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明細書 :低温水素製造用触媒及びその製造方法と水素製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5428103号 (P5428103)
公開番号 特開2008-229604 (P2008-229604A)
登録日 平成25年12月13日(2013.12.13)
発行日 平成26年2月26日(2014.2.26)
公開日 平成20年10月2日(2008.10.2)
発明の名称または考案の名称 低温水素製造用触媒及びその製造方法と水素製造方法
国際特許分類 B01J  23/76        (2006.01)
C01B   3/38        (2006.01)
B01J  23/63        (2006.01)
H01M   8/06        (2006.01)
FI B01J 23/76 M
C01B 3/38
B01J 23/56 301M
H01M 8/06 G
請求項の数または発明の数 1
全頁数 19
出願番号 特願2007-222834 (P2007-222834)
出願日 平成19年8月29日(2007.8.29)
優先権出願番号 2007040826
優先日 平成19年2月21日(2007.2.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年8月18日(2010.8.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】永岡 勝俊
【氏名】瀧田 祐作
【氏名】佐藤 勝俊
【氏名】西口 宏泰
審査官 【審査官】壺内 信吾
参考文献・文献 特開2002-336702(JP,A)
特開2007-136445(JP,A)
特開2005-131469(JP,A)
特開2006-167501(JP,A)
特開2005-296755(JP,A)
調査した分野 B01J21/00-38/74
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化数変化する希土類元素としてCeO2又はPr6O11の酸化物、又はCeとZrの複合酸化物若しくはCeとZrとYの複合酸化物に、活性金属としてRh、Pd、Pt、Ni、Coの一種類又は混合物を含有させた酸化物を、予め当該酸化物がCeO2の場合は500~1000℃の還元性ガスにより、当該酸化物がPr6O11の場合は400~700℃の還元性ガスにより、当該酸化物がCeとZrの複合酸化物の場合は100~1000℃の還元性ガスにより、当該酸化物がCeとZr とYの複合酸化物の場合は100~1000℃の還元性ガスにより、活性化処理して当該酸化物に酸素欠陥を導入して水素製造用触媒とし、この触媒に炭化水素と酸素を含む反応ガスを流通する際にこの反応ガスによる前記触媒の反応開始温度を100℃以下の低温度にして炭化水素の燃焼反応とそれに続く改質反応を駆動させることを特徴とする低温からの水素製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は低温からの水素製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー問題、環境問題を解決するために、クリーンで高効率な燃料電池システムの早期実用化が望まれている。
低温作動型の固体高分子形の燃料電池を想定した場合、燃料は水素である。そのため、必要に応じて脱硫操作を行った後に、メタン、メタンを主成分とする天然ガスやその他の炭化水素(プロパンガス、液化石油ガス、ガソリン、ディーゼル燃料、石油、灯油など)を触媒上で改質し、水素を含む生成ガスに転換する必要がある。燃料電池の発電効率を上げるためには、この改質により水素を製造する過程がキーステップの一つである。
これに対して中高温で作動する固体酸化物形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池では炭化水素がそのまま利用できるという特徴がある。しかしながら、この場合にも炭化水素では炭素析出が起こりやすい、炭化水素を用いるよりも水素を用いたほうが発電しやすいなどの理由により、やはり炭化水素を改質する過程は必要であることが多い。
炭化水素の改質による水素の製造方法としてはスチーム改質反応、炭酸ガス改質反応、直接熱供給型改質反応がある。上記製造法のうち、直接熱供給型改質反応は発熱反応である完全燃焼と吸熱反応であるスチーム改質反応や炭酸ガス改質反応を組み合わせたもので、例えば反応器の触媒層前半で完全燃焼が行われ、そこで生じた熱が反応器の触媒層後半に伝わり、吸熱反応である改質反応を促進する。そのため、吸熱反応のみのスチーム改質反応や炭酸ガス改質反応と比較して、外部熱供給の削減という観点から直接熱供給型改質は優れており、水素生成速度も非常に速い。このような背景により、炭化水素の直接熱供給型改質による水素製造用触媒の開発が行われている。
炭化水素の改質反応は既に工業化されており、特にスチーム改質は広く行われており、生成ガスである合成ガス(CO/H2)は、フィッシャー・トロプシュ合成などに用いられている。しかし、従来の用途では長期間にわたり運転が継続されたのに対し、オンサイト改質型燃料電池プロセスへの応用を想定すると、装置の起動停止が頻繁におこる場合がある。例えば、家庭用では日中のみ自動車では運転中のみに使用し、それ以外では装置を停止することが想定できる。またオフサイトでの改質、例えば水素ステーションでも日中のみの運転である。この改質器の起動において電力などの外部エネルギーを用いないことが望ましいが、低温からの水素製造に優れた直接熱供給型改質であっても200℃まで触媒層を加熱する必要があった(特許文献1、非特許文献1)。そのため、改質器の起動に際しては電力などの外部エネルギーを用いなければならず、送電されていない地域や災害時の利用で課題を残していた。このことはガソリンや軽油などの液体燃料を車載した燃料電池車を実現する上でも大きな課題であった。
【特許文献1】特開2006-190605号公報
【非特許文献1】Kenneth A.Williams and Lanny D.Schmidt,Applied Catalysis A: General 299 (2006) 30-45
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
炭化水素の直接熱供給型改質反応を駆動するためには200℃以上の温度が必要であった。そのため完全に停止した改質器の起動には外部電力の供給などによる改質器の加熱が必要であり、このことが原因で外部からのエネルギー供給を必要としない完全自立型のオンサイト改質型燃料電池システムは存在しなかった。つまり、自立型の燃料電池システムを実現するためには、常温で駆動する炭化水素の改質による水素製造法が必要であるという課題があった。この発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。先ず、活性金属と酸化数変化の可能な希土類元素を含有する酸化物を含む触媒前駆体を高温で還元活性化処理することにより、希土類元素を含む酸化物中に酸素欠陥を導入した触媒を調製する。この酸素欠陥を含む触媒に常温で炭化水素と酸素を流通すると、酸素欠陥が酸素と反応し元の酸化物に戻ろうとする。この反応は発熱反応であるため触媒自体加熱される。このことが駆動力となり、炭化水素の燃焼反応が進行し、触媒層は一層、加熱される。そのため、改質反応が進行し水素が生成する。以上のようにして低温、特に常温であっても水素製造反応を駆動できることを明らかにした。
そして、さらに鋭意、検討を続けることにより、活性金属と+3価、+4価で酸化数変化の可能な希土類とZrの複合酸化物又はCeとZrとYの複合酸化物を含む触媒前駆体を用いると、非常に温和な条件で酸素欠陥を導入できることを明らかにし、発明の完成に至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
酸化数変化する希土類元素としてCeO2又はPr6O11の酸化物、又はCeとZrの複合酸化物若しくはCeとZrとYの複合酸化物に、活性金属としてRh、Pd、Pt、Ni、Coの一種類又は混合物を含有させた酸化物を、予め当該酸化物がCeO2の場合は500~1000℃の還元性ガスにより、当該酸化物がPr6O11の場合は400~700℃の還元性ガスにより、当該酸化物がCeとZrの複合酸化物の場合は100~1000℃の還元性ガスにより、当該酸化物がCeとZr とYの複合酸化物の場合は100~1000℃の還元性ガスにより、活性化処理して当該酸化物に酸素欠陥を導入して水素製造用触媒とし、この触媒に炭化水素と酸素を含む反応ガスを流通する際にこの反応ガスによる前記触媒の反応開始温度を100℃以下の低温度にして炭化水素の燃焼反応とそれに続く改質反応を駆動させることを特徴とする低温からの水素製造方法。
【発明の効果】
【0005】
従来、200℃以上で駆動可能であった直接熱供給型改質による水素製造反応は、本発明により常温で駆動することが可能となった。さらに高温での前処理を行うことなく、繰り返し常温で駆動することが可能な触媒も見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の低温水素製造用触媒とは、活性金属を一種類以上と、その担体として酸化数変化の可能な希土類元素を含有する酸化物とからなる所謂触媒前駆体に、酸素欠陥を導入した触媒である。
本発明の低温水素製造用触媒の製造は、前記触媒前駆体を高温で還元性ガスにより活性化処理することにより酸素欠陥を導入するものである。
又本発明は、この酸素欠陥を導入した触媒を用い、この触媒の特性として、炭化水素、酸素を含む反応ガスを流通すると、常温であっても酸素欠陥が酸素と反応するものにして水素を製造する方法を開発したものである。
例えば、式1:CeO2-x + 0.5xO2 → CeO2 、式2:Pr6O11-y + 0.5yO2 → Pr6O11
そして、この反応は発熱反応であるため、このことが駆動力となり、式3の炭化水素の燃焼反応が進行し、
式3:CnHm + (n + 0.25m)O2 → nCO2 + 0.5mH2O
触媒層は一層、加熱される。尚、ZrやYなどとの複合酸化物であっても、同様のCe3+やPr3+などの酸化により発熱が起こる。そして、平衡的に改質反応が可能な温度まで達すると、式4、式5の改質反応により水素が生成するという低温からの水素の製造法である。
また、式6の水性ガスシフト反応なども併発する。
式4:CnHm + nH2O → nCO + (0.5m + n)H2
式5:CnHm + nCO2 → 2nCO + 0.5mH2
式6:CO + H2O → CO2 + H2
【0007】
本発明において活性金属としては貴金属であるRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Co、Cuの少なくとも1種類または混合物であるが、酸素存在中で揮発性の酸化物を形成しないRh、Pd、Ir、Pt、Ni、Co、Cuが好ましく、安価で炭化水素の改質能の高いNi、およびCoがより好ましい。
【0008】
本発明において担体としては、酸化数変化の可能な希土類元素を含有する酸化物を用いる。つまり、希土類(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)の少なくとも1種類または混合物の酸化物であるが、酸化数が変化し酸素欠陥を導入しやすいLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Tm、Ybを含むことが好ましく、+4価と+3価の変化により酸素欠陥を導入しやすいCe、Pr、Tbを含むことがより好ましい。また、酸化物の結晶構造が希土類の酸化物に特徴的な蛍石型、パイロクロア構造、希土類A型構造、希土類B型構造、希土類C型構造を取れば、酸素の欠陥を生じやすいため、希土類以外の元素を含むことも可能である。ただし,Prの場合には高温で還元しすぎると希土類A型構造を取ってしまい、この化合物については比較例に示したようにふさわしくない。例えば、+3価と+4価で酸化数変化の可能な希土類元素、より好ましくはCeとZrを含有する複合酸化物又はCeとZrとYの複合酸化物であり、この複合酸化物は希土類の酸化物に特徴的な蛍石型構造を有する。またペロブスカイト型構造を取れば、やはり酸素の欠陥を生じやすく、希土類以外の元素を含むことも可能である。このペロブスカイト構造を持つ化合物の例としては、BaCeO3,SrCeO3,CeMnO3, CeNiO3, BaPrO3, SrPrO3, PrMnO3, PrNiO3がある。
【0009】
本発明において還元性ガスによる活性化処理とは、触媒前駆体中の酸化物を還元し酸素の格子欠陥を導入し触媒とするための処理である。還元性ガスとしてはH2 、下記の炭化水素、COなどの純ガスもしくはこれらを不活性ガスで希釈したもの、あるいはAr、N2などの不活性ガス自体を用いることができる。ただし、純H2や炭化水素、これらを不活性ガスで希釈したものを用いると活性金属を還元活性化可能であり反応の駆動のしやすさが増すため好ましい。また、純H2やこれを不活性ガスで希釈したものを用いると、炭素析出の問題もないためより好ましい。また、炭化水素の直接熱供給型改質反応では炭化水素と酸素などが反応し、高温のCO、H2などの還元性ガスが生成するため、これらを利用して酸化物を還元することも可能である。
【0010】
本発明において主な炭化水素としては、メタンやメタンを主成分とする天然ガスを除いた、室温付近で圧縮により容易に液化するC3以上の炭化水素を主成分とするプロパンガス、液化石油ガス、ガソリン、軽油、石油、灯油、ナフサなどやその成分などである。しかしながら、炭化水素としてメタンやメタンを主成分とする天然ガスを用いることも可能である。また、エタノールなどのアルコールや次世代の軽油代替燃料として期待されているジメチルエーテルを用いることも可能である。これらが硫黄分を含む場合には、硫黄被毒による改質触媒の劣化を抑制するために、触媒に供給する際に脱硫工程を含むことが好ましい。
【0011】
また、改質反応は、炭化水素と水蒸気、 空気、酸素、または二酸化炭素、またはこれらを組み合わせたものとの反応であるが、本発明では酸素欠陥を導入した触媒の酸素酸化を燃焼反応とそれに続く改質反応の駆動力とするため、直接熱供給型改質反応とよばれる炭化水素と空気または酸素の反応を行う。この反応系にスチームやCO2を共存させても良い。さらに酸素源として空気中のO2を用いると、純O2を得る際に必要なN2とO2の分離プロセスを省くことができ、そのコストを削減できるためより好ましい。
本発明の低温水素製造触媒の製造および水素製造法は例えば下記の手順で遂行することができるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
(1)、担体として用いる希土類元素含有酸化物としては、特に制限は無く、希土類酸化物粉末を用いても希土類を含む塩(例えばCe(NO3)3・6H2O)を水溶液中で塩基性物質によりCeO2やCe(OH)4として沈殿させて得てもよい。2種類以上の元素を含む場合には両方の塩を含む水溶液中で水酸化物として沈殿させてよい。この際、単一の複合酸化物相からなる担体を調製することが重要である。そのため、希土類を含む塩(例えばCe(NO3)3・6H2O, Pr(NO3)3・6H2O, Tb(NO3)3・6H2O)とZrを含む塩(ZrO(NO3)2・2H2O)とYを含む塩(Y(NO3)3・6H2O)をアンモニアなどを含むアルカリ性の水溶液中で複合酸化物や水酸化物として沈殿させて得てもよい。希土類とZrを含む塩の水溶液にアンモニアなどのアルカリ性物質を滴下し沈殿させても良い。ゾルゲル法、クエン酸法を用いて調製してもよい。
【0013】
(2)、次にこの工程を省略し(3)に進んでもよいが、希土類元素含有酸化物を一旦焼成することが好ましい。焼成雰囲気は、空気、O2 、He等の流通下(Ar等不活性ガスで希釈されていてもよい)、または流通ガス無しの大気雰囲気下が好ましい。また焼成温度は、400℃~1400℃であり、好ましくは600℃~1200℃である。この操作により、希土類酸化物の焼結度が高まり、反応前処理や、反応中のそれ自体あるいは活性金属の焼結が抑制されると推察しているが、焼成温度が高すぎると焼結が進行しすぎて、希土類酸化物の比表面積が非常に小さくなり好ましくない。また、この操作には、(1)の段階で触媒中に残存していた有機物などを除去する目的もある。
【0014】
(3)、(1)で得られた希土類酸化物または(2)で得られた焼成済希土類酸化物に、貴金属あるいは非貴金属の少なくとも1種類または混合物を活性金属として担持させるために、いかなる金属原料を用いてもよい。それぞれの活性金属の担持量(それぞれの活性金属/触媒前駆体重量)については貴金属では非常に高価であるため0.01~7重量%、好ましくは0.015~5、より好ましくは0.02~3重量%であり、非貴金属については安価なため0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは10~30重量%である。なお、担持量が多すぎると、大きな金属粒子が生成し、反応中に触媒上に炭素が析出するという問題がある。
【0015】
これらの金属原料にはいかなるものを用いてもよいが、例えばRu(NO)(NO3)x(OH)y 、Rh(NO3)3・2H2O 、Pd(NO3)2 、C15H21IrO6 、Pt(C5H7O2)2 、Ni(NO3)2・6H2O 、Co(NO3)2・6H2Oを用いてよい。このような活性金属を担持させる方法として、含浸法など、より具体的には蒸発乾固法、incipient wetness法等により、活性金属原料を溶媒中に溶解させ、希土類含有酸化物に担持させる。活性金属の混合物を担持させる際に担持の順番に特に制限がないが、例えばNiとCoの混合物では、これらを同時に担持すると、NiとCoが原子レベルでよく混合した触媒を調製できるため好ましい。
さらに(1)で、希土類含有酸化物を沈殿法により調製する際に活性金属原料を加えておき、担体と共に沈殿させてもよい。この場合にはこれら活性金属が担体の内部にも分散するため、最終的に活性金属微粒子を生成できる利点があるが、活性金属の一部が担体内部に残ってしまう。
【0016】
(4)、(3)で得られたサンプルに含まれる陰イオンや配位子、塩基性成分であるNH3などを焼成により除去する。具体的には、空気、O2 、He、の流通下(Ar等不活性ガスで希釈されていてもよい)、または流通ガス無しの大気雰囲気下で、陰イオンや配位子が除去できる温度まで加熱(重量分析法等で確認)し、その温度でそれらを完全に除去し終わるまで保持する。例えば、この温度は後述の実施例のNi硝酸塩では450℃以上であった。
なお、これらの処理を行わず、次の活性化過程において、これら陰イオン、配位子を除去してもよい。このようにして得た触媒を必要に応じて成型することが好ましい。乾燥して得られた触媒を粉砕するか、または錠剤成型器を用いてタブレットにしてもよい。
また、(1)~(4)の各段階で得られた固体を蒸留水中に分散させ、そこに多孔質成形体を含浸するなどして、多孔質成形体に担持して用いてもよい。
【0017】
(5)、次に、以上のようにして得た触媒前駆体を活性化するこの工程では希土類含有酸化物中に酸素欠陥を導入する。そのため触媒前駆体に還元性ガスによる活性化処理を施す。その際の雰囲気としては還元性ガスとしてはH2 、下記の炭化水素、COなどの純ガスもしくはこれらを不活性ガスで希釈したもの、あるいはAr、N2などの不活性ガス自体を用いることができる。ただし、純H2や炭化水素、これらを不活性ガスで希釈したものを用いると活性金属を還元活性化可能であり反応の駆動のしやすさが増すため好ましい。また、純H2やこれを不活性ガスで希釈したものを用いると、炭素析出の問題もないためより好ましい。処理温度が高いほど希土類酸化物の還元率は高くなり酸素欠陥数は増加すると共に、活性金属の金属酸化物を金属に還元可能な雰囲気では金属の還元度も向上する。しかし処理温度が高すぎると触媒の焼結により、表面の酸素欠陥数や触媒表面に存在する金属量が減少するという問題もある。以上により還元活性化温度は、前記希土類酸化物種類によって適正な温度範囲が存在する。
つまり希土類酸化物種類によっては還元温度が高すぎると当該希土類酸化物が相転移し安定な酸化物相を形成してしまい、低温で酸素による酸化を受けなくなることもある。
例えば前記希土類酸化物として例えば、CeO2の適正な還元活性化温度は、500~1000℃である。Pr6O11の適正な還元活性化温度は、400~700℃である。CeとZrの複合酸化物の適正な還元活性化温度は、100~1000℃である。CeとZrとYの複合酸化物の適正な還元活性化温度は、100~1000℃である。なお,これらの温度は実施例の常圧固定床流通式反応装置から得た結果によるものである.実用レベルの大型装置では触媒量が多く,全発熱量が多くなるため,適切な還元活性化温度は下がると推測している.
【0018】
(6)、直接熱供給型炭化水素改質において、上記触媒を単独で用いても、本発明に含まれる範囲の触媒と他の触媒を組合せて用いてもよい。
またこれら触媒をアルミナ等の希釈剤と混合して用いてもよい。改質反応は、炭化水素と水蒸気、空気、酸素、または二酸化炭素、またはこれらを組み合わせたものとの反応であるが、本発明では酸素欠陥を導入した希土類含有酸化物と酸素の反応による発熱を燃焼反応とそれに続く改質反応の駆動力とするため、直接熱供給型改質反応とよばれる炭化水素と空気または酸素の反応を行う。また、この反応系にスチームやCO2を共存させても良い。さらに酸素源として空気中のO2を用いると、純O2を得る際に必要なN2とO2の分離プロセスを省くことができ、そのコストを削減できるためより好ましい。
反応開始時の温度は寒冷地の気温温度である-40℃以上であれば良いが、反応開始時の触媒層温度が高温であるほど、駆動力である発熱量が少なくて済むため、0℃以上が好ましく、さらに20℃以上であるとより好ましい。0℃以上であれば水蒸気を共存させることが可能である。反応開始時の触媒層温度は高温であってもよいが、200℃以上ではこの様な発熱を利用しなくても、直接熱供給改質型反応を駆動できると報告されている。
また、H2とCOやCO2の反応でメタンが生成し、水素が消費される問題を解決するため、H2分離膜を用い生成したH2を速やかに反応系から除いてもよい。反応圧(供給ガスの合計圧)は0.01~3MPaであるが、高圧では炭素の析出が起こり易いため好ましくは0.01~1MPa、さらにより好ましくは0.02~0.5MPaであり不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。触媒床は固定床、移動床、流動床などから選択できるが、固定床が好ましい。
【実施例1】
【0019】
<触媒前駆体調製例1(20wt%Ni/CeO2)>
担体としてCeO2(触媒学会参照触媒JRC-CEO-3)を用いた。焼成炉を用い、800℃で5時間、空気焼成し焼成済CeO2を得た。
0.3リットルビーカーで13.3gの硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))を蒸留水に溶解し全量を0.15 リットルとした。これをNi前駆体水溶液(A)とする。
次に焼成済CeO2 10gを秤り取り、Ni前駆体水溶液(A)の入っているビーカーに加えた。12時間、この水溶液を室温で攪拌した後に、このビーカーを加熱攪拌し、水分を除去した。その後、オーブン中、60℃で24時間以上乾燥し触媒前駆体を得た。
触媒前駆体を磁製の乳鉢で粉砕し、パイレックス(登録商標)ガラス製の容器に入れ、横型管状炉にセットし、空気流通下で2℃/分の昇温速度で450℃まで加熱し、5時間保持し、室温まで自然冷却した。その後、錠剤成型器を用いて、528 kg/cm2でディスク成型した後に、金属メッシュを用いて0.18~0.25mmのペレット状に粉砕した。
【0020】
<触媒前駆体調製例2(20wt%Co/CeO2)>
硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、硝酸コバルト Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))13.6gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
【0021】
<触媒前駆体調製例3(1wt%Rh/CeO2)>
硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、RhCl3・3H2O(添川理化学(株))0.26gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例4(20wt%Ni/Pr6O11)>
CeO2(触媒学会参照触媒JRC-CEO-3)の代わりに、Pr6O11 5gを使用し、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の使用量を6.6gとした以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。尚、Pr6O11は下記のように調製した。0.3リットルビーカーでPr(NO3)3 6H2O(関東化学(株))を蒸留水に溶解し、全量を0.3リットルとした。これをPr6O11前駆体水溶液(B)とする。次に、別の0.5リットルビーカーに25%NH3水溶液(和光純薬工業(株))0.1リットルを入れ、攪拌した。これをアンモニア水溶液(C)とする。次にマイクロチューブポンプを用い、Pr6O11前駆体水溶液(B)をアンモニア水溶液(C)に2mL/minの速度で滴下した。この懸濁液を1晩室温下で攪拌した。その後、アスピレーターでの吸引濾過、および蒸留水での洗浄を5回程繰り返した後に、濾紙上の沈殿物を磁製の蒸発皿に取り、60℃で8時間以上、乾燥した。その後、空気雰囲気下で2℃/分の昇温速度で550℃まで加熱し、3h焼成した。さらに、2℃/分の昇温速度で800℃まで加熱し、5h焼成した。
<触媒前駆体調製例5(1wt%Pt/CeO2)>
硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、H2PtCl6・6H2O(キシダ化学(株))0.28gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例6(1wt%Rh/CeO2_2)>
担体であるCeO2を沈殿法により調製した。0.5リットルビーカーで53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))を0.3リットルの蒸留水に溶解した。これをCeO2前駆体水溶液(A)とする。別の1リットルビーカーに25%NH3水を0.2リットルいれ、スターラーで攪拌した。そしてマイクロチューブポンプによりCeO2前駆体水溶液(A) を25%NH3水に滴下した。この際、滴下速度は2ミリリットル/min程度とし、滴下終了後そのまま一晩攪拌した。次の日に、吸引ろ過、1リットル蒸留水での洗浄を3回繰り返し、最後に吸引ろ過を行い、沈殿物を磁製の蒸発皿に取り、70℃で12時間以上乾燥した。その後、排気焼成炉中で300℃、3時間保持し、仮焼成した。さらに、乳鉢で粉砕した後に焼成炉を用い、再度、空気中で550℃、3時間、800℃で5時間、空気焼成し焼成済担体を得た。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例7(1wt%Rh/Ce0.75Zr0.25O2)>
担体であるCe0.75Zr0.25O2(Ce:Zr=0.75:0.25 モル比)を沈殿法により調製した。53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))の代わりに、43.2gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))と8.9gの硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒前駆体調製例6と同様の手順で担体を調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例8(1wt%Rh/Ce0.50Zr0.50O2)>
担体であるCe0.50Zr0.50O2(Ce:Zr=0.50:0.50 モル比)を沈殿法により調製した。53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))の代わりに、53.1gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))と33gの硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒前駆体調製例6と同様の手順で担体を調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例9(1wt%Rh/Ce0.25Zr0.75O2)>
担体であるCe0.25Zr0.75O2(Ce:Zr=0.25:0.75 モル比)を沈殿法により調製した。53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))の代わりに、16.6gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))と31gの硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒前駆体調製例6と同様の手順で担体を調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例10(1wt%Pt/Ce0.50Zr0.50O2)>
担体であるCe0.50Zr0.50O2(Ce:Zr=0.50:0.50 モル比)を触媒前駆体調製例8と同様の手順で調製した。
硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、H2PtCl6・6H2O(キシダ化学(株))0.28gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例11(20wt%Ni/Ce0.50Zr0.50O2)>
担体であるCe0.50Zr0.50O2(Ce:Zr=0.50:0.50 モル比)を触媒前駆体調製例8と同様の手順で調製した。
この担体を用い、触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例12(20wt%Co/Ce0.50Zr0.50O2)>
担体であるCe0.50Zr0.50O2(Ce:Zr=0.50:0.50 モル比)を触媒前駆体調製例8と同様の手順で調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、硝酸コバルト Co(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))13.6gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製例13(1wt%Rh/Ce0.50Zr0.45Y0.05O2)>
担体であるCe0.50Zr0.45Y0.05O2(Ce:Zr:Y=0.50:0.45:0.05 モル比)を沈殿法により調製した。53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))の代わりに、44.1gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))、24.8gの硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬工業(株))、3.8gの硝酸イットリウム六水和物(キシダ化学(株))を用いた以外は触媒前駆体調製例6と同様の手順で担体を調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
【0022】
<触媒前駆体調製比較例1(20wt%Ni/Al2O3)>
CeO2(触媒学会参照触媒JRC-CEO-3)の代わりに、Al2O3(触媒学会参照触媒JRC-ALO-3)10gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製比較例2(20wt%Ni/TiO2)>
CeO2(触媒学会参照触媒JRC-CEO-3)の代わりに、TiO2(触媒学会参照触媒JRC-TIO4)10gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
【0023】
<触媒前駆体調製比較例3(20wt%Ni/MgO)>
CeO2(触媒学会参照触媒JRC-CEO-3)の代わりに、MgO(触媒学会参照触媒JRC-MGO-500A)10gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒前駆体調製比較例4(1wt%Rh/ZrO2)>
担体であるZrO2を沈殿法により調製した。53gの硝酸セリウム(III)六水和物(和光純薬工業(株))の代わりに、44gの硝酸ジルコニル二水和物(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒前駆体調製例6と同様の手順で担体を調製した。
この担体を用い、硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O(和光純薬工業(株))の代わりに、Rh(NO3)3・nH2O(三津和化学薬品(株))0.30gを使用した以外は触媒前駆体調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
【0024】
<反応例1>
以下の反応は、常圧固定床流通式反応装置を用いて行った。外径9.9mm内径7mmで内側に不活性処理をした金属反応管に触媒前駆体調製例1を0.1g充填し、純H2(20 mL/分、0.1 MPa)を流通しながら800℃まで昇温(10℃/分)し、その温度で1時間保持することにより還元活性化処理を行った。そして流通ガスをAr(50 mL/分)に切り替え、触媒層を水蒸気を安定に供給できる100℃まで冷却した。そして、活性測定(活性測定開始時の触媒層入口温度100℃、反応圧力0.1MPa、n-C4H10/O2/H2O/N2/Ar=1/2/4/1/7(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(SV)333 L/時間・g を行った。触媒層の入口に熱電対を取り付け、反応ガスを流通してからの温度変化をモニターした。反応ガス流通後の触媒層入口温度の経時変化を図1に、30分後の触媒層の温度を表1に示す。また、この時(30分後)に反応生成物をTCD検出器付きガスクロマトグラフ(6890N (Agilent Technologies)、HP-PLOT MolesieveおよびHP-PLOT Q)により分析した。この活性測定の間、電気炉による加熱は行っておらず、反応で生成した熱により、触媒層は加熱された。なお、n-C4H10転化率、H2生成速度の計算にはN2を内部標準として用いた。計算式は次式(数1)の通りである。
【0025】
【数1】
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これらの触媒、還元活性化温度、反応時の触媒層入口の温度(反応開始時、30min後)、n-C4H10転化率(30min後)を表1に示す。
【0026】
<反応例2>
反応例1で活性測定を行った後に、反応ガスをArに切り替えた。そして、800℃で1hの間、H2による還元活性化を行い、Ar流通下で100℃まで冷却した。そして、活性測定(活性測定開始時の触媒層入口温度100℃、反応圧力0.1MPa、n-C4H10/O2/H2O/N2/Ar=1/2/4/1/7(モル比)、全ガス供給速度555mL/分、空間速度(SV)333 L/時間・g を行った。結果を表1に示す。
【0027】
<反応例3>
反応例2で活性測定を行った後に、反応ガスをArに切り替えた。そして、800℃で1hの間、H2による還元活性化を行い、Ar流通下で室温(36℃)まで冷却した。そして、活性測定(活性測定開始時の触媒層入口温度36℃、反応圧力0.1MPa、n-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/11(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(GHSV)333 L/時間・g を行った。反応ガス流通後の触媒層入口温度の経時変化を図1、結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
JP0005428103B2_000003t.gif

【0029】
<反応例4~9>
反応例1に従って、触媒前駆体調製例1~5を用い、反応を行った。ただし、還元活性化温度は600℃あるいは800℃とした。活性測定開始時の触媒層入口温度は32~50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/11(モル比)、全ガス供給速度555mL/分、空間速度(GHSV)333L/時間・g とした。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入口の温度と結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
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【0031】
<反応比較例1~5>
反応例1に従って、触媒前駆体調製例4、あるいは触媒前駆体調製比較例1、2を用い、反応を行った。ただし、還元活性化温度は600℃あるいは800℃とした。活性測定開始時の触媒層入口温度は31~48℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/11(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(GHSV)333 L/時間・g とした。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入口の温度と結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
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【0033】
<反応比較例6~8>
反応例1に従って、触媒前駆体調製比較例1~3を用い、反応を行った。還元活性化温度は800℃とした。そして活性測定(活性測定開始時の触媒層入口温度30℃付近、反応圧力0.1MPa、n-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/11(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(GHSV)333 L/時間・g を行った。しかし、活性は発現しなかった。そのため、再び800℃で水素による還元活性化を行い、Ar中で触媒層を冷却し、活性測定開始時の触媒層入口温度を100℃とし活性測定(活性測定開始時の触媒層入口温度100℃、反応圧力0.1MPa、n-C4H10/O2/H2O/N2/Ar=1/2/4/1/7(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(SV)333 L/時間・g を行った。それでも活性が発現しなかったので、800℃での水素による再還元活性化の後に活性測定開始時の触媒層入口温度を50℃ずつ上昇し、活性が発現するまでこの操作を繰り返した(H2O共存化で反応を行った)。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入口の温度と結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
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表1~4により、触媒前駆体調製例1~5に示したCeO2を含む触媒前駆体では600~800℃での還元活性化処理後に常温付近で活性が発現したことが明らかとなった。また、図1に示すように、電気炉の電源をOFFにしているにも関わらず、触媒層の温度は250℃あるいは190℃まで上昇し、ほぼ一定に推移したことから、n-C4H10の燃焼により発生した熱が吸熱反応である改質反応に使われ、反応としては熱自立したいわゆる、オートサーマル改質反応が進行することが分かった。さらにこの触媒は停止と起動の繰返しが可能であった(反応例1~3)。一方、触媒前駆体調製例4で示した20wt%Ni/Pr6O11では、600℃の還元活性化後(反応例7)には50℃で活性が発現したが、800℃での還元活性化後(反応比較例1)には室温付近で活性は発現しなかった。このことは担体の種類によって最適な還元活性化温度が異なることを示している。
これに対して、触媒前駆体調製比較例1、2では、還元活性化温度を600℃、あるいは800℃としても30℃~50℃では活性は発現しなかった。これらを含めた触媒前駆体調製比較例1~3での活性発現時の触媒層温度は198℃以上であった。
以上活性測定の結果から、CeO2あるいはPr6O11を担体とし、金属を担持した触媒前駆体を用い、還元活性化温度を適切に制御することで、常温、あるいは常温付近で炭化水素の改質による水素製造反応を駆動できることが明らかとなった。
次に常温で炭化水素の改質による水素製造反応を駆動できたメカニズムを明らかにするためにいくつかの実験を行った。
反応例1と同様に、常圧固定床流通式反応装置に触媒前駆体調製例1を0.1gを充填し、純H2による還元活性化を800℃で行った。そして流通ガスをAr(50 mL/分)に切り替え、触媒層を室温(31℃)まで冷却した。そして、触媒とO2の反応(活性測定開始時の触媒層入口温度31℃、反応圧力0.1MPa、O2/Ar=1/4(モル比)、全ガス供給速度100 mL/分、空間速度(SV)60L/時間・g を行った。触媒層の入口に熱電対を取り付け、反応ガスを流通してからの温度変化をモニターした。反応開始から0、2、4、6分後の触媒層の入口温度は31、63、45、40℃であり、式1により発熱することが分かった。
次の反応は、常圧固定床パルス式反応装置を用いて行った。外径9.9mm内径7mmで内側に不活性処理をした金属反応管に触媒前駆体調製例1、4、あるいはNiを未担持のCeO2、Pr6O11を0.1g充填し、純H2(30 mL/分、0.1 MPa)を流通しながら600℃、あるいは800℃まで昇温(10℃/分)し、その温度で1時間保持することにより還元活性化処理を行った。そして流通ガスをAr(30mL/分)に切り替え、触媒層を50℃まで冷却した。そして、その温度で2.88mLの純O2をパルスし、触媒に吸収されずに残存したO2量をTCD検出器で定量した。それぞれの触媒について、3回目のパルスまでにO2の吸収は殆ど見られなくなった。これらの触媒、還元活性化温度、2回目のパルスまでの全O2吸収量を表5に示す。
【0035】
【表5】
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表5より、CeO2、Pr6O11を還元活性化することにより、50℃で酸素を吸収することが分かった。この結果はこれら酸素欠陥を有する酸化物が酸素と反応(反応式1、2)したことを示唆している。この傾向はNiを担持しても維持されており、やはり反応式1、2による酸素欠陥と酸素の反応が示唆された。
先の触媒とO2の反応の結果、および表5により、触媒前駆体調製例1、および4が酸素と反応(式1、式2)し、発熱することが明らかとなった。そのため、このことが駆動力となり室温で触媒層に反応ガスを流通したことにより、n-C4H10の燃焼反応(式3)とそれに続く改質反応(式4、式5)が進行すると推察した。
次に触媒前駆体調製例4(20wt%Ni/Pr6O11)について、600℃での還元活性化後に50℃程度で活性が発現したにも関わらず800℃での還元活性化後に室温付近で活性が発現しなかった理由を検討するために、それぞれの温度での活性化後に常温で空気中に取り出し、XRD測定を行った(図2)。600℃で還元活性化したサンプル(A)では金属NiとPr6O11のXRDパターンが見られ、さらにこのサンプルは反応管から取りだした際に発熱しており、式2により酸素欠陥を有する酸化物が酸素と反応し、Pr6O11へと戻ろうと酸化されたことが示唆された。これに対して800℃で還元活性化したサンプル(B)ではNiとPr6O11に加えてPr2O3が観測され、還元により生成したPr2O3は常温で酸素と接触してもPr6O11へと酸化されないことが分かった。Pr6O11は希土類C型構造であるのに対し、Pr2O3は希土類A型構造を取り安定であることが知られている。600℃で還元活性化を行うと、Pr6O11から一部の酸素が抜け、希土類C型構造を維持したままPr6O11-yが生成し、このサンプルは酸素による酸化を受けやすかった。これに対し800℃という高温で還元を行うと、一部の結晶構造が希土類A型構造へと変化し安定化してしまい、そのため常温で酸素による酸化を受けずn-C4H10の燃焼反応(式3)とそれに続く改質反応(式4)を駆動できなかったことが明らかとなった。なお触媒前駆体調製例1では600℃、800℃いずれの温度での還元活性化後にも金属Ni、NiO(600℃のみ)と蛍石型のCeO2が見られた(図3)。この触媒ではいずれの温度で還元活性化を行っても、サンプルを空気中に取り出した際に、空気により酸化され元の構造(CeO2)に戻ったことが示唆された。
さらに他のCeO2を担体とする触媒についても800℃での還元活性化後に酸素の吸収量を測定した。
【0036】
【表6】
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表6より触媒前駆体調製例2、3、5についても、還元処理後に室温で多量の酸素を吸収でき、このことが反応の駆動力となることが分かった。
<反応例10~12>
反応例1に従って、触媒前駆体調製例2、3、5を用い、反応を行った。ただし、還元活性化温度は800℃とした。活性測定開始時の触媒層入口温度は100℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/H2O/N2/Ar=1/2/4/1/7(モル比)、全ガス供給速度555 mL/分、空間速度(GHSV)333 L/時間・g とした。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入口の温度と結果を表7に示す。
【0037】
【表7】
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表7より、CeO2を担体とするとNiを担持した触媒と同様に金属の種類(Co、Rh、Pt)によらず、スチーム存在下、低温で活性を発現することが分かった。
<反応例13>
さらに触媒前駆体調製例3について検討した。先ず、反応例1に従って反応例13を行った。ただし、還元活性化温度は800℃とし、空間速度(GHSV)167L/時間・g とした。活性測定開始時の触媒層入口温度は50℃とした。また、反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/11(モル比)、全ガス供給速度555mL/分とした。ここではガスクロマトグラフよる生成物分析以外に質量分析計(M-201QA-TDM(キヤノンアネルバ))による分析も行った。35分の反応後に反応ガスをArに切り替え、その後、800℃還元、Ar下での冷却、50℃での反応を4回繰り返した。なお、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。このときの水素の生成(m/e=2)と、触媒層の温度変化を図4に、それぞれのサイクルでの30分後の転化率と収率を図5に示す。CO、CO2、CH4収率の計算式は次の通りである。
【0038】
【数2】
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図4のように、反応ガスを触媒に流通すると速やかな温度の上昇と水素の生成が見られた。このことは50℃で反応が駆動されたことを意味している。なお、最初のサイクルにおいて0.7分で触媒層の温度は500℃まで達したが、局所的にはより早く上昇したと推察している。また、反応開始から数分で水素の生成速度は最大値に達し、そのまま安定していた。その時点で発熱反応、吸熱反応、外部への熱の放出がバランスし、安定した活性を示したのであろう。5回のサイクルにおいて反応ガスを流通すると速やかに水素が生成し、約3分で定常活性に達した。触媒層の最高温度はサイクル数に伴い低下したが、水素の生成濃度すなわち水素の生成速度はほぼ一定であった(図5)。O2の転化率は常に100%であり、n-C4H10転化率は80%程度であった。触媒層の温度低下は触媒が若干、焼結したことによると推察した。反応の生成物はH2、CO2、CO、H2O、CH4であった。なお、5回のサイクルの後に昇温酸化法(O2/Ar流通下でサンプルを昇温し、触媒上の炭素種をCO、CO2として除去しガスクロマトグラフにより定量した)により炭素析出量を測定したところ、0.19wt%であり炭素はほとんど析出していないことが分かった。
次にCeO2-x + 0.5xO2 → CeO2の反応で発生した熱が燃焼反応とそれに続く改質反応を駆動したことを確認するために、触媒前駆体調製例3を800℃で還元した後に50℃でO2/Ar/N2=2/12/1を流通した。この時の触媒層内部の温度変化を図6に示す。
図6より、酸素流通時に0.2分で204℃まで上昇しており、反応の駆動力である触媒層における十分な発熱が確認できた。なお、表6のO2吸収量から800℃で還元した後の触媒前駆体調製例3でのCeO2-xの組成はCeO1.7であることが分かった。
さらに触媒前駆体調製例3を800℃でH2/He(5/95)流通処理、あるいはAir流通処理したまま、In situ XRD測定を行った。その結果を図7に示す。
室温でのXRDパターンは立方晶の蛍石型構造のCeO2に帰属され、a=b=c=0.540nmであった。800℃で測定したXRDパターンについても処理によらず、立方晶の蛍石型構造のみが見られた。そして、2θ=46~48℃にピークトップを持つ(220)面のピークから格子定数を求めたところ、H2/He(5/95)流通処理では0.552nm、Air処理では0.545nmであった。なお、これらは800℃で測定されたため、室温よりも大きな値であった。800℃においてH2/He(5/95)流通処理でAir処理よりも大きな値が得られたのは、酸素の格子欠陥の生成により、格子が広がったためであると推察した。
<反応例14>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例6を用い、反応例14を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は600℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例15~16>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例7を用い、反応例15を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は200℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。
さらに40分反応を行った後に反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、再度、触媒層温度を50℃に調節し、還元活性化後と同様の条件で反応例16を行った。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例17~18>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例8を用い、反応例17を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は100℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。
さらに40分反応を行った後に反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、再度、触媒層温度を50℃に調節し、還元活性化後と同様の条件で反応例18を行った。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例19~20>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例9を用い、反応例19を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は100℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。
さらに40分反応を行った後に反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、再度、触媒層温度を50℃に調節し、還元活性化後と同様の条件で反応例20を行った。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例21>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例10を用い、反応例21を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は200℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例22>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例11を用い、反応例22を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は600℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例23~24>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例12を用い、反応例23を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は400℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。
さらに40分反応を行った後に反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、再度、触媒層温度を50℃に調節し、還元活性化後と同様の条件で反応例24を行った。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
<反応例25>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製例13を用い、反応例25を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は100℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
さらに40分反応を行った後に反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、再度、触媒層温度を50℃に調節し、還元活性化後と同様の条件で反応例26を行った。これらの還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表8に示す。
【0039】
【表8】
JP0005428103B2_000011t.gif
<反応比較例9>
反応例1にしたがって、触媒前駆体調製比較例4を用い、反応比較例9を行った。なお、石英製反応管を用い、触媒層に熱電対を挿入し、触媒層内部の温度変化を測定した。還元活性化温度は800℃とした。活性測定開始時の触媒層温度は50℃とした。反応ガスはn-C4H10/O2/N2/Ar=1/2/1/7(モル比)、全ガス供給速度407mL/分、空間速度(GHSV)=244L/時間・g とした。還元活性化温度、反応開始時の触媒層入り口の温度と結果を表9に示す。
【0040】
【表9】
JP0005428103B2_000012t.gif
表8、9で用いた触媒前駆体中の担体であるCeO2、Ce0.75Zr0.25O2、Ce0.50Zr0.50O2、Ce0.25Zr0.75O2、ZrO2のXRDパターンを図8に示す。この図からZrO2のみが単斜晶であり、その他の担体は立方晶の蛍石型構造を持つことが分かった。CeとZrを含む担体では、単一の蛍石型構造が見られ、Zr量の増加とともにピークが高角度側にシフトした。このことからCeO2のCe4+サイトがZr4+に置換され格子サイズが収縮したこと、つまりCeとZrの複合酸化物が生成したことが明らかとなった。
表8、9より、CeとZrの複合酸化物、あるいはCe、ZrとYの複合酸化物を含み、Rhを担持した触媒前駆体では、触媒前駆体調製例6(1wt%Rh/CeO2)を用いた場合よりも遥かに低温の100℃、あるいは200℃での還元活性化後に常温付近で活性を発現することが明らかとなった。ZrO2のみを担体とした場合には800℃での還元活性化後にも活性は発現せず、Ce、Zr、(Y)の複合化が反応の駆動に大きな影響を及ぼしたことが示された。Ce、Zr、(Y)を含む複合酸化物では低温での格子酸素の移動性が増すことにより、極低温での水素処理により酸素欠陥が生成し、さらに常温付近で速やかに酸化されたと推察している。なお,Yの導入は触媒の高温での安定性の向上に寄与すると推察している.以上の結果をもとにするとRh/CexZr1-xO2での還元活性化が可能な温度は図9の様であると推測している。また、活性金属の種類についても検討したところ、Rhのみならず他の貴金属(Pt)、卑金属(Ni、Co)を担持した触媒前駆体が常温付近で活性を発現することが明らかとなった。
さらに触媒前駆体調製例7、8、9、12、13触媒では一旦反応ガスをArに切り替え、反応を停止した。そして、H2による再還元を行うことなく、Ar流通下で触媒層温度を50℃に調節し、反応ガスを流通したところ活性が発現した。直接熱供給型改質反応ではCOとH2という還元性ガスが生成し、触媒層温度も450℃以上という高温であるため、これらの触媒に含まれる担体が還元されて酸素欠陥が生成する。そのため、反応開始時に常温付近で速やかに担体が酸化され、発熱し触媒の再還元を行うことなく常温付近で反応を駆動できたと推察した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
外部からのエネルギー供給を必要としない自立型のオンサイト改質型燃料電池システムを実現できない原因として、炭化水素の改質による水素製造の駆動温度が200℃以上であるという課題があった。これに対して本発明は常温で水素製造反応を駆動する方法を提供するものであり、反応で生成した熱やH2を利用することで水素ステーションやガソリンなどを車載した燃料電池車などの実現に資するもので、今後の利用可能性は多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】反応例1および反応例3での触媒層入口温度の経時変化を示すグラフである。
【図2】触媒前駆体調製例4を600℃(A)、あるいは800℃(B)で還元した後のXRDパターンである。
【図3】触媒前駆体調製例1を600℃(A)、あるいは800℃(B)で還元した後のXRDパターンである。
【図4】800℃還元処理後における触媒前駆体調製例3の活性と触媒層の温度である(反応例13)。
【図5】800℃還元処理後における触媒前駆体調製例3の転化率、収率と水素生成速度である(反応例13)。
【図6】800℃還元処理後における触媒前駆体調製例3の触媒層内部の温度変化(O2/Ar/N2流通時)である。
【図7】800℃でのH2/Ar処理中(A)およびAir流通処理中(B)の触媒前駆体調製例3のIn situ XRDパターンである。
【図8】触媒前駆体調製例6~12と触媒調製比較例4の担体のXRDパターン。
【図9】Rh/CexZr1-xO2での還元活性化が可能な温度。
【符号の説明】
【0043】
図2(■)Pr6O11 ;(◇)Pr2O3 ;(△)金属Ni ;(*)unknown
図3(●)CeO2 ;(▲)NiO ;(△)金属Ni
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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