TOP > 国内特許検索 > スクリュー付き泳具 > 明細書

明細書 :スクリュー付き泳具

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4945754号 (P4945754)
公開番号 特開2008-161341 (P2008-161341A)
登録日 平成24年3月16日(2012.3.16)
発行日 平成24年6月6日(2012.6.6)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 スクリュー付き泳具
国際特許分類 A63B  35/10        (2006.01)
A63B  35/12        (2006.01)
FI A63B 35/10
A63B 35/12
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2006-352615 (P2006-352615)
出願日 平成18年12月27日(2006.12.27)
審査請求日 平成21年2月6日(2009.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505425328
【氏名又は名称】国立大学法人鹿屋体育大学
発明者または考案者 【氏名】田口 信教
【氏名】内川 学
個別代理人の代理人 【識別番号】100133271、【弁理士】、【氏名又は名称】東 和博
審査官 【審査官】木村 励
参考文献・文献 特開2004-359117(JP,A)
実開昭59-102057(JP,U)
実公昭09-003207(JP,Y1)
実公昭09-016053(JP,Y1)
実開平06-044564(JP,U)
特開平10-100992(JP,A)
調査した分野 A63B 35/10
A63B 35/12
B63H 16/08
B63H 16/18
特許請求の範囲 【請求項1】
身体に装着して使用する泳具であって、
足首より先にワイヤーの一端を係止し、両足同時屈伸運動又は左右交互踏み足運動による、前記ワイヤーの引張り力により回転軸を一方向に回転させる回転軸回転機構部と、
前記回転軸の一方向への回転により動力エネルギーを蓄積するエネルギー貯蔵部と、
前記エネルギー貯蔵部から供給される動力エネルギーにより身体の腰部付近に配置されるスクリューを回転させ、当該スクリューの回転により身体の推進力を得るスクリュー推進機構部と、
引張りによって伸長されたワイヤーを巻き戻すためのワイヤー巻き戻し機構部を具備してなり、
前記回転軸回転機構部、エネルギー貯蔵部、スクリュー推進機構部、ワイヤー巻き戻し機構部の各々が、身体の腰部に装着される腰部ベルトに取付けられていることを特徴とする、スクリュー付き泳具。
【請求項2】
前記エネルギー貯蔵部が、前記回転軸の一方向への回転によりゼンマイバネを巻回して動力エネルギーを蓄積し、蓄積された動力エネルギーが前記ゼンマイバネの戻り力により取り出される構成であることを特徴とする、請求項1記載のスクリュー付き泳具。
【請求項3】
前記ゼンマイバネの上流側にトルクリミッターが設けられていることを特徴とする、請求項2記載のスクリュー付き泳具。
【請求項4】
前記回転軸の一方向への回転力の一部を、動力エネルギーとしてエネルギー貯蔵部に蓄積すると同時に、前記回転力の残りを、スクリュー側に伝達し、スクリューを回転させる構成であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のスクリュー付き泳具。
【請求項5】
前記ワイヤーの他端側の前記回転軸回転機構部が、前記腰部ベルトの腹部側中央付近に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のスクリュー付き泳具。
【請求項6】
バッテリーから供給される電力により前記スクリューを回転させるモーターと、当該モーターからの動力伝達と前記動力伝達機構からの動力伝達を切り替える切り替え機構部とをさらに具備してなることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のスクリュー付き泳具。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に装着して、河川、海等で行われる水中活動、水中作業等を補助するために用いられるスクリュー付き泳具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の泳具としては、足ヒレ(フィン)がある。足ヒレは、足を上下に動作することで泳ぐことを助け、生身で泳ぐよりも速く泳ぐことを可能とするものである。しかし、足ヒレ(フィン)は脚の持つ力の約1割程度しか、推進力に活用されていない。また、そのフィンの形状も様々な形、デザインを凝らした製品が生み出されているが、それらは水性生物が持つ足ヒレを単に真似したものに過ぎない。
【0003】
また、水中の推進力をより増すための水中プロペラを身体の両脇に装備したもの、すなわち、自転車用のペダル型の踏板に紐を取り付け、左右の足による交互の屈伸運動を該紐の張力の往復運動として取り出し、これを一定方向のみの回転に変換する動力伝達装置と一体化した滑車を介して水中プロペラを回転させて遊泳方向の推力を発現させるように構成した足動遊泳具が提案されている(特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2004-359117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1にて提案された泳具は、水中プロペラを回転させて遊泳方向への推進力が得られるものの、水中プロペラを回転させる間、常に左右の足による交互の屈伸運動を続けなければならないところ、左右の足による交互の屈伸運動は、遊泳方向への推進力に対する水の抵抗力を常に発生させることとなり、十分な推進力を得ることができない欠点がある。また、左右の足による交互の屈伸運動は、身体の進行方向に対して、左足(右足)→右足(左足)→左足(右足)の順に交互に抵抗が発生して、身体を左右に揺らしたり、傾けるように作用するため、進行方向に身体をスムーズに推進させることが難しい。そのため、上記特許文献1の提案は、実用的であるとは言い難い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、身体の中で最も大きなパワーを発揮する脚力を運動用のエネルギーとして蓄積し、運動エネルギーとして安定的に取り出し、スクリューの回転により身体の推進力を得ることのできる、スクリュー付き泳具を提供することを目的とする。また、スクリュー回転による身体推進時に抵抗の少ない身体姿勢を得ることができ、これにより、進行方向に身体をスムーズに推進させて、スムーズな水中活動、水中作業等を実現できる、スクリュー付き泳具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のスクリュー付き泳具は、身体に装着して使用する泳具であって、
足首より先にワイヤーの一端を係止し、両足同時屈伸運動又は左右交互踏み足運動による、前記ワイヤーの引張り力により回転軸を一方向に回転させる回転軸回転機構部と、
前記回転軸の一方向への回転により動力エネルギーを蓄積するエネルギー貯蔵部と、
前記エネルギー貯蔵部から供給される動力エネルギーにより身体の腰部付近に配置されるスクリューを回転させ、当該スクリューの回転により身体の推進力を得るスクリュー推進機構部と、
引張りによって伸長されたワイヤーを巻き戻すためのワイヤー巻き戻し機構部を具備してなり、
前記回転軸回転機構部、エネルギー貯蔵部、スクリュー推進機構部、ワイヤー巻き戻し機構部の各々が、身体の腰部に装着される腰部ベルトに取付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載のスクリュー付き泳具によると、水中において、泳者が、一回のキック動作、すなわち両足同時屈伸運動(平泳ぎ運動)又は左右交互踏み足運動を行ってワイヤーを引張ることにより、身体の腰部ベルトに取り付けた泳具の、回転軸回転機構部の回転軸を一方向に回転させて、同回転力を、動力エネルギーとしてエネルギー貯蔵部に蓄積できる。キック動作の後、エネルギー貯蔵部に蓄積された動力エネルギーを取り出して、スクリュー側に伝達し、腰部付近に配置されるスクリューを回転させて、身体を推進させることができる。
【0008】
すなわち、本発明のスクリュー付き泳具は、身体の中で最も大きなパワーを発揮する脚力のエネルギーをエネルギー貯蔵部に一時的に大量に蓄積し、蓄積した運動エネルギーをエネルギー貯蔵部から安定的に取り出して、スクリューを回転させることができるものである。キック動作後の、両足を身体と略平行に伸長した姿勢は、両足の屈曲姿勢に比べて、水中での水の抵抗が少なく、進行方向に身体をスムーズに推進させることができる。これにより、スムーズな水中活動、水中作業を実現できる。また、引張りにより伸長されたワイヤーが、スムーズに巻き戻され、速やかに次のワイヤーの引張り動作に備えることができる。
【0009】
本発明に係る請求項2記載のスクリュー付き泳具は、エネルギー貯蔵部が、前記回転軸の一方向への回転によりゼンマイバネを巻回して動力エネルギーを蓄積し、蓄積された動力エネルギーを前記ゼンマイバネの戻り力により取り出す構成であることを特徴とする。ゼンマイバネを使用することで、エネルギー貯蔵部の構成を簡単で、かつ、耐久性あるものとすることができる。
【0010】
本発明に係る請求項3記載のスクリュー付き泳具は、ゼンマイバネの上流側にトルクリミッターが設けられていることを特徴とする。ゼンマイバネの上流側にトルクリミッターが設けられることで、ゼンマイバネに過剰な回転トルクが掛かり、ゼンマイバネが破損することを防止できる。
【0012】
本発明に係る請求項記載のスクリュー付き泳具は、回転軸の一方向への回転力の一部を、動力エネルギーとしてエネルギー貯蔵部に蓄積すると同時に、回転力の残りを、スクリュー側に伝達し、スクリューを回転させる構成であることを特徴とする。回転軸の一方向への回転力の一部を、動力エネルギーとしてエネルギー貯蔵部に蓄積すると同時に、回転力の残りを、スクリュー側に伝達し、スクリューを回転させる構成とすることにより、エネルギー貯蔵部に動力エネルギーを蓄積する最中においても、スクリューを回転させて、常時、スクリュー回転による身体の推進力を得ることが可能である。
【0013】
本発明に係る請求項記載のスクリュー付き泳具は、ワイヤーの他端側にある回転軸回転機構部が、腰部ベルトの腹部側中央付近に配置されていることを特徴とする。回転軸回転機構部が腹部中央付近に配置されることで、足首より先に一端が係止されたワイヤーが脚部を中心とした身体に触れなくすることができ、ワイヤーが身体に擦れて身体に損傷を生じたり不快感を生じたりすることを防ぐことができる。
【0014】
本発明に係る請求項記載のスクリュー付き泳具は、バッテリーから供給される電力により前記スクリューを回転させるモーターと、当該モーターからの動力伝達と前記動力伝達機構からの動力伝達を切り替える切り替え機構部とをさらに具備してなることを特徴とする。両足同時屈伸運動又は左右交互踏み足運動で脚部の筋肉が疲労した場合などは、スクリューの動力をバッテリーに切り替えることで、身体を継続して推進させ、継続して水中活動や水中作業を行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係るスクリュー付き泳具によると、足首の先に係止したワイヤーを、両足同時屈伸運動又は左右交互踏み足運動により、引張って、身体の中で最も大きなパワーを発揮する脚力を運動用のエネルギーとしてエネルギー貯留部に蓄積するようにし、かつ、エネルギー貯留に蓄積した運動エネルギーを安定的に取り出して、スクリューを回転させることができ、抵抗の少ない安定した姿勢で身体をスムーズに推進させることができ、これによって安定した水中活動、水中作業を実施できるという優れた効果を奏する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明に係るスクリュー付き泳具の最良の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明に係るスクリュー付き泳具を身体の腰部に装着して水中活動をしている状態を示す側面図、図2はその正面図である。同図において、符号1は身体、符号10はスクリュー付き泳具を示している。
【0017】
スクリュー付き泳具10は、ワイヤーを備える回転軸回転機構部20と、エネルギー貯蔵部30と、動力伝達機構部40と、スクリュー推進機構部50とを左右に一つずつ具備してなり、各々が、身体1の腰部2に装着される泳具固定具70の腰部ベルト71に取付けられている。
【0018】
前記回転軸回転機構部20は、図1および図3に示すように、身体1の両脚部3の各足首3aより先に掛止されたバンド21にワイヤー22の一端を係止し、両足同時屈伸運動又は左右交互踏み足運動による、前記ワイヤー22の引張り力により回転軸25を一方向(A方向)に回転させるもので、両足屈伸運動又は左右交互踏み足運動の伸長動作に伴い、ワイヤー22が引張られながら巻き出される巻き出しユニット23と、巻き出されたワイヤー22が、両足屈伸運動又は左右交互踏み足運動の屈曲動作に伴い、張力で自動的に巻き戻される巻き戻しユニット(ワイヤー巻き戻し機構部)24と、前記回転軸25を回転自在に軸支する回転軸保持部20aとから構成されている。
【0019】
巻き出しユニット24は、回転軸25の一端にワイヤー22が巻き付けられるプーリー26が回転軸25と一体に連結されており、プーリー26に巻き付けられたワイヤー22を巻き出して、回転軸25に一方向(A方向:図4の時計方向)への回転力を付与するようになっている。また、巻き戻しユニット24は、回転軸25の他端にプーリー27aが回転軸25と一体に連結されており、回転軸25の一方向(A方向)への回転によりワイヤー巻き戻し用ゼンマイバネ28が、他方のプーリー27bに巻回されるようになっている。そして、両足屈伸運動又は左右交互踏み足運動の屈曲動作に伴い、他方のプーリー27b側に巻回されたワイヤー巻き戻し用ゼンマイバネ28の、プーリー27a側への戻り引張り力によって、回転軸25を他方向(B方向:図4の半時計方向)にフリー回転させ、これによって、巻き出されたワイヤー22を自動的に巻き戻すようになっている。なお、回転軸25は、後述する一方向クラッチ42によって、下流側の動力伝達軸41に対し、一方向(A方向)への回転のみを伝達し、他方向(B方向)への回転は伝達せずにフリー回転するようになっている。
【0020】
エネルギー貯蔵部30は、前記ワイヤー22の引張り力による回転軸25の一方向(A方向)への回転力を、動力エネルギーに変換して貯蔵するもので、前記回転軸25からの一方向(A方向)への回転力を、いったんチューブ状の腰部ベルト71内に通される動力伝達ワイヤー29を介して、動力伝達機構部40の動力伝達軸41に伝達した後、動力伝達軸41の一方向(A方向)への回転力を、一方向クラッチ42を介して、エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31に伝達するようになっている。そして、エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31が一方向(A方向)へ巻回されることにより、動力エネルギーが同ゼンマイバネ31に蓄積されるようになっている。動力伝達ワイヤー29と回転軸25、動力伝達ワイヤー29と動力伝達軸41は、それぞれフレキシブルジョイント29a,29aを介して連結されている。
【0021】
一方向クラッチ42は、図4に示すように、動力伝達軸41と、その周囲に同軸的に配置されるインナーハウジング43との間に周方向等間隔に配置された扁平形状の規制爪42aの作用によって、動力伝達軸41の一方向(A方向)への回転力のみをインナーハウジング43に伝達し、動力伝達軸41の他方向(B方向)への回転は伝達せず、フリー回転する構成となっている。なお、一方向クラッチ42の作用により、インナーハウジング43は、一方向(A方向)へのみ回転し、他方向(B方向)へは回転しないようになっている。
【0022】
インナーハウジング43の外面には前記エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31の一端が固定され、同ゼンマイバネ31の他端はインナーハウジング43の外面に沿って周方向に螺旋状に延びて伝達ハウジング44の内面に固定されている。伝達ハウジング44は、インナーハウジング43とアウターハウジング45の間に位置して、アウターハウジング45の内周面に軸受46を介して、相対回転可能に支持されている。また、伝達ハウジング44の内周面とアウターハウジング45の側壁との間には、それぞれ軸受46、46を介して、前記動力伝達軸41が相対回転可能に軸支されている。
【0023】
前記動力伝達軸41の、一方向クラッチ42よりも上流側には、トルクリミッター47が設けられており、回転軸25側から許容値を超える回転トルクが動力伝達軸41に伝達されようとする場合には、回転軸25からの伝達をトルクリミッター47で遮断するようになっている。これにより、泳者の脚力によって過大な回転トルクが回転軸25に作用しても、同回転トルクがトルクリミッター47で遮断され、運動エネルギー貯蔵部30および動力伝達機構部40に過大な負荷が掛からず、構成部品に破損が生じることを防ぐようになっている。また、泳者の脚力によって左右のワイヤー22,22を引張ることにより、回転軸回転機構部20,20を装着する泳具固定具70の腰部ベルト71にも下向きの引張り力が掛かるが、身体1の肩部4から吊り下げられる吊り下げベルト72(図2参照)によって、腰部ベルト71の位置が正常位置に保持されるようになっている。
【0024】
伝達ハウジング44の下流側には、遊星歯車機構から構成される増速機構部60(図3の点線60で囲まれる部分)が連結されている。この増速機構部60は、伝達ハウジング44の一方向(A方向)への回転速度を増速して、スクリュー推進機構部50に増速された回転力を伝達するもので、伝達ハウジング44の出力軸44aに連結された回転板61に対し、回転自在な遊星歯車62が軸支され、この遊星歯車62は、伝達ハウジング44の一方向(A方向)への回転によって、アウターハウジング45の内周面に固定されたリングギア63の内周面に噛み合いながら、伝達ハウジング44の出力軸44aと同軸線上に位置する回転自在な太陽歯車64の周囲を一方向(A方向)に公転しながら、太陽歯車64を同一方向へ回転(自転)させ、太陽歯車64に連結された出力軸64aを同一方向へ増速された速度で回転させるようになっている。
【0025】
太陽歯車64に連結された出力軸64aはアウターハウジング45の他方の側壁に軸受46を介して回転自在に支持されており、この出力軸64aの先端には、同出力軸64aと直角に配置されるスクリュー軸51に対し、一方向(A方向)への回転を伝達する一方の傘歯車65が一方向クラッチ66を介して取り付けられている。一方向クラッチ66は、太陽歯車64の出力軸64aからの一方向(A方向)への回転を傘歯車65に伝達する一方、後述するモーター55の出力軸55aからの回転については傘歯車65の上流側に伝達しないようになっている。なお、一方向クラッチの代わりに、後述するモーター55の駆動電気信号を受けて、太陽歯車64の出力軸64aと傘歯車65の連結を解除する電磁式クラッチを採用することも可能である。
【0026】
スクリュー推進機構部50は、スクリュー軸51の先端のスクリュー52を回転させて、身体の推進力を得るもので、スクリュー軸51には前記傘歯車65と噛み合う他方の傘歯車67が取り付けられている。これにより、伝達ハウジング44の出力軸44aからの一方向(A方向)への回転力が、傘歯車65、67を介して、スクリュー軸51に伝達され、スクリュー52が一方向(図3のC方向)に回転するようになっている。なお、スクリュー軸51およびスクリュー52は、筒状の保護カバー(図示せず)によって保護されている。
【0027】
スクリュー軸51の後端には、一方向クラッチ53を介して、小型バッテリー54を電源として駆動されるモーター55の出力軸55aが連結されている。このモーター55は、図1に示すように、傘歯車67、一方向クラッチ53と共に、モーターケース56(図1および図2参照)に内蔵されている。一方向クラッチ53は、モーター55の駆動による出力軸55aからの一方向(C方向)への回転を、スクリュー軸51に伝達する一方、モーター55を駆動させない時は、太陽歯車64の出力軸64a側の傘歯車65からの一方向(A方向)への回転を受けて傘歯車67の回転を許容し、スクリュー軸51に伝達するようになっている。すなわち、2つの傘歯車65、67と2つの一方向クラッチ66、53は、モーター55からの動力伝達と動力伝達機構部40からの動力伝達を切り替える切り替え機構部80を構成している。なお、小型バッテリー54は、腰部ベルト71の腹部側中央に配置したON/OFFスイッチ(図示せず)により電力の供給/停止を切り替えるようになっており、かかる小型バッテリー54は、泳具固定具70の吊り下げベルト72の背中部72aに取付けられるようになっている。
【0028】
次に、上記構成の泳具10を身体1に装着して、水中で推進する方法について、説明する。
【0029】
水中において、図5(A)に示す両足を屈曲した姿勢から、キック動作によって、図5(B)に示す両足を伸長する姿勢に移行させると、ワイヤー22が引張られて、巻き出しユニット24から巻き出しされ、回転軸25を一方向(A方向)に回転させる。回転軸25の一方向(A方向)への回転は、一方向クラッチ42、インナーハウジング43を介してエネルギー貯蔵部30のエネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31を巻回させて動力エネルギーを貯蔵させつつ、伝達ハウジング44を一方向(A方向)に回転させる。そして、伝達ハウジング44の一方向(A方向)への回転は、増速機構部60によって増速された後、傘歯車65、67を介して、スクリュー推進機構部50のスクリュー軸51に伝達され、身体1の腰部2の両脇に位置する一対の各スクリュー52、52を回転させ、身体1を前方へ推進させる。
【0030】
ワイヤー22の引張りが終わり、回転軸25の一方向(A方向)への回転が停止すると略同時に、巻回されたエネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31が巻き出されて、蓄積された動力エネルギーが供給されることにより、伝達ハウジング44を継続して同一方向(A方向)に回転させ、上記と同じく、増速機構部60によって増速された後、傘歯車65、67を介して、スクリュー推進機構部50のスクリュー軸51を回転させ、各スクリュー52を継続して同一方向(C方向)に回転させ、身体1を前方へ継続して推進させる。図5(B)に示す両足の伸長姿勢の場合、水に対する身体1の抵抗が最も少なく、身体1をスムーズにかつ効率よく推進させることができる。
【0031】
エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31の巻き出しが終了し、蓄積された動力エネルギーを供給し終わったら、再び、キック動作により、図5(A)の両足の屈曲姿勢から、図5(B)の両足の伸長姿勢に移行し、回転軸23を一方向(A方向)へ再び回転させて、エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31を巻回しつつ、伝達ハウジング44の下流側に回転を伝達し、腰部2の両脇のスクリュー52,52を一方向(C方向)に回転させ、身体1を前方へ継続して推進させる。なお、図5(B)の両足の伸長姿勢から図5(A)の両足の屈曲姿勢に移行する時は、巻き戻しユニット25の、ワイヤー巻き戻し用ゼンマイバネ28の戻り力によって、ワイヤー22が巻き戻しユニット25内に巻き戻される。
【0032】
以上のようにして、両足の屈曲姿勢から伸長動作によって、ワイヤー22を引張りながら、エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31を巻回して動力エネルギーを貯蔵しつつ、スクリュー52、52を回転させ、ワイヤー22の引張り後は、エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ31に貯蔵された動力エネルギーを取り出して、スクリュー52、52を継続的に回転させ、これにより、身体1をスムーズに推進させるとともに、水中活動(手で撮影機を把持しての水中撮影など)や、水中での物品搬送作業、人命救助等の各種作業に供することができる。
【0033】
スクリュー52を回転させる動力をモーター55側に切り替える場合には、バッテリー54のスイッチをONにするだけでよく、バッテリー54からの電力によりモーター55の出力軸55aが一方向(C方向)に回転して、一方向クラッチ53を介して、回転をスクリュー軸51に伝達し、スクリュー52を同一方向(C方向)に回転させ、身体1を推進させることができる。なお、モーター55の出力軸55aの一方向(C方向)への回転により、傘歯車65が従動的に一方向(A方向)に回転するが、傘歯車65と太陽歯車64の出力軸64aとの間に介在された一方向クラッチ66の作用により、傘歯車65の回転は、太陽歯車64の出力軸64a側に伝達されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るスクリュー付き泳具は、河川や海等で行われる水中活動や、水中での物品搬送作業、人命救助等の水中作業等を補助するために用いられる泳具として、幅広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のスクリュー付き泳具を装着して水中を推進する状況を横から見た状態を示す図である。
【図2】図1に示す状況を正面から見た状態を示す図である。
【図3】図1に示すスクリュー付き泳具の動力メカニズムの構造を示す図である。
【図4】図3のX-X線矢視断面図である。
【図5】水中でのキック動作を示すもので、(A)は両足を屈曲させた姿勢を示す図、(B)は両足を伸ばした姿勢を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 身体
2 腰部
3 脚部
3a 足首
4 肩部
10 スクリュー付き泳具
20 回転軸回転機構部
20a 回転軸保持部
21 バンド
22 ワイヤー
22a ワイヤーの一端
23 巻き出しユニット
24 巻き戻しユニット(ワイヤー巻き戻し機構部)
25 回転軸
26,27a,27b プーリー
28 ワイヤー巻き戻し用ゼンマイバネ
29 動力伝達ワイヤー
29a フレキシブルジョイント
30 エネルギー貯蔵部
31 エネルギー貯蔵用ゼンマイバネ
40 動力伝達機構部
41 動力伝達軸
42,53,66 一方向クラッチ
42a 規制爪
43 インナーハウジング
44 伝達ハウジング
44a,55a,64a 出力軸
45 アウターハウジング
46 軸受
47 トルクリミッター
50 スクリュー推進機構部
51 スクリュー軸
52 スクリュー
54 小型バッテリー
55 モーター
56 モーターケース
60 増速機構部
61 回転板
62 遊星歯車
63 リングギア
64 太陽歯車
65,67 傘歯車
70 泳具固定具
71 腰部ベルト
72 吊り下げベルト
72a 背中部
80 切り替え機構部
A,C 一方向
B 他方向
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4