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明細書 :テクスチャ画像への情報埋め込み方法および情報読み込み方法ならびにテクスチャ画像への情報埋め込み装置および情報読み込み装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4892729号 (P4892729)
公開番号 特開2007-189676 (P2007-189676A)
登録日 平成24年1月6日(2012.1.6)
発行日 平成24年3月7日(2012.3.7)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 テクスチャ画像への情報埋め込み方法および情報読み込み方法ならびにテクスチャ画像への情報埋め込み装置および情報読み込み装置
国際特許分類 H04N   1/387       (2006.01)
FI H04N 1/387
請求項の数または発明の数 12
全頁数 16
出願番号 特願2006-337641 (P2006-337641)
出願日 平成18年12月14日(2006.12.14)
優先権出願番号 2005359885
優先日 平成17年12月14日(2005.12.14)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年12月4日(2008.12.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】大鳥 浩史
【氏名】栗山 繁
審査官 【審査官】山内 裕史
参考文献・文献 特開2003-110846(JP,A)
特開2000-287080(JP,A)
特開2001-195536(JP,A)
特開2000-287073(JP,A)
調査した分野 H04N 1/387
特許請求の範囲 【請求項1】
情報が埋め込まれるテクスチャ画像が、予め定められた位置において分割された複数の画像ブロックを規則的に配置することによって構成され、該テクスチャ画像を構成する画像ブロックの画素の配置を調整することによって該テクスチャ画像中に情報を埋め込む方法であって、
埋め込むべき情報をデジタル化するとともに、このデジタル化された情報について所定ビット単位に分割し、
前記複数の画像ブロックの各画像について、ある画素と一定距離だけ離れて等間隔に配置されたN個の画素(隣接画素)の各画素対でのグレースケール値を大小関係によって0か1の値を割り振って得られるNビットのコード(ローカルバイナリパターン(LBP)コード)の各ビットを周回的に走査するとき、一周する間にその値が反転する回数が2以下の場合の1の値を有するビットの数(特徴量)または前記反転回数が3以上の場合のN(ビット数)+1で算出される数(特徴量)が出現する回数を前記画像ブロックの総画素数で除してなる数(出現確率)を計算するときの該出現確率に対応するように、前記情報を分割された各ビットの情報ごとに使用される所定の位置に配置されるべき個々の画像ブロックについて、前記特徴量の特定の値に対する出現確率を複数のレベル(段階)に分類したときのいずれか一種(画像のクラス)を決定し、
テクスチャ画像の生成機構における変数値を調整することによって、決定された前記各画像のクラスに対応するように出現確率が調整された個々の画像ブロックを生成し、
前記調整後の画像ブロックを規則的に配置するとともに、各画像ブロックの中間をつなぎ合わせて連続し、テクスチャ画像の全体を構成することを特徴とするテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項2】
前記埋め込むべき情報が文字列の情報であることを特徴とする請求項1に記載のテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項3】
さらに、前記画像ブロックの周囲に情報の埋め込み領域としての検出用枠を取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載のテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の情報埋め込み方法により情報が埋め込まれたテクスチャ画像から埋め込み情報を検出する方法であって、
テクスチャ画像を取得し、
取得したテクスチャ画像から、予め定められた位置に配置されている埋め込み情報を持つ画像ブロックごとに分割し、
分割された各画像ブロックについてLBPコードの特徴量の出現確率を計算し、
この出現確率に対応するクラスにより所定ビット単位の情報を復号し、
これを所定の順序で連結することを特徴とする埋め込み情報の検出方法。
【請求項5】
請求項3に記載の情報埋め込み方法により情報が埋め込まれたテクスチャ画像から埋め込み情報を検出する方法であって、
テクスチャ画像を取得し、
取得したテクスチャ画像から、検出用枠を認識し、
この検出用枠に基づき埋め込み情報を持つ画像ブロックごとに分割し、
分割された画像ブロックごとのLBPコードの特徴量の出現状態を解析して出現確率を計算し、
この出現確率に対応するクラスにより所定ビット単位の情報を復号し、
これを所定の順序で連結することを特徴とする埋め込み情報の検出方法。
【請求項6】
前記テクスチャ画像は、表示装置に映し出され、または、印刷装置によって出力された画像を撮影して取得したテクスチャ画像であることを特徴とする請求項4または5に記載の埋め込み情報の検出方法。
【請求項7】
テクスチャ画像が複数の画像ブロックに分割され、画像ブロックの中心に中心画素を、この中心画素から一定距離だけ離れて等間隔に配置される隣接画素を、それぞれ生成し、この画像ブロックを規則的に配置することにより、テクスチャ画像に対して情報を埋め込む方法であって、
埋め込むべき情報をデジタル化するとともに、このデジタル化された情報について所定ビット単位に分割し、
分割された各ビットの情報ごとに、該情報に応じて、中心画素と一定距離だけ離れて等間隔に配置されたN個の隣接画素の各画素対でのグレースケール値を大小関係によって0か1の値を割り振って得られるNビットのコード(LBPコード)を決定し、
前記テクスチャ画像に使用される特定色の画素値のうち、中間の画素値との比較により、前記グレースケール値の大小を、該特定色の画素値の大小に置き換えるとき、前記特定色の中間の画素値を有する中間色を中心画素とし、中間色より十分に大きい画素値を有する高値色、または、中間色より十分に小さい画素値を有する低値色で構成される隣接画素の配置状態を前記LBPコードに対応するように決定し、
この中心画素および隣接画素が配置された画像ブロックを生成し、
この画像ブロックを規則的に配置するとともに、各画像ブロックのうち、中心画素および隣接画素以外の残りの画素を、前記テクスチャ画像から生成することを特徴とするテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項8】
前記埋め込むべき情報が文字列の情報であることを特徴とする請求項7に記載のテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項9】
さらに、前記画像ブロックの周囲に情報の埋め込み領域としての検出用枠を取り付けることを特徴とする請求項7または8に記載のテクスチャ画像への情報埋め込み方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載の情報埋め込み方法により情報が埋め込まれたテクスチャ画像から埋め込み情報を検出する方法であって、
テクスチャ画像を取得し、
取得したテクスチャ画像から、埋め込み情報を持つ画像ブロックごとに分割し、
分割された画像ブロックの中心画素および隣接画素からLBPコードを計算し、
このLBPコードから所定ビット単位の情報を復号し、
これを所定の順序で連結することを特徴とする埋め込み情報の検出方法。
【請求項11】
請求項9に記載の情報埋め込み方法により情報が埋め込まれたテクスチャ画像から埋め込み情報を検出する方法であって、
テクスチャ画像を取得し、取得したテクスチャ画像から、検出用枠を認識し、
この検出用枠に基づき埋め込み情報を持つ画像ブロックごとに分割し、
分割された画像ブロックの中心画素および隣接画素からLBPコードを計算し、
このLBPコードから所定ビット単位の情報を復号し、
これを所定の順序で連結することを特徴とする埋め込み情報の検出方法。
【請求項12】
前記テクスチャ画像は、表示装置に映し出され、または、印刷装置によって出力された画像を撮影して取得したテクスチャ画像であることを特徴とする請求項10または11に記載の埋め込み情報の検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、テクスチャ画像に情報を埋め込む方法ならびに装置と、その画像を撮像装置で撮影して得られるデジタルデータから、埋め込まれた情報を読み込む方法ならびに装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データに対して情報を埋め込む従来技術(例えば、非特許文献1を参照)は、その用途により「電子透かし」や「ステガノグラフィ」と呼ばれている。これらの技術は、デジタルの画像データに対して色や周波数領域での変換を施して情報を埋め込むのが基本的なアプローチである。
【0003】
一方、印刷した画像を対象とした情報の埋め込み技術で、2次元バーコードのようにアナログ的な雑音や変形に対する耐性を有する手法として、色情報によるコード化手法(特許文献1)、画像ブロック毎の階調差を用いた手法(非特許文献2)、および冗長コードを導入する手法(特許文献2)が提案されている。なお、非特許文献3には、nビットデータからローカルバイナリパターン(Local Binary Pattern:以下、LBPと略称:局所的2値パターン)コードの特徴量の出現確率を計算する手法が開示され、非特許文献4には、Perlinのテクスチャ生成関数が開示され、非特許文献5には、Weiのテクスチャ生成法が開示されている。
【0004】
雑音や変形の混入が不可避であるアナログ過程を経た画像データに対してデジタル画像データの電子透かしなどで用いられている手法を適用する場合、雑音や変形に対する耐性の確保には、デジタルデータの改竄に対して必要とされる耐性よりも多くの冗長性を必要とする。したがって、デジタルデータに対する手法を拡張しただけの従来技術の方法では、数バイト程度の情報しか埋め込めないという問題がある。
【0005】
さらに画像データに変換を施す従来の方法は、多くのデータを雑音に対して頑健に埋め込もうとすると、原画像の見栄えを損なうような模様や汚れ部分が多く生じてしまうという欠点がある。

【特許文献1】特開2001-195536号公報
【特許文献2】特開2000-287073号公報
【非特許文献1】画像電子学会編「電子透かし技術 デジタルコンテンツのセキュリティ」、東京電機大学出版局、2004年
【非特許文献2】富士通ジャーナル 2005年6月号、“New テクノロジー(1)”、http://jp.fujitsu.com/about/journal/281/newtechnology/
【非特許文献3】Topi Maenpaa、Matti Pietikainen、「Textureanalysiswith local binary patterns」、Handbook of PatternRecognition and Computer Vision 3rd ed、World Scientific、pp197-216、2005年
【非特許文献4】Ken Perlin、「An ImageSynthesizer」、Proceedings of SIGGRAPH ’85、pp287-296、1985年
【非特許文献5】Li-Yi Wei、Marc Levoy、「FastTexture Synthesis usingTree-structured Vector Quantization」 Proceedingsof SIGGRAPH 2000、pp479-488、2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、印刷や撮影に際して雑音混入や画像の変形等に対する耐性確保のために、画像データへ埋め込まれる情報量が僅か数バイト程度であること、さらに多くの情報を頑健に埋め込むと、原画像を損なう模様や汚れが生じてしまうこと、という従来技術の問題点である。
【0007】
そこで本発明では、画像の印刷や撮影の際に混入する雑音やひずみに対しても頑強に、これまでよりもより多くの情報を埋め込む、および情報を読み出すことを可能とする方法ならびに装置を提供する。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、印刷されるテクスチャ画像に対して人間の視覚に感知されない情報を埋め込み、および読み出す方法を実現する。また本発明では、2通りの解決するための方法を提供する。
【0009】
まず課題を解決するための第1の方法である、情報を埋め込む方法について記述する。埋め込む情報をnビットごとに分け、そのnビットデータからLBP(Local Binary Pattern:局所的2値パターン、非特許文献3を参照)の手法で計算されるLBPコードの特徴量の出現確率から、その画像のクラスを決定する。
【0010】
テクスチャを生成する際には、対象とする画像のLBPコードの特徴量の出現確率で決定される画像のクラスが、埋め込む情報を用いて設定した種類となるように、生成時に用いる変数値を調整する。
【0011】
次に、このnビットの情報を埋め込むように生成した複数枚の画像を規則的に配置し、隣接する画像が連続的に変化するように画像同士をつなぐ処理を施す。
【0012】
また、カラー画像に関しても、各色成分に同様な手続きを繰り返し実行して埋め込み画像を生成することができる。
【0013】
第1の埋め込み方法を実現する装置を図4に示す。この埋め込み装置は、クラス種類決定部13、部分画像生成部14および部分画像配置連結部15から構成される。
【0014】
クラス種類決定部13では、埋め込み情報12をnビットごとに分割し、その分割されたデータごとにLBPコードの特徴量の出現確率に対応するクラスを決定する。
【0015】
部分画像生成部14では、クラス種類決定部13で決定したクラスになるような画像を生成する。
【0016】
部分画像配置連結部15では、部分画像生成部14で生成した画像を規則的に配置し、隣接する画像が連続的に変化するように画像同士をつなぐ処理を施す。
【0017】
ここで、本発明の第1の方法の埋め込み方法によって情報を埋め込まれた画像から情報を読み出す方法について記述する。対象となる画像から検出した枠の幾何学的な情報に基づいて、nビットデータが埋め込まれているブロックごとの画像を切り出す。
【0018】
各ブロック画像に対して、LBPコードの特徴量の出現確率から決定される画像のクラスを求め、埋め込み方法とは逆に、埋め込まれている情報データを復号する。
【0019】
次に、復号されたnビットの情報データを画像ブロックの配置順にしたがって連結し、埋め込まれている情報を読み出す。
【0020】
埋め込み方法と同様に、カラー画像に関しては、各色成分に必要とされる手続きを実行して埋め込み情報を読み出すことができる。
【0021】
第1の埋め込み方法によって情報を埋め込まれた画像から埋め込み情報検出を実現する装置を図5に示す。この検出装置は、画像校正部23、画像分割部24、出現確率計算部25、データ復号部26およびデータ連結部27から構成される。
【0022】
画像校正部23では、検出対象画像22の埋め込み画像部分を矩形領域に校正し、画像分割部24では、その画像をnビットデータが埋め込まれているブロックごとに分割する。
【0023】
出現確率計算部25では、分割された画像ごとに、LBPコードの特徴量の出現確率を計算する。
【0024】
データ復号部26では、出現確率計算部25で計算された出現確率からクラスを求め、対応するnビットのデータに復号する。
【0025】
データ連結部27では、データ復号部25で復号されたnビットのデータを画像ブロックの配置順にしたがって連結し、埋め込まれている情報を読み出す。
【0026】
次に課題を解決するための第2の方法である、情報を埋め込む方法について記述する。まず埋め込む情報をnビットごとに分け、そのnビットデータからLBPコードを決定する。
【0027】
画像の中心画素のLBPコードが、nビットデータから決定したLBPコードと一致するように中心画素と隣接画素を決定した画像を生成する。
【0028】
次に、このnビットの情報を埋め込むように生成した複数枚の画像を規則的に配置し、そして残りの未決定の画素を既に決定された画素から決める。
【0029】
第2の埋め込み方法を実現する装置を図6に示す。この埋め込み装置は、画像解析部18、LBPコード決定部19、中心画素、近傍画素生成部110、部分画像配置部111および未決定画素生成部112から構成される。
【0030】
画像解析部18では、特定の色空間の色を用いて全ての画素を3種類に分類する。
【0031】
LBPコード決定部19では、埋め込み情報12をnビットごとに分割し、nビットごとに決定する。
【0032】
中心画素、近傍画素生成部110では、画像解析部18で分類された3種類の画素から、LBPコード決定部19で決定したLBPコードが検出されるように中心画素と近傍画素を生成する。
【0033】
部分画像配置部では、中心画素、近傍画素生成部110で生成した画像を規則的に配置する。
【0034】
未決定画素生成部112では、中心画素、近傍画素生成部110で生成した以外の画素を生成する。
【0035】
本発明の第2の方法の埋め込み方法によって情報を埋め込まれた画像から情報を読み出す方法について記述する。対象となる画像から検出した枠の幾何学的な情報に基づいて、nビットデータが埋め込まれているブロックごとの画像を切り出す。
【0036】
各ブロック画像に対して、中心画素のLBPコードを求め、埋め込み方法とは逆に、埋め込まれている情報データを復号する。
【0037】
次に、復号されたnビットの情報データを画像ブロックの配置順にしたがって連結し、埋め込まれている情報を読み出す。
【0038】
第2の埋め込み方法によって情報の埋め込まれた画像から埋め込み情報検出を実現する装置を図7に示す。この検出装置は、画像校正部23、画像分割部24、LBPコード計算部29、データ復号部26およびデータ連結部27から構成され、LBPコード計算部29以外は第1の検出方法と同様である。
【0039】
LBPコード計算部29では、画像分割部24で分割された画像ごとに、LBPコードを計算する。

【発明の効果】
【0040】
本発明では、テクスチャ画像を生成するアルゴリズムに情報を埋め込む機構を組み込むことができるので、画像データの変換や逆変換を用いる既存の方法のように、原画像の見栄えを損なう品質劣化が生じない。さらにテクスチャ画像に特化した特徴量の抽出技術に基づいて情報の検出機構を実現するので、画像の印刷や撮影の過程で混入する雑音や変形に対する耐性を向上させることが可能となる。結果として、従来技術よりも頑健に画像に埋め込むこと、ならびに読み出すことができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
まず、本発明の第1の方法を用いる場合について記述する。説明は濃淡(グレースケール)画像に対する情報の埋め込みについて行うが、カラー画像に関しては、各色成分に対し、同様に基本的な手続きを繰り返し適用すればよい。
【0042】
画像に情報を埋め込む機構は、図1(a)のa.1、a.2、a.3、a.4、a.5、a.6の手続きで構成される。また、図4は、本発明の第1の方法を用いる埋め込み装置の構成を示す。
【0043】
図1(a)のa.1では、埋め込む情報をnビットごとに分割する。ただし、各nビットデータの順番と画像位置の関係は、あらかじめ決定しておく。
【0044】
図1(a)のa.2では、LBPコードの特徴量の出現確率から、nビットのデータを埋め込むのに用いる画像のクラスを設定する。
【0045】
LBPコードの特徴量の出現確率の計算方法について次に示す。
【0046】
ある画素と一定距離だけ離れて等間隔に配置されたN個の画素(以後、隣接画素と記す)の各画素対でのグレースケール値を大小関係によって0か1の値を割り振って得られるNビットのコード、すなわちLBPコードの各ビットを周回的に走査して、一周する間にその値が反転する回数が2以下のものに対しては、1の値を有するビットの数をそのコードの特徴量とする。一方、反転回数が3以上のコードに対しては、N+1をその特徴量とする。画像データの全ての画素に対して以上のようにLBPコードの特徴量を計算し、その出現回数を総画素数で割った値を出現確率とする。
【0047】
全画素ブロックに対して計算されたLBPコード特徴量の出現確率の変動量から、画像を一意に分類するための2個の種類のクラスを構成する。例えば、8個の隣接画素に対して求めた特徴量に関して、4の値を有する特徴量の出現確率の変動幅が大きい場合には、その出現確率を2個に分割した値域を用いてクラスを構成する。ただし、そのような方法以外にも、一般的なクラスタリングの手法を用いた任意のクラス設定法を用いることができる。
【0048】
図1(a)のa.3では、埋め込むnビットのデータに対して、LBPコードの特徴量の出現確率から計算されるべき画像クラスの種類を決定する。このa.1、a.2およびa.3の手続きは、図4の埋め込み情報12に対して、クラス種類決定部13で処理される。
【0049】
図1(a)のa.4では、LBPコード特徴量の出現確率から計算される画像のクラスが、a.3で決定した種類になるように、テクスチャ画像の生成機構における変数値を調整する。このa.4の手続きは、図4のクラス種類決定部13からのデータを入力として、部分画像生成部14で処理される。
【0050】
図1(a)のa.5では、各nビットの情報に対して生成された複数のテクスチャ画像を規則的に配置し、それらを連続的につなぎ合わせる。
【0051】
図1(a)のa.6では、情報を埋め込んである画像領域を検出するための枠を取り付ける。これらa.5、a.6の手続きは、図4の部分画像配置連結部15で、部分画像生成部14の出力データに対して処理される。図4の情報埋め込み装置11の出力として、埋め込み画像を得る。
【0052】
本発明の第1の方法に対する読み込みの機構は、図1(b)のb.1、b.2、b.3、b.4の手続きで構成される。また、図5は本発明の第1の方法を用いる埋め込み情報検出装置の構成を示す。
【0053】
図1(b)のb.1では、画像領域を検出するための枠を認識し、その情報に基づいて撮影した画像を元の矩形領域の状態に戻す校正処理を実行する。このb.1の手続きは、図5の検出対象画像22に対して、画像校正部23で処理される。
【0054】
図1(b)のb.2では、各nビットの情報が埋め込まれている部分のブロック毎に画像を分割して切り出す。このb.2の手続きは、図5の画像校正部23からのデータを入力として、画像分割部24で処理される。
【0055】
図1(b)のb.3では、各ブロック画像に対してLBPコードの特徴量の出現確率を計算する。このb.3の手続きは、図5の出現確率計算部25で、画像分割部24の出力データに対して処理される。
【0056】
図1(b)のb.4では、b.3で計算した出現確率からその画像のクラスの種類を決定してnビットのデータを復号する。例えば、2ビットデータを埋め込むのに特定の特徴量の出現確率を4段階で等分割した範囲に基づいて4種類のクラスを割り当てた場合、その出現確率の範囲が0~Tに0、T~2Tに1、2T~3Tに2、および3T~に3のデータを割りあてる。ただし、実施例1ではTを0.25以下の数値としている。このb.4の手続きは、図5のデータ復号部26で、出現確率計算部25の出力データに対して処理される。
【0057】
図1(b)のb.5では、b.4で復号されたnビットずつのデータを、画像の配置順を考慮して連結する。このb.5の手続きは、図5のデータ連結部27で、データ復号部26の出力データに対して処理される。図5の情報埋め込み装置21の出力として、検出結果が得られる。
【0058】
次に本発明の第2の方法を用いた場合について記述する。この方法を用いる場合には、埋め込み情報以外に、最終的に生成されるテクスチャの基になるテクスチャ(以後、基本テクスチャとする)を必要とする。
【0059】
テクスチャ画像に情報を埋め込む機構は、図1(a)のa.1、a.7、a.8、a.9、a.10、a.11、a.6の手続きで構成される。また図5は、本発明の第2の方法を用いる埋め込み装置の構成を示す。
【0060】
図1(a)のa.7では、nビットのデータに対応するLBPコードを設定する。例えば、nビットのデータを埋め込む場合には、nビットのLBPコードとnビットの埋め込みデータが1対1で対応する。また、図1(a)のa.1とa.7の手続きは、図6の埋め込み情報12に対して、LBPコード決定部19で処理される。
【0061】
図1(a)のa.8では、基本テクスチャを解析し、全ての画素を中間色、高値色、低値色の3種類に分類する。
【0062】
まず、基本テクスチャの画像の特定色空間に変換し、その内の1階層(以後、索引空間とする)を取得する。例えば、YCbCr色空間のCb成分などを索引空間として用いる。この索引空間での画素値の小さい順に全画素を並び替えて表を作る。この表の真中にある画素(以後、中間画素と記す)を中間色と呼ぶ。この索引空間での中間画素の値よりt以上大きい画素を高値色とする。また中間画素の値よりt以上小さい画素を低値色とする。このa.8の手続きは、図6の入力画像17に対して、画像解析部18で処理される。
【0063】
図1(a)のa.9では、画像の中心画素の索引空間でのLBPコードがa.7で決定したLBPコードと一致するように、a.8で分類した3種類の色から選択して中心画素と隣接画素を決めた画像を生成する。ただし、中心画素は中間色を用いる。隣接画素はLBPコードのビットが1を有する所には高値色を用い、0を有する所には低値色を用いる。また検出時には位置のずれが予想されるため、中心画素と隣接画素の近傍の数画素も同色に設定する。このa.9の手続きは、図6の中心画素、近傍画素生成部110で処理される。
【0064】
図1(a)のa.10では、各nビットの情報に対して生成された複数画像を規則的に配置する。このa.10の手続きは、図6の部分画像配置部111で、中心画素、近傍画素生成部110の出力データに対して処理される。
【0065】
図1(a)のa.11では、残りの未決定の画素を決定済みの画素から生成する。このa.11、a.6の手続きは、図6の未決定画素生成部112で、画像解析部18と部分画像配置部111のデータに対して処理される。図6の情報埋め込み装置の出力として、埋め込み画像16を得る。
【0066】
本発明の第2の方法に対する読み込みの機構は、図1(b)のb.1、b.2、b.6、b.7、b.5 の手続きで構成される。また図7は、本発明の第2の方法を用いる埋め込み情報検出装置の構成を示す。
【0067】
第1の方法を用いる埋め込み情報検出装置と同様に図1(b)のb.1、b.2およびb.5の手続きは、図7の検出対象画像22から順次、画像校正部23、画像分割部24、およびデータ連結部27のそれぞれで実行される。
【0068】
図1(b)のb.6では、各ブロック画像を索引空間に変換し、中心画素のLBPコードを計算する。このb.6の手続きは、図7の画像分割部24からのデータを入力として、LBPコード計算部29で処理される。
【0069】
図1(b)のb.7では、b.6で計算したLBPコードからnビットのデータを復号する。このb.2の手続きは、図7のデータ復号部26で、LBPコード計算部29の出力データに対して処理される。データ復号部26により復号されたデータを有意となるようにデータ連結部27で処理し、堅守結果28が得られる。
<nplcit num="3"><text>Topi Maenpaa、Matti Pietikainen、「Textureanalysis with local binary patterns」、Handbook of Pattern Recognition andComputer Vision 3rd ed、World Scientific、pp197-216、2005年</text></nplcit>
【実施例1】
【0070】
図2は、本発明の第1の方法の情報埋め込み手法により128ビットの情報を埋め込んだ(736×736)テクスチャ画像である。この画像に使われている埋め込みデータは、文字列“http://www.val.i”である。64×64ピクセルに2ビットの情報を埋め込み、それを2次元格子状に64個(縦8、横8)の画像ブロックとして余白を設けて配置した。ここで、画像間の余白幅は32画素分である。
【0071】
この画像は、本発明による第1の埋め込み手法を、Perlinのテクスチャ生成関数(非特許文献4)に適用して生成したテクスチャ画像である。図2(a)は情報を埋め込んだ8×8の各ブロック画像を表し、図2(b)はそれらの画像を連続的につなげるように補間計算して生成した画像例である。
【0072】
この画像を印刷装置、例えばプリンタでモノクロ印刷し、約80cmの距離だけ離して接写レンズとほぼ平行にして撮影装置、例えばカメラで撮影して得られた画像データに対して、本発明による復号計算で検出された情報と元の情報を比較して誤りビット数を求めた結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
JP0004892729B2_000002t.gif

【0074】
上記の表は様々な解像度の画像における、図2の生成画像で検出された情報の誤り率と検出結果を表している。この実験結果より、低解像度の画像データに対しては埋め込んだデータを完全には取り出せないことが示される。このような場合には、一般的な誤り訂正符号を導入することで対応できる。
<nplcit num="4"><text>Ken Perlin、「An ImageSynthesizer」、Proceedings of SIGGRAPH '85、pp287-296、1985年</text></nplcit>
【実施例2】
【0075】
図3は、本発明の第2の方法の情報埋め込み手法により800ビットの情報を埋め込んだ(200×200)テクスチャ画像である。20×20ピクセルに8ビットの情報を埋め込み、それを2次元格子状に100個(縦10、横10)の画像ブロックとして配置した。この画像に使われている埋め込みデータは、文字列“http://www.mmip.tutics.tut.ac.jp/pukiwiki/index.php?Member%27s%20Only%20%28%B8%A6%B5%E6%BC%BC%C6%E2%”である。ただし図4は、グレースケールで表現されているが、実際にはカラー画像である。
【0076】
この画像は、本発明による第2の埋め込み手法を、図3(a)の64×64の基本テクスチャを基にして生成したテクスチャ画像である。索引空間にはYCrCb空間のCr階層を使用し、閾値tは30に設定した。また中心画素と隣接画素を中心とした3×3の矩形領域を同色にして生成した。図3(b)は情報を埋め込んだ20×20の各ブロック画像を表し、図3(c)はそれらの画像を連続的につなげるように図3(b)の未決定の画素をWeiのテクスチャ生成法(非特許文献5)で補間計算して生成した画像例である。
【0077】
この画像を印刷装置、例えばプリンタでカラー印刷し、約30cmの距離だけ離して接写レンズとほぼ平行にして撮影装置、例えばカメラで撮影して得られた16枚の画像データに対して、本発明による復号計算で検出された情報と元の情報を比較して誤りビット数を求めた。結果として16枚中1枚に24ビット誤りが生じた。それ以外の画像データは正しく検出できた。誤りの原因は、カメラの焦点のずれによるb.1の処理の失敗である。この実験結果より、焦点が大きくずれた場合には、埋め込んだデータを完全には取り出せない可能性があることが示される。このような場合には、一般的な誤り訂正符号を導入することで対応できる。
<nplcit num="5"><text>、Li-Yi Wei、Marc Levoy、「FastTexture Synthesis using Tree-structured Vector Quantization」Proceedingsof SIGGRAPH 2000、pp479-488、2000年</text></nplcit>
【産業上の利用可能性】
【0078】
雑誌や新聞等の印刷物を媒介とした画像メディアコンテンツだけでなく、大型の壁紙やクロスへの印刷物、さらにはプロジェクタによってスクリーンに投影した映像までも、対象コンテンツとして考えられる。請求項1、請求項2、請求項7ならびに請求項8に関しては、情報を埋め込んだテクスチャ画像を生成するソフトウェア製品として、請求項3、請求項4、請求項9ならびに請求項10、に関しては、2次元バーコードに代わるカメラを用いた情報取得方法を提供するソフトウェア製品として、さらに請求項5、請求6、請求項11、請求12に関しては、図8に示すように、上述したソフトウェア製品とカメラ、プリンタ、および携帯電話等のハードウェア装置を組み合わせた製品としての産業上の応用が考えられる。これまでは困難であった人工的なテクスチャ画像に情報を埋め込む事ができ、コンテンツ製作者の利便性,表現力の拡大に資する。

【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるテクスチャ画像への情報の埋め込み過程と読み込み過程を示した説明図。(a)情報の埋め込み過程(b)情報の読み込み過程。
【図2】本発明の第1の手法により生成されたテクスチャ画像の例。(a)ブロック間の補間処理前、(b)ブロック間の補間処理後。
【図3】本発明の第2の手法により生成されたテクスチャ画像の例。(a)基本テクスチャ(b)補間処理前、(c)補間処理後。
【図4】本発明の第1の手法による埋め込み装置の構成図。
【図5】本発明の第1の手法による埋め込み情報検出装置の構成図。
【図6】本発明の第2の手法による埋め込み装置の構成図。
【図7】本発明の第2の手法による埋め込み情報検出装置の構成図。
【図8】本発明による情報埋め込み装置および埋め込み情報検出装置に関する模式図。
【符号の説明】
【0080】
11 本発明による情報埋め込み装置
12 埋め込み情報 文字列“http://...”
13 クラス種類決定部
14 部分画像生成部
15 部分画像配置連結部
16 生成した埋め込み画像
17 入力画像 基本テクスチャ画像
18 画像解析部
19 LBPコード決定部
110 中心画素、近傍画素生成部
111 部分画像配置部
112 未決定画素生成部
113 印刷装置
114 表示装置
21 本発明による埋め込み情報検出装置
22 検出対象画像
23 画像校正部
24 画像分割部
25 出現確率計算部
26 データ復号部
27 データ連結部
28 検出結果 文字列“http://...”
29 LBPコード計算部
210 撮影装置

図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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