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明細書 :層状ケイ酸塩複合体とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5110497号 (P5110497)
公開番号 特開2007-223827 (P2007-223827A)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発行日 平成24年12月26日(2012.12.26)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
発明の名称または考案の名称 層状ケイ酸塩複合体とその製造方法
国際特許分類 C01B  33/38        (2006.01)
C01B  33/44        (2006.01)
FI C01B 33/38
C01B 33/44
請求項の数または発明の数 14
全頁数 10
出願番号 特願2006-044575 (P2006-044575)
出願日 平成18年2月21日(2006.2.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 「PROGRAM With ABSTRACTS The 13th International Clay Conference -Claysphere:past,present and future- and 49th Annual Meeting of the Clay Science Society of Japan」(2005年8月21日発行)の第133頁に発表
特許法第30条第1項適用 2005年8月25日 日本粘土学会主催の「The 13th International Clay Conference」において文書をもって発表
審査請求日 平成21年2月12日(2009.2.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】藤井 和子
【氏名】井伊 伸夫
【氏名】藤田 武敏
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開昭63-248713(JP,A)
特開平04-302488(JP,A)
特開2002-275385(JP,A)
島田昌彦等,色素-粘土ナノコンポジットの光学的性質,秋田大学鉱山学部資源地学研究施設報告,1990年 3月,第55号,p43-53
調査した分野 C01B 33/20-39/54
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ケイ酸塩層状部が次式
(M3-nq)Si410(OH)2
(式中のLはアルカリ金属元素の少くとも1種を、MはMg、AlおよびFeのうちの少くとも1種を示し、O<n<0.6,O<q<0.6を示す。)の組成で表わされる層状ケイ酸塩の同一のケイ酸塩層状部層間に、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子が共存していることを特徴とする層状ケイ酸塩複合体。
【請求項2】
色素構成の有機基もしくは有機分子の少なくとも1種はケイ酸塩層状部に共有結合されていることを特徴とする請求項1の層状ケイ酸塩複合体。
【請求項3】
組成式が次式
(RA)k(RB)mn(M3-nq)Si410(OH)2
(式中のL、M、n、qは前記のものを示し、RAおよびRBは、各々、色素構成の有機基もしくは有機分子を示し、0<k<1.0、0<m<4.0であって、かつ、0.06<k+m<5.0を示す。)で表わされることを特徴とする請求項1または2の層状ケイ酸塩複合体。 RBは、ケイ酸塩層状部に共有結合されている色素構成の有機基もしくは有機分子であって、0.01<k<1.0、0.05<m<4.0であることを特徴とする請求項3の層状ケイ酸塩複合体。
【請求項5】
RAがローダミン(C283123)であり、RBはクマリン(C1414NO4)であ
ることを特徴とする請求項4の層状ケイ酸塩複合体。
【請求項6】
蛍光特性を示すことを特徴とする請求項1から5のいずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【請求項7】
複数の蛍光極大を併せ持つことを特徴とする請求項1から6のいずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【請求項8】
複数の蛍光極大を併せ持ち、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子は各々蛍光発光を示すものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【請求項9】
塊状、粉末、もしくは膜状の固体であることを特徴とする請求項1から8のいずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【請求項10】
ケイ酸塩層状部層間に複数の色素構成の有機基もしくは有機分子が共存している層状ケイ酸塩複合体の製造方法であって、前記層間に複数の色素構成の有機基もしくは有機分子を各々順次に液相で導入して複合化することを特徴とする層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【請求項11】
ケイ酸塩層状部に色素構成の有機基もしくは有機分子を結合した複合前駆体の懸濁液に他種の色素構成の有機基を有する物質もしくは有機化合物の溶液を混合して複合懸濁液とし、次いで固化処理することを特徴とする請求項10の層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【請求項12】
複合懸濁液を濾別、成形、乾燥することを特徴とする請求項11の層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【請求項13】
複合懸濁液を基板にキャストもしくはスピンコートすることでフィルムまたは膜状とす
ることを特徴とする請求項11の層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【請求項14】
複合体前駆体は、ケイ酸塩層状部に色素構成の有機基もしくは有機分子を共有結合させたものであることを特徴とする請求項11から13のいずれかの層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、固体色素レーザーや光電変換素子等として有用な新規層状ケイ酸塩複合体とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、色素の中でも蛍光特性を有する色素を能動媒質として用いた色素レーザーが、波長可変レーザー等として実用化されている。色素レーザーは、一般には、色素を水や有機溶媒に溶かし、液体レーザーとして使用するため、利便性に欠ける、劣化しやすいなどといった欠点があった。色素を蒸気にする気体レーザーも使用されているが、使用上の制限がさらに多く、利便性に欠けていた。そのため、実用に際し利便性や劣化に対する耐性の向上が期待できる。固体色素レーザーの開発が試みられている。
【0003】
色素を利用した固体レーザーに関しては、たとえば、透明樹脂やSiO2キセロゲル等
に色素を分散させて固体化するという技術が既に公知とされている。具体的には、たとえば、色素をサポナイトヘインターカレートして固体の複合体を合成すること等が報告されている。
【0004】
しかしながら、上記のような方法で得られた色素複合体は、実用の際の各種の操作によって、色素がデインターカレート等してサポナイト等の固体から遊離してしまい、材料としての安定性にかけるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、このような問題点を解消し、色素をその蛍光特性を損なうことなく層状ケイ酸塩に複合化し、安定で、蛍光特性がより多様化された新規な層状ケイ酸塩/色素複合体とその製造方法を開発し、これを発明として提案している(特許文献1)。
【0006】
その後も、層状ケイ酸塩への色素の複合化についての検討が様々に進められてきている。
【0007】
一方、固相での光誘起電子移動反応による太陽光の利用等を目指して、上記のような層状ケイ酸塩の層間等の、ナノレベルの二次元空間に、異なる複数種の色素や機能性有機化合物を共存させることが試みられてきている。たとえば、色素レーザーにおいても、蛍光発光波長幅の異なる複数種の色素を複合化できれば固体レーザーとしての蛍光発光波長幅も大きく拡大できることが期待されているからである。
【0008】
しかしながら、層状ケイ酸塩の層間等のナノレベルの二次元空間への異なる複数種の物質を導入しようとすると、各々の化学種が別々の層間に挿入されてしまうという、「Segregation」と呼ばれる現象がおこる(たとえば非特許文献1)という問題があった。この
ような別々の層間に各々の化学種が挿入されたのでは、上記のような蛍光発光波長幅の拡大等の機能複合化は実現されないことになる。

【特許文献1】特開2002-275385号公報
【非特許文献1】J.Cood.Chem.,16,131(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、層状ケイ酸塩の同一の層間のナノレベル二次元空間に異なる物質を導入した新しい層状ケイ酸塩複合体とその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0011】
第1:ケイ酸塩層状部が次式
n(M3-nLq)Si410(OH)2
(式中のLはアルカリ金属元素の少くとも1種を、MはMg、AlおよびFeのうちの少くとも1種を示し、O<n<0.6、O<q<0.6を示す。)の組成で表わされる層状ケイ酸塩の同一のケイ酸塩層状部層間に、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子が共存している層状ケイ酸塩複合体。
【0012】
第2:色素構成の有機基もしくは有機分子の少なくとも1種はケイ酸塩層状部に共有結合されている上記の層状ケイ酸塩複合体。
【0013】
第3:組成式が次式
(RA)k(RB)mn(M3-nLq)Si410(OH)2
(式中のL、M、n、qは前記のものを示し、RAおよびRBは、各々、色素構成の有機基もしくは有機分子を示し、0<k<1.0、0<m<4.0であって、かつ、0.06<k+m<5.0を示す。)で表わされる層状ケイ酸塩複合体。第4:RBは、ケイ酸塩層状部に共有結合されている色素構成の有機基もしくは有機分子であって、0.01<k<1.0、0.05<m<4.0である上記の層状ケイ酸塩複合体。
【0015】
第5:RAがローダミン(C283123)であり、RBはクマリン(C1414NO4
)である層状ケイ酸塩複合体。
【0016】
第6:蛍光特性を示す上記いずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【0017】
第7:複数の蛍光極大を併せ持つ上記いずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【0018】
第8:複数の蛍光極大を併せ持ち、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子は各々蛍光発光を示すものである上記いずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【0019】
第9:塊状、粉末、もしくは膜状の固体である上記いずれかの層状ケイ酸塩複合体。
【0020】
第10:ケイ酸塩層状部層間に複数の色素構成の有機基もしくは有機分子が共存している層状ケイ酸塩複合体の製造方法であって、前記層間に複数の色素構成の有機基もしくは有機分子を各々順次に液相で導入して複合化することを特徴とする層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【0021】
第11:ケイ酸塩層状部層間に色素構成の有機基もしくは有機分子を結合させた複合前駆体の懸濁液に他種の色素構成の有機基を有する物質もしくはもしくは有機化合物の溶液を混合して複合懸濁液とし、次いで固化処理する層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【0022】
第12:複合懸濁液を濾別、成形、乾燥する層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【0023】
第13:複合懸濁液を基板にキャストもしくはスピンコートすることでフィルムまたは膜状とする層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【0024】
第14:複合体前駆体は、ケイ酸塩層状部に色素構成の有機基もしくは有機分子を共有結合させたものである以上いずれかの層状ケイ酸塩複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
上記のとおりの本発明によって、ナノレベルの二次元空間に、層状ケイ酸塩の同一の層間に、Segregationを生じさせることなく、異なる二種の色素を共存させるこという、従
来困難であった課題を達成し得た本発明の技術的効果は、非常に大きく、太陽利用等広い範囲での波及効果が期待できる。
【0026】
また色素レーザーを固体に置き換える等、経済的効果も大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0028】
本発明の層状ケイ酸塩複合体は、前記のとおり、ケイ酸塩層状部が次式
n(M3-nq)Si410(OH)2
(式中のLはアルカリ金属元素の少くとも1種を、MはMg、AlおよびFeのうちの少くとも1種を示し、O<n<0.6、O<q<0.6を示す。)の組成で表わされる層状ケイ酸塩の同一のケイ酸塩層状部層間に、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子が共存している。
【0029】
ここで、アルカリ金属は、Li、Na、K、RbおよびCsのういちのいずれかである。
【0030】
層間に共存している複数の色素紙構成の有機基または有機分子については、たとえば、化学構造による分類される主なものを発振波長域と共に例示すると、オリゴフェニレン系(320~400nm)、オキサゾール・オキサジアゾール系(350~430nm)、スチルベン系(400~600nm)、キノロン系(420~450nm),クマリン誘導体系(420~570nm)、キサンチン色素系(520~680nm)、オキサジン色素系(630~780nm)、ポリメチレン色素系(760~1200nm)等のレーザー色素に加えて、キナクリドンおよびその誘導体等を例示することができる。
【0031】
もちろんこれに限定されることはない。
【0032】
そして本発明においては、たとえば、組成式が次式
(RA)k(RB)mn(M3-nq)Si410(OH)2
(式中のL、M、n、qは前記のものを示し、RAおよびRBは、各々、色素構成の有機基もしくは有機分子を示し、0<k<1.0、0<m<4.0かつ、0.06<k+m<5.28H3123)やオキサジン等であり、RBはクマリン(C1414NO4)等である層状ケイ酸塩複合体が提供される。これによ
って、複数の蛍光極大を併せ持ち、複数の色素構成の有機基もしくは有機分子は各々蛍光発光を示すものである層状ケイ酸塩複合体が実現される。
【0033】
本発明の特徴のある層状ケイ酸塩複合体は、ケイ酸層状部層間に複数の色素構成の有機
基もしくは有機分子が共存している層状ケイ酸塩複合体の製造方法であって、前記層間に複数の色素構成の有機基もしくは有機分子を各々順次に液相で導入して複合化することにより製造される。
【0034】
より好適には、本発明においては、ケイ酸塩層状部に色素構成の有機基もしくは有機分子を結合した複合前駆体の懸濁液に他種の色素構成の有機基を有する物質もしくは有機化合物の溶液を混合して複合懸濁液とし、次いで固化処理すること、たとえば、複合懸濁液を濾別、成形、乾燥することや、複合懸濁液を基板にキャストもしくはスピンシュートすることでフィルムまたは膜状とすることが考慮される。そして、これらの方法においては、より好ましくは、複合前駆体は、ケイ酸塩層状部に色素構成の有機基もしくは有機分子を共有結合させたものであることが考慮される。
【0035】
この共有結合された複合前駆体については、本発明者がすでに提案している前記特許文献1記載の方法が好適に考慮される。
【0036】
すなわち、(a)少くとも1つの色素構成有機基と少くとも1つのアルコキシシリル基を有するオルガノアルコキシシランと、(b)Mg、AlおよびFeのうちの少くとも1種の金属塩を、液体に溶解あるいは分散させて反応させることで製造することができる。なお、Mg、AlおよびFeは、本発明の層状ケイ酸塩複合体の組成式における、M元素である。オルガノアルコキシシランは、一般式(R1-R24-n-Si(OR3nで表わ
される各種のものを用いることができる。ここで、(R1-R2)は前述の色素構成有機基または有機分子であり、R3はSi(OR3nで表されるアルコキシシリル基を構成する
有機基である。nは1、2または3のいずれかの値をとり、好適にはn=3である。たとえばn=2のとき等、オルガノアルコキシシラン中に、R1、R2、R3のそれぞれが複数
存在する場合には、R1、R2、R3がそれぞれにおいて同一もしくは別異のものであって
よい。
【0037】
Mg、AlおよびFe(M元素)の金属塩としては、液体中で解離してMg、Al、Feのイオンを生成するものを用いることができ、有機塩および無機塩の各種のものを単体あるいは混合物として使用することができる。
【0038】
出発材料としての上記の(a)オルガノアルコキシシランと(b)M元素の金属塩を、水や各種の有機溶媒等の溶媒に溶解あるいは十分に分散させて反応させる。
【0039】
反応条件は、温度を室温から150℃程度の範囲、時間を数時間~数日程度の範囲で、適宜調整することができる。具体的には、たとえば、上記の反応溶液を150℃以下の温度で1~3日間保持することや、1~5日間還流すること等が例示される。蛍光極大が1つの層状ケイ酸塩/色素複合体を製造する場合には、反応温度を100℃以下にすることが好ましい。
【0040】
さらに、本発明では、出発材料に、(c)アルカリ金属:Li、Na、K、Rb、Csのうちの少なくとも1種の金属塩を添加する。Li、Na、K、Rb、Csは、本発明の層状ケイ酸塩複合体の組成式における、L元素である。これらのL元素の金属塩についても、溶媒中で解離してLi、Na、K、Rb、Csのイオンを生成するものを単体あるいは混合物等として用いることができ、有機塩および無機塩の各種のものを使用することができる。これらの(c)L元素の金属塩の添加量は、上記の(b)M元素の金属塩に対して、モル比で、0.6以下とすることができる。
【0041】
出発材料に(c)L元素の金属塩を用いることで、L元素とM元素が置換し、M元素およびL元素が層間に存在するようになるため、無機構造部分の積層を促進し、固体素子化
が十分可能である程度に構造が成長した層状ケイ酸塩複合体を得ることができる。
【0042】
(d)SiOH基または溶媒中で容易にSiOH基に変性しうる基を有するケイ素化合物を添加することなども考慮される。このような(d)ケイ素化合物としては、ケイ素の各種の塩化物や酸化物などを単体あるいは混合物等として用いること等が考慮される。ケイ素化合物の添加量は、(a)オルガノアルコキシシランに対して、重量比で、13以下とすることが好ましい。さらには、重量比で6~12とすることが望ましい。上記(d)ケイ素化合物を用いることで、層状ケイ酸塩/色素複合体の生成反応における色素部分と無機構造部分との複合化機構が影響を受け、発現される蛍光特性が多様化される。たとえば、通常の色素は蛍光極大をひとつだけ有するが、複数の蛍光極大を有する層状ケイ酸塩/色素複合体を製造することができる。また、無機構造部分の成長も促される。
【0043】
このように、層間に取り込まれた色素は、ほぼ全てが、無機構造部分との間に堅牢な結合を構成している。すなわち、色素中のC原子と、無機構造部分のSiがSi-C共有結合を形成し、色素構成有機基Rと無機構造部分を強固に結び付けている。この結合により、この出願の発明の層状ケイ酸塩/色素複合体は、実用に際しても色素が遊離することがない。
【0044】
本発明においては、以上のようにしてあらかじめ色素物質を層間に共有結合させた後に、さらに別種の色素物質を層間に導入することが有効であり、好ましい。
【0045】
この導入に際しての操作条件は、温度としては室温~100℃以下程度が好ましい。溶媒としてはアルコール、エーテル等の各種のものが使用されてよい。
【0046】
そこで以下に実施例を示してさらに説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0047】
オルガノアルコキシシランとして7-(3-トリエトキシシリルプロピル)-o-(4-メチルクマリン)ウレタンを0.79g、(b)金属塩として水酸化マグネシウムを1.25g、さらに(c)フッ化リチウム0.11g、(d)LuDox(Du Pont製)30wt%ゾルを6.18g秤量し、70ccのイオン交換水に十分分散させて反応液を調整した。この反応液を、80℃で3日間保持し、生成物をろ別、水洗、および乾燥して、反応生成物として淡橙白色体を得た。このものは、層状ケイ酸塩/クマリン複合体であることが同定された。また、その組成は、(C1414NO40.06Li0.27(Mg2.73Li0.27)Si410(OH)2で示される。
【0048】
以上と同様にして、組成式、(C1414NO4mLin(Mg3-nLiq)Si410(OH)2(ここで、0.05<m<0.1、0<n<0.3、0<q<0.3)で表せ、ク
マリン部分(C1414NO4)と、層状ケイ酸塩部分(Lin(Mg3-nLiq)Si410
(OH)2)が共有結合により複合化した層状ケイ酸塩/クマリン複合体を調製した。
【0049】
これらの0.30gを、エタノール10mlに懸濁させた。この懸濁液に別途調製したローダミン6G(C283123)のエタノール溶液を加え、良く混合して、層状ケイ酸塩/クマリン複合体の層間へのローダミン6G分子のインターカレーション反応を行った。生じた沈殿を、固液分離、濾過により分離し、エタノール、水で洗浄した後乾燥させ、新規層状ケイ酸塩/クマリン/ローダミン6G複合体を得た。層状ケイ酸塩/クマリン複合体1g当たりのローダミン6Gの仕込み比:Xを0.1mmol/gとして、組成が、(C28H31N2O3)0.04(C1414NO40.2Li0.2(Mg2.8Li0.2)Si410(OH)2
の複合体を得た。
【0050】
X線回折測定、及び熱重量分析の結果から、ローダミン6G分子が、層状ケイ酸塩/クマリン複合体の層間に挿入し、面間隔が押し広げられたこと、ローダミン6Gの添加量に相当する重量減少の変化が見られたこと、そしてUV吸収、蛍光発光スペクトル測定を行ったところ、クマリン発色団、及び、ローダミン6G分子双方に相当する吸収および蛍光からの発光が確認されたことから、2種の蛍光発光基(分子)としてのローダミン6Gとクマリンが包含されていることがわかった。
【0051】
図1および図2には、上記の仕込み比:Xが0.1mmol/g、0.2mmol/gおよび0.5mmol/gの場合の本発明の複合体のX線回折スペクトルと蛍光発光スペクトルを例示した。図2には、蛍光発光波長域が、350-750nmに及ぶことが示されている。
【0052】
なお、図2において、励起波長は(a)320nm、(b)380nm、(c)530nmである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】X線回折スペクトルである。
【図2】(a)(b)(c)は、本発明の層状ケイ酸塩複合体の蛍光発光スペクトルである。
図面
【図2】
0
【図1】
1