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明細書 :インドール化合物の製法及び触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4696275号 (P4696275)
公開番号 特開2008-221056 (P2008-221056A)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
発行日 平成23年6月8日(2011.6.8)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
発明の名称または考案の名称 インドール化合物の製法及び触媒
国際特許分類 B01J  31/26        (2006.01)
B01J  31/06        (2006.01)
C07D 209/08        (2006.01)
C07D 209/12        (2006.01)
C08F 212/08        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/26 Z
B01J 31/06 Z
C07D 209/08
C07D 209/12
C08F 212/08
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2007-059528 (P2007-059528)
出願日 平成19年3月9日(2007.3.9)
審査請求日 平成20年8月1日(2008.8.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】宮嵜 洋二
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】田澤 俊樹
参考文献・文献 国際公開第2005/085307(WO,A1)
特開2004-091389(JP,A)
特開昭62-228034(JP,A)
特開2007-237116(JP,A)
Antonio Arcadi et al.,"Gold(III)-Catalyzed Annulation of 2-Alkynylanilines: A Mild and Efficient Synthesis of Indoles and 3-Haloindoles",Synthesis,2004年,No.4,p.610-618
調査した分野 B01J 21/00-38/74
C07D 209/00-209/96
C08F 2/00-301/00
C07B 61/00
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
3価の金をスチレン系高分子に担持させて成る触媒であって、該スチレン系高分子が、スチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環が水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する、o-アルキニルアニリン誘導体からインドール化合物を合成するための高分子担持金触媒。
【請求項2】
前記スチレン系高分子が、下式(化1)
【化1】
JP0004696275B2_000014t.gif
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは共有結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、mは1~6の整数を表し、nは0~5の整数を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、x+y+zに対して、y+zは10~100%、zは0~35%、xは残部である。)で表される請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
3価の金化合物と前記スチレン系高分子の溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより3価の金イオンをスチレン系高分子に担持させてなる請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
有機溶媒中で、3価の金をスチレン系高分子に担持させて成る触媒であって、該スチレン系高分子が、スチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環が水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する高分子担持金触媒と、下式
【化2】
JP0004696275B2_000015t.gif
(式中、Rは、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基、Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基、Rは、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、oは0~4の整数を表す。)で表されるo-アルキニルアニリン誘導体とを併存させることから成る、下式
【化3】
JP0004696275B2_000016t.gif
(式中、R、R、R及びoは上記と同様を表す。)で表されるインドール化合物の製法。
【請求項5】
前記スチレン系高分子が、下式(化1)
【化1】
JP0004696275B2_000017t.gif
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは共有結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、mは1~6の整数を表し、nは0~5の整数を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、x+y+zに対して、y+zは10~100%、zは0~35%、xは残部である。)で表される請求項4に記載の製法。
【請求項6】
前記触媒が、3価の金化合物と前記スチレン系高分子の溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより3価の金イオンをスチレン系高分子に担持させてなる触媒である請求項4又は5に記載の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、回収可能な高分子担持金触媒、及びこの触媒を用いてo-アルキニルアニリン誘導体からインドール化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インドールは、医薬品を初めとする種々の生理活性物質の部分構造として有用な合成中間体である。これまでにインドールの合成法として数多くの方法が知られているが、最近金(III)触媒を用いて、緩和な条件下で、o-アルキニルアニリンをインドールに異性化させる方法が報告された(非特許文献1)。
一方、本発明者らは、マイクロカプセル化法を用いてスチレン系高分子に遷移金属ナノサイズクラスターを担持することにより、パラジウムや白金に於いて非常に高活性な触媒の製造が出来ることを見出した(特許文献1)。更に、本発明者らは、ポリスチレン誘導体に金ナノクラスターを担持させることにより高分子カルセランド型金触媒を調製し、アルコールを酸化して高収率で対応するケトン体を得ている(特願2006-65982)。
一方、価数を持った金イオンをポリマー上に固定化した例は極めて少ない(非特許文献2~3)。
【0003】

【特許文献1】WO2005/085307
【非特許文献1】Synthesis, 2004, 610-618.
【非特許文献2】Adv. Synth. Catal., 2006, 348, 1283-1288.
【非特許文献3】Adv. Synth. Catal., 2006, 348, 1899-1907.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金(III)触媒を用いてo-アルキニルアニリンをインドールに異性化させる方法(非特許文献1)では、金触媒を回収することができないため、好ましい方法ではない。
本発明者らは、既に開発した回収可能な高分子カルセランド型金触媒(特願2006-65982)を、このインドールの異性化反応に適用したところ、反応は全く進行しなかった。
そこで、本発明は、この触媒を改良して、o-アルキニルアニリン誘導体からインドール化合物を合成するための回収可能な金触媒及びこの金触媒を用いてインドール化合物を合成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、高分子カルセランド型金触媒(特願2006-65982)をインドール合成にも適用しても、反応が全く進行しない原因について考察した結果、金触媒の価数に起因するものと考え、この高分子カルセランド型金触媒(特願2006-65982)を改良して3価の金の固定化を試みた。その結果、3価の金をスチレン系高分子に担持させた高分子担持金触媒を作製することに成功し、この触媒を用いてo-アルキニルアニリン誘導体からインドール化合物を合成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、3価の金をスチレン系高分子に担持させて成る触媒であって、該スチレン系高分子が、スチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環が水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する、o-アルキニルアニリン誘導体からインドール化合物を合成するための高分子担持金触媒である。
また本発明は、有機溶媒中で、この触媒と、下式
【化2】
JP0004696275B2_000002t.gif
(式中、Rは、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基、Rは水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基、Rは、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、oは0~4の整数を表す。)で表されるo-アルキニルアニリン誘導体とを併存させることから成る、下式
【化3】
JP0004696275B2_000003t.gif
(式中、R、R、R及びoは上記と同様を表す。)で表されるインドール化合物の製法である。

【発明の効果】
【0007】
本発明の3価の金イオンをポリマー上に固定化した触媒を利用して、医薬品等生理活性物質の部分構造にしばしば見られるインドールをo-アルキニルアニリンから合成する事が可能になる。この反応では回収再使用が可能な固定化触媒を使用するため、コスト低減が達成されるのみならず、環境に優しい合成プロセスを構築できる。
本発明の触媒とインドール化合物の製法は、医薬品候補化合物の探索に必須なインドール化合物のライブラリー構築に有用であり、また医薬品中間体などの製造プロセスに組み込むことも可能である。また、本発明の製法は、環境調和型の反応であるため、広範な応用が見込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の高分子担持金触媒は、3価の金イオンがスチレン系高分子に担持されている。
本発明のスチレン系高分子は、スチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環、好ましくはベンゼン環が、水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する。
このスチレン系高分子は、更にエポキシ基を有する親水性側鎖を有していてもよい。
親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基であってもよいが、-R(OR-、-R(COOR-、又は-R(COOR(OR-(式中、Rは共有結合又は炭素数1~6、好ましくは共有結合又は1~2のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立して炭素数2~4、好ましくは2のアルキレン基を表し、w、x及びzは1~10の整数、yは1又は2を表す。)で表される主鎖をもつものが親水性であるため好ましい。このような好ましい主鎖として、-CH(OC-や-CO(OC-等が挙げられる。
【0009】
このようなスチレン系高分子として、以下のモノマー混合物を共重合して得られたスチレン系高分子が挙げられる。このスチレン系高分子は、例えば、下式(化4)
【化4】
JP0004696275B2_000004t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化5)
【化5】
JP0004696275B2_000005t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される水酸基を有するモノマーを必須に含む。
【0010】
また、このスチレン系高分子は、例えば、下式(化6)
【化6】
JP0004696275B2_000006t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化7)
【化7】
JP0004696275B2_000007t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表されるエポキシ基を有するモノマーを任意に含んでもよい。
【0011】
例えば、全モノマー中の、このエポキシ基を有するモノマーのモル含量は0~35%、好ましくは0%である。また、この水酸基を有するモノマーとエポキシ基を有するモノマーの合計含量は、10~100%であり、水酸基を有するモノマーの含量は、好ましくは20~50%である。残部はスチレンモノマーである。
【0012】
好ましいスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。
【化1】
JP0004696275B2_000008t.gif
式中、(x+y+z)に対して、y+zは10~100%であり、yは好ましくは20~50%である。zは0~35%、好ましくは0%である。xは残部である。mは1~6の整数を表し、nは0~5の整数を表す。
【0013】
3価の金イオンをこのスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、このスチレン系高分子と金前駆体を適当な極性の良溶媒に溶解した溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより3価の金イオンをスチレン系高分子に担持させることができる。
【0014】
金前駆体としては、3価の金化合物を用いる。このような金化合物として、3価の金ハロゲン化物及びその塩が好ましい。このような金化合物として、例えば、三塩化金(AuCl3)、三臭化金(AuBr3)、テトラクロロ金酸ナトリウム(NaAuCl4)、テトラブロモ金酸ナトリウム(NaAuBr4),テトラクロロ金酸カリウム(KAuCl4)、テトラブロモ金酸カリウム(KAuBr4)、テトラクロロ金酸(HAuCl4)、テトラブロモ金酸(HAuBr4)等が挙げられる。
【0015】
極性の良溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。金イオンをポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0~200 mg/mL、好ましくは10~100 mg/mlである。3価の金化合物は、ポリマー1gに対して、0.01~0.5 mmol、好ましくは0.03~0.2 mmol使用する。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1~10(v/v)倍量、好ましくは2~5倍量使用し、0.5~5時間程度で滴下する。
【0016】
このように金イオンを担持したスチレン系高分子は、エポキシ基を有する場合には、架橋性官能基(エポキシ基と水酸基)により架橋することができる。
架橋反応は、加熱や酸処理、紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは100~160℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0017】
このようにして、3価の金イオンを担持させたスチレン系高分子を、更に、無機担体に固定してもよい。このような無機担体として、シリカゲルのほか、中性アルミナ、塩基性アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、ヒドロキシアパタイト、ガラス等を用いることができる。
【0018】
このような高分子担持金触媒は、下式のように、有機溶媒中にこの触媒とo-アルキニルアニリン誘導体とを併存させることにより、o-アルキニルアニリン誘導体をインドール化合物に有効に変換する。
【化8】
JP0004696275B2_000009t.gif
この反応は、基質がo-アルキニルアニリン構造であれば進行するため、置換基(R~R)のこの反応の進行に対する影響は極めて少ない。従って、R~Rは特に制限されないが、例えば、以下のような置換基が挙げられる。
及びRは、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基である。
は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアリール基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基である。
oは0~4の整数、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0を表す。
【0019】
この反応は有機溶媒中で行われ、この有機溶媒としては、種々の有機溶媒が可能であるが、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等が望ましい。
反応の雰囲気は、好ましくはアルゴンである。
基質の濃度は通常0.01~1mmol/ml、好ましくは0.05~0.5mmol/mlである。
触媒の濃度は通常0.0001~0.05mmol/ml、好ましくは0.0005~0.025mmol/mlである。
反応温度は、通常0~80℃、好ましくは室温~40℃である。
反応時間は、1~50時間である。
【実施例】
【0020】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
得られたインドール化合物の収率は内部標準を用いたガスクロマトグラフィーで定量した。
製造例1
150 mLのTHFにソジウムハイドライド(60% in mineral oil, 5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g, 131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g, 87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルを得た(20.6 g, 66.2 mmol, 76%)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.
【0021】
製造例2
シリカゲルカラムを通して安定剤を除いたスチレン(4.37 g, 42 mmol)及び製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(6.51 g, 21 mmol)をクロロホルム12 mlに溶解し、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70, 64.7 mg, 0.21 mmol)を加え脱気、アルゴン置換した後35℃にて60時間撹拌した。反応液を氷冷下ジエチルエーテル600 ml中に滴下し、静置後上清をデカンテーションにより除いた。残渣をTHF5 mlに溶解し、ジエチルエーテル中への滴下、上清のデカンテーション操作をさらに2回繰り返した後、残渣を減圧乾燥し、下式のスチレン系高分子(高分子1)3.45 g(収率32%)を無色油状物質として得た。GPCにより決定した分子量は14,000、NMRにより決定したモノマーの組成比(x:z)は60:40であった。
高分子1の物性値: 1H NMR (CDCl3) δ= 1.22-1.98 (broad, 3H), 3.53-3.76 (m, 16X0.4H), 4.45 (broad, 2X0.4H), 6.32-7.23 (broad, (5X0.6+4X0.4)H).
【化9】
JP0004696275B2_000010t.gif

【0022】
実施例1
脱気乾燥した50 mlナスフラスコ中、製造例2で得たスチレン系高分子(高分子1)0.50 gをTHF9 mlに溶解し、Silica gel 60(Merck)2.5 gを加えアルゴン雰囲気下、THF1 mlに溶解したテトラクロロ金(III)酸ナトリウム2水和物(和光純薬)(20.1 mg, 0.0505 mmol)を加えた。室温にて2時間撹拌後、ヘキサン20 mlを15分かけて滴下し、そのまま一晩室温にて静置した。沈殿物をろ取、ヘキサン/THF(2/1)5 mlで3回洗浄した後減圧乾燥し、シリカゲル担持ミセル型金触媒3.03 gを淡黄色粉末として得た。ICP分析による金の担持量は0.0102 mmol/g、金の回収率は71%であった。
【0023】
製造例3
スチレン(1.9 g、18 mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(特許文献(WO2005/085307)に記載の方法に従って合成した。)(3.4 g、18 mmol)、製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び重合開始剤(和光純薬工業製V-70、164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式のスチレン系高分子(高分子2)(8.2g、x:y:z=32:32:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比はH-NMRにより決定した。
【化10】
JP0004696275B2_000011t.gif

【0024】
実施例2
製造例3で得たスチレン系高分子(高分子2)400 mg、Silica gel 60(Merck)2.0 g、及びテトラクロロ金(III)酸ナトリウム2水和物(15.9 mg, 0.04 mmol)から、実施例1と同様に、シリカゲル担持ミセル型金触媒2.53 gを淡黄色粉末として得た。金の担持量は0.0149 mmol/g、金の回収率は94%であった。
【0025】
実施例3
実施例1で得たシリカゲル担持ミセル型金(III)触媒507 mg(0.00517mmol Au、2 mol%)をヘキサン5 mlに懸濁し、2-フェニルエチニルアニリン(J. Org. Chem., 2004, 69, 1126の記載の方法で合成した。)50 mg(0.259 mmol)を加え室温にて9時間撹拌した。反応液にTHF/ヘキサン(2/1)を3 ml加えてろ過、金触媒を同溶媒3 mlにて3回洗浄した後、ろ液を合わせて減圧濃縮した。残渣をTHFに溶解させ5 mlとし、1/5は金の漏出量測定に使用し、残り4/5をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 20/1)にて精製し、2-フェニル-1H-インドール35.3 mg(収率88%)を無色固体として得た。反応中の金の漏出はICPにて測定したところ1.3%であり、ろ取・洗浄した金触媒の回収量は494 mg(回収率97%)であった。反応式を下式に示す:
【化11】
JP0004696275B2_000012t.gif
生成物の物性値:mp 187-9℃、1H NMR (CDCl3) δ= 6.83 (d, 1H, J=1.4 Hz), 7.12 (t, 1H, J=7.6 Hz), 7.20 (t, 1H, J=7.5 Hz), 7.33 (t, 1H, J=7.5 Hz), 7.41 (d, 1H, J=7.5 Hz), 7.43-7.46 (m, 2H), 7.63 (d, 1H, J=7.6 Hz), 7.67 (d, 2H, J=7.6 Hz), 8.33 (broad s, 1H).
生成物(2-フェニル-1H-インドール)の物性値は文献(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 1999, 529-534)に記載のデータと良く一致した。
【0026】
実施例4
実施例3と同様の操作により2-(4-メトキシフェニルエチニル)アニリン(J. Org. Chem., 2004, 69, 1126の記載の方法で合成した。)56.3 mgから2-(4-メトキシフェニル)-1H-インドール38.7 mgを淡黄色粉末として得た(収率86%)。反応中の金の漏出は0.6%であった。反応式を下式に示す:
【化12】
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生成物の物性値:mp 230-231℃、1H NMR (DMSO-d6) δ= 3.80 (s, 3H), 6.76 (broad s, 1H), 6.97 (t, 1H, J=7.5 Hz), 7.03 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.06 (t, 1H, J=7.5 Hz), 7.37 (d, 1H, J=8.2 Hz), 7.49 (d, 1H, J=7.5 Hz), 7.79 (d, 2H, J=8.2 Hz), 11.41 (s, 1H).
生成物(2-(4-メトキシフェニル)-1H-インドール)の物性値は文献(Eur. J. Org. Chem. 2006, 1379-1382)に記載のデータと良く一致した。
【0027】
実施例5
実施例3と同様の操作により、実施例2で得たシリカゲル担持ミセル型金(III)触媒174 mg(0.00259 mmol Au、5 mol%)及び2-フェニルエチニルアニリン10 mg(0.0517 mmol)をヘキサン2 ml中室温にて12時間反応させた。反応液にTHF/ヘキサン(2/1)を2 ml加えてろ過、触媒を同溶媒1 mlにて3回洗浄した後、ろ液を合わせて減圧濃縮した。残渣に1,2,4,5-テトラメチルベンゼン10.2 mgを内部標準物質として加え、重クロロホルム中測定した1H-NMRスペクトルにより、得られた2-フェニル-1H-インドールの収率を84%と決定した。NMR試料を回収濃縮後、ICP測定により決定した金の漏出量は1.2%であった。