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明細書 :基材表面の改質方法、改質された表面を有する基材およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4117356号 (P4117356)
登録日 平成20年5月2日(2008.5.2)
発行日 平成20年7月16日(2008.7.16)
発明の名称または考案の名称 基材表面の改質方法、改質された表面を有する基材およびその製造方法
国際特許分類 B05D   7/24        (2006.01)
C01B  33/12        (2006.01)
C09D 183/16        (2006.01)
FI B05D 7/24 302Y
C01B 33/12 Z
C09D 183/16
請求項の数または発明の数 29
全頁数 20
出願番号 特願2006-548946 (P2006-548946)
出願日 平成17年12月16日(2005.12.16)
国際出願番号 PCT/JP2005/023177
国際公開番号 WO2006/064918
国際公開日 平成18年6月22日(2006.6.22)
優先権出願番号 2004365903
優先日 平成16年12月17日(2004.12.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年1月16日(2008.1.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】安澤 幹人
【氏名】小出 崇志
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100091579、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 芳譽
審査官 【審査官】大島 祥吾
参考文献・文献 特開2004-155834(JP,A)
特開2003-327908(JP,A)
特開2002-337263(JP,A)
特開2003-336010(JP,A)
特開2003-347294(JP,A)
特開2005-343014(JP,A)
調査した分野 B05D7/00~7/26
C01B33/12
C09D183/00~183/16
特許請求の範囲 【請求項1】
下記工程からなることを特徴とする基材表面の改質方法。
(1)基材の表面にポリシラザンを塗布してポリシラザン被膜を形成する工程、
(2)該ポリシラザン被膜に、一般式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物を塗布する工程、ついで、
(3)前記工程を経た基材を加熱して、該ポリシラザン被膜をシリカ層に転化せしめ、該有機化合物を該シリカ層のシリカに結合させる工程。
【請求項2】
基材が無機質基材である請求項1に記載の改質方法。
【請求項3】
無機質基材が金属、ガラスまたはセラミックである請求項2に記載の改質方法。
【請求項4】
該有機化合物がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである請求項1に記載の改質方法。
【請求項5】
該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化7】
JP0004117356B1_000012t.gif
単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される請求項4に記載の改質方法。
【請求項6】
該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項5に記載の改質方法。
【請求項7】
該ポリシラザンが触媒量のシリカ転化促進触媒を含有するものである請求項1、請求項5または請求項6に記載の改質方法。
【請求項8】
ポリエチレングリコールの数平均分子量が90~2000である請求項6に記載の改質方法。
【請求項9】
シリカ転化促進触媒がアミン系触媒である請求項7に記載の改質方法。
【請求項10】
ポリシラザンからシリカへの転化率が80%以上である請求項1、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の改質方法。
【請求項11】
シリカ層の厚みが10~1500nmである請求項1、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の改質方法。
【請求項12】
基材の表面にシリカ層が形成されており、該シリカ層の表層部に、該シリカ層に結合した、式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層が形成されていることを特徴とする改質された表面を有する基材。
【請求項13】
シリカ層の厚みが10~1500nmである請求項12に記載の基材。
【請求項14】
該有機化合物層がドメイン構造を有していることを特徴とする請求項12に記載の基材。
【請求項15】
該基材が無機質基材である請求項12に記載の基材。
【請求項16】
該無機質基材が金属、ガラスまたはセラミックである請求項15に記載の基材。
【請求項17】
該シリカ層がポリシラザンから誘導されたものであり、該有機化合物層がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールに由来するものである請求項12に記載の基材。
【請求項18】
該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化8】
JP0004117356B1_000013t.gif
単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される請求項17に記載の基材。
【請求項19】
該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項18に記載の基材。
【請求項20】
基材表面のシリカ層が親水性表面を有することを特徴とする請求項12記載の基材。
【請求項21】
シリカ層表面の水に対する接触角が10~50度である請求項20に記載の基材。
【請求項22】
改質された表面を有する基材が人体に接触して使用される部品または物品を構成する材料である請求項21に記載の基材。
【請求項23】
下記工程からなり、基材の表面にシリカ層が形成されており、該シリカ層の表層部に、該シリカ層に結合した、式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層が形成されていることを特徴とする改質された表面を有する基材の製造方法。
(1)基材の表面にポリシラザン被膜を形成する工程、
(2)該ポリシラザン被膜に、一般式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層を形成する工程、ついで
(3)前記工程を経た基材表面のポリシラザン被膜をシリカ層に転化せしめ、該有機化合物層をシリカ層に結合させる工程。
【請求項24】
該ポリシラザン被膜の形成がポリシラザンの溶液を塗布することにより、該有機化合物層の形成が該有機化合物自体またはその溶液を塗布することにより、ポリシラザン被膜のシリカ層への転化および該有機化合物層のシリカ層への結合が加熱することによる請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
該有機化合物がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである請求項23に記載の製造方法。
【請求項26】
該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化9】
JP0004117356B1_000014t.gif
単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]-H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
該ポリシラザンが触媒量のシリカ転化促進触媒を含有するものである請求項23、請求項24、請求項25、請求項26または請求項27記載の製造方法。
【請求項29】
該シリカ転化促進触媒がアミン系触媒である請求項28に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面を改質する方法、改質された表面を有する基材およびその製造方法に関し、詳しくは、金属等の基材表面に親水性、耐摩耗性、耐薬品性、人体への接触適合性等の特性を付与することのできる基材表面の改質方法、改質された表面を有する基材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属基材の表面にシリカ被膜を形成し金属基材の表面を改質する方法としては数多くの方法が提案されている。例えば、特開昭62-88327号(特許文献1)は、シリコンウエハー上に、オルガノシクロシラザンから得られた重合体のトルエン溶液を塗布し、室温で乾燥させた後、酸素または水蒸気の存在下に高温焼成してシリカフィルムを形成する方法を教示している。特開平9-157594号(特許文献2)は、ステンレススチール板あるいは金属、ガラス、セラミック等の上に、ペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液を塗布し、大気中、450℃で加熱してシリカ被膜を形成する方法を教示している。特開平10-194753号(特許文献3)は、シリコンウエハー上に、ペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液を塗布し、室温でアミン化合物と水蒸気に接触させ、ついで焼成してシリカ被膜を形成する方法を教示している。特開2004-155834(特許文献4)は、金属、ガラス、セラミック、プラスチック等の表面にアミン系触媒を含有するペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液を塗布し常温放置してシリカ層を形成する方法を教示している。しかし、これらの方法は、いずれも金属、ガラス、セラミック、プラスチック等の表面にシリカ層を形成して耐熱性、耐摩耗性、耐食性の表面に改質する方法に関するものであり、これらの方法で得られた基材表面は、親水性を有しておらず、また、人体への接触適合性を有しておらず、例えば、人体、特には生体に接触して使用される基材としては満足できるものではない。
【0003】
特開平7-82528号(特許文献5)は、ポリシラザンとアルコール(例、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール)の混合物からなるシリカ系被膜形成用塗布液を教示しているが、形成されたシリカ層は親水性が不十分であり、硬度が小さく、耐摩耗性が劣るという問題がある。特開2003-327908(特許文献6)は、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤と非イオン系界面活性剤の水溶液からなる親水性維持剤・促進剤原液を教示しており、ポリシラザン含有コーテイング膜に塗布すると親水性が維持・促進されるとのことであるが、シリカ層表面にアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤と非イオン系界面活性剤が付着しているので、人体、特には生体に接触して使用される基材としては満足できるものではない。また、親水性の耐久性が不十分である。
【0004】
一方、金属基材表面にポリエチレングリコール等の親水性ポリマーを塗布して親水性表面に改質する方法も試みられているが、このような親水性ポリマーそのものを金属表面に直接化学結合させることは難しく、親水性、耐薬品性、人体への接触適合性等の表面特性を有する基材は得られていない。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62-88327号公報
【特許文献2】
特開平9-157594号公報
【特許文献3】
特開平10-194753号公報
【特許文献4】
特開2004-155834公報
【特許文献5】
特開平7-82528号公報
【特許文献6】
特開2003-327908公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは鋭意研究した検討した結果、基材表面にポリシラザン被膜を形成し、これに特定の有機化合物を接触させ、続いて加熱してポリシラザン被膜をシリカ被膜に転化させれば、優れた親水性と耐摩耗性と耐薬品性の表面を有し、人体への接触適合性、特には生体適合性に優れた表面を有する基材が得られることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明の目的は、基材表面を、優れた親水性とその耐久性と耐摩耗性と耐薬品性と、人体への接触適合性、特には生体適合性等が優れている表面に改質する方法;優れた親水性とその耐久性と耐摩耗性と耐薬品性と、人体への接触適合性、特には生体適合性等を有る改質された表面を有する基材、および、かかる基材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「[1] 下記工程からなることを特徴とする基材表面の改質方法。
(1)基材の表面にポリシラザンを塗布してポリシラザン被膜を形成する工程、
(2)該ポリシラザン被膜表面に、一般式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物を塗布する工程、ついで、
(3)前記工程を経た基材を加熱して、該ポリシラザン被膜をシリカ層に転化せしめ、該有機化合物を該シリカ層のシリカに結合させる工程。
[2] 基材が無機質基材である[1]に記載の改質方法。
[3] 無機質基材が金属、ガラスまたはセラミックである[2]に記載の改質方法。
[4] 該有機化合物がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである[1]に記載の改質方法。
[5]該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化1】
JP0004117356B1_000002t.gif単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される[4]に記載の改質方法。
[6] 該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである[5]に記載の改質方法。
[7] 該ポリシラザンが触媒量のシリカ転化促進触媒を含有するものである[1]、[5]または[6]に記載の改質方法。
[8] ポリエチレングリコールの数平均分子量が90~2000である[6]に記載の改質方法。
[9] シリカ転化促進触媒がアミン系触媒である[7]に記載の改質方法。
[10] ポリシラザンからシリカへの転化率が80%以上である[1]、[4]、[5]、[6]または[7]に記載の改質方法。
[11] シリカ層の厚みが10~1500nmである[1]、[4]、[5]、[6]または[7]に記載の改質方法。
[12] 基材の表面にシリカ層が形成されており、該シリカ層の表層部に、該シリカ層に結合した、式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層が形成されていることを特徴とする改質された表面を有する基材。
[13] シリカ層の厚みが10~1500nmである[12]記載の基材。
[14] 該有機化合物層がドメイン構造を有していることを特徴とする[12]に記載の基材。
[15] 該基材が無機質基材である[12]に記載の基材。
[16] 該無機質基材が金属、ガラスまたはセラミックである[15]に記載の基材。
[17] 該シリカ層がポリシラザンから誘導されたものであり、該有機化合物層がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールに由来するものである[12]に記載の基材。
[18] 該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化2】
JP0004117356B1_000003t.gif単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される[17]に記載の基材。
[19] 該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである[18]に記載の基材。
[20] 基材表面のシリカ層が親水性表面を有することを特徴とする[12]記載の基材。
[21] シリカ層表面の水に対する接触角が10~50度である[20]に記載の基材。
[22] 改質された表面を有する基材が人体に接触して使用される部品または物品を構成する材料である[21]に記載の基材。
[23] 下記工程からなり、基材表面にシリカ層を有し、該シリカ層の表層部に、該シリカ層に結合した、一般式:-[(R)O]-(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層が形成されていることを特徴とする改質された表面を有する基材の製造方法。
(1)基材の表面にポリシラザン被膜を形成する工程、
(2)該ポリシラザン被膜表面に、一般式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層を形成する工程、ついで
(3)前記工程を経た基材表面のポリシラザン被膜をシリカ層に転化せしめ、該有機化合物層をシリカ層に結合させる工程。
[24] 該ポリシラザン被膜の形成がポリシラザンの溶液を塗布することにより、該有機化合物層の形成が有機化合物自体またはその溶液を塗布することにより、ポリシラザン被膜のシリカ層への転化が加熱することによる[23]に記載の製造方法。
[25] 該有機化合物がアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールである[23]に記載の製造方法。
[26] 該ポリシラザンが繰り返し単位として
【化3】
JP0004117356B1_000004t.gif単位を有するものであり、該アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが一般式:HO[R4O]-H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示される[25]に記載の製造方法。
[27] 該ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンであり、一般式(2)または一般式(3)で示されるアルキレングリコールがエチレングリコールであり、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである[26]に記載の製造方法。
[28] 該ポリシラザンが触媒量のシリカ転化促進触媒を含有するものである[23]、[24]、[25]、[26]または[27]に記載の製造方法。
[29] 該シリカ転化促進触媒がアミン系触媒である[28]に記載の製造方法。」に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基材表面の改質方法は、基材表面に優れた親水性とその耐久性と耐摩耗性と耐薬品性、人体への接触適合性、特には生体適合性等を付与するという特徴を有する。本発明の改質された表面を有する基材は、親水性とその耐久性と耐摩耗性と耐薬品性と、人体の接触適合性、特には生体適合性等が顕著に向上した表面を有するという特徴を有する。本発明の改質された表面を有する基材の製造方法は、かかる基材を効率よく簡易に製造することができるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られた試験体のシリカ層表面を原子間力表面粗さ計で観察した画像(AFM像)を示す。画像中の単位はnmである。
【図2】実施例2で得られた試験体のシリカ層表面の原子間力表面粗さ計で観察した画像(AFM像)を示す。画像中の単位はnmである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において表面改質の対象となる基材として、種々の無機質基材(材料)または有機質基材(材料)がある。無機質基材の材質としては、スチール、ステンレススチール、アルミニウム、デユラルミン、チタン、チタン合金、銀等の金属類;ガラス、石英、セラミック、陶磁器、石材が例示される。有機質基材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール、ポバール樹脂、ABS樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂類;合成木材;竹、木材等の天然素材が例示される。
有機質基材および無機質基材の形状としては、板、シート、フィルム、箔、フィラメント、クロス、ブロック、容器や部品、物品の形状が例示される。このような基材は本発明の表面改質された基材が適用される箇所とか、部品、物品の用途によって適宜選択され用いられる。
[0011]
(1)基材の表面にポリシラザン被膜を形成する工程(以下、工程(1)という)において、基材表面に塗布、コーテイングするポリシラザンは、分子内でSi-N(ケイ素-窒素)結合が繰り返された重合体であり、シリカに転化容易であればその種類は特に限定されない。Si-N(ケイ素-窒素)結合のSi原子に2個の水素原子が結合していると、シリカへの転化が容易である。
このようなポリシラザンの分子構造としては直鎖状、分岐した直鎖状、分岐状、環状、架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれらの複数の構造を同時に有するものがある。本発明においては、これらを単独で、あるいは混合物で使用できる。これらポリシラザンの代表例としては、下記式(4)で示されるシラザン単位を繰り返し単位とする重合体等がある。ここで重合体はオリゴマーをも意味する。
[0012]
【化4】JP0004117356B1_000005t.gif(4)(式中、R、RおよびRは、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素原子数1~8のアルキル基である。)
[0013]
シリカへの転化の容易性の点で、R、Rともに水素原子である単位を含有するものが好ましく、分子中のRおよびRがすべて水素原子であるもの、特にはR、RおよびRがすべて水素原子であるものがより好ましい。R、RおよびRがすべて水素原子であるポリシラザンは、下記式(5)で示される繰り返し単位を有し、ペルヒドロポリシラザンあるいはパーヒドロポリシラザンと称される。
【化5】JP0004117356B1_000006t.gif(5)
ペルヒドロポリシラザンは、下記式(6)で示される化学構造部分を有していると言われている。
【化6】JP0004117356B1_000007t.gif(6)
【0014】
上記ペルヒドロポリシラザンは、ケイ素原子に結合した水素原子の一部が水酸基で置換されたものであってもよい。ペルヒドロポリシラザンは、ジハイドロジェンジクロロシランと有機塩基(例えば、ピリジンまたはピコリン)とを反応させてアダクツを作り、該アダクツとアンモニアを反応させることにより容易に合成することができる。
【0015】
このようなポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンの数平均分子量は、通常100~50,000であり、加熱時の不揮発性と溶剤への溶解性の点で200~2,500がより好ましい。
【0016】
ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンは、少量のシリカ転化促進触媒を含有していてもよい。シリカ転化促進触媒として有機アミン化合物、有機酸、無機酸、カルボン酸金属塩、有機金属錯塩が例示される。有機アミン化合物が好ましく、1-メチルピペラジン、1-メチルピペリジン、4,4’-トリメチレンジピペリジン、4,4’-トリメチレンビス(1-メチルピペリジン)、ジアザビシクロ-[2,2,2]オクタン、シス-2,6-ジメチルピペラジン、4-(4-メチルピペリジン)ピリジン、ピリジン、ジピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、4,4’-トリメチレンジピリジン、2-(メチルアミノ)ピリジン、ピラジン、キノリン、キノクサリン、トリアジン、ピロール、3-ピロリン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、1-メチルピロリジンなどの含窒素環状有機アミン;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどの脂肪族もしくは芳香族アミン類;DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]7-ウンデセン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]5-ノネン)、1,5,9-トリアザシクロドデカン、1,4,7-トリアザシクロノナンが例示される。
ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザン中のシリカ転化促進触媒の含有量は0.1~10重量%が好ましい。
[0017]
工程(1)においては、基材上にポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンを塗布、すなわち、コーテイングするに際して、ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンを溶剤に溶解して溶液にしておくことが好ましい。そのための溶剤は、ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンを溶解して該溶液に流動性を付与し、ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンを変質、分解しないものであればよい。このような溶剤として、トルエン、キシレン、ヘキシレン等の芳香族炭化水素;エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素が例示される。これらの有機溶媒は、単独もしくは2種以上を混合して用いられる。このようなポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザン溶液中のポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンの固形分濃度は、0.1~35重量%であることが好ましく、0.2~10重量%であることがより好ましい。
[0018]
工程(1)において、基材の表面にポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンを塗布、コーテイングするなどしてポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザン被膜を形成するには、通常の塗布方法、コーテイング方法、すなわち、浸漬、ロールコーテイング、ブレイドコーテイング、刷毛塗り、スプレー、フローコーテイング、スピンコーテイング等が用いられる。コーテイング前に基板を研磨、脱脂、各種ブラストによる表面処理しておくとポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンの付着性が向上する。ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザン溶液を塗布、コーテイングした場合は、塗布、コーテイング後に、風乾または温風乾燥をするとよい。
[0019]
次に、工程(1)を経た基材表面のポリシラザン被膜、特にはペルヒドロポリシラザン被膜上に、一般式:-[(R)O]-(1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物を塗布、すなわち、コーテイングするなどして該有機化合物層を形成する。
(2)該ポリシラザン被膜表面に、一般式:-[(R)O]-(1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層を形成する工程で使用される、一般式:-[(R)O]-(1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物は、ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンが転化して生成するシリカと結合して親水性を付与する。一般式(1)で示される有機化合物の代表例は、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールが挙げられる。ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンが転化して生成するシリカとの結合性の点で両末端または片末端に水酸基が存在することが好ましい。両末端水酸基のものは、片末端アルコキシ化したものよりは、シリカとの結合性の点で好ましい。
そのうちでも一般式:HO[RO]-H(2)(式中、Rは炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)で示されるアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールが好ましい。また、一般式:HO[RO]-R(3)(式中、Rは炭素原子数1~3のアルキレン基であり、Rは炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示されるアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールも好ましい。
一般式(1)中、mは通常1であり、Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、アミレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基であり、親水性付与効果の点で炭素原子数1~8のものが好ましく、1~4のものがより好ましい。nが2以上の場合は、エチレン基が主体であれば同一分子内にエチレン基とプロピレン基もしくはブチレン基が共存したものでもよい。Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、エチレン基が最も好ましく、R5はメチレン基、エチレン基またはプロピレン基でり、エチレン基が最も好ましい。R6はメチル基、エチル基またはプロピル基である。しかし、ポリエチレングリコールの重合度が大きい場合はブチル基やペンチル基であってもよい。
nは1以上の正数であるが、2以上が好ましく、45以下が好ましい。
【0020】
このような有機化合物としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコ-ル等の単量体、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコ-ル、ポリエチレン・プロピレングリコール等の重合体が例示される。これらの中でも、ポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン)が好ましい。このポリエチレングリコールは、式:HO-[CHCHO]-H (7)(式中、nは2以上の正数である。)で示される重合体であり、常温で液体からロウ状の堅い固体に至るまでのものがある。本発明においては、数平均分子量が90~2000であるものが好ましく用いられる。このような有機化合物は、通常液状であるので、ポリシラザン被膜、特にはペルヒドロポリシラザン被膜上にそのまま塗布することが好ましい。常温で粘稠な液状や、ロウ状であるものは、適切な溶媒に溶解、希釈してから塗布するとよい。そのための溶剤はポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンが不溶であるか難溶であるもの、変質しないものから選択することが好ましい。このような有機化合物は、エーテル基の親水性のため水、親水性有機溶剤、極性有機溶剤(例えば、エーテル類、脂肪酸エステル類)によく溶けるが、アルコールやフェノールのように水酸基を有するものは避けるべきである。キシレンのような芳香族炭化水素溶媒には多少可溶であるので溶解、希釈に使用することができる。一般式(1):-[(R)O]- (1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物、特には、一般式:HO[R4O]-H (2)および一般式:HO[R5O]-R6 (3)で示されるアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールを溶解、希釈するための有機溶媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、キシレン、トルエン、ベンゼンが例示される。
[0021]
工程(1)により基板表面に形成されたポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザン被膜表面に、一般式:-[(R)O]-(1)(式中、Rはアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物を塗布する方法、すなわち、コーテイングする方法として、通常の塗布方法、コーテイング方法、すなわち、浸漬、ロールコーテイング、ブレイドコーテイング、刷毛塗り、噴霧、フローコーテイング、スピンコーテイング等がある。塗布後、反応性を高めるため、しばらく放置することが好ましい。また、溶媒に溶解、希釈してから塗布した場合は、加熱前に溶媒を揮発、除去しておくことが好ましい。
[0022]
最後に、(3)前記工程を経た基材表面のポリシラザン被膜をシリカ層に転化せしめ、該有機化合物層をシリカ層に結合させる工程では、上記2工程を経た基材を加熱等してポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンをシリカに転化させる。このときの加熱温度は、好ましくは100℃~400℃の範囲内であり、より好ましくは100~300℃の範囲内である。ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンがシリカ転化促進触媒を含有している場合は、加熱温度は上記温度範囲より低くてもよく、50~200℃位が好ましい。加熱温度と加熱時間は、一般式(1)で示される有機基を主骨格とする有機化合物がさほど熱分解しない条件を選択することが好ましい。基材が有機質の場合は基材が熱分解したり変質しない条件を選択することが好ましい。
加熱は、酸素ガスおよび水蒸気を含むので空気中での加熱が好ましい。空気の代わりに酸素ガス含有窒素ガス、水蒸気含有窒素ガス、酸素ガスと水蒸気含有窒素ガスを使用してもよい。ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンは、電子線照射によってもシリカに転化させることができる。
[0023]
ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンからシリカへの転化率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、98~100%が最も好ましい。
[0024]
つぎに、本発明の改質された表面を有する基材について説明する。本発明の改質された基材は、基材表面上にシリカ層、好ましくは薄いシリカ層、すなわち、シリカ薄層が形成されており、該シリカ層は基材表面に密着ないし結合している。該シリカ層の表層部に、該シリカ層のシリカに結合した、式:-[(R)O]-(1)(式中、Rはアルキレン基、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層が形成されている。該シリカ層の表層部に該有機化合物層があるが、通常は、基材表面上にシリカ層があり、その上にシリカと該有機化合物の結合物層があり、この結合物層は表面に近づくにしたがって該有機化合物濃度が高くなり、ついで該有機化合物のみからなる層がある。
該シリカ層のシリカは、式;SiO4/2で表される4官能性シロキサン単位を繰り返し単位としている。このようなシリカ層を形成する方法としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを加水分解縮合する方法、ポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンから得る方法等が挙げられる。これらの中でもポリシラザン、特にはペルヒドロポリシラザンから得られるシリカ層が好ましい。
【0025】
基材表面上のシリカ層の厚みは1~3000nmであることが好ましく、10~1500nmであることがより好ましい。しかし、基材の種類や表面状態によっては1~500nmであることが好ましい。厚みが1nm未満になると、基材表面に凹凸がある場合に表面を完全に被覆することが容易でなく、また、親水性等の機能が低下する傾向にある。厚みが3000nmを越えるとシリカ層の均一性が低下することがあり、シリカ層に亀裂がはいりやすくなることがあるからである。なお、下記の実施例におけるシリカ層の厚みは約120~150nmである。
基材表面のシリカ層の厚さは、その切断面をフィールドエミッションスキャニング電子顕微鏡により観測して求めることができる。
【0026】
式:-[(R)O]- (1)(式中、Rはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基であり、m、nは1以上の正数である。)で示される有機基を主骨格とする有機化合物層は、該シリカ層の表面、表層部に化学的に結合しており、単に物理的に付着しているのではない。好ましくは、該有機化合物の末端炭素原子が酸素原子を介してシリカのケイ素原子に共有結合している。
該有機化合物の該シリカ層のシリカへの化学的結合、特には、該有機化合物の末端炭素原子が酸素原子を介してシリカのケイ素原子に共有結合していることは、汎用型フーリエ変換赤外吸光光度計(日本分光株式会社製、汎用型フーリエ変換赤外吸光光度計、RAS測定(高感度測定)、PAS測定(光音響法)、X線光電子分析装置エスカ(株式会社島津製作所製のShimadzu ESCA-1000AX)での測定等により知ることができる。また、実施例6の試験結果より推定することができる。
この有機化合物層は、シリカ層の表面、表層部に化学的に結合したドメイン構造、マッシュルーム構造、あるいはこぶ状構造と呼称されている領域あるいは形態を形成していることが好ましい。ドメイン構造、マッシュルーム構造、あるいはこぶ状構造をとることにより、親水性が向上している。
この有機化合物層は、アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコール、特には、一般式:HO[R4O]-H (2)(式中、R4は炭素原子数1~4のアルキレン基であり、nは1以上の数である。)または一般式:HO[R5O]6 (3)(式中、R5は炭素原子数1~3のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1~3のアルキル基であり、nは1以上の数である。)で示されるアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールに由来するオキシアルキレン基、特にはポリエチレングリコールに由来する、式:-[CHCHO]- (8)(式中、nは2以上の正数である。)で示される有機基が存在する層が好ましい。したがって、基材表面は単に親水性が優れているだけでなく、その耐久性に優れている。すなわち、繰り返し水洗されても親水性が低下せず、表面を布で強く擦っても剥がれたりしない。
【0027】
基材表面にシリカ層が形成されたことは、JIS K5400の8.4.2に従う鉛筆硬度(鉛筆引っ掻き値)の増加により推測することができる。ステンレススチール(SUS304)試験板表面の鉛筆硬度は6Bであるが、ステンレススチール(SUS304)試験板表面にペルヒドロポリシラザン被膜を形成し、その上にポリエチレングリコールを塗布し150℃で30分間加熱した後の試験体表面の鉛筆硬度は2H~3Hであり、大幅に向上している。したがって改質された基材表面層は耐摩耗性に優れている。
なお、基材表面のシリカ層とポリオキシアルキレン層、その中間層の存在は、グロー放電発光分析により知ることができる。
すなわち、試験体表面のシリカ層/ポリオキシアルキレン層、あるいは、シリカ層/中間層/ポリオキシアルキレン層にグロー放電し、スパッタリング時間に伴うケイ素、炭素、酸素、水素等の各元素の光強度の変化を測定することにより知ることができる。
【0028】
改質された基材表面は、耐薬品性も優れている。耐薬品性は、試験体を薬品またはその溶液に浸漬して所定時間放置後に取り出し、試験体の表面状態を観察することにより、あるいは、水に対する接触角を測定することにより知ることができる。改質された基材表面が耐え得る薬品として、ポリシラザンやポリアルキレングリコールの溶解用の各種有機溶剤、食塩水、生理食塩水、消毒用のエタノールが例示される。
【0029】
改質された基材表面の人体への接触適合性、特には生体適合性は、試験体表面への血小板粘着試験により評価することができる。すなわち、37℃で試験体表面にヒトの血液より得られた富血小板血漿を1時間接触させた後、試験体表面を水洗して富血小板血漿を除去し、風乾後に走査型電子顕微鏡(SEM)で試験体表面への血小板およびタンパク質の付着度合いを観察する。血小板およびタンパク質が付着していないか、付着していてもわずかであれば人体への接触適合性(生体適合性)が良好であり、多数の血小板およびタンパク質が付着しているか、少数でも大きな血小板粒子または/およびタンパク質粒子が付着していると人体への接触適合性(生体適合性)が不良と判断できる。
また、試験体表面へのタンパク質吸着試験により評価することができる。すなわち、試験体をアルブミン水溶液またはフィビリノーゲン水溶液に浸漬してタンパク質を吸着させ、少量の界面活性剤を含有する苛性ソーダの希薄な水溶液に浸漬してタンパク質を取り除き、取り除かれたタンパク質の水溶液に蛍光染料溶液を添加し、蛍光測定をする。蛍光強度が小さいと吸着したタンパク質が少ないので、人体への接触適合性(生体適合性)が良好と判断できる。蛍光強度が大きいと吸着したタンパク質が多いので、人体への接触適合性(生体適合性)が不良と判断できる。
【0030】
シリカ層が積層している基材は、前記基材表面の改質方法に例示された基材と同様なものが例示される。
【0031】
以上のような本発明の改質された表面を有する基材は、優れた親水性、その耐久性、耐摩耗性および耐薬品性を有する表面を有するので、金属カラム、キャピラリ、充填剤、チューブ等の分析機器用部材として好適である。また、実験用ガラス器具、ステンレススチール製スパチュラ、菌培養シャーレ等の理化学機器として好適である。また、食器、ナイフ、フォーク、スプーン等の生活用品として好適である。また、タイル、パイプ、板ガラス、網戸等の住宅環境資材として好適である。
【0032】
また、人体への接触適合性、生体適合性に優れているので、人体、特には生体成分(例えば、血液、リンパ液)に接触して使用される部材、物品を構成する材料として好適である。例えば、人体に対して金属アレルギー等の症状を引き起こさず、血小板や蛋白質が付着しにくいので、例えば、注射針、カテーテル、メス、鋏、クリップ、人工関節、人工骨、ビス、ナット、プレート、固定器具、ワイヤ-、ステントグラ等の医療用部材、用具ないし器具;インプラント、ブラケット等の歯の治療用部材、用具ないし器具;ピアス、イヤリング、ネックレス、時計等の装飾品用部材:理容・美容用鋏等として好適である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例と比較例と生体適合性評価試験により詳細に説明する。
実施例と比較例中、表面特性は次のようにして測定、評価、観察した。
[試験体表面の親水性]
試験体表面に水滴を滴下し、QI光学鏡式接触角計{株式会社協和界面科学製}を使用して水滴に対する接触角を測定した。
[試験体表面の鉛筆硬度(鉛筆ひっかき値)]
試験体表面をJIS K5400の8.4.2に従い硬度6B~9Hの鉛筆の芯でひっかき、傷が発生しない最大硬度の鉛筆の硬度で示した。
[試験体表面の物理的修飾状態]
試験体表面の粗さを、原子間力表面粗さ計{セイコーインスツルメンツ株式会社製、原子間
力表面粗さ計 Nanopics NPX100}を使用して観察した。
【0034】
[試験体表面への血小板粘着試験]
37℃で試験体表面にヒトの血液より得られた富血小板血漿を1時間接触させた後、試験体表面を水洗して富血小板血漿を除去し、風乾後に走査型電子顕微鏡(SEM)で試験体表面への血小板およびタンパク質の付着度合いを観察した。
[試験体表面へのタンパク質吸着試験]
試験体をPBS緩衝溶液に12時間浸し、取り出して、次に試験体を1.0 mg/mlアルブミン水溶液または0.2 mg/mlフィブリノーゲン水溶液に30℃で1時間浸して、試験体表面にタンパク質を吸着させた。
タンパク質を吸着させた試験体を脱イオン水ですすいだ後、1重量%のトリトンX-100と1重量%のドデシル硫酸ナトリウムを含有する0.01N NaOH水溶液に浸し、回転数100rpmの遠心分離機に1時間かけて、各試験体表面に吸着したタンパク質を脱着した。
脱着したタンパク質を含有する前記0.01N NaOH水溶液から試験体を取り出し、該水溶液に0.05Mホウ酸KCl水溶液を添加して、pH 9.3(弱塩基性)に調整した。
この弱塩基性水溶液2mlを蛍光スペクトロフォトメターの4方向セルの中に加え、更にアセトン水溶液(アセトン:水の混合比=3:2)に溶かしたフルオレサミン溶液0.5mlを加えた後、蛍光測定を行った。
アルブミンは、蛍光波長590nm、励起波長520nmで、フィブリノーゲンは蛍光波長490nm、励起波長430nmの条件で蛍光測定を行った。
【0035】
[実施例1]
ステンレススチール(SUS304)試験板表面(水に対する接触角:79度)に、-(SiH-NH)-を繰り返し単位とするペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名N-P110、アミン系触媒含有)の2重量%キシレン溶液を塗布した。このときの塗布量は、厚さ100~180nmのペルヒドロポリシラザン被膜が形成される量であった。この試験板を静置して風乾させた。キシレンが除去された後、直ちに、該ペルヒドロポリシラザン被膜上にポリエチレングリコール(数平均分子量600)の2重量%キシレン溶液を塗布し、室温にて大気中に1時間放置した。ついで、この試験板を電気炉に入れ、150℃の空気中にて30分間加熱した。冷却後、この試験板のシリカ層表面に蒸留水を流してシリカ層に結合していないポリエチレングリコールを洗い流した。さらに蒸留水を含ませた紙で試験板のシリカ層表面を拭いてシリカ層に結合していないポリエチレングリコールを除去した。ついで、室温にて大気中に24時間放置して風乾させた。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の水に対する接触角を測定したところ、その値は22度であった。また、鉛筆硬度は2Hないし3Hであった。原子間力表面粗さ計で試験体の該シリカ層表面の物理的状態を観察したところ、該試験体のシリカ層表面にはポリエチレングリコールに起因するドメイン構造が形成されていた(図1参照)。該試験体の該シリカ層表面を流水中でキムワイプ(キムバリークラークワールドワイド社の登録商標、不織布)により10回以上強く擦っても表面シリカ層が剥がれず、親水性が低下しなかった。
【0036】
[実施例2]
ステンレススチール(SUS304)試験板表面(水に対する接触角:79度)に、ペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名N-P110、アミン系触媒含有)の2重量%キシレン溶液を、厚さ100~180nmのペルヒドロポリシラザン被膜が形成される量塗布した。その後、この試験板を静置して風乾させた。キシレンが除去された後、直ちに、ペルヒドロポリシラザン被膜上にポリエチレングリコール(数平均分子量200)の2重量%キシレン溶液を塗布して1時間大気中に放置した。ついで、この試験板を電気炉に入れ、150℃の空気中にて30分間加熱した。冷却後、この試験板のシリカ層表面に蒸留水を流してシリカ層表面に結合していないポリエチレングリコールを洗い流した。さらに蒸留水を含ませた紙で試験板のシリカ層表面を拭いてシリカ層に結合していないポリエチレングリコールが残存しないようした。ついで、大気中で風乾させた。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の水に対する接触角を測定したところ、その値は28度であった。また、鉛筆硬度は2Hないし3Hであった。該試験体のシリカ層表面の物理的状態を原子間力表面粗さ計で観察したところ、該試験体のシリカ層表面にはポリエチレングリコールに起因するドメイン構造が形成されていた(図2参照)。該試験体の該シリカ層表面を流水中でキムワイプ(キムバリークラークワールドワイド社の登録商標、不織布)により10回以上強く擦っても表面シリカ層が剥がれず、親水性が低下しなかった。
【0037】
[実施例3]
ステンレススチール(SUS304)試験板の表面(水に対する接触角:79度)に、ペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名N-P110、アミン系触媒含有)の2重量%キシレン溶液を、厚さ100~180nmのペルヒドロポリシラザン被膜が形成される量塗布した。その後、この試験板を静置して風乾させた。キシレンが除去された後、直ちに、ペルヒドロポリシラザン被膜上にポリエチレングリコール(数平均分子量100)の2重量%キシレン溶液を塗布して1時間大気中に放置した。ついで、この試験板を電気炉に入れ、150℃の空気中にて30分間加熱した。冷却後、この試験板の表面に蒸留水を流してステンレススチール板表面に結合していないポリエチレングリコールを洗い流した。さらに蒸留水を含ませたキムワイプで試験板のシリカ層表面を拭いてステンレススチール板表面に結合していないポリエチレングリコールが残存しないようした。ついで、大気中で風乾させた。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の水に対する接触角は47度であった。また、鉛筆硬度は2Hないし3Hであった。原子間力表面粗さ計で試験体のシリカ層表面の物理的状態を観察したところ、該試験体のシリカ層表面にはポリエチレングリコールに起因するドメイン構造が形成されていた。該試験体の該シリカ層表面を流水中でキムワイプ(キムバリークラークワールドワイド社の登録商標、不織布)により10回以上強く擦っても表面シリカ層が剥がれず、親水性が低下しなかった。
【0038】
[実施例4]
ガラス試験板の表面に、ペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名N-P110、アミン系触媒含有)の2重量%キシレン溶液を塗布した。このときの塗布量は、厚さ100~180nmのペルヒドロポリシラザン被膜が形成される量であった。その後、この試験板を静置して風乾させた。キシレンが除去された後、直ちに、ペルヒドロポリシラザン被膜上にポリエチレングリコール(数平均分子量100)の2重量%キシレン溶液を塗布して1時間大気中に放置した。ついで、この試験板を電気炉に入れ、150℃の空気中にて30分間加熱した。冷却後、この試験板のシリカ層表面に蒸留水を流してシリカ層表面に結合していないポリエチレングリコールを洗い流した。さらに蒸留水を含ませた紙で試験板のシリカ層表面を拭いてシリカ層表面に結合していないポリエチレングリコールを除去した。ついで、室温にて大気中に24時間放置して風乾させた。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の水に対する接触角を測定したところ47度であった。該試験体の該シリカ層表面を流水中でキムワイプ(キムバリークラークワールドワイド社の登録商標、不織布)により10回以上強く擦っても表面シリカ層が剥がれず、親水性が低下しなかった。
【0039】
[実施例5]
実施例1において、ステンレススチール(SUS304)試験板の代わりにガラス板(鉛筆硬度9H)を使用し、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)自体を塗布に供した他は、実施例1と同一条件で、ガラス板にペルヒドロポリシラザン溶液を塗布し、ペルヒドロポリシラザン被膜上にポリエチレングリコール(数平均分子量600)自体を塗布し、加熱してガラス板表面にシリカ層を形成した。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の鉛筆硬度は6Hであった。次に、比較のため、ガラス板(鉛筆硬度9H)に実施例1と同一条件でペルヒドロポリシラザン溶液を塗布し加熱してガラス板表面にシリカ層を形成した。得られた試験体のシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合していない)の鉛筆硬度は8Hであった。
【0040】
[実施例6]
実施例1において、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)の他に、その片末端をエトキシ化したもの、および、その両末端をエトキシ化したものを使用し、ペルヒドロポリシラザン被膜にポリエチレングリコール自体を塗布した他は実施例1と同一条件で試験体を作成した。得られた各試験体を室温に10日間放置後にシリカ層(これにはポリエチレングリコール層が結合している)表面の水に対する接触角を測定したところ、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)を使用した試験体の接触角は4.6度であり、その片末端をエトキシ化したものを使用した試験体の接触角は17.8度であった。ところが、その両末端をエトキシ化したものを使用した試験体の接触角は51.0度であった(比較例)。
【0041】
[比較例1]
ステンレススチール(SUS304)試験板の表面(水に対する接触角:79度)に、ペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名N-P110、アミン系触媒含有)の2重量%キシレン溶液を塗布した。その塗布量は、厚さ100~180nmのペルヒドロポリシラザン被膜が形成される量であった。この試験板を静置して風乾させた。得られた試験体表面の水に対する接触角を測定したところ71度であった。
【0042】
[比較例2]
比較例1におけるペルヒドロポリシラザンの2重量%キシレン溶液を塗布し風乾した試験板を、電気炉に入れ、150℃の空気中にて30分間加熱した。室温に冷却後に試験体のシリカ層表面の水に対する接触角を測定したところ54度であった。
【0043】
[比較例3]
実施例1において、ステンレススチール(SUS304)試験板表面(水に対する接触角:79度)に、直接、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)の2重量%キシレン溶液を塗布した。風乾後、試験板表面の水に対する接触角を測定したところ、その値は37度であった。また、この試験板の表面に蒸留水を流し、蒸留水を含ませた紙で拭き、風乾させ、試験板表面の水に対する接触角を測定したところ、その値は79度であった。
【0044】
[比較例4]
キシレンに実施例1で使用したポリエチレングリコール(数平均分子量600)または実施例2で使用したポリエチレングリコール(数平均分子量200)(キシレンとポリエチレングライコールの重量比100:2)を投入し撹拌して溶解した。生成したキシレン溶液の上澄みをガラスピペットで吸い取り、約10滴を撹拌しつつ実施例1で使用したN-P110の2重量%キシレン溶液に滴下した(N-P110のキシレン溶液とポリエチレングリコールのキシレン溶液との重量比100:20)。滴下中にアンモニアの匂いがしたら撹拌を中止して、1分後または5分後にステンレススチール(SUS304)試験板表面(水に対する接触角:79度)に塗布して実施例1と同一条件で加熱等をして試験体を作成した。作成後すぐと、1日後と、5日後と、5日後に水洗した後に試験体表面層の水に対する接触角を測定し、その結果を表1に示した。各試験体表面層をキムワイプ(キムバリークラークワールドワイド社の登録商標、不織布)で3回擦ったところ、いずれも表面層が剥がれた。
【0045】
【表1】JP0004117356B1_000008t.gif注:PZはN-P110を意味する。PEG200はポリエチレングライコール(数平均分子量200)を意味する。PEG600はポリエチレングライコール(数平均分子量600)を意味する。
【0046】
[比較例5]
比較例4において、ステンレススチール(SUS304)試験板の代わりにガラス板を使用し、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)を使用した他は同一条件で試験体を作成した。この試験体表面のペルヒドロポリシラザンとポリエチレングリコール(数平均分子量600)の混合物の加熱物層表面の鉛筆硬度は4Bであった。
【0047】
[試験体表面への血小板粘着試験]
実施例1において、ステンレススチール(SUS304)試験板の代わりに白金板を使用し、ポリエチレングリコール(数平均分子量600)の溶液の代わりにそれ自体を使用し、その他は同様の条件でステンレススチール(SUS304)試験板表面にシリカ層を形成し、シリカ層上にポリエチレングリコール層が形成された試験体を作成した。この試験体と白金板について血小板粘着試験を行ったところ、この試験体の該ポリエチレングリコール層表面に付着した血小板とタンパク質は極めて少なく、血小板の変形も小さかった。ところが、白金板自体の表面には多数の血小板とタンパク質が付着しており、付着していた血小板は大きく変形していた。
【0048】
[試験体表面へのタンパク質吸着試験]
実施例5で使用したガラス板、実施例5と同様の条件でガラス板表面にシリカ層を形成しただけの試験体、および、実施例5によるガラス板表面のシリカ層上にポリエチレングリコール層が形成された試験体について、タンパク質吸着試験を行ない、その結果を表2~表4に示した。
【0049】
【表2】JP0004117356B1_000009t.gif【0050】
【表3】JP0004117356B1_000010t.gif【0051】
【表4】JP0004117356B1_000011t.gif【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の改質された表面を有する基材は、優れた親水性とその耐久性と耐磨耗性と耐薬品性、を示す表面を有するので、金属カラム、キャピラリカ、充填剤、チューブ等の分析機器用部材として好適である。また、実験用ガラス器具、ステンレススチール製スパチュラ、菌培養シャーレ等の理化学機器用部材として好適である。また、食器、ナイフ、フォーク、スプーン等の生活用品として好適であり、タイル、パイプ、板ガラス、網戸等の住宅環境資材として好適である。
【0053】
また、人体への接触適合性、特には生体適合性に優れているので、人体、特には生体に接触して使用される物品を構成する材料として好適である。例えば、人体に対して金属アレルギー等の症状を引き起こさず、血小板や蛋白質が付着しにくいので、例えば、注射針、カテーテル、メス、鋏、クリップ、人工関節、人工骨、ビス、ナット、プレート、固定器具、ワイヤ-、ステントグラ等の医療用部材、用具ないし器具;インプラント、ブラケット等の歯の治療用部材、用具ないし器具;ピアス、イヤリング、ネックレス、時計等の装飾品用部材:理容・美容用鋏等として好適である。
図面
【図1】
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【図2】
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