユニット(2)と
を有しており、
前記加熱ユニット(2)は、
前記金属箔(3)の幅方向側面の内、前記金属棒(1)への巻き付け方向において先行する第1サイド(3a)と、該第1サイド(3a)に接する前記金属棒(1)の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射する異種金属加工用レーザ(2a)と、
前記金属箔(3)の第1サイド(3a)と対向する他方側面である第2サイド(3b)と、該第2サイド(3b)より一周先行して金属棒(1)の外周に既に被覆されている第1サイド(3a')と、からなる重なり合った2層の同種金属において、上層の第2サイド(3b)の外面側にレーザ光を照射する同種金属加工用レーザ(2b)と、
を有しており、
さらにレーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、前記供給ユニット(5)が両方の界面を各々押圧するよう構成してなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記供給ユニット(5)が、
前記金属棒(1)の外周面と、前記金属箔(3)の一方の面との界面で、該金属棒(1)の外周面と該金属箔(3)の一方の面とが接するよう金属箔(3)を金属棒(1)に向かって供給し、且つ前記金属箔(3)が前記金属棒(1)の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔(3)の位置決めをするためのガイドロール(5a)と、
レーザ光で加熱された界面の該金属棒(1)の外周面と、該金属箔(3)の一方の面とが接合するよう、界面を押圧する加圧ロール(5b)と、
を有することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、さらに、
前記同種金属の界面及び異種金属の界面の、各々の加熱度合いを感知する検出ユニット(7)と、
前記検出ユニット(7)で検出された加熱度合いに応じて前記供給ユニット(5)の押圧量を調節する制御ユニット(8)と、
を有することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記加熱ユニット(2)が、前記異種金属加工用レーザ(2a)を複数備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記加熱ユニット(2)の異種金属加工用レーザ(2a)及び同種金属加工用レーザ(2b)が各々、一のレーザ光源から分岐された複数のレーザ光で構成されてなることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一に記載のレーザ加工装置であって、
前記金属棒(1)が円筒状の金属管であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項12】
一方向に延長された棒状の金属棒(1)の外周面に、金属棒(1)を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔(3)を被覆させる金属接合材の製造方法であって、
前記金属棒(1)の外周面に、前記金属箔(3)の一方の面が接するよう金属箔(3)を金属棒(1)に向かって供給し、且つ前記金属箔(3)が前記金属棒(1)の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付ける第1ステップと、
前記金属箔(3)の幅方向側面の内、前記金属棒(1)への巻き付け方向において先行する第1サイド(3a)と、該第1サイド(3a)に接する前記金属棒(1)の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射し、
ほぼ同時に、前記金属箔(3)の第1サイド(3a)と対向する他方側面である第2サイド(3b)と、該第2サイド(3b)より一周先行して金属棒(1)の外周に既に被覆されている第1サイド(3a')と、の同種金属の界面にレーザ光を照射し、
ほぼ同時に、レーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、両方の界面を各々押圧する第2ステップと、
を含むことを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
異種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら該金属棒(1)と該金属箔(3)の両方にレーザ光を照射し、
同種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら該金属箔(3)同士にレーザ光を照射することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項14】
一方向に延長された棒状の金属棒(1)の外周面に、金属棒(1)を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔(3)を被覆させる金属接合材の製造方法であって、
前記金属棒(1)の外周面に、前記金属箔(3)の一方の面が接するよう金属箔(3)を金属棒(1)に向かって供給し、且つ前記金属箔(3)が前記金属棒(1)の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付ける第1ステップと、
前記金属箔(3)の幅方向側面の内、前記金属棒(1)への巻き付け方向において先行する第1サイド(3a)と、該第1サイド(3a)に接する前記金属棒(1)の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射し、
ほぼ同時に、前記金属箔(3)の第1サイド(3a)と対向する他方側面である第2サイド(3b)と、該第2サイド(3b)より一周先行して金属棒(1)の外周に既に被覆されている第1サイド(3a')と、からなる重なり合った2層の同種金属において、上層の第2サイド(3b)の外面側にレーザ光を照射し、
ほぼ同時に、レーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、両方の界面を各々押圧する第2ステップと、
を含むことを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射時間を長くし、
同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔(3)への照射時間を長くすることを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射面積を大きくし、
同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔(3)への照射面積を大きくすることを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
前記異種金属の界面にレーザ光を走査する照射面積を、前記同種金属の界面或いは外面側にレーザ光を走査する照射面積よりも広くしてなることを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
第1のレーザ光にて、前記異種金属の界面にレーザ光を照射し、
第2のレーザ光にて、前記同種金属の界面或いは外面側にレーザ光を照射することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項19】
請求項12~17のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
一のレーザ光を走査させて、前記異種金属の界面及び同種金属の界面に各々レーザ光を照射することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項20】
請求項12~19のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
前記同種金属の界面及び異種金属の界面の、各々の加熱度合いを検出し、検出された加熱度合いに応じて押圧量を調節することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項21】
請求項12~18及び20のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
前記異種金属の界面及び同種金属の界面に各々レーザ光を照射する際、一のレーザ源を光分岐して、分岐されたレーザ光を照射することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記第2ステップにおいて、
前記異種金属の界面にレーザ光を照射する際、界面内で複数のレーザ光を略等間隔にて照射することを特徴とする金属接合材の製造方法。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか一に記載の金属接合材の製造方法であって、
前記金属棒(1)が円筒状の金属管であることを特徴とする金属接合材の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接法により異種及び同種の金属を接合するレーザ加工装置及び金属接合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、多くの工業製品には必要とされる機械的性能及び使用環境に応じて、高性能化、高付加価値化や軽量化への要求が高くなってきており、低コスト化や高リサイクル性も同時に求められるようになってきた。例えば海洋構造物の基礎として海中に設立される鋼管杭は、海水に洗われる飛沫帯の腐食が大きく進行する。この腐食を防止するために、杭本体を、耐食性に優れるチタンの金属箔で被覆し溶接したものが開発されている(特許文献1参照)。この鋼管杭の製造方法は、まず、芯材に帯状の鋼箔をスパイラル状に巻き付け、鋼箔の帯幅の重なり部分を溶接し、鋼製の杭本体を形成する。同時に、この鋼製の杭本体の外面に、帯状のチタンの金属箔をスパイラル状に巻き付け、チタン箔の帯幅の重なり部分を溶接して鋼管杭と成す。つまり同種の金属を溶接した技術である。
【0003】
一方、鉄の表面にアルミニウムを被覆、溶接した接合材等異種金属を接合する研究も進められている。しかしながら鉄とアルミニウムのように金属間化合物を生成するような異種金属の組み合わせにおいては、従来の溶融溶接法では両金属を大きく溶融融合してしまうため、金属間化合物が厚く生成されてしまう。一般に金属間化合物は脆く十分な継手強度を得ることができないうえ、高温割れが発生しやすく成形加工が困難である。脆弱な金属間化合物が広範囲に形成されると、せん断強度及び剥離強度の強い接合部を得ることができない。さらに、鉄とアルミニウムのように融点や熱伝導度等、物性が大きく異なる場合、従来の溶融溶接方では、融点が低い側、つまりアルミニウム側が溶け落ちてしまう。
【0004】
このため、圧接接合、抵抗溶接、重ね溶接等の種々の接合法が検討されている。圧接接合では、接合材の余熱が必要である。余熱温度が低い場合、圧下率を大きくする必要があり、表面の割れが生じやすくなる。また、接合面の清浄化が大変重要である。例えば、アルミニウムのように表面に強固な酸化膜を有するような場合、機械的前処理やフラックスの塗布が必要になる。またフラックスを塗布した場合、後処理としてフラックスを除去しなければいけない欠点がある。さらに、抵抗溶接等の加熱方式では、出力を止めても蓄熱されるため金属の冷却速度が遅くなり、結晶組織を変質してしまう虞があった。また重ね溶接においては、金属間化合物の問題に加え、両金属の融点や熱伝導度等物性が大きく異なる場合、融点が低い側の金属が溶け落ちてしまうことがあった。
【0005】
上記のような問題を鑑みて、異種金属の接合方法としてレーザを使用することが注目されている。レーザ溶接法は、各種接合法の中でロボット化、自動化、システム化、ライン化及び省力化等が可能な高品質・高精度・低変形・高柔軟性・高速・高生産性の接合法である。このようなレーザを使用した異種金属の接合方法が開発されている(特許文献2参照)。この異種金属の接合方法は、融点の異なる2種の金属の接合面にYAGレーザ等のビームを照射して異種金属を溶接する方法である。接合面を挟んで両金属間にビームをウィービングし、両金属を低融点金属の融点より低い温度までに加熱した後、前記ビームを高融点金属側が溶融するまで加熱することで、両者の金属を溶融させ異種金属を接合させている。
【0006】
しかしながら、アルミニウム合金や銅合金等を使用した場合、レーザ反射率が高く、従ってレーザ照射入熱が十分に活用されていないという欠点があった。

【特許文献1】特開平9-174153号公報
【特許文献2】特開2002-336983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のこのような問題点を解消するためになされたものである。本発明の目的は、レーザ照射入熱を十分に活用し、金属棒の外周面に、その物性差が大きい異材の金属箔を被覆させ、せん断強度及び剥離強度の高い接合部を備える金属接合材を効率よく製造可能なレーザ加工装置及び金属接合材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1のレーザ加工装置は、一方向に延長された棒状の金属棒1の外周面に、金属棒1を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔3を被覆させるためのレーザ加工装置であって、金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面との界面で、金属棒1の外周面と金属箔3の一方の面とが接するよう金属箔3を金属棒1に向かって供給し、且つ金属箔3が金属棒1の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔3の位置決めをするための供給ユニット5と、金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面との界面にレーザ光を照射する加熱ユニット2とを有しており、加熱ユニット2は、金属箔3の幅方向側面の内、金属棒1への巻き付け方向において先行する第1サイド3aと、第1サイド3aに接する金属棒1の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射する異種金属加工用レーザ2aと、金属箔3の第1サイド3aと対向する他方側面である第2サイド3bと、第2サイド3bより一周先行して金属棒1の外周に既に被覆されている第1サイド3a’と、の同種金属の界面にレーザ光を照射する同種金属加工用レーザ2bと、を有しており、さらにレーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、供給ユニット5が両方の界面を各々押圧するよう構成してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2のレーザ加工装置は、異種金属加工用レーザ2aが、異種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら金属棒1と金属箔3の両方にレーザ光を照射し、同種金属加工用レーザ2bが、同種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら金属箔3同士にレーザ光を照射するよう構成してなることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明の第3のレーザ加工装置は、異種金属加工用レーザ2aが異種金属にレーザ光を照射する際、金属棒1と金属箔3のいずれか一方への照射時間を長くし、同種金属加工用レーザ2bが同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔3への照射時間を長くするよう構成してなることを特徴とする。
【0011】
さらにまた、本発明の第4のレーザ加工装置は、前記異種金属加工用レーザ2aが異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射面積を大きくするよう構成してなり、前記同種金属加工用レーザ2bが同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔3への照射面積を大きくするよう構成してなることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明の第5のレーザ加工装置は、異種金属加工用レーザ2aが異種金属の界面にレーザ光を走査する照射面積を、同種金属加工用レーザ2bが同種金属にレーザ光を走査する照射面積よりも広くしてなることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明の第6のレーザ加工装置は、一方向に延長された棒状の金属棒1の外周面に、金属棒1を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔3を被覆させるためのレーザ加工装置であって、金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面との界面で、金属棒1の外周面と金属箔3の一方の面とが接するよう金属箔3を金属棒1に向かって供給し、且つ金属箔3が金属棒1の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔3の位置決めをするための供給ユニット5と、金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面との界面にレーザ光を照射する加熱ユニット2とを有しており、加熱ユニット2は、金属箔3の幅方向側面の内、金属棒1への巻き付け方向において先行する第1サイド3aと、第1サイド3aに接する金属棒1の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射する異種金属加工用レーザ2aと、金属箔3の第1サイド3aと対向する他方側面である第2サイド3bと、第2サイド3bより一周先行して金属棒1の外周に既に被覆されている第1サイド3a’と、からなる重なり合った2層の同種金属において、上層の第2サイド3bの外面側にレーザ光を照射する同種金属加工用レーザ2bと、を有しており、さらにレーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、供給ユニット5が両方の界面を各々押圧するよう構成してなることを特徴とする。
【0014】
さらにまた、本発明の第7のレーザ加工装置は、供給ユニット5が、金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面との界面で、金属棒1の外周面と金属箔3の一方の面とが接するよう金属箔3を金属棒1に向かって供給し、且つ金属箔3が金属棒1の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付けるように金属箔3の位置決めをするためのガイドロール5aと、レーザ光で加熱された界面の金属棒1の外周面と、金属箔3の一方の面とが接合するよう、界面を押圧する加圧ロール5bと、を有することを特徴とする。
【0015】
さらにまた、本発明の第8のレーザ加工装置は、同種金属の界面及び異種金属の界面の、各々の加熱度合いを感知する検出ユニット7と、検出ユニット7で検出された加熱度合いに応じて供給ユニット5の押圧量を調節する制御ユニット8と、を有することを特徴とする。
【0016】
さらにまた、本発明の第9のレーザ加工装置は、加熱ユニット2が、異種金属加工用レーザ2aを複数備えることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、本発明の第10のレーザ加工装置は、加熱ユニット2の異種金属加工用レーザ2a及び同種金属加工用レーザ2bが各々、一のレーザ光源から分岐された複数のレーザ光で構成されてなることを特徴とする。
【0018】
さらにまた、本発明の第11のレーザ加工装置は、金属棒1が円筒状の金属管であることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、本発明の第12の金属接合材の製造方法は、一方向に延長された棒状の金属棒1の外周面に、金属棒1を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔3を被覆させる金属接合材の製造方法であって、金属棒1の外周面に、金属箔3の一方の面が接するよう金属箔3を金属棒1に向かって供給し、且つ金属箔3が金属棒1の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付ける第1ステップと、金属箔3の幅方向側面の内、金属棒1への巻き付け方向において先行する第1サイド3aと、第1サイド3aに接する金属棒1の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射し、ほぼ同時に、金属箔3の第1サイド3aと対向する他方側面である第2サイド3bと、第2サイド3bより一周先行して金属棒1の外周に既に被覆されている第1サイド3a’と、の同種金属の界面にレーザ光を照射し、ほぼ同時に、レーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、両方の界面を各々押圧する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
さらにまた、本発明の第13の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、異種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら金属棒1と金属箔3の両方にレーザ光を照射し、同種金属の界面を境にして、界面に水平な方向にレーザ光を走査させながら金属箔3同士にレーザ光を照射することを特徴とする。
【0021】
さらにまた、本発明の第14の金属接合材の製造方法は、一方向に延長された棒状の金属棒1の外周面に、金属棒1を構成する材質とは異なる耐食性を有する材質で構成された帯状の金属箔3を被覆させる金属接合材の製造方法であって、金属棒1の外周面に、金属箔3の一方の面が接するよう金属箔3を金属棒1に向かって供給し、且つ金属箔3が金属棒1の外周面において、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付ける第1ステップと、金属箔3の幅方向側面の内、金属棒1への巻き付け方向において先行する第1サイド3aと、該第1サイド3aに接する金属棒1の外周面と、の異種金属の界面にレーザ光を照射し、ほぼ同時に、金属箔3の第1サイド3aと対向する他方側面である第2サイド3bと、該第2サイド3bより一周先行して金属棒1の外周に既に被覆されている第1サイド3a’と、からなる重なり合った2層の同種金属において、上層の第2サイド3bの外面側にレーザ光を照射し、ほぼ同時に、レーザ光で加熱された異種金属の界面と同種金属の界面とが各々接合されるよう、両方の界面を各々押圧する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
さらにまた、本発明の第15の金属接合材の製造方法は、異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射時間を長くし、同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔3への照射時間を長くすることを特徴とする。
【0023】
さらにまた、本発明の第16の金属接合材の製造方法は、異種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属側への照射面積を大きくし、同種金属にレーザ光を照射する際、いずれか一方の金属箔3への照射面積を大きくすることを特徴とする。
【0024】
さらにまた、本発明の第17の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、異種金属の界面にレーザ光を走査する照射面積を、同種金属の界面或いは外面側にレーザ光を走査する照射面積よりも広くしてなることを特徴とする。
【0025】
さらにまた、本発明の第18の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、第1のレーザ光にて、異種金属の界面にレーザ光を照射し、第2のレーザ光にて、同種金属のの界面或いは外面側にレーザ光を照射することを特徴とする。
【0026】
さらにまた、本発明の第19の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、一のレーザ光を走査させて、異種金属の界面及び同種金属の界面に各々レーザ光を照射することを特徴とする。
【0027】
さらにまた、本発明の第20の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、同種金属の界面及び異種金属の界面の、各々の加熱度合いを検出し、検出された加熱度合いに応じて押圧量を調節することを特徴とする。
【0028】
さらにまた、本発明の第21の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、異種金属の界面及び同種金属の界面に各々レーザ光を照射する際、一のレーザ源を光分岐して、分岐されたレーザ光を照射することを特徴とする。
【0029】
さらにまた、本発明の第22の金属接合材の製造方法は、第2ステップにおいて、異種金属の界面にレーザ光を照射する際、界面内で複数のレーザ光を略等間隔にて照射することを特徴とする。
【0030】
さらにまた、本発明の第23の金属接合材の製造方法は、金属棒1が円筒状の金属管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
第1、12発明によれば、金属の界面にレーザ光を照射し、加圧ロールにより密着圧力以上の押圧力を加えることで、様々な金属材料の組み合わせにおいて金属を接合させることができる。また、金属材料の界面へレーザを照射することで入熱損失を少なくすることができる。
【0032】
第2、13発明によれば、金属同士の界面に対して水平にレーザ光を走査させることで、両金属へ効率良くレーザ光を照射でき、さらに照射面積を広くしてより強固な接合が可能となる。
【0033】
第3、15発明によれば、両金属側にレーザ光を照射しつつ、いずれか一方の金属側の照射時間を多くすることで、融点差のある金属の温度が、融点前後に達する時間差を少なくすることができる。
【0034】
第4、16発明によれば、両金属側にレーザ光を照射しつつ、いずれか一方の金属側の照射面積を多くすることで、両金属の物性差をカバーしつつ、接合範囲を広くすることができる。これにより継ぎ手強度の高い金属接合材を得ることができる。
【0035】
第5、17発明によれば、同種金属の接合に比して、金属間化合物の生成によって接合強度の劣る傾向にある異種金属間の界面に、より広い面積でレーザ光を照射して接合面積を増し、接合強度を高めることができる。
【0036】
第6、14発明によれば、同種金属の溶接において、その重なり面の上面側からレーザー光を照射するため、同種金属加工用レーザ光の照射角度の自由度が高まる効果を奏する。
【0037】
第7発明によれば、供給ユニットの機能を分担して、ガイドロールと加圧ロールに分けることによって、金属箔の供給機能と界面の押圧機能を各々適切に果たすことが容易となる。
【0038】
第8、20発明によれば、加熱温度に応じて供給ユニットの押圧量を適正に調節して、好適な接合環境を構成できる。
【0039】
第9、22発明によれば、異種金属が融点前後の温度に達するのに必要な時間を短縮することができる効果を奏する。
【0040】
第10、21発明によれば、一のレーザ光源を分岐させて複数のレーザ光を得ることができ、レーザ光を生成する機構を簡素化できる。
【0041】
第11、23発明によれば、円筒状の金属棒の周囲に金属箔を被覆する用途に好適に利用できる。
【0042】
第18発明によれば、金属接合材の金属材質が異種又は同種によってレーザを個々用意することで、物性差の異なる金属の熱伝導率や融点等に合わせた適量のレーザ光量を設定することができる効果を奏する。
【0043】
第19発明によれば、一のレーザを広範囲に走査させて同種金属、異種金属の界面を各々接合でき、レーザ光走査系を共通化して安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、レーザ加工装置及び金属接合材の製造方法を例示するものであって、本発明は、レーザ加工装置及び金属接合材の製造方法を以下のものに特定しない。さらに、本明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」、及び「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
また、本発明において金属の界面とは、接合対象の金属材同士の接触点、接触線、接触面のみならず、その近傍も含む意味で使用する。
【実施例1】
【0045】
(金属の種類)
溶接する金属の種類は特に限定しないが、溶接のしやすく、溶接部に欠陥が少ない金属が好適である。具体的な判断基準として次のものがある。両金属の溶融点、熱伝導度および温度拡散率等の熱的性質が低いほど溶接がしやすくなる。さらに溶接時には割れ、気孔、スラグ巻込み、溶込み不良、その他種々の欠陥が生じやすい。従って、これらの欠陥の発生が少ないほど材料としては接合性がよいといえる。ほとんどすべての金属材料は溶接施工法や設計に特別の注意をはらえば欠陥なく溶接ができると考えてよいが、この特別な注意が少なくてすむ材料ほど接合性がよいといえる。具体的な注意としては、例えば鋼では、溶接される金属の強度、化学成分、板厚、開先形状、継手の拘束度等である。一般に鉄鋼では、軟鋼の溶接は比較的容易であるが、炭素量や合金量の多いほど、また強度の高い材料ほど溶接性が劣るといえる。実施例1では金属棒として鉄を、また金属箔としてチタンを用いて、鉄とチタンの溶接例を挙げた。また他に、鉄とアルミニウム箔や、鉄とマグネシウム、鋼とアルミニウムの接合が可能である。特に鉄-マグネシウムの組合せについては従来の重ね合わせ溶接の方法では実現せず、本方式の優位性が確認できた。
【0046】
また、上記の条件を備える金属であれば、略断面形状が楕円、多角形、また、自由曲面からなるもの等その形状は特に限定しない。また自由な形状を持つ金属塊又は金属表面に、金属薄が被覆できるよう、その形状に応じて加圧ロールの形状や加圧量を調節すれば良い。実施例1では断面円状の略円筒を使用した。
【0047】
(レーザ)
レーザは電子ビームと同程度のエネルギー密度を有し、これを集光して材料に照射すると溶接又は切断を行うことができる。また、触媒として気体、液体、固体を用いるレーザ等各種存在するが、実施例1では、個体レーザ媒質として希土類をドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット) レーザを使用した。ただ、この例に限られず他の固体レーザ媒質として、LiSrF、LiCaF、YLF、NAB、KNP、LNP、NYAB、NPP、GGG等も用いることもできる。また、レーザ媒質としてバルクに代わってファイバーを発振器として利用した、いわゆるファイバーレーザにも適用可能である。
【0048】
さらに、固体レーザ媒質を使用せず、言い換えるとレーザ光を発振させる共振器を構成せず、波長変換のみを行う波長変換素子を使用することもできる。この場合は、半導体レーザの出力光に対して波長変換を行う。波長変換素子としては、例えばKTP(KTiPO)、有機非線形光学材料や他の無機非線形光学材料、例えばKN(KNbO)、KAP(KAsPO)、BBO、LBOや、バルク型の分極反転素子(LiNbO(Periodically Polled Lithium Niobate :PPLN)、LiTaO等)が利用できる。また、Ho、Er、Tm、Sm、Nd等の希土類をドープしたフッ化物ファイバを用いたアップコンバージョンによるレーザの励起光源用半導体レーザを用いることもできる。このように、本実施の形態においてはレーザ発生源として様々なタイプを適宜利用できる。
【0049】
さらにまた、レーザ発振部は固体レーザに限られず、CO2やヘリウム-ネオン、アルゴン、窒素等の気体を媒質として用いる気体レーザを利用することもできる。例えば炭酸ガスレーザを用いた場合のレーザ発振部は、レーザ発振部の内部に炭酸ガス(CO2)が充填され、電極を内蔵しており、レーザ制御部から与えられる印字信号に基づいて、レーザ発振部内の炭酸ガスを励起し、レーザ発振させる。
【0050】
ところで、脆弱な金属間化合物層を抑えるためには、金属の溶融量を低減することが肝要である。つまり一方の材料を溶かし、他方の溶融を抑制するか、両金属を薄く溶かして接合界面に精製する金属間化合物の生成を極力少なくすることが重要である。これを実現するためにレーザが好適に使用できる。
【0051】
なぜならレーザ溶接法は、高エネルギー密度のビーム熱源の高指向性と短時間加熱、また高冷却速度の特長を持つからである。レーザの照射によって金属材料は急熱急冷の熱サイクルをもち、平衡状態とは異なった状態になる。さらに、レーザは多重反射により所望の位置に集光されるため、レーザ反射率の高い金属においても、入熱損失を少なくすることができる。故に脆性な金属間化合物の形成は、上昇した温度の時間が短いため抑制される。つまり、レーザのような加熱方式は、出力を止めることで、熱源を断つことができることから、冷却速度も早くできるので、結晶組織の変質を防止できる。また指向性が高いため、金属の溶融量又は溶融面積を抑えることができ、ひいては、使用する金属の厚みを薄くできる。これにより両金属の接合界面に生成する金属間化合物の生成を極力少なくすることが可能になる。脆弱な金属間化合物の生成を抑制することで、せん断強度及び剥離強度のいずれにも強い接合部を得ることができる効果を奏する。
【0052】
また、レーザ光の高エネルギー照射により、目的に応じ金属箔の厚さを薄くできる。例えば実施例1では金属箔として高価なチタンを使用しているが、レーザ光を使用することで箔厚を約0.2mmに抑えられ、高価なチタン材の使用量を抑制できる。また、同種金属加工用と異種金属加工用とでレーザを別に設置することで、それぞれの融点に応じた熱量配分で接合界面を加熱できる。これにより金属間化合物の生成を抑え、十分な接合強度を得られる。
【0053】
実施例1では、2kWYAGレーザ(FANUC製)を用いた。発振器から出射したビームはミラーにより伝送され、ビームスキャナ(SCANLAB製)に導光される。導光されたビームはコリメータレンズにより平行光となり、X-Y軸の振動ミラーによりスキャンされ、f:θレンズを通り素材の合わせ面に短辺が0.5mm、長辺が2.0mmのビームスポットとして集光される。
【0054】
また、両金属の接合部にレーザ光を照射する際、接合部の酸化により接合不能或いは接合の強度が低下する場合がある。これを防ぐため、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中或いは真空で溶接をするのが好適である。
【0055】
(金属接合材の製造方法)
金属棒の外周面に、異種の金属箔が被覆された金属接合材の製造方法を、図1(a)を使用して説明する。
金属棒の一例として断面円状の金属管を挙げる。鉄製の金属管1の長手方向に対して、ほぼ平行になるよう、且つ金属管1の外周面に近接して供給ユニット5が設置されている。金属箔供給装置(図示せず)にセットされたロール束状の金属箔3において、その長手方向における端部を、金属管側へ近接させる。この際、ロール束から延伸された金属箔3の端部は帯状に引き伸ばされ、この帯状端部は供給ユニット5のロールと、これに近接する金属管1の外周面との間に狭まれるようセッティングされる。
【0056】
上記のような状態で、金属管1の長手方向における中心軸を中心として、金属管1を回転させる。この金属管1の回転速度に同調し、金属箔供給装置(図示せず)が回転する。これにより金属箔3が金属管1側へ送られる。さらに、金属管1の表面に接する帯状の金属箔3が、供給ユニット5のロールに押圧されながら、側縁の一部を重ね合わせつつスパイラル状に金属管1に巻き付けられる。この際、帯状の金属箔3の幅方向における一対の縁領域のうち、巻き付け方向において先行する縁領域を第1サイド3aとする。また、この第1サイド3aに対して他縁側にある縁領域を第2サイド3bとする。金属箔3が、ある起点から金属管1の外周を1周被覆した時点で、金属箔3の第2サイド3bは、前周で既被覆された第1サイド3a’の上に重なり合う。この金属箔3の第1サイド3a’と第2サイド3bの重ね方については後述するが、被覆する金属箔の種類と、レーザ光の出力量及び走査精度等を考慮して決定すればよい。一般的に、金属の接合部における余盛りをできるだけ少なくすれば、金属箔の供給量と、後述するレーザ光の照射面積を低減することができコスト削減につながる。
【0057】
(レーザ照射)
実施例1では加熱ユニット2の一例として、一つのレーザ発振器2eから出力されるレーザ光源を光分岐装置2cを介して分岐する。分岐された各光は、光ファイバ2dを経由して異種金属加工用レーザ2a、同種金属加工用レーザ2bへと伝わる。ただし、このレーザ名は便宜上命名したものであって、レーザの機能としては同じである。また、レーザはこの形状に限定されない。例えば光分岐せずに一つのレーザ光源を用いることもできるし、複数のレーザ光源を用いてもよい。
【0058】
複数のレーザの照射位置について図1(a)に基づき具体的に説明する。金属管1にスパイラル状に巻き付けられた金属箔3であって、金属箔3の第1サイド3aは異種類である金属管1と異種金属加工用レーザ2aからのレーザ光により溶接される。これと同時に、金属箔3の第2サイド3bは、巻き付けが1周先行する同種の金属箔の第1サイド3a’と同種金属加工用レーザ2bからのレーザ光により溶接される。このように異種金属を溶接するレーザ2aと、同種金属を溶接するレーザ2bと別個に用意することで、それぞれの金属間に適した温度と照射時間を別個に設定することができる。また、同時にレーザ光を照射することにより、各々の金属間における溶融温度に達するまでの時間差を縮めることができ、つまりは全体の照射時間を短縮でき、作業効率が高まる効果を生じる。さらに、各々のレーザの照射位置に関して以下に詳細を記す。
【0059】
図1(a)に示すように、金属管1の外周面と金属箔3の界面において、金属管1の外周面と金属箔3の両金属側にまたがるようレーザ光をスポット的に照射する。或いは、後述するが、両金属の合わせ目付近の界面に対して平行になるよう、レーザ光を走査させてもよい。または、両金属の合わせ目に略垂直になるよう、一方の金属側から他方の金属側へレーザ光を走査させることも可能である。レーザ光の走査方向、走査スピード、照射時間、照射面積等は、レーザの集光スポット径の大きさや金属の組み合わせ或いは物性を考慮し決められる。実施例1の金属管1と金属箔3の金属は異種類であるため、その融点差、溶融するのに必要な時間差等を考慮し、どちらか一方の金属側への照射時間或いは照射面積が大きくなるようレーザ光を走査させるのが好適である。これにより両金属の融点に達する時間差を縮められ、また金属間化合物の生成を抑えることが可能になる。
【0060】
この金属間化合物の生成の有無は、溶接する異種金属の組み合わせに起因する。金属間化合物が生成する異種金属の組み合わせにおいては、その生成量を抑えるため、レーザ光の照射時間或いは照射面積を両金属間で偏らせるのが好適である。レーザの偏光方向については、異種金属の内、融点の高い金属側を選択するのが一般的であるが、両金属の熱伝導度及び厚み等も考慮して決定する。具体的に実施例1の鉄とチタン箔では、チタンの融点が鉄のそれよりも高いが、熱伝導度を考慮して鉄側にレーザ光を偏向させた。具体的に図1(b)を用いて説明する。図1(b)は、図1(a)における金属管1の長手方向における端面側から見た側面図である。レーザ(図示せず)から出力されたレーザ光は、鉄製金属間1及びチタン製金属箔3にまたがるよう照射される。実施例1におけるレーザ光の照射領域dは、両金属の境界線Lを基準にした際、鉄製金属管1側に偏心している。つまり、鉄製金属管1側へのレーザ光の照射領域a1は、チタン製金属箔3側の照射領域a2よりも大きい。また、実施例1のレーザ光照射において、鉄製金属管1側への照射時間を、チタン製金属箔3側への照射時間よりも長くすることで、レーザを偏向させることもできる。このように両金属間の、照射面積又は照射時間を偏心させることで、金属の溶融を最小限にし、つまりは金属管化合物の生成を抑制することができる。ひいては継手強度の高い金属接合材を得ることができる。
【0061】
上述した他の異種金属の例において、鉄とアルミニウム箔、また、鉄とマグネシウム箔では、融点の高い鉄側にレーザ光を偏向させて走査する。また鋼とアルミニウム箔でも融点の高い鋼側にレーザ光を偏心させる。
【0062】
また、金属間化合物は生成されないが、両金属の融点差が大きい場合も、両金属間で光量が不均等になるようレーザ光を照射するのが好適である。具体的には融点の高い金属側にレーザ光の照射面積若しくは照射時間が大きくなるようにする。これにより、融点の低い金属が溶け落ちるのを防ぐ。さらに融点の高い金属にレーザ光が照射され溶融し、その熱が融点の低い金属へと伝導する。これとほぼ同時に両金属が接面する方向へ圧着することにより、両金属は強固に接着可能となる。つまり不必要な金属の溶融を抑え、ひいては金属間化合物が生成するのを抑制する効果を奏する。
【0063】
異種金属接合とほぼ同時に、同種金属接合が行われる。同種金属の接合方法を図1(a)を用いて説明する。金属の界面付近であって、金属箔3の第2サイド3b側と、前周で既被覆された金属箔3の第1サイド3a’側とにまたがるよう、レーザ光を照射する。レーザ光照射は、金属の界面の面積が小さい場合は、図1(a)に示すようにスポット的に照射する。また金属の界面の面積が大きい場合は、界面に対して略水平方向へ、直線的に走査される。また、レーザのスポット径若しくは走行精度を考慮しレーザ照射方向、照射面積及び走査距離等が決定される。
【0064】
さらに実施例1において、金属管1の外周面と金属箔3の界面における異種金属の接合領域4aは、金属箔3同士の同種金属の接合領域4bに比べ広い。よって異種金属の接合領域におけるレーザ光の照射面積を大きくすれば、両者の接合強度を高められ効果的である。図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)、図2(e)、図2(f)、図2(g)、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)を使用して具体的に説明する。これらの図は、金属管1に巻き付けられた金属箔3が、さらに1周巻き上げられ、同種、異種の金属接合を行う際の、レーザ光による照射位置を説明する図である。図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)、図2(e)、図2(f)、図2(g)は、金属接合材の一部拡大斜視図、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)は図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)の各断面線における断面図である。
【0065】
(界面に対して水平)
図2(a)において、金属箔3の第2サイド3bは、前周の金属箔3の第1サイド3a’と同種金属接合をする。同種金属加工用レーザ2bから照射されたレーザ光は両金属の界面及びその近傍、つまり両金属側もしくは、いずれか一方の金属側へ照射される。サイド領域同士を溶接するため、レーザ照射領域が小さい場合はレーザ光をスポット的s1に照射すれば良い。また、同種金属の合わせ目近傍における界面領域が大きい場合は、同種金属の界面であって、且つ界面に対して略水平方向にレーザ光を照射させ、照射面積を稼ぐことができる。
【0066】
次に、異種金属接合のレーザ光の照射位置を説明する。図2(a)における異種金属接合のレーザ光照射位置は、異種金属の合わせ目ライン上であって、且つこれにほぼ水平になるよう、金属箔3の第1サイド側3aから、同種金属の界面付近までの連続した領域d1となる。このような領域を設けるためには、異種金属加工用レーザ2aの集光スポット径を大きくし、その集光スポットが両金属にまたがるようにすれば良い。この際、レーザ光の照射は1回でも複数回でも良い。複数回にわたってレーザ光を照射する場合、前回のレーザ光の軌跡とほぼ同位置にレーザ光を照射する。また、集光スポット径が両金属にまたがらない程度の大きさであれば、一方の金属側であって、異種金属の合わせ目ラインに平行になるようレーザ光を走査させる。さらに、この走査軌跡の近傍であって、且つこれに平行になるようレーザ光を複数回走査させる。これによりレーザ光の走査領域は、一方の金属側から、両金属の界面を含んだ他方の金属側まで拡大可能となる。この際、両金属の組み合わせ、及び物性を考慮し、一方の金属側の照射時間若しくは照射面積を大きくするのが好適である。レーザの偏光に関しては上述と同様なので説明を省略する。このレーザの偏光により、両金属の物性差がカバーされ、また不必要な金属の溶融が防ぐことができるため金属間化合物の生成を抑えられる。従って継手強度の高い異種接合材料を得られる。また、集光ビーム形状は、円形の他、楕円形状でもよい。楕円の短径を両金属の界面ラインと平行になるよう位置させ、つまり、楕円の長径を界面ラインと垂直方向に位置させ、かつ楕円形状の集光スポットが接合したい両金属にまたがる大きさであれば、両金属にレーザ光を走査させる際、ジグザグ移動させる必要がなく直線で走査させることができる。また、楕円の長径が両金属の界面ラインと平行になるよう位置させれば、レーザ光を走査させる際、集光形状が円のときと比べて、その移動距離を短くすることができる。
【0067】
このようにレーザ光が照射された際の、IIIa-IIIa’線における金属接合材の一部断面図を図3(a)に示す。図示のように異種金属の接合領域4aは、同種金属の接合領域4bよりも大きく、かつ接合領域が連続しているため、両金属の接合がより強固になる。
【実施例2】
【0068】
(断続)
また、別の照射方法を図2(b)に示す。同種金属の溶接に係るレーザの照射位置は実施例1の図2(a)と同一であるため、説明を省略する。異種金属の溶接に関して、異種金属加工用レーザ2aから照射されたレーザ光は、金属の界面付近であって、金属箔3の第1サイド3a側から同種金属の界面付近まで、断続的に走査される。この走査方向は逆でも構わない。これにより図示のような複数の短線d2、d3、d4形状のレーザ光が照射される。または短線でなく、レーザ光のスポットを複数設けても良い。また、レーザの集光スポット径の大きさとその走査回数及び走査方向、走査領域に関しては、実施例1と同様であるため説明を省略する。レーザの偏光に関しても実施例1と同様である。
【0069】
上記のようにレーザ光が照射された際の、IIIb-IIIb’線における金属接合材の一部断面図を図3(b)に示す。図示のように異種金属の接合領域4aは、同種金属の接合領域4bよりも大きいため、両金属の接合がより強固になる。
【実施例3】
【0070】
(界面に対して直交)
さらにまた、別の照射方法を図2(c)に示す。同種金属加工用レーザ2bから照射されたレーザ光が、金属の界面付近であって、金属箔3の第2サイド3b側のスポットs1に照射される。さらに金属の界面付近であって、前周で既被覆された金属箔3の第1サイド3a’側のスポットs1’まで連続的に走査される。これとほぼ同時に、金属箔3と金属管1の外周面との異種金属接合をするため、異種金属加工用レーザ2aから、金属箔3の第1サイド3a側にレーザ光のスポットd2が照射される。さらに、金属管1の外周面であって、両金属の界面を境にスポットd2とほぼ対称な位置d2’までレーザ光を走査する。次に両金属の界面ライン近傍の金属箔3上であって、且つ既照射されたスポットd2と所定の間隔をもうけた位置d3にレーザ照射される。さらに両金属の界面を境にスポットd3とほぼ対称な位置d3’まで、レーザ光が連続的に走査される。再びレーザのスポット位置は金属箔3上に戻り、上記と同様にして図示されているスポット位置d4からd4’へとレーザ光が走査される。このように両金属の界面を境界線にして、界面に直交する方向にレーザ光を走査させることで、両金属にレーザが照射される。実施例3では同種及び異種金属を接合するために、各々別個の加工用レーザを使用した。また、異種金属の接合面積が同種金属の接合面積より大きいことを考慮して、異種金属の接合に使用する加工用レーザを複数用いても構わない。これによりレーザ光を照射する時間を短縮することができる。また、実施例1と同様にレーザを偏光させることもできる。また、レーザの集光スポット径に関しても実施例1と同様とする。さらに、レーザ光の走査回数に関しても、実施例1と同様に1回又は複数回のどちらも採用できる。これにより両金属の組み合わせ或いは物性に考慮した適正なレーザ光量を照射でき、不必要な金属の溶融を低減させることができる。ひいては継手強度の高い金属接合材を得ることができる。
【0071】
さらにレーザ光の照射が連続したものでなくスポット照射でもよい。また、金属の界面を境界にし両金属へ走査させる際に、連続的にレーザ光を照射させジグザグ走査させても構わない。
【0072】
図2(c)で示したようにレーザ光が照射された際の、IIIc-IIIc’線における金属接合材の一部断面図を図3(c)に示す。同種金属の接合領域4bにレーザ光の照射位置s1(s1’)、異種金属の接合領域4aにレーザ光の複数の照射位置d2(d2’)、d3(d3’)、d4(d4’)が図示されている。このように異種金属の接合領域4aは、同種金属の接合領域4bよりも大きいため、複数の照射位置d2(d2’)、d3(d3’)、d4(d4’)を設けることで、両金属の接合が強固になる。
【実施例4】
【0073】
(重ね合わせ)
また、別の照射方法を図2(d)に示す。異種金属の溶接に係るレーザ光の照射位置は上述のどれかを採用できる。一方、同種金属接合に関して説明する。金属箔3の第2サイド3bは、前周の金属箔3の第1サイド3a’の上に重なる。重なり合った同種の金属の内、上層に位置する金属箔3の第2サイド3bの外面側から、第2サイド3bの外面上s2に向かってレーザ光を照射する。この場合、レーザ光源に近い第2サイド3bが、第2サイドの下に重なり合う第1サイド3a’よりも溶融量が多く、第1サイドと第2サイドの溶融量に差がでるが、同種の金属箔同士の接合であるため金属間化合物は生成せず、強度的に問題もない。
【0074】
図2(d)で示したようにレーザ光が照射された際の、IIId-IIId’線における金属接合材の一部断面図を図3(d)に示す。金属箔3の第2サイド3bは、前周で既覆された第1サイド3a’の上に重なり合い、さらに第2サイド3bの外面側から、金属箔3の第2サイド3bの外面上s2にレーザ光が照射される。従ってレーザ光源に近い金属箔3の第2サイド3bがまず溶融し、その熱が下層の第1サイド3a’に伝わり、第1サイド3a’も溶融する。これとほぼ同時に両金属が接面する方向へ加圧圧着することで両者は安定して接合する。また、レーザの集光スポット径の大きさとその走査回数及び走査方向、走査領域に関しては、実施例1と同様であるため説明を省略する。レーザの偏光に関しても実施例1と同様である。
以上のようにレーザ光の照射位置に関して複数の方法を説明したが、同種金属と異種金属の照射方法の組み合わせは上記に限定せず自由とする。
【実施例5】
【0075】
(一の光源)
さらに上記のような同種及び異種金属接合をする際、一つのレーザ光光源で実施することもできる。図2(e)に基づき具体的に説明する。金属箔3の金属加工用レーザ2fからのレーザ光は、まず同種金属接合をするため、金属の界面付近であって、金属箔3の第2サイド3b側にレーザ光のスポットs1を照射する。引き続き異種金属接合をするため、金属の界面ラインに対して略水平方向に、且つ金属箔の第1サイド3a側へレーザを走査させ、所望の間隔を設け断続的にレーザ光を照射する。この例では同種の金属接合側から異種の金属接合側へとレーザ光を走査させたが、逆に異種の金属接合側から同種の金属接合側へと走査させてもよい。また、レーザ光の照射に関しては、両金属の融点差等、物性を考慮し、金属箔側若しくは金属管側のどちらか一方に照射時間若しくは照射面積が多くなるよう照射位置を決定しても良い。また、レーザの集光スポット径の大きさとその走査回数及び走査方向、走査領域に関しては、実施例1と同様であるため説明を省略する。レーザの偏光に関しても実施例1と同様である。
【実施例6】
【0076】
また別の例を図2(f)に示す。金属箔3の金属加工用レーザ2fからのレーザ光は、まず同種金属接合をするため、金属箔3の第2サイド3b側のスポットs1に照射される。さらに金属の界面付近であって、前周で既被覆された金属箔3の第1サイド3a’側のスポットs1’まで連続的に走査される。次に、金属箔3と金属管1の外周面との異種金属接合をするため、金属箔3の第1サイド3a側にレーザ光のスポットd4が照射される。さらに、金属管1の外周面であって、両金属の界面を境にスポットd4とほぼ対称な位置d4’までレーザ光を走査する。次に両金属の界面ライン近傍の金属箔3上であって、且つ既照射されたスポットd4と所定の間隔をもうけた位置d3に、レーザ照射される。さらに両金属の界面を境にスポットd3とほぼ対称な位置d3’まで、レーザ光が連続的に走査される。再びレーザのスポット位置は金属箔3上に戻り、上記と同様にして図示されているスポット位置d2からd2’へとレーザ光が走査される。このように両金属の界面を境界線にして、界面に直交する方向にレーザ光を走査させることで、同種及び異種の両金属にレーザが照射される。この例では同種の金属接合側から異種の金属接合側へとレーザ光を走査させたが、逆に異種の金属接合側から同種の金属接合側へと走査させてもよい。また、レーザ光の照射開始位置は、金属箔側、金属管側のどちらでもよい。また、実施例1と同様にレーザを偏光させることもできる。また、レーザの集光スポット径に関しても実施例1と同様とする。さらに、レーザ光の走査回数に関しても、実施例1と同様に1回又は複数回のどちらも採用できる。これにより両金属の組み合わせ或いは物性に考慮した適正なレーザ光量を照射でき、不必要な金属の溶融を低減させることができる。ひいては継手強度の高い金属接合材を得ることができる。
【実施例7】
【0077】
さらに別の例を図2(g)に示す。金属箔3の金属加工用レーザ2fからのレーザ光は、まず同種金属接合をするため、金属の界面であって、金属箔3の第2サイド3b側へ照射される。さらに、界面に沿って金属箔3の第1サイド側3aまでレーザ光を連続的に走査させる。図2(g)にレーザの照射位置d5を示す。この例では同種の金属接合側から異種の金属接合側へとレーザ光を走査させたが、逆に異種の金属接合側から同種の金属接合側へと走査させてもよい。また、レーザの集光スポット径の大きさとその走査回数及び走査方向、走査領域に関しては、実施例1と同様であるため説明を省略する。レーザの偏光に関しても実施例1と同様である。
【0078】
(供給ユニット)
実施例1~7でレーザ光を照射された金属は、供給ユニット5により押圧され溶接される。図1(a)において、金属箔3の第2サイド3bは、巻き付けが1周先行し既に被覆された金属箔の第1サイド3a’上に重なってる。図1(a)のIV-IV’線における断面図を図4、5に示す。図4、5は金属箔3の重なり方、また両金属の接合方法を説明する図である。
【0079】
レーザ光により加熱、溶融した両金属の重なり領域は、図4に示すように供給ユニット5により押圧される。供給ユニット5は、以下のような複数の機能を果たす。1.金属管1の外周面に金属箔3が近接してスパイラル状に巻き上がるようにするガイドの役目。2.レーザ反射率の高い金属においても、入熱損失を少なくさせる役割。3.レーザ光により照射され溶融された金属領域を押圧することで、両金属の接合強度を高める役目。4.適切なローラ加圧力であれば、レーザ光により発生した熱を拡散し、接合部を急冷する役割。例えば、図1(a)で示す供給ユニット5は、ロール束状で供給される金属箔3のたわみを帯状になるよう引き伸ばし、これを金属管の外周面へ近接させている。加えて、金属箔が金属管の外周を被覆する際、金属箔の位置決めをし、その巻き付け方向をガイドする。これにより金属管の外周面に金属箔が効率良くスパイラル状に巻き付く。また供給ユニット5は、レーザ光が照射された金属の溶融領域を押圧し、両金属の接合を図る。
【0080】
上記2の機能について補足する。供給ユニット5により近接した金属管1と金属箔3は、両金属が接近した界面にレーザ光が出射される。この際、レーザ光の一部が反射されることがあるが、両金属が接近しているため反射されたレーザ光は再び両金属間内に進入する。従って指向性のあるレーザ光を放出するレーザに加え、金属管と金属箔との近接距離を調整する供給ユニットにより、レーザ光の入熱損失を少なくすることができる。
【0081】
また、上記4の機能について説明する。研究の結果、金属に対する供給ユニットの加圧量が、適正範囲内において高ければ、レーザ光により発生した熱をローラ側へ発散させ、これにより金属の接合部が急冷され、金属間化合物の生成が抑制されることがわかった。供給ユニットの加圧力の適正範囲とは245MPa以上である。さらに、供給ユニットの加圧量によって、金属間化合物の生成とは異なる理由により、金属間の接合強度が低下してしまうことが判明した。具体的には、金属へレーザを照射後、供給ユニットの押圧量が過多であると、金属箔の箔厚が薄くなりすぎ、両金属間の継手強度が低下してしまう。また押厚量が過少であれば、十分な両金属の接合面積を得ることができず、金属間化合物の生成量に関係なく継手強度が低下してしまう。よって供給ユニットの押圧量は両金属の厚み及び物性により決定するのが好適である。
【0082】
図4に示す供給ユニット5は、上記の複数の機能を分担させたパーツから構成されており、ガイドロール5aと加圧ロール5bとからなる。ガイドロール5aは上述した金属箔3のガイド機能に加え、次のような効果も奏す。すなわち同種金属の接合領域4aであって、レーザ光照射スポットs1における溶融部を押圧する機能も果たす。加圧ロール5bは、異種金属の接合領域4bにおける金属の溶融部d1を押圧しており、さらに上部(図4の上部)にはバネが設置され加圧力を高めている。ここでは加圧力を強めるものとしてバネを一例に挙げたが、油圧シリンダー、ガスシリンダー等、その方法は特に限定しない。このように加圧ロールの圧力を高めることにより、異種金属の接合をより強固にすることができる。また、ここでは比較的加圧量が少なくてすむ同種金属の接合領域4aを押圧するのにガイドロール5aを使用したが、この同種金属の接合領域4aにも別個、加圧ロール5bを設置してもよい。これにより、より強固な金属接合となる。
【0083】
(突き合わせ溶接)
また、別の巻き付け方法及び加圧例を図5に示す。図5(a)において、金属箔3の第2サイド3bと、前周の第1サイド3a’との重なり領域は、図4のそれに比べて少ない。これは金属箔3の第2サイド3bと、前周の第1サイド3a’とが突き合わせにより接面しているからである。この両サイドの界面を境にして、両サイド側にレーザ光を走査、照射する。レーザ光の照射位置s1を図示する。レーザ光により加熱され溶融した接合領域は、図5(b)に示す供給ユニット5により押圧される。この供給ユニット5は、図4で述べた供給ユニットと同じく、ガイドロール5aと加圧ロール5bから構成される。異種金属に対しての加圧の仕組みは、図4の加圧ロールと同じであるので説明を省略する。レーザ光により溶融された、同種金属同士の突き合わせ部分は、加圧ロール5bにより押圧される。加圧ロール5bは、上述した通りガイドロールよりも金属面への加圧力が高い。従って加圧された金属箔3の両サイドは、金属間の摩擦熱により、さらに溶融が進む。溶融した金属箔が突き合わせの不足した空間域を埋めるよう成形され、金属管の溶接部が一体化される。上述した図4における金属の重ね方法による溶接では、その溶接部において2枚の金属箔が重なるためレーザ加熱により溶融し一体になった後、他の領域より金属箔層の厚さが大きい余盛りの状態になる。一方、図5(a)(b)の突き合わせによる金属の溶接では金属箔の継ぎ目が視認しにくく、意匠効果が高まる効果を奏する。
【0084】
また、金属箔3の第2サイド3bと、前周の第1サイド3a’とを付き合わせた状態で、外面側から(図5(a)における上側から)、第2サイド3bの外面のみにレーザ光を照射し加圧することで両者を接合させることも可能である。
【0085】
さらにまた、図6に示すように、両金属箔3の突き合わせ量が少ない場合には、金属箔3と金属管1との間であって、両金属箔3の突き合わせ近傍に裏当て材9を使用することもできる。裏当て材の材質は金属箔3又は金属管1と同質であることが好ましい。これにより異種金属の数を減らすことができ、金属間化合物の生成を抑制することができる。
【0086】
さらにまた、供給ユニット5の別の例を図7に示す。この供給ユニット5を構成する加圧ロール5bは、金属箔3と接する底面が球面形状を成す。これにより圧力を球面の頂点に集中させることができ、より強い圧力を接合部に加えることができる。また、加圧ロール5bとガイドロール5aの連結部を比較的自由度の高いものにすれば、加圧ロール5bの移動量をガイドロール5aの移動量よりも大きくできる。よって加圧ロール5bの動きが適度にランダムとなり、接合部近傍に圧力を加えることができる。
【0087】
このように、同種又は異種材料の界面へレーザ光を照射し、加熱した後、ローラにより密着圧力以上の加圧力を加えることで、様々な異種材料の組み合わせにおいて接合することができる。さらに、異種材料の界面へレーザを照射することで入熱損失を少なくすることができる。さらに、異種接合材のどちらが一方にレーザを照射し偏加熱することで組成制御が容易となり、熱伝導率や融点等物性差が大きく異なる組み合わせにおいても接合が可能である。とくに金属間化合物を生成する異種金属の組み合わせにおいては、レーザの急熱急冷効果と併せて上記理由により金属間化合物の生成を最小限に抑制することが可能であり、機械的強度特性に優れた異種接合材を製造することができる。とくに密着圧力以上の加圧力を加えることで従来接合が困難とされている異種材料との接合が可能かつ十分な機械強度特性を有する異種接合材料を製造することができる。
【0088】
さらにまた、図8は、図1(a)における金属管1の長手方向における端面側から見た側面図である。図8に示すように検出ユニット7を設けることもできる。検出ユニット7は、例えば温度センサー等であり、両金属あるいはどちらか一方のレーザ照射部の加熱具合を検出する。検出ユニット7は制御ユニット8と連結され、制御ユニット8は加圧ユニット5と連結されている。加熱具合は検出ユニット7により検出され、検出されたデータは制御ユニット8に送られる。この加熱具合により加圧ユニット5の加圧量が決定される。これにより様々な異種材料に適用可能であり、また常に一定の圧力を加えることが可能となる。
【0089】
以上のように実施例1~7におけるレーザ圧接法は、レーザとローラの組合せにより融接と圧接の両方の効果を得ることができる。つまりレーザ圧接法では、異種金属間の大きな物性差をカバーしつつ、脆弱な金属間化合物の生成を最小限に抑制でき、接合強度の強い異種金属の溶接が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の金属接合材の製造方法、及びレーザ加工装置を用いて製造された金属接合材は、耐食性、耐候性、防食性に優れた海洋構造物、建築材料等に適用できる。特に、棒状の金属棒と帯状の金属箔との接合のように、曲面を伴う金属に平面状の金属箔を溶接した金属は実用的であり、平面状同士の金属を溶接した金属よりも応用範囲が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1(a)】実施例1の金属接合材の製造方法を説明する斜視図である。
【図1(b)】図1(a)の一部拡大側面図である。
【図2(a)】実施例1のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(b)】実施例2のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(c)】実施例3のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(d)】実施例4のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(e)】実施例5のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(f)】実施例6のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図2(g)】実施例7のレーザ光の照射位置を説明する図である。
【図3(a)】図2(a)のIIIa-IIIa’線における断面図である。
【図3(b)】図2(b)のIIIb-IIIb’線における断面図である。
【図3(c)】図2(c)のIIIc-IIIc’線における断面図である。
【図3(d)】図2(d)のIIId-IIId’線における断面図である。
【図4】図1(a)のIV-IV’線における断面図であり、実施例1~7に係る押圧方法を説明する図である。
【図5】図5(a)は図1(a)のIV-IV’線における断面図であり、実施例1~7に係る金属箔の別の溶接方法を説明する図である。図5(b)は図1(a)のIV-IV’線における断面図であり、別の押圧方法を説明する図である。
【図6】実施例1~7に係る金属箔の別の溶接方法を説明する図である。
【図7】実施例1~7に係る別の押圧方法を説明する図である。
【図8】実施例1~7に係る略回路図である。
【符号の説明】
【0092】
1…金属管
2…加熱ユニット
2a…異種金属加工用レーザ
2b…同種金属加工用レーザ
2c…光分岐装置
2d…光ファイバ
2e…レーザ発振器
2f…金属加工用レーザ
3…金属箔
3a…金属箔の第1サイド
3a’…前周の金属箔の第1サイド
3b…金属箔の第2サイド
4a…異種金属の接合領域
4b…同種金属の接合領域
5…供給ユニット
5a…ガイドロール
5b…加圧ロール
6…金属の界面ライン
7…検出ユニット
8…制御ユニット
9…裏当て材
a1…金属管側へのレーザ照射領域
a2…金属箔側へのレーザ照射領域
d…レーザ照射領域
d1、d2、d3、d4、d5、d2’、d3’、d4’…異種金属接合におけるレーザ照射域
s1、s1’、s2…同種金属接合におけるレーザ照射域
L…両金属の境界線
図面
【図1(a)】
0
【図1(b)】
1
【図2(a)】
2
【図2(b)】
3
【図2(c)】
4
【図2(d)】
5
【図2(e)】
6
【図2(f)】
7
【図2(g)】
8
【図3(a)】
9
【図3(b)】
10
【図3(c)】
11
【図3(d)】
12
【図4】
13
【図5】
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【図6】
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【図7】
16
【図8】
17