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明細書 :貝類の食害の検知方法及びモニタリングシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4774521号 (P4774521)
公開番号 特開2008-220238 (P2008-220238A)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
発明の名称または考案の名称 貝類の食害の検知方法及びモニタリングシステム
国際特許分類 A01K  61/00        (2006.01)
FI A01K 61/00 E
A01K 61/00 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 5
出願番号 特願2007-061747 (P2007-061747)
出願日 平成19年3月12日(2007.3.12)
審査請求日 平成21年11月9日(2009.11.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】関根 雅彦
審査官 【審査官】竹中 靖典
参考文献・文献 特表平08-501445(JP,A)
実開昭58-088871(JP,U)
特開2002-027887(JP,A)
特開昭47-038493(JP,A)
特開2000-093038(JP,A)
特開2004-350608(JP,A)
特開2004-081117(JP,A)
調査した分野 A01K 61/00
特許請求の範囲 【請求項1】
海中における捕食生物が2枚貝を噛み砕く際に発生する貝殻の破砕音の検知によって捕食生物による2枚貝の食害の発生を検知する方法。
【請求項2】
海中における捕食生物が2枚貝を噛み砕く際に発生する貝殻の破砕音の検知によって捕食生物の大量発生による2枚貝の食害を予測するモニタリングシステムであって、
海中に設置された複数のハイドロフォン、前記捕食行動に伴う貝殻の破砕音の標準値の記憶装置、ハイドロフォンが捕捉した音を記憶装置の標準値と比較する比較装置、及び送信装置と、送信された内容を受信する基地及び受信内容を解析する処理装置とからなる貝類の食害モニタリングシステム。
【請求項3】
請求項2において、標準値以外の音を除去するフィルタ手段が設けてある貝類の食害モニタリングシステム。
【請求項4】
請求項2または3において、解析手段には、破砕音の頻度が設定値を超えた場合に警報を発するアラーム装置が設けてある貝類の食害モニタリングシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貝類、特にアサリなどの2枚貝の食害状況を検知する方法及びその方法を使用したモニタリングするシステムに関し、近年問題となっているナルトビエイによるアサリの食害を素早く検知するためのモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本沿岸において、アサリなどの2枚貝のナルトビエイによる食害が指摘され、アサリが全滅して漁獲高がゼロとなった地域も報告されている。
従来、アサリ等の海産物を捕食する動物の大量発生による食害は、海産物の漁獲高の激減と、実際に海に出て捕食動物が大量発生しているのを観察して初めて食害の発生を検知しており、事前に適切な対策をとることができず、後手に廻っており、海産物の食害の発生を阻止することが困難であった。

【非特許文献1】土木学会論文集No.713/VII-24 69-79,2002.8「浅海域環境評価を目的とした水中音響観測によるテッポウエビ類の生息密度推定」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食害の発生を初期の段階で検知することができれば、防止対策や発生場所における駆除活動を集中的におこなったり、海産物の主要生息領域に侵入しようとするものだけを駆除することによって、徒に駆除して生態系に影響を与えることを未然に防止することが可能となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、アサリ等の2枚貝の食害を検知できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
海中における捕食生物が2枚貝を噛み砕く際に発生する貝殻の破砕音の検知によって捕食生物による2枚貝の食害の発生を検知するものである。
ナルトビエイが2枚貝を捕食する際には、尖った口を有し、顔を砂に突っ込んでアサリをくわえ、頑強なアゴで殻を割って身だけを食べて殻は口から吐き出すことから、貝殻を粉砕する際の破砕音を捉えることによって食害の発生を検知する、というものである。
【0005】
さらに、貝殻が噛み砕かれる際の破砕音の発生分布と頻度をモニタリングできるシステムである。
すなわち、ナルトビエイが大量発生し、大量のアサリを捕食し始めると、水中または海底に設置したモニタリング用のハイドロフォンがその破砕音を捉え、送信してくるので、食害が発生す頻度、分布から食害の発生地域を予測できるようにするものである。
【0006】
モニタリングをおこなう際には、先ず食害が発生すると予測される海域の適宜のポイントにハイドロフォン及び送信機を設置すると共に、各ハイドロフォンから送信されるデータを受信する基地と受信したデータを解析する解析装置(コンピュータ)を設置する。各ハイドロフォンは、配置された箇所において、ナルトビエイがアサリを捕食する際に発生する貝殻の破砕音を選択的に検知して受信基地に向けて送信する。受信した各ハイドロフォンからのデータを解析し、これら頻度と破砕音発生場所の広がりや変化によってナルトビエイが向かう海域を予測するものである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によって、食害の発生する可能性のある海域において食害の発生を初期の段階で検知し、大きな被害が発生する前にナルトビエイを駆除すればよく効率よく食害を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面に従って本発明の食害防止モニタリングシステムを説明する。
図1は、本発明のモニタリングシステムの全体構成を示す概念図である。
ハイドロフォン1をアサリの生息地であってナルトビエイによる食害が予測される海域に適宜の個数を設置する。
【0009】
各ハイドロフォン1には個別IDが割り付けてあり、基地5とハイドロフォン
とのデータ通信においては、IDをデータと共に送信するようにしてあり、基地5、受信したデータをID毎に記憶して管理する。
【0010】
ハイドロフォン1は、海上に設置したブイ2から錘をつけてロープで吊り下げてあり、受音部を水底から約1mの位置に設置する。ロープには電源供給ラインが併設または内蔵させてあり、ブイ2には電源を供給するための太陽電池4が設置してある。
【0011】
予めナルトビエイがアサリを破砕するときに発生する貝殻の破砕音の周波数分布、発生時のパルス形状を標準化して記憶させておき、ハイドロフォン1が捕捉した音と記憶した音を対比して、類似した破砕音のみを食害発生に関連する音であると判断して、送信機3から基地5に向かって発信するようにしてある。
【0012】
ハイドロフォン1が捕捉した音には船舶や波、更には他の海中生物が発生する音もあるので、これらの食害とは無関係と判断されるものは雑音と判定して極力除去する。除去方法としては、波形解析ソフトなどのフィルタ機能を利用し、ナルトビエイが貝を破砕するときに発する音以外の周波数成分を除去する。
【0013】
複数箇所へのハイドロフォン1の設置は、設置作業やその後の維持管理に費用がかかるので、一つの測点で広範囲の海域をカバーすることができるように、一辺3mの正四面体の頂点に4個のハイドロフォン1を配置し、音源の位置を特定できるようにすることによって設置個数を減らすことができる。
【0014】
ハイドロフォン1の電源としてのブイ2に設置した太陽電池4が発生した電力は、電気二重層コンデンサからなる蓄電池に蓄え、無日照が15日ほど続いても必要な電力を供給できるようにする。
データの送信は一定時間間隔に設定してもよく、また、必要に応じて基地からのポーリングによってデータを送信するようにしてもよい。破砕音が観測されない場合であっても一日に1回、定時に捕捉音の個数がゼロであることを報知して機器が正常に稼動していることを基地5に知らせるようにするなど、適宜のデータ通信の態様を選択する。
【0015】
基地5において、データを解析するコンピュータは、設置した複数のハイドロフォン1からの送信信号を受信し、測定値等のデータの集積及び時系列的解析などを実施し、アサリの食害発生のモニタリングをおこなう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のモニタリングシステムの概念図。
【符号の説明】
【0017】
1 ハイドロフォン
2 ブイ
3 送信機
4 太陽電池
5 基地
図面
【図1】
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