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明細書 :フレーク状粉末を用いて成形した固化成形体とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4798488号 (P4798488)
公開番号 特開2007-153645 (P2007-153645A)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
発行日 平成23年10月19日(2011.10.19)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
発明の名称または考案の名称 フレーク状粉末を用いて成形した固化成形体とその製造方法
国際特許分類 C04B  35/645       (2006.01)
B22F   3/14        (2006.01)
B22F   7/00        (2006.01)
FI C04B 35/64 N
B22F 3/14 101C
B22F 7/00 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2005-348390 (P2005-348390)
出願日 平成17年12月1日(2005.12.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年6月1日から3日 粉体粉末冶金協会主催の「粉体粉末冶金協会 平成17年度春季大会」において文書をもって発表
審査請求日 平成20年11月27日(2008.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】垣澤 英樹
【氏名】皆川 和己
【氏名】高森 晋
【氏名】大澤 嘉昭
審査官 【審査官】櫻木 伸一郎
参考文献・文献 特開平01-230460(JP,A)
特開平10-053465(JP,A)
特開2003-146767(JP,A)
特開平11-217272(JP,A)
特開平07-118701(JP,A)
セラミックス辞典,日本,丸善株式会社,1986年 1月25日,118頁
調査した分野 C04B 35/64-35/84,35/00-35/22,35/52
C04B 41/00-41/91
C30B 1/00-35/00
C03C 10/00
B22F 3/14
B22F 7/00
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
フレーク状粉末とフレーク状粉末結合材料とからなる固化成形体の製造方法であって、平均粒子径が20~40μm、厚さが数μm~数百nmの扁平な平面形状を持つ、前記フレーク状粉末を使用し、前記フレーク状粉末が金属、セラミックス、有機物および無機物層状物質から選択される少なくとも1種の場合には、前記結合材料にガラス、樹脂、および硬化性化合物から選択される1種を、
前記フレーク状粉末がセラミックス、ガラス、有機物および無機物層状物質から選択される少なくとも1種の場合には、前記結合材料に金属、樹脂、および硬化性化合物から選択される1種を、
選択し、基板上に前記フレーク状粉末の扁平面が配向するように塗布し、塗布積層体から基板を分離した後、塗布面に対して垂直方向から加圧して焼成あるいは焼結し、前記フレーク状粉末が積層状に配向分布していることを特徴とする固化成形体の製造方法。
【請求項2】
焼成あるいは焼結温度をフレーク状粉末およびフレーク状粉末結合材料が凝集せず、かつフレーク状粉末結合材料の接合温度領域で行うことを特徴とする請求項1の固化成形体の製造方法。
【請求項3】
焼成あるいは焼結を減圧および高温の環境下で行うことを特徴とする請求項1または2に記載された固化成形体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この出願の発明はフレーク状粉末を用いて作製した固化成形体とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明はフレーク状粉末を用いて作製した基板材料や保護材料、マイクロマシン用の構造材料として有用な固化成形体とその製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
マイクロマシン用構造材料やナノテク用基板材料、保護材料として、数~数百ミクロンのディメンジョン(寸法)で、かつ、高い信頼性を持つ複合材料が求められている。
【0003】
このようなサイズでは、従来の数~数十ミクロンオーダーの構成素材を用いた複合材料では材料の不均一性が無視できなくなる。そのため、信頼性を確保するにはより小さな構成素材を用い、サブミクロン以下のオーダーで複合化することが必要である。また、微細な複合構造にすることで、高信頼性に加え、高靭化や高強度化が達成される可能性もある。特に、単純な構造では大きな複合効果が得られる積層材料では、この効果が顕著に期待できる。
【0004】
サブミクロンオーダー以下の積層構造を作製する方法としては、従来からバイオミメティック(生物を模倣した)なプロセスを応用した自己組織形成、蒸着法(特許文献1)、スピンコート法(特許文献2)、スパッタリング法(特許文献3)およびCVD法(特許文献4)等の製法が知られている。このような製法はいずれも非常に薄い層を均一に作製することが可能であり十数層程度の積層構造体を作製することも知られている。

【特許文献1】: 特開2002- 1863号公報
【特許文献2】: 特開2005-146308号公報
【特許文献3】: 特開2001-328198号公報
【特許文献4】: 特開2001-332749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来から知られているナノテク用の積層構造体の製法は本来「薄膜」を作製するための技術であり、ナノテク用の基板材料や保護材料、あるいはマイクロマシン用の構造材料のように、より厚みのある多層積層を要するバルクの積層体を製造することは技術的に非常に困難である。また、従来の製法はコスト、プロセス時間の面でも大きな問題があるため事実上利用することは不可能である。
【0006】
そこで、以上のとおりの事情に鑑みて、この出願の発明はこのような課題を解決するものとして、ナノテクノロジーを支える技術として多くの応用が期待できる固化成形体を、粉末の固化成形というシンプルな方法を用いて厚さ数μ m ~ 数百n m のフレーク状の粉末微細な積層構造を持つバルクのナノ複合構造特有の力学特性を発現し、かつ機能性も付与できる固化成形体を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0007】
この出願の発明は上記の課題を解決するものとして、第1 には、フレーク状粉末結合材料を被覆したフレーク状粉末を扁平面が配向させた状態で扁平面に対して垂直方向から加圧して焼成あるいは焼結する固化成形体の製造方法を提供する。

【0010】
および第には、この出願の発明に好適な処理条件を提供する。

【発明の効果】
【0012】
上記第1の固化成形体の製造方法によれば、フレーク状の粉末を固化成形するという簡単な方法で微細な積層状構造を持ったバルクの固化成形体の製造方法を提供することができる。

【0015】
および第固化成形体の製造方法の発明によれば、固化成形に好適な処理条件の範囲を特定することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この出願の発明は、アルミナ粉末、ガラス粉末、アルミニウム粉末等の金属やセラミックス、ガラス、有機物、あるいは無機層状物質、もしくはこれらの複合物のフレーク状粉末の表面にフレーク状粉末結合材料となる材料をコーティングした後に加圧および加熱して焼成もしくは焼結して固化することを特徴とするものであるが、この出願の発明におけるフレーク状粉末とは、粉末の断面形状のアスペクト比が1ではない、いわゆる扁平な平面形状を持つ粉末を意味するものであり、アスペクト比の範囲が限定されているわけではない。また、フレーク状粉末の素材としては、金属、セラミックス、ガラス、あるいは有機物、さらにはマイカやグラファイト等の無機層状物質等のフレーク状粉末が好適であるが、特にその種類は限定されるものではない。フレーク状粉末結合材料についても各種であってよく、金属、ガラス、有機物等のうちから選択することができる。またフレーク状粉末の固化成形体の形成に際し、この出願の発明では、フレーク状粉末の扁平面に対して垂直方向(略垂直方向を含む)より加圧して焼成もしくは焼結する。


【0018】
たとえば、フレーク状粉末結合材料がコーティングされた粉末をスラリー状にして平板上に平ヘラで塗布した後乾燥させて仮焼結体を作り、それを扁平塗布面に垂直な一軸プレスをかけながら焼成を行う方法等も好ましい形態として例示することができる。いずれにしても成形時において図1の概要図に示されているようにフレーク状の粉末(1)の平面、すなわち扁平面が配向方向(2)に向って垂直(略垂直)になるように配向されていればよい。すなわち、フレーク状粉末(2)は、図1のように扁平面が相互に平行、あるいは略平行な状態にあればよい。ただ、固化成形時における雰囲気温度はフレーク状の粉末材料およびコーティング材料が気化しない温度に制御することが必要である。また、固化成形中に、フレーク状の粉末材料またはコーティング材料と雰囲気の気体をその場で反応させることによって、最終的に積層体を得ることも可能である。なお、フレーク状粉末結合材料の塗布方法については各種であってよく、たとえばバインダが、銀、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属や合金である場合には、メッキ、無電解メッキ、蒸着、スプレー等の方法が、また、フレーク状粉末結合材料が、樹脂や硬化性化合物等の有機物である場合には、これらの溶融物のスプレー、混合、浸漬、もしくは蒸着等の方法がその例として考慮される。
【0019】
そこで以下に、実施例を示し、さらに詳しくこの発明を説明する。もちろん、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
フレーク状の粉末として表1で示されているアルミノケイ酸ガラスフレークのうち、厚さ0.7μm、平均粒径(扁平面最大径の平均)20μmのアルミノケイ酸ガラスフレークを用いて無電解めっき法により厚さ約50~100nmの銀コーティングを施した。なお、図2はアルミノケイ酸ガラスフレークの概観の形状を示した写真である。
【0021】
【表1】
JP0004798488B2_000002t.gif
このアルミノケイ酸ガラスフレークをポリビニルアルコール(PVA)水溶液と混合したスラリー(重量混合比 ガラスフレーク:水:PVA=100:130:4)を作製した。このスラリーを金属製の平ヘラでせん断力を与えながらモリブデン箔上に100回程度重ね塗りを行い、厚さ約1.2cmの成形体を得た。この成形体を直径約30mmの円板状に切り出した後、モリブデン箔を取り除き、直径30mmの黒鉛ダイスに入れ、真空(10Pa)中、943Kで上下方向のプレス(21.2kN)で押圧しながら900sパルス通電焼結を行った。以上の方法で製造された材料の断面図を図3に示す。
【0022】
作製されたガラスフレークは積層面に沿って配向しており、焼結された固化成形体は完全に緻密化されていた。ガラスフレーク間には金属(銀)が存在しておりガラスフレークを接着していた。焼結した固化成形体の破壊抵抗(靭性)をビッカースインデンテーション法により簡易的に評価した。通常、ガラス単体材料にビッカース圧子を打ち込むと圧痕の四隅(頂点)から亀裂が発生するのに対して、この出願の発明の方法で製造した固化成形体は積層面に対して垂直な方向にはまったく亀裂が観察されず、大きな破壊抵抗を持つことが確認された(図4)。

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】配向したフレーク粉末を模式的に示した図である。
【図2】アルミノケイ酸ガラスフレークの概観を示した写真である。
【図3】この発明の方法によって作製されたガラス/銀からなる固化成形体の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本願発明のガラス/銀固化成形体(A)とガラス単体材料(B)の破壊抵抗をインデンテーション法により比較したものである。
【符号の説明】
【0024】
1: フレーク粉末
2: 配向方向
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3