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明細書 :放電灯装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4714868号 (P4714868)
公開番号 特開2007-115534 (P2007-115534A)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発行日 平成23年6月29日(2011.6.29)
公開日 平成19年5月10日(2007.5.10)
発明の名称または考案の名称 放電灯装置
国際特許分類 H01J  65/04        (2006.01)
FI H01J 65/04 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2005-305832 (P2005-305832)
出願日 平成17年10月20日(2005.10.20)
審査請求日 平成20年5月8日(2008.5.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】神藤 正士
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】山口 剛
参考文献・文献 特開2004-146338(JP,A)
特開2004-355980(JP,A)
特開2001-250512(JP,A)
特開2004-087434(JP,A)
特開2004-273412(JP,A)
特開2001-202923(JP,A)
調査した分野 H01J 65/04
特許請求の範囲 【請求項1】
電磁波発生部と、
前記電磁波発生部から電磁波が導かれ、かつ、内部導体、及び該内部導体を囲むように設けられた外部導体を有する電磁波導波路と、
前記電磁波導波路の前記外部導体の端部から突出し、かつ、前記内部導体と接触させて設けられたアンテナと、該アンテナの少なくとも一部を囲む光透過性を有する非導電性部材で形成され、かつ内部に発光物質が封入された放電容器とからなる放電灯と、から構成され、
前記アンテナの前記放電容器内に位置する部分に、インピーダンスが高い高インピーダンス部を設け、前記電磁波導波路からの電磁波を前記高インピーダンス部に局所的に集中させる、
ことを特徴とする放電灯装置。
【請求項2】
電磁波発生部と、
前記電磁波発生部から電磁波が導かれ、かつ、内部導体、及び該内部導体を囲むように設けられた外部導体を有する電磁波導波路と、
光透過性を有する非導電性部材で形成され、かつ内部に発光物質が封入された放電容器と、前記電磁波導波路の前記外部導体の端部から突出し、かつ、端部が前記放電容器の外部に露出するように設けられ、前記放電容器の内部に突出した部分が対向するように配置された一対のアンテナ部材で構成したアンテナとからなる放電灯と、から構成され、
前記アンテナの前記放電容器内に位置する部分に、インピーダンスが高い高インピーダンス部を設け、前記電磁波導波路からの電磁波を前記高インピーダンス部に局所的に集中させる、
ことを特徴とする放電灯装置。
【請求項3】
前記アンテナ部材の前記放電容器の内部に突出した部分を絶縁体で被覆した請求項記載の放電灯装置。
【請求項4】
前記アンテナ部材の前記放電容器の内部に突出した部分を先鋭にした請求項2または3記載の放電灯装置。
【請求項5】
前記アンテナと前記内部導体との間に間隙を設けるか、または前記アンテナと前記内部導体とを直接接触させた請求項~請求項のいずれか1項記載の放電灯装置。
【請求項6】
前記高インピーダンス部を、前記アンテナの途中に設けられたギャップとしたことを特徴とする請求項1~請求項5の何れか1項記載の放電灯装置。
【請求項7】
前記高インピーダンス部の長さを含む前記アンテナの長さを、前記電磁波の波長の1/4の長さとした請求項1~請求項の何れか1項記載の放電灯装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯装置にかかり、特に、放電容器の溶融破壊を防止した放電灯を備えた放電灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の導体と第2の導体との間に、導波された電磁波を放出する放出部を設け、放出された電磁波により生成される表面波プラズマに基づいて放電発光する放電部を備えた無電極放電灯が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、放電空間を形成する放電容器の外部に露出することなく放電容器に支持され、外部より与えられる高周波エネルギーにより生じる電界を集中させ、強めることにより放電空間内に配置された先端において放電を集中させる放電コンセントレータを備えた高周波励起型点光源ランプが提案されている(特許文献2)。

【特許文献1】特開2003-197156号公報
【特許文献2】特開2002-75290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の無電極放電灯では、ランプが電極を有していないことから、電磁波のエネルギーはランプ容器壁を貫通して容器内に供給されるため、容器壁の加熱が避けられず、入射された電磁波のエネルギー損失により発光効率が低下すると共に、容器壁の溶融破壊が生じる、という問題がある。
【0005】
また、高周波励起型点光源ランプでは、放電コンセントレータが外部に露出していないことから放電容器の外周に外部導電体を配置して高周波電源を印加する必要があると共に、外部導電体から放電容器壁を介して放電コンセントレータに高周波電圧が印加されることからエネルギー損失が発生し、発光効率が低下する、という問題がある。
【0006】
これら問題点の本質は、高周波電力導波路としての高周波電力の伝播に導波管などの分布定数線路を用いて導き、この高周波電力を局所的な発光電力とするための集中定数線路への導入するための装置構成で、損失を微小とすることが解決できていないことが原因と考えることができる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、放電容器の溶融破壊を生じさせることなく発光効率を向上させた放電灯を備えた放電灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の放電灯装置は、電磁波発生部と、前記電磁波発生部から電磁波が導かれ、かつ、内部導体、及び該内部導体を囲むように設けられた外部導体を有する電磁波導波路と、前記電磁波導波路の前記外部導体の端部から突出し、かつ、前記内部導体と接触させて設けられたアンテナと、該アンテナの少なくとも一部を囲む光透過性を有する非導電性部材で形成され、かつ内部に発光物質が封入された放電容器とからなる放電灯と、から構成され、前記アンテナの前記放電容器内に位置する部分に、インピーダンスが高い高インピーダンス部を設け、前記電磁波導波路からの電磁波を前記高インピーダンス部に局所的に集中させることを特徴としている。
【0010】
本発明の放電灯に供給された高周波(RF)やマイクロ波等の電磁波が、アンテナを介して放電容器内に直接供給され、アンテナ部材の先端付近に局所的に集中するため、容器内部の高圧ガス等の発光物質が効率よく放電する。
【0011】
本発明のアンテナに高インピーダンス部を設けた場合には、本発明の放電灯は、高周波(RF)やマイクロ波等の電磁波が、放電灯のアンテナに供給されると、アンテナのインピーダンス不連続部である高インピーダンス部での電磁波伝播が妨げられて電磁波が高インピーダンス部局所から放射される。放射される電磁波は放電容器の内部に存在しているので、放射部位近傍の発光物質を選択的に励起する。このため、容器内部の高圧ガス等の発光物質が効率よく放電する。
【0012】
アンテナの高インピーダンス部であるインピーダンスの不連続部は、抵抗性とするためには、アンテナを構成するアンテナ部材を途中で細形状とする、アンテナ部材の途中を抵抗率の異なる材料によって抵抗値を変化させる、あるいはアンテナ部材を切断して不連続部としてもよい。容量性とするためには、アンテナ部材を切断し切断両端に広がりを持つ平板、あるいは凹面あるいは凸面の傘状の広がりを設けてこれらを組み合わせてもよい。インダクタンス性とするためには、アンテナ部材の途中をコイル状、ジグザク状などに形成してもよい。これらの抵抗性の不連続部、容量性の不連続部、及びインダクタンス性の不連続部の2つまたは全部を組み合わせても良い。
【0013】
このように、発光部位はアンテナの高インピーダンス部位近傍となるので、アンテナ中央付近を発光部とするためには、アンテナ中央付近を高インピーダンス部とする。このように構成したアンテナ中央付近での放電は電磁波電界の空間分布の理想的形状となる。なお、電磁波電界を形成すればよいので、アンテナは放電容器内で被覆されていても露出していてもよい。
【0014】
さらに、上記目的を達成するために本発明の放電灯は、光透過性を有する非導電性部材で形成され、かつ内部に発光物質が封入された放電容器と、前記電磁波導波路の前記外部導体の端部から突出し、かつ、端部が前記放電容器の外部に露出するように設けられ、前記放電容器の内部に突出した部分が対向するように配置された一対のアンテナ部材で構成したアンテナとからなる放電灯と、から構成され、前記アンテナの前記放電容器内に位置する部分に、インピーダンスが高い高インピーダンス部を設け、前記電磁波導波路からの電磁波を前記高インピーダンス部に局所的に集中させるように構成することができる。
【0018】
また、一対のアンテナ部材を用いた場合の高インピーダンス部は、一対のアンテナ部材の放電容器の内部に突出した部分が間隙を介して対向するように配置することによって形成することができる。
【0019】
本発明の放電灯によれば、アンテナが、端部が前記放電容器の外部に露出するように設けられたアンテナ部材で構成されているため、放電灯に供給された高周波(RF)やマイクロ波等の電磁波が、アンテナを介して放電容器内に直接供給され、高インピーダンス部に局所的に集中するため、容器内部の高圧ガス等の発光物質が効率よく放電する。放電は電磁波電界の空間分布の形状となる。このとき電磁波は、放電容器壁を通過することなく高インピーダンス部に局所的に集中するため、放電容器の溶融破壊を防止することができる。
【0020】
本発明の放電灯では放電容器の内部に高インピーダンス部を設けることができる。照明装置として配光制御を効率よく行うためには、発光部のサイズを小さくする必要があるが、アンテナ部材を一対設け、アンテナ部材の間隔を狭くすること等によって高インピーダンス部における発光部のサイズを小さくしたスポット的な点灯が可能となり、点光源として使用することができる。
【0021】
また、本発明の放電灯では、アンテナ部材の放電容器の内部に突出した部分を絶縁体で被覆することができる。アンテナ部材を絶縁体で被覆することにより、アンテナ部材表面の金属と封入された発光物質との化学反応が生じなくなるため、発光効率及び演色性改善用の種々の封入物を放電容器に封入することができる。
【0022】
そして、本発明の放電灯では、アンテナ部材の放電容器の内部に突出した部分を先鋭にすることが効果的である。アンテナ部材を先鋭にすることにより、電磁波が局所的に集中するので、低エネルギーの電磁波入力でも放電させることができる。また点光源を得ることができる。
【0023】
本発明の放電灯点灯装置は、電磁波を発生する電磁波発生部と、前記放電灯の前記アンテナが設けられた部分が挿入されて前記放電灯が取り付けられる取り付け部を一端に備えた内部導体、及び該内部導体を囲むように設けられた外部導体を備え、該内部導体の外側面と該外部導体の内側面との間に前記電磁波発生部で発生された電磁波を前記取り付け部に取り付けられた放電灯に導く導波路が形成された電磁波導波部と、を含んで構成されている。
【0024】
本発明の放電灯点灯装置では、内部導体の一端に設けられた取り付け部に、放電灯のアンテナが設けられた部分が挿入されて放電ランプが取り付けられる。これにより、内部導体とアンテナとを組み合わせた導体の長さが、外部導体より長くなり、内部導体の長さが、外部導体の長さより長くなった状態と等価な状態になる。
【0025】
同軸ケーブルの内部導体を外部導体より長くして内部導体を外部導体から突出させることにより、内部導体の外部導体から突出した先端部に電磁波電界が集中する。
【0026】
本発明において、アンテナを内部導体に挿入することにより、実質的に内部導体が外部導体より長くなるので、電磁波発生部で発生された電磁波は、導波部によって導波されて放電灯に供給され、アンテナを介して放電容器内に直接供給され、アンテナ先端付近に局所的に集中する。これにより、放電容器内部の発光物質を効率よく放電させることができる。
【0027】
例えば、マイクロ波ランチャを矩形導波管に取り付ける場合には、アンテナを内部導体に挿入したときアンテナの外部導体からの突出量をλ/4(λは電磁波であるマイクロ波の波長である)とすると、電磁波は周囲の空間に効率よく放射される。しかし、同軸ケーブルに取り付ける場合には、必ずしもλ/4である必要はない。
【0028】
また、電磁波として周波数fのマイクロ波を用いた場合、1対のアンテナ部材を用いる場合のアンテナ部材のギャップGは、電子の素電荷をe、電子の平均自由行程をλe、マイクロ波電界Eによる電子の振幅をLとすると、電子の振幅Lと電子の平均自由行程λeとの関係はλe<Lであるが、放電の形成のために、電子の振幅LとアンテナのギャップGの関係は、L<Gを満足する必要がある。
【0029】
λeは、封入ガス圧pに逆比例し、電子の振幅Lはマイクロ波電界強度E、マイクロ波周波数ω=2πfおよび電子の衝突周波数νとの間に
【0030】
【数1】
JP0004714868B2_000002t.gif

【0031】
の関係が成立する。f=2.45GHzマイクロ波で1気圧の封入ガス圧下では、ω《νであるから、
【0032】
【数2】
JP0004714868B2_000003t.gif

【0033】
と変形することができる。
【0034】
本発明での封入ガス圧pは、例えば、1~5気圧とするが、p=1気圧の場合、ν~2×1012(1/s)、λe~4×10-7(m)であり、f=2.45GHzに対するLは、Eを(V/m)の単位で表すと、L~5×10-9×E(m)となる。したがって、E=10(V/m)のとき、λe<Lの関係が成り立つ。したがって、p=1気圧、f=2.45GHzに対して、E=10(V/m)のマイクロ波電界で放電開始条件が満足される。L<Gの関係はG>10-6m(10-3mm)となる。以上より、アンテナのギャップGは、製造における余裕を持って、例えば、0.1mmとすることができる。
【0035】
なお、1対となる対向電極構造を有しない図5に示す構造の本発明の放電灯では、アンテナのギャップGは無限遠の大きさであると考えて良い。この場合、放電容器内の発光物質として封入されたガス分子が電離してプラズマを生成できる電界強度の範囲で発光するので、放電容器内で広がりを持った発光が得られる。
【0036】
本発明では、電磁波発生部で発生された電磁波を導波部に直接導いても良いが、電磁波発生部で発生された電磁波を導波部に導く同軸ケーブルを設けるようにしてもよい。これにより、通常の交流・直流点灯放電灯と略同様の配線が可能となり、利便性が高くなる。
【0037】
本発明では、内部導体の外側面と該外部導体の内側面との間に、石英、アルミナ、またはポリエチレン等の絶縁体を封入すること等によって介在させることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように本発明の放電灯装置によれば、放電容器の溶融破壊を生じさせることなく発光効率を向上させることができる、という効果が得られる
【0040】
また、本発明の放電装置によれば、電磁波電力を直接放電灯中心部のアンテナの高インピーダンス部に供給することにより、強い電界を発生して、放電を形成することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下では放電灯として高輝度高圧放電ランプ(HIDランプ)を用いた放電灯装置の実施の形態を説明することにより、放電灯の実施の形態及び放電灯点灯装置の実施の形態を併せて説明する。
【0042】
図1に示すように、本実施の形態の放電灯装置は、HIDランプ10と、放電灯点灯装置12とから構成されている。
【0043】
放電灯点灯装置12には、高周波(RF)またはマイクロ波等の電磁波を導波する導波部として作用するランチャ14が設けられている。ランチャ14には、ランチャ14の一端に取り付けられたHIDランプ10が焦点位置に位置するようにパラボラ反射器16が固定されている。
【0044】
ランチャ14の他端は、同軸ケーブル18を介して小型の固体発振器20に接続されている。固体発振器20としては、発振器、アンプ、及びアイソレータを備えたソリッドステート発振器を用いることができる。固体発振器20には、28~30V程度の電圧を出力する直流電源22が接続されている。
【0045】
図2に示すように、HIDランプ10は、内部に放電空間10Aが形成された楕円体状の放電容器10Bを備えている。放電容器内には、例えば、5気圧のキセノンガスと少量の添加物とからなる発光物質が封入されている。放電容器10Bには、放電容器10Bの長軸に沿って長軸方向に伸びるように所定間隔隔てて一対の棒状部材10Cが設けられている。
【0046】
一対の棒状部材10Cの各々の先端は、放電空間10A内に突出しており、他端は放電容器10Bの外側に突出している。棒状部材10Cの各々には、先端が先鋭に形成された金属製の棒状アンテナ部材10Dの各々が埋設されている。アンテナ部材は、タングステンまたはモリブデンで構成することができ、また、アンテナ部材の金属材料と絶縁体の熱膨張係数の相違に起因する破壊を避けるために、モリブデンの板の両端の各々に棒状あるいは板状のタングステンを接続して構成してもよいが、本実施の形態では高周波電力が発光のための放電部において高効率で消費され、放電容器とアンテナ部材との接合部での発熱は殆ど生じない。したがってこれを用いない構成がコスト低減のためにも推奨できる。
【0047】
放電容器10B及び一対の棒状部材10Cは、透光性を有する非導電性部材である石英またはアルミナ等の高誘電率絶縁体を用いて形成され、一対のアンテナ部材の先端部が棒状部材10Cによって被覆された状態で、ギャップGの間隔だけ隔てて放電容器内に挿入され、アンテナ部材の各々の他端部が放電容器10Bから露出するように構成されている。このように本実施の形態のアンテナは、ギャップGの間隔だけ隔てて配置された一対のアンテナ部材で構成されている。このギャップGは、アンテナの高インピーダンス部を形成する。
【0048】
ランチャ14は、内部円筒部材14A、及び内部円筒部材14Aを囲むように、内側面が内部円筒部材14Aの外側面と所定距離隔てて同軸に設けられた外部円筒部材14Bとで構成されている。内部円筒部材14A及び外部円筒部材14Bは、金属等の導体で構成されている。内部円筒部材14Aの先端部には、HIDランプのアンテナ部材10Dが埋設された棒状部分10Cが挿入されてHIDランプが取り付けられる取り付け部14Cが形成されている。なお、内部円筒部材に代えて、先端部に取り付け部14Cが穿設された円柱状部材を用いても良い。
【0049】
また、内部円筒部材14Aの外側面と外部円筒部材14Bの内側面との間には、固体発振器20で発振され同軸ケーブルを導波した電磁波を取り付け部14Cに取り付けられたHIDランプに供給されるように導く導波路が形成されている。
【0050】
本実施の形態によれば、固体発振器20で発振された電磁波は、同軸ケーブルを介してランチャ14の端部に導波され、ランチャ14の同軸導波路を導波して取り付け部14Cに取り付けられたHIDランプに供給される。アンテナを構成するアンテナ部材10Dが放電容器から露出し、内部円筒部材内に挿入されているため、供給された電磁波はアンテナを介して放電容器内に直接導波され、アンテナの高インピーダンス部での電磁波伝播が妨げられて電磁波が高インピーダンス部局所から放射される。放射された電磁波は放電容器の内部に存在しているので、放射部位近傍の発光物質を選択的に励起し、これにより、容器内部の高圧ガス等の発光物質が効率よく放電する。
【0051】
HIDランプをランチャ14に取り付けた状態で、外部円筒部材14Bの端部と内部円筒部材に挿入されていないアンテナの端部との間の距離、すなわちアンテナの外部円筒部材から突出している部分の長さが、電磁波の波長λの1/4の長さになった場合、電磁波は周囲の空間に効率よく放射される。このとき、アンテナの外部円筒部材から突出している部分の途中に設けられたギャップGには強い電磁波電界が発生する。この電磁波電界は、充分に強く、高気圧中でも容易に放電を形成することができる。
【0052】
本実施の形態においては、アンテナに設けられた間隔がギャップGとして働いて強い電磁波電界が発生し高圧を封入した放電灯でも点灯することができるので、ギャップGの長さを短くすれば発光部容積が縮小し、点光源を構成することができる。一方、ギャップGの長さを長くすれば放電領域が広がり中、大型の高圧HIDランプの点灯が可能となる。ギャップGを長くした場合には、周波数が低く波長の長い電磁波を用いるのが有利となる。
【0053】
本実施の形態のHIDランプのように、アンテナ部材を誘電体損失が少なく誘電率の高い耐熱性のある誘電体で被覆しても、放電の開始と維持には影響しないことから、本実施の形態のアンテナを備えたランプは実質的な無電極放電ランプとして取り扱うことができる。
【0054】
また、参考例として、図3に示すように、図2のHIDランプから一方の棒状部分及びアンテナ部材を除去し、1本のアンテナ部材でアンテナを構成することにより、ランプ製造工程を簡単な構成としてもよい。1本のアンテナ部材からなるアンテナを取り付けたランプの場合でも、アンテナ先端に電界集中が発生するので、高圧ランプでも点灯することができる。この場合には、電界が集中する領域がギャップの場合よりも広く、発光部も広くなる。
【0055】
以上説明したように本実施の形態では、電磁波がアンテナを介して放電容器内部に直接供給され、アンテナ先端部付近に電磁波電界が局所的に集中するため、放電容器に封入された高圧ガスを効率よく放電させることができる。封入ガスが高圧の場合、高温高密度のプラズマが発生し、ランプ内のガス圧が高いために高温高密度プラズマの拡散速度が遅いので、アンテナ付近に電磁波電界分布に近い放電形状で局在して、高輝度の発光を行う。母ガスとして封入される高圧のアルゴンやキセノンばかりでなく、添加物としてNaI、ScIを封入することができ、容易に電離し発光するので、演色性が高く発光効率が高い発光が得られる。母ガスと添加物は、放電灯、メタルハライドランプ、HIDランプで用いることのできる表1に示す気体は全て用いることができる。さらに、近年用いられるSなどの分子ガスも用いることができる。
【0056】
【表1】
JP0004714868B2_000004t.gif

【0057】
本実施の形態では、アンテナを介して放電容器内部に直接電磁波が供給されるので、電磁波が放電容器を加熱し、放電容器を溶融して破壊するのを防止することができ、先端部が先鋭なアンテナ形状であるので、電磁波が局所的に集中して低い電磁波入力でも放電させることができる。
【0058】
また、アンテナが絶縁体で被覆されているため、アンテナ表面の金属とランプ封入物との化学反応が生じず、発光効率と演色性改善用の種々の封入物を使用することができる。
【0059】
交流、直流点灯では、電極に流入する電子やイオンによる発熱が電極の消耗を招き、点灯条件を劣化させる。このため冷却や、電極からの熱伝導を高める様々な工夫が必要となるが、本実施の形態では、アンテナを介して供給された電磁波が放電を開始し維持するため、交流点灯や直流点灯と相違してアンテナには電子やイオンは流入せず、電極に流入する電子が引き起こす発熱を完全になくすことができる。この結果、点灯時のアンテナの加熱は少なく、特別の冷却や電極の熱伝導を高めて熱を逃がす工夫は不要となり、発光効率が向上する。
【0060】
本実施の形態では、電磁波の周波数及びアンテナ形状を変化させれば、中型・大型の高圧HIDランプにも適用できる。
【0061】
本実施の形態のランチャは、金属壁やメッシュで覆われていないため配光制御を行うことができる。
【0062】
次に、放電灯の参考例について説明する。図4の放電灯は、図2の放電灯においてアンテナ部材の各々を絶縁体で被覆しないようにしたものである。アンテナ部材の絶縁体での被覆は、放電容器に封入された発光物質によっては必ずしも必要ないので、アンテナ部材の絶縁体被覆を省略することにより製造コストを低減することができる。

【0063】
図5の放電灯は、図4の放電灯のアンテナ部材を1本にしてアンテナを構成したものである。
【0064】
図6の放電灯は、図2の放電灯の先端が先鋭のアンテナ部材に代えて、略一定の径の棒状アンテナ部材を用いたものである。この放電灯によれば、アンテナ部材先端部が絶縁体で被覆されているため、実質的な無電極放電を行わせることができる。
【0065】
図7の放電灯は、図6の放電灯においてアンテナ部材を絶縁体で被覆しないようにしたものである。
【0066】
図8の放電灯は、図6の放電灯のアンテナ部材を1本にしてアンテナを構成したものである。
【0067】
図9の放電灯は、図7の放電灯のアンテナ部材を1本にしたものである。
【0068】
次に、図10を参照してランチャの他の実施の形態を説明する。本実施の形態は、内部円筒部材14Aの外側面と外部円筒部材14Bの内側面との間に、石英、アルミナ、ポリエチレン等の絶縁体14Dを介在させたものである。本実施の形態のでは、導波路に絶縁体を介在させたので、導波効率を向上させることができる。
【0069】
図11に、2.45GHzマイクロ波を用いたときの本実施の形態の光束F(lm)と発光効率η(lm/W)とのマイクロ波パワー(W)の依存性を示す。図から理解されるように、本実施の形態ではマイクロ波パワーを変化させることにより調光が可能である。なお、固体マイクロ波発振器では、マイクロ波の変調は容易である。
【0070】
本実施の形態は、クラスターランプ、サルファーランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプ、高圧キセノンランプ等の種々の高圧HIDランプにも適用できる。
【0071】
本実施の形態では、駆動電圧は直流28-30V程度であり、マグネトロンの4kVの陽極電圧に較べて遙かに低電圧であることから安全性が高い。また、自動車のバッテリーを電源として使用することができる。
【0072】
自動車のヘッドライト、プロジェクタのバックライト、舞台照明、展示品へのスポットライトなどへの幅広い利用が可能となる。
【0073】
上記の実施の形態で、高気圧封入ランプを用いる場合、電磁波がランプ外部に漏洩する前に、ランプ中心部で放電の開始と維持のために消費される。このため、マイクロ波を用いる場合には、マイクロ波のランプ外部への漏洩は完全に抑制されるので、特別なマイクロ波遮蔽装置は不要となり、小型化することが可能となる。
【0074】
さらに、一対のアンテナ部材先端部を先鋭とした場合には、点光源を得られる効果が得られる。
【0075】
さらに、本実施の形態で放電ランプにマイクロ波を同軸ケーブルで直接導くことが可能となるので、ランプ点灯システムを著しく軽量・小型化が可能となる。また、アンテナ金属材料と絶縁体の熱膨張係数の相違に起因する破壊を避けるために、モリブデンの板の両端の各々に棒状あるいは板状のタングステンを接続して構成する場合があるが、本実施の形態では高周波電力が発光のための放電部で高効率で消費され、図12で示す放電灯の温度分布が示すように放電容器のアンテナ接合部での発熱は殆ど生じない。したがってこれを用いない構成が可能でコスト低減となる。
【0076】
また、マグネトロン発振器や固体マイクロ波発振器の高周波電力出力の制御によって調整すると、本実施の形態では、図11で示すように、入力高周波電力と光量がほぼ線形比例しておりさらに、従来の放電光源で用いる安定器(バラスト)が不要であることから、従来の放電光源と異なり小光量から大光量までの調光が極めて容易である。
【0077】
なお、上記の実施の形態では、内部円筒部材とアンテナとを別体に構成し、内部円筒部材にアンテナを挿入する例について説明したが、内部円筒部材等の内部導体を突出させてアンテナの少なくとも一部を構成するようにしてもよい。すなわち、アンテナが1本のアンテナ部材で構成されている場合には、内部導体を突出させてアンテナを構成してもよく、アンテナが一対のアンテナ部材で構成されている場合には、内部導体を突出させて内部導体側のアンテナ部材を構成してもよい。
【0078】
本実施の形態において固体マイクロ波発振器を用いた場合は、容易にマイクロ波のパルス変調が行えるので、放電発光のパルス幅時間10μSアフターグローの時間10μSでのパルス変調の繰り返し周波数f=5kH~50kHzのマイクロ波パルスによりランプを点灯することにより、ランプ効率η(lm/W)を改善することができた。なお、マグネトロン発信器を用いてもこのようなパルス変調が行えるが、固体マイクロ波発振器を用いた場合の方が容易である。
【0079】
図12に定常発振、duty比;R=50%の250Hz及び10kHzのマイクロ波パルス点灯時のランプ効率、全光束、ランプ内壁温度を示す。10kHzの場合にη>150lm/Wとなることが確認された。ηはfとRに依存する。一般に、fを高くして同時にRを下げることによりηを向上することができる。
【0080】
なお、本実施の形態の高インピーダンス部は、抵抗性、容量性、及びインダクタンス性の少なくとも1つを備えた高インピーダンス部として形成することができる。また、上記では、一対のアンテナ部材を所定間隔隔てて対向配置すること等によりアンテナに高インピーダンス部を形成する例について説明したが、図13(1)に示すように所定間隔隔てて配置された一対のアンテナ部材の対向する先端に所定間隔隔てて先端が対向する円錐台状部30を形成して高インピーダンス部を形成してもよく、この場合、円錐台状部30が片側であってもよく、図13(2)に示すように所定間隔隔てて配置された一対のアンテナ部材の対向する先端をアンテナ部材より細い径の連結部材32で連結することにより、アンテナの中間部分を細くして高インピーダンス部を形成してもよく、図13(3)に示すように所定間隔隔てて配置された一対のアンテナ部材の対向する先端をジグザグ状の連結部材34で連結することにより高インピーダンス部を形成してもよく、図13(4)に示すように所定間隔隔てて配置された一対のアンテナ部材の対向する先端をコイル状の連結部材36で連結することにより高インピーダンス部を形成してもよく、図13(5)に示すように所定間隔隔てて配置された一対のアンテナ部材の対向する先端に、所定間隔隔てて対向する平板38を各々取り付けて高インピーダンス部を形成してもよい。
【0081】
上記では、一対のアンテナ部材を一直線状に配置する例について説明したが、図14(1)に示すように一対のアンテナ部材の成す角度が90度になるように一対のアンテナ部材を配置してもよく、図14(1)に示すように一対のアンテナ部材の成す角度が0度から90度、または90度から180度の範囲内の任意の角度になるように配置してもよい。
【0082】
また、上記ではアンテナ部材が内部導体と接触しないようにアンテナ部材を内部導体に挿入する例について説明したが、図15(1)に示すように内部導体を中実に構成し、内部導体の端部に穿設された長孔を有する取り付け部14Cの長孔にアンテナ部材の放電容器の外部に露出した部分を挿入し、アンテナ部材と内部導体とを接触させてもよく、図15(2)に示すように内部導体を中実に構成し、内部導体の端部とアンテナ部材の放電容器の外部に露出した部分との各々に、所定間隔隔てて対向するように平板40を設け、一対の平板40で構成された容量性の不連続部を介してアンテナ部材と内部導体とを連結してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の放電灯装置の実施の形態を示す概略図である。
【図2】図1の実施の形態の放電灯及びランチャを示す概略図である。
【図3】図2の放電灯のアンテナの高インピーダンス部をアンテナ先端に設けた場合の概略図である。
【図4】図2の放電灯においてアンテナを絶縁体で被覆しないようにした場合の概略図である。
【図5】図4の放電灯のアンテナの高インピーダンス部をアンテナ先端に設け、先端の金属を覆わない場合の概略図である。
【図6】図2の放電灯の先端が先鋭のアンテナに代えて、略一定の径の棒状アンテナを用いた場合の概略図である。
【図7】図6の放電灯においてアンテナを絶縁体で被覆しないようにした場合の概略図である。
【図8】図6の放電灯の高インピーダンス部をアンテナ先端に設けた場合の概略図である。
【図9】図7の放電灯の高インピーダンス部をアンテナ先端に設けた場合の概略図である。
【図10】ランチャの他の実施の形態を示す概略図である。
【図11】マイクロ波を用いたときの光束F(lm)と発光効率η(lm/W)とのマイクロ波パワー(W)の依存性を示す線図である。
【図12】定常発振、duty比;R=50%の250Hz及び10kHzのマイクロ波パルス点灯時のランプ効率、全光束、及びランプ内壁温度のマイクロ波パワーに対する変化を示す線図である。
【図13】本実施の形態のアンテナの高インピーダンス部の他の例を示す概略図である。
【図14】本実施の形態のアンテナ部材の他の配置例を示す断面図である。
【図15】本実施の形態のアンテナ部材と内部導体との他の連結状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0084】
10 ランプ
10A 放電空間
10B 放電容器
10D アンテナ部材
10C 棒状部材
12 放電灯点灯装置
14 ランチャ
14A 内部円筒部材
14B 外部円筒部材
16 パラボラ反射器
18 同軸ケーブル
20 固体発振器
22 直流電源
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
7
【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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