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明細書 :健康管理支援システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4631060号 (P4631060)
公開番号 特開2007-282930 (P2007-282930A)
登録日 平成22年11月26日(2010.11.26)
発行日 平成23年2月16日(2011.2.16)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
発明の名称または考案の名称 健康管理支援システム
国際特許分類 A61B   5/16        (2006.01)
A61B   5/00        (2006.01)
G06Q  50/00        (2006.01)
A61B   5/22        (2006.01)
A61B  10/00        (2006.01)
FI A61B 5/16
A61B 5/00 G
G06F 17/60 126W
A61B 5/22 G
A61B 5/22 Z
A61B 10/00 F
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2006-115085 (P2006-115085)
出願日 平成18年4月19日(2006.4.19)
審査請求日 平成19年9月14日(2007.9.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】寺沢 宏次
【氏名】笹森 文仁
審査官 【審査官】宮澤 浩
参考文献・文献 特開2005-143801(JP,A)
特開2003-085288(JP,A)
特開2001-321343(JP,A)
特開2004-081621(JP,A)
特開2005-143798(JP,A)
特開2002-360755(JP,A)
日本生理人類学会誌,日本,2000年 5月25日,vol.5 ,p.95-102
日本生理人類学会誌,2002年 2月25日,vol.7, p.1-6
調査した分野 A61B 5/16
A61B 5/00
A61B 5/22
A61B 10/00
G06Q 50/00
特許請求の範囲 【請求項1】
人の脳機能を検査し、健康管理指標として提供する健康管理支援システムであって、脳機能検査のためのGO/NO-GO検査課題を記憶している課題記憶手段と、
GO/NO-GO検査課題への被験者の応答結果と脳機能の相当年齢とを関連付けして記憶している脳機能相当年齢記憶手段と、
被験者の血液検査の結果と血液の相当年齢とを関連付けして記憶している血液相当年齢記憶手段と、
体力・運動能力測定の結果と相当年齢とを関連付けして記憶している体力・運動能力相当年齢記憶手段と、
課題記憶手段に記憶されているGO/NO-GO検査課題の内容を被験者に対して呈示するGO/NO-GO検査課題呈示手段と、
呈示されたGO/NO-GO検査課題に対して被験者が応答操作するゴム球を有し、被験者のゴム球の操作による空気の移動を電気信号に変換して脳機能検査データとして出力する応答器具と、
応答器具から入力される被験者の応答結果から脳機能の相当年齢を算出し、血液検査の結果から血液相当年齢を算出し、体力・運動能力測定の結果から体力・運動能力の相当年齢を算出する相当年齢評価部と、
評価結果を出力する出力部と、
評価結果を相当年齢の比較が可能な図表で表示する評価結果表示装置とを具備し、
前記応答器具は、ゴム球の排気口に接続されたシリンダーと、ゴム球からの排気を受けてシリンダー内で移動可能なピストンと、ピストンをゴム球の排気口方向に付勢する付勢手段と、ピストンに連結されたポインティングデバイスと、を有することを特徴とする健康管理支援システム。
【請求項2】
前記ポインティングデバイスは移動不能に固定されたマウスと、マウス下面に移動可能に配置されたマウスパッドとからなり、前記ピストンとマウスパットとは連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項1記載の健康管理支援システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人の脳機能の検査結果を血液検査、体力・運動能力測定の結果と合わせて被験者の健康状態を総合的に評価し、その結果を被験者に提示し、被験者の健康増進維持を促す健康管理支援システムの開発に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液検査、体力・運動能力測定等の結果が、それぞれ個別又は複合的に健康管理指標として用いられている。例えば、これらの健康管理指標は、地方自冶体の中高年者を対象とする健康づくり事業に活用され、とくに、歩数計とエネルギー消費量換算の両機能を併せもつ運動量連続測定装置を使用して、日常生活の継続的な歩行運動を評価・表示し、被験者に健康増進維持の意識を促す効果が認められている。
【0003】
1969年、1979年、1998年に各1回、幼稚園児、小中学生を対象とし、GO/NO-GO課題による脳機能検査が実施された。この検査は、心や意識の中枢を担う脳の前頭葉の発達を評価する実験法を応用したものである。この検査では、赤色ランプと黄色ランプが設定された順に点滅し、被験者がこれに応答する方法で行われた。被験者は、掌中に保持する応答器具を使用するか、または、指でキーを押す方法で、ランプの点滅にたいして正確に応答することとし、応答の正誤の回数を測定した。この結果、幼児から中学生まで脳機能の発達に伴って間違い回答数は減少した。このことは、GO/NO-GO課題による脳機能検査が脳機能の発達の指標として有効であることを示している。また、1969年から1998年までに間違い回答数が減少したことから、脳機能が年々向上したことがわかった(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
脳機能は、幼児、小中学生に限らず、中高年者の日常生活においても重要な機能である。中高年者対象の健康講座では、日常生活で適度な運動と人とのコミュニケーションを継続することで、健康増進と併せて、脳機能向上の効果があることが実証されている。
【0005】
したがって、血液、体力・運動能力など、従来から行われている検査及び測定の結果に合わせて、脳機能の検査結果を活用することは、被験者個々の健康状態を総合的に評価し、きめこまかく配慮した健康管理指標を提供するに十分に役立つものと期待される。
しかし、従来の健康管理指標では、脳機能の検査結果が十分に活用されているとはいえない。
【0006】

【非特許文献1】寺沢宏次、笹森文仁 長野ウェルネス大学ホームページ 平成16年5月20日 http://wellness.shinshu-u.ac.jp
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中高年者が日常生活で適度な運動と人とのコミュニケーションを継続することが脳の働きを活性化し、健康増進維持に有効であることが実証されている。しかし、中高年者がこのような日常生活を継続的に実行することは、個々の意欲だけでは困難である。それには運動とコミュニケーションを取り入れた生活習慣の継続を促し、健康管理を支援する健康管理支援システムが必要である。また、健康状態を増進維持するためには、血液、体力・運動能力などの身体機能が良好であると同時に、脳機能の活性化が不可欠である。
【0008】
本発明は、被験者が日常生活で適度な運動と人とのコミュニケーションを実施して脳機能の活性化を図り、心身の健康増進維持に留意する生活習慣を継続することを支援する健康管理支援システムの開発を目的とした。このために、脳機能検査結果、血液検査結果、体力・運動能力測定結果から、それぞれの相当年齢を算出し、比較することで、被験者の心身の健康状態を総合的に評価し、これに基づいて被験者の健康状態にきめこまかく配慮した健康管理指標を設定し、それを明解な表示方法で被験者に呈示する健康管理支援システムの開発を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。
すなわち、人の脳機能を検査し、健康管理指標として提供する健康管理支援システムであって、脳機能検査のためのGO/NO-GO検査課題を記憶している課題記憶手段と、GO/NO-GO検査課題への被験者の応答結果と脳機能の相当年齢とを関連付けして記憶している脳機能相当年齢記憶手段と、被験者の血液検査の結果と血液の相当年齢とを関連付けして記憶している血液相当年齢記憶手段と、体力・運動能力測定の結果と相当年齢とを関連付けして記憶している体力・運動能力相当年齢記憶手段と、課題記憶手段に記憶されているGO/NO-GO検査課題の内容を被験者に対して呈示するGO/NO-GO検査課題呈示手段と、呈示されたGO/NO-GO検査課題に対して被験者が応答操作するゴム球を有し、被験者のゴム球の操作による空気の移動を電気信号に変換して脳機能検査データとして出力する応答器具と、応答器具から入力される被験者の応答結果から脳機能の相当年齢を算出し、血液検査の結果から血液相当年齢を算出し、体力・運動能力測定の結果から体力・運動能力の相当年齢を算出する相当年齢評価部と、評価結果を出力する出力部と、評価結果を相当年齢の比較が可能な図表で表示する評価結果表示装置とを具備し、前記応答器具は、ゴム球の排気口に接続されたシリンダーと、ゴム球からの排気を受けてシリンダー内で移動可能なピストンと、ピストンをゴム球の排気口方向に付勢する付勢手段と、ピストンに連結されたポインティングデバイスとを有する健康管理支援システムである。
【0010】
上記構成を採用することによ、人の脳機能を検査し、その結果から脳機能の相当年齢を算出し、血液検査の結果及び体力・運動能力測定の結果から算出される相当年齢と比較することで、心身の健康管理に有効な指針を得ることができる。前記応答器具では、被験者がゴム球を握る強さによって、ゴム球からの空気圧が異なる。この空気圧の強さはポインティングデバイス経由で応答計測部に入力信号として伝達される。この入力信号は、少なくとも3段階に分割して計測可能である。また、課題呈示から応答完了までの所要時間から応答速度を計測することができる。この構成を採用することによって、被験者の応答、無応答、迷い応答及び応答速度を正確かつ詳細に計測し、被験者の脳機能を高精度で評価することができる。
【0011】
また、前記ポインティングデバイスが移動不能に固定されたマウスと、マウス下面に移動可能に配置されたマウスパットとからなり、前記ピストンとマウスパットとは連結部材によって連結された構成を採用することによって、ゴム球からの空気圧によって移動するピストンの移動距離と移動速度がマウスを経由して応答計測部に伝達される。なお、シリンダー及びゴム球内の空気圧が常圧まで減少すると連結部材が作動し、ピストンとマウスパットは無応答の位置に戻る。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるゴム球式の応答器具を用いた健康管理支援システムによれば、以下の効果がある。脳機能検査のGO/NO-GO課題が呈示されると、被験者はゴム球式応答器具で応答する。このとき、被験者がゴム球を握る強さによって応答計測部への入力信号は異なるが、この入力信号は、応答、無応答、迷い応答の少なくとも3段階に区別して計測され、さらに、これらの計測値は正しい応答、間違いの応答、迷いの応答として評価される。また、ランプ点灯開始から応答完了までの所要時間を応答速度として計測することができる。
【0014】
従来の検査方法では、応答は正しい応答か間違いの応答として計測されたが、本発明では、正しい応答回数、間違いの応答回数に加えて、迷いの応答回数及び応答に要する時間を計測して、脳機能検査データとすることができ、被験者の判断力や反射神経など体力・運動能力の違いを考慮した精度の高い相当年齢の算出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の健康管理支援システムの概念図を図1に示した。このシステムは、脳機能検査装置1、相当年齢評価装置2、評価結果表示装置3、血液検査・体力・運動能力測定データ4で構成されている。
【0016】
本発明の重要な手段である脳機能検査部1では、脳機能検査課題GO/NO-GO課題11を使用して検査を実施する。検査課題11は、課題呈示部12から被験者13へ呈示される。課題呈示部12は、色が異なる2つの発光手段を有している(例えば、赤色ランプと黄色ランプ)。課題は、赤色ランプと黄色ランプが無作為の順で2~5秒の時間間ンプには応答しない。ランプの点滅に正確に応答する精度(応答の正誤の回数、迷い応答回数)及び応答速度は応答計測部15で計測され、脳機能検査データ16となる。
【0017】
応答器具14は、図2に示したように、被験者が掌内に保持できる大きさのゴム球14aと、ゴム球の排気口14iに接続された機密シリンダー14bと、ピストン14cと、マウスパット14dと、マウス14eと、ピストンとマウスパットを連動させる連結部材14fと、で構成されている。機密シリンダー、ピストン、マウスパット、マウス、連結部材及び支持台14gは容器14hに内臓されている。
【0018】
ゴム球は、内容積が約50立方センチメートル、直径約5センチメートルの球形又は楕円形で、排気口14iと圧力調節口14jが付いている。排気口はシリンダーに接続され、ゴム球を握ると空気がシリンダー内に圧入される。圧力調節口は使用中は閉じられているが、必要に応じて、ゴム球内の空気圧を調節するために使用する。被験者がゴム球を握ることで発生する空気圧力で、ピストンとマウスパットが移動し、その移動距離と速度に応じてマウスが作動する。
【0019】
ゴム球を握る強さによって応答計測部への入力信号は異なる。ゴム球で発生可能な最大の空気圧を100とし、その50%以上、50%未満から10%以上、10%未満の3段階に区分し、50%以上の空気圧を示す信号を応答を実行したものとして計測し、50%未満から10%以上の信号を迷いの応答、10%未満の信号を無応答として計測する。これらの計測結果は、正しい応答、間違いの応答、迷いの応答の3種類に区別され、また、ランプ点灯開始から応答完了までの所要時間を応答速度として計測し、これらの計測結果は脳機能検査データ16となる。
【0020】
脳機能検査データ16は、図1に示したように、相当年齢評価装置2の入力部21に入力される。また、血液検査と体力・運動能力測定のデータ4も入力部21に入力される。相当年齢評価部22では、本発明独特の相当年齢評価基準値を用いて、被験者の脳機能、血液、体力、運動能力の相当年齢を算出する。これらの相当年齢の評価基準値は、多数の被験者の検査値と年齢から統計的処理で求めたものである。脳機能検査、血液検査、体力・運動能力測定データ及び相当年齢評価結果は、それぞれ、脳機能相当年齢記憶部23、血液相当年齢記憶部24、体力・運動能力相当年齢記憶部25に記憶されている。
【0021】
図3に、実年齢70才の被験者の脳機能検査の間違い応答数から相当年齢を算出する例を示した。被験者の脳機能検査の間違い応答数が4回とする。この検査値(4回)は、実年齢と相当年齢評価基準値から求められる基準値5.3回より小さいことがわかる。また、この検査値と相当年齢評価基準値から求められる相当年齢は55才であり、実年齢70才より若いことを示している。
【0022】
なお、評価結果は、出力部27から評価結果表示装置3に送られ、表示装置3から被験者の各機能・能力の相当年齢を比較可能な図表で表示され、健康管理指標として被験者に提供される。
【0023】
相当年齢の表示は、レーザーチャート方式で実年齢の基準値と相当年齢を同一図上に表示すると比較が容易となる。図4に、実年齢60歳の被験者について、脳機能と血圧の評価結果の表示例を示した。この図では、脳機能検査の正しい応答、間違い応答、迷い応答、応答速度の各項目は実年齢の基準値より相当年齢が若いが、血圧は基準値より相当年齢が高いことを示している。なお、このレーザーチャートと同時に各検査値と評価値を、各検査項目ごとに数値表で示すこともできる。
【0024】
血液検査、体力・運動能力測定(筋力、持久力、柔軟性、平衡性、敏捷性、血圧、心肺機能など)及び形態測定(身長、体重、体脂肪)は通常の方法で実施する。
【0025】
図5に健康管理支援システムのコンピューター制御系をブロック図で示した。
本システムの脳機能検査装置1は、コンピューター(PC)51と応答器具14とCRT52(モニタ)で構成されている。応答器具からの信号は応答器具のマウス14eからUSBでPC51に入力される。被験者への脳機能検査課題11は、CRT52上に赤色ランプと黄色ランプを点滅させて呈示する。また、CRT52は、相当年齢評価結果26の評価結果表示装置3として作用する。なお、CRT52はLCD等であってもよい。
【0026】
相当年齢評価装置は、CPU56とHDD57を内臓したコンピューター(PC)55で構成されている。PC55にはキーボード(KB)54から血液検査、体力測定、運動能力測定の結果を入力する。なお、キーボード(KB)54は入力部21に該当する。また、脳機能検査データ16は、PC51から通信回路53を介してPC55へ入力される。PC55内のCPU56では、メモリー(図示せず)に記憶されている算出プログラムを読み込んで動作することにより、検査値と評価基準から相当年齢を算出する。算出した相当年齢は、通信回路53を経由してCRT52にレーザーチャート及び数値表で表示される。また、すべての検査値、評価基準、評価結果はHDD57に記憶される。
【0027】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の健康管理支援システムの概念を示すブロック図である。
【図2】応答器具の具体的構成を示す説明図である。
【図3】脳機能検査の間違い応答数と相当年齢評価基準値から相当年齢を評価する方 法を示す説明図である。
【図4】脳機能と血圧の評価結果をレーザーチャートに示した説明図である。
【図5】健康管理支援システムの制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
1 脳機能検査装置
2 相当年齢評価装置
3 評価結果表示装置
4 血液検査、体力・運動機能測定データ
11 脳機能検査課題
12 課題提示部
13 被験者
14 応答器具
14a ゴム球
14b シリンダー
14c ピストン
14d マウスパット
14e マウス
14f 連結部材
14g 支持台
14h 容器
14i 連結管
14j 圧力調節口
15 応答計測部
16 脳機能検査データ
21 入力部
22 相当年齢評価部
23 脳機能相当年齢記憶部
24 血液相当年齢記憶部
25 体力・運動能力相当年齢記憶部
26 相当年齢評価結果
27 出力部
51 PC(脳機能検査装置用)
52 CRT
53 通信回路
54 KB(血液検査、体力・運動能力測定結果入力用)
55 PC(相当年齢評価装置用)
56 CPU
57 HDD
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4