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明細書 :ネマチック液晶を用いた液晶表示素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863355号 (P4863355)
公開番号 特開2007-193085 (P2007-193085A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
発明の名称または考案の名称 ネマチック液晶を用いた液晶表示素子
国際特許分類 G02F   1/1337      (2006.01)
G02F   1/139       (2006.01)
G02F   1/1343      (2006.01)
FI G02F 1/1337 505
G02F 1/139
G02F 1/1343
請求項の数または発明の数 9
全頁数 12
出願番号 特願2006-010892 (P2006-010892)
出願日 平成18年1月19日(2006.1.19)
審査請求日 平成20年9月8日(2008.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】米谷 慎
【氏名】横山 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】高松 大
参考文献・文献 特開平11-181127(JP,A)
特開平08-160442(JP,A)
特開2005-105204(JP,A)
国際公開第02/006887(WO,A1)
特開平11-212095(JP,A)
特開2002-090750(JP,A)
国際公開第2002/006887(WO,A1)
特開2005-148442(JP,A)
特開2002-250924(JP,A)
特開昭56-107216(JP,A)
特表平11-513809(JP,A)
調査した分野 G02F 1/1337
G02F 1/1343
G02F 1/139
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成された、前記基板面に略平行な成分を持つ電界を液晶層に印加するための電極群と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、該液晶層と前記一対の基板の少なくともどちらか一方の基板の間に配置された、二つの異なる液晶配向規制方向が形成されるように処理された配向層とを有する液晶表示素子において、
前記配向層の二つの異なる液晶配向規制方向が略1μm角の小領域毎に異なるものであり、前記配向層の液晶配向規制処理が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として複数照射する処理であり、
前記配向層が、前記直線偏光光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された直線偏光光の偏光方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなることを特徴とするネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項2】
前記配向層に対して複数回照射を行う前記液晶配向規制処理のうち少なくとも一回が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として照射する代わりに、無偏光光を基板法線に対して斜め方向から入射する光として照射する処理であり、
前記配向層が、前記斜め入射光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された斜め入射光の斜め入射方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなることを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項3】
前記二つの異なる液晶配向規制方向を形成する前記処理の一方が、当該処理対象となる領域全体に一様に施される処理であり、他方が、当該処理対象となる領域の一部分のみに選択的に施される処理であることを特徴とする請求項1又は2記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項4】
前記二つの異なる液晶配向規制方向が前記基板面内で略直交し、かつ、すくなくとも一方の液晶配向規制方向における前記基板面からのプレチルト角が略0度であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項5】
前記液晶層が、不斉分子を組成成分として含有する液晶材料からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項6】
前記液晶層が、その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方とり得る液晶材料からなることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項7】
前記電極群を構成する電極の少なくとも一部が櫛歯電極であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項8】
前記櫛歯電極とは別に、前記一対の基板のそれぞれの基板上に配置された、対となる電極を有することを特徴とする、請求項7記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
【請求項9】
前記一対の基板のどちらかの基板上に、光反射板が配置されたことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のネマチック液晶を用いた液晶表示素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ネマチック液晶を用いた液晶表示素子に係り、特に低消費電力、高精細のネマチック液晶を用いた液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの携帯情報端末の表示素子としては、主にネマチック液晶を用いた液晶表示素子が、その低駆動電圧、低消費電力特性を生かして用いられており、近年の携帯情報端末の急速な普及に伴い、その生産量が拡大している。同時にその表示機能も表示画素(文字)数の増加など、より高度な表示性能が要求されてきている。一方で、携帯機器としてバッテリーを電源とした連続使用時間を維持あるいは拡大しなければならないことから、上記の高精細化をはじめとする表示機能の高度化のみならず、低消費電力化も同時に達成する技術が必要とされている。
【0003】
このような技術の一つとして、液晶表示素子に加える電圧を切った場合にも表示が保持される、いわゆる表示メモリー特性をもつ液晶表示素子を用いる技術が種々提案されている。メモリー特性を用いることにより、表示内容が変わらない場合には原理的には消費電力を0とすることができ、また、画素ごとに表示内容が変わった画素のみ電圧を印加して表示内容を変更することによっても消費電力を低減できる。さらに、従来のツイステッドネマチック(TN)方式あるいはスーパーツイステッドネマチック(STN)方式を単純マトリックス駆動する場合には、よく知られているようにデューティー比の制限から、表示可能な画素数に上限があるが、メモリー性を利用することによりこの画素数の制限をなくすことができる。
【0004】
このような表示メモリー性を持つ従来技術の具体例としては、例えば、(1)強誘電性液晶を用いたもの(非特許文献1、特許文献1参照)や、(2)ネマチック液晶と微細なグレーティング処理を施した液晶配向層を組み合わせたもの(特許文献2参照)、(3)基板表面に二つのそれぞれ異なる方向に液晶配向規制方向を持つ副領域からなる配向パターンを有した配向層を用いることにより、その表面多重配向安定性を用いたもの(特許文献3参照)などが提案されている。

【特許文献1】特開昭56-107216号公報
【特許文献2】特表平11-513809号公報
【特許文献3】国際公開番号WO02/006887号公報
【非特許文献1】アプライドフィジックスレターズ,36,899(1980)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術において、(1)の強誘電性(カイラルスメクチックC)液晶を用いたものは、強誘電効果に起因して応答が高速で、かつ二つのホモジニアス配向状態間の基板面内のスイッチングを用いることから広視野角表示が可能であるが、ネマチック液晶を用いた一般的な液晶表示素子に比べて、スメクチック液晶特有の層構造をとることから配向制御が難しく、さらにこの層構造は機械的衝撃により一度壊れてしまうと回復し難い等の問題点があり、広範な実用化はなされていない。
【0006】
一方、(2)のネマチック液晶と微細なグレーティング処理を施した液晶配向層を用いるものは、フレクソエレクトリック効果を用いてホメオトロピック(垂直)配向とハイブリッド配向の二状態間をスイッチングするものであるが、このハイブリッド配向に起因して表示視野角特性が特定の方向で悪化するという問題点がある。さらに、この液晶表示素子において、駆動電圧を低くするためには、フレクソエレクトリック係数が十分に大きな液晶材料が必要となるが、そのような液晶材料が一般的に知られていないため駆動電圧および消費電力が高くなってしまうという問題点もあり、この技術も広範な実用化は行われていない。
【0007】
また、(3)の基板表面に二つのそれぞれ異なる方向に液晶配向規制方向を持つ副領域からなる配向パターンを有した配向層を用いたものにおいては、この副領域からなる配向パターンの作成方法として、水銀ランプ等を紫外光源として、ブリュスター角を利用した偏光素子により直線偏光紫外光とした物を、それぞれの正方形の小領域の大きさが略1μm角とした正方形のチェッカーボードパターンのフォトマスクを介し、2回の直線偏光紫外光照射を、その直線偏光方向を互いに90度回転させ、同時にフォトマスクのチェッカーボードパターンの黒に当たる部分が1回目、白に当たる部分が2回目の偏光紫外照射領域となるように行なうこと等が記述されている。しかしながら、この方法では、1回目と2回目の光照射の間に、フォトマスクの開口部の位置関係を、上記のように1回目はチェッカーボードパターンの黒、2回目は白と変更する必要があり、そのために開口部が黒・白で異なる2枚のマスクの交換か、あるいは同一マスクを水平・垂直方向にそれぞれ前記正方形の大きさ略1μm動かすか、いずれかを行う必要があるが、いずれの場合にも、この正方形のサイズである略1μm未満の位置決め・合わせ精度が要求されることから、作成が困難あるいは装置が大掛かりとなるという実用上の問題がある。
【0008】
以上のように従来技術においては、層構造をもたず、配向制御が容易なネマチック液晶を用いた液晶表示素子において、メモリー性による低消費電力化と広視野角表示を両立した液晶表示素子を、簡便に作製し提供することが困難であった。
本発明は、上記状況に鑑みて、簡便に作製できる、メモリー性と広視野角表示特性を両立した高精細、広視野角かつ低消費電力のネマチック液晶を用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、まず、従来技術である上記特許文献3に開示されているものと同様に、基板表面に二つのそれぞれ異なる方向に液晶配向規制方向を持つ副領域からなる配向パターンを有した配向層を用い、同時に、上記従来技術の作製上の問題点を解決するため、上記配向パターンを有した配向層の作製方法として、直線偏光した紫外光により、この光に感度を有する感光性材料をあらかじめコートした表面を照射するいわゆる光配向法を用い、さらにこの感光性材料として、照射偏光光の偏光方向によって決定される液晶配向規制方向が複数回の偏光光照射によりリセット(書き換え)可能な材料を用いる。
【0010】
つまり、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成された、前記基板面に略平行な成分を持つ電界を液晶層に印加するための電極群と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、該液晶層と前記一対の基板の少なくともどちらか一方の基板の間に配置された、二つの異なる液晶配向規制方向が形成されるように処理された配向層とを有する液晶表示素子において、前記配向層の二つの異なる液晶配向規制方向が略1μm角の小領域毎に異なるものであり、前記配向層の液晶配向規制処理が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として複数回照射する処理であり、前記配向層が、前記直線偏光光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された直線偏光光の偏光方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなることを特徴とする。
【0011】
図1は本発明の原理を示す模式図である。
この液晶配向規制方向がリセット(書き換え)可能な材料を用いた配向層を用いることにより、2回の直線偏光紫外光照射において、1回目は図1(a)に示すように処理対象となる領域全体にフォトマスク等を介さず一様に直線偏光紫外光(LUV1)照射を行い、図1(b)に示すように直線偏光方向を90度回転させた2回目の直線偏光紫外光(LUV2)照射時のみ、フォトマスク(PMASK)を介して処理対象となる領域の一部分のみに選択的に2回目の直線偏光紫外光照射を行い、図1(c)に示すように選択領域の液晶配向規制方向のみをセット(書き換え)することが可能となり、フォトマスクの位置決め・合わせ精度の問題を解決することができる。
【0012】
ここで、配向層に照射する紫外光として、上記の直線偏光光の代わりに、基板法線に対して斜め方向に入射する光を用いても同様の効果が得られ、この場合は直線偏光方向の代わりに、斜め入射方向を変えることにより液晶配向規制方向を制御可能である。
つまり、前記二つの液晶配向規制処理の一方が、当該処理対象となる領域全体に一様に施される処理であり、かつもう一方の液晶配向規制処理が、当該処理対象となる領域の一部分のみに選択的に施される処理であることを特徴とすればよい。このようにして作製した配向パターンがメモリー性を発現するには、前記異なる二つの液晶配向規制方向が基板面内で略直交し、かつ、少なくとも一方の液晶配向規制方向における基板面からのプレチルト角がすべて略0度であることを特徴とすればよい。また、前記液晶層が、不斉分子を組成成分として含有する液晶材料からなることを特徴としてもよい。また、前記液晶層が、その誘電異方性の符号が印加される交流電界の周波数に依存して正・負両方とり得る液晶材料からなることを特徴としてもよい。また、前記電極群を構成する電極の少なくとも一部が櫛歯電極であることを特徴としてもよい。さらに、櫛歯電極とは別に、前記一対の基板のそれぞれの基板上に配置された、対となる電極を有することを特徴としてもよい。あるいは、前記一対の基板のどちらかの基板上に、光反射板が配置されたことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネマチック液晶を用いた液晶表示素子において、メモリー特性による低消費電力と広視野角表示を両立させた液晶表示素子をより簡便に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のネマチック液晶を用いた液晶表示素子は、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成された、前記基板面に略平行な成分を持つ電界を液晶層に印加するための電極群と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、該液晶層と前記一対の基板の少なくともどちらか一方の基板の間に配置された、二つの異なる液晶配向規制方向が形成されるように処理された配向層とを有する液晶表示素子において、前記配向層の二つの異なる液晶配向規制方向が略1μm角の小領域毎に異なるものであり、前記配向層の液晶配向規制処理が、前記基板表面上の配向層に化学反応を与え得る光を直線偏光光として複数回照射する処理であり、前記配向層が、前記直線偏光光の複数回の照射に対して、その液晶配向規制方向が、最後に照射された直線偏光光の偏光方向に対応した液晶配向規制方向となる光反応性材料からなる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図2は本発明の第1実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
この図において、基板SUB1、SUB2として、厚みが1.1mmで表面を研磨した透明なガラス基板を2枚用いた。基板SUB1上に、対となる櫛歯電極EL2AおよびEL2Bを、基板上に形成した同一のITO(インジウムチンオキサイド)からなる透明導電層をパタ-ン化して形成し、更にその上に窒化シリコンからなる膜厚600nmの絶縁保護膜IL1を形成した。同様に、もう一組の櫛歯電極EL1AおよびEL1Bを、上記の櫛歯電極EL2と略直交する方向に、絶縁膜IL1の上に形成した同一のITOからなる透明導電層をパタ-ン化して構成し、更にその上に窒化シリコンからなる膜厚200nmの絶縁保護膜IL2を形成した。また、LCLは液晶層である。上記の櫛歯電極EL1,EL2の電極長手方向は、図中の座標系で表すと、それぞれy軸、x軸方向である。また、これらの櫛歯電極EL1,EL2の電極幅は6μm、電極間隔は4μmで、図中の櫛歯間隙部の数は簡単に説明するため模式的に3分割で図示してあるが、実際の素子は8分割とした。
【0016】
次に、絶縁膜IL2上に、感光性材料として、アゾベンゼン基を含有する〔化1〕をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して1%溶液とし、基板表面に塗布後、100℃、5分の溶媒除去を行い緻密な感光性膜を得た。
【0017】
【化1】
JP0004863355B2_000002t.gif
ここで、感光性材料として、〔化1〕の代わりに同様にアゾベンゼン基を含有する高分子材料〔化2〕を用いてもよい。
【0018】
【化2】
JP0004863355B2_000003t.gif
紫外光等の照射により液晶配向規制方向を形成する、いわゆる光配向用の感光性材料としては、紫外光照射による光化学反応の形態による分類、つまり光重合型、光分解型、光異性化型が一般的に知られている。この分類中では、光異性化型に分類されるものが、上記のような液晶配向規制方向がリセット(書き換え)可能な感光性材料として好適であり、具体的にはアゾ基、スチルベン基等を含有する低分子・高分子材料が好ましい。
【0019】
その後、高圧水銀ランプを紫外光源として、365nm付近のフィルターを通し、ブリュスター角を利用した偏光素子により直線偏光紫外光として、まず基板全面に一様に照射した。この時の膜面での照射光強度は約15mW/cm2 である。
次に、上記の1回目の光照射に対してその直線偏光方向を90度回転して、図1(b)に示すような区切られたそれぞれの正方形の小領域の大きさが略1μm角とした正方形のチェッカーボードパターン(白の部分が開口部)のフォトマスクを介し、約20mW/cm2 の照射光強度で2回目の照射を行った。
【0020】
これらの偏光紫外光照射は、それにより付与される液晶配向のプレチルト角が略0度となるように基板面に対して垂直入射とした。
上記の2回の直線偏光紫外光照射により、用いたチェッカーボードパターンの黒(マスク非開口部)の部分は1回目の光照射時の直線偏光方向と直交した液晶配向規制方向となり、チェッカーボードパターンの白(マスク開口部)の部分は1回目の光照射の後、偏光方向を90度回転した2回目の光照射により液晶配向規制方向がリセットされ(書き換えられ)、上記の黒の部分に対して直交した液晶配向規制方向となる。
【0021】
上記のように、用いた配向膜材料〔化1〕の、複数回の光照射に対する液晶配向規制方向のリセット(書き換え)機能を用いることにより、配向パターンを形成するマスクを介した照射が1度で済むため、マスクを介した照射を2回行う場合に問題となる1回目と2回目のマスクの位置合わせの問題を解決できる。
なお、これらのパターン形状や照射光強度はあくまで一つの例であり、用いる感光性材料や、液晶材料の特性などに合わせて調整する。上記のチェッカーボードパターンのマス目方向や、各マス目内における局所的な配向規制方向LAL1A,LAL1Bは、図2中の座標系で表すとそれぞれx軸、y軸と略45度の角をなす方向に設定されている。
【0022】
この様にして形成された、二つの液晶配向容易軸方向をもつ領域を基板面内に複数配置した配向層AL1は、結果として図中座標系x軸、y軸方向であるALD1A,ALD1B方向の二つの方向の配向容易軸を有する配向層となる。
もう一方の基板SUB2には、溶剤可溶型のポリイミド前駆体であるSE7210(日産化学社製)の溶液を塗布した後、200°Cまで加熱し、30分放置し溶剤を除去して緻密なポリイミド膜を得た後、ラビングローラに取付けたバフ布で配向膜表面をラビング処理し、図2中の座標軸のx軸方向のALD2で表せられる単一の配向容易軸をもつ液晶配向能を付与した。
【0023】
次に、これらの2枚の基板をそれぞれの液晶配向能を有する表面同士を相対向させて、分散させた球形のポリマビーズからなるスペーサと周辺部のシール剤とを介在させて、セルを組みたてた。
次いで、この液晶セルの基板間に、ネマチック液晶組成物ZLI-4535(メルク社製)(誘電異方性Δεが正でその値が14.8であり、屈折率異方性Δnが0.0865)を真空で注入し、紫外線硬化型樹脂からなる封止材で封止して液晶パネルを得た。このとき液晶層の厚みは上記のスペ-サにより、液晶封入状態で6.4μmとなるように調整した。従って、本実施例の液晶表示素子のリタデーション(Δnd)は、0.5μmとなる。
【0024】
次に、このパネルを2枚の偏光板POL1,POL2(日東電工社製G1220DU)で挾み、一方の偏光板の偏光透過軸POLを上記のラビング方向ALD2とほぼ平行とし、他方のPOLをそれに直交させて配置した。その後、駆動回路、バックライトなどを接続し、液晶表示素子を得た。次にこのようにして得た液晶表示素子の基板SUB1側に用いた物と同一の配向膜材料を用い、同一プロセスで配向層を形成した同一の1対の基板間に、上記と同じ液晶組成物ZLI-4535を封入して液晶セルを作製し、クリスタルローテーション法により、この液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのそれぞれの方向におけるプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した。
【0025】
因みに、本実施例の基板SUB2側に用いた物と同一の配向膜材料、プロセスを用い、同じラビング条件で配向層を形成した同一の1対の基板間に、上記と同じ液晶組成物ZLI-4535を封入して液晶セルを作製し、クリスタルローテーション法により、この液晶セルのプレチルト角を測定したところ5度であった。
この第1実施例の液晶表示素子のスイッチング特性を図3を用いて説明する。図中において、V1,V2は、第1の櫛歯電極EL1A,EL1Bおよび第2の櫛歯電極EL2A,EL2B間に加えられる電圧波形、Trはそれに伴う液晶素子の透過率の変化を表す。
【0026】
この図3に示されるように、この実施例に示す液晶素子は、選択的に交流電圧をV1あるいはV2として加えることにより明・暗の2メモリー状態間のスイッチングが可能であることが分かる。この実施例の場合のスイッチング交流電圧(周波数1kHz)はV1として8Vpp、V2として6Vppであり、若干の駆動電圧非対称性がみられた。
図4にそれぞれ、暗状態〔図4(a)参照〕、明状態〔図4(b)参照〕に対応する液晶層内の液晶配向状態の模式図を示す。
【0027】
この図に示されるように、これらの二状態間のスイッチングは略基板面内の液晶分子配向スイッチングにより行われる。
次に、液晶視野角測定装置CV-1000(ミノルタ社製)を用いて、本実施例の液晶表示素子の、視野角特性を測定したところ、上下140度、左右140度の全域でコントラスト比が10:1以上で、かつ階調反転のない広視野角特性が得られた。
【0028】
目視による画質検査においても、斜め方向から見ても表示色の大きな変化も見られず、均一性の高い表示が得られた。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
液晶材料にカイラルドーパントとしてCB-15(メルク社製)を、組成物の螺旋ピッチ長が約15μmとなるように組成したものを用いた以外は、上記第1実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第2実施例とした。
【0029】
図5は図3に対応する本実施例の電気光学特性を示す図である。
この実施例の場合のスイッチング交流電圧は、V1として5Vpp、V2として4.8Vppであり、カイラルドーパント添加によるツイステッドプラーナー状態のエネルギー安定化効果により、V1,V2の駆動電圧非対称性をほぼ解消することができた。
第1実施例と同様の視野角測定においても、第1実施例とほぼ同じ広視野角特性を持った均一性の高い表示が得られた。
【0030】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
液晶材料としてTX2A(メルク社製)を用い、図6に示すように、櫛歯電極を1 組のみ持つ構成として、2周波駆動回路を用いた以外は、上記第1実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第3実施例とした。
上記の液晶組成物TX2Aは、その誘電異方性(Δε)が低周波では正で、高周波では負となる2周波駆動用のネマチック組成物であり、そのクロスオーバー周波数は6kHzである。
【0031】
本実施例の駆動波形と、電気光学特性を図7に示す。この図に示すように、本実施例においては、暗(ホモジニアス)状態から明(ツイステッドプラーナー)状態へのスイッチングには、TX2AのΔεが正となる4kHz、8Vppの交流電圧、逆のスイッチング時にはΔεが負となる8kHz、10Vppの交流電圧をV1として用いることにより、一組の櫛歯電極で両状態間のスイッチングが可能であった。
【0032】
本実施例においても、第1実施例と同様の視野角測定により、第1実施例と略同じ広視野角特性を持った均一性の高い表示が得られた。
また、第1実施例と同様にして、クリスタルローテーション法により、同一配向層と同一液晶材料TX2Aを用いた液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した。
【0033】
次に、本発明の第4実施例について説明する。
図8に示すように、基板SUB1、基板SUB2それぞれに対となる平行平板電極を加えた構成とした以外は、上記第3実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第4実施例とした。
上記の対となる平行平板電極はITO透明電極からなり、交流電圧V2が加えられる駆動回路に接続されている。
【0034】
本実施例の電気光学特性および視野角特性は第3実施例とほぼ同じであるが、追加された平行平板電極間に4kHz、20Vppの交流電圧を加えることにより、二つの画素を一度に明状態から暗状態にリフレッシュ表示することが可能であった。
次に、本発明の第5実施例について説明する。
図9に示すように、基板SUB1上に光反射板REFとその上にλ/4板QPを加えた構成とし、セルギャップを半分の3.2μmとし、配向層AL1の各チェッカーボードパターン内の局所的な二つの配向規制方向LAL1A,LAL1B形成時の紫外偏光光強度を調整して、AL1にお互いに45度の角度をなす二つの液晶配向容易軸ALD1A,ALD2Aを付与した配向層を用いた以外は、上記第3実施例と同様にして反射型の液晶表示素子を作製し、第5実施例とした。
【0035】
本実施例におけるλ/4板QPの遅延軸の方向は偏光板POL2の透過軸と略45度をなす角度に設定し、配向層AL1の配向容易軸ALD1AはALD2と同方向、ALD1BはALD2に対して45度回転した方向となっている。
上記の配向層AL1の構成により、本実施例における二つの安定な液晶層の配向状態は、図4(b)に示すものを45度捩れの構造としたものとなり、図4の透過型の構成と同じく一様配向状態で暗、(45度)ツイステッドプラーナー状態で明状態となる。
【0036】
本実施例の電気光学特性および視野角特性は第3実施例とほぼ同じであるが、透過率ではなく反射率として光学特性が得られる点が異なる。
本実施例についても、第1実施例と同様にしてクリスタルローテーション法により、同一配向層と同一液晶材料を用いた液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した.
次に、本発明の第6実施例について説明する。
【0037】
晶層を挟む2枚の基板両方の側の配向層として、第1実施例と同様のチェッカーボードパターンの2枚のフォトマスクを用いて、2回の直線偏光紫外光を照射した配向層を用い、さらにこの2回の紫外光照射の強度を相対的に変えることにより、第5実施例と同様に結果として得られる配向層の2つの容易軸のなす角度を45度とした以外は、上記第1実施例と同様にして液晶表示素子を作製し、第6実施例とした。
【0038】
本実施例におけるスイッチングの形態としては、2つの配向方向がエネルギー的に安定となる配向層を両基板に配置していることから、両方の基板界面で面内スイッチング(スイッチング角45度)が生じ、これとクロスニコルに配置された2枚の偏光板により、異なる面内方位のホモジニアス状態間の複屈折光学モードによる表示となる。
本実施例の電気光学特性および視野角特性は第1実施例とほぼ同じであるが、前述の様に複屈折モードによる透過率として光学特性が得られる点が異なる。
【0039】
本実施例についても、第1実施例と同様にしてクリスタルローテーション法により、同一配向層と同一液晶材料を用いた液晶セルの二つの方向の配向容易軸を有する配向層と液晶界面でのプレチルト角を測定したところ2度以下で、測定精度の範囲内でプレチルト角が略0度であることを確認した。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨にもとづいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の液晶表示装置は、携帯電話などの携帯情報端末に用いる、低消費電力、高精細の液晶表示素子に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の原理を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す液晶表示素子のスイッチング特性を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例を示す暗状態および明状態に対応する液晶層内の液晶配向状態を示す模式図である。
【図5】図3に対応する第2実施例の電気光学特性を示す図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3実施例を示す液晶表示素子の駆動波形と電気光学特性を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
【図9】本発明の第5実施例を示す液晶表示素子の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
SUB1,SUB2 基板
EL1,EL1A,EL1B,EL2,EL2A,EL2B 櫛歯電極
IL1,IL2 絶縁保護膜
LAL1A,LAL1B 各配向パターン内の液晶配向規制方向
AL1,AL2 配向層
POL1,POL2 偏光板
ALD2 ラビング方向
REF 光反射板
QP λ/4板
ALD1A,ALD1B 液晶配向容易軸
LCL 液晶層
LUV1,LUV2 照射紫外光の直線偏光方向
PMASK フォトマスク
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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