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明細書 :超分子構造を有する超極細ホースの合成

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5167533号 (P5167533)
公開番号 特開2008-069086 (P2008-069086A)
登録日 平成25年1月11日(2013.1.11)
発行日 平成25年3月21日(2013.3.21)
公開日 平成20年3月27日(2008.3.27)
発明の名称または考案の名称 超分子構造を有する超極細ホースの合成
国際特許分類 C07D 498/22        (2006.01)
A61L  27/00        (2006.01)
A61K   9/51        (2006.01)
FI C07D 498/22 CSP
A61L 27/00 P
A61K 9/51
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2006-247184 (P2006-247184)
出願日 平成18年9月12日(2006.9.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成18年3月13日 社団法人 日本化学会発行の「日本化学会第86春季年会-講演予稿集2」に発表(講演予稿集2の第1262頁、講演番号1 K3-28)
特許法第30条第1項適用 平成18年6月14日「中日新聞」朝刊に発表(記事見出し「「超分子」で超極細ホース合成」)
審査請求日 平成21年9月2日(2009.9.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】小野 克彦
【氏名】斉藤 勝裕
審査官 【審査官】田村 聖子
調査した分野 C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式
JP0005167533B2_000004t.gif
で表されるオキサジアゾール基を骨格の一部とするマクロサイクル
【請求項2】
請求項1に記載の前記マクロサイクルは、マクロサイクル平面に垂直な方向に複数積層してナノホース状またはナノチューブ状の超分子を形成しており、
複数本の前記超分子が束となって形成されたナノワイヤ。
【請求項3】
前記超分子は水分子を内包することを特徴とする請求項2に記載のナノワイヤ。
【請求項4】
請求項1に記載のマクロサイクルの製造方法であって、
5-tert-ブチルイソフタル酸とチオセミカルバジドをポリりん酸に加えて加熱して前記マクロサイクルを製造するマクロサイクルの製造方法。
【請求項5】
請求項2または3に記載のナノワイヤの製造方法であって、
次式
JP0005167533B2_000005t.gif
で表されるマクロサイクルの溶液に、酢酸エチル、メタノールまたはヘキサンを混合し、前記マクロサイクルの超分子化機能により前記ナノワイヤを形成するナノワイヤの製造方法。
【請求項6】
前記マクロサイクルの超分子化機能により、前記マクロサイクルが、マクロサイクル平面に垂直な方向に複数積層してナノホース状またはナノチューブ状の超分子を形成するとともに、複数本の前記超分子が束になることで、前記ナノワイヤを形成する請求項5に記載のナノワイヤの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は超分子構造を有する超極細ホースの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1開示の窒素含有基が互いに連結してマクロサイクルを形成した多座配位子が開示されている。また、特許文献2開示の中空構造を有する炭素繊維であって、その中空部に水等を内包する高分子が開示されている。さらにまた、特許文献3開示の機能性ナノ構造体が開示されている。

【特許文献1】WO2003/078384
【特許文献2】特開2005-281275
【特許文献3】特開2002-346999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来例には、オキサジアゾール基を骨格の一部とする(オキサジアゾール基の数は3~4)マクロサイクル、このマクロサイクルが積層したナノホース状(又はナノチューブ状)の超分子が束となったナノワイヤおよびこれらの製造方法、並びに、オキサジアゾール基を骨格の一部とするマクロサイクル(オキサジアゾール基の数は3~4)が積層したナノホース状(又はナノチューブ状)の超分子が束となったナノワイヤであって、ホース内に水分子を内包するナノホース状(又はナノチューブ状)の超分子が束となったナノワイヤが開示されていない。
【0004】
また、従来の代表的なナノチューブとしてカーボンナノチューブがあるが、これは、カーボンナノチューブが1分子からなっているためこれ以上分割することは、不可能であった。
【0005】
本発明は、オキサジアゾール基を骨格の一部とする新しいマクロサイクル(オキサジアゾール基の数は3~4)の合成により、超分子構造を有する超極細ホースの合成を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、次式
JP0005167533B2_000002t.gif
で表されるオキサジアゾール基を骨格の一部とするマクロサイクルである。この新規マクロサイクルは、超分子化機能を有しこれが積層してナノホース状(又はナノチューブ状)の超分子が束となったナノワイヤを形成するのである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記マクロサイクルが、マクロサイクル平面に垂直な方向に複数積層してナノホース状またはナノチューブ状の超分子を形成しており、複数本の前記超分子が束となって形成されたナノワイヤである。前記したように、従来のカーボンナノチューブが、1分子からなっているためこれ以上分割することは、不可能であるのに対し、本発明では、マクロサイクルが超分子化機能を有しこれが積層しナノホース状(又はナノチューブ状)を形成するためチューブの構成成分に再分割することが可能である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナノワイヤにおいて、前記超分子は水分子を内包することを特徴とするものである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のマクロサイクルの製造方法であって、5-tert-ブチルイソフタル酸とチオセミカルバジドをポリりん酸に加えて加熱して前記マクロサイクルを製造するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載のナノワイヤの製造方法であって、
次式
JP0005167533B2_000003t.gif
で表されるマクロサイクルの溶液に、酢酸エチル、メタノールまたはヘキサンを混合し、前記マクロサイクルの超分子化機能により前記ナノワイヤを形成するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のナノワイヤの製造方法において、前記マクロサイクルの超分子化機能により、前記マクロサイクルが、マクロサイクル平面に垂直な方向に複数積層してナノホース状またはナノチューブ状の超分子を形成するとともに、複数本の前記超分子が束になることで、前記ナノワイヤを形成するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施例1について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0009】
オキサジアゾールを有するマクロサイクルを次のように合成する。
5-tert-ブチルイソフタル酸(13.33 g, 60 mmol)とチオセミカルバジド(5.47 g, 60 mmol)をポリりん酸(180 g)に加え、メカニカルスタラーを使用して180 ℃で4時間かき混ぜた。これを室温付近まで放冷した後、氷水(300 mL)に注ぎ、1時間かき混ぜた。沈殿をハイフロスーパーセルでろ過し、固体を水とメタノールで洗浄した。これをアルミナクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム)で分離精製した。得られた固体は、オキサジアゾール基3および4個を有しているマクロサイクルの混合物であった。これを再結晶(溶媒クロロホルム/酢酸エチル=2:1)によって分離精製すると、オキサジアゾール基4個を含有するマクロサイクル(0.26 g, 収率2%)が得られた。これを昇華精製すると無水物が得られ、元素分析によって確認された。

ナノワイヤ(I) を次のように作製する。
マクロサイクル(2.5 mg)をクロロホルム(12.5 mL)に溶解し、酢酸エチル(12.5 mL)を注いだ。1時間室温で放置し、析出した固体を基板に分取した。これを乾燥したのち、走査型電子顕微鏡による観察を行ったところ、直径1 μm-100 nmの分子ワイヤーが観測された(図1)。元素分析の測定を行った結果、測定値C, 70.40; H, 6.02; N, 13.71%, 理論値(C48H48N8O4・H2O)C, 70.40; H, 6.15; N, 13.68%の分析結果が得られ、水分子を内包することが明らかになった。

ナノワイヤのX線結晶構造解析を次のように行った。
マクロサイクルをクロロホルム-メタノールの混合溶液に溶解し、再結晶を行った結果、0.18×0.05×0.05 mmの単結晶が得られた。これを-100 ℃でX線結晶構造解析を行った結果、図2のような分子配列を有するナノホース構造が観測された。このナノホースは水分子を内包しており、水分子は大きく振動している様子が明らかになった。さらに、このナノホースは自己集合して、図3に示すナノホースの束を形成していた。このナノホースの束は大きく成長し、図1のナノワイヤを構築したものと考えられる。このため、図3はナノワイヤの断面構造図と考えられる。

ナノワイヤ(II) を次のように作製する。
マクロサイクル(2.5 mg)をクロロホルム(12.5 mL)に溶解し、ヘキサン(12.5 mL)を注いだ。1時間室温で放置し、析出した固体を基板に分取した。これを乾燥したのち、走査型電子顕微鏡による観察を行った結果、直径500 nm-50 nmの分子ナノワイヤが観測された(図4)。

以上において、本発明を実施例1に即して説明したが、本発明は上記実施例1に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明のホース状(又はチューブ状)の超分子は、分子導線として超小型LSIへの応用、分子ポンプとして人工毛管血管などの生体材料への応用、分子カプセルとしてドラッグデリバリー・システムへの応用などが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ナノワイヤ(I)の説明図である。
【図2】ナノホース構造の説明図である。
【図3】ナノワイヤ断面の説明図である。
【図4】ナノワイヤ(II)の説明図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3