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明細書 :含窒素廃棄物の乾式処理方法とそのための装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4787966号 (P4787966)
公開番号 特開2008-246452 (P2008-246452A)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発行日 平成23年10月5日(2011.10.5)
公開日 平成20年10月16日(2008.10.16)
発明の名称または考案の名称 含窒素廃棄物の乾式処理方法とそのための装置
国際特許分類 C02F  11/10        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
B01D  53/86        (2006.01)
FI C02F 11/10 ZABZ
B09B 3/00 302Z
B01D 53/36 E
B01D 53/36 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願2007-094553 (P2007-094553)
出願日 平成19年3月30日(2007.3.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成19年2月19日 社団法人 化学工学会発行の「化学工学会 第72年会 研究発表講演要旨集」に発表
審査請求日 平成20年11月26日(2008.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】宝田 恭之
【氏名】森下 佳代子
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開2006-328168(JP,A)
特開2004-303482(JP,A)
特開2004-307326(JP,A)
特開2004-195454(JP,A)
特開2006-282914(JP,A)
特開2004-115688(JP,A)
特表2007-506856(JP,A)
特開2005-112956(JP,A)
特開2005-146056(JP,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
B09B 1/00- 5/00
C10B 1/00-57/18
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/24- 5/28
F23G 7/00- 7/02
F23G 7/10- 7/12
F23J 1/00- 1/08
F23J 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
堆肥および下水汚泥から選ばれる少なくとも1種の窒素を2質量%以上含有する含窒素廃棄物が上流に配置され、含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を接触させるためのNi担持炭、Ni担持アルミナ、およびリモナイトから選ばれる少なくとも1種の触媒からなる触媒層が下流に配置される反応器と、含窒素廃棄物を熱分解温度まで加熱するための試料加熱装置と、触媒層を加熱するための触媒層加熱装置と、含窒素廃棄物と触媒層との間に設けられた水蒸気供給口から反応器内へ水蒸気を供給する水蒸気供給装置とを備えた含窒素廃棄物の乾式処理装置を用いて、反応器内に配置された含窒素廃棄物を熱分解し、熱分解により生成したガス成分を水蒸気供給口から反応器内へ供給した水蒸気の存在下で温度が550~750℃の範囲内にある触媒層に接触させることを特徴とする含窒素廃棄物の乾式処理方法。
【請求項2】
堆肥および下水汚泥から選ばれる少なくとも1種の窒素を2質量%以上含有する含窒素廃棄物を乾式処理するための乾式処理装置であって、含窒素廃棄物が上流に配置され、含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を接触させるためのNi担持炭、Ni担持アルミナ、およびリモナイトから選ばれる少なくとも1種の触媒からなる触媒層が下流に配置される反応器と、含窒素廃棄物を熱分解温度まで加熱するための試料加熱装置と、触媒層を加熱するための触媒層加熱装置と、含窒素廃棄物と触媒層との間に設けられた水蒸気供給口から反応器内へ水蒸気を供給する水蒸気供給装置とを備えることを特徴とする含窒素廃棄物の乾式処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、畜産廃棄物や下水汚泥等の含窒素廃棄物の乾式処理方法とそのための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の畜産廃棄物の処理は、その大部分が堆肥とされているが、堆肥の過剰生産と施用は、河川や地下水の汚染と海域の富栄養化をもたらし、また悪臭の問題も発生する。
【0003】
このような状況下において、畜産廃棄物の堆肥以外での利用、処理法が望まれているが、たとえばスラリー状の家畜排泄物の処理法としては、発酵によりメタンを発生させエネルギーを得る技術が知られている。これに対して、堆肥は低含水率であることから、クリーンなエネルギーを得るための処理法として、熱分解・ガス化による方法(特許文献1等参照)への期待が寄せられている。

【特許文献1】特開2005-013964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、堆肥の熱分解・ガス化による処理を検討するに際して、堆肥の窒素含有量が高く、熱分解・ガス化するとNH、HCN等の有害な窒素化合物を生成するという問題がある。表1に、各種の廃棄物、バイオマス、石炭の元素分析値を示す。
【0005】
【表1】
JP0004787966B2_000002t.gif

【0006】
表1に示されるように、堆肥等の畜産廃棄物において窒素含有量が特に高いのが分かる。この他、下水汚泥も窒素含有量が高い廃棄物の一つである。たとえば、窒素含有燃料を熱分解すると、窒素分はその一部がタールからすすになるが、それ以外の大部分は、直接に、あるいはタールやチャーからの分解物として、NH、HCN、Nなどのガス成分を生成する。このうちNHは悪臭物質、HCNは猛毒であり、NHは、悪臭防止法によって規制の対象とされ、HCNは、水質環境基準その他の法規制として、非常に低い排出基準が要求されている。そのため、これらはスクラバー等を用いて除去することが必要になるが、スクラバーを用いた場合、廃液の処理問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解消し、できるだけ低温で揮発性の窒素化合物を窒素ガスまで分解し、効率的にガスを無害化できる含窒素廃棄物の乾式処理方法とそのための装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0009】
<1> 堆肥および下水汚泥から選ばれる少なくとも1種の窒素を2質量%以上含有する含窒素廃棄物が上流に配置され、含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を接触させるためのNi担持炭、Ni担持アルミナ、およびリモナイトから選ばれる少なくとも1種の触媒からなる触媒層が下流に配置される反応器と、含窒素廃棄物を熱分解温度まで加熱するための試料加熱装置と、触媒層を加熱するための触媒層加熱装置と、含窒素廃棄物と触媒層との間に設けられた水蒸気供給口から反応器内へ水蒸気を供給する水蒸気供給装置とを備えた含窒素廃棄物の乾式処理装置を用いて、反応器内に配置された含窒素廃棄物を熱分解し、熱分解により生成したガス成分を水蒸気供給口から反応器内へ供給した水蒸気の存在下で温度が550~750℃の範囲内にある触媒層に接触させることを特徴とする含窒素廃棄物の乾式処理方法。
【0013】
<2> 堆肥および下水汚泥から選ばれる少なくとも1種の窒素を2質量%以上含有する含窒素廃棄物を乾式処理するための乾式処理装置であって、含窒素廃棄物が上流に配置され、含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を接触させるためのNi担持炭、Ni担持アルミナ、およびリモナイトから選ばれる少なくとも1種の触媒からなる触媒層が下流に配置される反応器と、含窒素廃棄物を熱分解温度まで加熱するための試料加熱装置と、触媒層を加熱するための触媒層加熱装置と、含窒素廃棄物と触媒層との間に設けられた水蒸気供給口から反応器内へ水蒸気を供給する水蒸気供給装置とを備えることを特徴とする含窒素廃棄物の乾式処理装置。
【発明の効果】
【0015】
上記のとおりの本発明によれば、含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を特定の触媒に接触させて改質するようにしたので、熱分解温度が比較的低温である条件において、触媒により、揮発性の窒素化合物を窒素ガスまで分解し、効率的にガスを無害化することができる。すなわち、触媒で処理された改質ガスは、HCNがNに分解されて無害化され、窒素含有液状生成物もNまで分解され、さらに、NHがNに分解されるので悪臭も防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0017】
本発明において乾式処理の対象となる含窒素廃棄物の具体例としては、窒素含有量が比較的高く含水率が比較的低いもの、たとえば堆肥、下水汚泥などが挙げられる。堆肥としては、豚糞コンポスト、鶏糞コンポスト、その他家畜の糞等を発酵して得られるものであれば特に制限はないが、窒素を比較的多量に含むもの、たとえば2質量%以上含有するものが好適である。
【0018】
本発明では、この含窒素廃棄物を加熱して熱分解し、熱分解により生成したガス成分をNi担持炭、Ni担持アルミナ、およびリモナイトから選ばれる少なくとも1種の触媒に接触させる。含窒素廃棄物の熱分解温度は、その種類にもよるが、たとえば300~900℃の範囲である。
【0019】
触媒のNi担持炭としては、たとえば、イオン交換能を有する低品位炭粒子にニッケル塩水溶液を含浸する方法で得られるものを用いることができる。中でも、Ni/C(質量比)が0.1~1の範囲内にあり、粒径が0.5~10mmの範囲内にあるNi担持褐炭を用いることが好ましい。
【0020】
触媒のNi担持アルミナとしては、γ-アルミナ等の多孔質のアルミナ担体にニッケル塩水溶液を含浸する方法で得られるものなどを用いることができる。中でも、Ni/Al(質量比)が0.1~0.5の範囲内にあり、粒径が0.5~10mmの範囲内にあるものを用いることが好ましい。
【0021】
触媒のリモナイトは、沼地や浅い海などの鉄分を多く含む水が空気に触れて沈殿した黄土で、「褐鉄鉱」、「沼鉄鉱」とも称されるものであり、吸着剤等として市販されているもの、熟成したもの等を用いることができる。
【0022】
含窒素廃棄物の熱分解により生成する含窒素ガスには、Nの他、NH、HCN、tar-Nなど含まれるが、これを上記の触媒に接触させることにより、大部分がNに変換される。熱分解により生成したガス成分の接触時における触媒の温度は、たとえば500~900℃、好ましくは550℃~750℃、より好ましくは650℃~700℃である。触媒の温度が高過ぎると、乾式処理のための運転効率が低下する。触媒の温度が低過ぎると、NHやHCNなどの揮発性窒素化合物を十分にNに変換できない。
【0023】
含窒素廃棄物の熱分解により生成したガス成分を触媒に接触させるときに、これを水蒸気の存在下に行うようにしてもよい。これによって、水蒸気がガス化剤として作用し、Nへの変換率を増加させ、N以外の含窒素化合物の割合を低減させることができる。触媒への水蒸気の供給量は、25℃で0~30kPaが好ましい。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態における含窒素廃棄物の乾式処理装置を概略的に示した図である。同図において、符号1は全体として本実施形態の乾式処理装置を示している。この乾式処理装置1は、反応器2を備えており、反応器2内の反応室3には、含窒素廃棄物の試料20と触媒層30が上下2段に配置されるようになっている。
【0025】
試料20は、反応室3内における上段の試料配置部4に配置され、上記したNi担持炭などの触媒は、反応室3内における下段の触媒層配置部5に触媒層30として配置される。
【0026】
試料配置部4の高さ位置における反応器2の外周部には、試料20を加熱して熱分解するための試料加熱装置10が設けられている。また、触媒層配置部5の高さ位置における反応器2の外周部には、触媒層30を加熱するための触媒層加熱装置11が設けられている。
【0027】
さらに、この乾式処理装置1は、試料20の上流にある不活性ガス供給口6からAr、Nなどの不活性ガスを反応室3内にキャリアガスとして供給する不活性ガス供給装置12と、反応室3内に、試料20と触媒層30との間の位置にある水蒸気供給口7から水蒸気を供給する水蒸気供給装置13とを備えている。
【0028】
反応器2における触媒層30の下流には、試料20の熱分解により生成したガス成分が触媒層30を通過して改質された改質ガス成分を反応器2外へ排出するガス排出口8が設けられている。そしてガス排出口8の下流には、必要であれば、ガス排出口8から排出された改質ガス成分の精製や分析をするための精製・分析装置14が設置される。
【0029】
以上の構成を備えた本実施形態の乾式処理装置1により、次のようにして含窒素廃棄物の試料20の改質ガス化が行われる。最初に、Ni担持炭などのガス改質用の触媒を、反応器2内の触媒層配置部5に層状に固定して触媒層30とする。触媒層30は、試料20の熱分解ガス成分が全て触媒層30を通過するように隙間なく敷設され、その厚みや密度は、試料20の熱分解により生じたHCN、NHなどの有害成分が十分にNに改質されると共に、ガス成分が触媒層30を通過することを過度に妨げないこと等を考慮して適宜のものとされる。
【0030】
そして、反応器2内における触媒層30の上流に設けられた試料配置部4に、含窒素廃棄物の試料20を配置する。
【0031】
このようにして反応器2内における上段に試料20を配置し下段に触媒層30を固定化した後、不活性ガス供給装置12により、試料20の上流にある不活性ガス供給口6から反応器2内に不活性ガスを供給し、ガス排出口8まで流通させて反応室3内を不活性ガス雰囲気とする。
【0032】
そして、反応器2の外周部に設置された触媒層加熱装置11により触媒層30を所要の温度まで加熱する。次いで、試料加熱装置10により試料20を所要の温度まで加熱することにより、試料20の熱分解を開始させる。
【0033】
試料20の熱分解により生成したガス化成分は、上流から供給されるキャリアガスと共に下流の触媒層30まで流れてゆく。そして、触媒層30に到達した上記ガス成分は、所定温度に加熱された触媒層30に接触することで、HCN、NHなどの有害成分が低減されたガスに改質される。
【0034】
なお、必要であれば、さらに水蒸気供給装置13により、試料20と触媒層30との間に設けられた水蒸気供給口7から反応室3内へ加熱水蒸気を供給し、水蒸気の存在下に試料20を触媒層30に接触させるようにしてもよい。
【0035】
触媒層30に接触して改質され、その後触媒層30を下流へ通過した改質ガス成分は、反応器2のガス排出口8より反応器2外へ排出される。必要であれば、ガス排出口8の下流に精製/分析装置14を設置して、改質ガス成分を吸着、濾過、分離等によりさらに精製したり、改質ガス成分中のHCN、NHなどの有害成分を監視するようにしてもよい。
【0036】
こうして含窒素廃棄物の試料20をクリーンなガス成分に変換した後、このガス成分はエネルギー源等として再利用してもよいし、大気中に放出してもよい。たとえば、熱分解ガス成分中のHCN、NHなどが触媒層30によって分解され水素が生成しているので、改質ガス成分から水素を回収することも可能である。
【0037】
以上において、反応器2の材質としては、試料20の熱分解温度や触媒層30の温度において耐熱性を有するものであれば特に制限はないが、石英や、融点が1000℃を超える金属材などが考慮される。反応器2のスケールは目的に応じて適宜のものとされる。また、試料配置部4と触媒層配置部5は、試料20や触媒層30を固定でき、かつ、ガス成分の流通を妨げないものであればどのような構造のものでもよいが、望ましくは、これらの試料配置部4と触媒層配置部5や、反応器2の内面の材質としては、処理後に残存する固体炭素成分の除去が容易なものが用いられる。
【0038】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例示によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0039】
<実施例1~3、比較例1>
試料として、107℃の温度で1時間乾燥させた豚糞コンポスト約1gを使用した。表2に試料の分析値を示す。
【0040】
【表2】
JP0004787966B2_000003t.gif

【0041】
図2に示す上下二段の固定層二段反応器52を用いて、Ni担持炭を触媒として上記試料の接触分解を行った。Ni担持炭(褐炭 約7g 粒径0.5-1.0mm Ni含有量10wt%)を、反応室53内の触媒層配置部55に固定して層厚2cmの触媒層30として固定した。
【0042】
そして、反応室53内における触媒層30の上流に設けられた試料配置部54に、試料20として豚糞コンポスト約1gを配置した。その後、試料20の上流にある不活性ガス供給口56から反応室53内に70kPaのArまたはNを供給し、ガス排出口58まで流通させて反応室53内を不活性ガス雰囲気とした。
【0043】
そして、触媒層30の高さ位置において固定層二段反応器52の外周部に設置された電気炉61により、触媒層30を650℃に加熱した。次いで、試料20の高さ位置において固定層二段反応器52の外周部に設置された電気炉60により、試料20を室温から900℃まで10℃/minの速度で昇温した。これにより、試料20の熱分解を行った。なお、試料20および触媒層30の温度は熱電対により測定した。
【0044】
試料20の熱分解により生成したガス成分を、上流から供給されるキャリアガスと共に下流の触媒層30まで流通させ、当該ガス成分を触媒層30に接触させた。
【0045】
そして、触媒層30を下流へ通過したガス成分をガス排出口58より排出し、これを氷浴71中のトラップ72に導入してNHとHCNをイオン交換水で回収すると共に、その下流にあるガスバック73にNを回収した。トラップ72に回収したNHとHCNをイオンクロマトグラフィーで分析し、ガスバック73に回収したNをガスクロマトグラフィー(TCD)で分析した。また、熱分解後に反応室53内に残ったチャー中窒素を元素分析により定量した。
【0046】
また、触媒として、Ni/Al(実施例2:市販品をあらかじめ水素還元処理したもの 約5g 粒径0.5-1.0mm Ni含有量20wt% 触媒層30の層厚2cm)、リモナイト(実施例3:約7g 粒径0.5~1.0mm(ただし、ペレット化してから粉砕したもの) 触媒層30の層厚2cm)、川砂(比較例1:約10g 触媒層30の層厚2cm)を用いた以外は実施例1と同様の条件で試料20の乾式処理を行った。
【0047】
実施例1~3および比較例1における回収物の窒素分布の分析結果を図3に示す。触媒としてNi担持炭を用いた実施例1では、揮発含窒素成分の大部分がNに改質された。NHはほとんど検出されず、HCNは検出下限以下であった。
【0048】
触媒としてNi/Alを用いた実施例2も同様に、揮発含窒素成分の大部分がNに改質された。NHはほとんど検出されず、HCNは検出下限以下であった。
【0049】
触媒としてリモナイトを用いた実施例3も同様に、揮発含窒素成分の大部分がNに改質された。NHはほとんど検出されず、HCNは検出下限以下であった。なお、その他の含窒素揮発成分の生成がややみられたが、これは、炭素収支よりタールは存在せず、触媒中のFeと化合したものとは考えにくいことから(Naoto Tsubouchi, Catalysis Letters Vol. 105, Nos. 3-4, December 2005参照)、すす中のNと他のガス状窒素化合物のいずれかもしくは両方であると推定される。
【0050】
川砂を用いた比較例1では、Nへの変換は少なく、多くのNHが検出され、HCNも検出された。また、その他の窒素化合物も多く検出された。
<実施例4>
触媒層の温度を550℃とした以外は、実施例2(触媒:Ni/Al)と同様の条件で試料の乾式処理を行った。回収物の窒素分布の分析結果を図4に示す。
【0051】
図4に示されるように、触媒層30の温度を650℃とした実施例2と比較して、実施例4ではNの割合がやや減少したものの、NHとHCNはほとんど検出されなかった。
<実施例5>
実施例2(触媒:Ni/Al)と同様の条件で試料の乾式処理を行うと共に、さらに、マイクロフィーダー70を用いて、水蒸気供給口57から、試料20と触媒層30との間より反応室53内へ30kPaの水蒸気を供給し、水蒸気の存在下に、試料20の熱分解により生成したガス成分を触媒層30に接触させた。回収物の窒素分布の分析結果を図5に示す。
【0052】
図5に示されるように、水蒸気を添加した実施例5では、実施例2と比較してNへの変換率がさらに増加し、揮発性窒素化合物のほぼ全てがNに変換された。また、NHとHCNもほとんど検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態における含窒素廃棄物の乾式処理装置を概略的に示した図である。
【図2】実施例および比較例の試験に用いた装置の概略を示した図である。
【図3】実施例1~3と比較例1の乾式処理後における回収物の窒素分布の分析結果を示すグラフである。
【図4】実施例4の乾式処理後における回収物の窒素分布の分析結果を示すグラフである。
【図5】実施例5の乾式処理後における回収物の窒素分布の分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 含窒素廃棄物の乾式処理装置
2 反応器
3 反応室
4 試料配置部
5 触媒配置部
6 不活性ガス供給口
7 水蒸気供給口
8 ガス排出口
10 試料加熱装置
11 触媒層加熱装置
12 不活性ガス供給装置
13 水蒸気供給装置
14 精製/分析装置
20 試料
30 触媒層
52 固定層2段反応器
53 反応室
54 試料配置部
55 触媒配置部
56 不活性ガス供給口
57 水蒸気供給口
58 ガス排出口
60 電気炉
61 電気炉
70 マイクロフィーダー
71 氷浴
72 トラップ
73 ガスバック
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4