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明細書 :セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4758246号 (P4758246)
公開番号 特開2007-217727 (P2007-217727A)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発行日 平成23年8月24日(2011.8.24)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
発明の名称または考案の名称 セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料とその製造方法
国際特許分類 B22F   3/14        (2006.01)
B22F   1/02        (2006.01)
C22C   1/08        (2006.01)
C22C   1/05        (2006.01)
FI B22F 3/14 101C
B22F 1/02 A
C22C 1/08 F
C22C 1/05 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願2006-037278 (P2006-037278)
出願日 平成18年2月14日(2006.2.14)
審査請求日 平成21年2月5日(2009.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】岸本 哲
【氏名】長谷川 良雄
審査官 【審査官】浅井 雅弘
参考文献・文献 特開平05-098311(JP,A)
特開昭62-113768(JP,A)
特開昭62-275067(JP,A)
特開平03-265573(JP,A)
調査した分野 B22F 1/00- 8/00
C22C 1/04, 1/05
C22C33/02
特許請求の範囲 【請求項1】
セラミックス粒子に金属をコーティングする工程、コーティングしたセラミックス粒子に加圧処理を施す工程、加熱処理によりコーティングさせた金属を接合する工程の3工程を含む複合材料の製造方法において、前記セラミックス粒子の弾性率が、粒子の状態で圧縮試験をし荷重を最大断面積で除した値を応力とし、応力—ひずみ曲線の直線部分より得られる擬似的な弾性率の値が、40MPa以上で、コーティングされた前記金属のヤング率の値以下の範囲であって、バルク状態におけるヤング率が60~220GPaの範囲にある前記金属をコーティングしたセラミックス粒子を100~400MPaの圧力により一部破壊変形させ、空隙率を4.2%以下にすることを特徴とするセラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記セラミックス粒子として、多孔質のセラミックス粒子を使用することを特徴とする、請求項1記載のセラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造方法。
【請求項3】
請求項の多孔質のセラミックス粒子に代えて、セラミックス前駆体を含浸させた粒子を原料とし、請求項1と同様の処理をすることを特徴とする、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造方法。
【請求項4】
加熱工程を2段階以上とし、最後の加熱を、金属の融点の50%以上100%未満の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項1からのうちのいずれかに記載の、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1からのうちのいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属皮膜でセラミックスを内包させたクローズドセル構造を有する機能性複合材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは、高い圧縮強度、剛性、強度、耐熱性、種々の電子特性などに優れた特徴を有し、これを生かして、建築材料や自動車部品、鋳物の鋳型、電子部品など様々な用途に利用されている。セラミックス素材に関する技術も年々進歩しており、組成やプロセスの改良による特性の改善の他、異種材料との複合化により、セラミックスが本来持つ上記の優れた特性を生かしつつ、新たな特性を付加して機能性を高めた新規材料の創製などが積極的に進められている。中でも、セラミックス材料の弱点である靭性を改善する技術の開発は、その利用分野を広め、従来にない高機能材料を生み出す可能性を秘めており、重要な課題の一つである。
【0003】
この課題を解決するための技術として、セラミックス粒子を焼結する前に加圧工程を導入して成型することにより、焼結後の欠陥を低減して靭性を向上させる技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、セラミックス粒子を用いた材料開発技術としては、金属マトリックスの中にセラミックス粒子を分散させて焼結することにより、セラミックスが有する諸特性に加えて、金属材料が有する延性、展性による高靭性化を付与する技術が提示され(特許文献2~7)、また、粒子状の材料に金属を薄くコーティングし、それを静水圧加圧して多面体に変形させた後、金属を焼結することにより異種物質を内包するクローズドセル構造金属材料の製造方法が提示されている(特許文献8)。
【0005】
さらに、金属被覆粒子を加圧しながら加熱し、焼結する技術が提案されている(特許文献9)。

【特許文献1】特開2000-128648号公報
【特許文献2】特開2004-175626号公報
【特許文献3】特開2003-78083号公報
【特許文献4】特開平5-43964号公報
【特許文献5】特開平8-73965号公報
【特許文献6】特開平5-163502号公報
【特許文献7】特開2000-225457号公報
【特許文献8】特許第3486667号公報
【特許文献9】特開2004-197187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の、焼結する前に加圧して成形する方法においては、剛体球であるセラミックス粒子の集合を加圧処理しても埋めきれない空隙が存在してしまい、また元々延性、展性を有しない粒子の集合であることから、靭性の改善に限界があった。
【0007】
また、金属マトリックス中にセラミックス粒子を分散させて焼結する方法では、金属とセラミックス粒子の間の接着性の問題による空隙の発生を回避することが出来ないために、強度、剛性の点で問題があった。それを回避するために金属の含有量を増加させて空隙
を金属で埋め込むことが考えられるが、金属の割合が高くなってしまうために、セラミックスの長所の一つである軽量化やセラミックスの機能を犠牲にするという問題があった。
【0008】
さらにまた、粒子に金属をコーティングしそれを加圧して粒子が細密充填するように多面体に変形させる特許文献8記載の方法では、静水圧加圧時に変形しないセラミックス粒子を使用した場合に粒子間の空隙を十分に埋めることが出来ず、粒子を加熱しながら加圧する特許文献9の技術でも同様に粒子間の空隙を十分に埋めることが出来ないので、この両技術においても靭性や強度を十分に向上できないという問題があった。
【0009】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、セラミックスの欠点である靭性を改善した、金属とセラミックスの複合材料の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、第1に、セラミックス粒子に金属をコーティングする工程、コーティングしたセラミックス粒子に加圧処理を施す工程、加熱処理によりコーティングさせた金属を接合する工程の3工程を含む、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造方法において、セラミックス粒子の弾性率が、粒子の状態で圧縮試験をし荷重を最大断面積で除した値を応力とし、応力—ひずみ曲線の直線部分より得られる擬似的な弾性率の値が、40MPa以上で、コーティングされた前記金属のヤング率の値以下の範囲であって、バルク状態におけるヤング率が60~220GPaの範囲にある前記金属をコーティングしたセラミックス粒を100~400MPaの圧力により一部破壊変形させ、空隙率を4.2%以下にすることを特徴としている。

【0011】
本願発明は、第に、第1の手段のセラミックス粒子として、多孔質のセラミックス粒子を使用することを特徴としている。

【0012】
本願発明は、第に、第の多孔質のセラミックス粒子に代えて、セラミックス前駆体を含浸させた粒子を原料とし、第1の発明と同様の処理をすることを特徴としている。

【0013】
本願発明は、第に、加熱工程を2段階以上とし、最後の加熱を、金属の融点の50%以上100%未満の温度範囲で行うことを特徴とする。
本願発明は、第に、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料が、第1からのうちの何れかに記載の製造方法により製造されたものであることを特徴としている。

【発明の効果】
【0014】
本願の第1の発明によれば、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造工程において、原料を易変形性のセラミックス粒子とすることにより、空隙の少ない複合材料の製造が可能になり、高強度、高剛性、高靭性、かつ軽量の機能性複合材料を提供することが出来る。
【0016】
本願の第の発明によれば、セラミックス粒子として、多孔質のセラミックス粒子を原料とすることにより、空隙の少ない複合材料の製造が可能になり、高強度、高剛性、高靭性、かつ軽量の機能性複合材料を提供することが出来る。

【0017】
本願の第の発明によれば、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の製造工程が、セラミックス前駆体を含浸させた粒子を原料とすることにより、空隙の少ない複合材料の製造が可能になり、高強度、高剛性、高靭性、かつ軽量の機能性複合材料を提供することが出来る。

【0018】
本願の第の発明によれば、高温加熱により金属とセラミックスの密着性が向上するので、更に高強度、高剛性、高靭性の機能性複合材料を提供することが出来る。

【0019】
本願の第の発明によれば、高強度、高剛性、高靭性、かつ軽量のセラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料を提供することができ、高性能の電子基板材料(放熱材料)や靭性の高い構造材料の開発が可能になる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
まず、本願発明の概要を説明する。図1は、本願発明の概念を示した図である。易変形性のセラミックス粒子又はセラミックス前駆体を含浸させた粒子の表面を金属でコーティングする。これに加圧処理を施して粒子同士を接合させて成型体(グリーン体)を作製する。この際、当該原料粒子は変形しやすいので多角形に変形し、お互いに面で接触するようになる。これを電気炉や通電加熱法、放電プラズマ焼結法などにより加熱すると、粒界金属が融合してセル壁となり、金属をセル壁としてセラミックスを内包するクローズドセル構造材料が完成する。さらに、このセラミックスを内包するクローズドセル構造材料を高温にて加熱すると、金属とセラミックスの原子が相互に拡散するので強固に接合し、さらに靭性を高めることができる。本願出願では、この加熱前及び加熱後の、金属をセル壁としてセラミックスを内包するクローズドセル構造を「セラミックス内包型クローズドセル構造金属」と言う。通常の高密度のセラミックス粒子を用いた場合、セラミックス粒子は高い剛性を有するため、焼結前の成形過程で加圧しても図1のような粒子の変形は発生せず、従って、粒界の空隙を埋めることは出来ない。
【0021】
次に、本願発明の詳細を説明する。
【0022】
本願発明の「易変形性」とは、加圧による変形を生じやすく、変形後もその形状を保てることを言う。易変形性の材料としては、具体的には、多孔質のセラミックスやセラミックス前駆体を含浸させた材料などが例示される。ここで、「多孔質」とは、固体基材の表面及び内部に多数の微小空孔及び微小空隙を有することを言う。ここでの微小空孔及び微小空隙は例えば、多数の微粒子の凝集した粒子の表面及び内部の結晶粒界に存在する微小空隙、及びこの多結晶粒子又は単結晶粒子の集合体から造粒して作られる造粒物中の粒子間に生成する空隙及び空孔などを含む。「多孔質のセラミックス粒子」とは、粒子表面及び内部に多数の空孔及び空隙を有するセラミックス粒子のことである。この粒子の粒径は、500μm以下の範囲内であることが好ましい。500μmを超えると、金属コーティングの膜を厚くしなければならず、製造工程が冗長化する虞がある。粒子表面及び内部の空孔及び空隙の総体積は、粒子の全体積の2~80%の範囲内であることが好ましく、2~50%の範囲内であることが更に好ましい。空孔及び空隙の総体積が全体積の2%未満では十分な変形による空孔及び空隙の充填効果が得られない可能性がある。80%を超えると、コーティング中に粒子全体が粉砕したり、加圧後の成形品に空孔及び空隙が残る懸念がある。加圧成形前の粒子表面及び内部に存在する空孔及び空隙の径は、粒子径の1~5%の範囲内の大きさであることが好ましい。空孔及び空隙の径が粒径の1%未満では変形が不十分であり、粒子間の空隙を十分埋めることが出来ないため、最終品の強度が不十分になる可能性がある。粒径の5%を超えると、加圧成形後も最終品中に空隙が多く残留してしまう懸念、加圧時において成形品全体に著しい変形が生じる可能性がある。使用で
きるセラミックスの組成は特に限定されない。例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト等を使用することができる。多孔質セラミックス粒子は例えば、合成時の自然凝集や、微粒のセラミックス粒子の圧縮成形、樹脂との混合後の圧縮成形後の脱脂など、既知の方法で製造することができる。
【0023】
本願発明の「セラミックス前駆体」とは、加熱によりセラミックスを生成する原料のことを言う。具体例としては、ポリカルボシランやポリメタロキサンなどが挙げられる。これらは公知の方法で製造することができる。「セラミックス前駆体を含浸させた粒子」は、上記のようにして製造したセラミックス前駆体を適当な溶媒に溶解又は溶融させ、常圧又は減圧環境下の含浸処理により前駆体をセラミックスや金属、ポリマー等の多孔質粒子などの中に含浸させて製造することができ、この粒子の粒径は、多孔質セラミックス粒子の場合と同じ範囲となる。前記多孔質セラミックス粒子の空隙率が50%以上で加圧後の成型品に空孔および空隙が残ったり、加熱処理で強度が十分発現しない場合は、とくに前駆体を含浸した粒子は好適に使用することができる。
【0024】
本願発明の製造方法における原料である、易変形性の「多孔質セラミックス粒子」及び「セラミックス前駆体を含浸させた粒子」は、加圧処理により一部が破壊変形するものが好ましい。これらの粒子は次の加熱処理工程により焼結及び/又は含浸されたセラミックス前駆体の熱分解縮合物がバインダーの役割を果たすことにより焼結する。粒子の状態で圧縮試験をし、荷重を最大断面積で除した値を応力とし、応力-ひずみ曲線の直線部分より得られる擬似的な弾性率が、40MPa以上コーティングされた金属のヤング率以下の範囲内であることが好ましい。この値がコーティングされた金属のヤング率を超えると、加圧時における粒子の破壊変形が不十分であるために、十分な空隙充填効果が得られない可能性がある。この値が40MPa未満だと、粒子自体の強度が不十分であるために、最終品の靭性が不十分となる懸念がある。
【0025】
セラミックス粒子表面にコーティングする金属に関しては特に制限はない。金属は単一元素からなるものであっても、複数の種類の元素からなる合金であっても使用することができる。最終製品の靭性を向上させるためには、当該金属のバルク状態におけるヤング率が、60~220GPaの範囲内であることが好ましい。ヤング率が220GPaを超えると最終製品の靭性が不十分なる虞がある。ヤング率が60GPa未満だと、加圧時にコーティング金属が破損してクローズドセル構造を形成しない懸念がある。金属の具体例としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、金、白金、パラジウム、クロムなどの単一元素からなるもの、ニッケル-リン合金、ジュラルミン、ステンレスなどの合金を例示することができる。粒子表面にコーティングする方法は、既知の技術を利用することができる。例えば、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD法)、電気メッキ法、Spin Coating法、溶融法などを例示することができる。この中では、電気メッキ法、特に無電解メッキ法が、簡易性と大量生産性の点で好ましいが、これに限定されることはない。コーティングする膜厚は、金属種、セラミックス粒子の粒子径、用途などによって好ましく設定することができるが、コーティング前の粒子の直径の2~80%の範囲内であることが好ましい。膜厚がコーティング前の粒子の直径の2%未満だと、金属の添加効果が十分に発揮されず、焼結体の靭性が不十分になる虞がある。膜厚が80%を超えると、金属が変形しにくくなり、また金属の種類によっては焼結体の比重が高くなってしまい、材料の軽量化に問題が生じる可能性がある。
コーティングしたセラミックス粒子又はセラミックス前駆体を含浸させた粒子に「加圧処理を施す」工程は、圧力が粒子粉末に等方的にかかる方式が好ましい。具体的には、静水圧加圧により加圧成形するのが好ましい。粒子粉体を変形しやすい容器に入れ、それを静水圧下で加圧することにより成形するのが効果的である。圧力は、コーティングした金属の厚さにもよるが、100~400MPaの範囲内であることが好ましい。圧力が100Pa未満では粒子の破壊変形が十分に進まないため、焼結体の空隙を十分に埋めること
が出来ず、最終製品の強度、剛性、靭性が弱化する可能性がある。400Paを超えると、コーティング粒子の変形が大き過ぎて、コーティング金属のセル壁を破壊する可能性がある。
「加熱処理を施す工程」は、既知の加熱方法により行うことができるが、特に加圧成形品を電気炉で加熱する方式、粒子又は加圧成形品を放電プラズマ中で加熱する方式、及び粒子又は加圧成形品に通電することで加熱する方式からなる群の方式から選択される1種
類以上の加熱方式で行うことが、コーティング金属の接合を確実にする点で好ましい。「電流を用いた加熱処理」とは、放電プラズマ中で加熱する方式、又は通電することで加熱する方式を言う。加熱工程における加熱温度は、コーティング金属の融点の90%以上100%未満の温度の範囲内であることが好ましい。融点の90%未満では粒界のコーティング金属が十分に接合しないため、最終品の強度が不十分になる可能性がある。100%以上だと、金属は溶融してクローズドセル構造を形成しない懸念がある。また、加熱処理は、加圧成形後の加熱処理の他に、コーティングした粒子又は加圧成形した成形品をセラミックス又はグラファイトの両端を開いている容器内に入れ、これに荷重をかけながら電流を連続的に印加、又はパルス状に印加することにより行うことができ、これらを組み合わせて行うことも出来る。この方法は、短時間で焼結できるという点でメリットがある。セラミックスの前駆体の粒子を原料とした場合、加熱工程を、大気中、不活性ガス中、及び真空中からなる群の環境下から選ばれる1種類以上の環境下で行うことにより、コーティングした金属を接合すると同時に、当該前駆体をセラミックスに変換することができる。不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど既知のものを使用することができる。大気中、不活性ガス中にて行う場合のガス圧は、1~1013.25hPaの範囲内であ
ることが大気中の成分との反応や安全性の点で好ましい。
加熱工程を2段階以上とし、最後の加熱を、金属の融点の50%以上100%未満の温度範囲で行うことにより、金属とセラミックスの界面における原子の相互拡散が生じるために密着性が上がり、また、加熱工程の環境を変えることによる化学反応により強度、剛性、靭性が更に向上した、セラミックス内包型クローズドセル構造金属を有する機能性複合材料を製造することができる。
【0026】
金属でコーティングした易形性セラミックス粒子に加圧処理を施すことなく、それを金属など導電性の閉じた容器に入れ、その容器ごと放電プラズマ中に入れる、又はその容器に通電することにより容器ごと加熱することにより、その容器内部に高温高圧状態を発生させ、加圧成形と加熱焼結の両方の効果を1工程で得ることが出来る。この場合における「導電性」とは、電荷(キャリア)の移動度(μe)が100(cm/V/s)以上の
ことを言う。容器を構成する材料は、例えばグラファイト、タングステンやタンタルなど耐熱性を持つものであれば何れも使用することができる。
【0027】
本願発明により、直径数μmから数cmのセラミックスを内包するクローズドセル構造金属を有する複合材料を作製することができ、以下の「機能性複合材料」の実現が可能になる。本願出願で言う「機能性複合材料」は、例えば以下のような、従来のセラミックスの機能に金属の特性を付加させたものを例示することができる。
(1)高比強度、高圧縮強度、高靱性、高剛性の複合材料が得られ, 構造物の軽量化が可能となる。
(2)熱伝導率や熱膨張係数を目的の数値に制御したクローズドセル構造金属材料を作製することができ、これを応用して高性能の電子基板材料( 放熱材料) を製造することができる。
(3)導電性のあるセラミックス系の構造材料が得られ, 剛性の高い導電性材料が得られる。
(4)良好な吸音性や制振性を有する構造材料の開発が可能になる。
(5)セルの大きさや物理的、機械的、電気的性質を厚さ方向や長さ方向に徐々に変化させたクローズドセル構造金属材料( 傾斜機能クローズドセル構造金属材料)も作製できる。

【0028】
もちろんこれらに限定されることはなく、金属とセラミックスの融合による相乗効果を発現する新規機能性物質も含まれる。
【0029】
次に、本願発明の具体的態様を実施例にて説明する。もちろん、本発明がこれらの例示に限定されることはない。
【実施例】
【0030】
<実施例1>
平均粒径1.5μm のアルミナ粒子の凝集粉体(入手元:フルヤ金属)を、ふるいで分粒した平均粒径100μmのアルミナ多孔質体粒子表面に、無電解メッキによりニッケル-リン合金を約μmの厚さにコーティングした。メッキ条件は、メッキ液1L中にニッケル5重量部を有するNi-P(3重量% )無電解メッキ液を用い75℃ で所定のメッキになるまで無電解メッキを行った。このコーティング粒子を、放電プラズマ焼結装置( 住友石炭鉱業製)のグラファイト製のダイの中に充填し、両端をグラファイト製のパンチにて押さえ、当該焼結装置に装着し、5Paまで減圧してから630℃で3分間加熱し、内部にセラミックス(アルミナ)を内包するクローズドセル構造体を製造した。この材料の密度は2.51g/cmであった。このクローズドセル構造体の断面の走査型電子顕微鏡( 機種名:トプコン社製SM-510 )による観察結果を図2に示す。空隙率はこの観察像から求めた。材料の強度の評価については、約10mmx20mmの矩形型の試験片を作製し、支点間隔を15mmとして3点曲げ試験を行い、破壊荷重より表面における最大引っ張り応力を算出した。結果を表1に示した。
<実施例2>
平均粒径300μmの多孔質セラミックス粒子(シリコンカーバイド系球状多孔質体)表面に、実施例1と同様にして無電解メッキによりニッケル-リン合金を約4μmの厚さにコーティングした。これをシリコンゴム製のカプセルの中に充填し、等方静水圧負荷装置(アプライドパワージャパン製)を用いて2000気圧に加圧して、直径約10mm, 長さ約10mmの押し固めた状態の円筒形グリーン体を製造した後、放電プラズマ焼結装置(住友石炭鉱業製)により、630℃で3分間加熱処理して金属セル内部にセラミックス(シリコンカーバイド系セラミックス)を内包するクローズドセル構造体が製造された。この材料の密度は2.89g/cm だった。このクローズドセル構造体の断面の走査型電子顕微鏡(機種名:トプコン社製SM-510)による観察結果を図3に示す。空隙率はこの観察像から求めた。実施例1と同様にして材料強度を評価した。結果を表1に示した。
<実施例3>
平均分子量約3000のポリカルボシランの20重量%トルエン溶液をチタニア球状多孔質体に常圧で含浸後乾燥することにより、平均粒径200ミクロンのセラミックス前駆体を含浸させた粒子を作製した。当該粒子表面に、実施例1と同様にして、無電解メッキによりニッケル-リン合金を約4μmの厚さにコーティングした。コーティングした粒子粉末をシリコンゴム製のカプセルの中に充填し、等方静水圧負荷装置(アプライドパワージャパン製)を用いて2000気圧に加圧して、直径約10mm 、長さ約10mmの押し固めた状態の円筒形グリーン体を製造した。これを電気炉に入れて10-2Paまで減圧し、850℃ の温度で1時間加熱することにより、金属セル内部にセラミックス(チタニアとシリコンカーバイト系セラミックス)を内包するクローズドセル構造体が製造された。この材料の密度は3.30g/cmであった。このクローズドセル構造体の断面を図4に示した。この観察像から空隙率を求めた。実施例1と同様にして材料強度を評価した。結果を表1に示した。
<比較例1>
セラミックス(ジルコニア)の粒子(平均粒径100μm。入手元:フィリッチュジャパン)の表面に、実施例1と同様にして無電解メッキによりニッケル- リン合金を約4μmの厚さにコーティングした。このコーティング粒子を放電プラズマ焼結装置(住友石炭鉱業製)のグラファイト製のダイの中に充填し、グラファイトのパンチで固定した。それを当該焼結装置に装填し、5Paまで減圧してから、630℃ で15分間加熱することにより、金属セル内部にセラミックス( ジルコニア)を内包するクローズドセル構造体が製造された。この密度は3.56g/cmであった。このクローズドセル構造体の断面を図5に示した。この観察像から空隙率を求めた。実施例1と同様にして、材料強度を評価し、結果を表1に示した。

【0031】
【表1】
JP0004758246B2_000002t.gif

【0032】
以上の結果から、セラミックス粒子(ジルコニア粒子)に金属をコーティングして焼結したものよりも、易変形性の多孔質セラミックス(アルミナ)やセラミックス前駆体を含浸させた粒子に金属をコーティングして焼結した試料の方が14倍から240倍ほど強度が高
くなっていることが確認され、本願発明の効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】請求項1記載の発明の概念を示した図である。
【図2】アルミナをニッケル-リン合金で内包化したクローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】シリコンカーバイド系セラミックスをニッケル-リン合金で内包化したクローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】チタニアとシリコンカーバイド系セラミックスをニッケル-リン合金で内包化したクローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】比較例として用いたジルコニアをニッケル-リン合金で内包化したクローズドセル構造金属を有する機能性複合材料の走査型電子顕微鏡写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4