TOP > 国内特許検索 > 持針器 > 明細書

明細書 :持針器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5103609号 (P5103609)
公開番号 特開2007-289424 (P2007-289424A)
登録日 平成24年10月12日(2012.10.12)
発行日 平成24年12月19日(2012.12.19)
公開日 平成19年11月8日(2007.11.8)
発明の名称または考案の名称 持針器
国際特許分類 A61B  17/06        (2006.01)
FI A61B 17/06 330
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2006-121117 (P2006-121117)
出願日 平成18年4月25日(2006.4.25)
審査請求日 平成21年2月17日(2009.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】前村 公成
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】井上 哲男
参考文献・文献 実開昭59-114108(JP,U)
実開昭53-122090(JP,U)
特開2007-143899(JP,A)
特開2000-135218(JP,A)
特開平09-084799(JP,A)
特表平08-509878(JP,A)
実開昭61-205516(JP,U)
実開昭55-065007(JP,U)
特開昭54-119791(JP,A)
調査した分野 A61B 17/06
特許請求の範囲 【請求項1】
手術部位を縫合するための湾曲する縫合針を把持する持針器で、一対の長尺の腕部材を支軸により回動可能に組み合わせた鋏型であって、これら腕部材の先端に前記縫合針を把持する一対の把持部が構成され、基端に指を挿入するためのリング部が設けられ、開閉方向である側面視において前記腕部材の先端の一方のエッジが直線状を呈する持針器であって、
前記一対の把持部の両方には、前記縫合針を含む平面と当該持針器を含む平面とが平行となる状態で前記縫合針を把持したときに、前記縫合針の後端部が前記把持部の把持面に接触するのを避けるための逃し部が形成されており、
前記逃し部は、前記把持部の片面において、前記把持部の先端よりも前記支軸側の部分を肉薄とすることにより前記把持面及びその裏面に開口するように形成された凹部により構成され、前記側面視において前記腕部材の先端の他方のエッジの一部が前記凹部により凹んでいることを特徴とする持針器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲する縫合針を把持するのに好適な持針器に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術においては、手術部位を縫合することが行われる。縫合とは、図(a)や図(b)に示すように、湾曲する縫合針51を用いて人体の組織に縫合糸52を通す作業(結紮)であり、これにより組織を密着させるものである。その際に、持針器と称される器具を用いて縫合針51を把持して、その縫合針51を縫合糸52とともに組織を貫通させる。
【0003】
この種の持針器として、図(a)に示すような鋏型の持針器100が用いられている。鋏型の持針器100は、先端の一対の把持部101、101により縫合針51を把持するものである。
【0004】

【特許文献1】特開平7-241297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一対の把持部101、101により湾曲する縫合針51を把持する場合、図(b)に示すように、持針器100に対して縫合針51を立てた状態としなければならない。
【0006】
これは、縫合針51が湾曲しているためであり、縫合針51を寝かせた状態で把持しようとしても、図のように極端に描くと、把持部101の把持面(内面)が縫合針51の異なる位置に接触してしまい、しっかりと把持できなくなるためである。
【0007】
また、図に示すように、縫合針51の後端部51aが把持面に接触すると、その後端部51aに縫合糸52をつなぐことができなるためである。
【0008】
上記のように持針器100に対して縫合針51を立てた状態とした場合、湾曲する縫合針51を組織に刺入、刺出させるためには、手首あるいは腕全体を回転させるような動作が要求される。そのため、手術部位によっては回転運動が制約を受けてしまい、縫合針51の刺入や刺出の角度が制限されることがあった。回転運動が制約を受けやすい部位としては、胸内(深部胸腔での縫合)、心腔内(弁の縫合や冠動脈の吻合)、腹腔内(肝門部(胆管空腸縫合))、骨盤腔内(深部での縫合)等が挙げられる。
【0009】
一方、機械的な運動により縫合針を操作する縫合器も各種存在するが(例えば特許文献1を参照)、操作者自身の手首や腕の直接運動により縫合針を操作する持針器100において、湾曲する縫合針51を把持する際の自由度を高めることが求められる。
【0010】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、湾曲する縫合針を把持する際の自由度を高めることのできる持針器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の持針器は、手術部位を縫合するための湾曲する縫合針を把持する持針器で、一対の長尺の腕部材を支軸により回動可能に組み合わせた鋏型であって、これら腕部材の先端に前記縫合針を把持する一対の把持部が構成され、基端に指を挿入するためのリング部が設けられ、開閉方向である側面視において前記腕部材の先端の一方のエッジが直線状を呈する持針器であって、前記一対の把持部の両方には、前記縫合針を含む平面と当該持針器を含む平面とが平行となる状態で前記縫合針を把持したときに、前記縫合針の後端部が前記把持部の把持面に接触するのを避けるための逃し部が形成されており、前記逃し部は、前記把持部の片面において、前記把持部の先端よりも前記支軸側の部分を肉薄とすることにより前記把持面及びその裏面に開口するように形成された凹部により構成され、前記側面視において前記腕部材の先端の他方のエッジの一部が前記凹部により凹んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、把持部に逃し部としての凹部が把持部に形成されているので、縫合針を寝かせた状態、すなわち縫合針を含む平面と当該持針器を含む平面とが平行となる状態でも把持することができる。これにより、従来の持針器では不可能だった角度で縫合針を把持することができ、湾曲する縫合針を把持する際の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る持針器1の平面図である。図2は、持針器1の先端部分の平面図である。図3は、持針器1の先端部分の右側面図である。図4は、持針器1の先端部分の斜視図である。
【0014】
持針器1は、一対の長尺の腕部材2、2を支軸により回動可能に組み合わせた鋏型に構成される。これら腕部材2、2の先端に、縫合針51を把持する一対の把持部3、3が構成される。図4に示すように、各把持部3、3の把持面3a、3a(内面)は、縫合針51が滑るのを防ぐために凹凸面とされている。
【0015】
一方、図1に示すように、これら腕部材2、2の基端には、操作部としてリング部4、4が形成されている。リング部4、4に親指と薬指をそれぞれ挿入することにより、一対の把持部3、3を開閉し、さらには持針器1の全体を操作することができる。
【0016】
また、これら腕部材2、2の基端付近の内面には、互いに対向する多段フック5、5が突設されている。多段フック5、5を着脱可能に相互に係合させることにより、縫合針51の把持状態を維持することができる。
【0017】
ここで、各把持部3、3の片面には、把持面3a、3a及びその裏面3b、3b(外面)に開口する凹部6、6が形成されている。
【0018】
本実施形態の持針器1においては、縫合針51を寝かせた状態、すなわち、縫合針51を含む平面と持針器1を含む平面とが平行となる状態、さらに換言すれば、側面視(図3を参照)において持針器1に対して縫合針51が直線的になるように縫合針51を把持することができる。すなわち、縫合針51を把持したときに、縫合針51の後端部51aを凹部6に位置させて、縫合針51の後端部51aが把持面3aに接触するのを避けるようにしたものである。
【0019】
この場合に、図2や図4に示すように湾曲する縫合針51の後端付近を把持するだけでなく、縫合針51の先端付近をも把持することができ、把持位置を自由に変更することができる。
【0020】
このように縫合針51を寝かせた状態で把持することにより、縫合針51を組織に刺入、刺出させる際に、図5に示すように、縫合針51を縫合部位に引っ掛けて、手首を上下させるような動作で縫合を行うことができる。これにより、手首や腕の運動を小さくすることができ、特に深部の縫合や吻合が行いやすくなる。
【0021】
もちろん、従来の持針器と同様に縫合針51を立てた状態で把持することも可能であり、縫合部位に応じて縫合針51の把持の仕方を変更すればよい。
【0022】
図6(a)、(b)に、本発明を適用した持針器1と従来の持針器100との操作性の相違について模式的に表わす。
【0023】
図6(a)に示すように、縫合針51を寝かせた状態で把持する場合、既述したように、縫合針51を縫合部位に引っ掛けて、手首を上下させるような動作で縫合を行うことができる。したがって、図6(a)に示すように操作可能範囲が制限されている場合でも、縫合を容易に行うことができる。
【0024】
それに対して、図6(b)に示すように、縫合針51を立てた状態で把持する場合、持針器100を回転させるような動作を行わなければならない。そのため、図6(b)に示すように操作可能範囲が制限されている場合、縫合が困難となる。
【0025】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば凹部6大きさや形状は図示したものに限られるものではない。
【0026】
また、上記実施形態では、一対の把持部3、3の両方に凹部が形成されている例を説明したが、いずれか一方の把持部3のみに形成されていてもよい。ただし、一対の把持部3、3の両方に凹部が形成されている場合は、縫合針51の先端を左右いずれに向けて寝かせた状態でも把持することが可能になる。
【0027】
また、上記実施形態では、所謂中山式持針器を例にして説明したが、他のタイプの持針器(所謂ローゼル式持針器やマッチュウ式持針器)であってもかまわない。本発明は、要するに縫合針を把持する一対の把持部を備えた持針器であれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係る持針器の平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る持針器の先端部分の平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る持針器の先端部分の右側面図である。
【図4】第1の実施形態に係る持針器の先端部分の斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る持針器の使用状態を示す図である。
【図6】本発明を適用した持針器と従来の持針器との操作性の相違について模式的に表わす図であり、(a)が本発明を適用した持針器を使用する場合を示す図、(b)が従来の持針器を使用する場合を示す図である。
【図7】縫合を説明するための図であり、(a)が両面型運針を示す図、(b)が片面型運針を示す図である。
【図8】従来の持針器を示す図である。
【図9】従来の持針器で縫合針を寝かせた状態で把持しようとする場合の不具合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
1 持針器
2 腕部材
3 把持部
3a 把持面
3b 裏面
4 リング部
5 多段フック
6 凹部
51 縫合針
51a 後端部
52 縫合糸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8