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明細書 :シリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4840777号 (P4840777)
公開番号 特開2007-238433 (P2007-238433A)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
発明の名称または考案の名称 シリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法
国際特許分類 C01B  33/06        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
H01L  29/06        (2006.01)
H01L  29/161       (2006.01)
FI C01B 33/06
B82B 3/00
H01L 29/06 601N
H01L 29/161
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2007-051042 (P2007-051042)
分割の表示 特願2002-228151 (P2002-228151)の分割、【原出願日】平成14年8月6日(2002.8.6)
出願日 平成19年3月1日(2007.3.1)
審査請求日 平成19年3月22日(2007.3.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】野田 哲二
【氏名】胡 全利
【氏名】荒木 弘
【氏名】鈴木 裕
【氏名】楊 文
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開2004-067433(JP,A)
野田哲二 他,Si-Geナノワイヤー集合体の特異な形状,日本金属学会秋期大会講演概要(2002),2002年11月 2日,Page261(183)
調査した分野 C01B 33/00 - 33/193
B82B 3/00
H01L 29/06
H01L 29/161
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
シリコンゲルマニウム球状部からシリコンゲルマニウムナノワイヤー部が成長したシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法であって、一般式SixGe1-x( 式中、0<x<1)で示す組成を有する棒状の粉末焼結試料を浮遊帯域溶融法により試料上部より試料下部に向かって光照射加熱により順次溶融させ、前記棒状合金試料の下方より上方へアルゴンあるいは水素をキャリアガスとして流し、前記溶融部の上方の試料に、960~1000℃の温度領域を作り出すことによって、前記球状部とナノワイヤー部との前記式中のxの相違を発現させることを特徴とするシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、シリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体等の情報通信用デバイス材料やその他電子・電気材料等として有用で、多様な組成および形態が実現できる新しいシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン等のナノワイヤーは微小半導体として注目を集めており、たとえば量子細線等として、従来のリソグラフィー技術による加工限界を超えた、次世代の高密度集積回路素子材料としての利用が期待されている。
【0003】
このようなナノワイヤーについて、その製造方法としては、気相蒸発法、レーザー法等の各種の方法が提案されており、この出願の発明者らもまた、浮遊帯域溶融法(FZ法)によりシリコンナノワイヤーを大量に製造することができる方法をすでに提案(特願2001-333257)している。
【0004】
しかしながら、ナノワイヤーを細線材料としてのみならず、様々な機能を有する材料として利用するためには、組成や形態を制御して、簡便かつ大量にナノワイヤーを製造することが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、半導体等の情報通信用デバイス材料やその他電子・電気材料等として有用で、多様な組成および形態が、簡便に、大量にも実現可能とされる新しいシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法を提供することを課題としている。

【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この出願の発明は、上記課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供する。
【0007】
すなわち、本発明のシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体の製造方法は、一般式SixGe1-x( 式中、0<x<1)で示す組成を有する棒状の粉末焼結試料を浮遊帯域溶融法により試料上部より試料下部に向かって光照射加熱により順次溶融させ、前記棒状合金試料の下方より上方へアルゴンあるいは水素をキャリアガスとして流し、前記溶融部の上方の試料に、960~1000℃の温度領域を作り出すことによって、前記球状部とナノワイヤー部との前記式中のxの相違を発現させることを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
この出願の発明の方法により、リコンゲルマニウムナノワイヤー集合体は、組成が、一般式SixGe1-xで表される様々なxを持つ合金を使用ながらも、シリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体となったものは、前記合金とは異なx値を示すことを発現できるようになった。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
【0010】
この出願の発明が提供するシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体は、組成が、一般式SixGe1-xで表される様々なxを持つ合金を使用ながらも、シリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体となったものは、前記合金とは異なx値を示すことを発現できるようになった。このシリコンゲルマニウムナノワイヤーは、単一では、代表的に、直径が数十~数百nmで、長さが数10μm以上の寸法のナノワイヤーである。

【0011】
実際的には、このシリコンゲルマニウムナノワイヤーは、その複数集合したシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体として製造される。このシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体は、その形態は、たとえば、図4に示したように、単一のシリコンゲルマニウムナノワイヤーがランダムに集合した形態のものや、図1に示したように、房状あるいは束状に集合したもの、放射状に集合したものなど、様々な形態のものとして実現される。
【0012】
より詳細に観察すると、これらのシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体は、代表的には、略球状のシリコンゲルマニウム球状部から、シリコンゲルマニウムナノワイヤーが複数本成長している形態のものとして例示することができる。シリコンゲルマニウムナノワイヤーの数、成長点、成長方向等により、上記のような様々な形態を実現していると考えられる。
【0013】
このような特殊な形態を有するシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体は、この出願の発明によって全く初めて提供されるものである。そして、このシリコンゲルマニウムナノワイヤーは、クロス組み立て等による微小半導体材料として利用できるのはもちろんのこと、様々な形態、構造、および組成の異なるナノワイヤーとして実現されるため、機械的な特性を要求されるナノマシン用素材や、発光素子、光検出器、触媒等としても利用することができる。
【0014】
以上のようなこの出願の発明のシリコンゲルマニウムナノワイヤーは、たとえば以下のシリコンゲルマニウムナノワイヤーの製造方法により製造することができる。すなわち、この出願の発明のシリコンゲルマニウムナノワイヤーの製造方法は、原料としての粒径が50μm以下のシリコン粉末およびゲルマニウム粉末をロッド状に成形した後、不活性ガス気流中で溶融させることにより、その成形体より直径がナノメートルオーダーのナノワイヤーを成長させることを特徴としている。
【0015】
原料としては、シリコン粉末およびゲルマニウム粉末あるいはこれらの合金の粉末を用いることができる。原料粉末におけるシリコンおよびゲルマニウムの配合は、所望のシリコンゲルマニウムナノワイヤーの組成に応じ、たとえばSi-Ge状態図等を参考にして、決定することができる。シリコンよりも低融点で、かつシリコンと全率固溶となるゲルマニウムは、この発明におけるナノワイヤーの形成において触媒的な作用をするものと考えられ、このシリコンとゲルマニウムの組み合わせはこの出願の発明の方法において欠かせないものであるといえる。とりわけシリコン粉末とゲルマニウム粉末を混合して用いる場合には、たとえば図1に示したような特異な形態のシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体を好適に得ることができる。この理由は明らかではないものの、粉末状のゲルマニウムが何らかの触媒作用を示すためであると考えられる。
【0016】
そして、この出願の発明の方法において原料粉末の大きさは重要であって、上記の原料粉末は粒径50μm以下のものとすることが好ましい。原料粉末を50μm以下とすることにより、表面積を多くすることができ、この粉末表面に形成される僅かな酸化物層がシリコンゲルマニウムナノワイヤーの成長において生成助長効果を発揮するものと考えられる。なお、これらの原料は、微量の酸素、目安としては、1重量%以下の酸素を含むものであることが好ましい。
【0017】
このような原料粉末をロッド状に成形した後、不活性ガス雰囲気下で溶融するようにする。この成形は、原料粉末の溶融およびナノワイヤーの成長を好適に行なうためのものであって、たとえば形が崩れない程度に成形し、軽く焼結するなどしてもよい。溶融については、アルゴンガス等の不活性ガス、あるいは水素ガスをキャリアガスとして用い、900~1000℃の一定の範囲に保つようにする。これによって、成形体の表面から、シリコンゲルマニウムナノワイヤーを成長させることができる。
【0018】
なお、この溶融は、特別の処理および特殊な装置が必要ないことから、帯域溶融法により行なうことが簡便で、かつシリコンゲルマニウムナノワイヤーの大量生産に好適な手段として例示される。帯域溶融法による場合は、具体的には、たとえば、一般的な帯域溶融装置の試料ホルダーに原料粉末の成形体をセットし、装置内部を真空排気した後、Arガスを流量10~30cm/min程度、圧力20~400Torr程度で装置内部を下方から上方に流し、図3に示すとおり、キセノンランプを試料上部に照射して900~1400℃で溶融させるとともに、溶融部を20~40mm/hの移動速度で下方に移動させて全体を溶融させることなどが例示される。
【0019】
以上のこの出願の発明の方法によって、大量かつ容易にシリコンゲルマニウムナノワイヤーを製造することができる。この出願の発明の方法は、シリコンゲルマニウムナノワイヤーを提供するものだけでなく、リソグラフィーに変わる新しい高集積半導体作成技術を提供するものとして期待することができる。
【0020】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
[実施

【実施例1】
【0021】
純度99.999%のシリコン粉末と純度99.999%のゲルマニウム粉末を、重量で4:1の割合で混合し、300メッシュ(粒径約50μm)程度になるように乳鉢で細かく粉砕した。この混合粉末を、直径8mm、長さ100mmのロッド状に成形し、10-6Torrの真空において、800℃、2時間で形が崩れない程度に仮焼結を行なった。このロッドを試料として、大気圧下、Arガス流量10cm/minの条件下で、浮遊帯域溶融法により溶解した。このとき、Arガスは、略垂直に設置されているロッド体の下から上に向かって流すようにした。
【0022】
すると、ロッド表面において、溶融部より約1.5~2cm上方の、温度960~1000℃の領域に、図1(a)~(d)に示したような様々な形態のナノワイヤー集合体が成長しているのが確認された。このナノワイヤー集合体は、いずれも球状部から多数のナノワイヤーが伸びて構成されており、あたかも頭頂部から触手等が伸びている生物のような特殊な形状を有しているのが観察された。
【0023】
このナノワイヤー集合体を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図2に示した。ナノワイヤー部の直径は、数十~数百nmにわたることがわかった。
【0024】
また、このナノワイヤー集合体の各部の組成を調べたところ、球状部のSi:Geは48:52と、シリコンおよびゲルマニウムの粉末混合比(80:20)に比べて大幅にGe側に傾いた組成となっていることがわかった。一方、ナノワイヤー部については、Si:Geが82:18とシリコン側に組成がずれているのがわかった。
【0025】
図3に示したSi-Geの状態図から予測されるように、このナノワイヤー集合体は、まずGeリッチの液滴が試料(ロッド)表面に生じ、そこからSiリッチのナノワイヤーが成長したものと考えられる。したがって、たとえば液相のSi-Ge組成が一定になるようにすれば、所望の組成のシリコンゲルマニウムナノワイヤーを製造することができるといえる

【産業上の利用可能性】
【0027】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、半導体等の情報通信用デバイス材料等として有用で、多様な組成および形態が簡便に実現できる新しいシリコンゲルマニウムナノワイヤーとその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例において製造したシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体のSEM像を例示した図。
【図2】実施例において製造したシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体のTEM像と(111)電子回折像を例示した図である。
【図3】シリコン-ゲルマニウム2元系状態図である。
【図4】実施例において製造したシリコンゲルマニウムナノワイヤー集合体のSEM像を例示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3