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明細書 :スプリットティ継手

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4956747号 (P4956747)
公開番号 特開2008-240248 (P2008-240248A)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 スプリットティ継手
国際特許分類 E04B   1/24        (2006.01)
E04B   1/58        (2006.01)
FI E04B 1/24 E
E04B 1/58 503F
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2007-078029 (P2007-078029)
出願日 平成19年3月25日(2007.3.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 発行者名 社団法人 土木学会関東支部 刊行物名等 第34回土木学会関東支部技術研究発表会 講演概要集(CD-ROM) 掲載該当箇所 I-050 発行年月日 平成19年3月14日
審査請求日 平成22年2月2日(2010.2.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 康夫
【氏名】中島 章典
【氏名】山口 隆司
個別代理人の代理人 【識別番号】100114568、【弁理士】、【氏名又は名称】北島 恒之
審査官 【審査官】星野 聡志
参考文献・文献 特開平07-102635(JP,A)
特公平06-074671(JP,B2)
特開平10-311094(JP,A)
調査した分野 E04B 1/24
E04B 1/58
特許請求の範囲 【請求項1】
被接合部材である母材11の各々の突端部にT字型に設けられたティーフランジ部12と、前記ティーフランジ部12の各々を貫通して前記母材11同士を互いに接合する少なくとも2本以上の高力ボルト部材13と、からなるスプリットティ継手において、
前記ティーフランジ部12の各々によって挟持された可撓性部材14と、
前記可撓性部材14に貫設・把持された少なくとも2つ以上のリング状部材15と、を含み、
前記高力ボルト部材13は、前記リング状部材15に設けられた孔部を挿通して締結されることを特徴とするスプリットティ継手。
【請求項2】
前記可撓性部材14は、前記母材11の各々を挟叉する位置に貫設された1組のリング状部材15を把持する単位可撓性部材を複数組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1に記載のスプリットティ継手。
【請求項3】
前記可撓性部材14の弾性係数は前記ティーフランジ部12の弾性係数よりも小であり、かつ前記リング状部材15の弾性係数は前記ティーフランジ部12の弾性係数と同等であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリットティ継手。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被接合部材である母材同士の突端部にT字型に設けられたティーフランジ部を有するスプリットティ継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鋼材を用いた橋梁やビルディング等の鋼構造物は、工場で製造された多数の鋼材を施工現場において接合することによって建設される場合が多い。施工現場における鋼材同士の接合方法には、主に、高力ボルトによる接合方法と溶接による接合方法があり、施工現場における品質管理の容易さや信頼性等の問題から、高力ボルトによる接合方法が一般的に採用されている。
【0003】
高力ボルトによる接合方法の場合、鋼材同士の接合を担う接合継手の形式には、例えば、図7(a)に示す高力ボルト摩擦接合継手、或いは、図7(b)に示す高力ボルト引張接合継手(以下、単に『スプリットティ継手』と称する)などの形式である。
【0004】
図7(a)の高力ボルト摩擦接合継手は、接合される鋼材1(以下、単に『母材1』と称する)同士をその両側から添接板2で挟み込み、高力ボルトと同ボルト用ナット(以下、単に『高力ボルト部材3』と称する)によって締結し、かかる締め付けによって生ずる摩擦力を介して鋼材間における作用荷重を伝達する方式である。一方、図7(b)のスプリットティ継手は、母材1の突端部にティーフランジ板4を溶接して、当該ティーフランジ板4同士を高力ボルト部材3によって締結し、部材間に発生する圧縮応力を介して鋼材間における作用荷重を伝達する方式である。
【0005】
高力ボルト摩擦接合継手は、その構造が単純であるため鋼構造物の建設現場で広く利用されているが、上記の両方式の継手を比較した場合、高力ボルト1本あたりの伝達荷重は、部材表面のすべり係数の影響を受けないスプリットティ継手の方が大きい。したがって、スプリットティ継手を用いた場合は、高力ボルト摩擦接合継手よりも少ない本数の高力ボルトで鋼材間の接合を行うことができ、低コストで経済的な鋼構造物の施工が可能となる。
【0006】
スプリットティ継手において、図8の説明図に示すような引張力Pが母材1に加わった場合、引張力Pの作用軸と高力ボルト部材3に加わるボルト軸力Bの作用軸とが一致しないため、ティーフランジ板4に曲げ変形が生じて、ティーフランジ板4の接合面の先端部には梃反力Rが発生する。因みに、この場合のスプリットティ継手への作用荷重は、ボルト軸力Bと梃反力Rとの差になるため、スプリットティ継手による接合部の引張強度を高めるためには、梃反力Rの発生を抑制してその値を低減させる必要がある。
【0007】
従来、このような梃反力の抑制・低減を目的としたスプリットティ継手としては、例えば、図9(a)に示すような技術が開示されている(特許文献1)。かかる従来技術においては、母材1とティーフランジ板4との間に補強リブ5を溶接してティーフランジ板4の変形を抑え梃反力の抑制を図っている。或いは、図9(b)に示すように、ティーフランジ板4を厚板化して梃反力の抑制を図る技術も、当業者間においては従来から公知となっている(非特許文献1)。
【0008】
この他にも、梃反力の低減・低減を目的としたスプリットティ継手の形式としては、例えば、図10(a)に示すような、いわゆる長締め形式によるスプリットティ継手がある。これは、ダブルフランジ形式とも呼ばれるスプリットティ継手であり、母材1にティーフランジ板4に加えて更にアンカープレート6を溶接し、ティーフランジ板4とアンカープレート6の間に補強用のリブプレート7を溶接して、梃反力の抑制・低減を図ったものである。
【0009】
また、梃反力の抑制・低減を目的とするスプリットティ継手としては、この他にも図10(b)に示すような、いわゆるティーウェブ突合せ型の継手形式が知られている(非特許文献2、3)。因みに、かかるティーウェブ突合せ型の継手は、母材1(ティーウェブプレート)の直下部のみを突き合せて、ティーフランジ板4の接合面の先端部を隔離することにより梃反力の発生を防止する構造となっている。
【0010】

【特許文献1】特開2006-16814号公報
【非特許文献1】渡邊英一、杉浦邦征、山口隆司、葛西俊一郎:高力ボルト鋼管フランジ継手の設計手法に関する基礎的研究・構造工学論文集、Vol.38A、土木学会pp.1-12、1992年3月
【非特許文献2】L.P.Bouwman:Fatigue of bolted connections and bolts loaded in tention,Report 6-79-9,TU Delft.,1979.7.
【非特許文献3】G.Lacher:Dauerschwingversuche an axialbeanspuchten Schrauben 10.9 in T-Verbindungen,STAHLBAU,pp.257-266,1987.9.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した各種の従来技術による梃反力の抑制・低減を目的としたスプリットティ継手を採用した場合、補強リブやアンカープレートなどの補助部材の付加、或いは使用部材の厚板化によって、材片数や材片重量、或いは溶接箇所等が増加するため、施工コストの上昇や施工期間の長期化と言う問題が生じていた。
【0012】
特に、図10(a)に示したような長締め形式によるスプリットティ継手は、通常の高力ボルトではなく、鋼棒にねじ切り加工を施した特殊な長尺ボルト8を必要とするのでその汎用的な利用が困難であった。また、図10(b)に示したティーウェブ突合せ型継手のようにティーウェブ直下以外の継手接合面を離間させた場合は、ティーウェブ直下やボルト部への浸水・腐食の危惧から、継手の接合部全体に厳重な防錆対策が必要とされ施工コストの上昇を招いていた。
【0013】
本発明は、このような従来技術における課題の解決を目的とするものであって、より具体的には、補強リブ等の補助部材や特殊形状の高力ボルト部材などを用いることなく、継手接合部における梃反力を抑制・低減して、継手接合部の引張強度を高めたスプリットティ継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点によるスプリットティ継手は、前述の目的を達成するため、被接合部材である母材11の各々の突端部にT字型に設けられたティーフランジ部12と、前記ティーフランジ部の各々を貫通して前記母材11同士を互いに接合する少なくとも2本以上の高力ボルト部材13と、からなるスプリットティ継手において、前記ティーフランジ部12の各々によって挟持された可撓性部材14と、前記可撓性部材14に貫設・把持された少なくとも2つ以上のリング状部材15とを含み、前記高力ボルト部材13は、前記リング状部材15に設けられた孔部を挿通して締結される構成となっている。
【0015】
このような構成によれば、ティーフランジ部12において引張力Pによる母材11方向への外曲げが発生しても、ティーフランジ部12の曲げ変形に伴う変位が可撓性部材14の弾性変形によって吸収されて、ティーフランジ部12の接合面の先端部における梃反力の発生が抑制される。
【0016】
また、本発明の第2の観点によるスプリットティ継手は、上記第1の観点によるスプリットティ継手において、前記可撓性部材14は、前記母材11の各々を挟叉する位置に貫設された1組のリング状部材15を把持する単位可撓性部材を複数組み合わせて構成される。
【0017】
したがって、このような構成によれば、一組のリング状部材15を把持する単位可撓性部材を複数組み合わせて、実際の施工現場において必要とされる様々な大きさの接合面のスプリットティ継手を自在に構成することができる。
【0018】
また、本発明の第3の観点によるスプリットティ継手は、上記第1又は第2の観点によるスプリットティ継手において、前記可撓性部材14の弾性係数は前記ティーフランジ部12の弾性係数よりも小であり、かつ、前記リング状部材15の弾性係数は前記ティーフランジ部12の弾性係数と同等である構成となっている。
【0019】
かかる構成を具体的に提示すれば、可撓性部材14は、例えば、合成ゴムなどの可撓性・柔軟性を有する弾性係数の小さな材質をもって充当され、リング状部材15は、ティーフランジ部12と同様の弾性係数を有する鋼材リングで充当されることになる。したがって、このような構成によれば、ティーフランジ部12に引張力が加わった場合でも、高力ボルトが挿通されたリング状部材15近傍の可撓性部材14の弾性変形を抑制され、リング状部材15を介して継手接合部における所定のボルト軸力の伝達が担保される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の観点によれば、スプリットティ継手において、接合部におけるティーフランジ部の重量を増加させることなく、或いは、補強リブやその他の補助鋼材若しくは特殊構造の高力ボルト部材を用いることなく、継手接合部における梃反力を低減することが可能であり、それに伴って継手接合部の引張強度を高めることができる。
また、種々の厚さの可撓性部材を用意することによって、鋼材の製造過程や建設現場における施工過程において往々にして生ずる被接合鋼材間の誤差を吸収することが可能となり、鋼構造物の建設現場における鋼材の接合を円滑に行なうことができる。
【0021】
また、本発明の第2の観点によれば、一組のリング状部材15を含んだ単位可撓性部材を複数並べて、実際の施工現場における様々な接合面積のスプリットティ継手に使用する可撓性部材を作ることができるので、施行部材の標準化が可能となり、施工コストの低減を図ることができる。
【0022】
また、本発明の第3の観点によれば、リング状部材15を介して接合部における所定のボルト軸力の伝達が担保されるので、スプリットティ継手を構成するティーフランジ部同士の離間距離を、従来形式のスプリットティ継手とほぼ同様の値に保つことが可能となる。これによって、スプリットティ継手の接合面にゴム等の可撓性部材を挟み込んだことによって生ずるティーフランジ部同士の離間距離の増大などの悪影響を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
先ず、本発明の一つの実施形態であるスプリットティ継手10の構造を図1の斜視図に示す。同図において、母材11はスプリットティ継手10によって接合される鋼材である。また、ティーフランジ部12は、接合される各々の母材11の突端部に対してT字型となるように溶接された鋼材板であり、当業者間においては、エンドプレートと称されることもある。
【0024】
ティーフランジ部12には、継手接合用の高力ボルトを挿通するための孔部が複数設けられている。なお、ティーフランジ部12に設けられた高力ボルト挿通用の孔部の数やその配置は、同図に示された事例に限定されるものではなく、実際の施工の態様に応じて任意に定められるものであることは言うまでない。
【0025】
高力ボルト部材13は、高力ボルトと当該ボルト締結用のナット及び座金類から構成されており、ティーフランジ部12、並びに、後述する可撓性部材14及びリング状部材15を貫通してスプリットティ継手10の接合部を締結する働きを担っている。
【0026】
可撓性部材14は、ティーフランジ部12の各々によって挟持された可撓性・柔軟性を有する板状部材であり、その弾性係数は、ティーフランジ部12の弾性係数よりも小さな値を有するものとする。因みに、かかる可撓性部材としては、例えば、クロロプレーンゴム等の対環境性に優れた合成ゴム部材を用いることが好ましい。また、可撓性部材14に合成ゴム部材を用いた場合は、そのゴム硬度(Hs硬度)の数値について特に限定はされないが、実際の施工時における実用性・利便性等の見地から、Hs50度乃至Hs90度程度の硬度であることが好ましい。なお、ティーフランジ部12の接合面先端部における梃反力の低減を図り、継手結合部の高強度化を目指す観点に立脚すれば、かかるゴム硬度の値は、その値が小さなものである方がより効果的である。
【0027】
次に、スプリットティ継手10から、可撓性部材14及びリング状部材15のみを取り出した説明図を図2に示す。因みに、図2(a)は可撓性部材14の斜視図であり、同図(b)は可撓性部材14のAA’方向における断面図を表している。図2に示されるように可撓性部材14には、上記のティーフランジ部12に設けられた高力ボルト挿通用の孔部に対応するそれぞれの位置にリング状部材15が貫設されている。
【0028】
リング状部材15は、例えば、JIS規格SS400等の鋼材で作られたリング状の部材あり、ティーフランジ部12と同様の弾性係数を有するものとする。それ故、スプリットティ継手10の母材方向に引張力が加わった場合でも、可撓性部材14のように弾性変形することはない。また、リング状部材15の寸法は特に限定されないが、その厚さは、可撓性部材14に貫設・把持される関係上から可撓性部材14の厚さとほぼ同等とすることが好ましい。また、リングの内径及び外径寸法は、同リングに挿通された高力ボルトに用いられる座金と同程度の寸法であることが好ましい。
【0029】
次に、本実施例によるスプリットティ継手10の作用について説明する。
前述の図8で説明したように、スプリットティ継手の母材方向に引張力Pが印加されるとティーフランジ部には面外曲げ方向の変形が誘起される。
【0030】
しかしながら、従来のスプリットティ継手のようにティーフランジ部同士が接合面において直接に接合されている場合は、接合面におけるティーフランジ部同士の剛性によって、ティーフランジ部の先端部近傍における変形が抑止される。このため、ティーフランジ部は、図8に示されるように、その先端部近傍が変形できずにその中央部のみが突出した形に変形する。これによって、ティーフランジ部の接合面の先端部近傍における梃反力が発生することになる。
【0031】
一方、本実施例によるスプリットティ継手10では、ティーフランジ部12同士の接合面の間に弾性係数の小さいゴム部材などの可撓性部材14が挟み込まれている。このため、スプリットティ継手10に引張力Pが印加されると、図3に示されるように、ティーフランジ部12の先端部が可撓性部材14を圧縮して、ティーフランジ部12の先端部近傍における曲げ変形が生起される。そして、かかる先端部近傍の曲げ変形が抑止されないことによって、従来、ティーフランジ部の先端部近傍に生じていた梃反力が抑制・低減されることになる。
【0032】
すなわち、本実施例によるスプリットティ継手10では、継手の接合面に鋼材よりも弾性係数の小さなゴム等の可撓性部材を挟み込むことにより、ティーフランジ部の先端部近傍における変形を許容することで梃反力の抑制・低減を図っている。なお、かかる梃反力の抑制・低減により継手結合部における引張強度が向上することは言うまでもない。
【0033】
次に、本実施例によるスプリットティ継手10の効果を検証するために行った実験結果の一例を図4及び図5のグラフに示す。因みに、図4は、スプリットティ継手の高力ボルト1本当たりへの作用荷重P/2と、高力ボルトのボルト軸力Bとの関係を測定したグラフであり、図5は、スプリットティ継手の高力ボルト1本当たりへの作用荷重P/2と、継手接合面におけるティーフランジ部同士の離間距離δとの関係を表したグラフである。
【0034】
先ず、図4のグラフについて説明すれば、構造設計の一つの基準となる高力ボルトの降伏時におけるボルト軸力
B0=79.2kN (図4中の破線に示す)
に対応する継手結合部の強度、即ち、降伏時における作用荷重Pの大きさ(Py)は、従来方式のスプリットティ継手では、
Py1=59.5kN (図4中の一点鎖線に示す)
となる。
【0035】
一方、本実施例によるスプリットティ継手10では、上記のボルト軸力B0に対応するPyの大きさは、
Py2=72.5kN (図4中の一点鎖線に示す)
となり、従来方式に較べて降伏強度が約20%増加していることが分かる。
【0036】
また、継手結合部の破断に至る終局限界状態に達したときの終局強度を示す最大荷重Puの大きさについて見れば、従来方式のスプリットティ継手では、
Pu1=85.7kN (図4中の二点鎖線に示す)
となり、一方、本実施例によるスプリットティ継手10では、
Pu2=94.0kN (図4中の二点鎖線に示す)
となって、従来方式に較べて終局強度が約10%増加していることが分かる。
【0037】
さらに、図5のグラフについて説明すれば、スプリットティ継手の初期離間剛性(図5に示される特性曲線の傾きに相当する)に関しては、本実施例によるスプリットティ継手と、従来方式の継手との差異は僅少であり、継手接合面に可撓性部材を挟み込んだ影響は、殆ど無視できるものと言える。なお、図5のグラフにおける離間距離δとは、ティーフランジ部接合面の母材直下における離間距離を示すものとする。
【0038】
以上に記載した本発明の実施例では、スプリットティ継手10の各々のティーフランジ部12に挟持された可撓性部材14を一体構造の部材として説明したが、本発明の実施形態は、かかる実施例に限定されるものではない。例えば、図6の斜視図に示すように、母材11を挟叉する位置(母材11を跨いでその両側の位置)に貫設された一組のリング状部材15を把持した可撓性部材14’(以下、単に『単位可撓性部材』と称する)を準備して、かかる単位可撓性部材14’を複数枚組み合わせて、ティーフランジ部12に挟持される可撓性部材14を構成するようにしても良い。
【0039】
例えば、図2に示したような、3組(6本)の高力ボルトを用いてスプリットティ継手による鋼材の接合を行う場合には、図6の単位可撓性部材14’をその短手方向に3枚並べて、当該スプリットティ継手用の可撓性部材14を構成するようにすれば良い。このような構成を採ることによって、鋼構造物の施行現場における施行部材の標準化が容易となり施工コストの低減を図ることができる。
【0040】
なお、ゴム等の可撓性部材においては、一般に、その自由表面積が増加する程その剛性が低下する傾向にある。したがって、本発明によるスプリットティ継手において挟持される可撓性部材を、一体構造物から単位可撓性部材14’を組み合わせた分割構造に変更することによって、梃反力の抑制・低減効果がさらに期待できる。
【0041】
また、本発明は以上に説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を構成する各部位の形状や配置、或いはその素材等は、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施対応に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上に説明した本発明の構成は、橋梁やビルディング等の鋼構造物の建設・施工現場における鋼材同士の接合においてその利用が可能である。

【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明によるスプリットティ継手の一つの実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のスプリットティ継手に含まれる可撓性部材及びリング状部材の構造を示す説明図である。
【図3】図1のスプリットティ継手における作用・動作を示す説明図である。
【図4】図1のスプリットティ継手における高力ボルト1本当たりへの作用荷重P/2と、高力ボルトのボルト軸力Bとの関係を表すグラフである。
【図5】図1のスプリットティ継手における高力ボルト1本当たりへの作用荷重P/2と、継手接合面におけるティーフランジ部同士の離間距離δとの関係を表すグラフである。
【図6】本発明のスプリットティ継手に含まれる可撓性部材及びリング状部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図7】従来の高力ボルトによる鋼材同士の接合継手の構造を示す斜視図である。
【図8】スプリットティ継手に印加された引張力による作用・動作を表す説明図である。
【図9】梃反力の抑制・低減を目的とした従来のスプリットティ継手の構造を示す説明図である。
【図10】梃反力の抑制・低減を目的とした他のスプリットティ継手の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 … 被接合母材
2 … 添接板
3 … 高力ボルト部材
4 … ティーフランジ板
5 … 補強リブ
6 … アンカープレート
7 … リブプレート
8 … 長尺ボルト
10 … スプリットティ継手
11 … 被接合母材
12 … ティーフランジ部
13 … 高力ボルト部材
14 … 可撓性部材
14’ … 単位可撓性部材
15 … リング状部材
P … 引張力
B … ボルト軸力
R … 梃反力

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9