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明細書 :ハロゲン化合物の処理方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4654445号 (P4654445)
公開番号 特開2008-119572 (P2008-119572A)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発行日 平成23年3月23日(2011.3.23)
公開日 平成20年5月29日(2008.5.29)
発明の名称または考案の名称 ハロゲン化合物の処理方法及びその装置
国際特許分類 C02F   1/58        (2006.01)
B01D  53/68        (2006.01)
B01D  53/77        (2006.01)
FI C02F 1/58 ZABL
B01D 53/34 134B
B01D 53/34 134D
請求項の数または発明の数 6
全頁数 17
出願番号 特願2006-304118 (P2006-304118)
出願日 平成18年11月9日(2006.11.9)
審査請求日 平成21年11月4日(2009.11.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】金 煕濬
【氏名】南 亘
個別代理人の代理人 【識別番号】100097076、【弁理士】、【氏名又は名称】糟谷 敬彦
審査官 【審査官】小久保 勝伊
参考文献・文献 特開2004-255228(JP,A)
特開平08-039080(JP,A)
特開2005-206405(JP,A)
特開平11-277072(JP,A)
特開平09-086926(JP,A)
特開2006-159042(JP,A)
特開昭49-055154(JP,A)
調査した分野 C02F 1/00-1/78
B01D 53/68、53/77-53/80
特許請求の範囲 【請求項1】
フッ素(F)と塩素(Cl)を含有するハロゲン化合物を燃焼分解し、その燃焼ガスを溶解させた水溶液と反応液槽から導入するカルシウムイオンを含む水溶液とを反応槽で反応させ、難溶性カルシウム化合物として沈殿させて取出すハロゲン化合物の処理方法において、
上記燃焼ガスは、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有し、上記燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、水中に吸収されて、上記燃焼ガスを溶解させた水溶液として吸収槽中に貯水され、
上記カルシウムイオンを含む水溶液は、上記反応槽へ上記吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と上記燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を上記反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を上記反応液槽中に導入し、上記反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、上記カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水し、
上記難溶性カルシウム化合物の沈殿は、上記反応槽を複数個使用し、上記反応槽を2つのグループに分け、一方のグループの反応槽には上記フッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を上記反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する上記吸収槽に循環させるとともに、他方のグループの反応槽には上記フッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を上記反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する反応液槽に循環させ処理することを特徴とするハロゲン化合物の処理方法。
【請求項2】
上記反応槽は、いずれもスタティックミキサーである請求項1に記載のハロゲン化合物の処理方法。
【請求項3】
上記難溶性カルシウム化合物の除去は、遠心分離器を使用し、除去する上記難溶性カルシウム化合物の粒径を上記遠心分離機の回転数で制御する請求項1又は請求項2に記載のハロゲン化合物の処理方法。
【請求項4】
フッ素(F)と塩素(Cl)を含有するハロゲン化合物を燃焼分解し、その燃焼ガスを溶解させた水溶液と反応液槽から導入するカルシウムイオンを含む水溶液とを反応槽で反応させ、難溶性カルシウム化合物として沈殿させて取出すハロゲン化合物の処理装置において、
フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を、水中に吸収して上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を貯水する吸収槽を設け、
上記カルシウムイオンを含む水溶液は、上記反応槽へ上記吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と上記燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を上記反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を上記反応液槽中に導入し、上記反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、上記カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水し、
上記フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を上記反応液槽から導入して反応させる第1の反応槽と、上記第1の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、該分離器から取出した水溶液を上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する上記吸収槽に循環させるパイプを有し、
上記フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を上記反応液槽から導入して反応させる第2の反応槽と、上記第2の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、該分離器から取出した水溶液を上記反応液槽に循環させるパイプを有することを特徴とするハロゲン化合物の処理装置。
【請求項5】
上記第1の反応槽と上記第2の反応槽は、いずれもスタティックミキサーである請求項4に記載のハロゲン化合物の処理装置。
【請求項6】
上記難溶性カルシウム化合物を除去する分離器は、遠心分離器であり、除去する難溶性カルシウム化合物の粒径を上記遠心分離器の回転数で制御する請求項4又は請求項5に記載のハロゲン化合物の処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化合物からハロゲンを回収し、無害化する処理方法及びその処理に使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年オゾン層を破壊する物質、かつ地球温暖化効果の大きい物質として、フロンが注目され、フロンガスを熱分解して処理する技術が研究開発されてきている。
これらの物質を分解して処理する場合は、これらの物質がフッ素、塩素等のハロゲンを含むため、分解ガスとしてフッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)等のハロゲン化合物が発生し、これらを処理する過程でハロゲン化合物水溶液や酸性水溶液が発生する。この有毒なハロゲン化合物水溶液からハロゲンを回収し、酸性水溶液を処理して無害化する技術が注目されている。
【0003】
従来の技術において、これら分解ガスを無害化処理するために、水酸化カルシウム(Ca(OH))の水溶液又は懸濁液にこれら分解ガスを導入して、中和してフッ化カルシウム(CaF)として回収することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この分解ガスを直接水酸化カルシウム(Ca(OH))の水溶液又は懸濁液に導入すると、水酸化カルシウム(Ca(OH))の溶解度が低いため、分解ガス中のフッ化水素(HF)の反応処理速度が低く、さらに分解ガス中には炭酸ガス(CO)が含まれるため、炭酸カルシウム(CaCO)やフッ化カルシウム(CaF)が生成して、装置中のパイプの壁等に析出してパイプが詰まってしまったり、ポンプに異常負荷がかかったりする場合があった。
【0004】
また、図5に示すように、水酸化カルシウム(Ca(OH))を201を収納する溶解槽202に塩化水素(HCl)を含む水溶液を導入し、この水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換し、この水溶液を沈殿槽203に供給する。一方フロンガス等を分解して発生する分解ガス204を反応槽205に導入し、ハロゲン化合物を含む水溶液を生成する。このハロゲン化合物を含む水溶液を沈殿槽203に供給して、塩化カルシウム(CaCl)と反応させ、ハロゲン化合物を難溶性カルシウムとして沈殿させ取出す技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】

【特許文献1】特開平10-156105号公報
【特許文献2】特許第3672301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ハロゲン化合物からハロゲンを回収し、無害化処理するために高純度のハロゲン化合物を提供することができ、或いは、耐久性があり、効率良く処理する方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1の本発明は、フッ素(F)と塩素(Cl)を含有するハロゲン化合物を燃焼分解し、その燃焼ガスを溶解させた水溶液と反応液槽から導入するカルシウムイオンを含む水溶液とを反応槽で反応させ、難溶性カルシウム化合物として沈殿させて取出すハロゲン化合物の処理方法において、
燃焼ガスは、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有し、燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、水中に吸収されて、燃焼ガスを溶解させた水溶液として吸収槽中に貯水され、
カルシウムイオンを含む水溶液は、反応槽へ吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を反応液槽中に導入し、反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水し、
難溶性カルシウム化合物の沈殿は、反応槽を複数個使用し、反応槽を2つのグループに分け、一方のグループの反応槽にはフッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する吸収槽に循環させるとともに、他方のグループの反応槽にはフッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する反応液槽に循環させ処理することを特徴とするハロゲン化合物の処理方法である。
【0008】
請求項1の本発明においては、フッ素(F)と塩素(Cl)を含有するハロゲン化合物の処理方法において、燃焼ガスは、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有し、燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、水中に吸収されて、燃焼ガスを溶解させた水溶液として吸収槽中に貯水される。このため、吸収槽中に貯水されたフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水は、反応装置に送られて、反応液槽から送られた塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液と混合され処理される。
カルシウムイオンを含む水溶液は、反応槽へ吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を反応液槽中に導入し、反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水する。このため、塩化カルシウム(CaCl)は、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び炭酸カルシウム(CaCO)よりも溶解度が大きく、水溶液中に含まれるカルシウムイオンの濃度が高いため、水溶液中のフッ化水素(HF)を確実に処理することができる。
また、燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液と、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を反応させるため、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を容易に生成させることができ、装置もコンパクトにできるとともに、処理も容易である。
【0009】
難溶性カルシウム化合物の沈殿は、反応槽を複数個使用し、反応槽を2つのグループに分け、一方のグループの反応槽にはフッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する吸収槽に循環させる。
このため、このグループの反応槽では、全ての塩化カルシウム(CaCl)が反応し、水溶液中には塩化カルシウム(CaCl)が残存しない。したがって、ハロゲン化合物の水溶液を保存する槽に塩化カルシウム(CaCl)が入ることはなく、槽内で、沈殿または沈着が起こることがなく、槽の耐久性を向上させることができる。
【0010】
他方のグループの反応槽にはフッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の塩化カルシウム(CaClを含む水溶液を反応液槽から導入して反応させ、その反応液の難溶性カルシウム化合物を除去した後に、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する反応液槽に循環させる。
このため、このグループの反応槽では、全てのフッ化水素(HF)が反応し、水溶液中にはフッ化水素(HF)が残存しない。したがって、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する槽にフッ化水素(HF)が入ることはなく、吸収槽内で、沈殿または沈着が起こることがなく、槽の耐久性を向上させることができる。また、塩化カルシウム(CaCl)の水に対する溶解度が高いので、沈殿槽において未反応の塩化カルシウム(CaCl)が沈殿することがなく、沈殿する難溶性カルシウム化合物の純度が高いため、商品性が大きい。
【0011】
請求項2の本発明は、反応槽は、いずれもスタティックミキサーであるハロゲン化合物の処理方法である。
【0012】
請求項2の本発明においては、反応槽は、いずれもスタティックミキサーである。このため、小型混合機であるスタティックミキサーで、フッ化水素(HF)を含む水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を確実に混合させることができ、設備を小型化できるとともに、フッ化水素(HF)を難溶性カルシウム化合物として確実に水溶液から除去することができる。
【0014】
請求項3の本発明は、難溶性カルシウム化合物の除去は、遠心分離器を使用し、除去する難溶性カルシウム化合物の粒径を遠心分離機の回転数で制御するハロゲン化合物の処理方法である。
【0015】
請求項3の本発明においては、難溶性カルシウム化合物の除去は、遠心分離器を使用し、除去する難溶性カルシウム化合物の粒径を遠心分離機の回転数で制御する。このため、粒径の大きな難溶性カルシウム化合物を選択して除去することができ、難溶性カルシウム化合物の取り扱いが容易であり、純度が高いため、商品性が大きい。
【0016】
請求項4は、フッ素(F)と塩素(Cl)を含有するハロゲン化合物を燃焼分解し、その燃焼ガスを溶解させた水溶液と反応液槽から導入するカルシウムイオンを含む水溶液とを反応槽で反応させ、難溶性カルシウム化合物として沈殿させて取出すハロゲン化合物の処理装置において、
フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する上記燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を、水中に吸収して上記燃焼ガスを溶解させた水溶液を貯水する吸収槽を設け、
カルシウムイオンを含む水溶液は、反応槽へ吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を反応液槽中に導入し、反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水し、
フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させる第1の反応槽と、第1の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、分離器から取出した水溶液をフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する吸収槽に循環させるパイプを有し、
フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させる第2の反応槽と、第2の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、分離器から取出した水溶液を反応液槽に循環させるパイプを有することを特徴とするハロゲン化合物の処理装置である。
【0017】
請求項4の本発明においては、カルシウムイオンを含む水溶液は、反応槽へ吸収槽中の上記フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を反応液槽に導入するとともに、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液を反応液槽中に導入し、反応液槽中で塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したものであり、カルシウムイオンを含む水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液として反応液槽中に貯水した。このため、塩化カルシウム(CaCl)は、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び炭酸カルシウム(CaCO)よりも溶解度が大きく、水溶液中に含まれるカルシウムイオンの濃度が高いため、水溶液中のフッ化水素(HF)を確実に処理することができる塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を得ることができる。
また、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を導入し、水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)と燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液と、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を反応させるため、塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を容易に生成させることができ、コンパクトな装置とすることができる。
【0018】
ハロゲン化合物の処理装置は、フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも少ない量の塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させる第1の反応槽を有する。このため、この第1の反応槽では、全ての塩化カルシウム(CaCl)が反応し、水溶液中には塩化カルシウム(CaCl)が残存しない。したがって、フッ化水素(HF)の水溶液を保存する槽にカルシウムイオン(Ca2+)が入ることはなく、槽内で、沈殿がおこることがなく、耐久性の良い吸収槽を得ることができる。
【0019】
第1の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、分離器から取出した水溶液をフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する燃焼ガスを溶解させた水溶液を保存する吸収槽に循環させるパイプを有する。このため、反応させた水溶液から確実に難溶性カルシウム化合物を除去することができるとともに、フッ化水素(HF)を除去する工程に水溶液を何回も循環させて、確実に除去することができる。
【0020】
フッ化水素(HF)を含む水溶液が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の化学当量よりも多い量の上記塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を反応液槽から導入して反応させる第2の反応槽を有する。このため、第2の反応槽では、全てのフッ化水素(HF)が反応し、水溶液中にフッ素イオン(F)が残存しない。したがって、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する槽にフッ素イオン(Fが入ることはなく、槽内で、沈殿または沈着が起こることがなく、耐久性を有する槽を得ることができる。また、塩化カルシウム(CaCl)の水に対する溶解度が高いので、沈殿槽において未反応の塩化カルシウム(CaCl)が沈殿することがなく、沈殿する難溶性カルシウム化合物の純度が高いため、商品性が大きい難溶性カルシウム化合物を得ることができる。
【0021】
第2の反応槽から取出した難溶性カルシウム化合物を除去する分離器と、分離器から取出した水溶液をフッ化水素(HF)の水溶液を保存する反応液槽に循環させるパイプを有する。このため、反応させた水溶液から確実に難溶性カルシウム化合物を除去することができるとともに、ハロゲン化合物を除去する工程に水溶液を何回も循環させて、確実に除去することができる。また、塩化カルシウム(CaCl)の水に対する溶解度が高いので、沈殿槽において未反応の塩化カルシウム(CaCl)が沈殿することがなく、沈殿する難溶性カルシウム化合物の純度が高いため、商品性が大きい。
【0022】
請求項5の本発明は、第1の反応槽と第2の反応槽は、いずれもスタティックミキサーであるハロゲン化合物の処理装置である。
【0023】
請求項5の本発明においては、第1の反応槽と第2の反応槽は、いずれもスタティックミキサーである。このため、小型混合機であるスタティックミキサーで、フッ化水素(HF)を含む水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液を確実に混合させることができ、設備を小型化できるとともに、フッ化水素(HF)を難溶性カルシウム化合物として確実に水溶液から除去することができる。
【0025】
請求項6の本発明は、難溶性カルシウム化合物を除去する分離器は、遠心分離器であり、除去する難溶性カルシウム化合物の粒径を遠心分離器の回転数で制御するハロゲン化合物水溶液の処理装置である。
【0026】
請求項6の本発明においては、難溶性カルシウム化合物を除去する分離器は、遠心分離器であり、除去する難溶性カルシウム化合物の粒径を遠心分離器の回転数で制御する。このため、遠心分離器で粒径の大きな難溶性カルシウム化合物を選択して除去することができ、難溶性カルシウム化合物の取り扱いが容易であり、純度が高いため、難溶性カルシウム化合物の商品性が大きい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ハロゲン化合物の処理方法とその装置において、水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)を含む水溶液又は懸濁液に燃焼ガスに含まれた塩化水素(HCl)及び水溶液中のフッ化水素(HF)をカルシウムイオンを含む水溶液と反応させ難溶性カルシウム化合物として沈殿させて除去して生じた塩化水素(HCl)を溶解させた水溶液を導入し、水溶液を塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液に変換したため、溶液中に含まれるカルシウムイオンの濃度が高いため、水溶液中のフッ化水素(HF)を確実に処理することができる。
反応槽を2つのグループに分け、一方のグループの反応槽にはフッ化水素(HF)が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の当量よりも少ない量の塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を導入して反応させる。このため、このグループの反応槽では、全ての塩化カルシウム(CaCl)が反応し、フッ化水素(HF)の水溶液を保存する槽に塩化カルシウム(CaCl)が入ることはなく、槽内で、沈殿または沈着を生じることがなく、吸収槽の耐久性を向上させることができる。
【0028】
他方のグループの反応槽にはハロゲン化合物が反応するに必要な塩化カルシウム(CaCl)の当量よりも多い量の塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を導入して反応させる。このため、このグループの反応槽では、全てのハロゲン化合物が反応し、水溶液中にはハロゲン化合物が残存しない。したがって、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を保存する吸収槽にハロゲン化合物が入ることはなく、吸収槽内で、沈殿が起こることがなく、吸収槽の耐久性を向上させることができる。
ハロゲン化合物を含む水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含む水溶液をスタティックミキサーに導入し反応させる場合は、設備を小型化できるとともに、ハロゲン化合物を難溶性カルシウム化合物として確実に水溶液から除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、フッ素を含む有機ハロゲン化合物を分解して得られるフッ化水素(HF)を含有するガスの処理を例に取り説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
まず、フッ素を含む有機ハロゲン化合物を分解して得られるフッ化水素(HF)を含有するガスの処理について図1~図4に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すハロゲン化合物の処理装置のフローチャートであり、図2と図3はそれぞれ第2と第3の実施の形態を示すハロゲン化合物の処理装置のフローチャートである。
【0030】
まず、図1と図4に基づき第1の実施の形態を示すハロゲン化合物処理方法と、ハロゲン化合物処理装置20について説明する。
フッ素を含む有機ハロゲン化合物は、燃焼分解装置10により分解される。燃焼分解装置10の詳細は図4に示す。燃焼ガス導入パイプ14から導入された、フッ素を含む有機ハロゲン化合物、燃焼用プロパンガス及び空気は、バーナー11において高温で燃焼分解される。電線17に連結されたフィラメント12は、着火装置である。さらに、フッ素を含む有機ハロゲン化合物は、燃焼筒13内に二次空気導入パイプ15により導入される二次空気により完全に燃焼分解される。燃焼ガスは、燃焼ガス排出パイプ16により排出され、後述するハロゲン化合物処理装置20に送られる。
【0031】
燃焼ガス排出パイプ16から排出された燃焼ガスは、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有している。この燃焼ガスは、図1に示すように、シャワー塔21に導入される。シャワー塔21にはシャワー部22が設けられており、シャワー部22から燃焼ガスに対して水が吹き付けられる。これにより燃焼ガス中のフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、シャワーされた水中に吸収されて、吸収槽26中に貯水される。
シャワー部22へは、吸収槽26中に貯水されたフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水が給水ポンプ24と給水パイプ23により供給され、循環する。
なお、吸収槽26には、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)の濃度を調整するため給水パイプ25から水が適宜、補給される。
【0032】
次に、吸収槽26中に貯水されたフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水は、第1反応装置30と第2反応装置40に送られて、反応液槽50から送られた塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液と混合され処理される。反応液槽50における塩化カルシウム(CaCl)の生成については後述する。
【0033】
第1反応装置30においては、吸収槽26からフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液が第1送水ポンプ31と第1送水パイプ32により第1反応槽33内に送水される。送水量は、例えば10L/分程度である。
また、反応液槽50から塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液が第1反応液ポンプ36と第1反応液パイプ37により第1反応槽33内に送水される。送水量は、ハロゲン化合物の処理量により変化する。例えば1L/分程度である。
【0034】
第1反応槽33内には、撹拌機が設けられ、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を20%程度含有する水溶液が混合されて、下記の反応式1のように反応する。そして、フッ化カルシウム(CaF)が生じる。
このとき、上述のように、第1反応槽33に送水されるフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液よりも塩化カルシウム(CaCl)を含有する溶液水の方が少なく、化学当量的にも塩化カルシウム(CaCl)の方がフッ化水素(HF)よりも少ない。このため、水溶液中の塩化カルシウム(CaCl)は、完全に反応する。
2HF+CaCl→2HCl+CaF・・(1)
生成したフッ化カルシウム(CaF)は水に対する溶解度が低いため、析出して沈殿する。
【0035】
第1反応槽33内で反応した水溶液は、第1遠心分離機34に送られ、析出したフッ化カルシウム(CaF)が取り除かれる。その後、水溶液は第1循環パイプ35により吸収槽26に送られる。塩化カルシウム(CaCl)は第1反応槽33内で全て反応しているため、この水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)は残らない。このため、この水溶液を吸収槽26に送水しても、塩化カルシウム(CaCl)が入ることはなく、吸収槽26内で、沈殿または沈着が起こることがなく、吸収槽26の耐久性を向上させることができる。
【0036】
第2反応装置40においては、吸収槽26からフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液が第2送水ポンプ41と第2送水パイプ42により第2反応槽43内に送水される。送水量は、例えば1L/分程度である。
また、反応液槽50から塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液が第2反応液ポンプ46と第2反応液パイプ47により第2反応槽43内に送水される。送水量は、例えば10L/分程度である。
【0037】
第2反応槽43内には、同様に撹拌機が設けられ、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液が混合されて、上記の反応式1のように反応する。そして、フッ化カルシウム(CaF)が生じる。
このとき、第2反応槽43に送水されるフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液よりも塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の方が多く、化学当量的にも塩化カルシウム(CaCl)の方がフッ化水素(HF)よりも多い。
【0038】
第2反応槽43内で反応した水溶液は、第2遠心分離機44に送られ、析出したフッ化カルシウム(CaF)が取り除かれる。第2遠心分離機44の回転数を制御することにより、取出すフッ化カルシウム(CaF)の粒径を制御することができる。このため、粒径が大きく重量が増加したフッ化カルシウム(CaF)のみを取出すことができ、フッ化カルシウム(CaF)の取り扱いが容易であり、純度が80%以上と高いため、難溶性カルシウム化合物であるフッ化カルシウム(CaF)の商品性が大きい。
【0039】
その後、水溶液は第2循環パイプ45により反応液槽50に送られる。フッ化水素(HF)は第2反応槽43内で全て反応しているため、この水溶液にはフッ化水素(HF)は残らない。このため、この水溶液を反応液槽50に送水しても、フッ化水素(HF)が入ることはなく、反応液槽50内で、沈殿が起こることがなく、反応液槽50の耐久性を向上させることができる。
なお、この水溶液には、上記の反応式1に示すように反応で生じた塩化水素(HCl)と、燃焼ガス中に含まれた塩化水素(HCl)が溶解している。
【0040】
反応液槽50には、塩化水素(HCl)を含む水溶液の酸性度を中和するため、pHメーターの測定に基づき、酸性度に応じて、原料導入パイプ53から水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)が導入される。水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)は、反応液槽50内に貯蔵された水溶液中に含有された塩化水素(HCl)と下記のように反応して、塩化カルシウム(CaCl)が生じる。この塩化カルシウム(CaCl)が第1反応槽33と第2反応槽43に送られて、反応する。
【0041】
この水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)の懸濁液又は水溶液に、上記の反応液槽50中の塩化水素(HCl)を含む水溶液が混合された反応は次のとおりである。
2HCl+Ca(OH)→CaCl+2HO・・(2)
2HCl+CaCO→CaCl+HO+CO・・(3)
【0042】
この反応によって生成した塩化カルシウム(CaCl)は水溶液となり、反応液槽50中に溜まる。この反応液槽50から塩化カルシウム(CaCl)水溶液は、上述のとおり、第1反応液ポンプ36と第2反応液ポンプ46により第1反応槽33と第2反応槽43に送水される。
このようにして、水に溶けにくい水酸化カルシウム(Ca(OH))又は炭酸カルシウム(CaCO)から水に溶けやすい塩化カルシウム(CaCl)を生成させて、第1反応槽33と第2反応槽43に循環的に送ることができるため、水溶液中のカルシウムイオンの量を多くすることができ、効率的である。
【0043】
なお、各槽の化学物質濃度を減少させるために、給水パイプ25、原料導入パイプ53から給水するが、そのため、余った水は、排水パイプ52から排水される。このとき、この排水中には塩化カルシウム(CaCl)と、遠心分離機44で除去することのできなかったフッ化カルシウム(CaF)が含まれている。このため、この排水を沈殿槽51に8時間程度静置した。フッ化カルシウム(CaF)の溶解度が低いことと、塩化カルシウム(CaCl)が多量に存在することから、フッ化カルシウム(CaF)およびフッ化物イオン(F)は除去することができる。
【0044】
次に第2の実施の形態のハロゲン化合物処理装置60について図2に基づき説明する。
第1の実施の形態と同様に、フッ素を含む有機ハロゲン化合物は、燃焼分解装置10により分解される。図1に示すものと同様に、シャワー塔21のシャワー部22から燃焼ガスに対して水が吹き付けられ、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、シャワーされた水中に吸収されて、導入パイプ62からハロゲン化合物タンク61中に貯水される。この水溶液には、フッ化水素(HF)が0.1%~3%程度含まれている。
【0045】
フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液は、2つに分かれて2台のスタティックミキサーに送られる。スタティックミキサーの替わりに第1の実施の形態で使用した撹拌機を回転させる反応槽を使用することもできる。
上記の水溶液の一方は、第1送水ポンプ63により第1送水パイプ64と第1流量計69を経由して、第1スタティックミキサー65に送られる。また、塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、反応液タンク74に貯水され、第3送水ポンプ75aと第3流量計75bを経由して、第1スタティックミキサー65に送られる。
【0046】
第1スタティックミキサー65は、筒状の内部に複数のエレメントが組み合わされて取付けられた、駆動部のない静止型混合器である。第1スタティックミキサー65の内部に入ったフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、このエレメントにより順次撹拌混合される。
混合された水溶液は、第1排出パイプ64aによりハロゲン化合物タンク61に還流される。
【0047】
このとき、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液の流量は、第1流量計69により制御されるが、例えば10L/分程度である。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の濃度は、例えば40%を使用することができ、その量は第3流量計75bにより制御される。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の量は、フッ化水素(HF)の濃度と量により変化させられるが、塩化カルシウム(CaCl)が完全に反応するように、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)の化学当量よりも少なく、例えば1L/分程度である。
そのため、第1排出パイプ64aによりハロゲン化合物タンク61に還流された水溶液中に、後述するように、フッ化カルシウム(CaF)が析出するが、析出量は少なく、析出した粒子も小さいため、ハロゲン化合物タンク61中に沈殿することが少なく、後述する、第2スタティックミキサー68に送られる。
【0048】
上記の水溶液の他方は、第2送水ポンプ66により第2送水パイプ67と第2流量計70を経由して、第2スタティックミキサー68に送られる。また、塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、第1の水溶液の場合と同様に、反応液タンク74に貯水され、第4送水ポンプ76aと第4流量計76bを経由して、第2スタティックミキサー68に送られる。
【0049】
第2スタティックミキサー68は、第1スタティックミキサー65と同様に、筒状の内部に複数のエレメントが組み合わされて取付けられた、駆動部のない静止型混合器である。第2スタティックミキサー68の内部に入ったフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、このエレメントにより順次撹拌混合される。
混合された水溶液は、第2排出パイプ72により遠心分離機71に送られる。
【0050】
このとき、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液の流量は、第2流量計70により制御されるが、例えば1L/分程度である。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の濃度は、例えば40%を使用することができ、その量は第4流量計76bにより制御される。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の量は、フッ化水素(HF)の濃度と量により変化させられるが、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)が完全に反応するように、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)の化学当量よりも多く、例えば10L/分程度である。
第1スタティックミキサー65及び第スタティックミキサー68内で反応は、下記に示すように、第1の実施の形態における反応式(1)と同じである。
2HF+CaCl→2HCl+CaF・・(1)
【0051】
第2排出パイプ72により遠心分離機71に排出された水溶液中に、下記のように、フッ化カルシウム(CaF)が析出し、析出したフッ化カルシウム(CaF)が取り除かれる。この析出量は多く、析出した粒子も大きいため、遠心分離機71で確実に分離され、分離パイプ71aから排出される。
遠心分離機71に送られた水溶液は、第1の実施の形態と同様に、遠心分離機71の回転数を制御することにより、取り出すフッ化カルシウム(CaF)の粒径を制御することができる。このため、粒径が大きく重量が増加したフッ化カルシウム(CaF)のみを分離パイプ71aから取出すことができる。粒径が大きいため、フッ化カルシウム(CaF)の取り扱いが容易であり、純度が高いため、難溶性カルシウム化合物であるフッ化カルシウム(CaF)の商品性が大きい。
【0052】
遠心分離機71から出た水溶液は、第2排出パイプ72を通り沈殿槽73に送られる。沈殿槽73では、水溶液は、静置され、遠心分離機71で分離されないフッ化カルシウム(CaF)を分離させる。
また、循環する水溶液の量を調整するために、沈殿槽73から排出された水溶液は、pH調整槽73aで水酸化カルシウム(Ca(OH))溶液が添加されることにより、pHが中性に調整され、第3排出パイプ78から排出される。
また、沈殿槽73の水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含有しており、第5送水ポンプ79aと第3循環パイプ79により、汚泥とともに反応液タンク74に送られて、循環使用される。
【0053】
この水溶液には、塩化水素(HCl)が含まれるため、排出される水溶液のpHを調整するために、反応液パイプ77から、水酸化カルシウム(Ca(OH))の水溶液又は懸濁液が注入される。塩化水素(HCl)と水酸化カルシウム(Ca(OH))が反応して生成した塩化カルシウム(CaCl)は、第1循環パイプ75を通り第1スタティックミキサー65と第2スタティックミキサー68に送ることができる。
【0054】
次に第3の実施の形態のハロゲン化合物処理装置80について図3に基づき説明する。
第1の実施の形態と同様に、フッ素を含む有機ハロゲン化合物は、燃焼分解装置10により分解される。図1に示すように、シャワー塔21のシャワー部22から燃焼ガスに対して水が吹き付けられ、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)は、シャワーされた水中に吸収されて、導入パイプ82からハロゲン化合物タンク81中に貯水される。この水溶液には、フッ化水素(HF)が0.1%~3%程度含まれている。
【0055】
第2の実施の形態と同様に、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液は、2つに分かれて2台のスタティックミキサーに送られる。スタティックミキサーの替わりに第1の実施の形態で使用した撹拌機を回転させる反応槽を使用することもできる。
上記の水溶液一方は、第1送水ポンプ83により第1送水パイプ84と第1流量計89を経由して、第1スタティックミキサー85に送られる。また、塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、反応液タンク94に貯水され、第3送水ポンプ95aと第3流量計95bを経由して、第1スタティックミキサー85に送られる。
【0056】
第1スタティックミキサー85は、筒状の内部に複数のエレメントが組み合わされて取付けられた、駆動部のない静止型混合器である。第1スタティックミキサー85の内部に入ったフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、このエレメントにより順次撹拌混合される。
混合された水溶液は、第1排出パイプ84aによりハロゲン化合物タンク81に還流される。
【0057】
このとき、第2の実施の形態と同様に、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液の流量は、第1流量計89により制御されるが、例えば10L/分程度である。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の濃度は、例えば40%を使用することができ、その量は第3流量計95bにより制御される。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の量は、フッ化水素(HF)の濃度と量により変化させられるが、塩化カルシウム(CaCl)が完全に反応するように、フッ化水素(HF)の化学当量よりも少なく、例えば1L/分程度である。
そのため、第1排出パイプ84aによりハロゲン化合物タンク81に還流された水溶液中に、後述するように、フッ化カルシウム(CaF)が析出するが、粒子が小さいため、ハロゲン化合物タンク81中に沈殿することが少なく、後述する、第2スタティックミキサー88に送られる。
【0058】
上記の水溶液の他方は、第2送水ポンプ86により第2送水パイプ87と第2流量計90を経由して、第2スタティックミキサー88に送られる。また、塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、第1の水溶液の場合と同様に、反応液タンク94に貯水され、第4送水ポンプ96aと第4流量計96bを経由して、第2スタティックミキサー88に送られる。
【0059】
第2スタティックミキサー88は、第1スタティックミキサー85と同様に、筒状の内部に複数のエレメントが組み合わされて取付けられた、駆動部のない静止型混合器である。第2スタティックミキサー85の内部に入ったフッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液と塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液は、このエレメントにより順次撹拌混合される。
混合された水溶液は、第2排出パイプ92により反応液タンク94に送られる。
【0060】
このとき、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)を含有する水溶液の流量は、第2流量計90により制御されるが、例えば1L/分程度である。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の濃度は、例えば40%を使用することができ、その量は第4流量計96bにより制御される。塩化カルシウム(CaCl)を含有する水溶液の量は、フッ化水素(HF)の濃度と量により変化させられるが、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)が完全に反応するように、フッ化水素(HF)及び塩化水素(HCl)の化学当量よりも多く、例えば10L/分程度である。
第1スタティックミキサー85及び第スタティックミキサー88内で反応は、下記に示すように、第1の実施の形態における反応式(1)と同じである。
2HF+CaCl→2HCl+CaF・・(1)
【0061】
第2排出パイプ92により反応液タンク94に排出された水溶液中に、下記のように、フッ化カルシウム(CaF)が析出する。フッ化カルシウム(CaF)が析出した水溶液は、第6送水ポンプ101により、遠心分離機91に送られ、取り除かれる。この析出量は多く、析出した粒子も大きいため、遠心分離機91で確実に分離され、分離パイプ91aから排出される。
遠心分離機91に送られた反応沈殿槽94内の水溶液は、第1の実施の形態と同様に、遠心分離機91の回転数を制御することにより、取り出すフッ化カルシウム(CaF)の粒径を制御することができる。このため、粒径が大きく重量が増加したフッ化カルシウム(CaF)のみを分離パイプ91aから取出すことができる。粒径が大きいため、フッ化カルシウム(CaF)の取り扱いが容易であり、純度が高いため、難溶性カルシウム化合物であるフッ化カルシウム(CaF)の商品性が大きい。
【0062】
遠心分離機91から出た水溶液は、第4循環パイプ102を通りレベル制御バルブ100に送られる。レベル制御バルブ100は、反応液タンク94の水位のレベルに基づき、水溶液を反応液タンク94へ送るか、沈殿槽93へ送るか決定する。
沈殿槽93に送られた水溶液は、静置され、遠心分離機91で分離されないフッ化カルシウム(CaF)を分離させるとともに、循環する水溶液の量を調整するために、pHを中性に調製された水溶液は第3排出パイプ98から排出される。
また、沈殿槽93の下部の水溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含有しており、第5送水ポンプ79aと第3循環パイプ79により、汚泥とともに反応液タンク74に送られて、循環使用される。
【0063】
反応液タンク94に送られた水溶液には、塩化水素(HCl)が含まれるため、排出される水溶液のpHを調整するために、反応液パイプ97から、水酸化カルシウム(Ca(OH))の水溶液又は懸濁液が注入される。塩化水素(HCl)と水酸化カルシウム(Ca(OH))が反応して生成した塩化カルシウム(CaCl)は、第1循環パイプ95を通り第1スタティックミキサー85と、第2循環パイプ96を通り第2スタティックミキサー88に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施の態様であるハロゲン化合物処理装置のフローチャートである。
【図2】本発明の第2の実施の態様であるハロゲン化合物処理装置のフローチャートである。
【図3】本発明の第3の実施の態様であるハロゲン化合物処理装置のフローチャートである。
【図4】本発明に使用する燃焼分解装置の断面概略図である。
【図5】従来のハロゲン化合物処理装置の概略図である。
【符号の説明】
【0065】
10 燃焼分解装置
20、60、80 ハロゲン化合物処理装置
26、吸収塔
30 第1反応装置
33 第1反応槽
34 第1遠心分離機
40 第2反応装置
43 第2反応槽
44 第2遠心分離機
50 反応液槽
65、85 第1スタティックミキサー
68、88 第2スタティックミキサー
71、91 遠心分離機
73、93 沈殿槽
74、94 反応液タンク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4