TOP > 国内特許検索 > 渦輪装置 > 明細書

明細書 :渦輪装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3774760号 (P3774760)
公開番号 特開2002-317747 (P2002-317747A)
登録日 平成18年3月3日(2006.3.3)
発行日 平成18年5月17日(2006.5.17)
公開日 平成14年10月31日(2002.10.31)
発明の名称または考案の名称 渦輪装置
国際特許分類 F04D  23/00        (2006.01)
F04D  11/00        (2006.01)
F15D   1/12        (2006.01)
F03D   1/04        (2006.01)
FI F04D 23/00 Z
F04D 11/00
F15D 1/12 Z
F03D 1/04 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2001-125003 (P2001-125003)
出願日 平成13年4月23日(2001.4.23)
審査請求日 平成13年4月24日(2001.4.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145308
【氏名又は名称】国立大学法人 琉球大学
発明者または考案者 【氏名】永井 實
審査官 【審査官】刈間 宏信
参考文献・文献 特開平08-166207(JP,A)
特開平02-207194(JP,A)
米国特許第4829929(US,A)
調査した分野 F04D 23/00
F04D 11/00
F15D 1/12
F03D 1/04
特許請求の範囲 【請求項1】
圧縮や引っ張りが容易な柔軟材から成る円柱または円筒を輪状に形成し、回転駆動力を与えることによって、円柱または円筒の中心を軸にして連続回転可能に構成されていることを特徴とする渦輪装置。
【請求項2】
前記の輪状が、円形や多角形その他の任意形状の輪状であることを特徴とする請求項1に記載の渦輪装置。
【請求項3】
前記のように形成した渦輪が複数段に配設され、それぞれの渦輪が所定の方向に回転駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の渦輪装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、空気や水などの流体の流れを誘起するための渦輪装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来の高効率のダクト付き風力発電装置の模式断面図である。ノズル1とその先のラッパ状のディフューザ2との間の最も括れた部分に風車3を配設してある。そして、ノズル1が常時風上に向くようにしておくと、ノズル1に流入した風は、括れ部分で加速されるので、風車3は高速で効率良く駆動される。したがって、この風車3で発電機を駆動すれば、高効率の風力発電が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構造にしても、大きな課題が残り、ダクト付き風力発電装置はなかなか実用化に至っていない。すなわち、風車3の駆動力をさらに高める必要がある。つまり、ノズル1を通過し風車3をよぎる際の風速を更に高速にする必要がある。
【0004】
本発明の発明者は、ノズル1の流入端やディフューザ2の流出端における風速をさらに速めることで、括れ部における風速をさらに高速化可能との結論に達した。
【0005】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、流体の流れを誘起して流体流を発生したり加速したりするのに適する渦輪装置を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、圧縮や引っ張りが容易な柔軟材から成る円柱または円筒を輪状に形成し、回転駆動力を与えることによって、円柱または円筒の中心を軸にして連続回転可能に構成されている渦輪装置である。
【0007】
このように、柔軟材から成る円柱または円筒を輪状に形成し、該円柱または円筒の中心を軸にして連続回転可能に構成されている渦輪を用いると、該円柱または円筒の回転方向に周囲の流体がその粘性によって引きずられるため、流体の流れが発生し、次第に高速の流体流となる。
【0008】
したがって、この渦輪を用いると、効果的に流体流を発生させたり、すでに発生している流体流を加速したりするのに用いることができる。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の輪状が、円形や多角形その他の任意の輪状である渦輪装置である。
【0010】
このように、輪状として、円形や多角形その他の任意形状の渦輪を形成できる。したがって、流体が発生している部分の断面形状に応じた輪形状とすることにより、どのような形状の流体流部分にでも適用できる。
【0011】
請求項3は、請求項1または請求項2に記載のように輪状に形成した渦輪が複数段に配設され、それぞれの渦輪が所定の方向に回転駆動されるように構成されている渦輪装置である。それぞれの渦輪は独立して駆動してもよいし、連動して駆動してもよい。また、回転方向は同じ方向でも逆方向でもよい。
【0012】
このように、渦輪が複数段に配設され、それぞれの渦輪が同じ方向に回転駆動されるように構成されていると、それぞれの渦輪の相互作用により、単一の渦輪の場合よりもさらに高速化が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明による渦輪装置が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図2は本発明による渦輪装置の全容を示す斜視図である。4は円筒体であり、リング状(輪状)に形成されている。材質は、圧縮や引っ張りが容易な柔軟材である。例えば、軟質ゴムや軟質な合成樹脂、スポンジなどが考えられるが、これらに限定されない。。
【0014】
この渦輪装置Rを、矢印a1で示すように、円筒体4の中心を軸にして連続回転させることで、周囲流体の流れを発生させることができる。すなわち流体の粘性により、円筒体4の周囲の流体が円筒体4の外面に引きずられて回転するからである。円筒体4の回転開始時にはわずかな流速でも、次第に流速が速まり、遂には高速で大量な流体流となる。そして、矢印a1方向の流体流を総合すると、白抜き矢印のような高速かつ大量の流体流となる。
【0015】
この渦輪装置Rに矢印a1方向の回転を発生させるには、駆動モータを円筒体4の中に内蔵したり、外部に配設したモータで駆動する。図3の渦輪装置Rは、120度間隔に3か所に軸受け5を設けてある。これらの軸受け5は、図示されない支持体に支持されることは言うまでもない。
【0016】
そして、1個のモータMが、一つの軸受け5に連結され、出力軸は、円筒体4の隣接する端部に連結されている。したがって、モータMが始動すると、その出力軸で円筒体4が駆動され、矢印a1方向に連続回転する。
【0017】
図4は、軸受け機構の各種実施形態である。図4(1)は、図3の軸受け5の拡大断面図である。隣接する円筒体4の隣接する端部4a、4aに軸6の両端が圧入されている。軸受け5に対し軸6が回転自在に支持されているので、円筒体4は軸受け5に支持された状態で連続回転できる。なお、軸受け5は、他の支持体7に支持されている。
【0018】
図4(2)の軸受け5は、モータMの本体と連結されている。モータMの出力軸6は、両端が前記の円筒体端部4a、4aに圧入されている。したがって、モータMが始動すると、その出力軸6で円筒体4が回転する。
【0019】
図4(3)の軸受け5は、円筒体4の外周を支持する構造である。また、円筒体4をプーリ9に挿入して接着などの手法で固定し、プーリ9に嵌めたベルト8を別置きのモータの出力軸のプーリに連結する。このように、円筒体4とは別の位置に設けたモータで駆動してもよい。プーリ9に代えて、歯車などを用いてもよい。
【0020】
図4(3)のような軸受け構造および駆動力伝達構造では、円筒体4は連続体にできるが、図3や図4(1)(2)のように要所要所に軸受け5が介在する構造でもよい。
【0021】
図5以下は、本発明の渦輪装置の使用例である。図5は、図1の高効率風力発電装置に実施した例の模式断面図である。ノズル1の流入端に本発明の渦輪装置R1を配設し、ディフューザ2の流出端に本発明の渦輪装置R2を配設してある。渦輪装置R1、R2共、矢印a1方向、すなわちノズル1中の空気流と同じ向きに回転する。
【0022】
このように、ノズル1の流入端において、本発明の渦輪装置R1が矢印a1方向に連続回転することによって、風上から流入して来た風は、渦輪装置R1の連続回転によって引きずられて流れる矢印a1方向の空気流によって加速され、図1の場合より高速の空気流が括れ部中の風車3に到達する。
【0023】
また、ディフューザ2の流出端において、本発明の渦輪装置R2が矢印a1方向に連続回転することによって、風車3の背部から流出した風は、渦輪装置R2の連続回転によって引きずられて流れる矢印a1方向の空気流によって吸引されて加速される。その結果、ノズル1の流入端のみに本発明の渦輪装置R1を設ける場合よりも、さらに括れ部の中を通過する流速が速くなる。
【0024】
このように、渦輪装置がR1、R2のように複数段配設され、それぞれの渦輪が同じ方向に回転駆動されると、それぞれの渦輪の相互作用により、単一の渦輪の場合よりもさらに高速の空気流が得られる。
【0025】
ノズル1の流入端やディフューザ2の流出端に渦輪装置R1、R2を配設する場合、ノズル1やディフューザ2の内部を流れる空気流に支障を来す場合は、図示のように凹部に収納するのが好ましい。すなわち、ノズル1およびディフューザ2の内部の空気流に対する加速効果を発生する部分のみをノズル1およびディフューザ2側に露出させる。
【0026】
図6は、空中を飛行する流線型の物体にかかる流体抵抗を減少させる実施形態である。図6(1)において、10は飛行体あるいは飛行体の一部である。この飛行体10の外周に本発明の渦輪装置Rを巻き付ける。すなわち、図6(2)のように、飛行体10の外周に凹溝を形成し、その中に渦輪装置Rを嵌め込む。このように、渦輪装置Rは、飛行体10の飛行方向に対し直角に配置する。
【0027】
軸受け構造は、図4の構造をそのまま採用できる。そして、前記の実施形態の場合と同様にして、渦輪装置Rを矢印a1方向に連続回転させると、渦輪が無い場合には壁面における流体の速度零の状態を解消し、流れを大きく加速することによって、結果的に大幅な流体抵抗の減少を実現する。
【0028】
なお、空中の飛行体を例示したが、水中を進行する物体または部分の場合も同様なことが言える。
【0029】
図7は、渦輪の形状の他の実施形態である。前記の実施形態はいずれも円形の輪状であるが、図7の場合は、長方形に閉じた輪状である。空気流の流通部の断面形状が長方形状の場合は、それに合わせて図示のような長方形の輪状にする。しかも、長方形状の渦輪を、41、42のように2段に配置し、相互の加速効果を利用して、より高速化を実現している。
【0030】
図7は長方形状であるが、用途や適用場所に応じて、他の種類の形状を採用してもよい。
【0031】
また、図7の渦輪41、42の一部を採用することもできる。例えば、長方形状のうちの直線部の一部を用いて、矢印a1方向に連続回転させて、流体流を発生させたり、加速したりする。
【0032】
なお、このように渦輪が複数段に配設される場合に、用途によっては互いに逆方向に回転させることも有りうる。
【0033】
以上の実施形態では、主に空気流の発生・加速を例示したが、本発明は水流の発生・誘起にも適用できる。また、円筒体4に代えて円柱体を用いることもできる。要するに、流体流と接する外面が円であればよく、流体流と接しない部位の形状は特に問題とならない。さらに、円筒体や円柱体には、円筒状体や円柱状体も含まれるものとする。
【0034】
【発明の効果】
請求項1のように、柔軟材から成る円柱または円筒を輪状に形成し、該円柱または円筒の中心を軸にして連続回転可能に構成されている渦輪を用いると、該円柱または円筒の回転方向に周囲の流体がその粘性によって引きずられるため、流体の流れが発生し、次第に高速の流体流となる。
【0035】
したがって、この渦輪を用いると、効果的に流体流を発生させたり、すでに発生している流体流を加速したりするのに用いることができる。
【0036】
請求項2のように、輪状として、円形や多角形その他の任意の形状を形成できる。したがって、流体が発生している部分の断面形状に応じた形状とすることにより、どのような形状の流体流部分にでも適用できる。
【0037】
請求項3のように、渦輪が複数段に配設され、それぞれの渦輪が同じ方向に回転駆動されるように構成されていると、それぞれの渦輪の相互作用により、単一の渦輪の場合よりもさらに高速化が可能となる。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の高効率のダクト付き風力発電装置の模式断面図である。
【図2】 本発明による渦輪装置の全容を示す斜視図である。
【図3】 渦輪装置の軸受け構造を説明する斜視図である。
【図4】 渦輪装置の軸受け構造の各種実施形態であり、(1)は図3の軸受け5の拡大断面図、(2)は軸受けとモータと連結した構造、(3)は円筒体の外周を支持する軸受けである。
【図5】 本発明の渦輪装置を図1の高効率風力発電装置に実施した例の模式断面図である。
【図6】 本発明の渦輪装置を飛行物体に実施した形態であり、(1)は全容を示し、(2)は要部の拡大断面図である。
【図7】 長方形状の渦輪装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ノズル
2 ディフューザ
3 風車
R 渦輪装置
4 円筒体または円柱体
5 軸受け
6 軸
7 支持体
8 ベルト
9 プーリ
10 飛行体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6