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明細書 :不審者判別システム及びプロファイル配布システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5008118号 (P5008118)
公開番号 特開2008-052683 (P2008-052683A)
登録日 平成24年6月8日(2012.6.8)
発行日 平成24年8月22日(2012.8.22)
公開日 平成20年3月6日(2008.3.6)
発明の名称または考案の名称 不審者判別システム及びプロファイル配布システム
国際特許分類 G08B  13/196       (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
FI G08B 13/196
G06T 1/00 340B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2006-231416 (P2006-231416)
出願日 平成18年8月28日(2006.8.28)
審査請求日 平成21年3月4日(2009.3.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】山口 亨
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
審査官 【審査官】橋本 敏行
参考文献・文献 特開2004-246471(JP,A)
特開平07-225840(JP,A)
特開2002-304626(JP,A)
特開2003-051075(JP,A)
特開平11-339139(JP,A)
特開2005-222153(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00、3/00- 9/40、
G08B 13/00-15/02、19/00-31/00
特許請求の範囲 【請求項1】
動画信号から肌色を検出することで顔の輪郭を捉え、明度や色度の違いにより前記輪郭の内部にある所定領域の位置を検出し、前記所定領域の動きを時系列に捉えることで、人物の移動する速度、移動の向き及び顔の向きを時系列に抽出し定量化してプロファイルデータとするプロファイル手段と、
該プロファイル手段により生成されたプロファイルデータを記憶するプロファイルデータメモリと、
判別済プロファイルデータ及び判別結果を含む、複数の事例ベースデータからなる事例ベース表を記憶するデータベースと、
前記プロファイルデータメモリに記憶されている前記プロファイルデータと前記データベースに記憶されている事例ベース表とを比較することにより前記人物が不審者であるか否かを判別する比較判別手段と
を備えることを特徴とする不審者判別システム。
【請求項2】
前記所定領域が鼻又は唇であり、
鼻と鼻以外の顔の部位との明度の違いにより鼻の位置を検出し、
唇と唇以外の顔の部位との色度の違いにより唇の位置を検出する、
請求項1記載の不審者判別システム。
【請求項3】
前記比較判別手段から出力される判別済プロファイルデータ及び判別結果を含む事例ベースデータを記憶し、前記データベースに追記憶して前記事例ベース表を更新する事例ベースデータメモリを更に備えることを特徴とする、請求項1又は2記載の不審者判別システム。
【請求項4】
前記プロファイル手段は、前記人物の移動する速度、移動の向き及び顔の向きのそれぞれをメンバシップ関数を用いて抽象化した値とし、この値をそのまま出力又は時間平均化処理して出力することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の不審者判別システム。
【請求項5】
前記比較判別手段は、前記メンバシップ関数を用いて連想推論を行うことを特徴とする、請求項4に記載の不審者判別システム。
【請求項6】
複数の請求項1から5のいずれか1項に記載の不審者判別システムそれぞれから前記事例ベース表の一部又は全部を入力する入出力手段と、
該入出力手段から複数の前記事例ベース表を入力して1つの事例ベース表に再構成して出力する制御手段と、
該制御手段から事例ベース表を入力して記憶するデータベースと
を備え、
前記制御手段は、該データベースに記憶されている事例ベース表を前記入出力手段を経由して複数の前記不審者判別システムに送出することを特徴とする、プロファイル配布システム。
【請求項7】
前記制御手段は、複数の前記事例ベース表の各事例ベースデータについて、所定距離よりも近い事例ベースデータ同士は平均化して1つの事例ベースデータにし、前記所定距離よりも遠い事例ベースデータ同士はそのままそれぞれの事例ベースデータにすることを特徴とする、請求項6記載のプロファイル配布システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの撮影動画信号から自動的に一般人と不審者を判別する不審者判別システム及びそのデータである事例ベース表を配布するプロファイル配布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯や安全確保のために監視カメラを使用することが多い。人の目視による監視は人件費などの運用コストが掛かるので、撮影動画信号を解析して自動的に不審者を判別するシステムとして、行動者を動画像として測定しその画像中心の座標の時系列データを数学的に解析し定量化することにより正常値から離脱する場合は不審者であると判定する例が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、対象を連続的に撮影して、移動軌跡から所定の単位時間毎の速度vと移動方向変位角θを求め、所定の時間内の単位時間毎のv・cosθの平均値Xを求め、平均値を動作要素指標として統計的手段により所定の抽出対象を判別する例が知られている(例えば、特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2005-353016号公報
【特許文献2】特開2005-275912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の方法又はシステムは行動者の画像中心の軌跡を用いて不審者を判別したり、対象の移動軌跡から速度と移動方向変位を求めてv・cosθの平均値を求め、これを統計処理して不審者を判別しているので不審者の判別精度が十分ではないという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、人物の顔の向き又は用途のプロファイルを判別要素に加えた推論をすることにより判別精度の高い不審者判別システムを提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、判別済のプロファイルデータを加味して事例ベース表を更新することにより、より判別精度の高い不審者判別システムを提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、複数の不審者判別システムから事例ベース表を収集して事例ベース表を再構成し、これをそれぞれの不審者判別システムに送出してそれぞれの不審者判別システムの事例ベース表を更新することにより、さらに判別精度の高い不審者判別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明による不審者判別システムは、動画信号から人物の移動する速度、移動の向き及び顔の向きを時系列に抽出し定量化してプロファイルデータとするプロファイル手段と、該プロファイル手段により生成されたプロファイルデータを記憶するプロファイルデータメモリと、判別済プロファイルデータ及び判別結果を含む、複数の事例ベースデータからなる事例ベース表を記憶するデータベースと、前記プロファイルデータメモリに記憶されている前記プロファイルデータと前記データベースに記憶されている事例ベース表とを比較することにより前記人物が不審者であるか否かを判別する比較判別手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載した本発明による不審者判別システムは、動画信号から人物の移動する速度及び移動の向きを時系列に抽出し、用途とともに定量化してプロファイルデータとするプロファイル手段と、該プロファイル手段により生成されたプロファイルデータを記憶するプロファイルデータメモリと、判別済プロファイルデータ及び判別結果を含む、複数の事例ベースデータからなる事例ベース表を記憶するデータベースと、前記プロファイルデータメモリに記憶されている前記プロファイルデータと前記データベースに記憶されている事例ベース表とを比較することにより前記人物が不審者であるか否かを判別する比較判別手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載した本発明による不審者判別システムは、前記比較判別手段から出力される判別済プロファイルデータ及び判別結果を含む事例ベースデータを記憶し、前記データベースに追記憶して前記事例ベース表を更新する事例ベースデータメモリを更に備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載した本発明による不審者判別システムは、前記プロファイル手段は、前記人物の移動する速度、移動の向き及び顔の向きのそれぞれをメンバシップ関数を用いて抽象化した値とし、この値をそのまま出力又は時間平均化処理して出力することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載した本発明による不審者判別システムは、前記プロファイル手段は、前記人物の移動する速度、移動の向き及び用途のそれぞれをメンバシップ関数を用いて抽象化した値とし、この値をそのまま出力又は時間平均化処理して出力することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載した本発明による不審者判別システムは、前記比較判別手段は、前記メンバシップ関数を用いて連想推論を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載した本発明によるプロファイル配布システムは、複数の前記不審者判別システムそれぞれから前記事例ベース表の一部又は全部を入力する入出力手段と、該入出力手段から複数の前記事例ベース表を入力して1つの事例ベース表に再構成して出力する制御手段と、該制御手段から事例ベース表を入力して記憶するデータベースとを備え、前記制御手段は、該データベースに記憶されている事例ベース表を前記入出力手段を経由して複数の前記不審者判別システムに送出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に記載した本発明によるプロファイル配布システムは、前記制御手段は、複数の前記事例ベース表の各事例ベースデータについて、所定距離よりも近い事例ベースデータ同士は平均化して1つの事例ベースデータにし、前記所定距離よりも遠い事例ベースデータ同士はそのままそれぞれの事例ベースデータにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した本発明による不審者判別システムによれば、人物の顔の向きのプロファイルを判別要素に加えた推論を行うので、判別精度の高い不審者判別システムが実現できる。
【0017】
請求項2に記載した本発明による不審者判別システムによれば、用途のプロファイルを判別要素に加えた推論を行うので、判別精度の高い不審者判別システムが実現できる。
【0018】
請求項3に記載した本発明による不審者判別システムによれば、判別したプロファイルデータを加味して事例ベース表を更新するので、より判別精度の高い不審者判別システムが実現できる。
【0019】
請求項4に記載した本発明による不審者判別システムによれば、判別精度が高くかつ高速処理が可能な不審者判別システムが実現できる。
【0020】
請求項5に記載した本発明による不審者判別システムによれば、判別精度が高くかつ高速処理が可能な不審者判別システムが実現できる。
【0021】
請求項6に記載した本発明による不審者判別システムによれば、更に判別精度が高くかつ高速処理が可能な不審者判別システムが実現できる。
【0022】
請求項7に記載した本発明によるプロファイル配布システムによれば、複数の不審者判別システムから事例ベース表を収集してプロファイルデータを再構成し、これをそれぞれの不審者判別システムに送出してそれぞれの不審者判別システムの事例ベース表を更新するので、さらに判別精度の高い不審者判別システムが実現できる。
【0023】
請求項8に記載した本発明による不審者判別システムによれば、事例ベースデータの数が無限に増えてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1による不審者判別システムの構成を示す図である。不審者判別システム2は、プロファイル手段21、プロファイルデータメモリ22、データベース23、比較判別手段24、事例ベースデータメモリ25、入出力手段26、及び入出力端子27を具備している。カメラ1は、本発明の不審者判別システム2に動画信号を供給する。
【0026】
カメラ1は、本発明の不審者判別システム2の一部ではないが、本発明の実施例の説明を容易にするために図1内に便宜上示したものである。
【0027】
図2は、プロファイルデータメモリ22に記憶されているプロファイルデータの構造を示す図である。プロファイルデータ3は、移動方向データ31、移動速度データ32、顔の向きデータ33、及び用途データ34を含んでいる。
【0028】
図3は、事例ベースデータの構造を示す図である。図3(a)は、事例ベースデータメモリ25に記憶される1事例毎の事例ベースデータ6の構造を、図3(b)はデータベース23に含まれる複数の事例ベースデータ6を表の形式にした事例ベース表7の構造を示している。
【0029】
図3(a)に示すごとく、事例ベースデータ6には事例番号5、プロファイルデータ3、及び判別結果4が含まれている。図3(b)に示した例では、事例ベース表7には6つの事例ベースデータ6が含まれており、それぞれを区別するために便宜上事例ベースデータ6A~6Fの名称を付してある。
【0030】
以降の説明では事例ベースデータ6Aに含まれる事例番号5、プロファイルデータ3、判別結果4にはそれぞれ5A、3A、4Aという名称を付して他と区別することとし、他の事例ベースデータ6B~6Fについても同様とする。
【0031】
図1でカメラ1から動画信号が供給される。この動画信号はプロファイル手段21に導かれてプロファイリングによりプロファイルデータ3が生成され、生成されたプロファイルデータ3はプロファイルデータメモリ22に記憶される。
【0032】
データベース23には予めプロファイリングされたデータに一般人か不審者かを判別された結果を付した事例ベースデータ6A~6Fが表の形に整理された事例ベース表7として格納されている。
【0033】
比較判別手段24にはデータベース23に含まれる事例ベース表7とプロファイルデータメモリ22に記憶されたプロファイルデータ3が供給されて比較判別されて判別結果が付いている事例ベースデータ6が生成され、事例ベースデータメモリ25に記憶される。
【0034】
事例ベースデータメモリ25に記憶される事例ベースデータ6は入出力手段26を介して入出力端子27から出力されるとともに、データベース23に供給追加されて事例ベース表7を更新する。
【0035】
事例ベースデータメモリ25に記憶されている事例ベースデータ6は入出力手段26を介して入出力端子27から出力される。
【0036】
図4は、不審者判別システム2の機能動作を示す不審者推論フローチャートであり、レイヤ間を双方向連想記憶(BAM:bidirectional associative memory)で構成するファジィ連想推論(谷萩隆嗣編著「ディジタル信号処理ライブラリ9ニューラルネットワークとファジィ信号処理」コロナ社89~93頁参照)を行うことにより不審者判別を行う。
【0037】
不審者推論の主な手順は、情報入力手順81、メンバシップ関数計算手順82、プロファイルデータ作成手順83、不審者判別手順84、判別結果データ出力手順85、及び事例ベース表更新手順87からなる。
【0038】
図5~図11は、不審者判別システム2の動作の詳細を説明するための図である。図5は顔の向きの検出を説明する図、図6は顔の向きによるメンバシップ関数の生成を説明する図、図7は人物の位置と顔の向きを検出する実験の波形図、図8はメンバシップ関数を説明する図、図9は事例ベース表を説明する図、図10は事例ベース推論モデルを説明する図、図11は意図認識モデルを説明する図である。
【0039】
以下、不審者判別システム2の動作を図1~図11を用いて詳細に説明する。
【0040】
プロファイル手段21の動作は、図4の不審者推論フローチャートに示す情報入力手順81~プロファイルデータ作成手順83で説明される。撮影手順811でカメラ1から供給される動画信号を入力し、位置検出手順812で人物の位置を時系列で把握する。人物の位置を把握する方法は当業者には良く知られており、その説明は省略する(特許文献1、2参照)。カメラ1は、複数個とすると3次元座標の精度を向上することができる。
【0041】
顔情報検出手順813で人物の顔の向きを把握する。図5(a)に示すように、本発明では顔の輪郭を撮影画像に含まれる肌色を検出するなどで捉え、この輪郭の内部にある鼻や唇の位置を検出する。鼻はほぼ顔の輪郭の中央部にある明るい部分、唇は顔の輪郭の下部にある赤味を帯びた部分として捉えることができる。
【0042】
用途入力手順814は、例えば建物の入り口、公園、通路など、撮影される画像の位置などを入力する。移動速度計算手順821及び移動方向計算手順822は、位置検出手順812の結果である前記人物の位置情報の時間経過を捉えることにより人物の移動速度と移動方向を計算する。顔の向き計算手順823は、図5(a)を用いて説明した顔情報検出手順813の検出結果を用いる。
【0043】
図5(b)は、横軸を時間、縦軸を左(下)右(上)方向とし、意識的に正面→左→右→左と顔を振った場合の実験結果を示したものであり、鼻(点線)、唇(実線)ともにその動きを捉えており、顔の向きを検出できていることが分かる。
【0044】
図6は、横軸を時間、縦軸を左(下)右(上)方向として人物が直進(実線)、直進→右折(密点線)、直進→左折(一点鎖線)の場合の実験結果を示したものであり、図5で説明した顔の向きを計算することにより人物の直進、右折、左折を検出できていることが分かる。
【0045】
後述するメンバシップ関数の例を同図中の右側に重畳して示した。
【0046】
図7は、一般人と不審者の位置(実線はx方向成分、密点線はy方向成分)、顔の向き(一点鎖線)を実験で測定した例である。
【0047】
図7(a)は、一般人のデータであり、人物は顔の向きをゆっくり変化させながら右前方に向かって速く動いていることが分かる。
【0048】
図7(b)は、不審者のデータであり、人物は顔を小刻みに左右に振りながら右前方に一般人よりは遅い速度で動いていることが分かる。
【0049】
すなわち、上記の実験結果は顔の向きの検出を加味することにより精度の高い不審者判別が可能であることを示している。後に詳細説明するように、この両者との比較判別を、ファジィ連想推論により行うことにより高速かつ高精度で不審者判別を行うことができる。
【0050】
メンバシップ関数計算手順824及びプロファイルデータ作成手順831は、上記手順で計算した人物の移動速度、移動方向、顔の向きを入力データとするそれぞれのメンバシップ関数計算を行い、これらを組み合わせた事例データとしてプロファイルデータ3を作成する。
【0051】
図8は、人物の移動方向(move direction)、移動速度(move speed)、顔の向き(face direction)の計算方法とそれぞれのファジィルールのメンバシップ関数例を示したものである。
【0052】
人物の移動方向(move direction)につき、右(right)、前方(forward)、左(left)、後方(back)について、メンバシップ関数を設定してある。
【0053】
人物の移動速度(move speed)につき、停止(stop)、遅い(slow)、普通(middle)、速い(fast)について、メンバシップ関数を設定してある。
【0054】
人物の顔の向き(face direction)につき、大(small)、中(middle)、小(large)について、メンバシップ関数を設定してある。
【0055】
図6の顔の向きの実験結果の図中右側にメンバシップ関数の例を実験結果に重畳して示した。
【0056】
この場合、0を中心とする幅40の三角形は直進を、0から図の上方に向けて折れる線は左向きを、0から図の下方に向けて折れる線は右向きを示す関数である。
【0057】
プロファイルデータ作成手順831は、上記のメンバシップ関数計算手順824を人物の移動方向、移動速度、顔の向きにつき行い、それぞれの計算結果であるメンバシップ値の5秒間の平均値を計算する。プロファイルデータメモリ記憶手順832は、この計算結果をプロファイルデータ3としてプロファイルデータメモリ22に記憶する。
【0058】
図9は、データベース23に格納されている事例ベース表7の例であり、この例では6つの事例が格納されている。
【0059】
同図で事例番号は一般人1~3と不審者1~3が、プロファイルデータ3は人物の移動方向(move direction)、人物の移動速度(move speed)、人物の顔の向き(face direction)につき、上記で説明した情報入力手順81及びメンバシップ関数計算手順82により算出した結果が、判別結果として一般人(normal)か不審者(abnormal)かの判別が示されている。
【0060】
不審者判別手順84は図9を用いて説明したプロファイルデータ3及び事例ベース表7を用いて行う。
【0061】
プロファイルデータ読出手順841でプロファイルデータ3を、事例ベース表読出手順842で事例ベース表7を読出し、不審者判別手順843で判別を行う。
【0062】
図10は、事例ベース推論モデルを説明する図である。不審者判別手順843は、この事例ベース推論モデルに示したごとく、ファジィ連想推論を行うことにより高精度かつ高速に不審者判別を行うことができる。同図で最下段(Input Layer)がプロファイルデータ3に、中段(Case Base Layer)が事例ベース表7に相当する。同図中の多数の斜め線は、推論がそれぞれのメンバシップ値を参照しながら行われることを概念的に示している。推論の結果は上段(Output Layer)に集約され、プロファイルデータ3が一般人(normal)か不審者(abnormal)かが判別される。
【0063】
なお、図11の意図認識モデルに示すごとく、不審者判別手順843は用途を推論要素に加えてファジィ連想推論を行うことによっても高精度かつ高速に不審者判別を行うことが可能である。
【0064】
同図で最下段(Input Layer)がプロファイルデータ3に、中段(Case Base Layer)が事例ベース表7に、上段(Output Layer)が判別結果4に相当するのは図10で説明した事例ベース推論モデルと同様であるが、カメラ1が設置された位置が例えば通路、公園、建物入り口であることを用途別の人間の意図と捉え、これを用いてメンバシップ関数を定義してメンバシップ関数計算手順824を行ってプロファイルデータ3を生成することが可能である。この場合も、推論の結果は上段(Output Layer)に集約され、プロファイルデータ3が一般人(normal)か不審者(abnormal)かが判別される。
【0065】
判別結果データ出力手順85は、プロファイルデータ3に事例番号5と判別結果4を追加した事例ベースデータ6を事例ベースデータメモリ25に記憶すると共に、入出力手段26により入出力端子27に出力する。
【0066】
登録判別手順86は、事例ベースデータメモリ25に記憶された事例ベースデータ6を事例ベース表7に追記するか否かを判別し、NOの場合には終了判別手順88に移行するが、YESの場合はこれを事例ベース表7に追記更新してから終了判別手順88に移行する。
【0067】
事例ベースデータ6を事例ベース表7に追記するか否かの判別は判別結果の確かさを計算し、これを参照しながら自動で行うことも可能であるが、手動で行うことも可能である。
【0068】
以上詳細に説明したように、本発明の実施例1による不審者判別システムによれば高精度かつ高速に不審者判別を行うことができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
【0070】
図4に示した不審者推論フローチャートを用いた上記の説明でプロファイルデータメモリ記憶手順832はメンバシップ値の5秒間の平均値を記憶するとしたが、時間平均を5秒に限る必要はなく、カメラ1の設置状況や動画信号の内容によって違う時間平均値であって良いのは言うまでもない。
【0071】
また、図4に示した不審者推論フローチャートのそれぞれの手順は必ずしもこの順序である必要はなく、例えば位置検出手順812と顔情報検出手順813のように相前後しても処理の結果に影響を与えない手順同士は、必要に応じて適宜順序を入れ替えてよいのは言うまでもない。
【0072】
また、図4に示した不審者推論フローチャートでは、ファジィ連想推論を行うことにより不審者判別を行う例を説明したが、例えば単純な閾値判定の組み合わせなど、別の判別手法を使用しても良いのは言うまでもない。
【実施例2】
【0073】
図12は、本発明の実施例2によるプロファイル配布システムの構成を示す図である。同図で1A~1Cはカメラ、2A~2Cは不審者判別システム、27A~27Cは入出力端子、70はサーバ装置である。
【0074】
サーバ装置70は、入出力手段71、制御手段72、及びデータベース73を含んでいる。入出力手段71は、入出力端子27A~27Cと接続されており、制御手段72の指令により不審者判別システム2A~2Cからそれぞれの事例ベース表7の内容をデータベース73に導入、又はデータベース73に含まれる事例ベース表731を不審者判別システム2A~2Cの事例ベース表7として送出することができる。
【0075】
図13は、サーバ装置70の動作を説明するためのフローチャートである。
【0076】
以下、本発明の実施例2によるプロファイル配布システムの動作を詳細に説明する。カメラ1Aと不審者判別システム2Aの組み合わせは本発明の実施例1による不審者判別システムと同様であり、カメラ1Bと不審者判別システム2B、カメラ1Cと不審者判別システム2Cの組み合わせによる不審者判別システムも同様であるので、その動作の説明は省略する。
【0077】
また、図12に示した例は不審者判別システム2が2A~2Cの3台の例であるが、不審者判別システム2が複数台であれば同様の動作が可能である。
【0078】
図13のデータ収集手順で、制御手段72は不審者判別システム2A~2Cからそれぞれの事例ベース表7の内容をデータベース73に導入する。
【0079】
再構成手順91で上記で収集した複数の事例ベース表7を統合して事例ベース表731を再構成する。このとき、メンバシップ関数値が所定距離よりも近い事例ベースデータは両者のメンバシップ関数を平均化して1つのデータにする。これにより事例ベースデータの数が無限に増えてしまうことを防止することができる。
【0080】
データ再分配手順92で事例ベース表731を不審者判別システム2A~2Cの事例ベース表7として送出する。これより多くの事例ベースデータを収集することができるので判別精度を高めることができる。
【0081】
データ収集手順90が動作を開始するタイミングは、手動、定期的、入出力端子27A~27Cに接続された不審者判別システム2A~2Cの内の少なくともひとつからの要請により決定すればよい。データ再分配手順92が動作を開始するタイミングについても同様である。
【0082】
以上詳細に説明したように、本発明の実施例2によるプロファイル配布システムを使用することにより、より高精度かつ高速な不審者判別を行うことができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
【0084】
サーバ装置70を不審者判別システム2A~2Cとは別に設けたが、不審者判別システム2A~2Cの内の一台又は複数台にサーバ装置70の機能を持たせても良いのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例1による不審者判別システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1のプロファイルデータメモリに記憶されているプロファイルデータの構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の事例ベースデータの構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例1による不審者判別システムの機能動作を示す不審者推論フローチャートである。
【図5】顔の向きの検出を説明する図である。
【図6】顔の向きによるメンバシップ関数の生成を説明する図である。
【図7】人物の位置と顔の向きを検出する実験の波形図である。
【図8】メンバシップ関数を説明する図である。
【図9】事例ベース表を説明する図である。
【図10】本発明の実施例1による不審者判別システムの比較判別手段の動作を説明するための事例ベース推論モデルを説明する図である。
【図11】本発明の実施例1による不審者判別システムの比較判別手段の動作を説明するための意図認識モデルを説明する図である。
【図12】本発明の実施例2によるプロファイル配布システムの構成を示す図である。
【図13】本発明の実施例2によるプロファイル配布システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 カメラ
2 不審者判別システム
21 プロファイル手段
22 プロファイルデータメモリ
23 データベース
24 比較判別手段
25 事例ベースデータメモリ
26 入出力手段
3 プロファイルデータ
70 サーバ装置
71 入出力手段
72 制御手段
73 データベース
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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