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明細書 :貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4822206号 (P4822206)
公開番号 特開2007-177075 (P2007-177075A)
登録日 平成23年9月16日(2011.9.16)
発行日 平成23年11月24日(2011.11.24)
公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
発明の名称または考案の名称 貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法
国際特許分類 C09K  11/08        (2006.01)
C09K  11/64        (2006.01)
FI C09K 11/08 B
C09K 11/64 CQD
請求項の数または発明の数 5
全頁数 17
出願番号 特願2005-377087 (P2005-377087)
出願日 平成17年12月28日(2005.12.28)
審査請求日 平成20年12月15日(2008.12.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】山本 吉信
【氏名】三友 護
【氏名】解 栄軍
審査官 【審査官】小川 由美
参考文献・文献 特開2007-131773(JP,A)
特開2004-359923(JP,A)
特開2005-154611(JP,A)
特開2005-008794(JP,A)
特開2005-307012(JP,A)
特開2004-067837(JP,A)
貝殻を出発原料に用いた蛍光性セラミックスの作成と評価,粉体粉末冶金協会講演概要集平成十七年度秋季大会,2005年11月14日,p.273
ホタテガイ貝殻の機能性探索,日本セラミックス協会2004年年会講演予稿集,2004年 3月22日,p.287
ホタテガイ貝殻を用いた蛍光体材料の研究開発,平成17年度北海道立工業技術センター研究発表会都市エリア産学官連携促進事業研究成果発表会要旨集,2005年 7月 7日,p.9-10
調査した分野 C09K11/00-11/89
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
貝殻を焼成後粉砕して得られる粉末をCa-α-サイアロンの製造に用いられる原料として用いることを特徴とする貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法。
【請求項2】
貝殻を大気中において500℃~800℃の温度で30分~1時間焼成し、その後粉砕する請求項1記載の貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法。
【請求項3】
原料を混合、成形した後、0.1MPa~10MPa以下の圧力範囲の窒素雰囲気中において1400℃~2200℃の温度で2時間~8時間焼成し、その後粉砕する請求項1または2記載の貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法。
【請求項4】
光学活性元素として少なくともEuを含有させる請求項1ないし3いずれか1項に記載の貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法。
【請求項5】
光学活性元素として少なくともCeを含有させる請求項1ないし3いずれか1項に記載の貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Ca-α-サイアロン蛍光体の原料に貝殻を用いたCa-α-サイアロン蛍光体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式(Cam/2)(Si12-(m+n)Alm+n)(O16-n)で示されるCa-α-サイアロンは、Euなどの光学活性元素を付活することにより黄色蛍光体などの蛍光体になることが知られている(たとえば、特許文献1)。Ca-α-サイアロン蛍光体は、たとえば、CaO-Si-AlN-Eu系の原料混合粉末を成形後、窒素雰囲気中において1700℃~2000℃の温度で焼成し、粉砕することにより製造することができる。

【特許文献1】特開2005-307012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、わが国のホタテ貝の水揚げは年間約50万トン以上であり、食した後の貝殻量は年間25万トン以上にのぼる。この莫大な量のホタテ貝殻は再利用されることなく、廃棄されている。他の海に生息するあさり、あわび、トコブシ、さざえといった貝を合わせると廃棄される貝殻量は筆舌に尽くしがたい。
【0004】
そこで、本発明は、産業廃棄物として廃棄されている貝殻を資源として再利用することを念頭におき、貝殻のリサイクルを図り、貝殻を用いてCa-α-サイアロン蛍光体を製造する製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ホタテの貝殻を調査した結果、主成分はCaOとCOであり、その量は合計で約98wt%であることが判明した。あさり、あわび、トコブシ、さざえなどの貝殻も、主成分はCaOとCOであった。この結果から、貝殻をCa-α-サイアロンのCaO源として使用することができるのではないかと考え、鋭意研究を重ねたところ、Ca-α-サイアロン蛍光体の作製が可能であり、Euの付活により黄色蛍光体、Ceの付活により青色蛍光体が得られることを突き止めた。さらに、得られるCa-α-サイアロン蛍光体は、発光ダイオード(LED)用として十分活用できるものであることを確認した。
【0006】
本発明は、以上の技術的知見を踏まえて完成されたものである。
【0007】
本発明は、第1に、貝殻を焼成後粉砕して得られる粉末をCa-α-サイアロンの製造に用いられる原料として用いることを特徴としている。
【0008】
本発明は、第2に、貝殻を大気中において500℃~800℃の温度で30分~1時間焼成し、その後粉砕することを特徴としている。
【0009】
本発明は、第3に、原料を混合、成形した後、0.1MPa~10MPa以下の圧力範囲の窒素雰囲気中において1400℃~2200℃の温度で2時間~8時間焼成し、その後粉砕することを特徴としている。
【0010】
本発明は、第4に、光学活性元素として少なくともEuを含有させることを特徴としている。
【0011】
本発明は、第5に、光学活性元素として少なくともCeを含有させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ホタテ、あさりなどの貝殻を焼成後粉砕して得られる粉末をCaO源として他の原料と混合し、成形後、所定条件で焼成し、粉砕することにより、Ca-α-サイアロン蛍光体が得られる。数十万トンにのぼる排出量の貝殻を再利用することができ、リサイクルに貢献することができる。環境の改善に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ホタテ貝殻を表1に示した条件で焼成し、粉砕した後の粉末について含有成分の湿式定量分析を行った。その結果を表1に併せて示した。また、ホタテ貝殻粉末についてXRD回折を行った。結果は図1に示した通りである。
【0014】
【表1】
JP0004822206B2_000002t.gif

【0015】
ホタテ貝殻は、CaOとCOを主成分とし、その量は合計で約98wt%であった。XRDピークはカルサイト型(JCPDS 5-586)のCaCOであった。
【0016】
実験結果に基づく、貝殻粉末の作製に当たっての留意事項は以下の通りである。
(1)貝殻は、海草や汚れが付着しているため、洗剤などを用いて十分洗浄する。
(2)焼成条件は、大気中で500℃~800℃の温度で30分~1時間とするのが好ましい。高純度のCaCOが得られる。
(3)粉砕はSi乳鉢を用いて行う。不純物の混入が少なく、乳鉢の損傷を抑えることができる。
(4)粉末は吸湿性があるため、水分を吸着したCaCOやCa(OH)とならないように、ナイロンパックを使用し、低乾燥容器、たとえばマックドライ(湿度1%以内)などに保管する。
(5)粉末は、反応効率を考慮し、約315nm以下に粗細する。
【0017】
得られたホタテ貝殻粉末を原料に用い、表2に示す組成でCa-α-サイアロンを作製した。
【0018】
【表2】
JP0004822206B2_000003t.gif

【0019】
各原料を混合し、成形した後、0.1MPa~10MPa以下の圧力範囲の窒素雰囲気中において1400℃~2200℃の温度で2時間~8時間焼成し、その後粉砕した。
【0020】
表3に示したように、Euの付活で黄色蛍光体が、また、Ceの付活で青色蛍光体が得られた。図2にも示したように、Ca-α-サイアロンの黄色蛍光体は、励起波長(EX)が396nm、蛍光波長(EM)が578nmであり、発光強度が7308であった。Ca-α-サイアロンの青色蛍光体は、図3にも示したように、EXが373nm、EMが485nmであり、発光強度が6339であった。本出願人(NIMS)が開発しているEu付活のCa-α-サイアロン(黄色蛍光体)と比較しても(図4参照)、遜色のない特性を示している。LED用の蛍光体として十分活用することができることが確認された。
【0021】
【表3】
JP0004822206B2_000004t.gif

【0022】
あさり貝殻を表4に示した条件で焼成し、粉砕した後の粉末について含有成分の湿式定量分析を行った。その結果を表4に併せて示した。また、あさり貝殻粉末についてXRD回折を行った。結果は図5に示した通りである。
【0023】
【表4】
JP0004822206B2_000005t.gif

【0024】
あさり貝殻は、CaOとCOを主成分とし、その量は合計で約98wt%であった。XRDピークはカルサイト型(JCPDS 5-586)のCaCOであった。
【0025】
得られたあさり貝殻粉末を原料に用い、表5に示す組成でCa-α-サイアロンを作製した。
【0026】
【表5】
JP0004822206B2_000006t.gif

【0027】
各原料を混合し、成形した後、0.1MPa~10MPa以下の圧力範囲の窒素雰囲気中において1400℃~2200℃の温度で2時間~8時間焼成し、その後粉砕した。
【0028】
表6に示したように、Ca-α-サイアロンの黄色蛍光体が得られた。図6に示したように、得られた黄色蛍光体は、励起波長(EX)が403nm、蛍光波長(EM)が582nmであり、発光強度が7710であった。
【0029】
【表6】
JP0004822206B2_000007t.gif

【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ホタテ貝殻のXRD回折の結果を示した図である。
【図2】ホタテ貝殻を使用して作製したCa-α-サイアロンの黄色蛍光体の蛍光強度を示した図である。
【図3】ホタテ貝殻を使用して作製したCa-α-サイアロンの青色蛍光体の蛍光強度を示した図である。
【図4】本出願人が開発しているEu付活のCa-α-サイアロン(黄色蛍光体)の蛍光強度を示した図である。
【図5】あさり貝殻のXRD回折の結果を示した図である。
【図6】あさり貝殻を使用して作製したCa-α-サイアロンの黄色蛍光体の蛍光強度を示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5