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明細書 :採水装置および採水方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4793637号 (P4793637)
公開番号 特開2007-255137 (P2007-255137A)
登録日 平成23年8月5日(2011.8.5)
発行日 平成23年10月12日(2011.10.12)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
発明の名称または考案の名称 採水装置および採水方法
国際特許分類 E21B  49/08        (2006.01)
G01N   1/12        (2006.01)
FI E21B 49/08
G01N 1/12 A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 12
出願番号 特願2006-083353 (P2006-083353)
出願日 平成18年3月24日(2006.3.24)
審査請求日 平成21年3月10日(2009.3.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】久保田 富次郎
【氏名】増本 隆夫
【氏名】松田 周
個別代理人の代理人 【識別番号】100086852、【弁理士】、【氏名又は名称】相川 守
審査官 【審査官】石川 信也
参考文献・文献 特開昭57-040089(JP,A)
特開昭52-149201(JP,A)
特開2002-054382(JP,A)
特開平06-294270(JP,A)
特開2006-053124(JP,A)
調査した分野 E21B 1/00-49/10
G01N 1/12
特許請求の範囲 【請求項1】
採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、
この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設け、
上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を地上に設置したことを特徴とする採水装置。
【請求項2】
制御手段には、センサの動作の有無を表示する表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の採水装置。
【請求項3】
採水導入通路には、採水口と第1のバルブとの間にフィルタ部が設けられ、空気抜き通路には、逆流防止弁が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の採水装置。
【請求項4】
制御手段は、センサからの検知信号に基づいて第1第2のバルブを閉じるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1に記載の採水装置。
【請求項5】
本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1に記載の採水装置。
【請求項6】
第1および第2のバルブをそれぞれ小型の電磁弁により構成したことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1に記載の採水装置。
【請求項7】
採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設けて構成するとともに、地上に設置され、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を設けて構成し、
本体の貯水部内に外気を導入して制御手段により第1第2のバルブを閉じる第1のステップと、
貯水部内にエアが閉じこめられた本体を、昇降手段により地下孔内の地下水中の所望の位置に吊り降ろし、制御手段により第1第2のバルブを開き、貯水部内のエアを外部に排出しつつ貯水部に水を導入する第2のステップと、
センサの動作により貯水部内での採水完了とみなし、制御手段により第1第2のバルブを閉じ、貯水部内に水を閉じこめる第3のステップと、
貯水部内に水が閉じこめられた本体を、昇降手段により地上に引き上げて回収する第4のステップとを有することを特徴とする採水方法。
【請求項8】
本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置し、表示装置に表示されたデータに基づいて昇降手段の吊り降ろし位置を決定した後、採水を行うことを特徴とする請求項7に記載の採水方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水の水質調査に利用される採水装置および採水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水質調査の現場では、採水にあたっては正確な深度で採水を行うだけでなく、ボーリング孔内の水を攪乱させないようにすることが求められる。実際には、ボーリングの現場は、ボーリング孔の地表面から地下水面まで例えば45m前後に達するような、地下水が比較的深い位置にあることがある。従来、図3の(A)、(B)に示すような簡易な構造を有する地下水採水器202が知られている。この地下水採水器202は、有底中空円筒状の本体203を備え、この本体203の底部には、下側弁座204が形成される。本体203の上部には、上側弁座205が取り付けられるようになっている。上下の弁座204、205にはそれぞれ、同一中心上にほぼ同一径の弁孔204A、205Aが形成される。本体203には、縦軸206の両端にそれぞれ上下の弁孔204A、205Aを同時に開閉するパッキン207、208を備えた可動弁209が取り付けられるようになっている。本体203は、上端の吊り具210を介して索条211に接続され、ボーリング孔に吊り降ろされるようになっている。この地下水採水器202は、図3の(A)に示すように、観測すべきボーリング孔内に吊り降ろし、観測井の中を下降させると、パッキン207が下降による上向きの流水圧を受けて可動弁209が本体203に対して相対的に上方に変位し、上下の弁孔204A、205Aが開き、内部に水を通しながら降下する。所定の採水深度に達すると、索条211により採水器202を吊り上げる。すると、パッキン208は下向きの流水圧を受けて可動弁209が本体203に対して相対的に下方変位し、両パッキン207、208が弁座204、205に着座し、上下の弁孔204A、205Aが閉じ、本体203内部に水が閉じ込められ、その状態で回収されるようになっている。また、図4の(A)、(B)に示すように、ゴム等により製造されたパッカー302を用いて採水対象となる採水層303の位置を限定する方法も知られている。
【0003】
上記図3の(A)、(B)に示す採水器202およびこの採水器202を用いた方法では、ボーリング孔内の水中を降下させる際に、採水器内の水が徐々に入れ替わるため、サンプルの上下混合が大きく、比較的薄い帯水層の地下水を正確に採水することが難しいという問題がある。また、上記図4のパッカー302を用いる方法では、図4の(B)に示すように、採水層の透水性が低い場合など、採水層からの浸出量より多くの地下水をポンプ等により無理に採水しようとするとパッカーの位置において漏水が発生する。
【0004】
また、従来、地下孔内における任意の深さの地下水を採取する機器として、簡易地下水採水器(例えば、特許文献1参照)や、真空ポンプや水中ポンプを用いて採水する装置(例えば、特許文献2参照)、また、空気圧を信号として用いてピストンを作動させ、針を通じて真空チューブに採水する採取方法および採水器(例えば、特許文献3参照)が知られている。

【特許文献1】特開2002-54382号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平7-225178号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】特公平1-33635号公報(第2頁、第2図(A)~(D))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の採水装置および採水方法では、例えば、簡易地下水採水器を用いて採水する場合、ボーリング孔内の水中を降下させる際に、採水器内の水が徐々に入れ替わるため、サンプルの上下混合が大きく、比較的薄い帯水層の地下水を正確に採水することが難しいという問題がある。また、例えば、真空ポンプや水中ポンプを用いて採水する装置では、深度が深いと揚程が不足するため、使用できないという問題がある。たとえ、使用可能な深度で利用するとしても、ホース内の死水部が大きくなるため、採水量が多くなり、小孔径のボーリング孔内では、孔内水を大きく乱してしまう虞がある。さらに、パッカーを用いて採水対象となる帯水層を限定することも可能であるが、その場合、対象は透水性が良好な帯水層に限られるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、深度が深く孔径が小径の地下孔であっても孔内の水を攪乱させることなく正確にかつ緩やかな速度で採水することができる採水装置とその方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明に係る採水装置は、採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設け、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を地上に設置したものである。
【0008】
上記第1の発明に係る採水装置では、採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設け、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を地上に設置したことにより、地上で第1第2のバルブを開いて貯水部内に外気を導入してこれらバルブを閉じ、貯水部を気室とした本体を、昇降手段により地下孔の地下水中に吊り降ろし、所定の深さ位置で第1第2のバルブを開くと、貯水部内のエアが空気抜き通路を通じてを外部に排出されるとともに、地下孔内の地下水が採水口から採水導入通路を通じて貯水部に導入される。貯水部内で水位が上昇し、センサが水を検知するとセンサから検知信号が制御手段に送出され、制御手段により第1第2のバルブを閉じ、貯水部内に水を閉じ込める。貯水部内に水が閉じ込められると、昇降手段により本体を地上に引き上げるようになっている。このため、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確に採水することができる。
【0009】
また、請求項2に係る採水装置は、制御手段には、センサの動作の有無を表示する表示部を設けたものである。
【0010】
請求項2に係る採水装置では、制御手段には、センサの動作の有無を表示する表示部を設けるようにしたので、地上で採水完了を確認することができる。
【0011】
さらに、請求項3に係る採水装置は、採水導入通路には、採水口と第1のバルブとの間にフィルタ部が設けられ、空気抜き通路には、逆流防止弁が設けられるようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る採水装置では、採水導入通路には、採水口と第1のバルブとの間にフィルタ部が設けられ、空気抜き通路には、逆流防止弁が設けられるようにしたことにより、外部の地下水はフィルタ部を通過して貯水部内に導かれるので、採水されたサンプルは不純物が除かれより正確な水質を確保することができる。また、逆流防止弁により空気抜き通路に水が逆流することがない。
【0013】
請求項4に係る採水装置は、制御手段は、センサからの検知信号に基づいて第1第2のバルブを閉じるようにしたものである。
【0014】
請求項4に係る採水装置では、制御手段は、センサからの検知信号に基づいて第1第2のバルブを閉じるようにしたことにより、地上で制御手段でセンサの動作を確認すると、自動的に貯水部が閉じられるので、採水完了と同時に貯水部は外部から遮断され、いったん採水されたサンプルが混合されることがない。このため、採水を正確に行うことができる。
【0015】
請求項5に係る採水装置は、本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置したものである。
【0016】
請求項5に係る採水装置では、本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置したことにより、本体を昇降手段により吊り降ろして所望の深さ位置に導くのに、地上で表示装置により水質測定器による水深(水位)、電気伝導度(水質)、水温等のデータを逐次観測しながら所望の位置に本体を移動させることができる。このため、採水口の位置が所望の水深や帯水層にあるかどうか一目で確認することができ、正確な採水サンプルを得ることができるとともに、採水作業が効率化される。
【0017】
請求項6に係る採水装置は、第1および第2のバルブをそれぞれ小型の電磁弁により構成したものである。
【0018】
請求項6に係る採水装置では、第1および第2のバルブをそれぞれ小型の電磁弁により構成したことにより、本体の径を細くすることができ、例えば、直径50mm程度の小径のボーリング孔であっても採水が可能となる。
【0019】
本発明の第2の発明に係る採水方法は、採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設けて構成するとともに、地上に設置され、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を設けて構成し、本体の貯水部内に外気を導入して制御手段により第1第2のバルブを閉じる第1のステップと、貯水部内にエアが閉じこめられた本体を、昇降手段により地下孔内の地下水中の所望の位置に吊り降ろし、制御手段により第1第2のバルブを開き、貯水部内のエアを外部に排出しつつ貯水部に水を導入する第2のステップと、センサの動作により貯水部内での採水完了とみなし、制御手段により第1第2のバルブを閉じ、貯水部内に水を閉じこめる第3のステップと、貯水部内に水が閉じこめられた本体を、昇降手段により地上に引き上げて回収する第4のステップとを有するようにしたものである。
【0020】
本発明の第2の発明に係る採水方法では、採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設けて構成するとともに、地上に設置され、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を設けて構成し、本体の貯水部内に外気を導入して制御手段により第1第2のバルブを閉じる第1のステップと、貯水部内にエアが閉じこめられた本体を、昇降手段により地下孔内の地下水中の所望の位置に吊り降ろし、制御手段により第1第2のバルブを開き、貯水部内のエアを外部に排出しつつ貯水部に水を導入する第2のステップと、センサの動作により貯水部内での採水完了とみなし、制御手段により第1第2のバルブを閉じ、貯水部内に水を閉じこめる第3のステップと、貯水部内に水が閉じこめられた本体を、昇降手段により地上に引き上げて回収する第4のステップとを有するようにしたことにより、第1のステップで、本体の貯水部にエアを密封して気室とし、第2のステップで、本体を所望の位置に吊り降ろして貯水部に水を導入し、第3のステップでセンサの動作に応じて制御手段により第1第2のバルブを閉じて貯水部を密閉し、第4のステップで本体を回収するようになっている。このため、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確にかつ効率よく採水することができる。
【0021】
請求項8に係る採水方法は、本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置し、表示装置に表示されたデータに基づいて昇降手段の吊り降ろし位置を決定した後、採水を行うようにしたものである。
【0022】
請求項8に係る採水方法では、本体に、水質測定器を取り付けるとともに、この水質測定器と電気的に接続され、水質測定器から送出される計測データを表示する表示装置を地上に設置し、表示装置に表示されたデータに基づいて昇降手段の吊り降ろし位置を決定した後、採水を行うようにしたことにより、本体を昇降手段により吊り降ろして所望の深さ位置に導くのに、地上で表示装置により水質測定器による水深(水位)、電気伝導度(水質)、水温等のデータを逐次観測しながら所望の位置に本体を移動させることができる。このため、採水口の位置が所望の水深や帯水層にあるかどうか一目で確認することができ、採水口の位置の決定を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る採水装置では、採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設け、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を地上に設置したので、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確に採水することができる。
【0024】
また、本発明に係る採水方法では、ウエイト部と、このウエイト部に接続され採水空間が形成された貯水部と、貯水部の採水の完了を検知するセンサと、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に連通され下端が第2のバルブを介して貯水部に連通される空気抜き通路とを有する本体を備え、この本体を地下孔の地下水内に昇降自在に吊り降ろす昇降手段を設けて構成するとともに、地上に設置され、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作の有無を表示するとともに、これら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段とを設けて構成し、本体の貯水部内に外気を導入して制御手段により第1第2のバルブを閉じる第1のステップと、貯水部内にエアが閉じこめられた本体を、昇降手段により地下孔内の地下水中の所望の位置に吊り降ろし、制御手段により第1第2のバルブを開き、貯水部内のエアを外部に排出しつつ貯水部に水を導入する第2のステップと、制御手段によりセンサの動作を確認すると、貯水部内での採水完了とみなし、制御手段により第1第2のバルブを閉じ、貯水部内に水を閉じこめる第3のステップと、貯水部内に水が閉じこめられた本体を、昇降手段により地上に引き上げて回収する第4のステップとを有するようにしているので、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確にかつ効率よく採水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
深度の深い孔内であっても所望の位置で正確な採水を行うという目的を、採水装置には、採水の完了を検知するセンサを備えた貯水部と、一端に採水口が形成され他端が第1のバルブを介して貯水部に連通される採水導入通路と、上端が外気に、下端が貯水部にそれぞれ連通される空気抜き通路とを有する本体と、この本体を地下孔に昇降自在に吊り降ろす昇降手段とを備えて構成するとともに、上記センサと上記第1第2のバルブとにそれぞれ電気的に接続され、センサの動作に応じてこれら第1第2のバルブを開閉動作させる制御手段を地上に設置したことにより実現した。
【実施例1】
【0026】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本実施例に係る採水装置の構成図である。本実施例に係る採水装置2は、図1に示すように、本体3とこの本体3を地下孔4内に吊り降ろす索条(昇降手段)5とを備えている。本体3は、下側が円錐状に、上側が円筒状にそれぞれ形成されたウエイト部6と、このウエイト部6の上端に図示しないOリングを介して螺合されたフィルタ部7と、このフィルタ部7の上端に接続部8を介して着脱自在に連結された貯水部9とを備えている。この貯水部9は外径40mm、内径34mmの有底筒状アクリルパイプにより構成され、交換可能となっている。貯水部9は上下の長さが異なる複数の種類からなり、長さに応じて採水量を170~850mlの範囲で適宜選択できるようになっている。索条5は、図示しない制御装置からの指令信号に基づいて所定の長さ繰り出し可能な巻回装置(図示せず)により操作するようにしてもよい。
【0027】
貯水部9上端には、内部に空間が形成されエアが密封された耐圧部10が着脱可能に取り付けられる。耐圧部10は、円板状の底蓋11を備えている。この底蓋11は貯水部9の上端開口を閉塞して取り付けられるようになっている。この底蓋11には、水が出入りする水出入り口12と、エアが出入りするエア出入り口13と、採水の完了を検知するステンレス製の採水確認電極(センサ)14とが設けられる。採水確認電極14は、貯水部9内に水が導入されてレベルが上昇し上部に達すると、その水位を検出し、信号を外部に送出するようになっている。採水確認電極14からの信号を採水完了の信号とみなすようにしている。
【0028】
本体3には、ウエイト部6の下端に採水口20が開口し、他端が水出入り口12を介して貯水部9に連通する採水管(採水導入通路)21が設けられる。この採水管21は、採水口20からフィルタ部7内部のディスポフィルタ22に連通され、さらに、フィルタ部7から外部に導かれ、耐圧部10に設けられた第1の小型電磁弁(第1のバルブ)23を介して水出入り口12に接続される。採水管21は、内径2mm、外径4mmに形成され、図示しないテープによりウエイト部6と貯水部9とに取り付けられる。水出入り口12には、下端が貯水部9の下面に開口する導入管15が設けられる。第1の小型電磁弁23は外部からの制御信号により採水管21の連通を遮断できるようになっている。
【0029】
また、本体3には、下端がエア出入り口13に接続され、耐圧部10に設けられた第2の小型電磁弁(第2のバルブ)24を介して上方に延び、上端開口H1が地下水または外気と連通する空気抜き管(空気抜き通路)25が設けられる。空気抜き管25の上端開口H1は、地下水中にあってもよいし、地上の外気に達していてもよい。この空気抜き管25は、水の逆流を防止する逆流防止弁26を備えている。空気抜き管25は図示しないテープにより索条5に支持される。第2の小型電磁弁24は外部からの制御信号により空気抜き管25の連通を遮断できるようになっている。小型の電磁弁23、24を用いることにより、直径50mm程度の小径のボーリング孔4でも採水可能な大きさに本体3をコンパクト化することができる。
【0030】
ところで、耐圧部10の採水確認電極14と第1および第2の小型電磁弁23、24とはそれぞれ地上に配置された制御装置(制御手段)27と電気的に接続される。制御装置27は、電源28と電気的に接続される。制御装置27は、電源のオン・オフを行うとともに回す位置に応じて第1および第2の小型電磁弁23、24の開閉動作を行う制御スイッチ30と、制御スイッチ30がオンした際、点灯する電源灯31とを備えている。制御装置27には、採水確認電極14が動作すると点灯する動作確認灯(表示部)29が設けられる。採水確認電極14の動作による検知信号は採水完了の信号とみなされ、動作確認灯29の点灯は採水が完了したことを作業者に知らせるサインとなっている。制御装置27は、制御スイッチ30の押し回し位置に応じて第1および第2の小型電磁弁23、24をそれぞれ、あるいは同時に開閉動作させるようになっている。すなわち、地上で、本体3に採水を行う貯水部9がセットされると、貯水部9内部には外気が入っており、制御装置27を動作させ、第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じると、貯水部9内には、エアが閉じ込められる。この本体3が地下孔4の地下水内に吊り降ろされた状態で、制御装置27を動作させ、第1の小型電磁弁23を開くと、採水管21は貯水部9と外部の地下水とを連通するようになっている。また、本体3が地下水内にある状態で、制御装置27を動作させ、第2の小型電磁弁24を開くと、空気抜き管25は貯水部9と地下水または外気のいずれか一方とを連通させ、貯水部9内のエアを外部に排出するようになっている。さらに、貯水部9内に水が満ちた状態で制御装置27を動作させ、第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じると、採水サンプルとして採水された貯水部9内の水を閉じ込めるようになっている。
【0031】
すなわち、この採水装置2では、採水の際、空気の浮力と水圧差を駆動力に利用する構造となっている。まず、本体3を索条5により地下孔4内に吊り降ろし採水位置で停止させて、次に、制御装置27の動作により第1および第2の小型電磁弁23、24を開くと、貯水部9の中のエアには、水出入り口12とエア出入り口13との2つの方向から本体3の深度に対応した水圧がかかる。両電磁弁23、24を開にした直後、貯水部9の空気圧は水圧と平衡する。その後、貯水部9のエアは水中に置かれた空気と同じ状態となり浮力が生じる。この浮力によって貯水部9内のエアがエア出入り口13、空気抜き管25および逆流防止弁26を通じて水中に抜けることにより、貯水部9内のエアが抜けた後の空間を補償するため、採水口20から採水管21、水出入り口12および導入管15を通じて地下水が導入されるようになっている。
【0032】
次に、本発明の採水方法について、上記実施例に係る採水装置2の作用に基づいて説明する。まず初めに、地上で、本体3に、採水量が定められた所定のタイプの貯水部9をセットし、次に、貯水部9内部に不純物が付着していないのを確認すると、制御装置27により第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じ、貯水部9の内部にエアを閉じ込める(第1のステップ)。次に、この本体3を索条5により地下孔4内に吊り降ろし、採水を行おうとする地下水の所定の深さ位置(予め決められた深さ位置)で停止させ、制御装置27により第1および第2の小型電磁弁23、24を開き、貯水部9の内部のエアを空気抜き管25で外部に抜きつつ、採水管21を通じて水を貯水部9に導入する(第2のステップ)。このとき、採水される地下水はフィルタ部7のディスポフィルタ22を介して貯水部9に導入されるので、不純物が取り除かれた地下水が採水サンプルとして採取される。また、空気抜き管25の上端開口高さH1とエア出入り口13の深さ位置との間の距離により水の導入速度を変えることができるので、所望の導入速度に応じて空気抜き管25の上端開口高さH1を上下方向に調整するようになっている。そして、貯水部9内の水位が上昇し、水位が採水確認電極14に達すると、採水確認電極14は検知信号を制御装置27に送出し、制御装置27は、この検知信号に基づいて動作確認灯29を点灯させるとともに、第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じる。こうして、貯水部9に水が満たされると、この水は貯水部9内に閉じ込められ、採水サンプルの採取が完了する(第3のステップ)。制御装置27の動作確認灯29が点灯すると、地上では、採水完了とみなし本体3を索条5により引き上げる。本体3が地上に回収されると、採水サンプルを収容した貯水部9は本体3から取り外され、作業は完了する(第4のステップ)。
【0033】
このように、本実施例に係る採水装置2では、地上で第1第2の小型電磁弁23、24を開いて貯水部9内に外気を導入してこれら小型電磁弁23、24を閉じ、貯水部9を気室とした本体3を、索条5により地下孔4の地下水中に吊り降ろし、所定の深さ位置で第1第2の小型電磁弁23、24を開くと、貯水部内のエアが空気抜き管25を通じて外部に排出されるとともに、地下孔4内の地下水が採水口20から採水管21を通じて貯水部9に導入される。貯水部9内で水位が上昇し、採水確認電極14が水を検知すると採水確認電極14から検知信号が制御装置27に送出されて採水確認電極14の動作が表示される。表示された採水確認電極14の動作を確認すると、制御装置27により第1第2の小型電磁弁23、24を閉じ、貯水部9内に水を閉じ込める。貯水部9内に水が閉じ込められると、索条5により本体3を地上に引き上げるようになっている。このため、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔4の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確に採水することができる。
【0034】
また、本実施例に係る採水装置2を用いた採水方法では、第1のステップで、本体3の貯水部9にエアを密封して気室とし、第2のステップで、本体3を地下孔4内の所望の位置に吊り降ろして貯水部9に水を導入し、第3のステップで制御装置27により採水確認電極14の動作を確認すると、制御装置27により第1第2の小型電磁弁23、24を閉じて貯水部9を密閉し、第4のステップで本体3を回収するようになっている。このため、地上で、採水の深さ位置や採水のタイミングをコントロールすることができ、たとえ地下孔4の深度が深くても孔内の水を攪乱させることなく正確にかつ効率よく採水することができる。
【0035】
本実施例の構成に基づいて実機を製作し、実験したところ、地表から地下65m程度まで、水深20mまでの、深い地下水位を持つ地下水の採水が実現できた。また、採水速度については、採水口20の位置から空気抜き管25の上端開口H1までの鉛直方向の距離hを、例えば、h=16mの場合、採水速度は1.67ml/s、h=20mの場合、採水速度は1.89ml/sとなることが判明した。
【実施例2】
【0036】
次に、上記実施例の変形例について、図2に基づいて説明する。変形例に係る採水装置102は、本体3の下方に水質ゾンデ(水質測定器)130を備え、採水管121の採水口120が水質ゾンデ130のセンサ部131近傍まで下方に延びている点で上記実施例と異なっているものの、この点を除き実質的に同じ構成を備えている。この水質ゾンデ130は地上に設置されたモニター装置(表示装置)132と電気的に接続される。水質ゾンデ130は、図示しない絶縁テープにより本体3側と連結される。水質ゾンデ130は市販されているもので、センサ部131により検知された水深(水位)、水質(電気伝導度)、温度(水温)などのデータをモニター装置132に送出するようになっている。モニター装置132は、水質ゾンデ130から送られてくる水深、水質、温度などの各種データをモニター画面を通じてリアルタイムで表示するようになっている。このため、本体3を索条5により地下孔4内に吊り降ろして所望の深さ位置に導くのに、地上でモニター装置132により水質ゾンデ130により検知された水深、水質、水温等のデータを逐次観測しながら所望の位置に本体3を移動させることができる。このため、採水口120の位置が所望の水深や帯水層にあるかどうか一目で確認することができ、正確な採水サンプルを得ることができるとともに、採水作業が効率化される。この変形例に係る採水装置102を用いた採水方法では、地上でモニター装置132により水質ゾンデ130により検知された水深、水質、水温等のデータを逐次観測しながら所望の位置に本体3を移動させることができるので、これらのデータに基づいて索条5の吊り降ろし位置を決定した後、採水を行うようにすることができる。このため、採水口120の位置が所望の水深や帯水層にあるかどうか一目で確認することができ、採水口120の位置の決定を迅速に行うことができる。
【0037】
なお、上記各実施例に係る採水装置102では、制御装置27は採水確認電極14からの検知信号が送られてくると自動的に第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じるように構成されているがこれに限られるものではなく、動作確認灯29が点灯されると、作業員が手動で第1および第2の小型電磁弁23、24を閉じるようにしてもよい。また、上記各実施例では、ウエイト部6を設けているが、これに限られるものではなく、本体3の一部の重量を重くし、ウエイト部6の代わりとしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係る採水装置の構成図である。(実施例1)
【図2】図1の変形例に係る採水装置の構成図である。(実施例2)
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、従来の採水器を地下孔内に吊り降ろす状態を示す説明図および採水後、引き上げる状態を示す説明図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、従来のパッカーを用いて採水対象となる帯水層を限定する際、採水層の透水性が良好な場合を示す説明図および透水層の透水性が低い場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
2 採水装置
3 本体
4 地下孔
5 索条(昇降手段)
9 貯水部
14 採水確認電極(センサ)
20 採水口
21 採水管(採水導入通路)
23 第1の小型電磁弁(第1のバルブ)
24 第2の小型電磁弁(第2のバルブ)
25 空気抜き管(空気抜き通路)
27 制御装置(制御手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3