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明細書 :NaCl型炭化ケイ素の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5110496号 (P5110496)
公開番号 特開2007-137751 (P2007-137751A)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発行日 平成24年12月26日(2012.12.26)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
発明の名称または考案の名称 NaCl型炭化ケイ素の製造方法
国際特許分類 C01B  31/36        (2006.01)
FI C01B 31/36 601J
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2005-337667 (P2005-337667)
出願日 平成17年11月22日(2005.11.22)
審査請求日 平成20年11月14日(2008.11.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】野田 哲二
【氏名】荒木 弘
【氏名】鈴木 裕
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 特開平05-220401(JP,A)
調査した分野 C01B 31/00-31/36
特許請求の範囲 【請求項1】
孔径が0μmより大きく1μm以下で柱状の細孔が形成された中空体の細孔内にトリクロロメチルシランを1Torr~100Torrの減圧下で流通させ、900℃~1300℃の温度で熱分解させて、中空体の内壁にNaCl型炭化ケイ素を生成させることを特徴とするNaCl型炭化ケイ素の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度のNaCl型炭化ケイ素を容易に製造することのできるNaCl型炭化ケイ素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、高温半導体、フォトニック材料、研磨剤、さらに構造用材料として応用されている。
【0003】
従来知られている炭化ケイ素は、3C立方晶型(格子定数0.436nm)や、4H、6H、15R等の六方晶型である。最近、ダイヤモンド粉にシリコン(Si)を混ぜ、2500℃、6GPaの高温高圧下で、高密度のNaCl型炭化ケイ素(格子定数0.408nm)を合成できることが報告されている(非特許文献1)。

【非特許文献1】B.Yao et al., J. Mater. Scie. Lett., 14, (1995), 931-933
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NaCl型炭化ケイ素は、理論的にはたとえば3C構造等の炭化ケイ素を圧縮すれば実現されるはずであるが、実際には、2500℃、6GPaの高温高圧下でも合成されていない。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、より高性能であると見込まれるNaCl型炭化ケイ素を容易に製造することのできるNaCl型炭化ケイ素の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、孔径が0μmより大きく1μm以下で柱状の細孔が形成された中空体の細孔内にトリクロロメチルシランを1Torr~100Torrの減圧下で流通させ、900℃~1300℃の温度で熱分解させて、中空体の内壁にNaCl型炭化ケイ素を生成させることを特徴としている。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高温、高圧を用いず、トリクロロメチルシランの熱分解という簡便な手法で高密度のNaCl型炭素ケイ素を製造することができる。低コストのトリクロロメチルシランを原料に用い、簡便な電気炉を使用することができるため、NaCl型炭化ケイ素を安価に製造することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下実施例を示し、本発明のNaCl型炭化ケイ素の製造方法についてさらに説明する。
【0009】
図1に示したように、孔径が0μmより大きく1μm以下で柱状の細孔1が形成された中空体2の細孔1内にクロロシラン3を流通させる。クロロシラン3の流通は、1Torr~100Torrの減圧下で行い、キャリヤーとして水素ガス、アルゴンガス等を使用することができる。クロロシラン3は、中空体2の下方から上方へと導くことができる。クロロシラン3としては、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン等が例示され、クロロシラン3は炭化水素を含有するものであってもよい。中空体2は、たとえば、薄膜を所定間隔で離間配置し、柱状の細孔1が形成されたものとすることができる。
【0010】
このような中空体2は電気炉内に配置することができ、クロロシラン3を流通させながら温度900℃~1300℃の温度に加熱する。クロロシラン3は中空体2の細孔1内で熱分解し、炭化ケイ素が生成し、図2に示したように、中空体2の内壁にNaCl型の炭化ケイ素4が析出する。熱分解に必要な温度は900℃~1300℃の範囲が適当であり、この範囲からはずれるとクロロシラン3の分解効率が低下する。
【0011】
このように、クロロシランの熱分解という簡便な手法によりNaCl型炭化ケイ素の製造が可能となり、製造に高温、高圧を要しない。クロロシランは安価な物質であり、簡便な電気炉を利用することができるため、NaCl型炭化ケイ素の製造を低コストで行うことが可能となる。
【0012】
NaCl型炭化ケイ素は、これまでの炭化ケイ素と比較して高密度であり、かつ高剛性を有する材料である。3C型の炭化ケイ素の約1.3倍の剛性を有することが予想され、炭化ケイ素の中で最も強度の高い物質であると考えられる。特に強度の要求される用途への応用が見込まれる。
【実施例】
【0013】
孔径が0μmより大きく1μm以下で柱状の細孔を有する非晶質アルミナ製の中空体を電気炉内に配置し、この中空体の細孔内に、120Torr、1000℃で水素ガスをキャリヤーとしてトリクロロメチルシラン(CHSiCl)を約0.01モル/分の流
量で下方から上方へ導いた。水素ガスの流量は1000SCCMとした。中空体の内壁に微粉状の析出物が生成した。
【0014】
析出物を電子顕微鏡により観察した。図3に示したように、析出物は、外径が数nm~数十nmのチューブ状の物質であり、多結晶粒から形成されている。図4に示したマイクロ組織から格子間隔を計ると、NaCl型炭化ケイ素の200面間隔の約0.2nmにほぼ一致している。析出物がNaCl型炭化ケイ素であると同定される。
【0015】
次いで、X線回折を行った。図5に3C型の炭化ケイ素と合成されたNaCl型炭化ケイ素のX線回折パターンを示した。両X線回折パターンの比較から、NaCl型炭化ケイ素はC型炭化ケイ素と明らかに異なる構造を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のNaCl型炭化ケイ素の製造方法の概要を示した要部正面図である。
【図2】NaCl型炭化ケイ素の生成の様子を概略的に示した断面図である。
【図3】実施例で得られたNaCl型炭化ケイ素の電子顕微鏡像である。
【図4】実施例で得られたNaCl型炭化ケイ素のマイクロ組織を示した電子顕微鏡像である。
【図5】実施例で得られたNaCl型炭化ケイ素のX線回折パターンを3C型炭化ケイ素のX線回折パターンと対比して示した図である。
【符号の説明】
【0017】
1 細孔
2 中空体
3 クロロシラン
4 NaCl型炭化ケイ素
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4