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明細書 :アルコール飲料の品質評価方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4992086号 (P4992086)
公開番号 特開2008-224387 (P2008-224387A)
登録日 平成24年5月18日(2012.5.18)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
発明の名称または考案の名称 アルコール飲料の品質評価方法
国際特許分類 G01N  27/22        (2006.01)
G01N  33/14        (2006.01)
FI G01N 27/22 A
G01N 33/14
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2007-062276 (P2007-062276)
出願日 平成19年3月12日(2007.3.12)
審査請求日 平成22年2月2日(2010.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】高 義礼
【氏名】藤原 修
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特表2004-526960(JP,A)
特開昭63-284459(JP,A)
特開2000-241364(JP,A)
特表2005-514996(JP,A)
Masaki Kouzai et al.,Complex permittivity measurement at millimetre-wave frequencies during the fermentation process of Japanese sake,J.PHys.D: Appl.Phys,2007年 1月 7日,Vol.40 No.1,pp.54-59
調査した分野 G01N 27/00-27/24
G01N 22/00-22/04
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
アルコール飲料を対象として、電気定数である複素比誘電率を広帯域で測定し,そのCole-Coleプロットからアルコール濃度測定と品質の定量評価を行うアルコール飲料の品質評価方法であって、
複素比誘電率を数2で示し、複素比誘電率の実部を数3で示し、複素比誘電率の虚部を数4で示したとき、
【数2】
JP0004992086B2_000008t.gif

【数3】
JP0004992086B2_000009t.gif

【数4】
JP0004992086B2_000010t.gif

次式(1)によりεroとεr∞とからエタノール濃度を,ωmτ0とωmτとからアルコールの品質を評価する方法。(式中の、「εro」は、直流での比誘電率のこと、「εr∞」は無限大周波数での比誘電率のこと、「ω」は、角周波数で2πf(f:周波数)のこと、「ωm」は、fmをCole-Cole Plotの極小となる周波数としたときの角周波数で2πfmのことを示し、並びに、「τ」及び「τ0」は、いずれも「緩和時間」を表し、誘電緩和において分極が平衡状態に移行するときの移行速度を定める定数のことを示す。
【数5】
JP0004992086B2_000011t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料の品質評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイン等のアルコール飲料のアルコール濃度測定に関しては,そのアルコール飲料をまず蒸留することでエタノール以外の混合物を分離し,その後に比重計を用いてアルコール濃度が測定される。この場合,測定に時間がかかるうえ,測定者の熟達の度合いにより測定結果の誤差が大きくなるという欠点がある。
【0003】
一方,アルコール飲料の品質の定量化に関しては,例えばワインの場合,これの電気伝導度が無機塩の成分量(味の厚みに並行するとされる)を反映するとされ,近年,ワイン鑑評審査に試験的に採用され始めたが,現状では他のアルコール飲料も含めて,成分分析や官能検査(人の味覚いわゆるソムリエ等の主観評価)などを含む多くの項目の点数化で総合的に評価されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、アルコール飲料そのものの測定からエタノール濃度を測定できないこと,およびエタノールアルコール濃度とアルコール飲料の品質に関する定量測定を同時には行えないという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、アルコール飲料そのものからアルコール濃度および品質に関する定量的データを一挙に測定可能なアルコール飲料の品質評価方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアルコール飲料の品質評価方法は、アルコール飲料を対象として、電気定数である複素比誘電率を広帯域で測定し,そのCole-Coleプロットからアルコール濃度測定と品質の定量評価を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
従来,アルコール飲料のエタノール分(いわゆるアルコール濃度)と品質に関しては同一測定項目で評価できなかった。本発明を用いれば,アルコール飲料そのものに対する複素比誘電率のCole-Coleプロットから,これらを一挙に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下,本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0009】
本実施例では、ワインを対象として、複素比誘電率を広帯域で測定し,そのCole-Coleプロットからアルコール濃度測定と品質の定量評価を行った。ワインの電気定数測定には、ネットワークアナライザと付属の開放終端同軸プローブ(誘電体プローブ)を用いた。図1は測定配置図と誘電体プローブを示す。ガラス容器に測定試料として21℃の赤ワインを入れ,誘電体プローブの端面を液体試料に浸すことで入射正弦波に対する反射波から次式(数1)で示す複素比誘電率の周波数特性を10 MHz乃至6GHzに亘って測定した。
【0010】
【数1】
JP0004992086B2_000002t.gif


【0011】
ここで左辺(数2で示す)は、複素比誘電率である。
【0012】
【数2】
JP0004992086B2_000003t.gif

【0013】
右辺については、次式の数3が、複素比誘電率の実部を示し、数4が、複素比誘電率の虚部を示す。
【0014】
【数3】
JP0004992086B2_000004t.gif

【0015】
【数4】
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【0016】
測定結果はCole-Coleプロット (複素比誘電率の実部をx軸,虚部をy軸としてプロット)として表示し,試料の特性比較を行った。なお,参考データとしてエタノールと蒸留水のCole-Cole プロットも測定した。
【0017】
図2はCole-Cole プロットを示す。この図から,エタノールと蒸留水は半円型のデバイ分散特性を示しているのに対して,ワインは半円の一部から直線的に急上昇していることがわかる。これは,ワインが直流の導電性をもつことによる。なお,ワインの半円は種類によらずほとんど同じであったが,極小点と直線部分はワインによって異なっていることが確認できた。図から,エタノールと蒸留水に対する半円の中心と半径はエタノール濃度に比例して減少していることが推定され,これによりワインの半円部分はエタノール濃度,極小点と上昇直線部分はワインの含有成分に依存するものと仮定できる。いま、複素比誘電率を次式(1)のデバイ分散特性を有するものとして,各パラメータデバイ分散特性を有するものとして,各パラメータを測定値から求めたCole-Coleプロットの計算結果を図2の点線で示す。
【0018】
【数5】
JP0004992086B2_000006t.gif

【0019】
この図から,エタノールと蒸留水に対するCole-Cole プロットの計算値は測定値をほぼ表していること,ワインに対するそれも概ね表していること,などから式(1)は妥当であることがわかる。このようにして求めた各種の赤ワインに対する式(1)の諸元を表1に纏めて示す。
【0020】
【表1】
JP0004992086B2_000007t.gif

【0021】
ここで,fmはCole-Coleプロットの極小となる周波数,ωmは角周波数である。前記デバイの式で通常使用されているように「εro」は、直流での比誘電率のこと、「εr∞」は無限大周波数での比誘電率のこと、「ω」は、角周波数で2πf(f:周波数)のこと、「ωm」は、fmをCole-Cole Plotの極小となる周波数としたときの角周波数で2πfmのことを示し、並びに、「τ」及び「τ0」とは、いずれも「緩和時間」を表し、誘電緩和において分極が平衡状態に移行するときの移行速度を定める定数のことを示す。εroとεr∞とからエタノール濃度,ωmτoとωmτとからワインの品質評価の可能性が示唆される。なお,赤ワインの飲み頃は12乃至20℃とされているので,ワインを約14℃に統一して同じ測定を行ったところ,ほとんどの試料において図2のCole-Coleプロット全体が左に平行移動しただけであった。

【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、アルコール飲料品質評価の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】測定配置図と誘電体プローブを示した図である。
【図2】Cole-Cole プロットを示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
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