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明細書 :円筒状容器およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4769976号 (P4769976)
公開番号 特開2008-100724 (P2008-100724A)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成20年5月1日(2008.5.1)
発明の名称または考案の名称 円筒状容器およびその製造方法
国際特許分類 B65D   1/16        (2006.01)
B65D   8/14        (2006.01)
B65D   1/02        (2006.01)
B65D   1/00        (2006.01)
B21D  11/14        (2006.01)
B21D  51/26        (2006.01)
FI B65D 1/16
B65D 8/14 Z
B65D 1/02 B
B65D 1/00 C
B21D 11/14
B21D 51/26 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2006-284517 (P2006-284517)
出願日 平成18年10月19日(2006.10.19)
審査請求日 平成20年11月6日(2008.11.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】有尾 一郎
【氏名】ジェールズ ダブリュウ ハント
個別代理人の代理人 【識別番号】100096839、【弁理士】、【氏名又は名称】曽々木 太郎
審査官 【審査官】石田 宏之
参考文献・文献 特開2000-355324(JP,A)
特開2004-142786(JP,A)
特開平05-051036(JP,A)
特開2006-131298(JP,A)
特開平11-188444(JP,A)
調査した分野 B65D 1/16
B21D 11/14
B21D 51/26
B65D 1/00
B65D 1/02
B65D 8/14
特許請求の範囲 【請求項1】
飲料用容器に用いられる円筒状容器であって、当該円筒状容器に捩りを加えた際に座屈パターンに変化する、座屈パターン事前体を胴部に少なくとも1段備え、
前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有するものとされることを特徴とする円筒状容器。
【請求項2】
一部の谷線の深さが他の谷線の深さより深くされてなることを特徴とする請求項記載の円筒状容器。
【請求項3】
飲料用容器に用いられる円筒状容器の製造方法であって、
円筒状容器に捩りを加えた際に座屈パターンに変化する、座屈パターン事前体を形成するようにされた成形体を用い、胴部に座屈パターン事前体を有する円筒状容器を製造する手順を含み、
前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有するものとされる
ことを特徴とする円筒状容器の製造方法。
【請求項4】
射出ブロー成形法または回転成形法により、合成樹脂製の円筒状容器を製造することを特徴とする請求項記載の円筒状容器の製造方法。
【請求項5】
胴部に座屈パターン事前体を形成する手順を含むプレス成形により、金属製の円筒状容器を製造することを特徴とする請求項記載の円筒状容器の製造方法。
【請求項6】
円筒状容器の胴に座屈パターン事前体を形成するよう構成されてなる成形体であって、
前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有してなることを特徴とする成形体。
【請求項7】
一部の谷線の深さが他の谷線の深さより深くされてなることを特徴とする請求項記載の成形体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は円筒状容器およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、廃棄の際に容積の減少が人力にて簡易かつ確実になし得る円筒状容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、お茶、スポーツドリンク、コーヒー、ビールなどの飲料の容器として、ペットボトルなどの合成樹脂製容器やアルミ缶などの金属製容器が用いられている。
【0003】
これらの容器は、輸送中における形状の維持などの観点から所定の剛性のものとされているので、これらの容器は人力で潰すのは容易でない。そのため、それらの回収ボックスなどへの廃棄は、一般的には、そのままの形状でなされている。つまり、容器の容積を減少させることなく回収ボックスなどへの廃棄がなされている。それがため、回収ボックスの回収効率の低下を招来している。また、回収ボックスの回収効率が悪いところから、ペットボトルなどの容器が回収ボックスの周囲に散乱し、美観を損なうばかりでなく環境悪化をも招来している。
【0004】
かかる問題を解決すべく、特許文献1には、飲料後の飲料缶を人力にて小さく潰せるように工夫された飲料缶の提案がなされている。
【0005】
しかしながら、前記提案にかかる飲料缶においては、飲料缶を捩じった後、圧縮して容積を減少させるようにされているため、飲料缶を潰す作業が煩雑であるという問題がある。また、前記提案にかかる飲料缶においては、溝が缶底まで形成されているので、捩じる際に怪我をするおそれもあるという問題もある。

【特許文献1】特開平6-293340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、両端部を把持して捩じるだけで所望の容積減少が確実になし得る円筒状容器およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、かかる従来技術の課題に対し鋭意研究した結果、次のような知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
一般的に、円筒状容器に捩りを加えると座屈が起こり、その際に図1に示すように、当該円筒状容器に固有の座屈パターンが現れる。そこで、捩じりが加わると前記座屈パターンに速やかに変化するパターンを前記座屈パターンから導出し、当該導出パターンを予め容器の胴に付与しておくことにより、円筒状容器の座屈を助長し、人力により簡単かつ確実に円筒状容器を軸方向に潰すことができる(図2参照)との知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
なお、前記パターンの導出は、例えば、薄肉円筒の捩り試験機に円筒状容器を装着し、その円筒状容器にロール紙を巻きつけて捩ることにより容易になし得る。
【0010】
すなわち、本発明の円筒状容器は、飲料用容器に用いられる円筒状容器であって、当該円筒状容器に捩りを加えた際に座屈パターンに変化する、座屈パターン事前体を胴部に少なくとも1段備え、前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有するものとされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の円筒状容器においては、一部の谷線の深さが他の谷線の深さより深くされてなるのが好ましい。
【0013】
本発明の円筒状容器の製造方法は、飲料用容器に用いられる円筒状容器の製造方法であって、円筒状容器に捩りを加えた際に座屈パターンに変化する、座屈パターン事前体を形成するようにされた成形体を用い、胴部に座屈パターン事前体を有する円筒状容器を製造する手順を含み、前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有するものとされることを特徴とする。
【0014】
本発明の円筒状容器の製造方法においては、例えば、射出ブロー成形法または回転成形法により、合成樹脂製の円筒状容器の製造がなされ、あるいは座屈パターン事前体を形成する手順を含むプレス成形により、金属製の円筒状容器の製造がなされるものである。
【0016】
本発明の金型などの成形体は、円筒状容器の胴に座屈パターン事前体を形成するよう構成されてなる成形体であって、前記座屈パターン事前体は、谷線と、峰線と、谷線および峰線の一方および他方の間にそれぞれ形成された凸面および凹面とを、円筒状容器の全周または一部に有してなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の金型などの成形体においては、一部の谷線の深さが他の谷線の深さより深くされてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、前記の如く構成されているので、円筒状容器を人力により簡単かつ確実に軸方向に潰すことができる。そのため、円筒状容器の回収ボックスにおける回収効率の向上を図ることができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0021】
実施形態1
本発明の実施形態1にかかる円筒状容器1の要部を図3に示す。この実施形態1では、円筒状容器1は、平均直径が60mmとされた500ミリリットルのペットボトルとされている。また、円筒状容器1の形状は、図4(a)に示すような純粋の円筒状に限定されるものではなく、図4(b)に示すような鼓状とされてもよく、あるいは図4(c)に示すような上下に段が設けられた段付円筒状とされてもよい。
【0022】
円筒状容器、つまりペットボトル1の胴には、座屈の際に生成される座屈パターンに速やかに変化するパターン(以下、座屈パターン事前体という)2が所定間隔で形成されている。
【0023】
座屈パターン事前体2は、図5の部分展開図および図6の部分拡大端面図に示すように、所定角度で軸線C(図3参照)に対して傾斜させて平行に形成された所定数の所定長さの谷折り曲げ線(以下、谷線という)3と、隣接する谷線3,3の上下端に掛け渡すようにして形成された峰折り曲げ線と(以下、峰線という)4と、前記両線3,4の一方の間(峰線4の捩り方向前方)に形成される凸面5と、他方の間(峰線4の捩り方向後方)に形成される凹面6とを含むものとされる。ここで、展開図における基底線Lと谷線3とのなす角αは57度~60度となり、また基底線Lと峰線4とのなす角βは70度~65度となる。そのため、座屈パターン事前体2の高さhは約70mm~80 mmとなる。
【0024】
また、凸面5の最大突出量aは3mm程度とされ、凹面6の最大陥没量bは3mm程度とされている。
【0025】
なお、図示例においては、座屈パターン事前体2は全周にわたって形成されているが、必ずしも全周にわたって形成されている必要はなく、部分的に形成されるようにされてもよい。また、谷線3の深さは全てが同一とされる必要はなく、一部の谷線3の深さが他の谷線3の深さより深くされていてもよい。例えば、1~3個おきに深さが深くされてもよい。
【0026】
500ミリリットルのペットボトル1の胴の長さは約150mmであるから、1段の座屈パターン事前体2により約5割の容積の削減が可能となる。したがって、ペットボトル1の胴に座屈パターン事前体2を1段形成することにより、約5割の容積の削減が可能となる。
【0027】
しかして、かかる構成とされたペットボトル1は、前記座屈パターン事前体2を形成するためのパターンが内面に形成された金型などの成形体を用いて、例えば射出ブロー成形法や回転成形法により容易に製造することができる。
【0028】
このように、この実施形態1においては、ペットボトル1の胴に座屈パターン事前体2を設けているので、ペットボトル1の両端部を把持して捩じるだけでペットボトル1を軸方向に潰してその容積を減少させることができる。また、座屈パターン事前体2は、ペットボトル1の捩じりによる座屈の際に生じる座屈パターンに速やかに変化するように構成されているので、ペットボトル1を確実かつ迅速に座屈させる、つまり軸方向に潰すことができる。
【0029】
なお、開栓前は内容物の内圧によりペットボトル1の形状が維持されているので、座屈パターン事前体2を胴に設けることによる形状異常などの弊害をペットボトル1に生じさせるおそれはない。
【0030】
実施形態2
本発明の実施形態2にかかる円筒状容器1Aを図7に示す。この実施形態2では、円筒状容器1Aは、直径が60mmとされた350ミリリットルのアルミ製ビール缶とされている。
【0031】
円筒状容器、つまりビール缶1Aの胴には、図7に示すように、座屈の際に生成される座屈パターンに速やかに変化するパターン(以下、座屈パターン事前体という)2Aが形成されている。
【0032】
座屈パターン事前体2Aは、図5の部分展開図および図6の部分拡大端面図に示すように、所定角度で軸線C(図3参照)に対して傾斜させて平行に形成された所定数の所定長さの谷折り曲げ線(以下、谷線という)3と、隣接する谷線3,3の上下端に掛け渡すようにして形成された峰折り曲げ線と(以下、峰線という)4と、前記両線3,4の一方の間(峰線4の捩り方向前方)に形成される凸面5と、他方の間(峰線4の捩り方向後方)に形成される凹面6とを含むものとされる。ここで、展開図における基底線Lと谷線3とのなす角αは41度~43度となり、また基底線Lと峰線4とのなす角βは55度~57度となる。そのため、座屈パターン事前体2の高さhは約45mmとなる。
【0033】
また、凸面5の最大突出量aは2mm程度とされ、凹面6の最大陥没量bは2mm程度とされている。
【0034】
350ミリリットルのビール缶1Aの胴の長さは約110mmであるから、1段の座屈パターン事前体2Aにより約4割の容積の削減が可能となる。したがって、ビール缶1Aの胴に座屈パターン事前体2Aを2段形成することにより、約8割の容積の削減が可能となる。
【0035】
しかして、かかる構成とされたビール缶1Aは、例えば、しごき加工がなされたアルミ成形品に前記座屈パターン事前体2Aを形成するためのパターンが形成された金型などの成形体を用いたバルジ成形加工を施すことにより容易に製造することができる。
【0036】
このように、この実施形態2においては、ビール缶1Aの胴に1段ないし2段の座屈パターン事前体2Aを設けているので、ビール缶1Aの両端部を把持して捩じるだけでビール缶1Aを軸方向に潰してその容積を減少させることができる。また、座屈パターン事前体2Aは、ビール缶1Aの捩じりによる座屈の際に生じる座屈パターンに速やかに変化するように構成されているので、ビール缶1Aを確実かつ迅速に座屈させる、つまり軸方向に潰すことができる。
【0037】
なお、開封前は内容物の内圧によりビール缶1Aの形状が維持されているので、座屈パターン事前体2Aを胴に設けることによる形状異常などの弊害をビール缶1Aに生じさせるおそれはない。
【0038】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施形態においては、円筒状容器としてペットボトルおよびアルミ缶を例に取り説明されているが、各種の材料からなる円筒状容器とすることができ、例えば、スチール缶とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明はペットボトルやビール缶などの飲料用容器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の原理を示すイメージ図である。
【図2】本発明により円筒状容器が潰されていく状態を示すイメージ図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る円筒状容器の要部概略図である。
【図4】本発明の実施形態1が適用可能な円筒状容器の概略図であって、同(a)は純粋な円筒状容器を示し、同(b)は鼓状容器を示し、同(c)は段付円筒状容器を示す。
【図5】本発明の実施形態1に係る座屈パターン事前体の部分展開図である。
【図6】同部分切断端面図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る円筒状容器の概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 円筒状容器、ペットボトル
1A 円筒状容器、ビール缶
2 座屈パターン事前体
3 谷線
4 峰線
5 凸面
6 凹面
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図1】
5
【図2】
6