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明細書 :水素結合性置換基を有する8-置換グアノシン誘導体及びそれを含むオリゴヌクレオチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5105404号 (P5105404)
公開番号 特開2008-162916 (P2008-162916A)
登録日 平成24年10月12日(2012.10.12)
発行日 平成24年12月26日(2012.12.26)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 水素結合性置換基を有する8-置換グアノシン誘導体及びそれを含むオリゴヌクレオチド
国際特許分類 C07H  19/173       (2006.01)
C07H  19/20        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07H 19/173
C07H 19/20
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 31
出願番号 特願2006-352017 (P2006-352017)
出願日 平成18年12月27日(2006.12.27)
審査請求日 平成21年12月25日(2009.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】齋藤 烈
【氏名】齋藤 義雄
【氏名】花輪 和夫
【氏名】松本 桂彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100120134、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 規雄
【識別番号】100128761、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭子
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査官 【審査官】三上 晶子
参考文献・文献 特開2006-169240(JP,A)
GUNDLACH,C.W. et al,Synthesis of guanosine analogs bearing pendant alkylthiol tethers,Tetrahedron Letters,1997年,Vol.38, No.23,pp.4039-4042
SAITO,Y. et al,Synthesis and properties of purine-type base-discriminating fluorescent (BDF) nucleosides: distinction of thymine by fluorescence-labeled deoxyadenosine derivatives,Tetrahedron Letters,2005年,Vol.46, No.44,pp.7605-7608
Nucleosides and nucleotides. LVIII. Synthesis of 8-alkyladenosines, 8,2'-anhydro-8-hydroxymethyl-9-(β-D-arabinofuranosyl)adenine and related compounds,Chemical & Pharmaceutical Bulletin,1985年,Vol.33, No.8,pp.3263-3270
KANOU,M. et al,Chemical synthesis and biological activities of analogs of 2',5'-oligoadenylates containing 8-substituted adenosine derivatives,Nucleic Acids Research,1990年,Vol.18, No.15,pp.4439-4446
CLONIS,Y.D. et al,Affinity chromatography on immobilized nucleotides. Studies on the interaction of E. coli IMP dehydrogenase with immobilized nucleotides,Journal of Molecular Catalysis,1982年,Vol.16, No.1,pp.1-9
NGUYEN,C.D. et al,Modifications of the C-8 position of purine nucleosides by action of electrophilic reagents on silyl and lithio derivatives,Tetrahedron Letters,1979年,No.26,pp.2385-2388
調査した分野 C07H 1/00- 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(III):
【化1】
JP0005105404B2_000030t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、R-NH、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONH、-CSNH、-C(=NH)NH、-NH-COCF、-OCOCH及び-S-SC(CHからなる群から選ばれる水素結合性置換基または該水素結合性置換基がトリフルオロアセトアミド基により保護されてなる有機基であり、mは0~9の整数である。)で表される化合物を、糖部分の水酸基を無保護条件下、接触水添させる工程を含む、下記式(I):
【化2】
JP0005105404B2_000031t.gif

(式中、Rは-NH、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONH、-CSNH、-C(=NH)NH、-NH-COCF、-OCOCH及び-S-SC(CHからなる群から選ばれる水素結合性置換基であり、Rは水素原子または水酸基であり、nは1~10の整数である。)で表される8-置換グアノシン誘導体の製造方法。
【請求項2】
8-置換グアノシン誘導体が、下記式(a):
【化3】
JP0005105404B2_000032t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基である。);
下記式(b):
【化4】
JP0005105404B2_000033t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは酸素原子またはイミノ基である。);
下記式(c):
【化5】
JP0005105404B2_000034t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは-C(=NH)NH、-COOR”(R”は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONHまたは-CSNHである。);あるいは
下記式(d):
【化6】
JP0005105404B2_000035t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは-OCOCHまたは-S-SC(CHである。)
で表されるものである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
下記式(III):
【化7】
JP0005105404B2_000036t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、R-NH、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONH、-CSNH、-C(=NH)NH、-NH-COCF、-OCOCH及び-S-SC(CHからなる群から選ばれる水素結合性置換基または該水素結合性置換基がトリフルオロアセトアミド基により保護されてなる有機基であり、mは0~9の整数である。)で表される化合物を、糖部分の水酸基を無保護条件下、接触水添させる工程を含む、下記式(II):
【化8】
JP0005105404B2_000037t.gif

(式中、Rは-NH、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONH、-CSNH、-C(=NH)NH、-NH-COCF、-OCOCH及び-S-SC(CHからなる群から選ばれる水素結合性置換基または該水素結合性置換基がトリフルオロアセトアミド基により保護されてなる有機基であり、Rは水素原子または水酸基であり、DMTrはジメトキシトリチル基であり、nは1~10の整数である。)で表される8-置換グアノシン誘導体の製造方法。
【請求項4】
8-置換グアノシン誘導体が、下記式(e):
【化9】
JP0005105404B2_000038t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);
下記式(f):
【化10】
JP0005105404B2_000039t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは酸素原子またはイミノ基であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);
下記式(g):
【化11】
JP0005105404B2_000040t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは-C(=NH)NH、-COOR”(R”は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。)、-CONHまたは-CSNHであり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);あるいは
下記式(h):
【化12】
JP0005105404B2_000041t.gif

(式中、Rは水素原子または水酸基であり、Rは-OCOCHまたは-S-SC(CHであり、DMTrはジメトキシトリチル基である。)
で表されるものである、請求項3記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グアニンの8位に水素結合性置換基を有する8—置換グアノシン誘導体及びそれを含むオリゴヌクレオチド、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PCR法を用いた核酸の利用法として、In vitro selection法が注目されている。In vitro selection法では、まず、多数のランダム配列領域を持つ多数の一本鎖核酸ライブラリーを、様々なセレクション系により特定機能で選び出す。続いて、選び出された核酸をPCRによって増幅した後、同様のセレクションを行う。このサイクルを繰り返すことで、特定機能を持つ配列に収束させることが可能となる。In vitro selection法は、もともと、ある特定の物質に対して特異的に結合する核酸分子種を選び出す手法として開発されたため、Systematic Evolution of Ligands by Exponential enrichment (SELEX)とも呼ばれる。この手法で得られた結合能を有する核酸はアプタマーと呼ばれ、酵素のような触媒能を持ったDNA、RNAはそれぞれデオキシリボザイム、リボザイムと呼ばれる。
【0003】
アプタマーは、特定の二次構造を持つ場合が多い。それらは、ヘアピン(hairpin)、バルジ(bulge)、シュードノット(pseudoknot)、グアニンカルテット(G-quartet)等の構造に分類される。アプタマーは、そのような二次構造をとることで、標的分子を特異的に認識して結合すると考えられており、デオキシリボザイムまたはリボザイムにおいても二次構造が重要な役割を担っていると考えられる。
しかしながら、天然のDNAアプタマー、デオキシリボザイムまたはリボザイムは、抗体または酵素に比べ、その結合能及び触媒能は極めて小さい。その理由は、以下の二つが考えられる。
1)抗体または酵素などの蛋白質は20種のアミノ酸から構成されるのに対し、DNAは4種類のヌクレオシドしかない。
2)蛋白質はイミダゾールまたはアミノ基などの活性中心に多く存在する官能基を持つのに対して、核酸にはそのようなものがない。
このため、In vitro selection法では、結合能及び触媒能を高めるための種々の機能性置換基を導入した修飾DNAの利用が有効になると考えられる。
【0004】
上記のような修飾DNAの合成には、機能性置換基を導入した修飾ヌクレオシドが有用である。修飾ヌクレオシドは種々知られているが、グアニン誘導体は、他の核酸塩基の誘導体と比較して少なく、その構造は特定のものに限られている。例えば、特開2004-262791号公報(特許文献1)では、グアニンの8位にメチル基を有する8-置換グアノシン誘導体が記載されている。しかしながら、該公報に記載の方法では、グアニンの8位に機能性置換基を導入することはできない。

【特許文献1】特開2004-262791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下、機能性置換基を導入した修飾ヌクレオシド、特に機能性置換基を導入した8-置換グアノシン誘導体の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、グアニンカルテットなどの様々な二次構造の中でも特に重要な役割を果たしているグアニンに着目し、種々の水素結合性置換基を導入した修飾ヌクレオシドをデザインし、その合成を試みた。なお、水素結合性置換基の導入位置としては、DNAの二重鎖形成に直接関与しておらず、フレキシブルなアルキル直鎖を介してDNAメジャーグループに置換基を出すことができるようにグアニンの8位とした。
【0007】
その結果、グアノシンまたは2’-デオキシグアノシンを出発物質として、一連の1)ブロモ化、2)Pd触媒を用いたカップリング反応、3)糖部分の水酸基無保護条件下での接触水添、により、種々の水素結合性置換基をグアニンの8位に導入することに成功した。
【0008】
なお、本発明者らは、水素結合性置換基を有する8-置換アデノシン誘導体の合成方法を既に確立している(Y. Saito et al., Tetrahedron Letters 46 (2005) 7605-7608)。この文献に示されるとおり、アデノシン誘導体は、糖部分の水酸基を保護しない状態で反応を十分に進行させることができる。しかしながら、グアノシン誘導体は、アデノシン誘導体と比較して溶解性が非常に低いため、糖部分の水酸基を保護して反応を行うと考えるのが一般的である。本発明はこのような従来の技術常識に反して、糖部分の水酸基を無保護条件下で反応を進行させることにより、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下に示す8-置換グアノシン誘導体及びオリゴヌクレオチド、ならびにそれらの製造方法に係るものである。
[1]下記式(I):
【化12】
JP0005105404B2_000002t.gif
(式中、R1は水素結合性置換基であり、R2は水素原子または水酸基であり、nは1~10の整数である。)で表される8-置換グアノシン誘導体。
[2]R1は、-NH2、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH2(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2、-CSNH2、-C(=NH)NH2、-NH-COCF3、-OCOCH3及び-S-S(CH33からなる群から選ばれるものである、[1]記載の8-置換グアノシン誘導体。
[3]下記式(a):
【化13】
JP0005105404B2_000003t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基である。);
下記式(b):
【化14】
JP0005105404B2_000004t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R3は酸素原子またはイミノ基である。);
下記式(c):
【化15】
JP0005105404B2_000005t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R4は-C(=NH)NH2、-COOR”(R”は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2または-CSNH2である。);あるいは
下記式(d):
【化16】
JP0005105404B2_000006t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R5は-OCOCH3または-S-S(CH33である。)
で表されるものである[1]記載の8-置換グアノシン誘導体。
[4]下記式(II):
【化17】
JP0005105404B2_000007t.gif
(式中、R6は水素結合性置換基を含む有機基であり、R2は水素原子または水酸基であり、DMTrはジメトキシトリチル基であり、nは1~10の整数である。)で表される8-置換グアノシン誘導体。
[5]R1は、-NH2、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH2(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2、-CSNH2、-C(=NH)NH2、-NH-COCF3、-OCOCH3及び-S-S(CH33からなる群から選ばれるものである、[4]記載の8-置換グアノシン誘導体。
[6]下記式(e):
【化18】
JP0005105404B2_000008t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);
下記式(f):
【化19】
JP0005105404B2_000009t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R3は酸素原子またはイミノ基であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);
下記式(g):
【化20】
JP0005105404B2_000010t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R4は-C(=NH)NH2、-COOR”(R”は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2または-CSNH2であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);あるいは
下記式(h):
【化21】
JP0005105404B2_000011t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R5は-OCOCH3または-S-S(CH33であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。)
で表されるものである、[4]記載の8-置換グアノシン誘導体。
[7]下記式(III):
【化22】
JP0005105404B2_000012t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R6は水素結合性置換基を含む有機基であり、mは0~9である。)で表される化合物を、糖部分の水酸基を無保護条件下、接触水添させる工程を含む、[1]から[6]までの何れか記載の8-置換グアノシン誘導体の製造方法。
[8]水素結合性置換基を8位に有するグアニン誘導体を含むオリゴヌクレオチド。
[9][4]から[6]までの何れかに記載の8-置換グアノシン誘導体を用いることを含む、[8]記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、種々の水素結合性置換基を8位に有するグアノシン誘導体を提供することができる。また、本発明によれば、種々の水素結合性置換基を8位に有するグアニン誘導体を含むオリゴヌクレオチドを提供することができる。
本発明の水素結合性の置換基を有するグアノシン誘導体をグアニンカルテット等の様々な配列に導入することにより、それらの構造の安定化が期待でき、より結合能及び触媒能の高いアプタマー、デオキシリボザイム、及びリボザイム等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の8-置換グアノシン誘導体及びオリゴヌクレオチド、ならびにそれらの製造方法を詳細に説明する。
【0012】
A.8-置換グアノシン誘導体
本発明の8-置換グアノシン誘導体は、下記式(I):
【化23】
JP0005105404B2_000013t.gif
で表される。
【0013】
式(I)で表されるとおり、本発明の8-置換グアノシン誘導体は、グアニンの8位に水素結合性置換基を有している。グアニンの8位は、DNAの二重鎖形成に直接関与していない。このため、この位置に、フレキシブルなアルキル直鎖を介して、水素結合性置換基を導入することにより、本発明の8-置換グアノシン誘導体をオリゴヌクレオチドに導入した際、DNAメジャーグループに水素結合性置換基を出すことが可能である。
【0014】
式(I)において、R1は、水素結合性置換基である。水素結合性置換基は、分子間または分子内において水素結合を形成しうる置換基であれば特に限定されない。水素結合性置換基は、好ましくは、-NH2、-SH、-CN、-OH、-NH-C(=R)NH2(Rは酸素原子またはイミノ基を表す。)、-COOR’(R’は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2、-CSNH2、-C(=NH)NH2、-NH-COCF3、-OCOCH3及び-S-S(CH33かからなる群から選ばれる。なお、本明細書において、低級アルキル基は、炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。低級アルキル基としては、例えば、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0015】
2は水素原子または水酸基である。R2が水素原子である場合、糖部分はβ-D-2’-デオキシリボースであり、R2が水酸基である場合、糖部分はβ-D-リボースである。すなわち、本発明の8-置換グアノシン誘導体は、2’-デオキシグアノシン誘導体及びグアノシン誘導体の双方を含む。
【0016】
nは1~10の整数である。好ましくは、nは1~6、より好ましくは、nは1~4、さらに好ましくは、nは1または2である。
【0017】
本発明の好ましい実施態様として、例えば、下記式(a)~(d)で表される化合物が挙げられる。
【化24】
JP0005105404B2_000014t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基である。);
【化25】
JP0005105404B2_000015t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R3は酸素原子またはイミノ基である。);
【化26】
JP0005105404B2_000016t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R4は-C(=NH)NH2、-COOR”(R"は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2または-CSNH2である。);
【化27】
JP0005105404B2_000017t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R5は-OCOCH3または-S-S(CH33である。)
【0018】
なお、上記は一例であり、これらの化合物を中間生成物として、常法に従い、他の水素結合性置換基を有する化合物を誘導することもできる。本発明の式(I)で表される8-置換グアノシン誘導体には、そのようにして得られる化合物も含まれる。
【0019】
式(I)で表される8-置換グアノシン誘導体は、それ自体、抗癌剤、抗ウィルス剤、抗HIV等の核酸系医薬品として有用であるが、水素結合性置換基を有する8-置換グアノシン誘導体をオリゴヌクレオチドに導入する際には、式(I)で表される8-置換グアノシン誘導体の糖部分の水酸基、及び、グアニン部分のアミノ基などの反応性置換基を適切に保護することが望ましい。本発明の8-置換グアノシン誘導体は、そのような反応性置換基を保護基で保護した化合物、すなわち、下記式(II):
【化28】
JP0005105404B2_000018t.gif
で表される化合物をも含む。以下、式(II)で表される化合物について説明する。
【0020】
式(II)において、R6は水素結合性置換基を含む有機基である。ここで、水素結合性置換基を含む有機基は、水素結合性置換基を含む一価の有機基であれば特に限定されない。例えば、水素結合性置換基それ自体または水素結合性置換基が保護基で保護された有機基などが含まれる。具体的には、アミノ基などの水素結合性置換基がトリフルオロアセトアミド基などの保護基によって保護された有機基などが挙げられる。なお、水素結合性置換基は、式(I)で説明したものと同じであるので、ここでは説明を繰り返さない。
2は水素原子または水酸基であり、nは1~10の整数である。nの好ましい範囲は、式(I)において記載した範囲と同じ範囲である。
【0021】
式(II)で表される8-置換グアノシン誘導体を用いることにより、水素結合性置換基を8位に有するグアニン誘導体を含むオリゴヌクレオチドの簡便な方法で製造することができる。式(II)で表される8-置換グアノシン誘導体は、前記式(I)で表される8-置換グアノシン誘導体から容易に製造することができる。詳しくは、実施例の項において説明する。
【0022】
本発明の好ましい実施態様として、例えば、下記式(e)~(h)で表される化合物が挙げられる。
【化29】
JP0005105404B2_000019t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基である。);
【化30】
JP0005105404B2_000020t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R3は酸素原子またはイミノ基である。);
【化31】
JP0005105404B2_000021t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R4は-C(=NH)NH2、-COOR"(R"は水素原子または低級アルキル基を表す。)、-CONH2または-CSNH2であり、DMTrはジメトキシトリチル基である。);または
【化32】
JP0005105404B2_000022t.gif
(式中、R2は水素原子または水酸基であり、R5は-OCOCH3または-S-S(CH33である。)
【0023】
なお、上記は一例である。これらの化合物を中間生成物として、常法に従い、他の水素結合性置換基を有する化合物を誘導することもできる。本発明の式(II)で表される8-置換グアノシン誘導体には、そのようにして得られる化合物も含まれる。
【0024】
次に、本発明の8-置換グアノシン誘導体の製造方法について述べる。本発明の8-置換グアノシン誘導体は、いずれも、天然の2’-デオキシグアノシンまたはグアノシンを出発物質とする簡便な方法で製造することができる。
【0025】
本発明の方法は、糖部分の水酸基を保護しない状態でグアノシンに導入した置換アルキレン基を接触水添する工程を含むものであり、この方法によれば、所望の化合物を高収率かつ短時間で合成することができる。すなわち、本発明の8-置換グアノシン誘導体の製造方法は、下記式(III):
【化33】
JP0005105404B2_000023t.gif
で表される化合物を、糖部分の水酸基を無保護条件下、接触水添させる工程を含むことを特徴とする。
【0026】
式(III)において、R2は水素原子または水酸基であり、R6は水素結合性置換基を含む有機基である。なお、水素結合性置換基を含む有機基は、式(II)において説明したものと同じであり、好ましい例示も前記のとおりである。mは0~9の整数であり、好ましくは、mは0~5、より好ましくは、mは0~3、さらに好ましくは、mは0または1である。
【0027】
式(III)で表される化合物は、例えば、天然の2’-デオキシグアノシンまたはグアノシンを出発物質として、常法に従って合成することができる。例えば、2’-デオキシグアノシンまたはグアノシンにおけるグアニンの8位を1)ブロモ化し、2)適切なアセチレン誘導体を、Pd触媒を用いてカップリング反応することによって合成することができる。詳しくは、実施例におけるスキーム1~4を参照することができる。
【0028】
本発明の方法によれば、式(III)で表される化合物を接触水添することによって、下記式(IV):
【化34】
JP0005105404B2_000024t.gif
(式中のR2、R6は前記のとおりであり、nは1~10である。)で表される化合物を得ることができる。なお、好ましくは、nは1~6、より好ましくは、nは1~4、さらに好ましくは、nは1または2である。
【0029】
上記反応はパラジウム触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、活性炭などの炭素に担持されたパラジウム、いわゆるパラジウムカーボン(Pd/C)として市販されているものを用いることができる。反応温度は、例えば、60℃~0℃、好ましくは40℃~10℃である。パラジウム触媒の使用量は、式(III)で表される化合物に対し、好ましくは100モル%~1モル%である。
また、反応は酸化白金触媒の存在下で行うこともできる。この場合、反応温度は、例えば、100℃~4℃、好ましくは60℃~10℃である。酸化白金触媒の使用量は、式(III)で表される化合物に対し、好ましくは100モル%~1モル%である。
反応溶媒は、式(III)または式(IV)で表される化合物、ならびに使用する触媒等に対して不活性なものであれば特に限定されない。例えば、パラジウム触媒を用いる場合には、メタノールなどのアルコール系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどを好ましく使用できる。酸化白金触媒を使用する場合には、酢酸などを使用できる。
なお、本反応に用いられる触媒の種類及びその使用量、反応温度、ならびに反応溶媒は、出発物質等の様々な条件に依存して、適宜、決定することができる。
反応中は、いずれの触媒を用いた場合にも、反応溶液を激しく攪拌することが好ましい。
【0030】
本発明の方法によれば、糖部分の水酸基を保護基で保護して反応を行った場合に比べて、短時間で効率よく目的の化合物、すなわち、式(IV)で表される化合物を得ることができる。
【0031】
式(IV)で表される化合物は、常法に従って、糖部分の水酸基、及び、グアニン部分のアミノ基を適切な保護基で保護することによって、下記式(II):
【化35】
JP0005105404B2_000025t.gif
(式中のR2、R6、nおよびDMTrOは、前記のとおりである。)で表される化合物を得ることができる。具体的には、実施例に示したスキーム1~4を参照することができる。
【0032】
B.水素結合性置換基を8位に有するグアニン誘導体を含むオリゴヌクレオチド
次に、本発明のオリゴヌクレオチドについて説明する。
本発明のオリゴヌクレオチドは、水素結合性置換基を8位に有するグアニン誘導体を含むことを特徴としている。この水素結合性置換基の導入位置は、DNAの二重鎖形成に直接関与していない。このため、フレキシブルなアルキル直鎖を介して水素結合性置換基を導入することにより、該水素結合性置換基は、分子内または分子間の他の水素結合性置換基と相互作用することができる。このような本発明のオリゴヌクレオチドをグアニンカルテット等の様々な配列に導入することによって、それらの構造の安定化が期待でき、より結合能及び触媒能の高いアプタマー、デオキシリボザイム又はリボザイム等を得ることができる。
【0033】
本発明のオリゴヌクレオチドは、前記式(II)で表される8-置換グアノシン誘導体、好ましくは前記式(e)~(h)で表される8-置換グアノシン誘導体を用いることによって製造することができる。例えば、市販のDNA合成機を使用したDNAオリゴマーの固相合成法を用いることができる(固相合成法については、例えば、文献 F.C. Richardson et al., Nucleic Acid Research 20 (1992) 1763-1768 を参照することができる)。操作手順等は、それぞれのDNA合成機に添付されているプロトコールに従って行うことができる。
【0034】
以下、本発明の8-置換グアノシン誘導体及びオリゴヌクレオチドについて、実施例を用いてより具体的に説明する。なお、実施例は一例であり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されない。
【実施例】
【0035】
実施例1
2’-デオキシグアノシンを出発物質として用い、下記のスキーム1に従って、本発明の8-置換グアノシン誘導体(化合物(4)及び(7))ならびにオリゴヌクレオチドを製造した。
【化36】
JP0005105404B2_000026t.gif

【0036】
1)化合物(2)の製造
2’-デオキシグアノシン(1)(5.681g, 0.021mol)を蒸留水400mlに懸濁させ、N-ブロモコハク酸イミド(4.17g,0.023mol)を加えた。この溶液を室温で30分撹拌し、析出した固体を吸引濾過により集め、蒸留水、アセトンで洗浄し、淡紫色の固体(5.57mg,76%)として得た。
得られた化合物(2)のスペクトルデータは以下のとおりである。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ 2.10(ddd,1H,H-2’,J=3.0Hz,6.6Hz,13.2Hz),δ 3.16(ddd,1H,H-2’,J=6.4Hz,7.8Hz,13.6Hz),δ 3.50(dd,1H,H-5’,J=6.0Hz,12Hz),δ 3.62(dd,1H,H-5’,J=5.6Hz,11.2Hz),δ 3.80(ddd,1H,H-3’,J=3.2Hz,5.6Hz,11.2Hz),δ 4.40(ddd,1H,H-4’,J=3.2Hz,6.8Hz,13.2Hz),δ 6.16(dd,1H,H-1’,J=6.9Hz,7.7Hz),δ 10.81(s,1H,H-9)
【0037】
2)化合物(3)の製造
前記工程1)で得られた化合物(2)(300mg,0.867mmol)を無水N,N-ジメチルホルムアミド30mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、N-プロパギルトリフルオロアセトアミド(390mg,2.581mmol)を加えた。更に、この溶液にヨウ化銅(I)(33mg,0.173mmol
)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(99mg,0.086mmol)、トリエチルアミン(148μl,1.463mmol)を加えた。この溶液を55℃で2時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール=7/1)により精製して目的の化合物(3)を茶色の固体(331mg,92%)として得た。
得られた化合物(3)のスペクトルデータは以下のとおりである。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ 2.09(ddd,1H,H-2’,J=2Hz,6.4Hz,13.2Hz),δ 2.91(ddd,1H,H-2’,J=6Hz,8.4Hz,14.6Hz),δ 3.59(dd,1H,H-5’,J=4.0Hz,12.0Hz),δ 3.70(dd,1H,H-5’,J=2.8Hz,12.0Hz),δ 3.86(m,1H,H-3’),δ 4.25(s,2H,TFAHN-CH2-),δ 4.44 (m,1H,H-4’),δ 6.26(dd,1H,H-1’,J=6.8Hz,8.0Hz)
【0038】
3)化合物(4)の製造
前記工程2)で得られた化合物(3)(300mg,0.721mmol)を無水エタノール15mlに溶解した。この溶液にパラジウムカーボン(10%)を50mg加え、水素に置換した後、室温で2時間撹拌させ、ろ過によってパラジウムカーボンを除去し、再度、溶媒メタノール15mlに溶解し、パラジウムカーボン(10%)を50mg加え、水素に置換した後、室温で14時間撹拌させた。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール=7/1)により精製し黄色のオイル状(245mg,81%)として得た。
得られた化合物(4)のスペクトルデータは以下のとおりである。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ 1.92(q,2H,-CH2-,J=7.2Hz),δ 2.12(ddd,1H,H-2’,J=2.2Hz,6.2Hz,13.2Hz),δ 2.78(t, 2H,-CH2-CH2-),δ 2.99(ddd,1H,H-2’,J=6Hz,8.4Hz,14.6Hz),δ 3.28(t,2H,TFANH-CH2-),δ 3.65(dd,1H,H-5’,J=4.0Hz,12.0Hz),δ 3.75(dd,1H,H-5’,J=3.2Hz,12.0Hz),δ 3.92(dd,1H,H-3’,J=32.Hz,6.0Hz),δ 4.54(m,1H,H-4’),δ 6.14(dd,1H,H-1’,J=6.2Hz,8.6Hz)
【0039】
4)化合物(5)の製造
前記工程3)で得られた化合物(4)(178mg,0.423mmol)をアルゴン雰囲気下、無水N,N-ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、N,N’-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(1ml,5.835mmol)を加えた。この溶液を50℃で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)
で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール=7/1)により精製して目的の化合物(5)を薄黄色の固体(199mg,99%)として得た。
得られた化合物(5)のスペクトルデータは以下のとおりである。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ 1.94(q,2H,-CH2-,J=7.2Hz),δ 2.16(ddd,1H,H-2’,J=2.8Hz,6.4Hz,13.6Hz),δ 280(t,2H,-CH2-CH2-),δ 2.97(s,3H,N(CH3)),δ 3.14(m,4H,N(CH3),H-2’),δ 3.27(t,2H,TFANH-CH2-),δ 3.62(dd,1H,H-5’,J=4.0Hz,12.0Hz),δ 3.72(dd,1H,H-5’,J=3.4Hz,12.2Hz),δ 3.89(dd,1H,H-3’,J=3.6Hz,6.8Hz),δ 4.54(m,1H,H-4’),δ 6.38(dd,1H,H-1’,J=6.4Hz,8.0Hz),δ 8.38(s,1H,N=CH-N)
【0040】
5)化合物(6)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程4)で得られた化合物(5)(140mg, 0.294mmol)を無水ピリジン10mlに溶解し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(120mg,0.354mmol),N,N-ジメチルアミノピリジン(7.2mg,0.059mmol)を加えた。この溶液を室温で1時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン=89/10/1)により精製して目的の化合物(6)を淡黄色の固体(220mg, 96%)として得た。
得られた化合物(6)のスペクトルデータは以下のとおりである。
1H NMR(CD3OD,400MHz) δ 1.85(m,2H,-CH2-),δ 2.12(ddd,1H,H-2’,J=2Hz,6Hz,8.0Hz,13.6Hz),δ 2.77(m,9H,-CH2-CH2-,N(CH3,H-2’),δ 3.22(m,3H,H-5’,TFANH-CH2-),δ 3.49(d,6H,-O-CH3,J=2.8Hz),δ 3.82(m,1H,H-3’),δ 4.58(m,1H,H-4’),δ 6.06(dd,1H,H-1’,J=5.2Hz,7.6Hz),δ 6.40-7.09(m,13H,Ar-H),δ 8.14(s,1H,N=CH-N)
【0041】
6)化合物(7)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程5)で得られた化合物(6)(46mg, 0.059mmol)を無水ジクロロメタン460μlに溶解し、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液(0.45M,196μl,0.088mmol)、2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(28μl,0.089mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応液を分液漏斗に移し、飽和重曹水、蒸留水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、反応溶媒を減圧留去した。残渣を無水アセトニトリル1mlに溶解し、コスモナイスフィルターS(溶媒系、ナカライテスク株式会社製)でろ過した。ろ液を減圧留去し、目的の化合物(7)を粗生成物として得た。DNA合成には化合物(7)の粗生成物をそのまま用いた。
【0042】
7)化合物(7)からオリゴヌクレオチドを得る行程
前記工程6)で得られた化合物(7)を用いてDNA自動合成機(3400DNA/RNA シンセサイザ、アプライドバイオシステムズ社)を用いて目的とする配列(5’-CGCAATXTAACGC-3’ と5’-CGCAACXCAACGC-3’)を合成した。合成終了後、固層担体から切り出された溶液をエッペンドルフチューブに移し替え、37℃で18時間加熱し、脱保護を行った。得られたオリゴヌクレオチド鎖を高速液体クロマトグラフィー(PU-2080-puls, JASCO)で精製した。精製後、凍結乾燥で溶媒を減圧留去することにより目的の配列(5’-CGCAATXTAACGC-3’と5’-CGCAACXCAACGC-3’)のオリゴヌクレオチド鎖を得た。また、目的物はMALDI-TOF Mass(AXIMA-LNR,SHIMADZU)を使って確認した。
5’-CGCAATXTAACGC-3’[M+H]+:cacd.=4199.9744,found =4200.12
5’-CGCAACXCAACGC-3’[M+H]+:cacd.=4229.9980,found =4230.28
【0043】
なお、上記は、2’-デオキシグアノシンを出発物質として用いた場合であるが、グアノシンを出発物質として用いた場合にも、同様の反応試薬及び反応条件を用いて、本発明の8-置換グアノシン誘導体ならびにオリゴヌクレオチドを製造することができる。また、化合物(4)を常法に従って脱保護することにより、上記式(I)で表される8-置換グアノシン誘導体に相当する化合物を中間生成物として得ることもできる。
【0044】
次に、実施例1で示したもの以外の水素結合性置換基を有する8-置換グアノシン誘導体及びこれを用いたオリゴヌクレオチドの製造方法を実施例2~4に示す。なお、実施例2~4は、いずれも、2’-デオキシグアノシンの誘導体を出発物質として用いているが、グアノシン誘導体を出発物質とした場合も同様の反応試薬及び反応条件を用いて目的の化合物を製造することができる。
【0045】
実施例2
前記式(b)または(f)で表される8-置換グアノシン誘導体(それぞれ、スキーム2の化合物(9)、化合物(12)に相当する。)、及びそれを用いたオリゴヌクレオチドは、下記のスキーム2に従って製造することができる。
【化37】
JP0005105404B2_000027t.gif

【0046】
1)化合物(8)の製造
前記工程で得られた化合物(4)を過剰量の28%アンモニア水に溶解させる。この溶液を室温で1日撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。これを分液漏斗に移し、クロロホルムで洗浄した後、水層を減圧留去して目的の化合物(8)を得ることができる。
【0047】
2)化合物(9a)の製造
前記工程で得られる化合物(8)を蒸留水に溶解させ、シアン酸カリウムを加える。この溶液を55℃で1日撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をHW-40Cにより精製して目的の化合物(9a)を得ることができる。
【0048】
3)化合物(9b)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程で得られた化合物(8)を蒸留水に溶解させ、炭酸カリウム、アミノイミノメタンスルホン酸を加える。この溶液を室温で1日撹拌し、逆層薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をHW-40Cにより精製して目的の化合物(9b)を得ることができる。
【0049】
4)化合物(10)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程で得られた化合物(9)を無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール1mlを加える。この溶液を55℃で3時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール=7/1)により精製して目的の化合物(10)を得ることができる。
【0050】
5)化合物(11)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程で得られた化合物(10)を無水ピリジンに溶解させ、4,4'-ジメトキシトリチルクロリド、N,N-ジメチルアミノピリジンを加える。この溶液を室温で8時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン=89/10/1)により精製して目的の化合物(11)を得ることができる。
【0051】
6)化合物(12)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程で得られた化合物(11)を無水ジクロロメタンに溶解させ、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液、2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイトを加える。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、飽和重曹水および蒸留水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、反応溶媒を減圧留去する。残渣を無水アセトニトリル1mlに溶解し、コスモナイスフィルターS(溶媒系、ナカライテスク株式会社製)でろ過し、ろ液を減圧留去することで目的の化合物(12)を粗生成物として得ることができる。DNA合成には化合物(12)の粗生成物をそのまま用いることができる。
【0052】
なお、化合物(12)からオリゴヌクレオチドを得る行程は、実施例1の化合物(7)からオリゴヌクレオチドを得る行程と同様にして行うことができる。実施例3及び4においても同様にして行うことができる。
【0053】
実施例3
前記式(c)または(g)で表される8-置換グアノシン誘導体(それぞれ、スキーム3の化合物(15)、化合物(18)に相当する。)、及びそれを用いたオリゴヌクレオチドは、下記のスキーム3に従って製造することができる。
【化38】
JP0005105404B2_000028t.gif

【0054】
1)化合物(13)の製造
8-ブロモ2’-デオキシグアノシン(2)をDMFに溶解し、2-Propynenitrile、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、ヨウ化銅、トリエチルアミンを加えて室温で一晩撹拌する。反応溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物(13)を得ることができる。
【0055】
2)化合物(14a)の製造
前工程で得られる化合物(13)を塩化水素ガスを飽和させたエタノールに溶解し0℃で20時間撹拌する。その後反応溶液を濃縮し残渣にアンモニアガスを溶解させたエタノールを加えて、室温で20時間撹拌する。反応溶媒を濃縮後、残渣を分取用TLCにより精製して化合物(14a)を得ることができる。
【0056】
3)化合物(14b)の製造
前工程で得られる化合物(13)を塩化水素ガスを飽和させたエタノールに溶解し0℃で2時間撹拌する。反応溶液を濃縮し残渣に水を加え0℃で1時間撹拌する。その後反応溶液を濃縮し残渣を分取用逆相TLCにより精製して化合物(14b)を得ることができる。
【0057】
4)化合物(14c)の製造
前工程で得られる化合物(14b)を封管中でメタノールに溶解し、液体アンモニアを加えて室温で14時間撹拌する。反応溶液を濃縮し残渣を分取用逆相TLCにより精製して化合物(14c)を得ることができる。
【0058】
5)化合物(14d)の製造
前工程で得られる化合物(13)を無水ピリジンに溶解し、トリエチルアミンを加えて0℃で硫化水素ガスを飽和させる。その後栓をして、室温で14時間撹拌する。反応溶媒を濃縮後、残渣を分取用TLCにより精製して化合物(14d)を得ることができる。
【0059】
6)化合物(15)の製造
前記工程2)~5)で得られる化合物(14a~d)を無水エタノールに溶解する。この溶液にパラジウムカーボン(10%)を加え、水素に置換した後、室温で2時間撹拌させ、ろ過によってパラジウムカーボンを除去し、再度、溶媒メタノールに溶解し、パラジウムカーボン(10%)を加え、水素に置換した後、室温で14時間撹拌させる。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール)により精製し化合物(15)を得ることができる。
【0060】
7)化合物(16)の製造
前記工程6)で得られる化合物(15)をアルゴン雰囲気下、無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、N,N’-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加える。この溶液を50℃で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール)により精製して目的の化合物(16)を得ることができる。
【0061】
8)化合物(17)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程7)で得られる化合物(16)を無水ピリジンに溶解し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド,N,N-ジメチルアミノピリジンを加える。この溶液を室温で1時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン)により精製して目的の化合物(17)を得ることができる。
【0062】
9)化合物(18)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程8)で得られる化合物(17)を無水ジクロロメタンに溶解し、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液(0.45M)、2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイトを加える。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応液を分液漏斗に移し、飽和重曹水、蒸留水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、反応溶媒を減圧留去する。残渣を無水アセトニトリル1mlに溶解し、コスモナイスフィルターS(溶媒系、ナカライテスク株式会社製)でろ過する。ろ液を減圧留去し、目的の化合物(18)を粗生成物として得ることができる。DNA合成には化合物(18)の粗生成物をそのまま用いることができる。
【0063】
実施例4
前記式(d)または(h)で表される8-置換グアノシン誘導体(それぞれ、スキーム4の化合物(20)、化合物(23)に相当する。)、及びそれを用いたオリゴヌクレオチドは、下記のスキーム4に従って製造することができる。
【化39】
JP0005105404B2_000029t.gif

【0064】
1)化合物(19)の製造
8-ブロモ2’-デオキシグアノシン(2)をDMFに溶解し、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン、ヨウ化銅、トリエチルアミン、プロパルギルアセテート(19a)またはtert-butyl propargyl disulfide(19b)を加えて室温で一晩撹拌する。反応溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物(13)を得ることができる。
【0065】
2)化合物(20)の製造
前記工程1)で得られる化合物(19aまたは19b)を無水エタノールに溶解する。この溶液にパラジウムカーボン(10%)を加え、水素に置換した後、室温で2時間撹拌させ、ろ過によってパラジウムカーボンを除去し、再度、溶媒メタノールに溶解し、パラジウムカーボン(10%)を加え、水素に置換した後、室温で14時間撹拌する。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール)により精製し化合物(20)を得ることができる。
【0066】
3)化合物(21)の製造
前記工程2)で得られる化合物(20)をアルゴン雰囲気下、無水N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、N,N’-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加える。この溶液を50℃で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶質溶媒 クロロホルム/メタノール)により精製して目的の化合物(21)を得ることができる。
【0067】
4)化合物(22)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程3)で得られる化合物(21)を無水ピリジンに溶解し、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド、N,N-ジメチルアミノピリジンを加える。この溶液を室温で1時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応溶媒を減圧留去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 クロロホルム/メタノール/トリエチルアミン)により精製して目的の化合物(22)を得ることができる。
【0068】
5)化合物(23)の製造
アルゴン雰囲気下、前記工程4)で得られる化合物(22)を無水ジクロロメタンに溶解し、1H-テトラゾール無水アセトニトリル溶液(0.45M)、2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイトを加える。この溶液を室温で2時間撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認後、反応液を分液漏斗に移し、飽和重曹水、蒸留水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、反応溶媒を減圧留去する。残渣を無水アセトニトリル1mlに溶解し、コスモナイスフィルターS(溶媒系、ナカライテスク株式会社製)でろ過する。ろ液を減圧留去し、目的の化合物(23)を粗生成物として得ることができる。DNA合成には化合物(23)の粗生成物をそのまま用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の8-置換グアノシン誘導体及びオリゴヌクレオチドは、抗癌剤、抗ウィルス剤、抗HIV等の核酸系医薬品として、また、遺伝子関連産業の試薬またはツールとして広範囲に利用できる可能性がある。