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明細書 :透水試験機および透水試験方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4840812号 (P4840812)
公開番号 特開2008-046086 (P2008-046086A)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成20年2月28日(2008.2.28)
発明の名称または考案の名称 透水試験機および透水試験方法
国際特許分類 G01N  15/08        (2006.01)
FI G01N 15/08 C
請求項の数または発明の数 11
全頁数 16
出願番号 特願2006-224400 (P2006-224400)
出願日 平成18年8月21日(2006.8.21)
審査請求日 平成21年4月23日(2009.4.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】吉田 秀典
【氏名】井上 純哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100089222、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 康伸
【識別番号】100134979、【弁理士】、【氏名又は名称】中井 博
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開平07-198582(JP,A)
特開2001-116747(JP,A)
特開平07-306198(JP,A)
特開平05-099834(JP,A)
特開2001-349813(JP,A)
特開2005-291862(JP,A)
特開2000-009631(JP,A)
特開昭63-070712(JP,A)
岡井大八、水元桂輔、沢田好幸、畠山正則、利藤房男,高有機質土の大型圧密および水平排水圧密試験結果について,第31回地盤工学研究発表会-平成8年度発表講演集(2分冊の1)-,日本,社団法人 地盤工学会,1996年 5月25日,589-590
調査した分野 G01N15/00ー15/14
JSTPlus,JST7580
特許請求の範囲 【請求項1】
直方体に整形された試験体の表面に密着し該試験体を液密に密封した状態となるように覆い被加圧体を形成する、伸縮性を有する収容部材と、
前記被加圧体における互いに対向する一対の拘束面を、その法線方向の移動および変形を固定した状態で保持する拘束手段と、
前記被加圧体における前記一対の拘束面と異なる互いに対向する一対の圧縮面を、その面の法線方向に沿って圧縮する圧縮手段と、
前記被加圧体における一方の前記拘束面に液体を供給し、該被加圧体における他方の拘束面から排出される液体の流量を測定する透水手段とからなり、
前記拘束手段は、
前記一対の拘束面および前記一対の圧縮面と異なる面の法線方向の変形が非拘束の状態となるように、前記被加圧体を保持するものである
ことを特徴とする透水試験機。
【請求項2】
前記圧縮手段は、
前記被加圧体に発生するひずみに基づいて圧縮力を制御するものである
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項3】
前記圧縮手段は、
前記被加圧体の一対の圧縮面を、その法線方向の変形を制御した状態で保持しつつ、その面の法線方向に沿って圧縮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項4】
前記圧縮手段は、
前記被加圧体の一対の圧縮面のうち、一方の圧縮面をその法線方向の変形を制御した状態で保持しつつ、他方の圧縮面における一部の領域を押圧するように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項5】
前記被加圧体における前記一対の拘束面および前記一対の圧縮面と異なる一対の加圧面を、その法線方向の変形を非拘束の状態で保持しつつ、その法線方向に沿って加圧する加圧手段を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項6】
前記加圧手段は、
前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮している間、該被加圧体における一対の加圧面に加わる圧力が一定圧力となるように調整されている
ことを特徴とする請求項5記載の透水試験機。
【請求項7】
前記収容部材と前記試験体との間に、両者の間を液密に密封する密封材が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項8】
前記透水手段は、
前記被加圧体における前記収容部材と、該被加圧体の一対の拘束面に対応する前記試験体の面との間に、該試験体の面内における水頭が均一になるように調整する水頭調整部材を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の透水試験機。
【請求項9】
請求項1記載の透水試験機において、
前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮したときにおいて、前記一対の拘束面に加わる圧力が、該圧縮手段から前記一対の圧縮面に加わる圧力よりも小さくなるように、前記圧縮手段から前記被加圧体に対して加わる圧力を調整する
ことを特徴とする透水試験方法。
【請求項10】
請求項5記載の透水試験機において、
前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮したときにおいて、前記一対の拘束面に加わる圧力が、該圧縮手段から前記一対の圧縮面に加わる圧力よりも小さく、前記加圧手段から前記一対の加圧面に加わる圧力よりも大きくなるように、前記圧縮手段から前記被加圧体に対して加わる圧力、および、前記加圧手段から前記被加圧体に対して加わる圧力を調整する
ことを特徴とする透水試験方法。
【請求項11】
前記試験体は、
互いに平行な一対の面間を貫通する貫通部が形成されており、
該一対の面と対応する前記被加圧体における一対の面が、前記拘束面となるように収容部材に収容されている
ことを特徴とする請求項9または10記載の透水試験方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、透水試験機および透水試験方法に関する。従来から、土、岩石、コンクリート等の材料の透水性を測定することが行われている。かかる透水性を測定する目的は、主としてビル等の建造物の建設中における出水や建設当初のダム等における貯水性の評価やトンネル等の地下空洞の掘削中における出水等の現象を把握するためであった。
近年、放射性廃棄物を地層処分、つまり、地中の岩盤等に埋設して処分することが検討されている。かかる岩盤中に放射性廃棄物を処分する場合、最終的な防御壁は地下水を含む岩盤となる。なぜなら、放射性廃棄物から核種が最終防御壁である岩盤まで漏洩しても、岩盤中の水の移動が緩慢であれば漏洩核種が生態圏まで到達するまでに放射性レベルが低下し、生物種へ影響を与えるという危険性が低下するからである。しかしながら、岩盤に亀裂が発生する、あるいは既に岩盤中に存在していた亀裂が成長すると、岩盤基質部が低透水性物質であっても、こうした亀裂を介して水が拡散する可能性がある。そこで、どのぐらいの期間でどの程度岩盤から水がしみ出すかを把握する必要があるが、かかる水のしみ出しを評価するには、100年後、1000年後、そして10000年後における岩盤の透水性やその経年変化を把握しなければならない。
本発明は、かかる岩盤などを構成する人工岩石や天然岩石、ダム底あるいは堰堤における岩盤、原子力発電所等の建築物に使用される材料の透水性やその経年の変化を把握するための透水試験機および透水試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、土砂等の試験体に負荷が加わった際の透水性を測定する試験装置が開発されている(例えば特許文献1,2)。
特許文献1の試験装置は、ドーナッツ状の圧密リング内に試験体を配置した状態で、圧密リング内の試験体を軸方向から加圧体によって加圧し、加圧方向から土砂等に加圧水を供給して、加圧方向における透水性を測定するものである。
【0003】
また、特許文献2には、立方体に成形された試験体を、試験体の各面にそれぞれ配置された加圧板によって囲んで密封し、この加圧板内に密封された試験体の透水性を測定する装置が開示されている。この装置では、加圧板内に密封された試験体を、加圧容器内で中心方向に押圧されるように加圧した状態で保持し、この試験体に加圧水を供給することによって透水性を測定することができる。そして、特許文献2には、試験体の各面と加圧板との間に試験体の各面を複数の区画に仕切る止水板が設けられているので、試験体の所望の区画に加圧水を供給しかつ所望の区画から加圧水を排水させれば、試験体内の所望の方向における透水性を把握することができる旨の記載がある。
【0004】
ところで、試験体の100年後、1000年後、そして10000年後における透水性能を評価するには、亀裂等の不連続面が透水性に与える影響を時間連続的に把握しなければならないが、特許文献1,2の装置ではかかる試験体の透水性の時間変化を測定することはできない。
【0005】
まず、試験体を加圧した場合、加圧方向(図4ではP1)と直交する方向に沿って不連続面が形成されるのであるが(図4(B)参照)、不連続面が形成されると水は不連続面に沿って流れようとする。このため、不連続面の発生成長による透水性の変化を評価するには、不連続面に沿った方向(図4(B)では紙面に直交する方向)から水を供給排出しなければならない。言い換えれば、加圧方向と直交する方向から水を供給排出しなければならないのである。
【0006】
しかるに、特許文献1の装置では加圧方向から加圧水を供給するように構成されているため、試験体中に不連続面が存在していたとしても、不連続面に沿った方向から水を供給することができない。したがって、不連続面が透水性に与える影響を正確に把握することはできない。
しかも、特許文献1の装置では、加圧体および濾過板によって試験体の上下両面は平面に維持されるように構成されており、また、試験体の側面は圧密リングの内面と接しておりその法線方向における移動変形ができない。したがって、特許文献1の装置では、試験体を圧縮することはできても不連続面を発生させることはできないのであるから、不連続面の発生による透水性の変化や、不連続面の成長に伴う透水性の変化を確認することはできない。
【0007】
また、特許文献2の装置は、試験体の所望の面から水を供給し所望の面から排出することが可能であるから、既に不連続面が存在している試験体であってその不連続面の位置および方向が分かっていれば、その不連続面に沿った方向の透水性を把握することも可能である。
しかし、科学的には、試験体の全ての面に同じ加圧力が加わる、つまり、試験体に静水圧が作用しても、材料は破壊には至らないことが知られている。すると、特許文献2の装置では、試験体の全ての面に同じ加圧力が加わるように構成されているので、既に存在する不連続面を閉塞させることはできても不連続面を成長させることは困難である。
また、特許文献2の装置では、全方向から同じ圧力で圧縮する(静水圧を作用する)ことしかできないし、しかも、試験体の全ての面が鋼板等の剛性の高い加圧板によって囲まれており試験体の全ての面はその変形が固定されている。すると、特許文献2の装置では、試験体中に新たな不連続面を発生させたり、既に存在する不連続面を成長させたりすること自体が非常に難しい。
したがって、特許文献2の装置を使用しても、亀裂の発生による透水性の変化や、亀裂の成長に伴う透水性の変化を確認することは非常に困難である。
【0008】

【特許文献1】特開昭63-70712号
【特許文献2】特開平7-198582号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、亀裂等の不連続面の発生成長による透水性の変化を、簡単かつ確実に、時間連続的に把握することができる透水試験機および透水試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の透水試験機は、直方体に整形された試験体の表面に密着し該試験体を液密に密封した状態となるように覆い被加圧体を形成する、伸縮性を有する収容部材と、前記被加圧体における互いに対向する一対の拘束面を、その法線方向の移動および変形を固定した状態で保持する拘束手段と、前記被加圧体における前記一対の拘束面と異なる互いに対向する一対の圧縮面を、その面の法線方向に沿って圧縮する圧縮手段と、前記被加圧体における一方の前記拘束面に液体を供給し、該被加圧体における他方の拘束面から排出される液体の流量を測定する透水手段とからなり、前記拘束手段は、前記一対の拘束面および前記一対の圧縮面と異なる面の法線方向の変形が非拘束の状態となるように、前記被加圧体を保持するものであることを特徴とする。
第2発明の透水試験機は、第1発明において、前記圧縮手段は、前記被加圧体に発生するひずみに基づいて圧縮力を制御するものであることを特徴とする。
第3発明の透水試験機は、第1発明において、前記圧縮手段は、前記被加圧体の一対の圧縮面を、その法線方向の変形を制御した状態で保持しつつ、その面の法線方向に沿って圧縮するように構成されていることを特徴とする。
第4発明の透水試験機は、第1発明において、前記圧縮手段は、前記被加圧体の一対の圧縮面のうち、一方の圧縮面をその法線方向の変形を制御した状態で保持しつつ、他方の圧縮面における一部の領域を押圧するように構成されていることを特徴とする。
第5発明の透水試験機は、第1発明において、前記被加圧体における前記一対の拘束面および前記一対の圧縮面と異なる一対の加圧面を、その法線方向の変形を非拘束の状態で保持しつつ、その法線方向に沿って加圧する加圧手段を備えていることを特徴とする。
第6発明の透水試験機は、第5発明において、前記加圧手段は、前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮している間、該被加圧体における一対の加圧面に加わる圧力が一定圧力となるように調整されていることを特徴とする。
第7発明の透水試験機は、第1発明において、前記収容部材と前記試験体との間に、両者の間を液密に密封する密封材が設けられていることを特徴とする。
第8発明の透水試験機は、第1発明において、前記透水手段は、前記被加圧体における前記収容部材と、該被加圧体の一対の拘束面に対応する前記試験体の面との間に、該試験体の面内における水頭が均一になるように調整する水頭調整部材を備えていることを特徴とする。
第9発明の透水試験方法は、第1発明の透水試験機において、前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮したときにおいて、前記一対の拘束面に加わる圧力が、該圧縮手段から前記一対の圧縮面に加わる圧力よりも小さくなるように、前記圧縮手段から前記被加圧体に対して加わる圧力を調整することを特徴とする。
第10発明の透水試験方法は、第5発明の透水試験機において、前記圧縮手段によって前記被加圧体を圧縮したときにおいて、前記一対の拘束面に加わる圧力が、該圧縮手段から前記一対の圧縮面に加わる圧力よりも小さく、前記加圧手段から前記一対の加圧面に加わる圧力よりも大きくなるように、前記圧縮手段から前記被加圧体に対して加わる圧力、および、前記加圧手段から前記被加圧体に対して加わる圧力を調整することを特徴とする。
第11発明の透水試験方法は、第9または第10発明の透水試験機において、前記試験体は、互いに平行な一対の面間を貫通する貫通部が形成されており、該一対の面と対応する前記被加圧体における一対の面が、前記拘束面となるように収容部材に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、被加圧体が伸縮性を有する収容部材によって試験体を覆って形成されており、被加圧体は、一対の拘束面の移動および変形が固定される。しかも、一対の拘束面および一対の圧縮面とは異なる面では、その法線方向の変形が非拘束となるので、圧縮手段によって被加圧体を圧縮すれば、試験体が変形して、試験体中に一対の拘束面を繋ぐように不連続面を発生させることができる。よって、不連続面の発生に起因する拘束面間の透水性の変化を正確に把握することができる。
第2発明によれば、圧縮力をひずみに基づいて制御しているから、不連続面が発生したときに、試験体の破壊が急激に進行することを防ぐことができる。このため、不連続面が発生した後、不連続面を徐々に成長させることが可能となるから、不連続面の成長による透水性の変化を時間連続的に把握することができる。
第3発明によれば、圧縮面におけるその法線方向の変形が制御されているから、加圧体に載荷した圧力を被加圧体全体に均等に載荷することができる。よって、被加圧体に偏差的な応力が発生することを防ぐことができるから、不連続面の発生する位置をコントロールすることができる。
第4発明によれば、他方の圧縮面の一部に強い圧縮力が加わった場合における不連続面の発生を再現できるので、かかる場合における透水性の変化を把握することができる。
第5発明によれば、加圧面の法線方向の変形が非拘束、つまり、加圧面の法線方向の変形が自由であるから、不連続面の発生やその成長による試験体の変形を妨げない。しかも、ある程度の加圧力を加圧面に加えることができるから、試験体が脆性的に破壊することを防ぐことができ、安定的に不連続面を進展させることができる。
第6発明によれば、圧縮手段による圧縮力を把握するだけで実験条件を所望の状況に変化させることができるので、試験を容易かつ正確に行うことができる。
第7発明によれば、密封材により、収容部材と試験体との間を通って水が流れること防ぐことができるから、不連続面が形成されたときに、その不連続面が透水性に与える影響を正確に把握することができる。
第8発明によれば、水頭調整部材を設けることによって試験体に供給される水の流れを安定にすることができるから、試験の再現性などを高めることが可能となる。
第9発明によれば、圧縮手段によって圧縮されたときに、拘束面に加わる圧力が、圧縮面に加わる圧力よりも小さくなるように調整されており、しかも、拘束面は変形が固定されているから、亀裂等の不連続面は、常に、一対の拘束面間を貫通するように形成される。すると、不連続面を、試験体に対して水を供給する方向と常に平行になるように形成させることができるので、不連続面の発生に起因する透水性の変化を正確に把握することができる。
第10発明によれば、圧縮手段によって圧縮されたときに、拘束面に加わる圧力が、圧縮面に加わる圧力よりも小さくかつ加圧面に加わる圧力よりも大きくなるように調整されている。しかも、圧縮面で変位が制御され、さらに拘束面は変形が固定されているから、亀裂等の不連続面は、常に、一対の加圧面間を繋ぎ、かつ、一対の拘束面間を貫通するように形成される。すると、試験体に対して水を供給する方向と不連続面とが常に平行になるので、不連続面の発生に起因する透水性の変化を正確に把握することができる。そして、加圧面はその法線方向の変形が自由であるから、亀裂等の不連続面の発生やその成長による試験体の変形を妨げない。よって、圧縮量を変化させて試験体の変形を大きくすれば不連続面を成長させることも可能であるから、亀裂等の不連続面の成長による透水性の変化を時間連続的に把握することができる。
第11発明によれば、貫通部が存在する場合における不連続面の発生成長を実現できるので、その不連続面の発生成長に起因する透水性の変化を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態の透水試験機は、岩石、砂礫、粘土と言った地盤材料やコンクリートといったセメント系材料等の試験体の透水性を測定する装置であって、平面ひずみ圧縮試験を行うことによって、平面ひずみ試験体の所定の方向に沿って亀裂等の不連続面を発生させ、その不連続面が透水性に与える影響を把握できるようにしたことに特徴を有している。
【0013】
まず、透水試験機を説明する前に、平面ひずみ試験体およびこの平面ひずみ試験体を使用して不連続面の発生方向を制御する原理を説明する。
【0014】
図4および図5は本実施形態の透水試験機10により、平面ひずみ試験体EMに加わる力の概略説明図である。同図において、符号EMは、平面ひずみ試験体を示している。この平面ひずみ試験体EM(以下、単に試験体EMという)は、透水性試験を行いたい材料を直方体に形成したものである。つまり、試験体EMとは、互いに直交する3つの面A,B,Cと、これら3つの面と互いに平行な面A´,B´,C´とを有する6面体であり、立方体も含んでいる。
なお、試験体EMは、上記のごとき6面体であれば、その内部に亀裂等の欠陥が存在していてもよい。例えば、互いに平行な一対の面(例えば、面B、B´)間を貫くような不連続面や貫通孔等が存在しているものでもよい。
【0015】
図4に示すように、上記のごとき、試験体EMに対して、一対の面A,A´に対して圧力P1を加え、一対の面B,B´に対して圧力P1よりも小さい圧力P2を加える。すると、試験体EM中は割裂破壊し、その破壊は一般的には脆性的に進展する。このとき、試験体EMには、面Aから面A´に向かってほぼ直線的な不連続面が形成される。しかも、一般的にこの不連続面は、その不連続面が面B,B´を貫くように形成される。
とくに、図5に示すように、一対の面C,C´に対しても圧力P3を加え、かつ、各面に加える圧力の大きさが、P1>P2>P3となるようにすると、試験体EMはせん断破壊し、不連続面が面Cから面C´に向かって斜めに形成される。そして、この不連続面も面B,B´を貫くように形成される。
つまり、試験体EMの各面に加える圧力の大きさが所定の状態となるように調整すれば、試験体EMに発生する不連続面の発生する方向を制御することができるのである。
なお、試験体EMに亀裂等の欠陥が存在している場合には、試験体EMを加圧して既存の欠陥の成長を制御し、新しい不連続面の発生方向を制御することも可能である。
【0016】
上記のごとき試験体EMは、そのまま本実施形態の透水試験機10によって透水試験が行われるのではなく、以下のごとき状態で試験が行われる。
図1および図2において符号1は、本実施形態の透水試験機10によって実際に加圧される被加圧体を示している。
図2に示すように、被加圧体1は、試験体EMを収容部材2内に収容したものであり、試験体EMは収容部材2によって外部から液密に密封されている。図1でいえば、被加圧体1を透水試験機10に取り付けた状態において、耐圧容器11の中空空間11hから液密に隔離されるように、試験体EMは収容部材2によって覆われているのである。
収容部材2には、例えば、透水性能が極めて低く、かつ,試験体EMを隙間無く包み込むという条件が課せられることから、ゴム類のように極めて大きな伸縮性を有する素材、例えばジオメンブレン等が使用される。この収容部材2は伸縮性を有しているから、試験体EMの表面には収容部材2が密着した状態、つまり、試験体EMの表面と収容部材2との間に隙間ができない状態となるように試験体EMが収容部材2に収容された被加圧体1を構成することができるのである。
【0017】
なお、試験体EMの表面と収容部材2が密着した状態とは、試験体EMの表面と収容部材2とが直接接触している状態に限られず、試験体EMの表面と収容部材2との間に水等の液体が流れない隙間ができないようになっていればよく、後述するように、試験体EMの表面と収容部材2との間に水頭調整部材35やグリース等を配置している状態も含む概念である。
さらになお、試験体EMを覆う収容部材2は一枚である必要はなく、試験体EMを外部から液密に密封できるのであれば、複数枚の収容部材2によって試験体EMを覆ってもよい。とくに、後述する拘束用部材15等のような被加圧体1に接触する部材を収容部材2によって試験体EMとともに覆っておけば、試験体EMを耐圧容器11の中空空間11hから、より確実に液密に隔離することができる。
さらになお、試験体EMを収容部材2内に収容した状態の被加圧体1を透水試験機10に取り付けてもよいし、また、透水試験機10に取り付けるときに試験体EMを収容部材2内に収容するようにしてもよい。
【0018】
また、図2に示すように、試験体EMを覆っている収容部材2には、孔2cが2箇所形成されている。そして、収容部材2は、2つの孔2cが、試験体EMにおける一対の面B,B´を覆っている部分に配設されるように試験体EMを収容している。この2つの孔2cのうち、一方の孔2cには後述する透水手段30の流体供給部31から水が供給され、他方の孔2cから流量検出部33に対して水を排出できるように構成されている。つまり、収容部材2は、試験体EMを外部から液密に密封しているものの、収容部材2の2つの孔2cを通して、試験体EMに対して外部から水を供給したり排出したりできるように構成されているのである。
【0019】
そして、試験体EMにおける一対の面B,B´と収容部材2との間、言い換えれば、収容部材2の孔2cと試験体EMにおける一対の面B,B´との間には、濾紙等の透水手段30の水頭調整部材35がそれぞれ設けられている。
このため、孔2cから水頭調整部材35に対して水が供給されると、水頭調整部材35によって試験体EMにおける一対の面B,B´の面内における水頭が均一になるように調整される。すると、収容部材2の孔2cから水を供給したときに、収容部材2と試験体EMにおける一対の面B,B´との間との間に水の局所的な流れが発生することを防ぐことができるので、一対の面B,B´に供給される水の流れを均一かつ安定な状態とすることができ、再現性の高い実験を確保できる。
【0020】
しかも、試験体EMと収容部材2との間には、高真空グリース等の密封材3が塗布されている。すると、収容部材2の一方の孔2cから供給された水が、収容部材2と試験体EMとの間を通って他方の孔2cに向かって流れること防ぐことができる。つまり、供給された水が試験体EMの中を通過せず、試験体EMの外を流れること防ぐことができるから、試験体EMの透水試験を精度よく行うことができる。
【0021】
なお、上記の被加圧体1において、試験体EMにおける一対の面A,A´、一対の面B,B´および一対の面C,C´に対応する面を、以下では、それぞれ、圧縮面1A,1A´、拘束面1B,1B´、加圧面1C,1C´で示す。
【0022】
つぎに、上記のごとき被加圧体1を使用して、試験体EMの透水性を測定する本実施形態の透水試験機10を説明する。
図1において、符号11は本実施形態の透水試験機10の耐圧容器を示している。この耐圧容器11は、平坦面に形成された背部12aおよび円筒状の胴部12bからなる収容体12と、この収容体12の前面に取り付けられる蓋体13とから構成されている。そして、耐圧容器11は、蓋体13を収容体12に取り付けると、両者の間に外部から液密に密閉された中空空間11hが形成されるように構成されている。この耐圧容器11は、例えば、ステンレスやCr‐Mo鋼等のように試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成されており、背部12aの内面は平坦な面に形成されている。
なお、背部12aには、透水手段30の流量検出部33に連通された排水孔12cが形成されているが、詳細は後述する。
【0023】
前記耐圧容器11の中空空間11h内には、被加圧体1を載せるためのテーブル11tが設けられている。このテーブル11tは、例えば、ステンレスやCr‐Mo鋼等のように試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成されており、その上面が前記背部12aの内面と直交する平坦面に形成されている。
このため、前記被加圧体1をテーブル11tに載せれば、被加圧体1を、その直交する2面がテーブル11tの上面と収容体12の背部12aの両方に面接触した状態となるように設置することができる。
【0024】
なお、実際の透水試験を行う際には、前記被加圧体1を、その圧縮面1A´がテーブル11tの上面に接触し、被加圧体1の拘束面1B´が収容体12の背部12aに面接触するように配置するので、以下では、上記状態で被加圧体1が配置されていることを前提として説明する。
【0025】
図1に示すように、耐圧容器11の中空空間11h内において、耐圧容器11の収容体12の背部12aに対して前方(図1(A)では左方)に、拘束用部材15が設けられている。この拘束用部材15は、例えば、ステンレス板やCr‐Mo鋼等のように試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成されており、背部12aと対向する面(以下、単に背面という)が平坦な面に形成されている。
耐圧容器11内には、拘束用部材15の移動を固定する固定用部材が設けられている。この固定用部材は、拘束用部材15の背面を背部12a内面と平行を保った状態でその移動を固定できるように構成されている。
【0026】
このため、前記被加圧体1をテーブル11tの上面に配置し、拘束用部材15の背面を被加圧体1の拘束面1Bに面接触させ、その状態で固定用部材により拘束用部材15の移動を固定すれば、被加圧体1を、拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間に挟んだ状態で固定することができる。
しかも、被加圧体1に接触している部材、つまり、収容体12、テーブル11tおよび拘束用部材15は全て移動が固定されており、また、試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成されているから、被加圧体1の圧縮面1A´、一対の拘束面1B,1B´はその法線方向の移動及び変形が固定されるのである。
上記の拘束用部材15、収容体12の背部12aおよび固定用部材が、特許請求の範囲における拘束手段に相当する。
【0027】
上記の固定用部材は、背部12a内面に立設された複数本のネジ軸と、この複数本のネジ軸に螺合させたナットによって構成することができる。この場合、拘束用部材15に複数本ネジ軸と対応する貫通孔を形成しておき、拘束用部材15の貫通孔に複数本のネジ軸を通した状態でネジ軸の軸方向の前後からナットで拘束用部材15を挟めば、拘束用部材15の移動を固定することができる。
なお、実際の透水試験を行う際には、拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間に被加圧体1が配置されるので、拘束用部材15をネジ軸の軸方向の前後からナットで挟まなくてもよい。つまり、被加圧体1が存在する場合、収容体12の背部12aに向かう方向への拘束用部材15の移動は被加圧体1によって制限される。すると、収容体12の背部12aから離れる方向に拘束用部材15が移動しないようにナットを締め付けるだけで、拘束用部材15の移動を固定することができる。
なお、固定用部材は上記のごとき構成に限られず、拘束用部材15を収容体12の背部12aに向けて接近離間させることができ、かつ、所定の位置で拘束用部材15の移動を固定できるものであればよく、例えば、シリンダ等も採用することができる。
【0028】
図1に示すように、耐圧容器11の中空空間11h内において、前記テーブル11tの上方には、例えば、ステンレスやCr‐Mo鋼等のように試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成された、圧縮手段20の圧縮用部材21が設けられている。この圧縮用部材21は、例えば板状の部材であって、そのテーブル11tの上面と対向する面(以下、単に下面という)が平坦面に形成されている。
また、この圧縮用部材21は、その下面がテーブル11tの上面と平行となるように圧縮手段20の圧縮力発生機22に取り付けられている。この圧縮力発生機22は、例えば、油圧シリンダであり、圧縮用部材21の下面をテーブル11tの上面と平行に保ったまま、圧縮用部材21をテーブル11tの上面の法線方向に沿って移動させることができるように構成されている。
そして、圧縮用部材21と圧縮力発生機22との間には、一般にロードセルのように圧縮力発生機22から圧縮用部材21に加えられる圧力や、被加圧体1のひずみを検出することができる検出機23が設けられている。
【0029】
このため、圧縮力発生機22を作動させて圧縮用部材21をテーブル11tに対して接近させれば、テーブル11tに載せられた被加圧体1を、圧縮用部材21とテーブル11tとの間に挟んで圧縮することができる。そして、検出機23によって被加圧体1の圧縮面1Aに加わる圧力や被加圧体1に発生するひずみを検出機23によって検出できるから、圧縮用部材21から被加圧体1に加わる圧力を調整することができる。
具体的には、圧縮力発生機22を制御して、被加圧体1に加える圧力を、被加圧体1に発生するひずみが一定となるように調整したり、被加圧体1に対して一定の圧力が加わるように調整したりすることができるのである。とくに、被加圧体1に加える圧力を被加圧体1に発生するひずみが一定となるように調整した場合には、被加圧体1に不連続面が発生したときに、不連続面が急激に成長することを防ぐことができ、不連続面を徐々に成長させることができる。
【0030】
また、この圧縮用部材21は、被加圧体1の圧縮面1Aとほぼ同一の形状に形成されている。そして、圧縮用部材21の前後方向の長さ(図1(A)では左右方向の長さ)は、拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間に被加圧体1を挟んだときにおける、拘束用部材15の背面と収容体12の背部12a内面との距離L1と同じもしくは僅かに短くなるように形成されている。言い換えれば、圧縮用部材21の前後方向の長さは、被加圧体1の一対の拘束面1B,1B´の間の間隔と同じ、もしくは一対の拘束面1B,1B´の長さよりも僅かに短くなるように形成されている。
このため、被加圧体1を拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間に挟んだ状態でも、圧縮用部材21を拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間を移動させてテーブル11tに対して接近させることができるから、圧縮手段20によって被加圧体1を圧縮することができるのである。
【0031】
また、圧縮用部材21が被加圧体1の圧縮面1Aとほぼ同一の大きさかつ同一の形状に形成されているので、圧縮用部材21の下面によって被加圧体1の圧縮面1A全面を加圧することができる。しかも、圧縮用部材21は試験体EMよりも剛性が高い材料によって形成されているから、圧縮用部材21によって被加圧体1を圧縮したときに、被加圧体1の圧縮面1Aをその法線方向の変形を制御した状態で移動させることができるのである。
なお、被加圧体1の圧縮面1Aの法線方向の変形を制御した状態で移動させるとは、圧縮面1Aを平面に維持したまま移動させることを意味している。
【0032】
なお、圧縮用部材21は、拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間を移動してテーブル11tに対して接近することができるものであればよく、その面積が被加圧体1の圧縮面1Aよりも小さいものや、被加圧体1の圧縮面1Aと異なる形状を有するものでもよい。この場合、被加圧体1の圧縮面1Aにおいて圧縮用部材21を移動させたときに圧縮力が加わらない場所ができるので、被加圧体1の圧縮面1Aに不均一な荷重が加わる場合における透水性の変化を確認することも可能である。
【0033】
また、図1に示すように、上記の耐圧容器11には、その中空空間11h内に所定の圧力に調整された水を供給するための、加圧手段40の液体供給手段41が接続されている。そして、この液体供給手段41と耐圧容器11とを接続する配管には、中空空間11h内を一定の圧力に維持しておくための、例えば、差圧弁等の圧力調整器42が設けられている。
このため、液体供給手段41から中空空間11h内に流体を供給し流体で充満させ、中空空間11h内を所定の圧力まで上昇させれば、流体から被加圧体1に所定の圧力を加えることができるのである。
そして、被加圧体1が、上述した拘束用部材15と収容体12の背部12aとの間に挟まれ、かつ圧縮用部材21とテーブル11tとの間に挟まれている状態では、一対の加圧面1C,1C´にのみ所定の圧力が加わることになる。しかも、被加圧体1の一対の加圧面1C,1C´は中空空間11h内の水としか接触しないので、一対の加圧面1C,1C´はその法線方向に自由に移動及び変形できる状態で保持される。
【0034】
図3は本実施形態の透水試験機10の要部拡大断面図である。同図に示すように、前記拘束用部材15には給水孔15cが形成されている。この給水孔15cの一端は、拘束用部材15の被加圧体1側の面に開口しており、その開口部にはポーラス15dが配設されている。そして、給水孔15cは、被加圧体1を拘束用部材15によって拘束したときに、その開口が被加圧体1の面1Bの孔2cと対応する位置に配置できるように形成されている。
一方、給水孔15cの他端は、ソケット32aおよび配管32を介して流体供給部31に接続されている。この流体供給部31は所定の圧力を有する水を供給することができるものである。
【0035】
また、耐圧容器11の収容体12の背部12aには、排水孔12cが形成されている。この排水孔12cの一端は、背部12a内面に開口しており、その開口部にはポーラス12dが配設されている。そして、背部12aは、被加圧体1を拘束用部材15によって拘束したときに、その開口が被加圧体1の面1B´の孔2cと対応する位置に配置できるように形成されている。
一方、排水孔12cの他端は、ソケット34aおよび配管34を介して流量検出部33に接続されている。この流量検出部33は、配管34から供給される流体の流量、言い換えれば、試験体EMから排出される流体の流量を測定するものである。
【0036】
このため、流体供給部31から所定の圧力(例えば、給水孔15cと排水孔12cとの間の圧力差が100kPa~200kPa程度となる圧力)の水を給水孔15cに供給すると、被加圧体1の面1B側の水頭調整部材35を介して試験体EMに水が供給され、試験体EMを透過した水は被加圧体1の面1B´側の水頭調整部材35を介して排水孔12cから排出され、流量検出部33に送られる。
すると、試験体EMにおける一対の拘束面1B,1B´を透過する液体の流量を流量検出部33によって測定できるから、試験体EMの透水性を測定することができる。
【0037】
なお、透水試験を開始する前には、流体供給部31と面Bとの間に位置する配管32や水頭調整部材35、および、流量検出部33と面B´との間に位置する配管34や水頭調整部材35には、透水試験時に流体供給部31から供給される水よりも低圧の水によって満たされている。これは、試験体EMにおける一対の面B,1B´を透過する液体の量が、両面に加わっている流体圧力の差に応じて決定されるようにするためある。その理由は、試験体EMの透水係数を導出するには導水勾配と流量を同定する事が必要だからである。
さらになお、配管32および配管34はバキュームポンプに着脱可能に設けられているので、バキュームポンプによって配管32や水頭調整部材35等の内部および配管34や水頭調整部材35等の内部を真空状態にすることができ、これらの内部を真空状態に保たってから水を満たすように構成されている。このため、配管32や水頭調整部材35等の内部および配管34や水頭調整部材35等内に気泡などが存在しないように水を満たすことができるから、試験体EMの透水性を正確に測定することができる。
【0038】
つぎに、本実施形態の透水試験機10によって試験体EMの透水性を測定する作業を説明する。
まず、耐圧容器11の収容体12に設けられているテーブル11t上に、被加圧体1を配置する。このとき、被加圧体1は、その圧縮面1A´がテーブル11tの上面に接触し、その拘束面1B´が収容体12の背部12aに面接触するように配置する。このとき、排水孔12cとと被加圧体1の面1B´の孔2cとが対応するように被加圧体1を配置する。
【0039】
なお、テーブル11t上に被加圧体1を配置するときに、被加圧体1の大きさに合わせて、被加圧体1とテーブル11tの上面との間にスペーサを設けてもよい。この場合、使用するスペーサは、試験体EMよりも剛性が高い材料であり、しかも、その上面と底面が互いに平行な平坦面のものを使用すれば、テーブル11t上に直接の配置した場合とほぼ同じ状態で被加圧体1を圧縮することができる。
【0040】
ついで、圧縮力発生機22によって圧縮用部材21を移動させて、圧縮用部材21の下面を被加圧体1の圧縮面1Aに面接触させる。このとき、圧縮用部材21は、その下面が被加圧体1の圧縮面1Aに接触しているが圧縮力は発生していない状態で保持される。
【0041】
圧縮用部材21とテーブル11tとの間に被加圧体1が挟まれると、拘束用部材15を、その背面が被加圧体1の拘束面1Bに接触した状態となるように設置し、固定用部材によってその移動を固定する。このとき、拘束用部材15の給水孔15cと被加圧体1の面1Bの孔2cとが対応するように被加圧体1を固定する。
【0042】
拘束用部材15を設置すると、液体供給手段41から耐圧容器11の中空空間11h内に流体を供給し中空空間11h内を所定の圧力となるまで加圧する。例えば、中空空間11h内が2MPaとなるまで加圧した水を供給する。
同時に、流体を供給しながら圧縮力発生機22によって圧縮用部材21を移動させて被加圧体1を圧縮する。このとき、圧縮力発生機22および液体供給手段41を調整し、被加圧体1の一対の拘束面1B,1B´に加わる圧力の大きさが、圧縮面1Aに加える圧力より小さく、一対の加圧面1C,1C´に加わる液圧よりも大きくなるようにする。
【0043】
具体的には、圧縮面1Aに加える圧力をP1、拘束面1Bに加える圧力をP2、加圧面1Cに加える圧力をP3とし、材料のポアソン比をνとすると、理論上、P2=ν(P1+P3)となる。すると、試験体EMが地盤材料であれば、試験体EMのポアソン比は0.15~0.35程度となるので、例えば、P1を10MPa、P3を2MPa、試験体EMのポアソン比が0.25とすれば、P2が3MPa となり、被加圧体1の各面に加わる圧力をP1>P2>P3となるようにすることができる。
【0044】
最後に、透水手段30の流体供給部31から試験体EMに、例えば、300kPaに加圧された加圧された水を供給し、流量検出部33と面B´との間に、例えば、100kPaに加圧された流体を充填すれば、透水試験の準備が完了する。
【0045】
試験の準備が完了すると、圧縮力発生機22により、圧縮用部材21から被加圧体1の圧縮面1Aに加える圧力を上昇させる。
このとき、被加圧体1は圧縮され変形するのであるが、被加圧体1における一対の拘束面1B,1B´はその法線方向の移動及び変形が拘束用部材15および背部12aによって拘束されているから、被加圧体1の圧縮面1Aに加える圧力の上昇に伴って一対の拘束面1B,1B´に加わる圧力は大きくなる。つまり、一対の拘束面1B,1B´を加圧する加圧手段を設けなくても、圧縮面1Aが加圧されれば、一対の拘束面1B,1B´に加圧力が加わるのである。
【0046】
なお、固定用部材として、例えば、シリンダ等を採用すれば圧縮面1Aへの加圧により発生する加圧力だけでなく、一対の拘束面1B,1B´に直接加圧力を加えることも可能である。
【0047】
一方、被加圧体1における一対の加圧面1C,1C´はその法線方向に自由に移動及び変形できる状態で保持されているから、被加圧体1の圧縮面1Aに加える圧力にかかわらず、一対の加圧面1C,1C´に加わる圧力は耐圧容器11の中空空間11h内に供給されている流体の圧力に保たれる。
つまり、圧縮面1Aに加える圧力を上昇させると、一対の圧縮面1A,1A´に加わる圧力と一対の拘束面1B,1B´に加わる圧力だけが大きくなり、一対の加圧面1C,1C´に加わる圧力は変化しない。
したがって、圧縮力発生機22から圧縮面1Aに加える圧力を調整するだけで、各面に加わる圧力の大きさのバランスを上記のごとき状態(P1>P2>P3、P3>0)に保ちつつ、被加圧体1を圧縮することができる。
【0048】
被加圧体1の圧縮面1Aに加える圧力を上昇していくと、一対の加圧面1C,1C´に圧力が加わっており、被加圧体1の各面に加わる圧力の大きさのバランスが上記のごとき状態に維持されているから、やがて、被加圧体1の収容部材2内において、試験体EMはせん断破壊する。つまり、試験体EMに、面Aから面A´に向かって斜めに亀裂などの不連続面が形成されるのである。しかも、試験体EMに形成される不連続面は、試験体EMの面B,B´を貫くように形成される。つまり、透水手段30から水が供給排出される方向に沿って、試験体EM中に不連続面が形成されるのである。
すると、不連続面が形成されたことにより、透水手段30の流体供給部31から試験体EMに供給される水が不連続面の間を流れるようになるから、急激に面B,B´間を流れる水の流量が増加する。つまり、不連続面の発生に起因する試験体EMの透水性の変化を正確に把握することができるのである。
【0049】
また、被加圧体1の一対の加圧面1C,1C´はその法線方向に沿って自由に変形できるので、不連続面が形成された後も圧縮面1Aに対する圧縮を継続し、圧縮面1Aに加える圧力を大きくしていけば、試験体EMの面C,C´におけるその法線方向への変形が大きくなる。すると、不連続面同士のズレが大きくなり不連続面の間に形成される隙間も成長するから、不連続面の成長による透水性の変化を時間連続的に把握することができる。
【0050】
なお、中空空間11h内は一定の圧力に保たれてなくてもよく、一対の拘束面1B,1B´を繋ぐように亀裂等の不連続面を形成さることができることができる圧力に保たれていればよい。しかし、中空空間11h内が一定圧力となるようにしておけば、圧縮力発生機22から圧縮面1Aに加える圧力を制御するだけで、実験条件を所望の状況に変化させることができるので、試験を容易かつ正確に行うことができる。
【0051】
また、中空空間11h内に液体供給手段41から耐圧容器11の中空空間11h内に流体を供給しない状況、つまり、中空空間11h内を大気圧の状態としたまま透水試験を行うことも可能である。言い換えれば、面C,C´にほぼ加圧力が加わらない状態において透水試験を行うことも可能である。この場合、拘束面1B,1B´の法線方向の移動及び変形が拘束されていれば、圧縮面1Aに加える圧力をP1、拘束面1Bに加わる圧力をP2、加圧面1Cに加わる圧力をP3と材料のポアソン比をνとすると、P3=0とみなすことができるから、理論上、拘束面1Bに加わる圧力P2は、P2=ν(P1+P3)=νP1となる。すると、試験体EMが地盤材料であれば、試験体EMのポアソン比は0.15~0.35程度であり、被加圧体1の各面に加わる圧力は、P1>P2、P3=0となるようにすることができるから、試験体EM中は割裂破壊する。つまり、試験体EMに、面B,B´を貫く不連続面が、面Aから面A´に向かってほぼ直線的に形成されるので(図4参照)、かかる不連続面が形成された場合における透水性の試験を行うことも可能である。
そして、面C,C´に対して加圧力を加えない試験しか行わないのであれば、透水試験機10に加圧手段40を設けなくてもよい。すると、透水試験機10の構造が簡単になるし、耐圧容器11も設ける必要がなくなるので、装置構造を小型軽量化することも可能となる。
【0052】
さらに、耐圧容器11の収容体12の背部12aに、アクリル板などのように内部を可視化することができる部材12eを設けておけば、不連続面の発生や成長状況を観測することもできるので好適である。このとき、試験体EMが収容部材2内に収容されているので亀裂を直接観測することはできないのであるが、収容部材2に形成されるしわ等から亀裂の発生状況を推測できる。なお、試験開始以前に収容部材2にスプレーペンキなどでランダム模様を施しておくことで、不連続面の発生がより顕著に収容部材2に現れるので、好適である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の透水試験機は、岩石、砂礫、粘土と言った地盤材料やコンクリートと言ったセメント系材料の透水性やその経年の変化を把握する試験機として適している。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態の透水試験機10の概略説明図であって、(A)は概略側面断面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図2】本実施形態の透水試験機10に設置されている被加圧体50の概略断面図である。
【図3】本実施形態の透水試験機10の要部拡大断面図である。
【図4】試験体EMに加える力と発生する不連続面の概略説明図である。
【図5】試験体EMに加える力と発生する不連続面の概略説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 被加圧体
2 収容部材
10 透水試験機
20 圧縮手段
30 透水手段
35 水頭調整部材
EM 試験体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4