TOP > 国内特許検索 > 逆ミセルによる可溶化方法及び抽出方法 > 明細書

明細書 :逆ミセルによる可溶化方法及び抽出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4016092号 (P4016092)
公開番号 特開平10-231240 (P1998-231240A)
登録日 平成19年9月28日(2007.9.28)
発行日 平成19年12月5日(2007.12.5)
公開日 平成10年9月2日(1998.9.2)
発明の名称または考案の名称 逆ミセルによる可溶化方法及び抽出方法
国際特許分類 A61K   9/107       (2006.01)
A23L   1/035       (2006.01)
FI A61K 9/107
A23L 1/035
請求項の数または発明の数 4
全頁数 5
出願番号 特願平09-037242 (P1997-037242)
出願日 平成9年2月21日(1997.2.21)
審判番号 不服 2004-004222(P2004-004222/J1)
審査請求日 平成9年3月14日(1997.3.14)
審判請求日 平成16年3月3日(2004.3.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】市川 創作
【氏名】中嶋 光敏
【氏名】杉浦 慎治
【氏名】佐野 洋
【氏名】鍋谷 浩志
【氏名】関 実
【氏名】古崎 新太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100085257、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 有
【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
参考文献・文献 特開昭58-222014(JP,A)
特開平4-69340(JP,A)
Pharm. Pharmacol. Lett., Vol.5, No.1,(1995), p.28-31
Biotechnol. Bioeng., Vol.34, No.9, (1989), p.1140-6
調査した分野 A61K9/10-9/107
A61K47/12
A61K47/24
A23L1/035
A23D7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
油相に油溶性界面活性剤を添加して逆ミセルを生成し、この逆ミセル内のウォーター・プール若しくは逆ミセル界面に、油に対して難溶性若しくは非溶性を呈する物質を取り込み、当該物質を油相に対して可溶化せしめる方法において、前記油溶性界面活性剤として大豆フォスファチジルコリン1モルに対してオレイン酸を0.4モル以上4モル以下混合した生体由来の界面活性物質を、また油相として天然油脂またはその誘導体である脂肪酸エチルエステル類を用いることを特徴とする逆ミセルによる可溶化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の逆ミセルによる可溶化方法において、前記脂肪酸エチルエステル類がオレイン酸エチルエステル、リノール酸エチルエステル、リノレン酸エチルエステル、カプロン酸エチルエステルのいずれかであることを特徴とする逆ミセルによる可溶化方法。
【請求項3】
油相と水相とを接触せしめるとともに、油相に油溶性界面活性剤を添加して逆ミセルを生成し、水相中に存在する油に対して難溶性若しくは非溶性を呈する物質を、逆ミセル内のウォーター・プール若しくは逆ミセル界面に取り込むようにした抽出方法において、前記油溶性界面活性剤として大豆フォスファチジルコリン1モルに対してオレイン酸を0.4モル以上4モル以下混合した生体由来の界面活性物質を、また油相として天然油脂またはその誘導体である脂肪酸エチルエステル類を用いることを特徴とする逆ミセルによる抽出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の逆ミセルによる抽出方法において、前記脂肪酸エチルエステル類がオレイン酸エチルエステル、リノール酸エチルエステル、リノレン酸エチルエステル、カプロン酸エチルエステルのいずれかであることを特徴とする逆ミセルによる抽出方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体に対する適合性を有する逆ミセルを媒体として利用した可溶化方法と抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
油相に対して油溶性の界面活性剤を臨界ミセル濃度以上に添加すると、ナノメータ・スケールの極めて微細な分子集合体である逆ミセルが生成される。この逆ミセルを媒体として利用すれば、油相中にタンパク質、アミノ酸或いは親水性物質を可溶化せしめることが可能となるので、従来から研究がなされている。
【0003】
従来における逆ミセルの調製法としては、油相としてイソオクタンやヘキサン等の飽和炭化水素を用い、界面活性剤の第1の系としては、イオン性界面活性剤、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムまたは臭化エチルトリメチルアンモニウムが用いられ、界面活性剤の第2の系としてはソルビタン系界面活性剤と補助溶剤の混合物が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した逆ミセルの調製法において、界面活性剤の第1の系としてのイオン性界面活性剤や、界面活性剤の第2の系としてのソルビタン系界面活性剤に添加される補助溶剤には毒性のあるものが多く、食品に関連する分野では使用することができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明に係る逆ミセルによる可溶化方法若しくは抽出方法にあっては、界面活性剤として生体由来の界面活性物質を、また油相として天然油脂またはその誘導体を用いることで、生体に対する適合性を備えた逆ミセルを生成し、この逆ミセルを媒体として利用するようにした。
【0006】
生体由来の界面活性物質としては、リン脂質界面活性剤が、また天然油脂またはその誘導体としては、脂肪酸エチルエステル類が挙げられ、更に具体的には、リン脂質界面活性剤として、粗大豆レシチンまたは大豆フォスファチジルコリンと脂肪酸との混合物等が挙げられ、脂肪酸エチルエステルとして、オレイン酸エチルエステル、リノール酸エチル、リノレン酸エチルまたはカプロン酸エチルエステル等が挙げられる。
【0007】
特に、界面活性剤として大豆フォスファチジルコリンと脂肪酸との混合物を用いる場合には、大豆フォスファチジルコリン1モルに対してオレイン酸を0.4モル以上4モル以下とすることが好ましい。これは、オレイン酸のモル濃度が0.4モル未満だと逆ミセルの生成が不安定になり、4モルを超えると水の可溶化量が減少することによる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の一例について添付した図面に基づき説明する。ここで、図1は油相中に逆ミセルが分散している状態の概念図、図2は逆ミセルの拡大図である。
【0009】
図1に示すように、油相中に逆ミセルが分散している。逆ミセルは界面活性剤の分子の極性基が内側を向き、疎水基が外側を向くようにして、多数集合して形成されたものであり、その内部には小さなウォーター・プール(水相)が形成されている。
【0010】
逆ミセルは油相中に所定量(臨界ミセル濃度)以上の界面活性剤が溶解した場合に生成され、例えば粗大豆レシチンとオレイン酸エチルの系では、臨界ミセル濃度は室温において約6g/リットルであり、また油相として、カプロン酸エチルやリノール酸エチルを用いた場合でも5~10g/リットルで逆ミセルが形成される。
【0011】
そして、このような逆ミセルが分散しているミセルコロイドに、油に対して難溶性若しくは非溶性を呈する物質、例えばカテキン、酵素(タンパク質)或いは旨味成分(アミノ酸)等を直接、あるいは、その水溶液を接触(撹拌)、もしくは、注入させる。すると、タンパク質等は逆ミセルのウォーター・プール或いは可逆ミセル界面に取り込まれ、油相中に溶解せしめられる。
【0012】
ここで、タンパク質は逆ミセルに対して選択的に抽出(取り込み)される。即ち、逆ミセルよりも大きなタンパク質は抽出されず、また界面活性剤の電荷とタンパク質の電荷が引き合う場合にはよく抽出される。
【0013】
また、逆ミセルを利用したタンパク質の油相に対する溶解は、単に難溶性の物質を油に溶解させることができるだけでなく、水相中では活性酸素によって酸化されて失活しやすい物質を油中に溶解することで活性を長期間保持できる。したがって、酵素リパーゼを利用した油脂の改質反応には極めて有効である。
【0014】
図3は本発明の抽出方法、即ち、水相から油相に逆ミセルによってタンパク質が抽出されている状態の概念図であり、水相と油相とを界面に吸着した界面活性剤を介して接触せしめる。
【0015】
すると、水相中のタンパク質は、油相中に存在する逆ミセルのウォーター・プール或いは可逆ミセル界面に取り込まれ、油相中に抽出される。
【0016】
【発明の効果】
油相への親水性機能成分の可溶化媒体として、油相中での酵素反応の媒体として、或いは油相-水相の2相系における抽出媒体として、逆ミセルを利用するにあたり、当該逆ミセルを、リン脂質界面活性剤を脂肪酸エチルエステル(油相)に添加して調製するようにしたので、生体適合性を有し、食品の分野で有効に利用することができる。
【0017】
特に、リン脂質界面活性剤として、粗大豆レシチンまたは大豆フォスファチジルコリンと脂肪酸との混合物を用い、油相を構成する脂肪酸エチルエステルとして、オレイン酸エチル系、カプロン酸エチル系を用いることで、油相中に水を約5vol%程度まで均一に分散せしめることができるので、工業的な利用価値が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】油相中に逆ミセルが分散している状態の概念図
【図2】逆ミセルの拡大図
【図3】水相から油相に逆ミセルによってタンパク質が抽出されている状態の概念図
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2