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明細書 :胎子監視装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4487076号 (P4487076)
公開番号 特開2008-092856 (P2008-092856A)
登録日 平成22年4月9日(2010.4.9)
発行日 平成22年6月23日(2010.6.23)
公開日 平成20年4月24日(2008.4.24)
発明の名称または考案の名称 胎子監視装置
国際特許分類 A61D   1/08        (2006.01)
FI A61D 1/08 A
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願2006-277899 (P2006-277899)
出願日 平成18年10月11日(2006.10.11)
審査請求日 平成21年9月15日(2009.9.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】松井 寛二
【氏名】濱野 光市
個別代理人の代理人 【識別番号】100088306、【弁理士】、【氏名又は名称】小宮 良雄
【識別番号】100126343、【弁理士】、【氏名又は名称】大西 浩之
審査官 【審査官】中島 成
参考文献・文献 国際公開第01/080630(WO,A1)
特表2005-512719(JP,A)
特開2006-204755(JP,A)
鈴木敬子、松井寛二,緬羊の分娩時にみられる一過性徐脈について,日本家畜管理学会誌,日本,1999年,35(1),p.19-22
藤本泰裕、外5名,牛の分娩前徴—直腸温,心拍数および呼吸数の変化,日畜会報,日本,1988年,59(4),p.301-305
窪田力、外4名,周産期の母牛のモニター,鹿児島県肉用牛改良研究所研究報告書,日本,2000年,第5号(2000),p.35-37
調査した分野 A61D 1/08
特許請求の範囲 【請求項1】
監視すべき動物母体の心拍を測定する母体側心拍計及びそれの胎子の心拍を測定する胎子側心拍計と、該母体側心拍計が検知した心拍から分娩以前の平時の心拍の変動域を超えた該動物母体の異変を弁別する母体側心拍弁別回路と、該胎子側心拍計が検知した心拍から分娩以前の平時の心拍の変動域を超えた該胎子の異変を弁別する胎子側心拍弁別回路とを有し、該母体側心拍弁別回路から出される該動物母体の異変による分娩開始直前信号、及び該胎子側心拍弁別回路から出される該胎子の異変による緊急信号の両信号を通知する通信装置及び/又は警報装置を備え
さらに、該動物母体の向かい合う外陰部の一方に取り付けられる電磁誘導発振器と、もう一方に取り付けられる電磁誘導受信器とを有し、該発振器と該受信器との間隔距離が、平時の両外陰部の状態で誘導起電の可能な距離、分娩直前時の両外陰部の開き状態で誘導起電の不能な距離に調整されており、該誘導起電の不能を検知する回路から出される分娩開始信号が該通信装置及び/又は警報装置に繋がっていて、
さらに、該動物母体の体温を測定する温度センサと、該温度センサが検知した該体温から分娩以前の平時での体温の変動域を超えた体温の低下を弁別する回路とを有し、該体温低下の弁別回路から出される該体温低下による分娩予兆信号が該通信装置及び/又は警報装置に繋がっていて、
該分娩予兆信号、該分娩開始直前信号、及び該分娩開始信号であることを該通信装置及び/又は警報装置で識別可能に通知することを特徴とする胎子監視装置。
【請求項2】
該通信装置がインターネット又は携帯電話に該通知し、該警報装置がスピーカーを有して音声信号で該通知することを特徴とする請求項1に記載の胎子監視装置。
【請求項3】
該母体側心拍計および該胎子側心拍計が検知した各心拍を表示するディスプレイ、及び/又は該各心拍を記録する記録機器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の胎子監視装置。
【請求項4】
電磁誘導発振器が電磁誘導の発振コイルであり、該電磁誘導受信器が該発振コイルから発振された発振電磁波を検知する受信コイルであることを特徴とする請求項1に記載の胎子監視装置。
【請求項5】
該母体側心拍計及び該胎子側心拍計が、心電の電圧計、又は脈波の感圧センサからなることを特徴とする請求項1に記載の胎子監視装置。
【請求項6】
母体側心拍弁別回路及び該胎子側心拍弁別回路が、該母体又は該胎子の分娩前の平時における、心拍数、心拍間隔又は心拍変動の変動域から超えた増減量を検知することを特徴とする請求項に記載の胎子監視装置。
【請求項7】
監視すべき動物母体と胎子との各心拍測定と、該動物母体の向かい合う外陰部の間隔を検知して平時での両外陰部の閉じ状態であるか分娩直前時での両外陰部の開き状態であるかの弁別と、該動物母体の体温の測定とを行いつつ、
該胎子の心拍が分娩以前の平時での心拍の変動域を超えた該胎子の異変を検知したら緊急事態であることを通知し、
該動物母体の体温が分娩以前の平時の体温の変動域を超えた体温低下を検知したら分娩予兆であることを識別可能に通知し、該動物母体の心拍が分娩以前の平時での該動物母体の心拍の変動域を超えた異変を検知したら分娩開始直前であることを識別可能に通知し、該動物母体の外陰部の間隔が該分娩直前時での両外陰部の開き状態であれば分娩開始であることを識別可能に通知して監視することを特徴とする胎子監視方法。
【請求項8】
該胎子の心拍が50拍/分よりも少ない場合に、該変動域を超えた該胎子の異変であると検知することを特徴とする請求項7に記載の胎子監視方法。
【請求項9】
該通知をインターネット若しくは携帯電話に通知し、及び/又は音声で通知することを特徴とする請求項7に記載の胎子監視方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、妊娠中の動物母体及びその胎子の健康状態や分娩開始を、母体から離れた場所でモニタリングして、妊娠中や分娩時の胎子の安全を監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
妊娠した家畜について飼育者や獣医師が健康状態をチェックしたり、妊婦について医師が問診や超音波診断等により健康状態をチェックしたりして、母体と胎子とが安全かつ順調に分娩を迎えられるよう万全の態勢がとられる。
【0003】
妊娠中や分娩の直前・直後は、母体も胎子も十分に監視しておく必要がある。とりわけ家畜の場合、その生産性向上のために多数を飼育するようになってきたので、妊娠中や分娩直前の状態を遠隔監視することが多い。
【0004】
遠隔監視のための装置として、例えば特許文献1に、ビデオカメラとモニターによる遠隔監視の分娩兆候検出装置が開示されている。しかしこの装置では、分娩家畜が動いてビデオカメラの視界から外れたら監視不能となったり、多頭の分娩時期が重なった時に飼育者が夫々の分娩兆候を十分に観察できなかったりする恐れがある。
【0005】
さらに特許文献2に、妊婦の心拍数等の身体状態を計測する手段と、その身体状態に応じて妊婦をリラックスさせる照明を変えたり音楽を流したりする出力手段とを有する分娩支援装置が開示されている。
【0006】
本発明者は、特許文献3のように、分娩開始直時にその外陰部が開くことを見出し、分娩開始時に動物母体から胎子が娩出し始めると母体の外陰部が開くことを利用した分娩監視装置について特許出願している。その装置は、向かい合う外陰部の一方に取り付けられる電磁誘導発振器と、もう一方に取り付けられる電磁誘導受信器との間隔距離が、平時の両外陰部の状態で誘導起電の可能な距離、分娩予兆時の両外陰部の開き状態で誘導起電の不能な距離に調整されているというものである。
【0007】
これらの装置では、分娩前の胎子の監視ができない。
【0008】

【特許文献1】特開2002-153162号公報
【特許文献2】特開2000-93433号公報
【特許文献3】特開2006-204755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、動物母体から離れた場所で、母体とその胎子との健康状態をモニタリングして、胎子を簡便かつ的確に監視する簡易な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の胎子監視装置は、監視すべき動物母体の心拍を測定する母体側心拍計及びそれの胎子の心拍を測定する胎子側心拍計該母体側心拍計が検知した心から分娩以前の平時の心拍の変動域を超えた該動物母体の異変を弁別する母体側心拍弁別回路と、該胎子側心拍計が検知した心拍から分娩以前の平時の心拍の変動域を超えた該胎子の異変を弁別する胎子側心拍弁別回路とを有し、該母体側心拍弁別回路から出される該動物母体の異変による分娩開始直前信号、及び該胎子側心拍弁別回路から出される該胎子の異変による緊急信号の両信号を通知する通信装置及び/又は警報装置を備え、さらに、該動物母体の向かい合う外陰部の一方に取り付けられる電磁誘導発振器と、もう一方に取り付けられる電磁誘導受信器とを有し、該発振器と該受信器との間隔距離が、平時の両外陰部の状態で誘導起電の可能な距離、分娩直前時の両外陰部の開き状態で誘導起電の不能な距離に調整されており、該誘導起電の不能を検知する回路から出される分娩開始信号が該通信装置及び/又は警報装置に繋がっていて、さらに、該動物母体の体温を測定する温度センサと、該温度センサが検知した該体温から分娩以前の平時での体温の変動域を超えた体温の低下を弁別する回路とを有し、該体温低下の弁別回路から出される該体温低下による分娩予兆信号が該通信装置及び/又は警報装置に繋がっていて、該分娩予兆信号、該分娩開始直前信号、及び該分娩開始信号であることを該通信装置及び/又は警報装置で識別可能に通知することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の胎子監視装置は、請求項1に記載されたもので、該通信装置がインターネット又は携帯電話に該通知し、該警報装置がスピーカーを有して音声信号で該通知することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の胎子監視装置は、請求項1に記載されたもので、該母体側心拍計および該胎子側心拍計が検知した各心拍を表示するディスプレイ、及び/又は該各心拍を記録する記録機器を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の胎子監視装置は、請求項1に記載されたもので、該電磁誘導発振器が電磁誘導の発振コイルであり、該電磁誘導受信器が該発振コイルから発振された発振電磁波を検知する受信コイルであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の胎子監視装置は、請求項1に記載されたもので、該母体側心拍計及び該胎子側心拍計が、心電の電圧計、又は脈波の感圧センサからなることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の胎子監視装置は、請求項に記載されたもので、該母体側心拍弁別回路及び該胎子側心拍弁別回路が、該母体又は該胎子の分娩前の平時における、心拍数、心拍間隔又は心拍変動の変動域から超えた増減量を検知することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の胎子監視方法は、監視すべき動物母体と胎子との各心拍測定と、該動物母体の向かい合う外陰部の間隔を検知して平時での両外陰部の閉じ状態であるか分娩直前時での両外陰部の開き状態であるかの弁別と、該動物母体の体温の測定とを行いつつ、該胎子の心拍が分娩以前の平時での心拍の変動域を超えた該胎子の異変を検知したら緊急事態であることを通知し、該動物母体の体温が分娩以前の平時の体温の変動域を超えた体温低下を検知したら分娩予兆であることを識別可能に通知し、該動物母体の心拍が分娩以前の平時での該動物母体の心拍の変動域を超えた異変を検知したら分娩開始直前であることを識別可能に通知し、該動物母体の外陰部の間隔が該分娩直前時での両外陰部の開き状態であれば分娩開始であることを識別可能に通知して監視することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の胎子監視方法は、請求項7に記載されたもので、該胎子の心拍が50拍/分よりも少ない場合に、該変動域を超えた該胎子の異変であると検知することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の胎子監視方法は、請求項7に記載されたもので、該通知をインターネット若しくは携帯電話に通知し、及び/又は音声で通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の胎子監視装置は、妊娠中の動物母体と胎子との両方の心拍に基づく健康状態を同時にモニタリングすることにより、胎子の発育、予期せぬ事故・疾病を監視することができるというものである。
【0020】
この装置は併せて分娩開始の監視にも用いることができる。また、母体中で心臓が動いていると確認されたが仮死状態で娩出された新生子を一刻でも早く手当てする必要がある。このような場合に、この装置でモニタリングした胎子の心電図等のデータは、獣医師等がその生命を救う最も適切な処置をするための情報として有用である。
【0021】
この胎子監視装置は、小型かつ簡易であるから、それを装着しても母体や胎子に負担がかからない。
【0022】
この胎子監視装置を用いた胎子監視方法によれば、母体及び胎子の両心拍と、母体の外陰部の開き及び体温とで、複合的に胎子や母体を監視することができる。
【0023】
しかもこの装置を用いれば、頻繁な巡回による母体の監視作業をすることなく、母体から離れた場所で、母体と胎子との両方の健康状態をモニタリングすることができる。そのため、妊娠家畜の飼育者、妊婦の担当医師や看護師らの医療関係者の労働時間軽減を図ることができ、コスト削減に資することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
図1に、本発明を適用する胎子監視装置1を用いた胎子監視方法の実施の一態様を示す。この胎子監視装置1は、母体と胎子との両心拍を表示したり記録したりするものである。
【0026】
胎子監視装置1は、畜舎中で健康状態を監視すべき妊娠した動物母体6、例えば雌馬とその胎子(図5参照)のために用いられる。この装置1は、母体側心拍計2、胎子側心拍計4、及びそれら心拍計2・4へ接続された心拍検知回路12・17を内蔵し、動物母体6に取り付けられる回路ボックス10と、それに無線で繋がり、動物母体6から離れた場所、例えば畜舎に隣接する管理棟に設置される出力装置20とを、有する。
【0027】
動物母体6側の回路ボックス10内で、母体側心拍計2へ繋がる母体心拍検知回路12、変調回路14、送信回路15が、その順で接続されて内蔵されている。母体心拍検知回路12は、電源13とタイマー11とにも繋がっている。送信回路15は、回路ボックス10の外面に印刷された送信アンテナ16に接続されている。
【0028】
母体側心拍計2は、母体の心臓の鼓動に伴って発生する電気活動による電位差を検知するもので、心電図作成のための心電測定に用いられる陽極2a及び陰極2b(図5参照)からなる電極である。この電極は、例えば動物母体6の皮膚に刺して固定される釣り針型の針電極や、皮膚に貼付けられる金属円板である。電極は、必要に応じ多数取り付けられるものである。タイマー11は、所定の時間毎に母体心拍検知回路12を動作させるタイムスイッチである。母体心拍検知回路12は、心拍計2の電極からの信号を増幅して入力し、経時的に変化している電位差を検知する電圧計である。変調回路14は、電位差を送信信号に変えるデータ伝送用変調器である。
【0029】
なお、母体心拍検知回路12は、電位差の極大振幅であるR波(あるいはS波)と次に出現するR波(あるいはS波)との間隔時間すなわち一拍当たりの時間を計測する時計であってもよく、単位時間、例えば1分間で出現するR波(あるいはS波)の回数をカウントする心拍数カウンタであってもよい。
【0030】
一方、胎子側心拍計4は、胎子の心臓の鼓動に伴って発生する電気活動による電位差を検知する心電測定用の陽極4a及び陰極4b(図5参照)からなる電極、例えば動物母体6の膣に挿入する金属棒、母体の腹の皮膚に刺して固定される釣り針型の針電極、母体の腹の皮膚に貼付けられる金属円板からなる電圧計であり、必要に応じ多数取り付けられるものである。胎子心拍検知回路17も、母体心拍検知回路12と同様な構成である。
【0031】
出力装置20側の回路ボックスは、受信アンテナ21に接続された受信回路22、受信された信号を復調し出力機器への実行命令に変換する復調回路24、ディスプレイ25又はプリンタやX-Yプロッタやハードディスク等の記録機器26のような出力機器の順で繋がっている。
【0032】
この胎子監視装置1は、動物母体6の種付け日から分娩予測日の数日前までの間に、図5に示すように動物母体6に取り付けられて使用される。動物母体6の胴体の右側面に陰極2bを、その腹部の左側面に陽極2aを、夫々付して固定し、母体側心拍計2とする。一方、その胎子7がいる子宮近傍の左右腹壁に、陽極4a及び陰極4bを、夫々付して固定し、胎子側心拍計4とする。心拍計2・4が繋がる回路ボックス10ごと収められたバック2を、動物母体6の背にベルトで固定する。
【0033】
動物母体6側でタイマー11からの測定指示に応じ、母体側心拍計2により、所定時間、例えば1分毎に、母体の心臓の鼓動に伴う電位差の経時的変化を測定し、それの出力につき母体心拍検知回路12で単位時間内に所定電位差以上、上昇した回数すなわち心拍数をカウントする。同様に、胎子側心拍計4により胎子7の心臓の心拍数をカウントする。それらのデータは複合されて変調回路14により電波信号へ変調され、送信回路15により送信アンテナ16を経て、発信される。
【0034】
送信アンテナ16から発信された電波信号は、出力装置20側の受信アンテナ21を経て受信回路22で受信され、復調回路24で復調され、母体と胎子との心拍データ、例えば心拍数に変換され、それらを対比するグラフとして、復調回路24に接続されたディスプレイ25へ、出力される。この心拍データは、必要に応じ復調回路24に接続された記録機器26のプリンタやX-Yプロッタで印刷されたり、復調回路24に接続された記録機器26のハードディスクへ格納されたりする。
【0035】
飼育者や獣医師は、その心拍データをモニタリングしながら、母体と胎子との健康状態をチェックして、もし治療や手当てが必要なら動物母体6へ駆け付けて適当な処置をする。
【0036】
なお、母体側心拍計2と胎子側心拍計4とで、1分当たりの心拍数を、所定時間中の拍数から算出したり、1拍の所要時間から算出したりしてもよい。胎子側心拍計4は、動物母体の左右ひばら部、左右腹壁下縁に沿う複数箇所、腹壁正中線上に沿う複数箇所、直腸内、膣内に取り付けられてもよい。母体側心拍計2と胎子側心拍計4とが一体化され、母体と胎子との両心臓の鼓動に伴う電気活動による複合的な電位差の経時変化を測定するものであってもよい。心拍数を定時に、定時間間隔毎に、又はリアルタイムに測定してもよい。心電図を測定するものであってもよい。
【0037】
なお心拍計2・4が、心拍検知回路12・17に有線で繋がった例を示したが、心拍計2・4と通信機とが一体化し、心拍計2・4が心拍検知回路12・17に無線で繋がっていてもよい。
【0038】
また、心拍計は、体表に付されたり皮膚や血管に挿入されたりする脈波の感圧センサであってもよく、耳孔に挿入される脈波の感圧センサであってもよい。回路ボックス10を収めたバッグ3は首輪に取り付けられていてもよい。
【0039】
図2に、本発明を適用する胎子監視装置1を用いた胎子監視方法の実施の別な態様を示す。この胎子監視装置1は、母体と胎子との各心拍の異変を通知するというものである。
【0040】
胎子監視装置1は、前記と同様な母体側心拍計2及び胎子側心拍計4と、それら心拍計2・4へ接続された心拍検知回路32・39を有する動物母体6側の回路ボックス30と、それに無線で繋がり、動物母体6から離れた管理棟に設置される通信装置及び/又は警報装置50とからなる。
【0041】
動物母体6側の回路ボックス30内で、母体側心拍計2と電源37とタイマー31とへ繋がる母体心拍検知回路32、心拍弁別回路33、フィルタ34、送信回路35が、その順で接続されて内蔵されている。送信回路35は、回路ボックス30の外面に印刷された送信アンテナ36に接続されている。
【0042】
心拍計2、タイマー31は、前記と同様な構成である。母体心拍検知回路32は、心拍計2の電極からのアナログ信号を入力し、電位差の極大振幅であるR波(あるいはS波)と次に出現するR波(あるいはS波)との間隔時間すなわち一拍当たりの時間を計測する時計である。
【0043】
心拍弁別回路33は、そのR波-R波(あるいはS波-S波)間隔時間を順次記憶するメモリと、そこに記憶された今回と前回とのR波-R波(あるいはS波-S波)間隔時間に比例した電圧信号を差動入力するオペアンプとからなる。フィルタ34は、急激な運動や給餌による心拍数増加の後に平時の心拍数へ戻る場合のように平時の活動の許容範囲の心拍数減少であって母体や胎子の危機に無関係な誤検知を除去するフィルタ回路である。
【0044】
心拍弁別回路33は、今回検知した母体の心拍数と、母体の分娩以前の平時、例えば前日同刻での心拍数との大小を比較する比較器と、その比較によりその差が閾値を超えたときに信号電流を流すスイッチング素子とからなっていてもよい。
【0045】
一方、胎子側心拍計4、胎子心拍検知回路39、心拍弁別回路40、フィルタ41、送信回路42も同様な構成で接続されている。
【0046】
図2には、送信アンテナ36からの信号を受信し、母体や胎子の心拍異変を音声で流し又は画像で表示して警告したり、ネットワークに乗せたりするための通信装置50のブロック図も示されている。
【0047】
この通信装置50は、受信アンテナ51へ繋がる受信回路52、それに繋がるネットワーク接続回路53と警報音回路54及びスピーカー55とを内蔵している。ネットワーク接続回路53は受信信号に応じインターネットや携帯電話に接続するための信号制御回路である。
【0048】
この胎子監視装置1は、以下のようにして使用される。
【0049】
先ず、図5に示すように前記と同様にして母体側心拍計2及び胎子側心拍計4と、心拍計2・4から心拍検知回路32・39へ繋がった回路ボックス30ごと収められたバック3を、動物母体6の背に取り付ける。タイマー31の指示に応じ所定の時間毎、例えば1分毎に、母体用心拍計2により心臓の鼓動に伴う電位差を測定し、そのアナログ信号を心拍検知回路32へ出力する。そのアナログ信号に基づき、心拍検知回路32で、R波-R波(あるいはS波-S波)間隔時間を計測する。その時間に基づき、1分間当たりの拍数が算出される。
【0050】
心拍弁別回路33が、異変を判断する閾値は、例えば以下のようにして設定されている。心拍数は一般に、妊娠前よりも陣痛開始前後の方が高い。陣痛が継続し、胎子が産道に入ると、神経性脳下垂体ホルモンであるオキシトシンの作用により、子宮が収縮する。胎子が産道に深く進入すると、反射的に母体へ腹圧が加わる結果、大動脈が圧迫され、血圧が上昇し、心臓機能抑制と、分娩時のみに特有な一過性の心拍数減少とを引き起す。胎子が多産の場合、第1新生子の娩出時は、第2新生子以降の娩出時よりも、心拍数が高く、心拍数減少量が大きく、心拍数減少持続時間が長く、また心拍数減少開始から娩出開始までの時間が長いことが多い。この心拍数減少は、分娩の数10秒~数10分前に数10秒~数10分間、例えば緬羊で2~10分前に2~10分持続して、認められる。緬羊の場合、この心拍数減少が認められる前であれば、所定時間、例えば1~10分間の心拍数の変動域は、摂食や気温に応じて多少の幅を有するが、約20拍/分程度である。この変動域を超える分娩予兆の有意な心拍数減少は、少なくとも30拍/分程度である。したがってこれに合せて閾値を、例えば30拍/分に相当する値に設定しておく。
【0051】
母体心拍検知回路32で心拍数が検知されると、心拍弁別回路33が次のように動作する。先ず、この1分間毎の心拍数が、メモリに順次記憶される。そこに記憶されている前回及び今回の心拍数に比例する電圧がオペアンプに差動入力される。オペアンプでその差が閾値を超えていなければ、信号電流を流さない。所定の時間経過すると、タイマー31から次の指示が出て、同様に心拍数が検知され、この一連の動作が繰返される。一方、心拍数が閾値を超えて減少しているときに、オペアンプから信号電流が流れる。このようにして心拍弁別回路33が、心拍数減少を弁別する。急激な運動や給餌による心拍数増加の後に平時の心拍数へ戻る場合のように日常活動の許容範囲の心拍数減少であって急激な心拍数増加と心拍数減少とを伴うときには、フィルタ34が、そのような母体や胎子の危機に無関係な異常動作信号を除去する。
【0052】
正常な信号電流を受けた送信回路35が、その信号電流を変調して送信アンテナ36から、分娩直前の緊急事態であるという電波信号を発信する。
【0053】
送信アンテナ36から発信された電波信号は、通信装置50側の受信アンテナ51を経て受信回路52で受信され、警報音回路54によりスピーカー55から、分娩が切迫しており緊急事態であることを警告する音声、例えば1秒間隔のチャイム音が流される。又はそのことを、ネットワーク接続回路53を通じてインターネットや携帯電話で、飼育者等に通信される。このような警告により、飼育者等は、動物母体6の心拍数が減少したから数10秒~数10分以内に分娩が開始するはずであることを知ることができる。
【0054】
一方、胎子側心拍計4から接続されている心拍弁別回路40が、異変を判断する閾値は、例えば以下のようにして設定されている。例えば、出産間近な馬の胎子の通常の心拍数は50拍/分以上であるので、それを閾値として設定しておく。
【0055】
胎子7の心拍数が閾値よりも減少したことを、心拍弁別回路40が検知すると、フィルタ41により、この心拍数減少が分娩開始以前の変動域の許容範囲内であるかについて判断される。心拍停止のように心拍数が異常に減少していると判断されたら、送信回路42から、送信アンテナ36を経て、緊急事態であるという電波信号を発信する。
【0056】
管理棟の通信装置50の警報音回路54によりスピーカー55から胎子に異変が起き緊急事態であることを警告する音声、例えばブザー音が流される。又はそのことを、ネットワーク接続回路53を通じてインターネットや携帯電話で、飼育者や獣医師に通信される。このような警告により、飼育者等が、直ちに動物母体6へ駆け付けて、適切な処置をすることができる。
【0057】
本発明を適用する胎子監視装置1を用いた胎子監視方法の実施の別な態様を、図3に示す。この装置1は、母体と胎子との両心拍を監視しつつ、その母体から胎子が娩出し始めて母体の外陰部が開き始めたときに分娩開始を通知するというものである。
【0058】
胎子監視装置1は、図2に示す心拍計2・4に繋がる回路ボックス30と、さらに図3で示された発振器67、受信器68に繋がる別な回路ボックス60と、それらに無線で繋がり、図2に示す管理棟に設置される通信装置及び/又は警報装置50とからなる。
【0059】
発振器67は電磁誘導のための発振コイルであり、鎖線の67aが電磁波の発振域である。受信器68は発振器67から発振された発振電磁波を検知して交流を生ずる受信コイルであり、鎖線の68aが電磁波の受信域である。発振コイル67には、電源65に繋がるローカル発振回路61、クロックパルス発生器63に繋がる変調回路62、及び増幅回路64が接続されている。受信器68には、電源65に繋がる増幅回路70、設定回路71、フィルタ72、及び送信回路73を経て送信アンテナ74が接続されている。送信アンテナ74は回路ボックス60の外面に印刷されている。フィルタ72は、排尿などによる一時的な信号電流を除去するフィルタ回路である。送信回路73は、送信アンテナ74に接続され、図2と同様な通信装置50に、無線で繋がっている。
【0060】
発振器67と受信器68とは、前記の心拍計3と共に動物母体6に取り付けられて使用される。動物母体6の腰背部へ、図6に示すように、回路ボックス60を接着剤で貼り付ける。回路ボックス60に伸縮コード66で繋がる発振器67は一方の外陰部77に接着され、伸縮コード69で繋がる受信器68はもう一方の外陰部78に発振器67と対向するように接着される。
【0061】
このとき発振器67と受信器68とは、その間隔距離が各出力電力及び受信感度との関連で以下のように調整されて、距離センサとして機能する。図6のように分娩開始前の平時における両外陰部77と78とが閉じた状態で、電磁波の発振域67aと電磁波の受信域68a(図3参照)とが重なり合うように発振器67と受信器68との距離を調整する。このとき発振器67から発振された発振電磁波を受信器68が検知できる。また、分娩直前時の両外陰部77と78の開いた状態(不図示)で、発振電磁波を受信器68が検知する感度が明瞭に落ちて、電磁波の発振域67aと電磁波の受信域68aとが離れるように発振器67と受信器68との距離を調整する。このとき、発振器67からの発振電磁波を受信器68が検知できなくなる。
【0062】
その距離は動物によって異なる。多くの動物の胎子は、分娩時、前肢、頭部、胴体部、後肢の順で母体から出る。頭部は、その中でも最も径が大きく、産道を通るのに時間がかかる。そこで分娩直前時の両外陰部の開き状態を、胎子の頭部の径よりも小さい数値、すなわち前肢が出始めるタイミングの両外陰部の距離を、発振器67と受信器68との間の距離に設定する。動物ごとに多数の新生子の頭部の大きさを測定した平均的測定値から、その距離は、牛や馬のような大動物で12cm前後、豚や緬羊や山羊のような中動物で5~7cm前後、兎やラットやミンクのような小動物で1~2cm、また犬や猫のようなペットは大小様々であるが概ね3~5cm程度が適当である。
【0063】
電源65から電力供給を受けてローカル発振回路61が発振し、クロックパルス発生器63から定時間おきに発生する信号にしたがって変調回路62から交流変調信号が出され増幅回路64にて増幅され、発振コイル67から電磁波を発振する。
【0064】
分娩開始前の平時においては、両外陰部77と78とが閉じて発振器67と受信器68との間隔距離が近くなっているので、受信器68で電磁波を受け起電流が流れ、増幅回路70にて増幅される。設定回路71にて閾値以上であると判別されると、分娩が開始していないという信号が送信回路73を経て送信アンテナ74から発信される。排尿や虫の飛来等で一時的に受信器68の起電流が弱まり、あるいは停止するときには、フィルタ72にてそのような異常動作信号を除去する。
【0065】
分娩直前には、両外陰部77と78とが開いて発振器67と受信器68との間隔距離が離れ、電磁波の受信域68aが電磁波の発振域67aから離れるので受信器68の起電流が停止する。設定回路71にて閾値以下であると判別されると、分娩直前であるという電波信号が送信回路73を経て送信アンテナ74から発信される。
【0066】
電波信号は、前記と同様に図2に示す通信装置50により受信される。電波信号が受信回路52で受信されると、スピーカー55から分娩開始を警告する音声、例えばブザー音で通知される。又はそのことを、ネットワーク接続回路53を通じてインターネットや携帯電話で、飼育者等に通信されて通知される。このような通知により、飼育者等は、分娩が開始した動物母体6のところへ駆け付けることができる。
【0067】
本発明を適用する胎子監視装置1を用いた胎子監視方法の実施の別な態様を、図4に示す。この装置1は、母体と胎子との両心拍を監視しつつ、分娩以前の平時の体温の変動域を超えた体温低下を検知したら分娩予兆を通知するというものである。
【0068】
胎子監視装置1は、動物母体6側に、前記の母体側心拍計2と胎子側心拍計4とに繋がる回路ボックス10と、さらに図4で示された温度センサ5へ接続された別な回路ボックス80とを有している。
【0069】
回路ボックス80は、図4のブロック回路図のとおり、電源87とタイマー81と伸縮可能なリード線を介して温度センサ5とへ繋がる検温回路82、温度弁別回路83、フィルタ84、送信回路85が、その順で接続されて内蔵されたものである。送信回路85は、回路ボックス80の外面に印刷された送信アンテナ86に接続されている。
【0070】
温度センサ5は、金属酸化物や半導体であるサーミスタからなる熱型赤外線センサであり、温度に応じてそれの電気抵抗が変化することを利用して耳温を測定するというものである。タイマー81は、所定の時間毎に検温回路82を動作させるタイムスイッチである。検温回路82は、温度センサ5のサーミスタ電気抵抗値に応じた電流を検知する回路である。温度弁別回路83は、そのデータを順次記憶するメモリと、記憶されている今回と前回とのデータに比例した電流信号を差動入力するオペアンプとからなる。フィルタ84は、温度低下が1日の変動域の範囲内であって一時的な場合に、その信号電流を除去するフィルタ回路である。
【0071】
この温度センサ5は、図5に示すように、例えば母体側心拍計2と胎子側心拍計4と共に雌馬6に取り付けられる。リード線の先端の温度センサ5を、雌馬6の外耳に挿入し、鼓膜近傍に設置する。温度センサ5が動いたり抜け落ちたりしないように、スポンジ製耳栓で温度センサ5を留める。耳から導出し途中がカールコードのように伸縮可能なリード線は、余裕を持たせつつ、回路ボックス80内の検温回路82に接続される。回路ボックス10及び80を収めたバッグ3を、雌馬6の背にベルトで固定して取り付ける。
【0072】
タイマー81の指示に応じ所定の時間毎に、温度センサ5のサーミスタ電気抵抗値に応じた電流を測定し、そのアナログ信号を検温回路82へ出力し、耳温である鼓膜温を検知する。
【0073】
鼓膜温は、一般に妊娠前よりも分娩の数日前の方が高く、また朝方よりも夕方の方が若干高く、摂食や気温等に応じ多少の変動域を有するが、分娩の数~2日前の平時での鼓膜温の1日毎の変動パターンは、略同じである。鼓膜温は、動物種や個体によって多少異なるが、分娩の12~36時間前、概ね24時間前に、この平時の鼓膜温の変動域よりも、0.3~1℃程度、平均0.5~1℃程度低下する。雌馬の場合は約1℃である。
【0074】
これに合せて温度弁別回路83の閾値を例えば1℃に設定しておく。検温回路82で鼓膜温が検知されると、温度弁別回路83が次のように動作する。先ず、この鼓膜温が、メモリに順次記憶される。そこに記憶されている先程検知した当日の最新の耳温と分娩以前の平時、例えば前日同時刻での耳温の両値に比例する電流が、オペアンプに差動入力される。オペアンプでその差が閾値を超えていれば、信号電流を流す。このようにして温度弁別回路83が、温度低下を弁別する。所定の時間経過すると、タイマー81から次の指示が出て、同様に鼓膜温が検知される。
【0075】
鼓膜温の1日の変動パターンの変動域の範囲幅内である場合、フィルタ84が、この信号電流の通過を阻止する。一方、この信号電流が通過したら、それを受けた送信回路85が、信号電流を変調して送信アンテナ86から電波信号を発信する。
【0076】
送信アンテナ86から発信された電波信号は、管理棟に設置され図2と同様な通信装置50の受信アンテナ51を経て受信回路52で受信され、警報音回路54によりスピーカー55から、分娩開始が数時間~数10時間後に迫っているという分娩予兆を予告する音声、例えば5秒間隔のチャイム音で通知される。又はそのことを、ネットワーク接続回路53を通じてインターネットや携帯電話で、飼育者等に通信されて通知される。その後、飼育者は、前記の態様のような母体用心拍計2による分娩直前の警告が発せられるまでの間に、分娩の態勢を整えることができる。
【0077】
なお、温度センサで鼓膜温を測定して分娩予兆を通知する代わりに、サーミスタ、赤外線検知センサ、熱電対又は測温抵抗体のような温度センサで、膣温等の体温を測定してその低下を検知して分娩予兆を通知してもよい。
【実施例】
【0078】
図1、図2、図3、及び図4の回路構成からなる胎子監視装置1を用いて、図5及び図6に示すように飼育している妊娠中の雌馬の母体とその胎子とを監視する。
【0079】
なお、図1及び図2の母体側心拍計2の電極2a・2bを、A-B誘導法に従って母体胸部の皮膚に釣り針型の針電極あるいは貼り付け電極を用いて装着する。一方、胎子側心拍計4の電極4a・4bを、母体腹部の背側と腹側に母体側心拍計と同様の電極を装着する。母体および胎子心電用の電極の種類および電極装着部位はこれらの方法に限らず、安定して心拍が測定できることを確認して決められる。図3の発振器67及び受信器68は、磁性コア(2mm×10mm、厚さ2mm)に巻いたコイルとし、発振器コイル67と受信器コイル68との距離を、雌馬の場合に最も適切であると想定された12cmに調整したものである。図4の温度センサは鼓膜温を測定するサーミスタである。
【0080】
両心拍計2・4で測定した心拍データを変調回路14から発信し、これを受信して出力装置20の記録機器であるハードディスク26に記録し、またディスプレイ25に表示した。分娩までの約150日間の両心拍数の経時変化についての概要図を図7に示す。その間、母体と胎子との健康状態は良好であった。
【0081】
鼓膜温は分娩の1日前まで一定の変動パターンで推移していたが、分娩の1日前にその鼓膜温の変動域から0.5℃以上低下した。その鼓膜温低下が、1日の温度変動パターンの変動域を有意に超えていたと温度弁別回路83が検知し、送信回路85により電波信号を発信し、それを通信装置50で受信したとき、スピーカー55から分娩の36~12時間前であるという予告音声が牧場管理棟で流れる。それを聞いた飼育者は、分娩に備え、管理棟で待機しておく。
【0082】
分娩の約10分前に、動物母体6の心拍数が一過的に急激な減少を示す(図7中、不図示。一過性の急激な減少は緬羊のデータからの推測)。この減少を心拍弁別回路33が検知し、送信回路35により電波信号を発信し、それを通信装置50で受信したとき、飼育者が待機している管理棟のスピーカー55から分娩開始直前であるという警告音声が流れる。
【0083】
しばらくすると、その外陰部が開き始め、発振器67と受信器68との間隔距離が離れたため、送信回路73により分娩直前であるという電波信号を発信し、それを通信装置50で受信したとき、スピーカー55から分娩開始であるという警告音声が流れる。
【0084】
直ちに、飼育者が母体に駆けつけると、丁度、新生子の前肢が母体から出始めている。
【0085】
このように飼育者は、分娩までの健康状態のチェックを畜舎から離れた管理棟で行なうことができ、しかも丁度良いタイミングで分娩に立ち会うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の胎子監視装置は、大動物(牛、馬等)や中動物(豚、緬羊、山羊等)や小動物(兎、ラット、ミンク等)のような家畜、動物園等で飼育される展示動物、及びペットのような各種動物の胎子監視、人間の胎子監視に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を適用する胎子監視装置であって出力装置を用いた一実施態様を示すブロック回路図である。

【0088】
【図2】本発明を適用する胎子監視装置であって通信装置を用いた別な実施態様のブロック回路図である。

【0089】
【図3】本発明を適用する胎子監視装置であって発振器・受信器を用いた別な実施態様のブロック回路図である。

【0090】
【図4】本発明を適用する胎子監視装置であって温度センサを用いた別な実施態様のブロック回路図である。

【0091】
【図5】本発明を適用する胎子監視装置を用いた胎子監視方法の一態様を示す図である。

【0092】
【図6】本発明を適用する胎子監視装置を用いた胎子監視方法の別な一態様を示す図である。

【0093】
【図7】本発明を適用する胎子監視装置が使用される動物母体と胎子との心拍数の経時変化の概要を示すグラフである。
【0094】
1は胎子監視装置、2は母体側心拍計、2aは陽極、2bは陰極、3はバッグ、4は胎子側心拍計、4aは陽極、4bは陰極、5は温度センサ、6は動物母体、7は胎子、10は回路ボックス、11はタイマー、12は母体心拍検知回路、13は電源、14は変調回路、15は送信回路、16は送信アンテナ、17は胎子心拍検知回路、20は出力装置、21は受信アンテナ、22は受信回路、24は復調回路、25はディスプレイ、26は記録機器、30は回路ボックス、31はタイマー、32は母体心拍検知回路、33は心拍弁別回路、34はフィルタ、35は送信回路、36は送信アンテナ、37は電源、39は胎子心拍検知回路、40は心拍弁別回路、41はフィルタ、42は送信回路、50は通信装置、51は受信アンテナ、52は受信回路、53はネットワーク接続回路、54は警報音回路、55はスピーカー、60は回路ボックス、61はローカル発振回路、62は変調回路、63はクロックパルス発生器、64は増幅回路、65は電源回路、66は伸縮コード、67は発振器、67aは電磁波の発振域、68は受信器、68aは電磁波の受信域、69は伸縮コード、70は増幅回路、71は設定回路、72はフィルタ、73は送信回路、74は送信アンテナ、77・78は外陰部、81はタイマー、82は検温回路、83は温度弁別回路、84はフィルタ、85は送信回路、86は送信アンテナである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6