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明細書 :食塩存在下での脱窒方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4528981号 (P4528981)
公開番号 特開2008-104361 (P2008-104361A)
登録日 平成22年6月18日(2010.6.18)
発行日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成20年5月8日(2008.5.8)
発明の名称または考案の名称 食塩存在下での脱窒方法
国際特許分類 C12N   1/20        (2006.01)
C02F   3/34        (2006.01)
C12R   1/05        (2006.01)
FI C12N 1/20 ZABD
C12N 1/20 F
C02F 3/34 101A
C12N 1/20 ZABD
C12R 1:05
請求項の数または発明の数 4
微生物の受託番号 FERM P-18114
全頁数 10
出願番号 特願2006-287454 (P2006-287454)
出願日 平成18年10月23日(2006.10.23)
審査請求日 平成21年9月8日(2009.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
発明者または考案者 【氏名】正田 誠
【氏名】平井 光代
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087871、【弁理士】、【氏名又は名称】福本 積
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100108903、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 和広
審査官 【審査官】上條 肇
参考文献・文献 特開2002-199875(JP,A)
App. Environmental. Microbiol.,1995年,61(5),p.1727-1730
高能率魚類生産のための水質浄化技術の開発 9.海洋性脱窒菌の大量培養ならびに固定化した脱窒菌の脱窒能力,電力中央研究所報告,1993年
Water Res.,2006年 9月,40,p.3029-3036
J. Anim. Sci.,1976年,43,p.1129-1134
調査した分野 C12N 1/20
C02F 3/00-3/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
CA/BIOSIS/MEDLINE(STN)
PubMed
CiNii
WPI

特許請求の範囲 【請求項1】
アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)細菌にアンモニア態窒素化合物を接触せしめることによりアンモニア態窒素を窒素ガスに変換する方法において、当該アンモニア態窒素化合物が、1重量%~6重量%の塩化ナトリウムを含む水性液中に存在することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)細菌が、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩化ナトリウム濃度が3重量%~6重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アンモニア態窒素から窒素ガスへの変換を連続培養方式で行う、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、食塩の存在下で、アンモニア態窒素化合物を窒素ガスに変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニア態窒素化合物を窒素ガス(N2)に変換する(脱窒)ことは、アンモニア態窒素化合物を含む排水の処理方法として重要である。アンモニア態窒素の脱窒過程は、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換する酸化過程と、硝酸態窒素を窒素ガスに変換する還元過程に分けられるが、これら両過程を単一の反応系で行なうことができる微生物として、特開2002-199875公報には、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)が記載されている。
【0003】
しかしながら、特開平2002-199875号公報では、塩化ナトリウムを添加しない培地で実験が行われており、また一般的な記載としても、塩化ナトリウムの存在下で脱窒が行いうることは全く示唆されていない。また、従来から、海水(約0.35重量%の塩化ナトリウムを含む)程度の塩化ナトリウムを含む排水中のアンモニア態窒素を脱窒することは極めて困難であるとするのが当業界の技術常識であった。しかしながら、塩化ナトリウムとアンモニア態窒素とを共に含む産業排水は種々存在し、そのような排水中のアンモニア態窒素を脱窒して除去することは、排水処理などの観点から極めて有利である。
【0004】

【特許文献1】特開2002-199875公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、海水中の塩化ナトリウム濃度(約3.5重量%)以上の塩化ナトリウムを含有する水性溶液中に存在するアンモニア態窒素を、微生物的に脱窒する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、当業者の技術常識からは全く予想外にも、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)が、約7重量%程度までの塩化ナトリウムの存在下で、アンモニア態窒素化合物を脱窒する能力を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明は、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)細菌にアンモニア態窒素化合物を接触せしめることによりアンモニア態窒素を窒素ガスに変換する方法において、当該アンモニア態窒素化合物が、7重量%までの塩化ナトリウムを含む水性液中に存在することを特徴とする方法を提供する。前記アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)細菌の具体例としては、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を揚げることが出来る。
【0008】
前記塩化ナトリウム濃度は、例えば0.5重量%~6重量%であり、実用上好ましい塩化ナトリウム濃度は、1重量%~6重量%であり、例えば3重量%~6重量%である。
本発明における、アンモニア態窒素から窒素ガスへの変換は、実用上有利には連続培養方式で行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
微生物
本発明に使用することができる微生物としては、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)種の細菌に属し、0.35重量%以上の塩化ナトリウムの存在下で、アンモニア態窒素化合物を窒素ガスに変換することが出来る微生物であれば使用することができる。その具体例としては、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を挙げることが出来る。
【0010】
塩化ナトリウム濃度
後の実施例に示すとおり、本願発明の微生物によれば、0重量%~6重量%の塩化ナトリウムの存在下でほぼ同程度の効率で脱窒を行うことが出来た。また6重量%の塩化ナトリウムの存在下での連続培養方式で脱窒を行うことができた。従って、本発明の方法は、塩化ナトリウム濃度が7重量%程度までは、実用上適用できるものと合理的に推測できる。従来技術においては、塩化ナトリウムの存在下で微生物的に脱窒が可能であるとは考えられていなかった。特に、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)を用いて1段階で脱窒を行う方法において、塩化ナトリウムの存在下で可能であることは示されていない。従って、本発明は、塩化ナトリウムの存在下で、特に0.5重量%以上の塩化ナトリウムの存在下で脱窒を行う方法を含む。
【0011】
培養方法
本発明の実施に当っては、本発明の微生物が増殖するのに十分な窒素源、炭素源、無機塩類、微量栄養素などを含む培地に、本発明の微生物を好気的な条件下で培養すればよい。アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)が増殖しうる培地は当業界でよく知られており、本願発明の特徴をなすものではない。すなわち、本発明の微生物は、ペプトン、酵母エキスなどを主成分とする有機培地、及びリン酸カリウム、硫酸マグネシウムなどを主成分とする無機培地の何れにおいても増殖することが出来、脱窒のための菌体の生成のための培地としても有機培地および無機培地の何れも使用することができる。
【0012】
有機培地の例としては、ペプトン 10g/L、酵母エキス 5g/L及びNaCl 15g/Lを含むL培地など、無機培地の例としては、K2HPO4 14g/L、KH2PO4 6g/L、(NH4)2SO4 2g/L、クエン酸三ナトリウム・二水和物 15g/L及びMgSO4・7H2O 0.2g/Lを含むMM培地などを使用することができる。更に、脱窒速度の速い培地組成(表1)が好ましい。処理の対象となる排水などが、本願発明において使用するアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)の増殖に必要な栄養素を既に含んでいる場合にはそのまま使用すればよい。培地中に含まれ、処理の対象となるアンモニア態窒素化合物の一部は微生物に資化されて微生物菌体の構成成分となり、アンモニア態窒素化合物の他の部分は脱窒の対象になる。
【0013】
培養条件としては、微生物自体の高い増殖速度及び高い脱窒速度を得るために好気的条件が好ましい。好気的条件を確保するためには、小規模培養においては振とう培養が用いられるが、大規模な培養においては通気及び撹拌培養が好ましい。細菌の通気・撹拌培養は既に確立されており、常用の技術を用いることが出来る。
【0014】
培養形式としては、回分式培養でも連続式培養でもよい。回分式培養においては、培養槽(排水処理槽)に培地を入れ、それに予め培養した微生物を接種し、例えば、微生物が十分に増殖するまで培養を継続する。
他方、連続培養方式においては、培養槽に培地を仕込み、それに予め培養した微生物を接種し、微生物濃度が所定濃度に達した後、微生物の増殖速度と同じ速度で当該培養槽に新たな培地を連続的に供給し、同じ速度で培地を抜き取ればよい。大量の排水を処理するには連続方式が好ましい。
【0015】
培養温度は15~37℃であり、好ましくは25~30℃である。培地のpHは5~8であり、好ましくは中性付近である。本発明において使用する細菌の増殖速度は比較的高く、培養条件や、接種する菌体量などによっても異なるが、回分式培養においてはおよそ半日~1日で最高菌体濃度に達する。連続式培養においては、菌濃度が最高に達する前に培地の連続的供給と抜き取りを開始し、その時の菌体濃度を定常的に維持するのが好ましい。
【0016】
本発明の脱窒は、本発明の微生物と、脱窒の対象となるアンモニア態窒素化合物とを接触せしめることにより行われる。例えば、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含有する培地に微生物を接種して培養してもよく、また培地中で微生物を培養し、所定の微生物濃度に達した後に、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を添加し、さらに脱窒のための培養を継続しても良い。前者の方法、すなわち脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含有する培地に微生物を接種して培養する方法を連続培養に応用するには、そのまま連続供給培地として使用できる。後者の場合は培地の連続供給を開始する前の培地に脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含めればよい。
【0017】
後者の方法、すなわち培地中で微生物を培養し、所定の微生物濃度に達した後に、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を添加し、さらに脱窒のための培養を継続する方式を回分式に行うには、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含まない培地中で微生物を所定濃度まで培養し、同じ培地に、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を添加し、さらに脱窒のための培養を継続することができる。
【0018】
あるいは、培地中で微生物を培養し、所定の微生物濃度に達した後、微生物を分離し、この微生物を、脱窒対象アンモニア態窒素化合物含有する新たな培地に懸濁し、更に、通気、撹拌、振とう、などの適当な手段で好気培養すればよい。また、この方式を連続培養に適用するには、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含まない培地中で微生物を培養した後、脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含む新たな培地を連続供給すればよい。
【0019】
あるいは、培地から分離した微生物菌体を固定化して使用することもできる。生きた細菌菌体を担体に固定化し、あるいは菌体間を連結することによって固定化し、それを好気的条件下で反応に用いる技術は確立されており、常用の方法により菌体の固定化、及び反応を行なうことが出来る。例えば、脱窒用菌の菌体を固定化し、その表面に脱窒対象アンモニア態窒素化合物を含有する媒体を流過せしめ、その際に、好気的条件を確保するために通気を行えばよい。
【0020】
脱窒の際の脱窒対象アンモニア態窒素化合物の濃度は、1500mg/L以下が好ましい。従って、これより高い濃度のアンモニア態窒素化合物を含む排水を処理するには、培地で希釈した後に脱窒培養(脱窒反応)を行うのが好ましい。
【実施例】
【0021】
次に、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1.
ポリペプトン10g/L、酵母エキス5g/L及びNaCl 5g/Lを含む150mlのL培地を含む坂口フラスコに、25%グリセリン保存液中、-80℃にて保存しておいたアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を、1%の接種量で接種し、120 spm(1分間に120往復)、30℃にて24時間培養した(前々培養)。他方、下記表1に示す培地組成を有する培地(基礎無機培地)5mlを入れた試験管に、上記の前々培養物を1%の接種量で接種し、120 spm、30℃にて16時間培養した(前培養)。
【0022】
【表1】
JP0004528981B2_000002t.gif

【0023】
次に、上記基礎無機培地(塩化ナトリウム無添加)(NaCl 0%培地)、上記基礎無機培地に3重量%の塩化ナトリウムを添加した培地(NaCl 3%培地)、及び上記基礎無機培地に6重量%の塩化ナトリウムを添加した培地(NaCl 6%培地)を用意し、これらを150mlずつ坂口フラスコに入れ、上記の前培養物を1%の接種量で接種し、120 spm、30℃にて本培養を行った。本培養中、経時的に培養液を1mLずつ2本サンプリングし、pH、濁度(OD660)、平板希釈法による生菌数、NH4+-N窒素を測定した。また、培養後の最終サンプルについては、前記の測定項目のほか、ヒドロキシルアミン量、亜硝酸イオン濃度、硝酸イオン濃度、及び菌体内窒素量を測定した。
【0024】
測定方法は、下記のとおりであった。
NH4+の測定
インドール法を用いた。培養液1mlを遠心分離(8000rpm、5分間)し、更にフィルター濾過(ADVANCE;pore size 0.2μm)して除菌液を得た。この除菌液を1/1000希釈したもの1mlに、吸収液(ホウ酸5gを1Lの蒸留水に溶解したもの)200μL、フェノール・ニトロプルシドナトリウム溶液(フェノール5gとニトロプルシドナトリウム25mgを500mlの蒸留水に溶解したもの)600ml、次亜塩素酸ナトリウム溶液(ジア塩素酸ナトリウム20mlとNaOH 15gを1Lの蒸留水に溶解したもの)600μlを順に添加し、試薬を添加する度にボルテックスにより十分撹拌した、この溶液を1時間静止して反応させた後、波長640nmで吸光度を測定した。
【0025】
ヒドロキシルアミン(NH2OH)の測定
NH2OHの測定は、R. Burrell et al, Ana. Chem., 27, p.1664-1665 (1955)の方法により行った。上記のようにして調製した培養液の除菌液200mLに、0.05Mリン酸緩衝液(pH 6.8)200μlと滅菌水160μlを加えた。次に、トリクロロ酢酸水溶液(12%)40μl、8-キノリール溶液(1g/100ml脱水エタノール)200μl、1.0M NaCO3水溶液200μlを順に添加した。試薬を添加する度にボルテックスにより十分撹拌した。合計1mlになった溶液を熱水(80℃)で1分間加熱し、15分間冷却後、波長705nmの吸光度を測定した。NH2OHの検量線は、NH2OHの標準液を用いて、吸光度とNH2OH量との関係から作成した。
【0026】
亜硝酸イオン(NO2-)及び硝酸イオン(NO3-)の測定
NO2-及びNO3-の測定は、塩化ナトリウム無添加培地についてはイオンクロマトグラフィー(IC)法により行った。前記のようにして調製した培養液の除菌液から、更にフィルター(C18CARTRIDGES, SEP-PACK)により有機物を除去した後、IC(HIC-5A, SHIMAZU)で分析した。ICの運転条件は、次のとおりである。
【0027】
カラム:Shim-pack IC-A1, SHIMAZU
移動相:2.5mM フタル酸、2.4トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
流速:1.5 ml/分
温度:40℃
検量線は、NO2-はNaNO2の標準液を用いて、NO3-はNaNO3の標準液を用いて、NO2-及びNO3の量とピーク面積との関係から作成した。
NO2-及びNO3-の測定は、塩化ナトリウム添加培地についてはナフチルエチレンジアミン法を用いて行った。
【0028】
菌体内窒素量の測定
菌体内窒素量の測定は、菌体に付着している物質を洗浄除去した後、105℃にて菌体を完全に乾燥し、元素分析により行った。
【0029】
結果
NaCl 0%培地、NaCl 3%培地、及びNaCl 6%培地における培養の結果を、それぞれ図1、図2及び図3に示す。培養の経過は、塩化ナトリウムの濃度の増加と共に幾分遅れるものの、最終的には塩化ナトリウム無添加の場合と同等の菌体量に達した。図4は、塩化ナトリウム濃度を異にする前記3種類の培地における、培地中のNH4+-N窒素の減少を示す。何れの塩化ナトリウム濃度においても、培地中のアンモニア態窒素はほぼ完全に消滅した。
【0030】
次に、図4の結果からアンモニアの最大除去速度を求めた。最大除去速度は、アンモ二ア濃度の減少が最大になる点における除去速度であり、菌1個当りのアンモニア除去速度は、アンモニア最大除去速度をその時点における生菌数で除した値である。結果は、次の表2に示すとおりであった。
【0031】
【表2】
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【0032】
表2の結果から明らかなとおり、塩化ナトリウム濃度0~6重量%の範囲において、塩化ナトリウム濃度によるアンモニア除去速度の差は殆ど無く、図1~3の結果から、塩化ナトリウム濃度の増加により、対数増殖期に入るまでの培養時間が長引くのみで、対数増殖期に入るとアンモニア除去速度に大きな差はない(図4)。
次に、培養後のサンプルについて、脱窒割合(初期アンモニア態窒素の量に対する脱窒だれた窒素の量の割合)は下記の表3に示すとおりである。塩化ナトリウム濃度が6重量%まで増加しても脱窒割合は殆ど低下しない。
【0033】
【表3】
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【0034】
実施例2. 連続培養
培養方法
以下の手順で、オープン系での連続培養を実施した。
-80 ℃で保存したNo. 4株を1.5 mlを、150 ml のL培地(ポリペプトン10g/L, 酵母エキス 5g/L及び NaCl 5g/L)を入れた坂口フラスコに植菌し、120 spm、30 ℃、24 h、前培養を行った。次に、300 mlの合成培地(表1)を入れた坂口フラスコ3本に、前培養液をそれぞれ1.5 ml植菌し、120 spm、30 ℃で本培養を行い、24時間振とう培養を行った。
【0035】
この本培養液900 mlを連続培養槽(槽の容量:2.2L)に移し、新鮮な培地(表-1の合成培地に6%NaClを添加したもの)を供給した。培地の供給速度は0.6 ml/min、通気量は1.0 L/minであった。連続培養を数週間運転を継続し、系が安定したら測定を開始した。流出口からでてくる培養液をサンプリングし、pH、OD660、平板希釈法によるNo. 4株の生菌数、NH4+-N、NH2OH- N、NO2--N、NO3--N濃度を測定した。測定方法は前述した。表4に連続培養の操作条件を示す。
【0036】
【表4】
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【0037】
結果
表5に連続培養の窒素収支を示す。
【0038】
【表5】
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【0039】
連続培養では、35 %の脱窒率を示し、回分培養の場合(表3のNaCl 6%)より7%高い結果であった。菌数も1.8x108 個/ml と安定してした。pHは7-8の間で保たれた。
この結果から、この菌はオープン系での連続培養においても、脱窒素能力が低下することなく、アンモニアの処理が可能であることが分かる。
【0040】
本発明の方法が適用される分野は特に限定されないが、例えば、活性炭やゼオライトに吸着されたアンモニアを脱着させ、活性炭やゼオライトを再生する際に、高濃度の塩化ナトリウム水溶液が用いられ、脱着廃液中には脱着したアンモニアと共に高濃度の塩化ナトリウムが含まれており、このような場合でも、本発明の方法によれば、アンモニアの脱窒を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明のアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を「NaCl 0%培地」で培養した場合の培養経過(黒三角:生菌数、黒丸:pH、及び中空正方形:OD660)を示す図である。
【図2】図2は、本発明のアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を「NaCl 3%培地」で培養した場合の培養経過(黒三角:生菌数、黒丸:pH、及び中空正方形:OD660)を示す図である。
【図3】図3は、本発明のアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)No.4株(FERM P-18114)を「NaCl 6%培地」で培養した場合の培養経過(黒三角:生菌数、黒丸:pH、及び中空正方形:OD660)を示す図である。
【図4】図4は、図1~図3に示す培養における、培地中のアンモニア態窒素の減少経過を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3