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明細書 :有機金属複合体及びアルドール付加体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4224590号 (P4224590)
公開番号 特開2008-184408 (P2008-184408A)
登録日 平成20年12月5日(2008.12.5)
発行日 平成21年2月18日(2009.2.18)
公開日 平成20年8月14日(2008.8.14)
発明の名称または考案の名称 有機金属複合体及びアルドール付加体の製造方法
国際特許分類 C07F   9/02        (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
C07C  45/45        (2006.01)
FI C07F 9/02 C
B01J 31/02 X
C07C 45/45
請求項の数または発明の数 11
全頁数 22
出願番号 特願2007-018431 (P2007-018431)
出願日 平成19年1月29日(2007.1.29)
審査請求日 平成20年6月30日(2008.6.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】波多野 学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査官 【審査官】木村 敏康
参考文献・文献 特開平02-268131(JP,A)
調査した分野 C07F 9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
カルボニル化合物とシリルエノラート化合物とのアルドール縮合反応を促進する触媒として用いられる、式(1)で表される有機金属複合体。
【化1】
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(式(1)において、Mはアルカリ金属;Rはアリール基;1~R3はそれぞれ独立してアリール基、アルコキシ基及びジアルキルアミノ基からなる群より選ばれる1種;mは1~3のいずれかの整数)
【請求項2】
mは2である、請求項1に記載の有機金属複合体。
【請求項3】
式(2)で表される有機金属複合体。
【化2】
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(式(2)において、Mはアルカリ金属;Rはアリール基;R4~R7はそれぞれ独立してアリール基、アルコキシ基及びジアルキルアミノ基からなる群より選ばれる1種;AHはフェニレン、ビニレン、ビフェニレン及びビナフタレンからなる群より選ばれる1種;nは1~3のいずれかの整数)
【請求項4】
nは2である、請求項3に記載の有機金属複合体。
【請求項5】
AHはフェニレン又はビナフタレンである、請求項3又は4に記載の有機金属複合体。
【請求項6】
Rはフェニル基である、請求項1~5のいずれかに記載の有機金属複合体。
【請求項7】
RO-M(Mはアルカリ金属;Rはアリール基)で表されるアルカリ金属アルコキシドと、式(3)又は式(4)で表されるホスフィンオキシドとを反応させることにより得られる、有機金属複合体。
【化3】
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【化4】
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(式(3)又は(4)において、R1~R7はそれぞれ独立してアリール基、アルコキシ基及びジアルキルアミノ基からなる群より選ばれる1種;AHはフェニレン、ビニレン、ビフェニレン及びビナフタレンからなる群より選ばれる1種)
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の有機金属複合体を触媒として、カルボニル化合物とシリルエノラート化合物とのアルドール縮合反応を行うことによりアルドール付加体を得る、アルドール付加体の製造方法。
【請求項9】
前記カルボニル化合物はケトン類である、請求項に記載のアルドール付加体の製造方法。
【請求項10】
前記ケトン類はエノンである、請求項に記載のアルドール付加体の製造方法。
【請求項11】
前記アルドール縮合反応を低極性溶媒中で行う、請求項8~10のいずれかに記載のアルドール付加体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属複合体及びそれを利用したアルドール付加体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルドール反応は、天然物や医薬によく見られるβ-ヒドロキシカルボニル構造を合成するための炭素-炭素結合を形成する反応として非常に重要である。こうしたアルドール反応を促進する触媒として、ルイス塩基触媒が知られている。例えば、リチウムフェノキシドなどは、アルデヒド類とトリメチルシリルエノラートとを縮合する向山アルドール反応を促進することが知られている。一方、ケトン類とトリメチルシリルエノラートとを縮合する反応例は、ほとんど知られておらず、例えば非特許文献1においてカルボン酸銀-BINAP錯体を触媒とするものが開示されている程度である。

【非特許文献1】日本化学会誌, vol.2002(2002年), No.2, p223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、ケトン類とトリメチルシリルエノラートとを縮合する反応を促進する触媒はほとんど知られていないことから、この種の触媒でより優れた性能を持つものを開発することが望まれている。例えば、DMFのような高極性溶媒ではなくTHFのような低極性溶媒を用いても反応を良好に促進させるとか、1,4付加が起こりやすいエノンを基質とした場合にもアルドール付加体(1,2付加体)を高収率で与えるという性能を持つ触媒の開発が望まれている。
【0004】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、新規な有機金属複合体を提供することを目的の一つとする。また、向山アルドール反応の触媒として優れた性能を持つ有機金属複合体を提供することを目的の一つとする。更に、向山アルドール反応によって生成するアルドール付加体を高収率で与えるアルドール付加体の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カルボニル化合物とシリルエノラートとの向山アルドール反応において、ルイス塩基触媒としてリチウムフェノキシドを用いたときにホスフィンオキシドを併存させると触媒活性が向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の有機金属複合体は、式(1)又は式(2)で表されるものである。
【化1】
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【0007】
(式(1)において、Mはアルカリ金属;Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれる1種;R1~R3はそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基及びこれらに置換基を付加したもの並びに二置換アミノ基からなる群より選ばれる1種;mは1~3のいずれかの整数)
【化2】
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【0008】
(式(2)において、Mはアルカリ金属;Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれる1種;R1~R3はそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基及びこれらに置換基を付加したもの並びに二置換アミノ基からなる群より選ばれる1種;AHはフェニレン、ビニレン、ビフェニレン、ビナフタレン、アルキレン及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれる1種;nは1~3のいずれかの整数)
【0009】
本発明のアルドール付加体の製造方法は、式(1)又は式(2)の有機金属複合体を触媒として、カルボニル化合物とシリルエノラート化合物とのアルドール縮合反応を行うことによりアルドール付加体(つまりβ-ヒドロキシカルボニル化合物)を得るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機金属複合体によれば、向山アルドール反応においてカルボニル化合物としてアルデヒド類のみならずケトン類を用いた場合にもアルドール付加体を収率よく得ることができる。また、DMFなどの高極性溶媒のみならずTHFなどの低極性溶媒を用いた場合にも、アルドール付加体を収率よく得ることができる。また、カルボニル化合物として1,4付加が起こりやすいエノンを用いた場合にもアルドール付加体(1,2付加体)を収率よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の有機金属複合体は、上述したように式(1)又は式(2)で表されるものである。式(1)又は式(2)において、Mはアルカリ金属であり、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられ、そのうちリチウム、ナトリウム、カリウムが入手のしやすさ等の点で好ましい。また、Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びこれらに置換基が付加したものからなる群より選ばれた1種であるが、このうちアリール基又は置換アリール基が好ましい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基やシクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、アントリル基などが挙げられる。
【0012】
これらに付加される置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの分岐があってもよいアルキル基;シクロペンチル基やシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロパギル基、フェニルアセチニル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基などのアルコキシ基;ビニルオキシ基やアリルオキシ基などのアルケニルオキシ基;エチニルオキシ基やフェニルアセチルオキシ基などのアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基などのアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基などのパーフルオロ基およびさらに長鎖のパーフルオロ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基などのアミノ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基などのボリル基;アセチル基やベンゾイル基などのカルボニル基;アセトキシ基やベンゾイルオキシ基などのカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基やフェニルスルフィニル基などのスルフィニル基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル-tert-ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;フェニル基、2,6-キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基などのアリール基;チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基などのヘテロ環基などが挙げられる。さらに、これらの置換基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。例えば、置換が付加したアリール基としては、2-トリル基、3-トリル基、4-トリル基、2,6-キシリル基、3,5-キシリル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、4-アミノフェニル基、メシチル基などが挙げられる。
【0013】
式(1)又は式(2)において、R1~R7はそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基及びこれらに置換基が付加したもの並びに二置換アミノ基からなる群より選ばれた1種である。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基やシクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基などが挙げられる。また、これらに付加される置換基としては、この前の段落で例示列挙したものを使用可能であるため、ここではその説明を省略する。式(2)におけるAHは、フェニレン、ビニレン、ビフェニレン、ビナフタレン、アルキレン及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれた1種である。ここでの置換基も、一つ前の段落で例示列挙したものを使用可能であるため、ここではその説明を省略する。なお、アルキレンとしては、-(CH2k-(kは整数)で表される基であり、例えばkは1~5の整数、具体的にはメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどが挙げられる。
【0014】
式(1)又は式(2)におけるm,nは、1~3のいずれかの整数であるが、いずれも2であることが好ましい。本発明者らが、ホスフィンオキシドとして1,2-(ビスフェニルホスホリル)ベンゼン、金属アルコキシドとしてリチウムフェノキシドを用いて複合体を調製して単結晶X線構造解析を行ったところ、リチウム-1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの1:2複合体が得られたことから、mやnは2であることが好ましい。この場合、アルコキシドは遊離して強い求核性を持つと予想され、それがシリルエノラートのシリルを攻撃して向山アルドール反応を促進すると推定される。
【化3】
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【0015】
本発明の第2の有機金属複合体は、RO-M(Mはアルカリ金属;Rはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれる1種)で表されるアルカリ金属アルコキシドと、式(3)又は式(4)で表されるホスフィンオキシドとを反応させることにより得られるものである。この場合、上述した単結晶X線構造解析の結果から、1モルのアルカリ金属アルコキシドに対して、分子中にホスフィンオキシド部位が1つ存在する場合には2~6モル好ましくは4モル前後使用し、分子中にホスフィンオキシド部位が2つ存在する場合には1~3モル好ましくは2モル前後使用する。
【化4】
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【化5】
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(式(3)又は(4)において、R1~R7はそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基及びこれらに置換基を付加したもの並びに二置換アミノ基からなる群より選ばれる1種;AHはフェニレン、ビニレン、ビフェニレン、ビナフタレン、アルキレン及びこれらに置換基を付加したものからなる群より選ばれる1種)
【0016】
なお、式(3)又は式(4)におけるR,R1~R7,AHはいずれも式(1)又は式(2)と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0017】
本発明のアルドール付加体の製造方法は、上述したいずれかの有機金属複合体を触媒として、カルボニル化合物とシリルエノラート化合物とのアルドール縮合反応を行うことにより、β-ヒドロキシカルボニル化合物であるアルドール付加体を得るものである。ここで、カルボニル化合物としては、アルデヒド類やケトン類を使用することができる。ケトン類を用いた場合には、有機合成上難しいとされる、4級炭素が2つ隣接しているアルドール付加体として得ることができるため、有用性が高い。また、ケトン類として1,4付加を起こすことで知られるエノンを用いた場合にも、高選択的に1,2付加体つまりアルドール付加体を収率よく得ることができるため、有用性が高い。ここで、アルデヒド類としては、例えば、ベンズアルデヒドなどのようにカルボニル炭素に芳香族環が結合したアルデヒド;ホルミルシクロヘキサンなどのようにカルボニル炭素に脂肪族環が結合したアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトフェノンやベンゾフェノンなどのようにカルボニル炭素に芳香族環が結合したケトン;シクロペンタノンやシクロヘキサノン、フルオレン-9-オン、キサンテン-9-オンなどのようにカルボニル炭素が環に組み込まれたケトン;メチルチエニルケトン、メチルピリジルケトンなどのようにカルボニル炭素にヘテロ環が結合したケトン;ジフェニルエタンジオンやケトエステルのようにα位にカルボニル炭素を持つケトンなどが挙げられる。
【0018】
このアルドール付加体の製造方法において、反応溶媒はDMFやピリジンのような高極性溶媒を用いてもよいが、THFやジエチルエーテル、ジオキサンなどの低極性溶媒を用いることが好ましく、THFを用いることが特に好ましい。反応温度は、使用するカルボニル化合物やシリルエノラート化合物、触媒の構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば-100℃~室温、好ましくは-80℃~0℃の範囲で設定する。また、反応時間は、反応基質が消失するか反応の進行が止まるまでの時間とすればよいが、通常は数分~数10時間の範囲で設定する。触媒として用いられる本発明の有機金属複合体の使用量は、使用するカルボニル化合物やシリルエノラート化合物、触媒の構造に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1mol%~20mol%、好ましくは1mol%~10mol%の範囲で設定する。
【実施例】
【0019】
[実施例1]
窒素雰囲気下、ナトリウムフェノキシド(2.9mg,0.025mmol)と1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン(23.9mg,0.050mmol)を入れたシュレンク反応管に、直前に蒸留したテトラヒドロフラン(THF)(5mL)を加え、室温にて10分間攪拌した。次いで同溶液を-78℃に冷却し、5分間攪拌した。シリルエノラートとしてメチルトリメチルシリルジメチルケテンアセタール(522.9 mg,3.0mmol)とベンゾフェノン(455.5mg,2.5mmol)を同溶液に加え、-78℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLCで確認のうえ、-78℃にて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、室温に昇温した。混合液から酢酸エチル(15mL×2)で抽出を行い、抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。セライトを用いて濾過を行い、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル =50/1~10/1)を通して精製を行い、4級炭素が2つ隣接しているアルドール付加体を収率97%(864.6mg)で得た。その結果を表1に示す。なお、このときのナトリウムフェノキシドの使用量はベンゾフェノンに対して1mol%、1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの使用量はベンゾフェノンに対して2mol%である。
【表1】
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【0020】
[実施例2-4]
実施例2,3では、1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの使用量をベンゾフェノンに対してそれぞれ1mol%,3mol%とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。また、実施例4では、ナトリウムフェノキシドの使用量をベンゾフェノンに対して10mol%とし、1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの使用量をベンゾフェノンに対して10mol%とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例2-4でも実施例1と同様のアルドール付加体を高収率で得ることができた。
【0021】
[実施例5-8]
実施例5-8では、アルカリ金属フェノキシドのアルカリ金属としてそれぞれリチウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを使用した以外は、実施例4と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例5-8でも実施例1と同様のアルドール付加体を高収率で得ることができた。
【0022】
[比較例1,2]
比較例1では、1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンを使用しなかった以外は実施例4と同様にして反応を行った。また、比較例2では、ナトリウムフェノキシドを使用しなかった以外は実施例4と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、比較例1,2ではアルドール付加体が全く得られなかった。
【0023】
[実施例9-15]
実施例9-15では、シリルエノラートとして表2の化学式で表されるものを使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。但し、実施例15では、ナトリウムフェノキシドの使用量をベンゾフェノンに対して5mol%とし、1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの使用量をベンゾフェノンに対して10mol%として反応を行った。その結果を表2に示す。表2には、比較の便宜のため、実施例1の結果も併せて示した。表2から明らかなように、実施例9-15でも、4級炭素が2つ隣接しているアルドール付加体や4級炭素と3級炭素とが隣接しているアルドール付加体が高収率で得られた。特に、実施例14では、フェニルエステル由来のシリルエノラートを使用したが、これはベンゾフェノンと反応してアルドール付加体となったあと分子内環化反応が進み、β-ラクトンが得られた。また、実施例15では、シリルエノラートとしてO-TMS-N,O-ケテンアセタールを使用したが、この場合もアルドール付加体が高収率で得られた。
【表2】
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【0024】
[実施例16-21]
実施例16-21では、ケトン及びシリルエノラートとして表3の化学式で表されるものを使用し、ナトリウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンとの1:2複合体を表3に示す触媒量だけ使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。但し、実施例19では、シリルエノラートとしてO-TMS-N,O-ケテンアセタールを使用した。その結果を表3に示す。表3から明らかなように、実施例16-21でも、4級炭素が2つ隣接しているアルドール付加体が高収率で得られた。特に、実施例16,17のようにα位にプロトンを持つケトンであっても、アルドール付加体が高収率で得られた。また、実施例18-19の環状ケトンであっても、アルドール付加体が高収率で得られた。なお、ナトリウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンとの1:2複合体は、ナトリウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンとをモル比で1:2となるように混合したときに得られるものであり、その構造は後述する質量分析及びX線解析により行った。
【表3】
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【0025】
ちなみに、実施例16で今回の触媒を用いずリチウムエノラートを化学量論量用いたところ、収率は42%であった。同じく実施例16で今回の触媒の代わりにTMSOTfを10mol%用いたところ、収率は49%であった。また、実施例19で今回の触媒を用いずリチウムエノラートを化学量論量用いたところ、収率は7%であった。同じく実施例19で今回の触媒の代わりにTMSOTfを10mol%用いたところ、収率は0%だった。
【0026】
[実施例22-27]
実施例22-27では、ケトン及びシリルエノラートとして表4の化学式で表されるものを使用し、ナトリウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンとの1:2複合体を表4に示す触媒量だけ使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。但し、実施例27では、シリルエノラートとしてO-TMS-N,O-ケテンアセタールを使用した。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、実施例22-27でも、4級炭素が2つ隣接しているアルドール付加体が高収率で得られた。特に、実施例22-24のようにα位にプロトンを持つケトンであっても、アルドール付加体が高収率で得られた。また、実施例25のようなα-ジケトンや実施例26,27のようなα-ケトエステルであっても、アルドール付加体が高収率で得られた。
【表4】
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【0027】
ちなみに、実施例23で今回の触媒を用いずリチウムエノラートを化学量論量用いたところ、収率は53%であった。同じく実施例23で今回の触媒の代わりにTMSOTfを10mol%用いたところ、収率は0%であった。また、実施例27で今回の触媒を用いずリチウムエノラートを化学量論量用いたところ、収率は1%であった。同じく実施例27で今回の触媒の代わりにTMSOTfを10mol%用いたところ、収率は0%だった。
【0028】
[実施例28-30]
実施例28-30では、ケトンとして表5の化学式で表されるα,β-不飽和ケトン(エノン)を使用し、金属アルコキシドやホスフィンオキシドについては種類、使用量及び反応条件を表5に示すものを採用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。その結果を表5に示す。表5から明らかなように、実施例28-30では1,4付加体ではなく1,2付加体(アルドール付加体)が高収率で得られた。また、実施例28,29の結果から、反応温度を調節することによりcis体を主生成物とするか、trans体を主生成物とするかをコントロール可能であることがわかる。また、実施例29,30の結果から、触媒使用量を調節することによりcis:transの比率が変わることがわかる。
【表5】
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【0029】
ちなみに、実施例28-30と同じケトンとシリルエノラートとを用いて、酢酸リチウム又は酢酸カリウムを使用してDMF中で0℃、30分という反応条件で反応を行ったところ、1,4付加体が定量的に得られた。
【0030】
[実施例31-36,比較例3]
実施例31-36では、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドを使用し、金属アルコキシドとしてリチウムフェノキシドをベンズアルデヒドに対して10mol%使用し、ホスフィンオキシドとして表6に記載されたものをベンズアルデヒドに対して表6に記載のmol%使用し、反応時間を6時間とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。なお、実施例32では反応条件を-40℃、14時間とした。また、比較例3として、ホスフィンオキシドを用いずに反応を行った。その結果を表6に示す。表6から明らかなように、ホスフィンオキシドを用いなかった比較例3と比較して、ジホスフィンオキシドやモノホスフィンオキシドを用いた場合には、アルドール反応が促進された。特に、芳香族環に2つのホスフィンオキシドが結合したものを用いたときに良好な結果が得られた。また、実施例32のようなリン酸エステル型や実施例35のようなリン酸アミド型でも、良好な結果が得られた。
【表6】
JP0004224590B2_000012t.gif

【0031】
[実施例37-50,比較例4]
実施例37-50では、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドを使用し、金属アルコキシドとして表7に記載されたものをベンズアルデヒドに対して10mol%使用し、ホスフィンオキシドとして1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンを10mol%使用し、反応時間を6時間とした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。また、比較例4として、金属アルコキシドを用いずに反応を行った。その結果を表7に示す。表7から明らかなように、リチウムフェノキシド類縁体(実施例37-47)については、ベンゼン環の置換基はその位置や電子吸引性、電子供与性の性質によらず、どれを用いても良好な収率でアルドール付加体が得られた。また、アルコキシドが低級アルコール由来の場合(実施例48-50)であっても、良好な収率でアルドール付加体が得られた。
【表7】
JP0004224590B2_000013t.gif

【0032】
[実施例51,52]
実施例51では、カルボニル化合物としてホルミルシクロヘキサンを使用した以外は実施例37と同様にして反応を行ったところ、収率47%でアルドール付加体が得られた。また、実施例52では、カルボニル化合物として3-フェニルプロピオンアルデヒドを使用した以外は実施例37と同様にして反応を行ったところ、収率19%でアルドール付加体が得られた。
【0033】
[実施例53-60,比較例5]
実施例53-60では、金属アルコキシドとして表8に記載されたものをベンゾフェノンに対して10mol%使用した以外は、実施例5と同様にして反応を行った。また、比較例5として、金属アルコキシドを用いずに反応を行った。その結果を表8に示す。表8から明らかなように、リチウムフェノキシド類縁体(実施例53-59)については、ベンゼン環の置換基はその位置や電子吸引性、電子供与性の性質によらず、どれを用いても良好な収率でアルドール付加体が得られた。また、アルコキシドが低級アルコール由来の場合(実施例60)では、触媒活性が低く反応進行が遅いものの、比較例5に比べると明らかに効果が見られた。これらの反応は2時間で止めているが、時間を長くすれば収率の改善が見込まれる。なお、表8には記載していないが、金属アルコキシドの代わりに酢酸リチウムを用いた場合には収率32%でアルドール付加体が得られた。
【表8】
JP0004224590B2_000014t.gif

【0034】
[分析データ:触媒の質量分析]
触媒の分析データを以下に示す。リチウムフェノキシド1当量と1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン2当量とから得られる触媒、ナトリウムフェノキシド1当量と1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン2当量とから得られる触媒につき、質量分析結果を以下に示す。このことから、触媒は下記化学式に示すようにリチウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの1:2複合体、ナトリウムフェノキシドと1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼンの1:2複合体であることが示唆される。
前者:HRMS(FAB+) calcd for C60H48LiO4P4 [M-OPh]+ 963.2664, found 963.2661.
後者:HRMS(FAB+) calcd for C60H48NaO4P4 [M-OPh]+ 979.2401, found 979.2408.
【化6】
JP0004224590B2_000015t.gif
【化7】
JP0004224590B2_000016t.gif

【0035】
[分析データ:触媒のX線構造解析]
酢酸エチル中のリチウムフェノキシド1当量と1,2-ビス(ジフェニルホスホリル)ベンゼン2当量との混合物から室温、24時間かけて単結晶を成長させた。この単結晶のX構造解析を行ったところ、下記の構造をとることが判明した。
【化8】
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【0036】
[分析データ:生成物のNMR等]
主な実施例で得られた生成物の分析データは以下のとおり。
【0037】
実施例1のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.16 (s, 9H), 1.26 (s, 6H), 3.65 (s, 3H), 7.18-7.27 (m, 6H), 7.30-7.38 (m, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.8, 24.4, 50.6, 51.7, 85.9, 126.9, 127.0, 129.8, 145.6, 178.3. IR(film) 2950, 1735, 1720, 1445, 1249, 1146, 1107, 1078 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C21H28NaO3Si [M+Na]+ 379.1705, found 379.1711.
【0038】
実施例9のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.15 (s, 9H), 1.22 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.26 (s, 6H), 4.12 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 7.19-7.28 (m, 6H), 7.31-7.41 (m, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.9, 14.1, 24.5, 50.7, 60.5, 85.9, 126.8, 127.0, 129.8, 145.5, 177.4. IR(film) 2977, 2955, 1730, 1715, 1445, 1249, 1143, 1108, 1077, 1029 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C22H30NaO3Si [M+Na]+ 393.1862, found 393.1866.
【0039】
実施例10のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.15 (s, 9H), 1.20 (d, J = 6.3 Hz, 6H), 1.27 (s, 6H), 4.99 (m, J = 6.0 Hz, 1H), 7.20-7.28 (m, 6H), 7.34-7.41 (m, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.0, 21.7, 24.6, 50.7, 67.8, 86.0, 126.8, 126.9, 129.9, 145.5, 176.4. IR(film) 2978, 2955, 1726, 1249, 1140, 1105, 1077 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C23H32NaO3Si [M+Na]+ 407.2018, found 407.2025.
【0040】
実施例11のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.16 (s, 9H), 0.95-1.70 (m, 8H), 2.34-2.44 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 7.20-7.30 (m, 6H), 7.40-7.50 (m, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.9, 23.7, 25.4, 31.0, 51.2, 57.7, 86.5, 126.8, 126.9, 130.0, 145.8, 175.5. IR(film) 2946, 2858, 1718, 1445, 1249, 1223, 1132, 1075 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C24H32NaO3Si [M+Na]+ 419.2018, found 419.2012.
【0041】
実施例12のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.12 (s, 9H), 1.15 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 3.55 (s, 3H), 3.74 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 7.20-7.40 (m, 10H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.8, 14.4, 48.4, 51.3, 82.7, 127.0, 127.1, 127.5, 127.6, 128.3, 128.5, 144.4, 174.1. IR(film) 2950, 1746, 1446, 1249, 1196, 1157, 1089, 1070 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C20H26NaO3Si [M+Na]+ 365.1549, found 365.1545.
【0042】
実施例13のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.12 (s, 9H), 2.25-2.35 (m, 2H), 3.23 (dt, J = 8.4, 7.8 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 8.7, 6.6 Hz, 1H), 3.97 (ddd, J = 8.7, 7.8, 6.0 Hz, 1H), 7.26-7.45 (m, 10H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.7, 25.7, 48.1, 65.9, 81.9, 127.7, 127.8, 127.9, 128.2, 128.5, 143.7, 144.2, 175.6. IR(KBr) 3052, 2955, 1756, 1446, 1381, 1251, 1154, 1061 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C20H24NaO3Si [M+Na]+ 363.1392, found 363.1399.
【0043】
実施例14のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 1.23 (s, 6H), 7.27 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.36 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 7.48 (d, J = 6.9 Hz, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 21.5, 59.8, 88.5, 125.6, 127.8, 128.4, 139.7, 175.0. IR(KBr) 3071, 2984, 1820, 1492, 1448, 1389, 1184 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C17H17O2 [M+H]+ 253.1229, found 253.1229.
【0044】
実施例15のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.17 (s, 9H), 1.39 (s, 6H), 2.93 (s, 6H), 7.22-7.35 (m, 6H), 7.53-7.62 (m, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.0, 27.2, 39.3, 54.5, 87.4, 127.1, 127.3, 129.4, 143.8, 176.3. IR(film) 2951, 1617, 1491, 1364, 1251, 1111, 1067 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C22H31NNaO2Si [M+Na]+ 392.2022, found 392.2021.
【0045】
実施例16のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.05 (s, 9H), 1.06 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.78 (s, 3H), 3.55 (s, 3H), 7.20-7.40 (m, 5H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.1, 21.3, 21.7, 24.8, 51.3, 52.2, 80.3, 126.7, 126.9, 127.0, 145.3, 176.7. IR(film) 2999, 2951, 1723, 1271, 1251, 1134, 1152, 1111 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C16H26NaO3Si [M+Na]+ 317.1549, found 317.1551.
【0046】
実施例17のアルドール付加体(-OH体):1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 1.22 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 5.29 (s, 1H), 7.20-7.50 (m, 8H), 7.69 (m, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) 20.5, 22.0, 51.7, 52.5, 77.1, 85.7, 90.7, 122.5, 127.3, 128.0. 128.3, 128.5, 131.7, 139.0, 178.6. IR(film) 3447, 2988, 2949, 1731, 1701, 1490, 1448, 1284, 1145, 1057 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C20H20NaO3 [M+Na]+ 331.1310, found 331.1312.
【0047】
実施例18のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.32 (s, 9H), 1.17 (s, 6H), 3.57 (s, 3H), 7.22 (td, J = 7.2, 1.2 Hz, 2H), 7.34 (td, J = 7.5, 1.2 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 7.8 Hz, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.2, 21.3, 51.0, 51.3, 87.1, 119.5, 125.6, 126.7, 128.8, 140.4, 147.6, 176.0. IR(film) 2950, 1730, 1449, 1263, 1250, 1145, 1078 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C21H26NaO3Si [M+Na]+ 377.1549, found 377.1544.
【0048】
実施例19のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d - 0.37 (s, 9H), 1.12 (bs, 6H), 3.37 (br, 6H), 7.17-7.40 (m, 6H), 7.57 (d, J = 6.9 Hz, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.2, 24.2, 39.6, 51.4, 88.5, 119.4, 125.6, 126.8, 128.8, 140.5, 147.3, 174.9. IR(film) 2954, 1618, 1449, 1361, 1250, 1071, 1114 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C22H29NNaO2Si [M+Na]+ 390.1865, found 390.1859.
【0049】
実施例20のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.11 (s, 9H), 1.04 (s, 6H), 3.50 (s, 3H), 7.12 (m, 4H), 7.31 (td, J = 8.4, 1.8 Hz, 2H), 7.51 (dd, J = 6.3, 2.1 Hz, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 1.8, 20.8, 51.4, 54.9, 75.7, 116.0, 121.9, 125.2, 128.4, 129.0, 150.8, 175.4. IR(KBr) 2946, 1722, 1474, 1447, 1310, 1240, 1140, 1078 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C21H27O4Si [M+H]+ 371.1679, found 371.1681.
【0050】
実施例21のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.07 (s, 9H), 1.03 (s, 6H), 3.37 (s, 3H), 6.53 (s, 2H), 7.18-7.34 (m, 6H), 7.92 (s, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.7, 22.0, 51.5, 57.0, 87.6, 126.6, 127.8, 131.2, 131.8, 132.2, 134.4, 140.5, 175.6. IR(KBr) 2976, 1723, 1468, 1263, 1140, 1053 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C23H28NaO3Si [M+Na]+ 403.1705, found 403.1700.
【0051】
実施例22のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.04 (s, 9H), 1.10 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 1.73 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 6.96 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 3.3, 1.5 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 5.1, 3.3 Hz, 1H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.0, 21.4, 21.6, 25.3, 51.4, 52.1, 79.3, 121.2, 123.5, 127.8, 147.6, 176.6. IR(film) 2951, 1724, 1273, 1251, 1111, 1017 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C14H24NaO3SSi [M+Na]+ 323.1113, found 323.1118.
【0052】
実施例23のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.07 (s, 9H), 1.09 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 1.79 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 7.23 (dd, J = 8.1, 5.1 Hz, 1H), 7.64 (dt, J = 8.1, 2.4 Hz, 1H), 8.48 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 2.4 Hz, 1H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.1, 21.1, 21.5, 51.5, 52.2, 79.1, 122.0, 134.5, 134.5, 140.7, 148.0, 148.3, 176.0. IR(film) 2952, 1725, 1416, 1273, 1251, 1154, 1113, 1020 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C15H25NNaO3Si [M+Na]+ 318.1501, found 318.1500.
【0053】
実施例24のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.02 (s, 9H), 1.09 (s, 3H), 1.34 (s, 3H), 3.51 (s, 3H), 3.91 (m, 1H), 4.06 (s, 5H), 4.19 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 7.25-7.45 (m, 3H), 7.97 (d, J = 6.9 Hz, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.6, 23.6, 23.7, 51.4, 53.4, 66.0, 68.3, 68.4, 69.6, 71.1, 84.4, 93.8, 126.3, 127.0, 128.4, 143.5, 176.9. IR(KBr) 2949, 1715, 1263, 1243, 1142, 1100, 1078 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C25H32FeNaO3Si [M+Na]+ 487.1368, found 487.1373.
【0054】
実施例25のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.09 (s, 9H), 1.18 (s, 3H), 1.19 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 4.34 (m, 2H), 7.15-7.70 (m, 10H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.6, 22.2, 24.8, 49.8, 51.7, 89.2, 127.5, 127.5, 127.6, 127.7, 131.2, 132.3, 135.5, 140.7, 177.4, 199.0. IR(film) 2953, 1732, 1687, 1272, 1250, 1147, 1130, 1081 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C22H28NaO4Si [M+Na]+ 407.1655, found 407.1660.
【0055】
実施例26のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.90 (s, 9H), 1.12 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.37 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 3.62 (s, 3H), 4.34 (m, 2H), 7.25-7.37 (m, 3H), 7.50-7.60 (m, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.2, 14.2, 21.8, 22.9, 51.6, 52.7, 61.6, 85.2, 127.3, 127.5, 127.8, 139.0, 172.5, 176.1. IR(film) 2984, 2952, 1737, 1249, 1150, 1033 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C18H28NaO5Si [M+Na]+ 375.1604, found 375.1597.
【0056】
実施例27のアルドール付加体:1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.09 (s, 9H), 1.21 (s, 3H), 1.36 (s, 3H), 1.36 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 3.03 (s, 6H), 4.30 (q, J = 7.2 Hz. 2H), 7.30 (m, 3H) , 7.69 (m, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.4, 14.2, 23.1, 24.8, 39.1, 54.1, 61.3, 86.5, 127.2, 127.6, 128.1, 139.5, 172.7, 175.5. IR(film) 2953, 1735, 1631, 1367, 1247, 1140, 1107, 1034 cm-1. HRMS(FAB+) calcd for C19H31NNaO4Si [M+Na]+ 388.1920, found 388.1916.
【0057】
実施例28-30のアルドール付加体(trans):1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.0 (s, 9H), 1.05 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 3.62 (s, 3H), 6.33 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 7.18-7.42 (m, 11H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 2.1, 21.7, 22.0, 51.6, 52.7, 83.2, 126.6, 126.9, 127.1, 127.9, 128.6, 128.7, 131.9, 134.1, 136.9, 141.3, 176.7. HRMS(FAB+) calcd for C23H30NaO3Si [M+Na]+ 405.1862, found 405.1852.
【0058】
実施例28-30のアルドール付加体(cis):1H NMR (300 MHz, CDCl3) d 0.0 (s, 9H), 1.13 (s, 3H), 1.19 (s, 3H), 3.58 (s, 3H), 4.16 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.62 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 7.15-7.50 (m, 10H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) d 0.6, 22.2, 23.3, 47.3, 49.2, 51.6, 109.3, 126.1, 126.5, 127.8, 127.9, 128.1, 129.3, 139.3, 141.3, 150.9, 177.7. HRMS(FAB+) calcd for C23H30NaO3Si [M+Na]+ 405.1862, found 405.1868.
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えば医薬品や農薬、化粧品の中間体として利用される種々のβ-ヒドロキシカルボニル化合物を製造する際に利用することができる。