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明細書 :ダイヤモンド紫外線センサー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5019305号 (P5019305)
公開番号 特開2007-066976 (P2007-066976A)
登録日 平成24年6月22日(2012.6.22)
発行日 平成24年9月5日(2012.9.5)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
発明の名称または考案の名称 ダイヤモンド紫外線センサー
国際特許分類 H01L  31/108       (2006.01)
G01J   1/02        (2006.01)
FI H01L 31/10 C
G01J 1/02 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2005-247774 (P2005-247774)
出願日 平成17年8月29日(2005.8.29)
審査請求日 平成20年8月28日(2008.8.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】小出 康夫
【氏名】メイヨン リョウ
【氏名】ホセ アントニオ アルバレッツ
審査官 【審査官】瀬川 勝久
参考文献・文献 特開平05-335613(JP,A)
特開平11-097721(JP,A)
特開平01-246867(JP,A)
特開2006-156464(JP,A)
特開平11-248531(JP,A)
特開平06-053527(JP,A)
特開平07-050424(JP,A)
特開平07-321346(JP,A)
特開2005-229078(JP,A)
特開2004-077433(JP,A)
特開2005-005615(JP,A)
特開2004-095958(JP,A)
調査した分野 H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
特許請求の範囲 【請求項1】
受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、
表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、ショットキー性電極に高融点金属元素のカーバイド化合物又は窒化物を単一層として用い、オーム性電極にダイヤモンドと反応することによってカーバイド又は炭素との固溶体を形成することができる単一金属を用いた構造を持ち、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー。
【請求項2】
受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、
表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、少なくとも1つの電極において、ダイヤモンド表面に接触する電極層が、高融点金属元素のカーバイド化合物又は窒化物から構成され、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー。
【請求項3】
受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、
表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、少なくとも1つの電極において、ダイヤモンドと反応することによってカーバイド又は炭素との固溶体を形成することができる単一金属を用いた構造を持ち、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー。
【請求項4】
表面伝導層を除去したダイヤモンド表面がダイヤモンドの水素終端表面を酸化処理して形成された表面であることを特徴とする請求項1、2、および3のいずれかに記載の電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド紫外線センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド半導体は、バンドギャップが室温で約5.5eV(光波長で約225nmに
対応)とかなり大きく、ドーパント(不純物)が添加されていない真性状態において絶縁
体として振舞うことが知られている。単結晶薄膜を成長させる方法は、実質的に炭素及び
水素を含む雰囲気、例えば、CH4(メタン)とH2(水素)ガスを用いたマイクロ波励起プ
ラズマ気相成長法が開発(特許文献1)されており、工業的に広く普及している。また、
マイクロ波励起プラズマ気相成長法においてドーパントとしてB(ボロン)を添加するこ
とによって、p型(主たるキャリアが正孔)の電気伝導性を制御することも広く行われて
いる。
【0003】
マイクロ波励起プラズマ気相成長法は、水素を含む雰囲気を用いる気相成長法であるた
め、成長させたダイヤモンド単結晶膜表面には、実質的に水素で覆われた表面であること
が知られている。即ち、表面には炭素原子(C)の未結合手が水素原子(H)によって結
合終端されたC-H分子構造が存在し(以後「水素化」と呼ぶ)、この水素化に伴ってダ
イヤモンド表面近傍のダイヤモンド内には主たるキャリアの正孔が表面近傍(2nm以内
)に局在した表面伝導層が発生していることが知られている。この表面電気伝導層は、ア
ンドープ及びボロンドープの(100)および(111)面単結晶薄膜、及び多結晶薄膜
においても同様に存在することも知られている。
【0004】
この表面伝導層の発生機構は世界的にも論争段階にあるが、少なくとも実験的には表面
伝導層は、(1)200℃程度までは安定に存在し、(2)水素化されたダイヤモンド表
面にのみ発生していることがわかっている。表面の結合水素を除去する溶液処理(酸化処
理と呼ぶ)、例えば、沸騰させた硫酸・硝酸混合液中に浸す処理を施すことによって、こ
の表面伝導層は消滅することも知られている。
【0005】
受光部半導体の電気抵抗の変化又は光電流量の変化によって受光部に照射される紫外線
を検出する、いわゆるショットキー型光センサー素子としては、波長400nmから65
0nmの範囲の可視光等にも検出感度を持つSi半導体、また上記可視光等や赤外域の雑
音光には検出感度を全く持たないAlGa1-xN(0≦x≦1)半導体及びダイヤモ
ンド半導体を受光部の固体材料として用いたもの等が従来から考えられている。
【0006】
これらのショットキー型光センサー素子の光検出原理は、受光部のショットキー性電極
を通して、ショットキー性電極直下の半導体表面近傍にバンドギャップ以上のエネルギー
を持つ光を照射することによって、半導体内に電子-正孔対を発生させ、電圧印加したシ
ョットキー性電極直下の半導体表面近傍に発生する外部電場によって、このキャリアを走
行させることによる光電流量の変化を検出するものである。
【0007】
2端子素子からなる光センサー素子の中でも、2つのショットキー性電極から構成され
且つくし型電極構造を持つ金属-半導体-金属構造(MSM)型素子、およびショットキー
性電極とオーム性電極の2種類の異なった電極から構成されるショットキー型素子が広く
使われているが、本発明においても、少なくとも一つのショットキー性電極を利用して紫
外線を検出する方式を採用している。
【0008】
ダイヤモンド半導体を紫外線センサー素子に応用した例として、例えば、非特許文献1
には、多結晶ダイヤモンド薄膜の表面伝導層を受光部に用い、第1層電極にTi、第2層電
極にAu用いたMSM型の光伝導型センサー素子において、200nmの紫外線照射に対して
0.03A/Wの検出感度を達成しているものが記載されている。また、非特許文献2に
は、酸化処理を施すことによって表面伝導層を除去した多結晶ダイヤモンド膜を受光部に
用い、更に第1層電極にTi、第2層電極にAu用いたMSM型の光伝導型センサー素子におい
て、200nmの紫外線照射に対して、0.02A/Wの検出感度を得ているものが記載
されている。また、非特許文献3には、整流性電極としてAu、およびオーム性電極として
Ti/Ag/Au(ここで、“/”記号は堆積順序を示す)を多結晶ダイヤモンド薄膜上に形成し
たショットキー型のセンサー素子において、検出感度は不明であるが200nmと600
nm光照射時の可視光ブラインド比が5桁であるものが記載されている。
【0009】
また、先行技術例として、特許文献2は、厚さ40μmのダイヤモンド多結晶薄膜又は
(100)及び(111)配向薄膜と表面の結合水素を除去した表面を受光部に利用した
ダイヤモンド紫外線センサー素子に関する技術であり、検出感度が実用化には不十分であ
る。特許文献3は、ダイヤモンドの表面伝導層を受光部に利用したダイヤモンド紫外線セ
ンサー素子であり、その検出感度波長は可視光域全体にわたる特性を持っており、ダイヤ
モンドのバンドギャップ内の欠陥準位を利用した光伝導型センサー素子であり、250n
m以下の紫外線を選択的に検出することはできない。
【0010】
以上のすべての従来のダイヤモンド紫外線センサーは、紫外線を検出するためには、少
なくも1V以上の印加電圧が必要であり、印加電圧が無い(ゼロV)時には紫外線を検出す
ることができない欠点を持っている。
【0011】

【非特許文献1】H. J. Looi ,M. D. Whitfield, and R. B. Jackman, Appl. Phys. Letts. 74, 3332 (1999)
【非特許文献2】R. D. McKeag and R. B. Jackman, Diamond Relat.Mater. 7, 513 (1998)
【非特許文献3】M. D .Whitfield, S. SM. Chan, and R. B. Jackman, Appl. Phys. Lett.. 68, 290 (1996)
【特許文献1】特公昭59-27754号公報
【特許文献2】特開平11-248531号公報
【特許文献3】特開平11-097721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のダイヤモンド半導体を受光部に用いた紫外線センサー素子は、紫外線を検出する
ために必ず印加電圧が必要であり、印加電圧が無くても、即ちゼロ電圧であっても紫外線
を検出することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、素子構造の複雑化を回避しながらショットキー型センサー素子の特徴を生か
しつつ、極めて膜厚の薄い高融点金属のカーバイド化合物又は窒化物をショットキー性電
極に用いることによって、印加電圧ゼロVであっても波長280nm以下の紫外線に対す
る受光感度を持つダイヤモンド紫外線センサーを提供するものである。
【0014】
具体的には、受光部の電気抵抗変化又は光電流量の変化によって、印加電圧ゼロVであ
っても受光部に照射される波長260nm以下の紫外線を検出し、波長400nm以上の
可視光の検出感度が極めて小さい光センサー素子、その光センサー素子を用いた火炎セン
サー及び紫外線センサーである。紫外線センサー素子は、光伝導型、pn型、pin型、
及びショットキー型が既に工業化されている。本発明は、この中でも2端子電極を持つシ
ョットキー型センサー素子に関するものである。
【0015】
本発明は、(1)受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、
ショットキー性電極に高融点金属元素のカーバイド化合物又は窒化物を単一層として用い、オーム性電極にダイヤモンドと反応することによってカーバイド又は炭素との固溶体を形成することができる単一金属を用いた構造を持ち、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー、である。

【0016】
また、本発明は、(2)受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、少なくとも1つの電極において、ダイヤモンド表面に接触する電極層が、高融点金属元素のカーバイド化合物又は窒化物から構成され、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー、である。

【0017】
また、本発明は、(3)受光部材料の電気抵抗の変化又は光電流の変化によって、受光部に照射される光を検出する、2端子電極を持つショットキー型光センサー素子であって、表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を電極との接合界面に用い、少なくとも1つの電極において、ダイヤモンドと反応することによってカーバイド又は炭素との固溶体を形成することができる単一金属を用いた構造を持ち、ショットキー性電極の単一層の厚さが10nm以下であることを特徴とする電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー。

【0018】
また、本発明は、(4)表面伝導層を除去したダイヤモンド表面がダイヤモンドの水素
終端表面を酸化処理して形成された表面であることを特徴とする請求項1、2、および3
のいずれかに記載の電圧ゼロで駆動するダイヤモンド紫外線センサー、である。
【発明の効果】
【0020】
従来のダイヤモンド紫外線センサーではできなかった紫外線照射によって印加電圧がゼ
ロであっても光電流を発生させることができる電池機能を持っており、且つ印加電圧がゼ
ロ電圧においても波長220nmの紫外線と波長400から600nmの可視光に対する
受光感度の比(可視光ブラインド比と呼ぶ)5桁を達成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の紫外線センサーは、2端子電極を持つショットキー型素子であり、ダイヤモン
ドに対するショットキー性電極においては、例えば、単一層のWC(厚さ5nm)高融点金
属元素のカーバイド化合物を用い、オーム性電極においては、例えば、ダイヤモンドとの
反応性金属であるTi層(厚さ50nm)を用いている。紫外線はWCショットキー性電極層
を通して直下のダイヤモンド内で受光されるため、WC単一層の厚さは厚すぎると紫外線が
吸収されてしまうため、10nm以下の厚さが好ましい。また実施例において用いるマグ
ネトロンスパッタリング法では、WC薄膜を連続膜として堆積させるには少なくとも厚さ3
nm必要であるから、実用上はWCショットキー電極の厚さは3nm以上とすればよい。
【0022】
ショットキー性電極においては、ダイヤモンドと冶金学的な反応を起こさない高融点金
属カーバイド化合物や窒化物を単一層として用いる必要がある。電流—電圧特性が線形関
係となるオーム性電極としては、熱処理によってダイヤモンドと反応可能な単一金属元素
であることが必要である。
【0023】
熱処理は、真空中またはアルゴンガス雰囲気中での温度500℃から600℃までの条
件でよく、反応可能な単一金属は、この熱処理の結果カーバイド又は炭素との固溶体をダ
イヤモンドと電極との接合界面近傍に形成する。オーム性電極を得るためには、ダイヤモ
ンドと接合する金属が、熱処理によってダイヤモンドと反応した結果、カーバイドを形成
できる金属(以下カーバイド形成金属と呼ぶ)又は炭素との固溶体を形成できる金属(以
下固溶体形成金属と呼ぶ)、即ち反応可能な単一金属であればよく、実施例では、例えば
カーバイド形成金属としてTi(チタン)を使っている。
【0024】
カーバイド形成金属か又は固溶体形成金属かは、広く普及している炭素—金属間の2元
状態図データから判断することが可能である。熱処理温度は異なるものの、カーバイド形
成金属としては、例えばZr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびW等が上げられる。また固溶
体形成金属としては、熱処理温度に依存するもののNi、 Pt、 Co、 及びPdが上げられる

【0025】
また、電気的・光学的に高品質なダイヤモンド半導体は、CH(メタン)及びH(水
素)を原料ガスとして用いるマイクロ波励起プラズマ気相成長法によって、高圧合成させ
たダイヤモンド(100)又は(111)面単結晶基板上にエピタキシャル成長させるこ
とによって得られる。
【0026】
本発明の実施例においてもこの方法を用いるが、ダイヤモンドの成長表面には水素化さ
れた表面伝導層が存在するため、沸騰させた硫酸・塩酸溶液処理によってダイヤモンドの
水素終端表面の酸化処理を行い、表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を受光部および
電極との接合界面に用いる。ショットキー性電極及びオーム性電極ともに、電極との接合
界面は表面伝導層を除去したダイヤモンド表面を用いる。
【0027】
本発明は、この酸化処理表面に、図1及び図2に示すショットキー性電極およびオーム
性電極を形成したショットキー型センサー素子において、波長220~600nmの紫外
線および可視光線をこのショットキー性電極を通してダイヤモンド/金属に照射すること
によって、印加電圧ゼロVでも紫外線に対する受光感度を持ち、且つ可視光ブラインド比
5桁を実現する。
【0028】
本発明のショットキー型光センサー素子の光検出原理は、ショットキー性電極を通して
照射された紫外線によって発生したキャリアが、ショットキー性電極直下のダイヤモンド
表面近傍に形成されている空間電荷領域中の電場によって走行することにより、光電流が
流れることによる。ダイヤモンド/金属接合界面に自然発生する電場を利用しているため
、印加電圧がセロであっても紫外線検出が可能である。
【実施例1】
【0029】
図1及び図2に示すショットキー型センサー素子を以下に記すプロセスで作製し、紫外
線に対する光応答特性を測定した。
【0030】
図1に示すように、p型ドーパント元素であるB(ボロン)を添加したダイヤモンド・
エピタキシャル単結晶膜2は、CH(メタン)を原料ガス、及びH(水素)を希釈用
キャリアガス、更に1Vol(0.01)%水素希釈B(CH(トリメチルボロン
)をドーパントBの原料ガスとして用いたマイクロ波励起プラズマ気相成長法によって、
高圧合成法によって作製された長さ2.5×幅2.5×厚さ0.5mmの窒素含有量がI
bクラスであるダイヤモンド(100)単結晶基板1上に厚さ0.7μm成長させた。
【0031】
この時の成長条件は以下のとおりであった。基板温度800℃、成長圧力80Torr
、及びマイクロ波パワー360W、更にCH流量500sccm、CH/H濃度比
0.08%(vol)、及びB(CH/CH濃度比3(vol)ppm、成長時間は1
0時間であった。
【0032】
成長させたダイヤモンド(100)面エピタキシャル単結晶膜2は、沸騰させた硫酸お
よび塩酸混合溶液中に15分間浸すことによって酸化処理を施した後、超純水にてオーバ
ーフロー洗浄された。その後アセトン及びイソプロピルアルコールそれぞれの溶液中で超
音波洗浄され、フォトリソグラフィー法によって、図1の3および図2の3に示すTi電極
の作製のためのレジストのパターニングが行なわれた。
【0033】
その後、Arガスを用いたマグネトロンスパッタリング法によって、TiおよびWCターゲッ
ト材のスパッタリングからTi層(厚さ50nm)を堆積させ、リフトオフ法により、Ti
電極を形成した。その後、Ar雰囲気中において600℃、1時間の熱処理を施すことによ
ってオーム性電極を形成した。
【0034】
続いて、超純水オーバーフロー洗浄後、再びフォトリソグラフィー法によって図1の4
および図2の4に示すWC電極のレジストのパターニングが行われた。その後、同様にスパ
ッタリング法によってWC層(厚さ5nm)を堆積させ、リフトオフ法によりWCショトキー性
電極を形成した。
【0035】
Ti電極およびWC電極間の幅は(図1および図2の1Lに相当する)は10μmであり、
WC電極の直径(図1および図2の2Lに相当する)は400μmであった。
【0036】
このように作製されたショットキー型センサー素子は2短針プローバを装備した真空チ
ャンバー内にセットされ、チャンバー内はターボ分子ポンプによって0.1Paの真空度
に維持された。I-V特性は2端子法によって測定された。光応答特性は、分光器を通し
て220から600nmの範囲で単色化されたキセノンランプからの放射光を、石英窓を
通して上記紫外線センサー素子に照射することによって測定された。
【0037】
図3に、作製したショットキー型センサー素子のゼロバイアスにおける光応答特性を示
す。波長280nm以下において波長の減少とともに指数関数的な受光感度の増加が見ら
れる。可視光ブラインド比は5桁が得られている。
【産業上の利用可能性】
【0038】
従来のダイヤモンド紫外線センサー素子は、紫外線を検出するためには印加電圧を必要
としており、ゼロバイアスにおいて動作するダイヤモンドセンサー素子を製造することが
できなかった。本発明により、印加電圧が無い場合においても十分動作可能なダイヤモン
ド紫外線センサーが開発された。
【0039】
本発明の紫外線センサー素子は、印加電圧を必要としないため、極めて低消費電力性能
を持つ。従って、工業用燃焼炉、ガスタービンエンジン、並びにジェットエンジン等の燃
焼制御モニター、及び火災報知器と連動した炎探知機用の火炎センサー、更にシリコン大
規模集積回路作製プロセスに使われるステッパー露光装置や紫外線照射装置内の紫外線セ
ンサーに応用され、新たな紫外線センサー素子の市場が切り開かれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のダイヤモンド紫外線センサーの断面図である。
【図2】本発明のダイヤモンド紫外線センサーの電極パターンを示す平面図である。
【図3】本発明のダイヤモンド紫外線センサーの受光感度の波長依存性を示す。
【符号の説明】
【0041】
1:ダイヤモンド(100)単結晶基板
2:ダイヤモンド単結晶膜
3:オーム性電極
4:ショットキー性電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2