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明細書 :無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法と低品位炭のガス化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5124771号 (P5124771)
公開番号 特開2008-248363 (P2008-248363A)
登録日 平成24年11月9日(2012.11.9)
発行日 平成25年1月23日(2013.1.23)
公開日 平成20年10月16日(2008.10.16)
発明の名称または考案の名称 無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法と低品位炭のガス化方法
国際特許分類 C22B  23/00        (2006.01)
C10J   3/02        (2006.01)
C22B   7/00        (2006.01)
C22B   3/24        (2006.01)
C02F   1/42        (2006.01)
FI C22B 23/00 102
C10J 3/02 ZABA
C22B 7/00 G
C22B 3/00 K
C02F 1/42 G
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2007-094554 (P2007-094554)
出願日 平成19年3月30日(2007.3.30)
審査請求日 平成20年11月26日(2008.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】宝田 恭之
【氏名】森下 佳代子
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】河口 展明
参考文献・文献 特開2005-013964(JP,A)
特開平09-176861(JP,A)
特開2006-328168(JP,A)
特開昭53-054120(JP,A)
特開2004-307983(JP,A)
調査した分野 C22B 1/00-61/00
C02F 1/42
C10J 3/02
特許請求の範囲 【請求項1】
無電解Niめっき廃液に塩基性水溶液として豚尿を添加し、塩基性のNi担持液を調製する工程(A)と、このNi担持液と低品位炭粒子とを混合し、これによりNi担持液中のNiを低品位炭粒子に担持させ、Ni担持炭としてNiを回収する工程(B)とを含むことを特徴とする無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
【請求項2】
工程(A)において、前記無電解Niめっき廃液からNi含有塩を濾過分離し、この濾過分離したNi含有塩を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に前記塩基性水溶液を添加してNi担持液を得ることを特徴とする請求項1に記載の無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
【請求項3】
工程(A)において、前記無電解Niめっき廃液にNaOHを添加して無電解Niめっき廃液からNi(OH)を濾過分離し、この濾過分離したNi(OH)を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に前記塩基性水溶液を添加してNi担持液を得ることを特徴とする請求項1または2に記載の無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
【請求項4】
無電解Niめっき廃液に塩基性水溶液として豚尿を添加して塩基性のNi担持液を調製し、このNi担持液と低品位炭粒子とを混合してNi担持液中のNiを低品位炭粒子に担持させて得られたNi担持炭を熱分解してガス化することを特徴とする低品位炭のガス化方法。
【請求項5】
前記塩基性のNi担持液は、前記無電解Niめっき廃液からNi含有塩を濾過分離し、この濾過分離したNi含有塩を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に前記塩基性水溶液を添加することによって得ることを特徴とする請求項4に記載の低品位炭のガス化方法。
【請求項6】
前記塩基性のNi担持液は、前記無電解Niめっき廃液にNaOHを添加して無電解Niめっき廃液からNi(OH)を濾過分離し、この濾過分離したNi(OH)を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に前記塩基性水溶液を添加することによって得ることを特徴とする請求項4または5に記載の低品位炭のガス化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法と低品位炭のガス化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無電解Niめっき(Electro Nickel Plating:以下「ENP」と略す。)は、硬度が高く、耐食性に優れ複雑な形状にも均一な膜厚でめっきできること等から、自動車、電子、精密機器その他の各種の産業分野で利用されている。
【0003】
ENPは、近年では連続型めっき液と全自動管理装置を組み合わせたシステムのもとで使用されることが多くなり、それに伴い大量の老化めっき液が排出されている。ENP廃液の生産量は年間約13万tにも達し、その2/3は産業廃棄物として業者委託により処理されている。
【0004】
こうした背景から、環境に対する負荷をより低減するためにENP廃液の新たな処理技術が望まれている。このようなENP廃液の処理に際しては、有用な金属種である廃液中のNiを単離してこれを再利用することが望まれるが、ENP廃液中には緩衝剤や調製剤などが共存するため、有効な再利用が難しいのが現状である。
【0005】
また、ニッケル合金等において、地金を購入して混ぜている場合や、廃棄物由来の純度の低いニッケルを混ぜている場合があるが、最近のニッケル価格の高騰により、より安価なニッケル資源が望まれており、また、廃棄物由来のニッケルは純度が低く、スラグ量の低減を考えた場合、より純度の高いニッケル資源が求められている。
【0006】
一方、Niは褐炭に代表される低品位炭のガス化において非常に有効な触媒であることが知られている(特許文献1参照)。たとえば、イオン交換金属としてNiを担持した低品位炭を熱分解した後にガス化すると、ガス化過程において担持Niが高活性ガス化触媒として作用するため、担体の低品位炭を比較的低温でガス化して、H、CH、CO、CO等の火力発電、燃料電池、都市ガス、化学原料等に利用可能なガスを生成できる。また、Ni担持炭をガス化した後の残渣からは、粒子サイズが制御された金属単体、金属酸化物、金属炭化物、金属炭酸塩、金属粒子含有炭素などの各種の粒子が得られる。
【0007】
さらに、粉砕したバイオマスを上記のNi担持炭を触媒としてガス生成炉内でガス化すると、バイオマスの熱分解で生成したガスおよびタール状物質が分解・改質されてH、CH、CO、CO等のガスを生成できることも知られている(特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2005-013964号公報
【特許文献2】特開2006-328168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来では低品位炭に担持させるNi源として、たとえばニッケル鉱石からアンモニア侵出法により侵出させたヘキサアミンニッケル炭酸塩水溶液などが用いられていたが、上記のように各種の有用な用途をもつNi担持低品位炭をより安価に製造することが望まれていた。そして、低品位炭に担持させるNi源を、環境に配慮した形で、たとえば再利用する形態で利用できればさらに望ましい。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解消し、ENP廃液からNiを有効な再利用が可能な形態で回収でき、さらに、各種の有用な用途をもつNi担持炭を安価に、Niを再利用する形態で得ることができるENP廃液中のNiの回収方法と低品位炭のガス化方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0011】
<1> 無電解Niめっき廃液に塩基性水溶液として豚尿を添加し、塩基性のNi担持液を調製する工程(A)と、このNi担持液と低品位炭粒子とを混合し、これによりNi担持液中のNiを低品位炭粒子に担持させ、Ni担持炭としてNiを回収する工程(B)とを含むことを特徴とする無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
【0014】
> 工程(A)において、無電解Niめっき廃液からNi含有塩を濾過分離し、この濾過分離したNi含有塩を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に塩基性水溶液を添加してNi担持液を得ることを特徴とする<1>の無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
【0015】
> 工程(A)において、無電解Niめっき廃液にNaOHを添加して無電解Niめっき廃液からNi(OH)を濾過分離し、この濾過分離したNi(OH)を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に塩基性水溶液を添加してNi担持液を得ることを特徴とする<1>または<2>に記載の無電解Niめっき廃液中のNiの回収方法。
> 無電解Niめっき廃液に塩基性水溶液として豚尿を添加して塩基性のNi担持液を調製し、このNi担持液と低品位炭粒子とを混合してNi担持液中のNiを低品位炭粒子に担持させて得られたNi担持炭を熱分解してガス化することを特徴とする低品位炭のガス化方法。
> 塩基性のNi担持液は、無電解Niめっき廃液からNi含有塩を濾過分離し、この濾過分離したNi含有塩を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に塩基性水溶液を添加することによって得ることを特徴とする<4>に記載の低品位炭のガス化方法。
> 塩基性のNi担持液は、無電解Niめっき廃液にNaOHを添加して無電解Niめっき廃液からNi(OH)を濾過分離し、この濾過分離したNi(OH)を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に塩基性水溶液を添加することによって得ることを特徴とする<4>または<5>に記載の低品位炭のガス化方法。
【発明の効果】
【0016】
上記のとおりの本発明によれば、低品位炭を利用してENP廃液よりNiを回収することとしたので、ENP廃液からNi担持炭としてNiを簡便に回収することができる。
【0017】
また、ENP廃液を利用して、安価に、かつNiを再利用する形態でNi担持炭を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0019】
本発明では、工程(A)として、ENP廃液に塩基性水溶液を添加し、塩基性のNi担持液を調製する。本発明においてNi回収の対象となるENP廃液は、ニッケルイオン、還元剤の次亜リン酸イオン、錯化剤、pH調整剤、またはpH緩衝剤として機能するクエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸、その他、安定剤や光沢剤などを含有し、また、化学還元反応で副生した亜リン酸や硫酸ナトリウムなどの水溶性塩が含まれることが多い。亜リン酸や硫酸ナトリウムなどの副生成物が蓄積すると析出膜の物性するため、老化しためっき液は廃棄される。
【0020】
ENP廃液中におけるNiは、たとえばNiCl,NiSO等として、数g/l程度の濃度で存在することが多い。本発明では、これを必要に応じて希釈または濃縮して用いるようにしてもよい。
【0021】
また、工程(A)において、ENP廃液からNi含有塩を濾過分離し、この濾過分離したNi含有塩を含むNi分離液を調製し、このNi分離液に塩基性水溶液を添加してNi担持液を得るようにしてもよい。このようにすることで、Niのイオン交換による低品位炭への担持を阻害するENP廃液中の添加成分、たとえばpH調整剤やpH緩衝剤などの影響を排除し、高いNi担持率をもつNi担持炭を得ることができる。
【0022】
このようなNi分離液は、たとえば、水酸化ナトリウム等の強塩基を用いてNi(OH)を廃液から濾別する方法や、あるいは廃液を濃縮した後、塩酸、アンモニア等を用いて複数回の濾過処理を行う方法などにより調製することができる。
【0023】
ENP廃液には、低品位炭へイオン交換によりNiを担持させるために、塩基性水溶液が添加される。この塩基性水溶液としては、Ni担持液において安定な[Ni(NH]2+イオンを形成できる等の点から、アンモニア水溶液を用いることが好ましい。
【0024】
アンモニア水溶液としては、豚尿を利用することができる。このように豚尿を用いることで、廃棄物同士を組み合わせたものを褐炭等の低品位炭に混ぜるだけで容易にNiを回収することができる。豚尿は、必要に応じて濃縮または希釈して用いることができ、たとえばpH8~9程度の状態で使用することが好ましい。
【0025】
ENP廃液に塩基性水溶液を添加して得られるNi担持液のpHは、低品位炭粒子とのイオン交換を十分に促進させることを考慮して、好ましくは8~11の範囲内に調製される。
【0026】
このようにして塩基性のNi担持液を調製した後、工程(B)として、Ni担持液と低品位炭粒子とを混合し、これによりNi担持液中のNiを低品位炭粒子に担持させ、Ni担持炭としてNiを回収する。
【0027】
低品位炭は、一般に発熱量が5,000kcal/kg以下の石炭として定義されるものであり、石炭資源の半分を占めている。その具体例としては、褐炭(炭化度70~78%)、亜炭(炭化度~70%)、泥炭(炭化度~60%)等を挙げることができる。一般に石炭には水酸基やカルボキシル基などの酸素を含む官能基が多く存在するが、低品位炭(低炭化度炭)に分類されるものは特にこのような官能基を多く含み、たとえばフェノール基、アルカリ性水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、メトキシ基、エーテル結合などを有し、これらがイオン交換基として作用する。したがって、これらの含酸素官能基によりNiがイオン交換して高分散に担持され、Ni含有炭が生成される。低品位炭粒子の粒径は、特に制限はないが、取り扱い製やNiイオンとの接触効率を考慮すると30μm~5mmの範囲が好ましい。
【0028】
Ni担持液と低品位炭粒子とを攪拌混合し、たとえば、室温で数分間~数十時間撹拌することで、イオン交換により低品位炭粒子にNiが担持される。その後、たとえば不活性ガスの雰囲気下で乾燥することにより、Ni担持炭としてENP廃液からNiを回収できる。Ni担持率は、Niを触媒とした低担持粒子のガス化効率等を考慮すると、好ましくは3.5重量%以上である。
【0029】
このようにして得られたNi担持炭は、熱分解してガス化することにより、イオン交換されて担持されているNiがガス化過程で高活性ガス化触媒として作用し、担体の低品位炭粒子を比較的低温でガス化して、H、CH、CO、CO等のガスを生成することができる。これらの生成ガスは、火力発電、都市ガス、化学原料等に利用できる。
【0030】
一方、Ni担持炭をガス化した後の残渣からは、粒子サイズが制御された金属単体、金属酸化物、金属炭化物、金属炭酸塩、金属粒子含有炭素などの各種粒子が得られる。これらの粒子は、粉末冶金原料、電極材料、高活性脱硫剤、高活性脱塩剤などに利用できる。このように、褐炭等の低品位炭からクリーンエネルギーを生産できるとともに、化学組成および粒子サイズが制御された付加価値の高い機能性粒子からなる新素材を生産できる。
【0031】
あるいは、スギやヒノキ等の木質系バイオマス、籾殻、稲藁等の農業系バイオマス、牛糞や鶏糞等の畜産系バイオマス等を粉砕したものと共にこのNi担持炭をガス生成炉に入れて、不活性ガス雰囲気またはガス化剤中で、たとえば大気圧下500~700℃の範囲で加熱し、これによりガス生成炉内でNi担持炭を触媒として、バイオマスの熱分解で生成したガスおよびタール状物質が分解・改質されてH、CH、CO、CO等の火力発電、燃料電池、都市ガス、化学原料等に利用可能なガスが生成される。
【0032】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例示によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0033】
<実施例1>
低品位炭として、粒径45~75μmのオーストラリア産Loy-Yang褐炭を使用した。その工業分析値および元素分析値を表1に示す。
【0034】
【表1】
JP0005124771B2_000002t.gif

【0035】
この実施例において使用したENP廃液(以下「ENP(I)」という。)は、Ni濃度4.17g/L、pH4.90であった。また、豚尿(以下「PWL」という。)は、pH8.85であった。
【0036】
最初に、次の塩基性Ni担持液を調製した。
Ni担持液(A):ENP(I)15mlにNH水溶液を加えてpH9.89としたもの
Ni担持液(B):ENP(I)15mlにPWLを加えたもの
Ni担持液(C):NiSO水溶液15mlにNHを加えてpH10.42としたもの
Ni担持液(D):NiSO水溶液にPWLを加えてpH7.80としたもの
上記の褐炭0.6gと、上記のNi担持液とを混合して3時間攪拌し、その後吸引濾過して濾液を除去した。次いで、濾液のpHが一定になるまで蒸留水による洗浄と濾過を繰り返した後、濾過残渣を、窒素雰囲気下、107℃で12時間乾燥し、Ni担持炭を得た。
【0037】
このようにして得られたNi担持炭について、次のようにしてNi担持率を測定した。0.1mol/l HNO50mlにNi担持炭500mgを混合して1時間攪拌し、その後、混合液を濾過する操作を2回繰り返した。2回の濾過により得られた濾液を蒸留水で希釈し、この希釈溶液を用いて原子吸光分析によりNi量を測定した。
【0038】
Ni担持液(A)~(D)を用いて調製したNi担持炭のNi担持率を表2に示す。
【0039】
【表2】
JP0005124771B2_000003t.gif

【0040】
<実施例2>
実施例1で用いたENP廃液(ENP(I))より、次のようにして、Niを分離したNi担持液(以下「ENP(II)」という。)を調製した。ENP(I)500mlに、1mol/lのNaOH750mlを加えた。これによりENP(I)中のNiをNi(OH)として沈殿させ、これを吸引濾過、洗浄して濾紙上の固形分を集め、この固形分を1mol/lのHClに溶解して、3.27g/lのENP(II)を得た。
【0041】
次いで、このENP(II)20mlにNH水溶液を加えてpH9.92のNi担持液(E)を調製した。
【0042】
そして、実施例1で用いた褐炭0.6gと、このNi担持液(E)とを混合して3時間攪拌し、その後吸引濾過して濾液を除去した。次いで、濾液のpHが一定になるまで蒸留水による洗浄と濾過を繰り返した後、濾過残渣を、窒素雰囲気下、107℃で12時間乾燥し、Ni担持炭を得た。このNi担持炭のNi担持率を実施例1と同様に原子吸光分析により測定したところ、6.20重量%であった。
<実施例3>
実施例1で用いたENP廃液(ENP(I))より、次のようにして、Niを分離したNi担持液(以下「ENP(III)」という。)を調製した。ENP(I)100mlを加熱して濃縮し、黄色の固形分として残った残渣に蒸留水100mlを加えて30分攪拌した。この溶液を吸引濾過して濾紙上の固形分を集め、この固形分に1mol/lのHCl30mlを加えて再び30分攪拌した。
【0043】
次いで、この溶液を吸引濾過し、得られた濾液に25%NH水溶液を少量ずつ加え、この溶液を吸引濾過した。そして濾紙上の固形分を集め、この固形分を1mol/lのHCl30mlに溶解して、1.53g/lのENP(III)を得た。
【0044】
次いで、このENP(III)20mlにNH水溶液を加えてNi担持液(F)を調製した。
【0045】
そして、実施例1で用いた褐炭0.6gと、このNi担持液(F)とを混合して3時間攪拌し、その後吸引濾過して濾液を除去した。次いで、濾液のpHが一定になるまで蒸留水による洗浄と濾過を繰り返した後、濾過残渣を、窒素雰囲気下、107℃で12時間乾燥し、Ni担持炭を得た。このNi担持炭のNi担持率を実施例1と同様に原子吸光分析により測定したところ、6.22重量%であった。
<実施例4>
実施例2と同様にしてENP(II)溶液から調製したNi担持炭の試料(Ni担持率5.6wt%)について、熱天秤(アルバック理工社製高速熱天秤 TGD7000:炉長140mm)を用いて熱分解実験を行った。始めに、試料50mgを石英セルにのせて、熱天秤にセットし、真空にした後、パージガスとして200ml/minのNガスを流して系内を置換した。
【0046】
次いで、100ml/minでNガスを流しながら、100K/minの速度で423Kまで試料を昇温させて、昇温開始から計10分間保持した。
【0047】
次いで、100ml/minでNガスを流すと共に、さらに150ml/minで水蒸気(分圧60kPa)を流し、500K/minの速度で973Kまで試料を昇温させて、試料から揮発分を放出させると共に、試料の熱分解・ガス化を進行させた。試料のガス化は、重量減少速度が比較的大きい第1段階のガス化と、それよりも重量減少速度が小さい第2段階のガス化の順で進行した。
【0048】
次いで、237.5ml/minでNガスを流すと共に、さらに12.5ml/minでOガスを流し、973Kの温度を保持しながら試料を燃焼させた。
【0049】
ガス化時間と炭素転化率との関係を図1に示す。図中、Ni担持率5.6wt%のものがENP(II)溶液から調製したNi担持炭を試料としたものである。その他、Ni担持率6.1wt%のものは、実施例1におけるNi担持液(D)と同様のものから調製したNi担持炭を試料としたものであり、Ni担持率2.7wt%、5.5wt%、8.9wt%のものは、実施例1におけるNi担持液(C)と同様のものから調製したNi担持炭を試料としたものである。0wt%のものは、褐炭をそのまま試料として用いたものである。
【0050】
同図に示されるように、ENP(II)溶液から調製したNi担持炭は、加熱によりガス化が進行し、ENP廃液より調製したNi触媒により褐炭のガス化が促進されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例4における試料のガス化時間と炭素転化率との関係を示したグラフである。
図面
【図1】
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