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明細書 :紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3858042号 (P3858042)
公開番号 特開2005-340856 (P2005-340856A)
登録日 平成18年9月22日(2006.9.22)
発行日 平成18年12月13日(2006.12.13)
公開日 平成17年12月8日(2005.12.8)
発明の名称または考案の名称 紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法
国際特許分類 H01L  33/00        (2006.01)
H01S   5/323       (2006.01)
FI H01L 33/00 C
H01S 5/323 610
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2005-226357 (P2005-226357)
分割の表示 特願2000-045318 (P2000-045318)の分割、【原出願日】平成12年2月23日(2000.2.23)
出願日 平成17年8月4日(2005.8.4)
審査請求日 平成17年8月12日(2005.8.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】平山 秀樹
【氏名】青柳 克信
個別代理人の代理人 【識別番号】100087000、【弁理士】、【氏名又は名称】上島 淳一
審査官 【審査官】居島 一仁
参考文献・文献 特開平06-164055(JP,A)
特開平09-153645(JP,A)
調査した分野 H01L33/00
H01S5/00-5/50
特許請求の範囲 【請求項1】
結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光するInAlGaN発光層を用いた
ことを特徴とする紫外発光素子。
【請求項2】
結晶成長において材料ガスを同時供給して830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長させ、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であり、InとAlとGaとの組成比の合計が100%である、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光するInAlGaN発光層を製造する
ことを特徴とするInAlGaN発光層の製造方法。
【請求項3】
結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光する第1のInAlGaN発光層と、
結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、かつ、前記第1のInAlGaN発光層とは組成比の異なる、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光する第2のInAlGaN発光層と
を有し、
前記第1のInAlGaN発光層と前記第2のInAlGaN発光層とを交互に複数層積層して量子井戸構造を形成し、
波長360nm以下の紫外域の短波長域において室温で高効率発光する
ことを特徴とする紫外発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外発光素子およびInAlGaN(窒化インジウムアルミニウムガリウム)発光層の製造方法に関し、さらに詳細には、室温において高効率で紫外域の短波長域において発光する紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波長360nm以下の紫外域の短波長域において発光する紫外発光半導体として用いられてきたGaN(窒化ガリウム)やInGaN(窒化インジウムガリウム)やAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)などの窒化物半導体によってでは、360nm以下の紫外域の短波長域においては室温での高効率発光が得られないため、こうした窒化物半導体を用いて紫外域の短波長域において発光する紫外発光素子を実現することはできないものと認められていた。
【0003】
即ち、現在までのところ、窒化物半導体を用いた短波長域の発光素子としては、発光ダイオードに関しては波長370nmまでしか実現されておらず、レーザーダイオードでは波長390nmまでしか実現されていなかった。
【0004】
このため、波長360nm以下の紫外域の短波長域において室温で高効率発光するInAlGaNおよびその製造方法ならびに紫外域の短波長域において発光するInAlGaNを用いた紫外発光素子の開発が強く望まれていた。
【0005】

なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような従来からの強い要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、波長360nm以下の紫外域の短波長域において室温で高効率発光する紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光するInAlGaN発光層を用いたことを特徴とするようにしたものである。
【0008】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、結晶成長において材料ガスを同時供給して830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長させ、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であり、InとAlとGaとの組成比の合計が100%である、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光するInAlGaN発光層を製造することを特徴とするようにしたものである。
【0009】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光する第1のInAlGaN発光層と、結晶成長において830℃乃至950℃の成長温度で結晶成長されたInAlGaN発光層であって、Alの導入によりInを誘発的に結晶に導入してInの結晶への含有率を誘発的に増加させ、Inの組成比が2%乃至20%であり、かつ、Alの組成比が10%乃至90%であって、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となり、かつ、上記第1のInAlGaN発光層とは組成比の異なる、発光強度のピークが波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域においてシングルピークをもって室温で高効率発光する第2のInAlGaN発光層とを有し、上記第1のInAlGaN発光層と上記第2のInAlGaN発光層とを交互に複数層積層して量子井戸構造を形成し、波長360nm以下の紫外域の短波長域において室温で高効率発光することを特徴とするようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上説明したように構成されているので、波長360nm以下の紫外域の短波長域において室温で高効率発光する紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法を提供することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による紫外発光素子およびInAlGaN発光層の製造方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0012】
ここで、本発明による紫外域の短波長域において発光するInAlGaN発光層(以下、「本発明による紫外域の短波長域において発光するInAlGaN発光層」を「紫外発光InAlGaN」と適宜に称する。)は、例えば、有機金属気相成長法を用いて結晶成長装置により半導体ウエハーなどの基板上に結晶薄膜として製造することができるものであり、図1には、こうした結晶成長装置の一例が示されている。
【0013】
即ち、図1は、紫外発光InAlGaNを製造するための結晶成長装置の概念構成説明図であり、この結晶成長装置10は、RF加熱コイル12により周囲を覆われた結晶成長反応炉14内に、表面に紫外発光InAlGaNを成長させる基板としての半導体ウエハー16を上面に配置するとともに当該半導体ウエハー16を加熱するためのサセプター18が配設されている。
【0014】
また、RF加熱コイル12にはRF電源20が接続されており、さらに、RF電源20にはマイクロコンピューターにより構成されたRF制御装置22が接続されている。
【0015】
そして、RF制御装置22によって、RF電源20はその出力を制御される。即ち、RF制御装置22によりRF電源20からRF加熱コイル12への給電が制御されるものであり、RF加熱コイル12はRF電源20からの給電に応じてサセプター18を加熱することになる。
【0016】
即ち、この結晶成長装置10においては、RF電源20からRF加熱コイル12への給電による渦電流誘起加熱により、サセプター18が加熱されるものである。
【0017】
なお、サセプター18は、例えば、カーボンなどにより形成されているものである。
【0018】
一方、結晶成長反応炉14には、半導体ウエハー16上に形成する紫外発光InAlGaNの材料となる材料ガスやキャリアガスなどの各種のガスを導入するためのガス導入孔14aと、結晶成長反応炉14内に導入された各種のガスを排出するためのガス排出孔14bとが形成されている。
【0019】
以上の構成において、サセプター18に配置された半導体ウエハー16上に紫外発光InAlGaNの結晶薄膜を形成するためには、キャリアガスとともに紫外発光InAlGaNの結晶薄膜を形成するために必要な材料となる材料ガスを、ガス導入孔14aから76Torrに減圧された結晶成長反応炉14内へ供給する。
【0020】
この際に、サセプター18内に埋め込まれた熱電対(図示せず)のモニターに基づいて、RF制御装置22により制御されたRF電源20からの給電に応じてRF加熱コイル12によってサセプター18が加熱されており、加熱されたサセプター18からの熱伝導によって、半導体ウエハー16も結晶成長により紫外発光InAlGaNの結晶薄膜を形成するのに最適な成長温度に加熱されるものである。
【0021】
このため、結晶成長反応炉14内に導入された材料ガスは熱により分解、反応して、半導体ウエハー16上に結晶成長により紫外発光InAlGaNの結晶薄膜が形成されることになる。
【0022】
ここで、紫外発光InAlGaNの結晶薄膜を形成するために必要とされる材料ガスは、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムアダクトおよびトリメチルアルミニウムである。また、キャリアガスは、水素および窒素である。
【0023】
なお、これら材料ガスの流量としては、例えば、アンモニアが2L/minであり、トリメチルガリウムが2μmol/min乃至5μmol/minであり、トリメチルインジウムアダクトが5μmol/min乃至60μmol/minであり、トリメチルアルミニウムが0.5μmol/min乃至10μmol/minである。
【0024】
また、キャリアガスの流量としては、水素が100cc/minであり、窒素が2L/minである。
【0025】
そして、紫外発光InAlGaNの結晶成長の成長温度は830℃乃至950℃であるので、半導体ウエハー16は830℃乃至950℃の温度に設定されるように加熱されるものである。
【0026】
また、紫外発光InAlGaNの結晶薄膜の成長速度は、120nm/hourに設定されている。
【0027】
なお、図2には、成長温度とガスフローとの関連図が示されており、図2に示すようなタイミングならびに成長温度で材料ガスが結晶成長反応炉14内に供給されるものである。
【0028】
ところで、図3に示すようにInGaNの結晶成長の成長温度は650℃乃至750℃であり、また、図2ならびに図3に示すようにAlGaNの結晶成長の成長温度は1000℃乃至1200℃であって、InGaNとAlGaNとは結晶成長の成長温度が大きく異なっているため、これまでInAlGaNの高品質結晶の作成は不可能であると見なされていた。
【0029】
しかしながら、本発明者による実験によれば、図2ならびに図3に示すように、InGaNの結晶成長の成長温度とAlGaNの結晶成長の成長温度との間の温度である830℃乃至950℃において、InAlGaNの高品質な結晶成長が行われ、紫外発光InAlGaNを得ることができるものであった。
【0030】
そして、こうして得られた紫外発光InAlGaNの組成比は、Inが2%乃至20%であり、Alが10%乃至90%である(なお、InとAlとGaとの組成比の合計が100%となる。)。なお、Inの組成比は、6%以上であることが好ましい。
【0031】
ここで、上記した紫外発光InAlGaNの気相成長においては、図4乃至図6を参照しながら後述するように、Alの導入により、Inの結晶への含有率が誘発的に増加されるものである。
【0032】
そして、AlGaNへの数%のInの導入により、紫外発光強度が著しく増強されることになった。
【0033】
即ち、紫外発光InAlGaNは、波長280nm乃至波長360nmの深紫外域の短波長域において室温で高効率発光が可能であり、この紫外発光InAlGaNを用いることにより、波長280nm乃至波長360nmの波長域において発光する紫外発光素子を作成することができるようになる。
【0034】
次に、材料ガスの流量についてアンモニアを2L/minとし、トリメチルガリウムを3μmol/minとし、トリメチルインジウムアダクトを60μmol/minとし、トリメチルアルミニウムを0.5μmol/minとするとともに、キャリアガスの流量について水素を100cc/minとし、窒素を2L/minとした場合において、成長温度830℃、成長速度120nm/hourで得られた紫外発光InAlGaNについての室温での実験結果を、図4乃至図6を参照しながら説明する。
【0035】
図4には、InGaNにAlを導入した効果について示されている。この図4に示されているように、InGaNへのAlの導入により、Inが誘発的に結晶に導入されることになる。そして、InGaNの組成比において、Inが6%であり、Alが16%のときに、最も発光強度が大きくなるものである。
【0036】
また、図5には、AlGaNにInを導入した効果について示されている。この図5に示されているように、AlGaNへのInの導入割合大きくするにつれて、発光強度が著しく増大してするものである。
【0037】
さらに、図6には、図7に示すようにSiC上にAlGaNのバッファー層を介して組成比の異なるInAlGaN層を積層して量子井戸構造を形成し、この量子井戸構造に波長257nmのレーザー光を照射した際の紫外発光の結果が示されている。
【0038】
このように、InAlGaNは量子井戸構造で紫外発光するものであるので、組成比の異なるInAlGaN層を積層して形成した量子井戸構造を備えた発光ダイオードやレーザーダイオードなどの紫外発光素子を構成することができることになる。
【0039】
具体的に、図7に示すようにSiC上にAlGaNのバッファー層を介して形成するInAlGaN層をp型やn型にドーピングして積層することにより量子井戸構造を形成し、この量子井戸構造に電極を配設すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明による紫外域の短波長域において発光するInAlGaN発光層を有機金属気相成長法を用いて半導体ウエハーなどの基板上に結晶薄膜として製造する結晶成長装置の概念構成説明図である。
【図2】図2は、成長温度とガスフロートの関連図である。
【図3】図3は、窒化物半導体の気相成長に於ける成長温度範囲を示す説明図である。
【図4】図4は、InGaNにAlを導入した効果を示すグラフである。
【図5】図5は、AlGaNにInを導入した効果を示すグラフである。
【図6】図6は、InAlGaNの量子井戸からの紫外発光を示すグラフである。
【図7】図7は、SiC上にAlGaNのバッファー層を介してInAlGaNを積層して形成した量子井戸構造を示す概念構成説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10 結晶成長装置
12 RF加熱コイル
14 結晶成長反応炉
14a ガス導入孔
14b ガス排出孔
16 半導体ウエハー
18 サセプター
20 RF電源
22 RF制御装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6