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明細書 :PF1022類の製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4734656号 (P4734656)
公開番号 特開2008-247806 (P2008-247806A)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発行日 平成23年7月27日(2011.7.27)
公開日 平成20年10月16日(2008.10.16)
発明の名称または考案の名称 PF1022類の製造法
国際特許分類 C07D 273/00        (2006.01)
A61K  31/395       (2006.01)
A61P  33/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 273/00
A61K 31/395
A61P 33/00 171
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2007-090946 (P2007-090946)
出願日 平成19年3月30日(2007.3.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 刊行物等1:日本ペプチド学会発行、PEPTIDE SCIENCE 2006(学会予稿集)、平成18年11月5日発行、66ページ掲載 刊行物等2:第43回ペプチド討論会/第4回ペプチド工学国際会議、日本ペプチド学会主催、平成18年11月5日開催
審査請求日 平成19年6月1日(2007.6.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】山田 圭一
【氏名】中津 信吾
【氏名】奥 浩之
【氏名】片貝 良一
個別代理人の代理人 【識別番号】100100549、【弁理士】、【氏名又は名称】川口 嘉之
【識別番号】100090516、【弁理士】、【氏名又は名称】松倉 秀実
【識別番号】100126505、【弁理士】、【氏名又は名称】佐貫 伸一
審査官 【審査官】新留 素子
参考文献・文献 特開平05-320148(JP,A)
特開2005-325061(JP,A)
調査した分野 C07D
A61K
A61P
C07B 61/00
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I)
【化1】
JP0004734656B2_000009t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表される化合物を脱保護した後、縮合剤の存在下に閉環反応させ、得られた化合物の環を構成する窒素原子に結合する水素原子をN,N-ジメチルホルムアミド中でCH3IとAg2Oを使用してメチル化させることを特徴とする一般式(II)
【化2】
JP0004734656B2_000010t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表されるPF1022類の合成方法。
【請求項2】
縮合剤としてビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを使用することを特徴とする請求項1記載の合成方法
【請求項3】
一般式(III)
【化3】
JP0004734656B2_000011t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表される化合物を縮合剤の存在下に環化させることを特徴とする一般式(IV)
【化4】
JP0004734656B2_000012t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)で表される化合物の合成方法。
【請求項4】
縮合剤としてビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを使用することを特徴とする請求項記載の合成方法。
【請求項5】
前記一般式(III)で表される化合物が、記一般式(I)で表される化合物の保護基を除去したものであることを特徴とする請求項または記載の合成方法。
【化5】
JP0004734656B2_000013t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【請求項6】
記一般式(IV)で表される化合物の環を構成する窒素原子に結合する水素原子をN,N-ジメチルホルムアミド中でCH3IとAg2Oを使用してメチル化させることを特徴とする記一般式(II)で表される化合物の合成方法。
【化6】
JP0004734656B2_000014t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【化7】
JP0004734656B2_000015t.gif
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、4分子のN-メチル-L-ロイシン、2分子のD-乳酸および2分子の3-フェニル-D-乳酸で構成されている環状オクタデプシペプチドPF1022類を効率よく合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物由来天然ペプチドは顕著な生理活性・薬理活性を示すものが多く、医薬品のリード化合物として有用である。その中の一つであるPF1022類は、多剤耐性線虫に対して強力な抗線虫活性を示す環状オクタデプシペプチド群である。このペプチドは、従来用いられてきたフィラリア治療薬ivermectinに匹敵する強い抗フィラリア活性を示し、種々の動物実験により安全性が高いことが実証されている。最近、PF1022類の1つである PF1022Aの誘導体を有効成分とする動物用医薬品Profender(登録商標)が独バイエルヘルスケア社から上市された。
【0003】
これまでにPF1022類の製造法として培養法(特許文献1、2)や化学合成法(特許文献3)が検討されてきた。

【特許文献1】特開平5-170749
【特許文献2】特開平6-184126
【特許文献3】特開平5-320148
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、PF1022類に代表されるN-メチルアミノ酸含有ペプチドを化学合成するには、予めN-メチル化したアミノ酸誘導体を原料として、乳酸誘導体と縮合させて目的物へと導く。(特許文献3、非特許文献1-3)しかし、発明者らが特許文献3を元に実際に追試を行ったところ、その全収率は2%と低く、再現性が得られなかった。PF1022類以外にも同様の構造的特徴を持った生理活性ペプチドを製造する場合も同様の問題が生じる可能性がある。
<patcit num="3"><text>特開平5-320148</text></patcit><nplcit num="1"><text>Journalof Antibiotics., 47, 1322-1327 (1994)</text></nplcit><nplcit num="2"><text>Biosci.Biotech.Biochem.,58, 1193-1194 (1994)</text></nplcit><nplcit num="3"><text>Tetrahedron,51, 8459-8470 (1995)</text></nplcit>
【課題を解決するための手段】
【0005】
以前、発明者らはN-メチルアミノ酸残基が4残基連続するペプチドを簡便に合成する方法を見出し、これを元に免疫抑制剤として使用される環状11残基ペプチド、シクロスポリン類の製造法を発明した(特許文献4)。この方法はN-メチル化されていないアミノ酸残基で構成されている前駆体をN,N-ジメチルホルムアミド中でヨウ化メチルと酸化銀と反応させることにより全てのアミド水素をN-メチル化するものである。
<patcit num="4"><text>特開2005-325061</text></patcit>
【0006】
本願の発明者らは、PF1022類の製造方法を鋭意検討した結果、N-メチル-D-ロイシンの代わりにL-ロイシンを含む環状デプシペプチドを合成後、これを上記の手法を用いて一段階でN-メチル化することにより、PF1022類の合成工程を簡便なものとし、収率を大幅に改善することが出来ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)一般式(I)で表される鎖状保護デプシペプチドの保護基を除去し、
(2)得られた一般式(III)で表される化合物を縮合剤の存在下、閉環させ、
(3)得られた一般式(IV)で表される化合物をメチル化させて、
(4)一般式(II)で表される化合物を合成する方法。
【化1】
JP0004734656B2_000002t.gif
(I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【化2】
JP0004734656B2_000003t.gif
(II)
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【化3】
JP0004734656B2_000004t.gif
(III)
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【化4】
JP0004734656B2_000005t.gif
(IV)
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々、同一または異なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
【0008】
さらに、本発明には、以下の(1)~(2)の特徴がある。
(1)縮合剤としてビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドを使用する。
(2)メチル化方法として、N,N-ジメチルホルムアミド中でCH3IとAg2Oを使用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記一般式(II)で表されるPF1022類の製造工程を簡略化し、収率を大幅に改善して製造コストを低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、上記式(II)で表されるPF1022類において、環を構成する4つの窒素原子にそれぞれ結合したメチル基が水素原子に置換された環状デプシペプチドを前駆体として合成し、この前駆体をN-メチル化することによって、従来の方法であるN-メチルアミノ酸合成後に、段階的に伸長する方法と比較して製造工程を簡略化し、大幅に収率を改善するものである。
【0011】
次に、PF1022Aを例として、本発明について詳細に説明するが、以下の具体例は、本発明を限定するものではない。
【0012】
以下の式中R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して最高8つまでの炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、あるいはアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びハロゲン、アルキル又はアルコキシで置換されていても良いアリールアルキルから選択される基を示す。
【0013】
本発明では、次の反応スキームに従ってPF1022Aの非メチル化鎖状前駆体を調製する。
【化5】
JP0004734656B2_000006t.gif
(式中、a、b、c、dは、各々、下記の反応条件を示す。)
a:トルエン中でジエチルアゾカルボキシレート、トリフェニルホスフィンを反応させる。
b:メタノール中でPd-C(5%)の存在下、水素を反応させる(水素化)。
c:4M塩酸ジオキサン溶液と反応させる。
d:N,N-ジメチルホルムアミド中でジシクロヘキシルカルボジイミドと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを反応させる。
【0014】
上記の反応式で得られた鎖状デプシペプチドの次の反応式に従って保護基を除去し、環化する。
【化6】
JP0004734656B2_000007t.gif

【0015】
そして、得られた環状デプシペプチドを次の反応式に従ってN-メチル化して、目的とするPF1022Aを得る。
【化7】
JP0004734656B2_000008t.gif

【0016】
本発明では、上記のような手順でPF1022類を合成することで、その製造工程を簡略化し、大幅に収率を改善することが出来る。
【実施例】
【0017】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、以下の具体例は、限定されるものではなく、例えば保護基や縮合剤を他の慣用のものと置換する等、適宜変更できることは勿論である。
【0018】
なお、実施例において使用した略語は、次のとおりである。
(アミノ酸、乳酸及びデプシペプチド誘導体)
Boc-Leu-OH・H2O:t-ブトキシカルボニル-L-ロイシン水和物(ペプチド研究所)
Boc-MeLeu-OH:t-ブトキシカルボニル-N-メチル-L-ロイシン
H-Lac-OBzl:L-乳酸ベンジルエステル
H-PhLac-OH:3-フェニル-L-乳酸
H-D-PhLac-OH:3-フェニル-D-乳酸
H-PhLac-OBzl:3-フェニル-L-乳酸ベンジルエステル
【0019】
(ペプチド合成用試薬)
BOP-Cl:ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(東京化成工業)
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド(和光純薬)
DCU:ジシクロヘキシル尿素
EDC・HCl:水溶性カルボジイミド塩酸塩(日本理化学薬品)
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(大塚化学)
DEAD:アゾカルボン酸ジエチルエステル(東京化成工業)
Ph3P:トリフェニルホスフィン(東京化成工業)
Ph3P=O:トリフェニルホスフィンオキシド
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン(東京化成工業)
NMM:N-メチルモルホリン(関東化学)
Bzl-Br:ベンジルブロミド(和光純薬)
Pd-C(5%):パラジウム炭素(5%)(川研ファインケミカル)
【0020】
(溶媒その他)
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド(和光純薬)
THF:テトラヒドロフラン
AcOEt:酢酸エチル(関東化学)
TLC:薄層クロマトグラフィー(Merck)
【0021】
環状(MeLeu-D-Lac-MeLeu-D-PhLac)2(PF1022A)の合成方法
(1)H-Lac-OBzlの合成:300mlナスフラスコにL-乳酸(4.09g、45.4mmol)を入れ、メタノールにて溶解させた。20%Cs2CO3水溶液でpH7に調整後、減圧濃縮した。残渣にベンゼンを加え、残存する水を共沸により除いた。さらに、残渣にDMFを加え減圧濃縮してL-乳酸セシウム塩を得た。得られたセシウム塩をDMF(100ml)に溶解し、ベンジルブロミド(7.22ml、61.0mmol)を加え、室温で23時間撹拌した。TLC分析にて原料スポットの消失を確認したので、反応液を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、生じたセシウム塩を濾去した。得られた濾液を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。無機塩を濾別し、残渣を減圧濃縮して油状のH-Lac-OBzlを定量的に得た。
【0022】
(2)Boc-Leu-D-Lac-OBzlの合成:Boc-Leu-OH・H2O(14.0g、56.0mmol)をトルエンと共に減圧濃縮し、水和水を共沸により除去した。得られたBoc-Leu-OHを蒸留トルエン(80ml)に溶解し、予めPh3P(17.6g、67.0mmol)を入れた2口ナス型フラスコに添加した。これを窒素雰囲気下、メタノール-ドライアイス浴で冷却しながら撹拌し、H-Lac-OBzl(12.2g、67.0mmol)の蒸留トルエン溶液(30ml)を加え、その後DEAD(40%トルエン溶液、30.5ml、67.0mmol)を45分間かけてゆっくりと添加した。反応系を徐々に室温に戻し、そのまま一晩撹拌した。27時間後、TLC分析を行ったところ原料スポットの消失を確認したので、反応液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン→ベンゼン:酢酸エチル=97:3(v/v)→95:5(v/v)→10:1(v/v))にて精製して油状のBoc-Leu-D-Lac-OBzl(21.6g)を得た(収率:97%)。
【0023】
(3)H-PhLac-OBzlの合成:200 mlナスフラスコにH-PhLac-OH(7.34g、44.1mmol)を入れ、メタノールにて溶解させた。20%Cs2CO3水溶液でpH7に調整後、減圧濃縮した。残渣にベンゼンを加え、残存する水を共沸により除いた。さらに、残渣にDMFを加え減圧濃縮してL-乳酸セシウム塩を得た。得られたセシウム塩をDMF(100ml)に溶解し、ベンジルブロミド(7.22ml、61.0mmol)を加え、室温で23時間撹拌した。TLC分析にて原料スポットの消失を確認したので、反応液を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、生じたセシウム塩を濾去した。得られた濾液を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。無機塩を濾別し、残渣を減圧濃縮して油状のH-PhLac-OBzlを定量的に得た。
【0024】
(4)Boc-Leu-D-PhLac-OBzlの合成:Boc-Leu-OH・H2O(13.3g、53.0mmol)をトルエンと共に減圧濃縮し、水和水を共沸により除去した。得られたBoc-Leu-OHを蒸留トルエン(60ml)に溶解し、予めPh3P(13.9g、53.0mmol)を入れた2口ナス型フラスコに添加した。これを窒素雰囲気下、メタノール-ドライアイス浴で冷却しながら撹拌し、H-PhLac-OBzl(11.3g、44.0mmol)の蒸留トルエン溶液(20ml)を加え、その後DEAD(40%トルエン溶液、30.5ml、67.0mmol)を40分間かけてゆっくりと添加した。反応系を徐々に室温に戻し、そのまま一晩撹拌した。27時間後、TLC分析を行ったところ原料スポットの消失を確認したので、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ベンゼン:酢酸エチル=100:1(v/v)→95:5(v/v))にて精製し、油状のBoc-Leu-D-PhLac-OBzl(20.2g)を得た(収率:97%)。
【0025】
(5)Boc-Leu-D-Lac-OHの合成
300mlナスフラスコにBoc-Leu-D-Lac-OBzl(11.6g、29.3mmol)を入れ、蒸留THFに溶解させた。これにPd-C(5%)を加え、水素雰囲気下室温にて38時間撹拌した。TLCにて原料スポットの消失を確認後、パラジウム触媒を濾去した。ろ液を濃縮して油状のBoc-Leu-D-Lac-OH(8.61g)を得た(収率:96%)。
【0026】
(6)Boc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzlの合成:300mlナスフラスコにBoc-Leu-D-PhLac-OBzl(14.0g、29.8mmol)を入れ、これに4M塩酸/ジオキサン(75.0ml)を加えて1.5時間室温にて放置した。TLCにて原料スポットの消失を確認後、反応液を減圧濃縮した。残渣に蒸留THFを加え再度減圧濃縮した。これを3回繰り返した。残渣を蒸留ジエチルエーテルに加えて減圧乾固させHCl・H-MeLeu-D-PhLac-OBzlを得た(収率:定量的)。
【0027】
次いで、500mlナスフラスコにHCl・H-Leu-D-PhLac-OBzl(12.1g、29.8mmol)を取り、DMF(75.0ml)に溶解した。NMMで中和して氷冷した。HOBt・H2O(4.26g、27.8mmol)を添加。Boc-Leu-D-Lac-OH(7.77g、25.3mmol)を添加。DCC(5.75g、27.9mmol)を加えて反応させた。1時間後に氷浴を外し、室温にて反応させた。17時間後、TLCにて原料が確認されたため、DCC(1.05g、5.09mmol)を添加した。36時間後、TLCにて反応終了を確認し、濃縮した。残渣をAcOEtに溶解し、生じたDCUを濾去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ベンゼン:酢酸エチル=95:5(v/v)→3:1(v/v))にて精製し、Boc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzl(16.4g)を得た(収率:99%)。。
【0028】
(7)Boc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OHの合成:300mlナスフラスコにBoc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzl(8.10g、12.4mmol)を入れ、蒸留THFに溶解させた。これにPd-C(5%)を加え、水素雰囲気下室温にて31時間撹拌した。TLCにて原料スポットの消失を確認後、パラジウム触媒を濾去した。ろ液を濃縮して油状のBoc-Leu-D-Lac-OH(8.61g)を得た(収率:96%)。
【0029】
(8)Boc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OBzlの合成:300mlナスフラスコにBoc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzl(8.04g、12.3mmol)を入れ、4M塩酸/ジオキサン(31.0ml)に溶解させ、室温にて4時間放置した。TLCにて原料スポットの消失を確認後、反応液を減圧濃縮した。残渣に蒸留THFを加え、再び減圧濃縮した。この操作を3回繰り返した。さらに、残渣を蒸留ジエチルエーテルに溶解後、減圧乾固させHCl・H-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzl定量的に得た。
【0030】
次いで、300mlナスフラスコにHCl・H-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OBzl(7.25g、12.3mmol)を入れ、DMF(50ml)に溶解させた。NMM(12.3mmol)を加えて中和し、氷冷撹拌した。これにHOBt・H2O(1.77g、11.5mmol)、Boc-Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac-OH(5.88g、10.4mmol)、DCC(2.40g、11.6mmol)を加え、そのまま1時間、さらに室温にて21時間撹拌した。TLCにて反応系に原料がわずかに残存するのが確認できたため、DCC(0.21g、1.04mmol)を追加し、氷冷下1時間撹拌、さらに室温にて17時間反応させた。TLCにて原料スポットの消失を確認し、濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、反応により生じたDCUを濾去した。濾液をクエン酸水溶液、水、飽和NaHCO3水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機相を無水Na2SO4で乾燥させた。濾過にて無機塩を除去後、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:酢酸エチル=4:1(v/v))にて精製し、白黄色の泡状固体のBoc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OBzl(11.0g)を得た(収率:96%)。
【0031】
(9)Boc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OHの合成:300mlナスフラスコにBoc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OBzl(6.80g、6.13mmol)を入れ、蒸留THFに溶解させた。これにPd-C(5%)を加え、水素雰囲気下31.5時間反応させた。TLCにて原料スポットの消失を確認後、濾過にてパラジウム触媒を除去した。濾液を濃縮し、白色の泡状固体Boc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OHを定量的に得た。
【0032】
(10)HCl・H-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OHの合成:300mlナスフラスコにBoc-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OH(5.02g、4.97mmol)を入れ、4M塩酸/ジオキサン(12.5ml)に溶解させて1.5時間室温にて放置した。TLCにて原料スポットの消失を確認後、減圧濃縮して得られた粗生成物を蒸留THFに溶解させ、再度減圧濃縮した(これを3回繰り返した)。さらに、残渣を蒸留ジエチルエーテルに溶解させ、減圧濃縮を行った。残渣にTHF-エーテル-石油エーテルを加え、生じた結晶を濾過にて採取してHCl・H-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OH(4.64g)を得た(収率:99%)。
【0033】
(11)環状(MeLeu-D-Lac-MeLeu-D-PhLac)2)(PF1022A)の合成:500ml丸底フラスコにHCl・H-(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2-OH(0.30g、0.32mmol)を入れ、蒸留ジクロロメタン(300ml)で溶解させた。これにDIEA(135.0μL、0.79mmol)加えて氷冷下撹拌した。次いでBOP-Cl(0.10g、0.38mmol)を加え、窒素雰囲気下1.5時間氷冷撹拌し、さらに室温にて24時間撹拌した。反応混合物のHPLC分析の結果、原料が約1割残存しているのを確認したため、氷冷撹拌下、DIEA(70.0μL、0.41mmol)、BOP-Cl(0.05g、0.19mmol)を追加した。反応開始から67.5時間後、HPLCにて原料ピークの消失と新たなピークの生成を確認した。反応液に飽和NaHCO3水溶液を加え1時間撹拌。分液ロートにて飽和NaHCO3水溶液1回洗浄後、Na2SO4乾燥。濾過にてNa2SO4を除去後、濃縮し、粗生成物として環状(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2を得た。
【0034】
次いで、環状(Leu-D-Lac-Leu-D-PhLac)2を蒸留DMF(10ml)に溶解させ、褐色遠心沈殿管
(IWAKI 71-095-006、直径35mm×長さ105mm)に入れた。この溶液にAg2O(1.49g、6.43mmol)、CH3I(9.10g、64.1mmol)を加えてキャップをし、クランプを取り付けた回転モーターにて撹拌。24時間後、HPLC分析にて原料ピークが消失し、新たなピークの生成を確認した。その後、反応液にメタノールを加えて室温で30分間撹拌後、濾過にて沈殿物を分別した。得られた濾液を濃縮後、残渣をAcOEtに溶解し、飽和食塩水にて洗浄して有機相を無水Na2SO4にて乾燥させた。無機塩を濾去後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ベンゼン:酢酸エチル=1:1(v/v))にて精製した。1H NMR、HPLC、ESI-MS測定の結果、目的物である環状(MeLeu-D-Lac-MeLeu-D-PhLac)2以外に不純物の存在も確認された(収量:172mg、TLC分析においてヨウ素スポットを発色させたところ目的物以外のスポットは見られなかった)。
【0035】
次いで、この混合物を低圧液体クロマトグラフィー(カラム:LiChroprep RP-18(Merck社)、 溶離液:40-100%CH3CN水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸を含む))にて精製し、目的物に該当する分画を凍結乾燥してPF1022A(59mg)を得た(単離収率:19.4%)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の方法で合成されたPF1022AのDMSO-d6中での1H NMRスペクトルを示す図。
【図2】本発明の方法で合成されたPF1022Aの赤外分光吸収スペクトル(KBr法)を示す図。
【図3】本発明の方法で合成されたPF1022Aの質量スペクトル(ESI法)を示す図。
【図4】本発明の方法で合成されたPF1022Aの高速液体クロマトグラムを示す図。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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