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明細書 :硬度及び湿潤度識別装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4830111号 (P4830111)
公開番号 特開2008-203220 (P2008-203220A)
登録日 平成23年9月30日(2011.9.30)
発行日 平成23年12月7日(2011.12.7)
公開日 平成20年9月4日(2008.9.4)
発明の名称または考案の名称 硬度及び湿潤度識別装置
国際特許分類 G01N   3/40        (2006.01)
G01N  19/10        (2006.01)
FI G01N 3/40 Z
G01N 19/10 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 15
出願番号 特願2007-042928 (P2007-042928)
出願日 平成19年2月22日(2007.2.22)
審査請求日 平成21年12月18日(2009.12.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
発明者または考案者 【氏名】木本 晃
【氏名】信太 克規
【氏名】一ノ瀬 雄志
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査官 【審査官】高橋 亨
参考文献・文献 特開2007-057276(JP,A)
特開平04-168343(JP,A)
特開2005-049332(JP,A)
特開2003-075316(JP,A)
特開2002-257700(JP,A)
特開平08-193935(JP,A)
実開平03-093761(JP,U)
調査した分野 G01N 3/40
G01N 19/10
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
第1及び第2の金属電極間に圧電材料を介装し、当該第2の金属電極を接地して形成され、前記第1の金属電極側を測定試料に接触・離反又は押圧させて第1及び第2の金属電極間に生じる電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段を測定試料に対して接触・離反及び押圧させる動作を駆動する動作駆動手段と、
前記接触・離反及び押圧の際に検出される各検出電圧に基づいて電圧の各電圧波形を検出する電圧波形検出手段と、
前記検出された各電圧波形及び複数の測定試料について予め得られた各測定試料毎の硬度及び湿潤度に関する基準試料データに基づいて前記複数の測定試料の各硬度及び湿潤度を判別する硬度及び湿潤度判別手段とを備えることを
特徴とする硬度及び湿潤度識別装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の硬度及び湿潤度識別装置において、
前記電圧検出手段が、測定試料に対して接触・離反及び押圧の際に静電気を主に含む接触電圧を検出し、測定試料に対して接触状態での押圧の際に圧電効果による電圧を含む振動電圧を検出することを
特徴とする硬度及び湿潤度識別装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の硬度及び湿潤度識別装置において、
前記動作駆動手段が、所定の押圧力を吸収する弾性材からなる弾性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させることを
特徴とする硬度及び湿潤度識別装置。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載の硬度及び湿潤度識別装置において、
前記電圧検出手段が屈曲性を有するフィルム状体で形成されると共に、前記動作駆動手段が弾性力を有する可撓性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させることを
特徴とする硬度及び湿潤度識別装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の硬度及び湿潤度識別装置において、
前記動作駆動手段から電圧検出手段に印加される押圧力を検出する押圧力検出手段を備え、
前記検出押圧力に基づいて硬度及び湿潤度判別手段が各電圧波形を補正して測定試料の各硬度及び湿潤度を判別することを
特徴とする硬度及び湿潤度識別装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、測定試料の材質を識別する硬度及び材質識別装置に関し、特に測定試料の表面に接触及び押圧時に生じる電圧に基づいて測定試料の硬度及び湿潤度を識別する硬度及び湿潤度識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の硬度及び湿潤度識別装置として触覚センサが特開2005-4933号公報に開示されるものがあり、これを図15に触覚センサの外観斜視図及び全体システム構成図として示す。
【0003】
同図において従来の触覚センサは、触覚センサ111は、媒体112と、媒体112中に分散されているセンサ素子113と、媒体112に電気的に接続されている一対の電極114とから構成されている。媒体112は、各センサ素子113同士を機械力学的に接続するとともに各センサ素子113同士並びに電極114及びセンサ素子113を電気的に接続し、誘電体により形成されキャパシタンス成分を有するものが好ましい。センサ素子113はコイル状炭素繊維113aにより構成され、微小バネとして作用するとともにLCR共振回路として作用する。センサ素子113は、各センサ素子113の相互間に存在する媒体112を介して接続され、機械力学的等価回路及び電気的等価回路として構成されている。
【0004】
前記各電極114は媒体112に電気的に接続されるとともに導線115の一端がそれぞれ接続され、各導線115の他端には増幅回路116を介して電源117及びオシロスコープ等の測定器118が取付けられている。ここで、電極114が媒体112に電気的に接続されると、電流が電極114を介して媒体112に通電されるように電極114が媒体112に接続されることとなる。触覚センサ111、増幅回路116、電源117及び測定器118により触覚センサシステムを構成している。この構成に基づき構成が簡単であるとともに感度を向上させるようにできる。

【特許文献1】特開2005-4933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術に係る触覚センサ111は以上のように構成されていたことから、 単に触圧を検出することができても、測定試料の硬度及び湿潤度については何ら識別することができない。また、この従来技術によって触圧により硬度及び湿潤度を類推したとしても、一対の電極114間にセンサ素子113のコイル状炭素繊維113aを分散させた媒体112を配設しなければならず、この媒体112の製造工程で繁雑化し、製造コストを低減できないという課題を有していた。特に、前記触覚センサ111は、センサ素子113を媒体112全体に均一に分布させなければ検出精度が区々となり、検出感度を向上させることができないという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、簡易な構成で測定試料の硬度及び湿潤度を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別する硬度及び湿潤度識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る硬度及び湿潤度識別装置は、第1及び第2の金属電極間に圧電材料を介装し、当該第2の金属電極を接地して形成され、前記第1の金属電極側を測定試料に接触・離反又は押圧させて第1及び第2の金属電極間に生じる電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段を測定試料に対して接触・離反及び押圧させる動作を駆動する動作駆動手段と、前記接触・離反及び押圧の際に検出される各検出電圧に基づいて電圧の各電圧波形を検出する電圧波形検出手段と、前記検出された各電圧波形及び複数の測定試料について予め得られた各測定試料毎の硬度及び湿潤度に関する基準試料データに基づいて前記複数の測定試料の各硬度及び湿潤度を判別する硬度及び湿潤度判別手段とを備えるものである。
【0008】
このように本発明においては、動作駆動手段により電圧検出手段の第1の金属電極の表面を測定試料に接触・離反又は押圧させて第1及び第2の金属電極間に生じる各電圧を検出し、この検出電圧に基づいて電圧の各電圧波形を検出し、この検出された各電圧波形及び複数の測定試料について予め得られた各測定試料毎の硬度及び湿潤度に関する基準試料データに基づいて前記複数の測定試料のいずれかの硬度及び湿潤度を硬度及び湿潤度判別手段で判別するようにしているので、測定試料に接触・離反及び押圧する際に生じる各電圧波形により区別できることとなり、簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0009】
また、本発明に係る硬度及び湿潤度識別装置は必要に応じて、電圧検出手段が、測定試料に対して接触・離反及び押圧の際に静電気を主に含む接触電圧を検出し、測定試料に対して接触状態での押圧の際に圧電効果による電圧を含む振動電圧を検出するものである。
【0010】
このように本発明においては、硬度及び湿潤度判別手段が測定試料に対する電圧検出手段による接触・離反及び押圧する際に生じる静電気による電圧及び圧電効果による電圧の各電圧波形により区別できることとなり、簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0011】
また、本発明に係る硬度及び湿潤度識別装置は必要に応じて、動作駆動手段が、所定の押圧力を吸収する弾性材からなる弾性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させるものである。
【0012】
このように本発明においては、動作駆動手段が、所定の押圧力を吸収する弾性材からなる弾性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させるようにしているので、電圧検出手段に対する動作駆動手段からの押圧力が所定値以上となった場合等に、この押圧力を弾性部材が検出特性に適応した値に調整して動作できることとなり、微小な押圧力から大きな押圧力まで線形的な出力形態で電圧を検出して、簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0013】
また、本発明に係る硬度及び湿潤度識別装置は必要に応じて、電圧検出手段が屈曲性を有するフィルム状体で形成されると共に、前記動作駆動手段が弾性力を有する可撓性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させるものである。
【0014】
このように本発明においては、電圧検出手段が屈曲性を有するフィルム状体で形成されると共に、前記動作駆動手段が弾性力を有する可撓性部材を介して支持した状態で電圧検出手段を動作させるようにしているので、可撓性部材からなる動作駆動手段に支持されるフィルム状体の電圧検出手段が、接触・離反及び押圧の各程度に応じて測定試料の表面に接触する面積を変化させて電圧を検出できることとなり、より高精度な硬度及び湿潤度の検出を簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0015】
また、本発明に係る硬度及び湿潤度識別装置は必要に応じて、動作駆動手段から電圧検出手段に印加される押圧力を検出する押圧力検出手段を備え、前記検出押圧力に基づいて硬度及び湿潤度判別手段が各電圧波形を補正して測定試料の各硬度及び湿潤度を判別するものである。
【0016】
このように本発明においては、押圧力検出手段で検出される検出押圧力に基づいて硬度及び湿潤度判別手段が各電圧波形を補正して測定試料の各硬度及び湿潤度を判別することから、微小な押圧力から大きな押圧力まで線形的な出力形態で電圧を検出して、簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置を図1ないし図4に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の全体ブロック構成図、図2は図1記載の硬度及び湿潤度識別装置における電圧検出部の拡大斜視図、図3は図1に記載の硬度及び湿潤度識別装置における電圧検出部の検出電圧出力図、図4は図3に記載の検出電圧に基づく電圧波形検出部による電圧波形図を示す。
【0018】
前記各図において本実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置は、第1及び第2の金属電極11、12間にセラミック13を介装し、この第2の金属電極12を接地して形成され、前記第1の金属電極11を測定試料100に接触・離反及び押圧させて第1及び第2の金属電極11、12間に生じる電圧を検出する電圧検出部1と、この電圧検出部1を測定試料100に対して接触・離反及び押圧させる動作を駆動する動作駆動装置6と、この接触・離反及び押圧の際に検出される各検出電圧に基づいて電圧の波形(以下、「検出電圧波形」という。)を検出する電圧波形検出部2と、この検出電圧波形から検出電圧の最大電圧値を検出する最大電圧検出部3と、この検出電圧波形における最大電圧値Vmaxの1/10の電圧値から最大電圧値に至る時間(以下「電圧立上がり時間」という。)を検出する電圧立上がり時間検出部4と、この検出された各最大電圧値及び電圧立上がり時間が複数の測定試料100について予め得られた各測定試料毎の硬度及び湿潤度に関する基準試料データに適合するか否かにより前記複数の測定試料100の硬度及び湿潤度を判別する硬度及び湿潤度判別部5とを備える構成である。
【0019】
前記電圧検出部1は、動作駆動装置6におけるロボットアーム63の先端に取り付けられたアクリル容器62内に第1の金属電極11を露出された状態で収納される構成である。この動作駆動装置6は、電圧検出部1を測定試料100に対して、接触・離反を複数回繰り返す動作の接触電圧検出モードと接触状態で押圧方向へ複数回振動させる動作の振動電圧検出モードとの各モードの動作を制御する動作制御部61と、この動作制御部61の制御に基づきアクリル容器62に収納された電圧検出部1を測定試料100に矢印方向に回動して接触・離反及び押圧させるロボットアーム63とを備える構成である。
【0020】
この動作駆動複数の駆動により、電圧検出手部1が、前記接触電圧検出モードにて駆動されて測定試料100に対して接触・離反及び押圧の際に静電気を主に含む接触電圧を検出し、前記振動電圧検出モードにて駆動されて測定試料100に対して接触状態での押圧の際に圧電効果による電圧を主に含む振動電圧を検出する構成である。
【0021】
前記硬度及び湿潤度判別部5は、前記基準試料データが複数材質からなる各測定試料100毎の硬度及び湿潤度を予め試験的に試験(硬度及び湿潤度判別時と同一の条件で実行される)して得られる検出電圧に基づき最大電圧値及び電圧立ち上がり時間を各硬度及び湿潤度の測定試料100毎にデータベース化して形成され、メモリ(図示を省略する。)に格納されるものである。また、この硬度及び湿潤度判別部5で判別された硬度及び湿潤度の判別結果が表示装置7に出力され、この表示装置7は硬度及び湿潤度の種類と共に、測定試料100の表面形状を画像として表示することもできる。
【0022】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の硬度及び湿潤度判別動作について説明する。まず、動作駆動装置6を起動させて前記接触電圧検出モード及び振動電圧検出モードによる接触状態(例えば、測定試料100に対して電圧検出部1の第1の金属電極11が直角に接触する状態)となるように動作制御部61で制御され、ロボットアーム63が矢印A方向へ回動する。
【0023】
まず、前記接触電圧検出モードにおいて、このロボットアーム63の回動に伴ってアクリル容器62に収納された電圧検出部1は、測定試料100に接近して接触する。この測定試料100への接触に際して、電圧検出部1の第1の金属電極11と測定試料100との間での摩擦により静電気が生じ、この静電気がセラミック13に絶縁される第1及び第2の金属電極11、12に分極され、この分極された正電荷が金属電極11から接触電圧として電圧波形検出部2へ入力される。
【0024】
この正電荷の電圧が接触電圧として入力された電圧波形検出部2は、図3に示す入力電圧から10Hzないし30Hzの間の信号のみをバンドパスフィルタ(図示を省略する。)にてフィルタリング処理して図4に示す検出電圧波形を検出する。この検出電圧波形に基づいて最大電圧検出部3は、検出電圧波形における検出電圧の最大電圧値Vmaxを検出する。他方、電圧立上がり時間検出部4は、前記検出電圧波形に基づいて最大電圧値Vmaxの1/10の電圧から最大電圧値Vmaxに至るまでの時間を電圧立上がり時間として検出する。
【0025】
この検出された最大電圧値Vmax及び電圧立ち上がり時間が硬度及び湿潤度判別部5へ入力され、この硬度及び湿潤度判別部5は基準試料データをメモリから順次読出して最大電圧値Vmax及び電圧立上がり時間が一致する測定試料100の湿潤度を検索し、この検索結果に基づいて湿潤度等の表面状態を判別する。この判別結果は表示装置7の表示画面に表示され、測定試料100がどの程度の湿潤度であるかを知ることができることとなる。
【0026】
さらに、前記振動電圧検出モードにおいて、接触電圧検出モードに引き続いて(又は、接触電圧検出モードとは別途に)前記ロボットアーム63の回動により電圧検出部1が測定試料100へ接触状態となり、この当初の接触状態からさらに押圧力を加える動作を所定回数繰り返して実行し、この押圧力が加わる際に電圧検出部1の第1及び第2の金属電極11、12及びセラミック13で形成される圧電素子により圧電効果に基づく電圧を主に含む振動電圧が第1の金属電極11から電圧波形検出部2へ入力される。
【0027】
この振動電圧が入力された電圧波形検出部2は、前記接触電圧の場合と同様に、最大電圧値Vmax及び最大電圧値Vmaxに至るまでの電圧立ち上がり時間を検出して硬度及び湿潤度判別部5へ出力する。この硬度及び湿潤度判別部5は、振動電圧に基づく最大電圧値Vmax及び電圧立ち上がり時間が基準資料データのメモリから対応する測定試料100の硬さ等の材質を検索し、この検索結果に基づいて硬さ等の材質を判別する。この判別結果は、前記湿潤度等の表面状態の表示と同様に表示装置7の表示画面に表示され、測定試料100がどの程度の硬さ等の材質であるかを知ることができることとなる。
【0028】
(本発明の第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動装置の要部詳細図である。同図において本実施形態に係る湿潤度識別装置は、前記第1の実施形態と同様に電圧検出部1、電圧波形検出部2、最大電圧検出部3、時間検出部4、硬度及び湿潤度判別部5及び動作駆動装置6を備えて構成され、前記動作駆動装置6が所定の押圧力を吸収する弾性材からなる弾性部材65を介して電圧検出部1を取付けて支持する構成である。
【0029】
このように電圧検出部1は、弾性部材65を介して動作駆動装置6に支持されていることから、接触電圧検出モード及び振動電圧検出モードの各検出動作の際に、動作駆動装置6からの押圧力が所定値以上となった場合、又は測定試料100の硬度が所定硬度以上となった場合等にこの押圧力を弾性部材65が電圧検出部1の検出特性に適応した値に調整して動作できることなり、微小な押圧力から大きな押圧力まで線形的な出力形態で電圧を検出して、簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0030】
(本発明の第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動装置の要部詳細図である。同図において本発明実施形態に係る湿潤度識別装置は、前記第1の実施形態と同様に、電圧検出部1a(図1の1に相当する)、電圧波形検出部2、最大電圧検出部3、時間検出部4、硬度及び湿潤度判別部5及び動作駆動装置6を備えて構成され、電圧検出部1aが屈曲性を有するフィルム状体からなるポリフッ化ビニリデン(Poly Viuylidine DiFluoride;PVDF)で形成され、前記動作駆動部6が弾性力を有する可撓性部材からなる中空チューブ状体66で形成され、この中空チューブ状体66を介して支持した状態で電圧検出部1aを動作させる構成である。
【0031】
このように、電圧検出部1aは、中空チューブ状体66を介して動作駆動装置6により支持され、動作が駆動制御されることから、接触電圧検出モード及び振動電圧検出モードの各検出動作の際の押圧状態において、この押圧力により中空チューブ状体66は単に接触状態(図6(A)を参照)からその押圧力が大きくなるに従って変形し(図6(B)を参照)、測定試料100に対する接触面積を接触領域Aから接触領域B(B>A)へと大きくできる。
【0032】
この動作駆動装置6による押圧力の大きさに基づき接触面積を変化(A→B)させるようにしているので、接触電圧検出モード及び振動電圧検出モードのいずれにおいても、接触電圧及び振動電圧の出力幅を大きくとることができることとなり、測定試料100の硬度及び湿潤度等の材質及び状態を高精度に検出でき、またこの検出動作を簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0033】
(本発明の他の実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動装置の要部詳細図である。同図において本実施形態に係る湿潤度識別装置は、前記代3の実施形態と同様に電圧検出部1a(図1の1に相当する)、電圧波形検出部2、最大電圧検出部3、時間検出部4、硬度及び湿潤度判別部5及び動作駆動装置6を備えて構成され、この構成に加え、この動作駆動装置6の中空チューブ状体66における電圧検出部1aが配設される側面に対向する側面に電極67が配設され、この電圧検出部1aと電極67との間に生じる静電容量の変化を検出する構成である。
【0034】
この検出に基づいて電圧検出部1a又は電圧波形検出部2から出力される電圧又は電圧波形を補正できることとなり、この補正された電圧又は電圧波形により硬度及び湿潤度判別部5が測定試料100の硬度及び湿潤等の材質及び状態を高精度に検出でき、またこの検出動作を簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0035】
さらに、同図において本実施形態に係る湿潤度識別装置は、動作駆動装置6が電極67を備える構成の他に、動作駆動装置6の中空チューブ状体66に連通する圧力検出部68を備える構成とすることもできる。この圧力検出部68は、動作駆動装置6による測定試料100に対する押圧力によって中空チューブ状体66が変形し、この変形に伴って中空チューブ状体66の内圧の変化を検出し、この検出結果を電圧検出部1a、電圧波形検出部2又は硬度及び湿潤度判別部5へ出力する構成である。
【0036】
この検出に基づいて電圧検出部1a又は電圧波形検出部2から出力される電圧又は電圧波形を補正できることとなり、この補正された電圧又は電圧波形により硬度及び湿潤度判別部5が測定試料100の硬度及び湿潤等の材質及び状態を高精度に検出でき、またこの検出動作を簡易な構成で測定試料の材質を単に接触・離反及び押圧するのみで確実且つ迅速に識別するという効果を有する。
【0037】
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る湿潤度識別装置は、電圧検出部1aの第1の金属電極11における表面に誘電体からなる表面部材を貼着して構成することもできる。この場合には、接触電圧及び振動電圧が表面部材を介して第1の金属電極11から検出されることとなる。
【実施例1】
【0038】
実施例1として、測定試料100としてアルミニウム、木、アクリル、スポンジの材質について硬度及び湿潤度を判別する動作を、電圧検出部1のセラミック13がセラミックス(圧電素子)、アクリル及びシリコンを各々用いて構成した場合である。この測定試料100のアルミニウム、木、アクリル、スポンジの形状は、20×20×10[mm]の寸法で形成される。
【0039】
測定条件は、セラミックス、アクリル及びシリコンの各電圧検出部1により各10回づつ接触させて、この接触3回目以降の波形の測定を行い、この測定値で動作駆動装置6が各電圧検出部1を同じ30cm/secの速度で測定試料100へ衝突させ、この衝突による圧力及び接触状態を総て同一の条件で行った。この測定条件により得られた数値データを表に示す。
【0040】
【表1】
JP0004830111B2_000002t.gif

【0041】
この表に示す各測定データは、衝突の3回目以降について測定された波形で計測10回目までについて電圧検出部1より電圧を検出し、この各電圧の各波形をアルミニウム、木、アクリル、スポンジ毎に重畳した検出電圧に基づく電圧特性図を図8ないし図10に示す。
【0042】
前記図8ないし図10の各図において、縦軸の電圧[mV]における正側への大きな出力波形は測定試料100への電圧検出部1が衝突当初に発生する静電気の波形であり、その後の負側への大きな出力波形は測定試料100から電圧検出部1が離反する際に発生する静電気の波形である。また、この正及び負の各大きな出力波形の中間で小さく振動する出力波形は、測定試料100の表面に電圧検出部1の表面部材14が押圧されて静電気がほとんど生じない状態の出力波形である。
【0043】
前記各々重畳された各電圧特性から電圧波形検出部2が電圧波形を検出し、この電圧波形を図8ないし図10中に各々破線で示す。この破線で示す各電圧波形から最大電圧検出部3が各最大電圧値を検出すると共に、電圧立上がり時間検出部4が各電圧立上がり時間を検出した。この検出された各最大電圧値及び電圧立上がり時間を各々図11(A)、(B)に重畳して表示した。
【0044】
まず、図11(A)において各最大電圧値に基づいてアルミニウム、木、アクリル、スポンジの測定試料100の判別を行う。このアルミニウム、木、アクリルの材質はセラミックス、アクリル、シリコンのいずれの電圧検出部1であっても明らかに判別することができる。アクリルとスポンジの材質については、セラミックス及びシリコンの電圧検出部1の場合に近似して判断が若干難しいが、アクリルの電圧検出部1の場合に明らかに判別することができる。
【0045】
次に、図11(B)において各電圧立上がり時間に基づいてアルミニウム、木、アクリル、スポンジの測定試料100の判別を行う。このアルミニウムと木とはセラミックス、アクリル、シリコンのいずれの電圧検出部1であっても極めて近似して判別が困難である。このアルミニウム、木に対してアクリル及びスポンジは、セラミックス、アクリル、シリコンのいずれの電圧検出部1であっても明確に判別することができる。
【0046】
以上のように最大電圧値ではアルミニウムと木との材質を区別し、電圧立上がり時間でアクリルとスポンジとの材質を区別できることから、いずれの材質であっても正確に判別できることが解る。
【実施例2】
【0047】
実施例2として、測定試料100をシリコンゴムとし、このシリコンゴムが硬度15、30、50の三種で、その表面に吸水性の紙を貼着して水分を含浸させるものとさせないものとに分けて測定を行った。このシリコンゴムの形状は、20×20×10[mm]の寸法で形成される。
【0048】
前記測定条件により本実施例2で得られた測定結果を図12ないし図14に示す。この図12は、本発明の実施例2における硬度30のシリコンゴムを測定試料とした場合の接触電圧及び振動電圧の各電圧波形図、図13は本発明の実施例2において検出された接触電圧及び振動電圧と硬度との特性図、図14は本発明の実施例2において検出された接触電圧とモイスチャーチェッカー測定水分量(%)との特性図を示す。
【0049】
前記各図から明らかな様に、接触電圧及び振動電圧に基づいて測定試料100の硬度及び湿潤度が明確に判別されることが解る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の全体ブロック構成図である。
【図2】図1記載の硬度及び湿潤度識別装置における電圧検出部の拡大斜視図である。
【図3】図1に記載の硬度及び湿潤度識別装置における電圧検出部の検出電圧出力図である。
【図4】図3に記載の検出電圧に基づく電圧波形検出部による電圧波形図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動複装置の要部詳細図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動複装置の要部詳細図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る硬度及び湿潤度識別装置の電圧検出部及び動作駆動複数の要部詳細図である。
【図8】本発明の実施例1における誘電体をアクリルとした測定データに基づく電圧特性図を示す。
【図9】本発明の実施例1における誘電体をシリコンとした測定データに基づく電圧特性図を示す。
【図10】本発明の実施例1における誘電体をセラミックスとした測定データに基づく電圧特性図を示す。
【図11】本発明の実施例1における図8ないし図10に基づく各最大電圧値及び電圧立上がり時間の重畳特性図を示す。
【図12】本発明の実施例2における硬度30のシリコンゴムを測定試料とした場合の接触電圧及び振動電圧の各電圧波形図である。
【図13】本発明の実施例2において検出された接触電圧及び振動電圧と硬度との特性図である。
【図14】本発明の実施例2において検出された接触電圧とモイスチャーチェッカー測定水分量(%)との特性図である。
【図15】従来の材質識別装置の一例である触覚センサの外観斜視図及び全体システム構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1、1a 電圧検出部
2 電圧波形検出部
3 最大電圧検出部
4 電圧立上がり時間検出部
5 硬度及び湿潤度判別部
6 動作駆動装置
61 動作制御部
62 アクリル容器
63 ロボットアーム
64
65 弾性部材
66 中空チューブ状体
7 表示装置
11、12 金属電極
13 セラミック
100 測定試料
111 触覚センサ
112 媒体
113 センサ素子
113a コイル状炭素繊維
114 電極
115 導線
116 増幅回路
117 電源
118 測定器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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