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明細書 :ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4604248号 (P4604248)
公開番号 特開2007-223851 (P2007-223851A)
登録日 平成22年10月15日(2010.10.15)
発行日 平成23年1月5日(2011.1.5)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
発明の名称または考案の名称 ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ及びその製造方法
国際特許分類 C01G  17/00        (2006.01)
FI C01G 17/00
請求項の数または発明の数 8
全頁数 8
出願番号 特願2006-047763 (P2006-047763)
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2005年11月29日 インターネットアドレス「http://www3.interscience.wiley.com」に発表
審査請求日 平成21年2月19日(2009.2.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】板東 義雄
【氏名】ザン・ジンフウ
審査官 【審査官】村守 宏文
参考文献・文献 特開2004-189528(JP,A)
特開2005-336661(JP,A)
T.Gaewdang, et.al.,Structural Investigation and Luminescence of In2Ge2O2 avd In2Si2O7,Zeitschrift fur anorganische und allgemeine Chemie,Johann Ambrsius Barth,1994年 7月 4日,620(1994),1965-1970
調査した分野 C01G 15/00-17/00
Science Direct
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
単斜晶系の単結晶構造から成ることを特徴とする、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ。
【請求項2】
前記ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの長さが数百μmであり、その外径がおおよそ600nmであることを特徴とする、請求項1に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ。
【請求項3】
酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末の混合物を、不活性ガス気流中で、所定温度において所定時間加熱し、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブを合成することを特徴とする、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
【請求項4】
前記酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末のモル比が、0.5~1.5:1~3:2~6の範囲であることを特徴とする、請求項3に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
【請求項5】
前記酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末の混合物を、800~1200℃の範囲で加熱することを特徴とする、請求項3に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
【請求項6】
前記酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末の混合物を、0.5~3時間の範囲で加熱することを特徴とする、請求項3に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
【請求項7】
前記不活性ガスが、アルゴンガスであることを特徴とする、請求項3に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
【請求項8】
前記不活性ガスを流量50~1000cm3 /分の範囲で供給することを特徴とする、請求項3又は7に記載のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、インジウム、ゲルマニウム及び酸素からなる三元素系のサブミクロンの直径を有する、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲルマニウム酸塩は、重油や薬品類中の大きな分子の分離(例えば、非特許文献1参照)や湿度センサー(例えば、非特許文献2参照)として注目されている。また、ゲルマニウム酸インジウムは、特殊な層状構造を有する化合物であることも既に知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】

【非特許文献1】Y. Chou,他、Angew. Chem. Int. Ed. 40巻、2166頁、2001年
【非特許文献2】M. J. Hogan,他、Appl. Phys. Lett. 72巻、3077頁、1998年
【非特許文献3】T. Gaewdang,他、Z. Anorg. Allg. Chem. 620 巻、1965頁、1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単斜晶系の単結晶構造から成る、ゲルマニウム酸インジウムのサブミクロンチューブは現在まで実現されておらず、そのため、触媒、大分子の分離、湿度センサーなどへの優れた応用が制限されていた。また、上記ゲルマニウム酸インジウムから成るサブミクロンチューブを効率良く製造する方法も未だ実現されていない。
【0005】
本発明は、単斜晶系の単結晶構造から成る、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブは、単斜晶系の単結晶構造から成ることを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの長さは数百μmであり、その外径はおおよそ600nmである。
上記構成によれば、チューブの中空部の断面形状が六角形又は円形で、単結晶から成るゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブを提供することができる。
【0007】
本発明のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造方法は、酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末の混合物を、不活性ガス気流中で、所定温度において所定時間加熱し、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブを合成することを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、酸化インジウム粉末、酸化ゲルマニウム粉末及び活性炭粉末のモル比は、0.5~1.5:1~3:2~6の範囲である。加熱温度は、好ましくは、800~1200℃の範囲であり、加熱時間は0.5~3時間の範囲とすることが好ましい。
不活性ガスは、好ましくはアルゴンガスであり、この不活性ガスの流量は、好ましくは50~1000cm3 /分の範囲である。
上記構成によれば、長さが数百μmで、外径がおおよそ600nmの寸法を有する単斜晶系の、新規な単結晶のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブを製造することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、長さが数百μmで、外径がおおよそ600nmの寸法を有する単結晶のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブ及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好ましい実施の形態を詳細に説明する。
本発明のゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブは、その長さが数百μmで、外径がおおよそ600nmの寸法を有する、新規な単斜晶系の単結晶構造のゲルマニウム酸インジウムから成り、サブミクロンチューブの中空部の断面形状は、六角形あるいは円形をなしている。
【0010】
このゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブは、次のようにして製造することができる。
酸化インジウム(In2 3 )粉末、酸化ゲルマニウム(GeO2 )粉末及び活性炭粉末の混合物を反応容器に入れ、この容器を加熱炉に配置する。
次に、加熱炉の中に不活性ガスを流し、この不活性ガス気流中において、上記混合物を、所定温度で所定時間加熱することで、ゲルマニウム酸インジウム(In2 Ge2 7 )サブミクロンチューブを合成することができる。
【0011】
上記の原料粉末のモル比は、酸化インジウム粉末:酸化ゲルマニウム粉末:活性炭粉末=0.5~1.5:1~3:2~6の範囲が好ましい。酸化インジウム粉末の量は、上記範囲の上限値で十分であるので、これ以上の量を使用する必要はない。逆に、酸化インジウム粉末の量が上記範囲の下限値未満の場合は、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの収量が低下するので好ましくない。
【0012】
酸化ゲルマニウム粉末の量は、上記範囲の上限値で十分であるので、これ以上の量を使用する必要はない。逆に、酸化ゲルマニウム粉末の量が上記範囲の下限値未満の場合は、収量が低下するので好ましくない。
【0013】
活性炭粉末の量が上記範囲の上限値よりも多い場合は、金属インジウムや金属ゲルマニウムが生成するので好ましくない。逆に、活性炭粉末の量が上記範囲の下限値よりも少ない場合は、収量が低下するので好ましくない。
【0014】
上記加熱温度は、800~1200℃の範囲が好ましい。この加熱温度が1200℃を超えると収量が低下するので、好ましくない。逆に、加熱温度が800℃未満では、中空部の存在しないウィスカーが生成するので好ましくない。
【0015】
上記加熱時間は0.5~3時間の範囲が好ましい。この加熱時間は3時間で十分に反応が進行するので、これ以上の時間をかける必要はない。逆に、加熱時間が0.5時間未満では反応が完結しないため、収量が低下するので好ましくない。
【0016】
上記不活性ガスとしては、アルゴンガスを使用することができ、その流量は、50~1000cm3 /分の範囲が好ましい。不活性ガスの流量が1000cm3 /分よりも供給が多いと、生成物が飛散し収量が低下するので好ましくない。逆に、不活性ガスの流量が50cm3 /分よりも少ないと、ウィスカーが生成するので好ましくない。
【0017】
上記のような操作を施すことにより、加熱炉の内壁に白色の粉末が堆積する。この白色の粉末を分析することにより、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブであることが確認できる。
【実施例】
【0018】
次に、実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。
最初に、酸化インジウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.99%)1.11gと、酸化ゲルマニウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.995%)0.84gと、活性炭粉末(アルドリッチ社製、純度99.95%)0.2gと、の混合物を石英坩堝に入れた。この石英坩堝を横型抵抗加熱炉中に配置した石英製の反応管の中央部に設置した。次に、反応管に流量200cm3 /分のアルゴンガスを供給しながら、20K/分の昇温速度で1000℃まで温度を上げ、この温度に2時間保った。
最後に、加熱炉の温度を自然冷却により室温まで下げた。加熱中に、おおよそ600℃を示していた反応管の内壁に白色の粉末0.1gが堆積した。
【0019】
次に、実施例で合成した白色の粉末について、さらに詳しく説明する。
図1は上記実施例で合成した白色粉末のX線回折像を示す図である。図1において、縦軸はX線回折強度(任意目盛)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。図1から明らかなように、実施例で合成した白色粉末は、単斜晶系のゲルマニウム酸インジウムであることが分かった。そして、In2 3 、GeO2 、In、Geのような不純物のピークは観測されなかった。
【0020】
図2は、実施例で合成した白色粉末の一部の走査型電子顕微鏡像を示す図である。図2から明らかなように、実施例で得た白色粉末は、細長い繊維状の形状をしており、その長さは数百μmに達している。
【0021】
図3は上記実施例で合成した白色粉末の一部の高倍率走査型電子顕微鏡像を示す図である。図3から明らかなように、実施例で合成したゲルマニウム酸インジウムは、先端部が開口したチューブ状構造であることが分かった。その外径はおおよそ600nmであり、1μm以下のサブミクロンの寸法を有するチューブである。このチューブ壁の厚さはおおよそ200nmであり、内径はおおよそ200nmであることが確認できた。
【0022】
図4は、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの先端部分の高倍率走査型電子顕微鏡像を示す図である。図4から明らかなように、チューブ穴の断面形状は六角形あるいは円形であることが判明した。
【0023】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの寸法については、所望の値が得られるように合成条件を適宜選択すればよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明により、ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの製造が可能となったので、触媒、大分子の分離、湿度センサーなどへの応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例で合成した白色粉末のX線回折像を示す図である。
【図2】実施例で合成した白色粉末の一部の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
【図3】実施例で合成した白色粉末の一部の高倍率走査型電子顕微鏡像を示す図である。
【図4】ゲルマニウム酸インジウムサブミクロンチューブの先端部分の高倍率走査型電子顕微鏡像を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3