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明細書 :混紡型高分子ファイバーの製造方法及びその不織布の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207265号 (P5207265)
公開番号 特開2007-186831 (P2007-186831A)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
発明の名称または考案の名称 混紡型高分子ファイバーの製造方法及びその不織布の製造方法
国際特許分類 D01F   8/00        (2006.01)
D01F   4/00        (2006.01)
D01F   4/02        (2006.01)
D01F   9/00        (2006.01)
D01F   6/62        (2006.01)
D01F   6/50        (2006.01)
D04H   1/728       (2012.01)
FI D01F 8/00 ZBP
D01F 4/00 ZNMA
D01F 4/02
D01F 9/00 A
D01F 6/62 305Z
D01F 6/50 A
D04H 1/728
請求項の数または発明の数 9
全頁数 10
出願番号 特願2006-008058 (P2006-008058)
出願日 平成18年1月16日(2006.1.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成17年9月5日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集54巻2号」に発表
審査請求日 平成21年1月15日(2009.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】小林 尚俊
【氏名】五十嵐 聡
【氏名】田中 順三
審査官 【審査官】岩本 昌大
参考文献・文献 特開2004-321484(JP,A)
特開平03-167358(JP,A)
特開2002-249966(JP,A)
調査した分野 D01F 1/00- 9/16
D01D 1/00-13/02
D04H 1/00-18/04
特許請求の範囲 【請求項1】
高分子溶液に電圧を印加し、高分子溶液のジェットを噴射して高分子ファイバーを形成させるエレクトロスピニング法により高分子ファイバーを製造する方法において、複数種の高分子溶液の紡糸開始点が同一または近接するようにして、前記複数種の高分子溶液の各々を噴射することで、複数種の高分子成分が含有された単一のファイバーを形成させることを特徴とする混紡型高分子ファイバーの製造方法。
【請求項2】
高分子は、生体由来高分子および合成高分子のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
生体由来高分子は、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン、キチンおよびキトサンのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
合成高分子は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリビニルアルコールおよびこれら共重合体のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
高分子は、多糖分子もしくはその部分構造、オリゴペプチド、オリゴ糖、およびプロテオグリカンの少くともいずれかが結合可能とされる官能基を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
少くとも1種の高分子成分の貧溶媒を含有する凝固浴中にファイバーを回収することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
凝固浴中には有機化合物、無機化合物および金属の1種以上を含有させていることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかの方法において、混紡型高分子ファイバーが集積された不織布を回収板上に得ることを特徴とする混紡型高分子ファイバー不織布の製造方法。
【請求項9】
回収板は表面形状がパターニングされたものであることを特徴とする請求項8に記載の製造方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、混紡型高分子ファイバーの製造方法及びその不織布の製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来より、高分子ファイバーの作製方法としては、従来より、エレクトロスピニング法が知られている。この方法は、高電圧によって紡糸を行う方法である。具体的には、高分子溶液に高電圧を印加すると溶液表面に電荷が誘発、蓄積され、電荷の反発力が表面張力を超えると荷電した溶液のジェットが噴射される。噴射したジェットは、溶媒の蒸発によりさらに細かいジェットとなって、最終的にコレクタと呼ばれる部分に高分子ファイバーが形成される。このような方法によれば、外径が数十マイクロメートルから数百ナノメートルレベルのファイバーの作製が可能である。
【0003】
しかし、従来では、このようなファイバーが有する特性は、原料とする一種類の高分子の性質に制約されることになる。このため、材料に多機能化や新規な機能付加を求める近年の要請に対して必ずしも適切な方法とは言えないのが実情であった。仮に多機能化や新規機能を付加しようとする場合には、エレクトロスピニング法でファイバーを製造した後に、表面改質等の工程がさらに必要となり、製造工程が煩雑で面になるという問題があった。
【0004】
ただ、エレクトロスピニング法には、微細なナノサイズ、あるいはマイクロサイズの高分子ファイバーの形成が可能であるという特徴があることから、本発明者らは、このような特徴を生かしての多機能化や機能付加のための方策の確立について検討を進めてきた。
【0005】
多機能化等のためには、各々、性質、特性の異なる高分子の成分を混合してファイバーを形成することが考えられる。従来でも、たとえば、2種類以上の高分子成分を混合させたファイバーを製造する方法として、2種類の絹成分を溶媒に溶解させて混合したものを用い、エレクトロスピニング法によって数十nm~数百nmの極細繊維、あるいはその不織布を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、家蚕再生絹糸や、野蚕絹、合成絹糸等の各種の絹材料を用いることができるだけでなく、糸の太さを変えること、フィルム状や不織布状にすることも可能とし、絹および絹様材料の応用範囲を著しく拡大することができるとされている。また、この方法による極細繊維からなる高品質の不織布は、特に医療材料として有用であるのともされている。しかしながら、この方法は、絹フィブロインおよび絹様材料等の特定の場合においては有効であるが、混合成分を溶解するために特定の溶媒を使用しなければならず、他の広範囲な種類の任意の高分子材料には適用困難であるという限界があった。そして、混合溶解の条件や混合比等の調整も必ずしも容易ではないという問題があった。
【0006】
一方、従来より、2種類以上の複数の高分子ファイバーからなる不織布を作製するための方法として、エレクトロスピニング法により各々の高分子ファイバーを紡糸するためのノズルを並べ、これらノズルや、コレクタ部分を往復運動させることによって、2種類以上の高分子ファイバーが混紡された不織布や、多層構造を持つ不織布の作製も行われてきている。しかし、この方法では、ノズル等の往復運動のために、使用するノズルの数だけの駆動装置が必要になり、その駆動、制御のための機構は複雑なものになるという問題がある。しかも、この方法では、ノズル等の往復動にともなって、特定種の高分子が局在化、偏在化することがあり、均一な多機能体、あるいは新規機能付加した不織布を形成することは容易ではないという問題があった。

【特許文献1】特開2004-068161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、以上のとおりの背景よりなされたものであって、簡便に、かつ、広範囲な種類の任意の高分子を対象として、単一のファイバーに複数種の高分子成分を含有させて、多機能化や新規機能付加を容易とすることのできる新しい技術手段を提供することを課題としている。また、この新しい手段による混紡型高分子ファイバーと、これにより構成される不織布も提供する。
【0008】
そして、血管新生、神経再生のための細胞接着、細胞増殖に適した足場材料として適用可能な、しかも多機能化が可能なナノファイバー不織布の作成に貢献することのできる、新しい技術手段を提供することも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、高分子溶液に電圧を印加し、高分子溶液のジェットを噴射して高分子ファイバーを形成させるエレクトロスピニング法により高分子ファイバーを製造する方法において、複数種の高分子溶液の紡糸開始点が同一または近接するようにして、前記複数種の高分子溶液の各々を噴射することで、複数種の高分子成分が含有された単一のファイバーを形成させることを特徴とする混紡型高分子ファイバーの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、第2には、上記第1の発明において、高分子は、生体由来高分子および合成高分子のうちの少なくともいずれかであることを特徴としている。
【0011】
さらに、第3には、生体由来高分子は、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン、キチンおよびキトサンのうちの少なくともいずれかであることを特徴とし、そして、本発明は、第4には、合成高分子は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、およびこれら共重合体のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0012】
第5には、高分子は、多糖分子もしくはその部分構造、オリゴペプチド、オリゴ糖、およびプロテオグリカンの少くともいずれかが結合可能とされる官能基を有していることを特徴とする。
【0013】
第6には、少くとも1種の高分子成分の貧溶媒を含有する凝固浴中にファイバーを回収することを特徴とする上記いずれかの製造方法。
【0014】
第7には、凝固浴中には有機化合物、無機化合物および金属の1種以上を含有させていることを特徴とする製造方法を提供する。
【0015】
第8には、上記第1から第5のいずれかの方法において、混紡型高分子ファイバーが集積された不織布を回収板上に得ることを特徴とする混紡型高分子ファイバー不織布の製造方法を提供する。
【0016】
第9には、回収板は表面形状がパターニングされたものであることを特徴とする製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
上記第1、第2の発明によれば、任意の2種以上の高分子ファイバーの紡糸の瞬間にこれら高分子ファイバーを、簡便に混紡させることができる。これにより、一本のファイバーに複数種の高分子由来の多機能化や新規機能付加を実現することができる。また、これにより、血管新生、神経再生のための細胞接着、細胞増殖に適した足場材料として適用可能な、しかも多機能化をも可能なナノファイバー不織布の作成にも貢献することができる。
【0019】
上記第3または第4の発明によれば、上記第1、第2の発明の効果を、さらに効率よく実現することができ、具体的には、特に生体適合性や生体吸収性、あるいは、物理的強度等に優れる高分子ファイバーを製造することができる。
【0020】
第6および第7の発明によれば、ファイバーのサイズや特性を調整することが可能となる。
【0021】
そして第8から第の発明によれば、細胞接着分子や細胞増殖因子と相互作用する多糖分子等による修飾が簡便に実現され、不織布においては均一な相互作用が可能とされる。

【0022】
そして、第6から第の発明においては、上記の効果が体現されたファイバーあるいはこれによる不織布が提供されることになる。



【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0024】
本発明の混紡型高分子ファイバーの製造方法は、高分子溶液に電圧を印加し、溶液のジェットを噴射させて高分子ファイバーを形成させるエレクトロスピニング法を利用している。
【0025】
エレクトロスピニング法は、上述のとおり、高分子溶液に電圧を印加すると溶液表面に電荷が誘発、蓄積され、電荷の反発力が表面張力を超えるとスピニング効果により荷電した溶液のジェットが噴射される。そして、噴射したジェットは溶媒の蒸発により、さらに細かいジェットとなって最終的にコレクタと呼ばれる部分に高分子ファイバーを得るものである。ここで、印加する電圧は、一般的には、10kV~30kV程度であるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0026】
本発明において何よりも特徴的なことは、上記のエレクトロスピニング法により、一本
のファイバーに複数種の高分子成分が共存する高分子ファイバーを製造することにある。このための本発明の方法においては、複数種の高分子溶液の紡糸開始点を同一または近接させ、前記複数種の高分子溶液のジェットを噴射する。これによって、一本の高分子ファイバー中に、2種以上、つまり複数種の高分子成分が共存する高分子ファイバーを形成させる。
【0027】
ここで、紡糸開始点は、使用する高分子溶液の種類や濃度等によって、適宜に設定することができる。
【0028】
そして、このような特徴を有する本発明の方法においては、複数種の高分子成分の各々について、これを含有する溶液の各々をノズルより噴射し、紡糸開始点と同一とするが互いに近接させ、一本のファイバーに複数種の高分子成分を含有される。
【0029】
このようにして製造される本発明の高分子ファイバーは、たとえば、血管新生、神経再生のための細胞接着、細胞増殖に適した足場材料として適用可能であって、しかも多機能化が可能な、後述のナノファイバー不織布の作成に貢献することのできる。
【0030】
さらに、たとえばあらかじめ所要のデザインに基づくノズルを使用して、高分子溶液のジェットを噴射することで、高分子の混合率や混合様式の変化も、適宜に変更することができ、次代のナノ構造物作成の基盤技術として、応用することができる。
【0031】
たとえば添付の図1は、本発明の方法を模式的に例示したものであって、異なる2種の高分子(A)(B)の溶液を用いた場合を例示している。
【0032】
この図1の例示では、高分子(A)(B)の溶液を、各々のノズル(1A)(1B)よりこれをジェット噴射させ、高分子ファイバー(2)を形成させている。そして、この際に、高分子(A)(B)溶液の噴出ジェット液滴からの紡糸開始点(C)が三次元空間の位置として同一もしくは相互に近接したものとなるようにし、これによって高分子ファイバー(2)の一本毎に、高分子(A)(B)の成分を含有させている。
【0033】
形成された高分子ファイバー(2)は、回収板上、すなわちコレクタ(3)に回収される。なお、この例においては、ノズル(1A)(1B)とコレクタ(3)には、たとえば高電圧発生装置(4)によって電圧が印加されている。
【0034】
もちろん、本発明においては、2種の高分子(A)(B)に限定されることなく、さらに多数種であってよく、これに対応してノズルの数が増加されればよい。各々のノズル開口端と紡糸開始点(C)との距離や角度、コレクタ(3)と紡糸開始点(C)との距離等は、高分子の性質や溶液濃度、電圧、形成されるファイバー(2)の径や長さ等を考慮して適宜に定めることができる。
【0035】
本発明における高分子溶液の高分子としては、任意のものであってよく、具体的には、生体由来高分子でもよいし、合成高分子でもよい。生体由来高分子としては、例えば、コラーゲンやゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン、キチン、キトサン等が挙げられ、特にコラーゲンについては、I、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X型等のものがあるが、本発明においては、これらの何れも使用でき、またこれらの誘導体を使用してもよい。また、合成高分子としては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等に代表される脂肪族ポリエステルやポリ-ε-カプロラクトン、これら共重合体等、さらに、ポリビニルアルコール等の生分解性高分子も例示することができる。血管新生や神経再生のための足場材料としての適用を考慮すると、生分解性高分子を用いることが好ましい。なお、これら高分子溶液の溶媒については、高分子を溶解させるものであればよく、特に
限定されるものではなく、例えば、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール等が使用できる。
【0036】
形成される高分子ファイバーの直径(太さ)は、高分子溶液の濃度、溶媒の種類、印加電圧、高分子溶液の濃度、ジェットの飛散距離等によって調整することができ、数十ナノメートルから数十マイクロメートル程度の範囲の直径のものを作製することができる。特に、効率よく製造することを考慮すると、直径がマイクロメートルオーダーの場合においては、5μmまでの範囲が好ましく、また、直径ナノメートルオーダーの場合では、たとえば20nm以上の範囲とすることが好ましい。
【0037】
また、高分子ファイバーの長さについても、用いる溶媒を適宜に選択すること等で調整することが可能である。さらに、用いる高分子の組み合わせにより、生体材料の生体親和性や分解特性等が既知のデータより予想することができ、用途に適した材料設計をも可能とする。さらにまた、本発明によって製造された高分子ファイバーは、表面修飾等の材料加工においても、幅広く発展させることができる。
【0038】
本発明の方法によって、高分子ファイバーからなる不織布を作製することも可能で、異なる直径の高分子ファイバーの混在で、血管新生、神経再生のための細胞接着、細胞増殖に適した足場材料として適用可能な、しかも多機能化が可能なナノファイバー不織布を、簡便に、かつ、効率よく製造することができる。
【0039】
以上のような本発明の方法においては、さらに以下のような手段を施すことが有効でもある。
【0040】
すなわち、第1には、たとえば、コレクタ部に規則的な表面凹凸等のパターン形状を有する基板を鋳型として用いることにより、マイクロパターン構造を持つ不織布等を形成することである。このようなマイクロパターン構造によって、たとえば細胞培養担体として用いる場合に、平板状のシート不織布の場合に比べて細胞の内部進入を容易とすることができる。
【0041】
また、第2には、細胞の接着、増殖を促進するため、細胞外マトリックス類似径の微細ナノメートルサイズのファイバーを形成することであって、このために、エレクトロスピニングしたファイバーを凝固溶培において形成することである。
【0042】
このことは、凝固浴に用いる溶液の組成の調節として可能であって、たとえば、通常の40%の径にまで減少させることができる。この凝固浴槽の溶媒としては高分子成分のいわゆる「貧溶媒」を用いることになる。その代表的なものとしては、水や水・アルコール混合溶媒等である。
【0043】
これらの貧溶媒には、有機化合物や無機化合物または金属を溶解もしくは部分溶解しておいてもよい。有機化合物または無機化合物の溶液そのものが高分子の貧溶媒(貧溶液)となり得ること、さらには、有機化合物や無機化合物、または金属を取り込んだファイバーを形成することも可能となり得ることが考慮される。
【0044】
これらの場合の有機化合物としては、たとえば蛋白質やペプチド、糖などが、無機化合物としては塩化カルシウム、リン酸等が、金属としてはアルミニウムや、金、マンガン等が例示される。これにより、生体親和性に富んだファイバーや導電性ファイバーの実現も考慮される。
【0045】
次に、本発明による実施例を示す。もちろん、本発明は上記実施の形態および以下の例
に限定されるものではなく、その細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0046】
<混紡型高分子ファイバーからなる不織布の製造>
ポリリコール酸とコラーゲンタイプIからなる混紡型ナノファイバー不織布の製造を行った。

【0047】
使用した製造装置では、2種類の高分子成分の各々を充填した、シリンジポンプ駆動の2台のシリンジの各々に吐出ノズルを連結し、各々のノズルより高分子溶液をエレクトロスピニング法により噴出させ、各々の紡糸開始点が同一の1点になるようにした。
【0048】
一方の高分子溶液(以下、高分子溶液Aとする)として、ポリグリコール酸溶液(溶媒は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールを使用)の濃度を67mg/mLに調製し、他方の高分子溶液(以下、高分子溶液Bとする)として、コラーゲンタイプI溶液(溶媒は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールを使用)の濃度を64mg/mLに調製した。
【0049】
シリンジポンプによるシリンジから吐出ノズルへの送液速度は、高分子溶液A,Bそれぞれ5mL/hとし、印加電圧コラーゲンタイプIのエレクトロスピニングの条件に合わせ、27kVとした。紡糸開始点とコレクタ間の距離は25cmと設定し、コレクタにはアルミホイルを用いた。作製された不織布を回収し、一晩、室温にて真空乾燥を行い、これをサンプルとして、この微細な構造を走査型電子顕微鏡で観察した。また、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)による、元素分析も行った。
【0050】
結果として、図の走査型電子顕微鏡写真のように、不織布を構成するファイバーの存在を確認することができた。また、ファイバーの平均直径は、666nmであった。

【0051】
EDSを用いての元素分析の結果、ポリグリコール酸のみで作製したナノファイバーでは検出されないコラーゲン由来の窒素原子の明瞭なシグバルが検出された。
【0052】
以上の結果より、混紡型ナノファイバーとこれによって構成される不織布の形成を確認することができた。
【0053】
また、形成された不織布の水との接触角を測定したところ、62.5°であった。これは、ポリグリコール酸のみの不織布の接触角76.1°と比較して、表面改質がなされた結果であることを意味している。
【0054】
また、得られた不織布を培養担体として、HUVEC(Human Umbilical Vein endathelial Cell )を増種して培養した。図3は、1日後の状態を例示したSEM像である。培養担体として好適であることがこれにより確認された。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明におけるエレクトロスピニング法の概要を例示した模式図である。
【図2】実施例で製造した混紡型高分子ファイバーとこれによる不織布を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示した写真図である。
【図3】細胞培養の1日後の状態を例示した走査型電子顕微鏡像を示した写真図である。
【符号の説明】
【0056】
A,B 高分子
C 紡糸開始点
1A,1B ノズル
2 高分子ファイバー
3 コレクタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2