TOP > 国内特許検索 > 硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法 > 明細書

明細書 :硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4556015号 (P4556015)
公開番号 特開2007-223896 (P2007-223896A)
登録日 平成22年7月30日(2010.7.30)
発行日 平成22年10月6日(2010.10.6)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
発明の名称または考案の名称 硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法
国際特許分類 C30B  29/66        (2006.01)
C30B  29/06        (2006.01)
C01B  33/12        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
FI C30B 29/66
C30B 29/06 D
C01B 33/12 A
B82B 1/00
B82B 3/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2007-078064 (P2007-078064)
分割の表示 特願2003-378931 (P2003-378931)の分割、【原出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
出願日 平成19年3月26日(2007.3.26)
審査請求日 平成19年4月24日(2007.4.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301023238
【氏名又は名称】独立行政法人物質・材料研究機構
発明者または考案者 【氏名】板東 義雄
【氏名】ジンツィ フウ
審査官 【審査官】吉田 直裕
参考文献・文献 特開平11-349321(JP,A)
調査した分野 C30B 1/00-35/00
JSTPlus(JDreamII)
Science Citation Index Expanded(Web of Science)
特許請求の範囲 【請求項1】
硫化亜鉛粉末を不活性雰囲気で1150~1250℃に加熱し、生成した硫化亜鉛ナノワイヤーを不活性雰囲気で一酸化珪素と1200~1400℃で加熱反応させることにより得られる硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーであることを特徴とする硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤー。
【請求項2】
硫化亜鉛粉末を不活性雰囲気で1150~1250℃に加熱して硫化亜鉛ナノワイヤーを生成させ、この硫化亜鉛ナノワイヤーを不活性雰囲気で一酸化珪素と1200~1400℃で加熱反応させ、硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーを生成させることを特徴とする硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの製造方法。
【請求項3】
不活性気体を通じながら、硫化亜鉛粉末を縦型高周波誘導加熱炉中で1150~1250℃に1~2時間加熱して硫化亜鉛ナノワイヤーを生成させた後、一酸化珪素粉末と不活性気流中で1200~1400℃に1~2時間加熱反応させ、硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーを生成させることを特徴とする請求項2に記載の硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、ナノスケールの半導体デバイス等に有用な単結晶珪素ナノチューブを製造するための前駆物質である硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、珪素ナノワイヤーは、金属触媒を用いたレーザー加熱法(非特許文献1参照)や、珪素と珪素酸化物の加熱による方法(非特許文献2参照)、ジフェニルシランの高温熱分解による方法(非特許文献3参照)などによって製造されることが知られている。

【非特許文献1】A.M.Morales,ほか、サイエンス(Science) 279 巻、208頁、1998年
【非特許文献2】N.Wang,ほか、フィジカル・レビューB(Phys.Rev.B)58巻、R16024 頁、1998年。
【非特許文献3】J.D.Holmes,ほか、サイエンス(Science) 287巻、1471頁、2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、珪素ナノワイヤーは、すでにその製造方法が知られているが、珪素ナノチューブについては、そのバンド構造等が計算により予測されているものの、いまだ実際に製造されたことはない。
【0004】
そこで、本発明は、単結晶珪素ナノチューブを実現するための前駆物質となる硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0006】
第1に、硫化亜鉛粉末を不活性雰囲気で1150~1250℃に加熱し、生成した硫化亜鉛ナノワイヤーを不活性雰囲気で一酸化珪素と1200~1400℃で加熱反応させることにより得られる硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーである。
【0007】
第2に、硫化亜鉛粉末を不活性雰囲気で1150~1250℃に加熱して硫化亜鉛ナノワイヤーを生成させ、この硫化亜鉛ナノワイヤーを不活性雰囲気で一酸化珪素と1200~1400℃で加熱反応させ、硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーを生成させる。
【0008】
第3に、不活性気体を通じながら、硫化亜鉛粉末を縦型高周波誘導加熱炉中で1150~1250℃に1~2時間加熱して硫化亜鉛ナノワイヤーを生成させた後、一酸化珪素粉末と不活性気流中で1200~1400℃に1~2時間加熱反応させ、硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有するナノワイヤーを生成させる。
【発明の効果】
【0009】
上記の通りの本発明によって、マイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス分野において、その応用が期待されている単結晶珪素ナノチューブを実現するための硫化亜鉛・珪素コア・シェル構造を有する硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーとその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーは、単結晶珪素ナノチューブの前駆物質である。
【0012】
本発明の硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの製造方法では、加熱装置として、好適には石英管の内側に断熱材のカーボン繊維で覆われたグラファイト製の誘導加熱円筒管を有する縦型高周波誘導加熱炉を用い、たとえば好ましくはグラファイト製るつぼの中に硫化亜鉛粉末を入れ、このるつぼをグラファイト製の誘導加熱円筒管の中央部に設置する。アルゴンガスなどの不活性気体を流しながら、1150~1250℃に1~2時間加熱して硫化亜鉛ナノワイヤーを生成させる。加熱温度が1250℃より高いと、硫化亜鉛ナノワイヤーの直径が太くなり、1150℃より低いと、硫化亜鉛ナノワイヤーの収率が低下する。加熱時間は1~2時間である。2時間で十分に原料の蒸発が終了する。1時間未満の場合には硫化亜鉛ナノワイヤーの生成量が減少する。
【0013】
次に、グライファイト製るつぼの中に一酸化珪素粉末を入れ、このるつぼをグラファイト製の誘導加熱円筒管の中央部に取り付け、不活性気体を流しながら、1200~1400℃に1~2時間加熱した後、加熱炉を室温に冷却する。これによりナノワイヤー生成物が得られる。このナノワイヤー生成物は、上記の通りの硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有する。
【0014】
硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーを酸水溶液、たとえば塩酸、硫酸、塩素酸等の酸の水溶液、より好適には塩酸水溶液で処理することにより、単結晶珪素ナノチューブが得られる。塩酸水溶液の場合には、その濃度を5~20%程度、より好適には10%前後とすることが考慮される。
【0015】
硫化亜鉛ナノワイヤーと一酸化珪素との加熱においては、硫化亜鉛粉末と一酸化ケイ素粉末との重量比は1:1~2:1が好ましく、これよりも一酸化珪素の量が多いと、硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの中に珪素ナノワイヤーが混入する。加熱温度は1200~1400℃であり、これより温度を上げても収量の向上は望めない。また、1200℃より加熱温度が低いと、珪素の蒸気の発生が十分でなく、硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーが生成しない。加熱時間は1~2時間であり、2時間を超えて加熱しても収量の向上は望めなく、長時間加熱すると、硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの表面に珪素ナノ粒子が付着してしまう。1時間未満であると、硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの収量が低下する。不活性ガスの流量は100~200sccmが好ましく、200sccmより多量に流す必要はない。100sccm未満であると、最終生成物の収量が低下する。
【0016】
なお、上記いずれの場合の不活性気流については、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス
の流通下であってよい。
【0017】
以下に実施例を説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
【実施例】
【0018】
石英管の内側に断熱材のカーボン繊維で覆われたグラファイト製の誘導加熱円筒管を有する縦型高周波誘導加熱炉を反応装置として用い、グラファイト製るつぼの中に、シグマアルドリッチ社製の硫化亜鉛粉末(純度99.99%)1.5gを入れ、このるつぼを前記の誘導加熱円筒管の中央部に設置した。流量120sccmのアルゴンガスを流しながら、1200℃に1.5時間加熱した。加熱炉を室温に冷却すると、カーボン繊維の表面に直径約50ナノメートルの硫化亜鉛ナノワイヤーが成長した。
【0019】
次に、グラファイト製るつぼの中に、シグマアルドリッチ社製の一酸化珪素粉末(325メッシュ)1.0gを入れ、このるつぼを前記の誘導加熱円筒管の中央部に取り付けた。流量120sccmのアルゴンガスを流しながら、1350℃に1時間加熱した。加熱終了後、加熱炉を室温に冷却すると、カーボン繊維の表面に硫化亜鉛・珪素のコア・シェル構造を有する硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーが生成した。
【0020】
生成した硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーを10%塩酸水溶液で処理した後、蒸留水、エタノールで洗浄した。
【0021】
図1に、得られた生成物のX線回折のパターンを示した。この回折図から格子定数a=5.428Åを有する立方晶系の珪素であることが確認された。図2には、生成物の透過型電子顕微鏡像の写真を示した。この写真から、生成物はナノチューブであり、外径が120~180ナノメートル、チューブ壁の厚さが40~60ナノメートルで、ナノチューブの先端が開口していることがわかる。図3は、このナノチューブのX線エネルギー拡散スペクトルを示したものであるが、その化学組成は珪素からなることがわかる。図3には、少量の酸素と銅のピークが見られるが、酸素のピークは試料を作製するときに酸素に触れたために現れたもので、銅のピークは試料を作製するときに用いた銅グリッドから由来するものである。先のX線回折のパターンと合わせて考えると、ナノチューブは単結晶の珪素で構成されていることが理解される。
【0022】
本発明により、ナノスケール領域における半導体デバイスへの応用が期待される単結晶珪素ナノチューブを実現するための前駆物質である硫化亜鉛・珪素コア・シェルナノワイヤーの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】珪素ナノチューブのX線回折パターンの図である。
【図2】珪素ナノチューブの透過型電子顕微鏡像の図面代用の写真である。
【図3】珪素ナノチューブのX線エネルギー拡散スペクトルの図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2