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明細書 :スピーカの振動除去装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4406698号 (P4406698)
公開番号 特開2008-199093 (P2008-199093A)
登録日 平成21年11月20日(2009.11.20)
発行日 平成22年2月3日(2010.2.3)
公開日 平成20年8月28日(2008.8.28)
発明の名称または考案の名称 スピーカの振動除去装置
国際特許分類 H04R   1/02        (2006.01)
H04R   1/00        (2006.01)
FI H04R 1/02 101F
H04R 1/00 318A
H04R 1/00 318C
請求項の数または発明の数 14
全頁数 20
出願番号 特願2007-029315 (P2007-029315)
出願日 平成19年2月8日(2007.2.8)
審査請求日 平成19年6月4日(2007.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000104
【氏名又は名称】財団法人ひろしま産業振興機構
発明者または考案者 【氏名】西村 公伸
【氏名】伊奈 龍慶
個別代理人の代理人 【識別番号】100091605、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 敬
審査官 【審査官】大野 弘
参考文献・文献 特開平08-237781(JP,A)
特開平02-226900(JP,A)
登録実用新案第3107462(JP,U)
調査した分野 H04R 1/00
H04R 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
スピーカユニットを取り付けたバッフル板と、
前記バッフル板を収めるスピーカエンクロージャと、
前記スピーカエンクロージャを固定する振動吸収ボードと、
前記スピーカエンクロージャの外側に設ける外付振動伝達手段とを備え、
前記バッフル板の振動を前記外付振動伝達手段で前記振動吸収ボードに伝達して振動を吸収することを特徴とするスピーカの振動除去装置。
【請求項2】
前記バッフル板は前記スピーカエンクロージャの前面を構成することを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項3】
前記振動吸収ボードはL字に構成され、前記スピーカエンクロージャの底面および裏面と対向して配置され、前記外付振動伝達手段により前記バッフル板の振動を
裏面の前記振動吸収ボードに伝達することを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項4】
前記振動吸収ボードは中空部に砂を入れて振動を吸収することを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項5】
前記外付振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカエンクロージャを囲むようにして裏面の前記振動吸収ボードに固定し、前記バッフル板と前記クランプ部との間に前記スパイク部を挟持して、前記バッフル板の振動を前記スパイク部を介して前記クランプ部に伝達することを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項6】
前記スピーカエンクロージャの裏面と前記振動吸収ボードの間に前記スパイク部を挟持して、前記スピーカエンクロージャの裏面の前記バッフル板からの振動を前記スパイク部から前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする請求項5に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項7】
前記外付振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカエンクロージャの裏面を前記振動吸収ボードに引っ張って固定し、前記スピーカエンクロージャの裏面と前記振動吸収ボードとの間に前記スパイク部を挟持して、前記スピーカエンクロージャの裏面から前記バッフル板からの振動を前記スパイク部から前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項8】
前記スピーカエンクロージャは底面に支持用のスパイクを設けて前記振動吸収ボードに載置されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項9】
スピーカユニットを取り付けたバッフル板と、
前記バッフル板に直接取り付けられた内蔵振動伝達手段と振動吸収ボードとを備え、
前記内蔵振動伝達手段および前記振動吸収ボードはスピーカエンクロージャ内に納め、前記バッフル板の振動を前記内蔵振動伝達手段で前記振動吸収ボードに伝達して振動を吸収することを特徴とするスピーカの振動除去装置。
【請求項10】
前記内蔵振動伝達手段はスパイク部で構成され、前記バッフル板と前記振動吸収ボードとの間に設けられ、前記バッフル板からの振動を直接前記振動吸収ボードに伝達することを特徴とする請求項9に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項11】
前記振動吸収ボードは中空部に砂を入れて振動を吸収することを特徴とする請求項9に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項12】
前記バッフル板には前記スピーカユニットを囲むように振動絶縁溝を設けて前記スピーカユニットの振動が前記スピーカエンクロージャの他の部分に伝達しないようにすることを特徴とする請求項9に記載のスピーカの振動除去装置。
【請求項13】
スピーカエンクロージャ内に固定された振動吸収ボード、
前記振動吸収ボードに内蔵振動伝達手段を介して直接取り付けられたスピーカユニットとを備え、
前記スピーカユニットは前記スピーカエンクロージャのバッフル板から空間を設けて露出され、前記スピーカユニットの振動を前記内蔵振動伝達手段で前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とするスピーカの振動除去装置。
【請求項14】
前記内蔵振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカユニットを前記振動吸収ボードに固定し、前記スピーカユニットと前記振動吸収ボード間に前記スパイク部を挟持させ、前記スピーカユニットの振動を前記スパイク部を介して前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする請求項13に記載のスピーカの振動除去装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカの振動除去装置に関し、特に、オーディオ機器のスピーカエンクロージャに発生する振動を除去して音質と音像表現を改善するスピーカの振動除去装置に関する。更に、本発明は高調波歪の除去性能に優れ、高域の白色雑音成分を減衰させて高域のきつさを低減し、透明感のある再生音を実現し、実在感と臨場感を大幅に増加させ、音像の定位が明確になって音源位置の前後感や上下位置の表現が明確になるスピーカの振動除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器ではスピーカなどのように振動源自体を含んでいたりするために、機器に振動エネルギーが発生し、これらの振動が再生音に大きく影響して音質の劣化や音像定位に影響を与えている。
【0003】
スピーカシステムは電気信号によりコーンなどを振動させて音響信号に変換する装置であるが、面の振動原理を用いるため、多かれ少なかれ、音響信号以外の不要な歪振動を発生し、忠実な信号再生が出来ない。この歪振動により、放射音(音響再生信号)に歪成分が混入し雑音となり、位相や振幅情報を乱し、音質や音像定位を劣化させている。
【0004】
こうした対策の一つとして、特許文献1に示すように円錐形構造のスパイクが一段用いられた支持構造がすでに実用化されており、ある程度の効果が得られている。
【0005】
また、特許文献2ではスピーカキャビネットの対向する面を外側から支柱などを用いて圧縮力を加えて、スピーカキャビネットの剛性を見かけ上強くして共振周波数や振動減衰特性等の固有値を変えて、スピーカ放射音の減衰特性を向上させるものである。

【特許文献1】実用新案登録第3107462号公報
【特許文献2】特開平7-7778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示す円錐形構造のスパイクを1段用いた支持構造では、振動絶縁用のゴム等の緩衝材に比べればオーディオ分野でもかなりの振動除去効果を示しているが、スピーカから発生する歪振動は依然発生するので、スピーカエンクロージャの底面からこの歪振動を外部に逃がすだけで根本的な対策になっていない問題点がある。
【0007】
また、特許文献2に示す支柱によるスピーカキャビネットの剛性の補強でもスピーカから発生する歪振動は依然発生するので、スピーカキャビネットの歪振動に依る箱鳴りを抑えるだけであり、積極的に歪振動を除去するものではなく根本的な対策になっていない問題点がある。
【0008】
更に、いずれの特許文献1、2もスピーカからの歪振動が最初に発生するバッフル板もしくはバッフル板に対向するエンクロージャ背面に対して取られる振動除去対策ではなくそのために振動除去効果も十分ではない問題点もある。
【0009】
なお、本発明者は既に、特許第3848987号(特願2005-332084)としてスピーカエンクロージャを載置する多段スパイク構造を提案している。しかし、スピーカユニットを固定するバッフル板から直接振動除去を行うものではないので、直接的なスピーカの振動除去となっていない問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、スピーカユニットを取り付けたバッフル板と、前記バッフル板を収めるスピーカエンクロージャと、前記スピーカエンクロージャを載置する振動吸収ボードと、前記スピーカエンクロージャの外側に設ける外付振動伝達手段とを備え、前記バッフル板の振動を前記外付振動伝達手段で前記振動吸収ボードに伝達して振動を吸収することを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、前記バッフル板は前記スピーカエンクロージャの前面を構成することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明では、前記振動吸収ボードはL字に構成され、前記スピーカエンクロージャの底面および裏面と対向して配置され、前記外付振動伝達手段により前記バッフル板の振動を裏面の前記振動吸収ボードに伝達することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明では、前記振動吸収ボードは中空部に砂を入れて振動を吸収することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明では、前記外付振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカエンクロージャを囲むようにして裏面の前記振動吸収ボードに固定し、前記バッフル板と前記クランプ部との間に前記スパイク部を挟持して、前記バッフル板の振動を前記スパイク部を介して前記クランプ部に伝達することを特徴とする。
【0015】
更に、本発明では、前記スピーカエンクロージャの裏面と前記振動吸収ボードの間に前記スパイク部を挟持して、前記スピーカエンクロージャの裏面の前記バッフル板からの振動を前記スパイク部から前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明では、前記外付振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカエンクロージャの裏面を前記振動吸収ボードに引っ張って固定し、前記スピーカエンクロージャの裏面と前記振動吸収ボードとの間に前記スパイク部を挟持して、前記スピーカエンクロージャの裏面から前記バッフル板からの振動を前記スパイク部から前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明では、前記スピーカエンクロージャは底面に支持用のスパイクを設けて前記振動吸収ボードに載置されることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明では、スピーカユニットを取り付けたバッフル板と、前記バッフル板に直接取り付けられた内蔵振動伝達手段と振動吸収ボードとを備え、前記内蔵振動伝達手段および前記振動吸収ボードはスピーカエンクロージャ内に納め、前記バッフル板の振動を前記内蔵振動伝達手段で前記振動吸収ボードに伝達して振動を吸収することを特徴とする。
【0019】
更に、本発明では、前記内蔵振動伝達手段はスパイク部で構成され、前記バッフル板と前記振動吸収ボードとの間に設けられ、前記バッフル板からの振動を直接前記振動吸収ボードに伝達することを特徴とする。
【0020】
更に、本発明では、前記振動吸収ボードは中空部に砂を入れて振動を吸収することを特徴とする。
【0021】
更に、本発明では、前記バッフル板には前記スピーカユニットを囲むように振動絶縁溝を設けて前記スピーカユニットの振動が前記スピーカエンクロージャの他の部分に伝達しないようにすることを特徴とする。
【0022】
更に、本発明では、スピーカエンクロージャ内に固定された振動吸収ボードと、前記振動吸収ボードに内蔵振動伝達手段を介して直接取り付けられたスピーカユニットとを備え、
前記スピーカユニットは前記スピーカエンクロージャのバッフル板から空間を設けて露出され、前記スピーカユニットの振動を前記内蔵振動伝達手段で前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする。
【0023】
更に、本発明では、前記内蔵振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、前記クランプ部で前記スピーカユニットを前記振動吸収ボードに固定し、前記スピーカユニットと前記振動吸収ボード間に前記スパイク部を挟持させ、前記スピーカユニットの振動を前記スパイク部を介して前記振動吸収ボードに直接伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のスピーカの振動除去装置では、振動吸収ボードと外付振動伝達手段により、記バッフル板の振動を直接的に外付振動伝達手段で振動吸収ボードに伝達して振動を吸収するので、バッフル板の不要の振動はすぐに除去され高調波歪の原因となるバッフル板自体の不要の振動を抑制できる。従来の対策であるスピーカエンクロージャの底面をスパイクで下方3点支持する場合では、バッフル板の振動がスピーカエンクロージャ全体に伝播した後に上下方向の振動をスパイクで外部に逃がしており、バッフル板自体の不要の振動に対する対策になっていなかった。
【0025】
この結果、スピーカシステムの高調波歪が更に低減でき、伝達関数も改善できる。これにより以下の音質的改善効果が得られる。
【0026】
1)キンキンしたうるささがなくなり、耳障りでなくなる。
【0027】
2)高域の雑音感がなくなり(白色雑音的なサーというノイズがなくなる)、透明感が出る。
【0028】
3)低音の放射効率が向上し、小型スピーカであっても十分な音量が実現できる。
【0029】
4)音の情報量が増し、周囲状況(録音時の周囲環境、部屋の残響所状況など)がわかり、楽器など音源の周りに広がる音の空間の様子がわかるようになる。また、いっそう細かな音が聞き取れるようになる。分解能が向上する。
【0030】
また、以下のような音像定位に関する効果も得られる。
【0031】
1)音像の前後位置関係がいっそう明確になる。
【0032】
2)音像の上下位置関係がいっそうはっきりし、位置が高くなる。
【0033】
3)音像がくっきりと鮮明に認識できるようになる。ただし、マイクとの距離が遠く、残響の影響が大きい場合には大きな改善はないが、一方で、その距離感が奥行感となって、ステージの広がりをいっそう明確に表現する。
【0034】
また、本発明のスピーカの振動除去装置では、振動吸収ボードをスピーカエンクロージャの底面および裏面と対向して配置し、外付振動伝達手段によりバッフル板の振動を裏面の振動吸収ボードに伝達することにより、スピーカエンクロージャの前後方向の振動を直接的に除去できる。
【0035】
更に、本発明のスピーカの振動除去装置では、振動吸収ボードは中空部に砂を入れて振動を吸収するので、異音も発生せず振動の吸収を効率よく行える。
【0036】
更に、本発明のスピーカの振動除去装置では、外付振動伝達手段はスパイク部とクランプ部とで構成され、クランプ部でスピーカエンクロージャを囲むようにして裏面の振動吸収ボードに固定し、バッフル板とクランプ部との間にスパイク部を挟持して、バッフル板の振動をスパイク部を介してクランプ部に伝達する構成になるため、既存のスピーカシステムに改造なしで応用できる。また、クランプ部でスピーカエンクロージャを締め付けるので、地震等の揺れに対しても頑強な支持が行える。
【0037】
更に、本発明のスピーカの振動除去装置では、スピーカエンクロージャは底面に支持用のスパイクを設けて振動吸収ボードに載置されることにより、スピーカエンクロージャの上下方向の振動も振動吸収ボードに効率よく吸収できる。また、クランプ部の締め付けにより底面の支持用のスパイクは1個で済み、高価な多段の支持用のスパイクを最小限の個数に抑えられる。
【0038】
更に、第2の実施の形態に示す本発明のスピーカの振動除去装置では、クランプ部でスピーカエンクロージャの裏面を振動吸収ボードに引っ張って固定し、スピーカエンクロージャの裏面と振動吸収ボードとの間にスパイク部を挟持して、スピーカエンクロージャの裏面からバッフル板からの振動をスパイク部から振動吸収ボードに直接伝達するので、バッフル板の振動を直接は除去できないが、対向する裏面の振動を直接除去できる。この結果、視聴者からは外付振動伝達手段を見えないようにでき、スピーカエンクロージャの前後方向の振動を直接除去できる。
【0039】
更に、第3の実施の形態に示す本発明のスピーカの振動除去装置では、内蔵振動伝達手段および振動吸収ボードはスピーカエンクロージャ内に納め、バッフル板の振動を内蔵振動伝達手段で振動吸収ボードに伝達して振動を吸収するので、視聴者には振動除去装置が全く隠れてしまい、従来のスピーカシステムの外観と同様になり、従来通りの美感が維持できる。
【0040】
更に、本形態では、バッフル板に設けた振動絶縁溝によりスピーカユニットの振動が絶縁されてスピーカエンクロージャに伝達され難くなり、振動絶縁溝をジェルで埋めることでスピーカエンクロージャからの空気の漏れも防止できる。
【0041】
更に、前述した第1から第3の実施の形態に関する本発明のスピーカの振動除去装置では、スピーカユニットをバッフル板に固定する際に小型のスパイクを挟んで固定することにより、スピーカユニットからバッフル板への振動伝達の効率を向上でき、スピーカユニットに残る不要振動の残留量を一層低減することができる。
【0042】
更に、第4の実施の形態に示す本発明のスピーカの振動除去装置では、スピーカユニット自体を直接内蔵振動伝達手段で直接振動吸収ボードに固定しているので、スピーカユニット自身の振動をスピーカエンクロージャに伝達することなく振動吸収ボードに吸収でき、スピーカユニットに残る不要振動の残留量を前述した本発明の他の実施の形態より更に一層低減することができる。
【0043】
更に、本形態ではスピーカユニット自体がスピーカエンクロージャから空隙を設けて配置されるので、スピーカユニットの振動はスピーカエンクロージャに直接伝達されることがなく、究極の解決策となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図1は本発明に依るスピーカの振動除去装置を説明する正面図であり、図2は本発明に依るスピーカの振動除去装置を説明する側面図であり、図3は本発明に依るスピーカの振動除去装置を説明する上面図である。図4は本発明に用いた振動吸収ボードを説明する断面図である。図5は本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットを説明する模式図である。図6は本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットの振動モデルを説明する模式図である。図7は本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットの振動特性を説明する特性図である。図8は本発明のスピーカの振動除去装置のバッフル板の振動測定装置の概略図である。図9は本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカから出る放射音の高調波歪を測定する放射音測定装置の概略図である。
【0045】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態によるスピーカの振動除去装置は、スピーカユニット1を取り付けたバッフル板2と、バッフル板2を収めるスピーカエンクロージャ10と、スピーカエンクロージャ10を載置する振動吸収ボード3と、スピーカエンクロージャ10の外側に設ける外付振動伝達手段4から構成されている。
【0046】
スピーカユニット1は通常、高音再生用のトゥイータ11と低音再生用のウーハ12を組み合わせ、メインアンプから音響入力信号によりコーン紙などの振動板を駆動して音を再生する。このスピーカユニット1はバッフル板2に設けた口径に対応する孔の周辺にネジ止めされ、上側にトゥイータ11を下側にウーハ12を少し離間して配置する。
【0047】
バッフル板2は丈夫な板で形成され、スピーカエンクロージャ10の前面板となる。スピーカエンクロージャ10は上面板、底面板、左右の側板、バッフル板2と対向する裏面板とで構成され、いずれも剛性を持たせるために丈夫な板で形成される。
【0048】
振動吸収ボード3は3段構造の板体であり、中間の板を周辺を残して中空部31を作り、中空部31に砂32を入れる。砂32はお互いに結合することがなくさらさらしているので振動により異音を発生せず、振動を効率よく吸収して他への振動の伝播を防ぐ。砂32としては、できるだけ細かいものが振動吸収に適しており、砂時計に使う砂などが良い。
【0049】
振動吸収ボード3は2枚をL字に配置してスピーカスタンド5に下側を固定する。この振動吸収ボード3はスピーカエンクロージャ10の底面板および裏面板と近接して配置される。
【0050】
スピーカエンクロージャ10は1個あるいは3個の支持用スパイク6を用いて下側の振動吸収ボード3上に載置される。支持用スパイク6はシングルスパイクでもシングルスパイクを積層した多段スパイクでも良い。支持用スパイク6の形状は後述するスパイク部41,42と同様のものでよい。
【0051】
外付振動伝達手段4は前後のスパイク部41、42とクランプ部43とで構成され、スピーカエンクロージャ10の外側から囲むように配置されてスピーカエンクロージャ10を垂直側の振動吸収ボード3に固定をする。
【0052】
クランプ部43は前面の押さえ棒44、真鍮(軟鉄でも良い)製長ねじ45および背面の押さえ棒46で構成され、前面の押さえ棒44はスピーカエンクロージャ10の前面のバッフル板2に近接して配置され、背面の押さえ棒46は垂直側の振動吸収ボード3の裏側に当接して配置され、真鍮製長ねじ45の長さを調整して前面の押さえ棒44と背面の押さえ棒46でスピーカエンクロージャ10を挟んで垂直側の振動吸収ボード3に固定する。従って、前面の押さえ棒44は目に見えるので彫刻や化粧板などで美感を持たせると良い。また、真鍮製長ねじ45はスピーカエンクロージャ10の左右側板の近くに位置するので、メッキなどで化粧をするとデザイン上で良い。
【0053】
前後のスパイク部41,42はほぼ円錐状の金属であり、伝達される振動は円錐部分の底面に効率よく伝えられて円錐部分の頂点から外部に逃がすことができる。一方、外部から円錐部分の頂点に伝えられた振動はバネの弾性係数の違いで円錐部分の底面には伝達しにくくなる。これをメカニカルダイオードと呼び、振動を一方向にのみ伝達する特性を有する。すなわち、スピーカエンクロージャ10からスパイク部41,42に伝えた振動が再びスピーカエンクロージャ10ヘ戻らないように振動の伝達の抑制をする。
【0054】
具体的に、スパイク部41、42は円錐部分の底面直径が20mm、高さが13mmに設計される。スパイク部の材料は金属材料をNT工作機で研削して形成される。特に、スパイク部の材料としては真鍮などの銅系の金属が最適である。スピーカエンクロージャの重量や振動によるスパイク部の頂点の摩耗による変形を生じない強度を考慮されるからである。スパイク部の円錐部分の頂角は50度から100度の範囲内で選ばれ、実験的には72度程度が聴覚上最適であることが分かった。スパイク部の頂点は少し丸みを持たせ、スパイク受け47の窪みで安定して支持させている。
【0055】
前のスパイク部41はクランプ部43の前面の押さえ棒44とバッフル板2のウーハとツィータの間に円錐部底面をバッフル板2に当接し、頂点を押さえ棒44の裏側のスパイク受け47に当接して配置される。これにより、前のスパイク部41はクランプ部43でしっかりと固定され、バッフル板2の振動を直ちにクランプ部43に伝達して吸収される。前のスパイク部41は通常1個であるが、複数個にしても良い。前のスパイク部41はできるだけ大きな振動を発生するスピーカユニット1のウーハの近くに配置するのが振動をすぐに吸収できるので好ましい。
【0056】
後のスパイク部42はスピーカーエンクロージャ10の裏面板と垂直側の振動吸収ボード3の間に円錐部底面をスピーカエンクロージャ10側に当接し、頂点を振動吸収ボード3に設けたスパイク受け47に当接して配置される。これにより、後のスパイク部42はクランプ部43の締め付け力でしっかりと固定され、スピーカエンクロージャ10の裏面板から直接垂直側の振動吸収ボード3に振動を伝達して吸収する。後のスパイク部42は2個で構成され、前述した前のスパイク部41とで3点支持でクランプ部43によりスピーカエンクロージャ10は安定して固定される。後のスパイク部42を1個にして、前のスパイク部41を2個にする3点支持でも前例よりは安定性が劣るが良い。
【0057】
次に、本発明の動作原理について説明する。
【0058】
スピーカユニットは、マグネット、フレーム、振動板(コーン紙)、コイル、振動板エッジ(2箇所)から構成され、それぞれが質量、剛性、損失を持つ。ここで、簡略化のため、損失を無視するとスピーカユニットとバッフルの関係は図5の模式図に示される。これを集中定数の振動モデルで表現すると図6のような3自由度のモデルで書き表せる。
【0059】
ここで、バッフルはエンクロージャとなっており、内部の空気によるバネ成分はke1に含む。バッフルは、不動点(振動的アース)上に置かれているが、バッフル自体が剛性を持っており、屈曲振動をするため無数の振動モードを持つと考えられる。それらをすべて含めて単純にバッフル質量mがバネkで支えられているモデルと考えることができる。一方、スピーカユニットのマグネットはスピーカフレームを通してバッフルに接続されており、バッフルにバネkで支えられている。スピーカユニットの振動板(コーン紙)は、振動板やコイルなどの質量をまとめてmとするなら、これが、マグネットとバッフルの間で2個のバネke1及びke2で支えられている形となる。ここでkはバネ係数を表している。
【0060】
一方、電気信号による加振力f(ω)はコイルにより発生されるが、この力はマグネットを基準として相対的に発生される。したがって、スピーカユニットに加わる加振力は絶対的な基準(アース)に対して発生されていないので、再現性が低下する。これは、単純に見ても3自由度の振動形を構成しており、マグネット自体が3つのモードを持って振動し、これを基準にしてスピーカユニットの振動板に加振力を与えることになる。従って、振動板に伝達される力は、固有の伝達特性を持つこととなる。ここで、マグネットおよびバッフルが不動点であるなら、振動板に加わる加振力は、このモデルにおいて音響電気信号を忠実に再現するものとなる。以上により、バッフルの振動を除去することがバッフルを不動点にする効果があり、振動板に不要の振動を加えないのである。
【0061】
更に、図6においてマグネットは十分に大きく重いので、マグネットの影響を無視して2自由度の振動モデルを想定し、振動板とバッフルのみで関係をモデル化し、バッフルの振動モードが加振力による振動板の振動にどのように影響するかをシミュレートした結果を図7に示す。
【0062】
図7では、80Hzあたりのピークはスピーカユニット(ウーハ)の共振モードであり、mとke1及びke2により決まるものであり、バッフルやスピーカユニットのフレームが剛体で振動しない場合のモードである。
【0063】
一方、230Hz あたりのピークはバッフルの振動により、振動板の振動に影響が現れたもので、このモデルではバッフルが単一振動モードを持つ仮定でモデル化したため、乱れが1箇所のみとなった。しかし、バッフルは屈曲振動により無数のモードを持つため、こうした乱れは、モードの個数だけ生じると考えられる。この結果から、バッフルの振動抑制は音響電気信号の忠実な再現に大きな効果を生じることが示される。
【0064】
続いて、前述した第1の実施の形態に基づいてその具体的な動作を説明する。
【0065】
本形態では、特に、スピーカエンクロージャ10を対象とし、スピーカユニット1には音響電気信号により発生する振動が伝播してスピーカエンクロージャ10に上下方向、左右方向、前後方向の振動が発生する。この振動を振動吸収ボード3に直ちに吸収させることにより、音質の改善を目指す。
【0066】
バッフル板2に当接した前のスパイク部41からバッフル板2の振動をクランプ部43の前面の押さえ棒44に伝え、真鍮製長ねじ45を通して背面の押さえ棒46から垂直側の振動吸収ボード3の砂に吸収される。クランプ部43はスピーカエンクロージャ10をしっかりと振動吸収ボード3に固定しているので、バッフル板2の振動は直ちに振動吸収ボード3に伝えられ、バッフル板2の不要の振動を抑制する。これによりバッフル板の不要の振動が直ちに抑制される。
【0067】
また、スピーカエンクロージャ10の背面にバッフル板2の振動が内部の空気を介して伝えられるので、この振動をスピーカエンクロージャ10の裏面板に当接する後のスパイク部42から直接垂直側の振動吸収ボード3に伝えて砂で吸収する。これにより裏面板からの振動の反射が抑制される。
【0068】
更に、バッフル板2の振動が内部の空気を介して伝えられて発生するスピーカエンクロージャ10の上下方向の振動は底面板に設けた支持用スパイク6から直ちに下側の振動吸収ボード3に伝えられてその中の砂に吸収される。
【0069】
更にまた、スピーカエンクロージャ10の左右方向の振動も発生するが、他の方向に比べて音質への影響が少ないので、本実施の形態では考慮されていない。しかし、万全を期すのであれば、左右にも振動吸収ボード3を追加してスパイク部を設け、クランプ部4で他のスパイク部と同様に締め付ければ良い。
【0070】
図8はバッフル板の振動測定装置の概略図である。
【0071】
高速フーリエ変換装置(FETアナライザ)から正弦波信号をネットワークを介してスピーカユニットであるウーファとツィータに周波数分割して印加し、スピーカエンクロージャのバッフル板の振動状態を非接触のレーザードプラ振動計で測定し、FETアナライザで解析している。
【0072】
この振動測定装置に使用する機器は以下の表1のように構成される。
【0073】
【表1】
JP0004406698B2_000002t.gif
表1で、ラインアンプML-33Mk2は、DA変換の後、バッファアンプの出力のインピーダンスを下げて、一層高周波域での位相変化を抑えて音像定位を良くする為に用いる。
【0074】
ここではスピーカエンクロージャ10の底面に3段スパイクで下方3点支持の場合と、本実施の形態である前のスパイク部41が1個のシングルスパイクで、後のスパイク部42が2個のシングルスパイクで、底面の支持用スパイク6が3段スパイクによる下方1点支持の場合とでバッフル板の振動除去の特性について比較を行った。この比較結果表を表2に示す。
【0075】
【表2】
JP0004406698B2_000003t.gif


表2は下方3点支持の場合に対して本実施の形態の装置がどれだけ振動レベルが低いかを表しており、差の欄で負の値であるときは本実施の形態の装置の方が優れていることが示される。表2より、ウーファが主として再生を受け持つ1000Hzまでの低周波数帯ではかなりの差が出ている。ウーファは特にバッフル板に大きな振動を生じさせるので、本実施の形態の装置の効果が大きいことが明らかである。また、本実施の形態の装置では、高調波歪による振動はバッフル板表面上ではほとんどバックグラウンドノイズに埋もれて検出できなかった。
【0076】
図9はスピーカから出る放射音の高調波歪を測定する放射音測定装置である。高速フーリエ変換装置(FETアナライザ)からの正弦波信号をアンプで増幅してネットワークを介してスピーカユニットのツィータとウーファに周波数分割して印加し、スピーカの正面に設けたマイクロフォンで集音してその放射音の信号をFETアナライザで解析している。放射音の測定に使用する機器は表1に表示した。

【0077】
【表3】
JP0004406698B2_000004t.gif
正弦波信号入力に対する放射音の信号レベルと高調波歪を、下方3点支持の場合と本実施の形態の装置の場合とで比較した結果および改善度を表3に示す。正弦波信号は1000Hzと2000Hzの2周波数でのそれぞれ高調波歪成分の大きさを示している。改善度は下方3点支持の場合に対し本実施の形態の装置の場合がどの程度改善を示しているかを評価するため、上述の2周波数の正弦波信号に対しては、どれだけ出力レベルが増加したかを、また、高調波歪に対しては、正弦波信号と各次の高調波歪の差がどれだけ本装置の方で大きくなったかを表している。従って、改善度が正の値の場合改善され、負の場合悪化していることを示す。表3より、特にlkHzに対しては大きく改善されていることが明らかである。
【0078】
表3において、2次以降の高調波の改善度の計算方法は、基本波と各支持法でのn次高調波のレベル差(Δεn=基本波-n次高調波)をとってΔεnをそれぞれ求め、本装置でのΔεnから下方3点支持でのΔεnを引いて改善度とする。つまり、基本波に対してどれだけ高調波が減衰しているかを表している。

【0079】
【表4】
JP0004406698B2_000005t.gif
次に、下方3点支持の場合に対し本実施の形態の装置の場合の音質変化が聴感上確認できるので、白色雑音の信号入力と放射音間の周波数伝達関数の測定を行った。その結果については両者にほとんど差異がなく、音質変化の要因として特定するに至らなかった。スピーカヘの周波数伝達関数の平均値と分散を比較した結果を表4に示す。平均値で僅かに本実施の形態の装置の伝達能力が上回っている。また、平均周りの散らばりに関しても、本実施の形態の装置が散らばりが少なく安定していることが分かる。
【0080】
(第2の実施の形態)
図10~図12は本発明のスピーカの振動除去装置の第2の実施の形態を説明する正面図、側面図、上面図である。
【0081】
第2の実施の形態によるスピーカの振動除去装置は、上述した第1の実施の形態で外付振動伝達手段4に変更を加えたものである。
【0082】
図10~図12に示すように、前のスパイク部41を無くして後のスパイク部42のみとし、クランプ部43をスピーカエンクロージャ10の裏面板から出して振動吸収ボード3に固定するように変更する。これにより第1の実施の形態で用いた前面の押さえ棒44と真鍮製長ねじ45が廃止されて、背面板に一端を固定された真鍮製ねじ48を用いてスピーカエンクロージャ10を直接垂直側の振動吸収ボード3側に引っ張って固定する。この結果、クランプ部43がスピーカエンクロージャ10の裏面に隠れて視聴者の美感が増加する。
【0083】
後のスパイク部42は安定した支持を得るために3個のシングルスパイクによる3点支持にすればスピーカエンクロージャ10は安定して垂直側の振動吸収ボード3に固定される。
【0084】
性能面ではバッフル板2から直接振動を伝達する前のスパイク部41が無くなるので、バッフル板の振動は対向する裏面板から後のスパイク部42で振動吸収ボード3に伝えられる。このためにバッフル板2の振動を直接抑制することはできなくなるが、対抗するスピーカエンクロージャ10の裏面板の振動を抑制することで下方3点支持の場合よりは前後方向の振動の吸収は速く行え、バッフル板2の振動抑制には効果が大きい。
【0085】
また、クランプ部43の真鍮製ねじ48はスピーカエンクロージャ10の背面板を貫通してバッフル板2の裏面に一端を固定されるとバッフル板2の振動を直接真鍮製ねじ48を介して振動吸収ボード3に伝達できる。これにより前述した背面板に一端を固定された真鍮製ねじ48を用いた場合に比べて更に振動抑制の効果が大きくできる。なお、真鍮製ねじ48が貫通する背面板の孔はジェルで埋めてスピーカエンクロージャからの空気の漏れを防ぐことができる。
【0086】
(第3の実施の形態)
図13および図14は本発明のスピーカの振動除去装置の第3の実施の形態を説明する上面図、背面図である。
【0087】
第3の実施の形態によるスピーカの振動除去装置は第1の実施の形態で用いた振動吸収ボード3と外付振動伝達手段4とをスピーカエンクロージャ10の内部に収めることに特徴がある。
【0088】
図13および図14に示すように、第3の実施の形態によるスピーカの振動除去装置は、スピーカユニット1を取り付けた中央バッフル板20と、中央バッフル板20に直接取り付けられた内蔵振動伝達手段400と振動吸収ボード300と中央バッフル板の周囲を囲む周囲バッフル板21および周囲バッフル板21が取り付けられるエンクロージャ10から構成される。本形態のバッフル板20、21は第1の形態とは異なり、中央バッフル板20と周囲バッフル板21とは振動絶縁溝22で切り離されており、振動絶縁溝22には空気漏れを防ぎかつ振動的に絶縁できるシリコン樹脂などのコーキング材より成るジェル23で充填される。従って、中央バッフル板20と周囲バッフル板21とは一体の構造になり、バッフル板2を構成している。
【0089】
スピーカユニット1は前述した第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0090】
内蔵振動伝達手段400は中央バッフル板20の裏面に当接して設けられた複数個のスパイク部401とクランプ部402で構成される。複数個のスパイク部401はスピーカユニット1のウーファの周囲に3個ほど配置されている。クランプ部402は振動吸収ボード300を真鍮長ねじ402を締め付けることで、中央バッフル板20と振動吸収ボード300の間に複数個のスパイク部401を挟持する。なお、中央バッフル板20にはスピーカユニット1が取り付けられているので、振動吸収ボード300はスピーカユニット1の厚み分以上は中央バッフル板20から離間して設けなくてはならないので、複数個のスパイク部401は多段のスパイクにしたり、スパイク受け47を円柱状に長く形成してやる必要がある。
【0091】
振動吸収ボード300は第1の実施の形態と同様の図4に示す構造であり、中央バッフル板20の振動を複数個のスパイク部401から直接振動吸収ボード300に伝えて砂でその振動を吸収する。
【0092】
本実施の形態では振動除去装置がすべてスピーカエンクロージャ10内に納められるので、リスナーは振動除去装置の存在を認識できない利点がある。また、スピーカユニットからの振動が周囲バッフル板21やエンクロージャ10へ伝達されるのが極力抑えられ、さらに、音質改善の効果が増大される。
【0093】
図15(A)(B)は本発明のスピーカの振動除去装置に適用できる他の形態のスピーカユニット取り付け部の詳細図である。このスピーカユニット取り付け部はバッフル板にスピーカユニットを固定する前述した第1~第3の実施の形態に適用ができる。
【0094】
図15(A)に示すように、スピーカユニット1の取り付けフレームとバッフル板2との間に、小型のスパイク52を挟み、スピーカユニット1の表側にも小型のスパイク52をおいてスパイク受け47で挟み、このスパイク受け47をボルト50とナット51で押さえつけてバッフル板2に固定する。この時、ボルト50はスピーカユニット1のフレームに接触しないようにする。
【0095】
図15(B)に示すように、ボルト50の両側の接近した位置にスパイク52を配置して、ボルト50とナット51を締め付けて小型のスパイク52を固定する。小型のスパイク52はメカニカルダイオード効果を持たせるためにスピーカユニット1のフレーム側に円錐の底面を当接させ、先端はスパイク受け47で受けるように配置される。
【0096】
このようなスピーカユニット取り付け部では、スピーカユニット1のフレームに生じる振動が効率よく小型のスパイク52を介してバッフル板2に逃がされ、バッフル板2からの振動の逆戻りは無くなる。このために、スピーカユニット1の振動がバッフル板2に不要の振動を発生させず、振動吸収ボード3に吸収されるので、音質改善の効果が更に増大される。
【0097】
(第4の実施の形態)
図16および図17は本発明のスピーカの振動除去装置の第4の実施の形態を説明する図であり、図16はスピーカユニット取り付け部の詳細を説明し、図17はバッフル板とスピーカユニットの関係を示している。
【0098】
図16に示すように本実施の形態によるスピーカの振動除去装置は、バッフル板2にスピーカユニット1を取り付けない点に特徴がある。L字の振動吸収ボード300は底面側をスピーカエンクロージャ10の内側の底面に固定され、垂直側に直接スピーカユニット1を固定する。
【0099】
スピーカユニット1は内蔵振動伝達手段400により直接振動吸収ボード300に固定される。内蔵振動伝達手段400はスパイク部401とクランプ部402で構成される。
【0100】
スパイク部401はスピーカユニット1のフレーム101と振動吸収ボード300の間に配置する4個の長いスパイク401L(円錐状の底面をフレーム側に当接)と、スピーカユニット1のマグネット102と振動吸収ボード300の間に配置する1個の太いスパイク401F(円錐状の底面をマグネット側に当接)、クランプ部402の裏側の押さえ棒404と振動吸収ボード300の間に配置する2個の短いスパイク401S(円錐状の底面を押さえ棒側に当接)で構成される。いずれのスパイクの先端はスパイク受け47を用いて受けている。
【0101】
クランプ部402は真鍮製長ねじ403と裏側の押さえ棒404で構成される。真鍮製長ねじ403はスピーカユニット1のフレーム101に設けたねじ孔103を通り、他端を裏側の押さえ棒404を通してナットで締め付ける。この締め付け力でスピーカユニット1はスパイク部401を介して振動吸収ボード300に固定される。
【0102】
図17に示すように、バッフル板2にはスピーカユニット1より少し大きい孔201が設けられ、この孔201に接触しないようにスピーカユニット1が露出される。従って、スピーカユニット1とバッフル板2の間にはわずかな空隙202が形成されている。
【0103】
本実施の形態では、スピーカユニット1は完全に振動吸収ボード300のみで支持固定されるので、スピーカユニット1の振動はすべて振動吸収ボード300で吸収されて、スピーカエンクロージャに直接伝達されることがない。また質量の大きなスピーカユニット1のマグネット102もスパイク部401を用いて振動を振動吸収ボード300に逃がしているので、究極の不要の振動除去を実現できる。
【0104】
本実施の形態では、スピーカユニット1のマグネット102やフレーム101に生じる振動を一番短いパスで直接振動吸収ボード300に逃がすため、理想的な振動除去が行え、音質改善の効果が究極的に改善される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明はオーディオ機器として用いるスピーカシステムについて、バッフル板に必然的に発生する振動を抑制または除去する性能を大幅に向上して、音質と音像表現を著しく改善するスピーカを実現する。特に、高調波歪の除去性能に優れ、高域の白色雑音成分を減衰させて高域のきつさを低減し、透明感のある再生音を実現し、実在感と臨場感を大幅に増加させ、音像の定位が明確になって音源位置の前後感や上下位置の表現が明確になるスピーカを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明のスピーカの振動除去装置の第1の実施の形態を説明する正面図である。
【図2】本発明のスピーカの振動除去装置の第1の実施の形態を説明する側面図である。
【図3】本発明のスピーカの振動除去装置の第1の実施の形態を説明する上面図である。
【図4】本発明のスピーカの振動除去装置の振動吸収ボードを説明する断面図である。
【図5】本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットを説明する模式図である。
【図6】本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットの振動モデルを説明する模式図である。
【図7】本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカユニットの振動特性を説明する特性図である。
【図8】本発明のスピーカの振動除去装置のバッフル板の振動測定装置の概略図である。
【図9】本発明のスピーカの振動除去装置のスピーカから出る放射音の高調波歪を測定する放射音測定装置の概略図である。
【図10】本発明のスピーカの振動除去装置の第2の実施の形態を説明する正面図である。
【図11】本発明のスピーカの振動除去装置の第2の実施の形態を説明する側面図である。
【図12】本発明のスピーカの振動除去装置の第2の実施の形態を説明する上面図である。
【図13】本発明のスピーカの振動除去装置の第3の実施の形態を説明する上面図である。
【図14】本発明のスピーカの振動除去装置の第3の実施の形態を説明する背面図である。
【図15】(A)(B)は本発明のスピーカの振動除去装置に適用できるスピーカユニット取り付け部の側面図及び部分上面図である。
【図16】本発明のスピーカの振動除去装置の第4の実施の形態を説明する上面図である。
【図17】本発明のスピーカの振動除去装置の第4の実施の形態を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0107】
1 スピーカユニット
2 バッフル板
3 振動吸収ボード
4 外付振動伝達手段
41、42 前後のスパイク部
43 クランプ部
44 前面の押さえ棒
45 真鍮製長ねじ
46 背面の押さえ棒
47 スパイク受け
5 スピーカスタンド
6 支持用スパイク
10 スピーカエンクロージャ
300 振動吸収ボード
400 内蔵振動伝達手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16