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明細書 :パパイア種子を用いた健康食品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5142116号 (P5142116)
公開番号 特開2007-006804 (P2007-006804A)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
発行日 平成25年2月13日(2013.2.13)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
発明の名称または考案の名称 パパイア種子を用いた健康食品
国際特許分類 A23L   1/30        (2006.01)
FI A23L 1/30 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2005-192892 (P2005-192892)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
審査請求日 平成20年4月30日(2008.4.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145308
【氏名又は名称】国立大学法人 琉球大学
発明者または考案者 【氏名】上江洲 榮子
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100116296、【弁理士】、【氏名又は名称】堀田 幹生
審査官 【審査官】渡邉 潤也
参考文献・文献 特開平11-043412(JP,A)
特開2004-075638(JP,A)
特開2004-035425(JP,A)
特開2001-258496(JP,A)
特開平10-306033(JP,A)
星川清親,料理・菓子の材料図説 2 フルーツ,日本,柴田書店,1977年,初版,144~146頁
Res. Commun. Chem. Pathol. Pharmacol.,1978年,Vol.22, No.2,pp.277-289
伊澤一男,薬草カラー大事典,株式会社主婦の友社,第一刷
朝倉礦造,果汁・果実飲料事典,株式会社朝倉書店,1978年,初版第1刷,69~70頁
社団法人日本家政学会第54回大会研究発表要旨集,2002年 6月 1日,p.74, P-24
Psychiatry and Clinical Neurosciences,1998年,Vol.52,p.136-137
薬局,2001年,Vol.52, No.2,p.65-73
治療,2001年,No.83, No.10,p.41-45
調査した分野 A23L 1/27-1/308
CAplus(STN)
MEDLINE(STN)
BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
食ネット
特許請求の範囲 【請求項1】
パパイアの種子を主原料とし、当該原料の加熱乾燥粉末または凍結乾燥粉末と、桑の実およびアキノワスレグサの花や茎の白い部分や根から選ばれた1以上の物の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、およびエタノール抽出物から選ばれた1以上の物とを含む健康食品。
【請求項2】
さらに、セントジョーンズワートの加熱乾燥粉末、濃縮乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物から選ばれた1以上の物を含む、請求項1記載の健康食品。
【請求項3】
さらに、かのこ草の加熱乾燥粉末、濃縮乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物から選ばれた1以上の物を含む、請求項1または2に記載の健康食品。
【請求項4】
さらに、未熟のパパイアを、0℃からマイナス80℃付近までの温度で凍結させ再び解凍することによって得られた果汁の原液または濃縮液または乾燥粉末を含む、請求項1から3のいずれかの項に記載の健康食品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パパイア種子の有効成分を用いた健康食品に関し、特に睡眠改善機能に着目した健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
パパイアは、熱帯アメリカが原産地で、日本では沖縄等の亜熱帯地域で栽培されている。パパイアの果肉にはビタミンC、ビタミンAが豊富に含まれており、栄養学的にも優れた果物である。さらに、パパイアには蛋白質分解酵素パパイン、カルパイン、タンニン、サポニンが含まれている。パパインは、食肉を軟らかくし、条虫などの駆除剤、ビール・醤油の清澄剤として使われる。カルパインは、アルカロイドの一種であり、鎮静作用、強心作用を示し、鎮静剤、強心剤として用いられる。タンニンは、抗酸化作用、ガン抑制作用があるといわれている。サポニンは、肥満抑制に効果があるといわれている。
【0003】
パパイアの有効成分を利用する方法として、特許文献1には、未熟果パパイアの切断細片を乾燥後炒ることにより得られたパパイア茶や、粉末にしたパパイア加工食品が開示されている。
また、特許文献2には、パパイア果肉の乾燥粉末またはパパイア果肉から抽出されるキモパパインに、シアン化物の単体物またはシアン化物とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との複合物を添加した健康食品が提案されている。
特許文献3には、パパイア種子抽出物を有効成分とする静菌および抗菌剤が開示されている。
【0004】

【特許文献1】特開平10-14549号公報
【特許文献2】特開2000-83619号公報
【特許文献3】特開平11-43412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パパイアは熟果をフルーツとして生で食するほか、パパイアの未熟果を野菜として利用する場合もある。その場合、種子や皮が廃棄物として産出され、大量である場合、処理に困る。特に種子は、加熱せずゴミとして廃棄したり、畑の肥料として利用したりした場合、芽を出し、雑草となる場合がある。
本発明者は、パパイア種子の有効性について検討している過程で、粉末状にしたものを夕食後に摂取してみたところ、眠気を誘うことがあることを発見した。
睡眠薬や睡眠改善作用を示す健康食品や漢方薬はすでに存在するが、パパイア種子が睡眠改善作用を有するという報告はされていない。また、パパイア種子は鎮静作用を示すカルパインを多く含むが、その睡眠作用については報告がなかった。
【0006】
本発明は、このような知見に基づき、従来は廃棄されることが多いパパイア種子を、睡眠改善機能に着目して有効利用する健康食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の構成は、パパイアの種子を主原料とし、当該原料の加熱乾燥粉末または凍結乾燥粉末と、桑の実およびアキノワスレグサの花や茎の白い部分や根から選ばれた1以上の物の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、およびエタノール抽出物から選ばれた1以上の物とを含む健康食品である。
本発明の第2の構成は、さらに、セントジョーンズワートの加熱乾燥粉末、濃縮乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物から選ばれた1以上の物を含む健康食品である。
本発明の第3の構成は、さらに、かのこ草の加熱乾燥粉末、濃縮乾燥粉末、水または熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物から選ばれた1以上の物を含む健康食品である。
本発明の第4の構成は、さらに、未熟のパパイアを、0℃からマイナス80℃付近までの温度で凍結させ再び解凍することによって得られた果汁の原液または濃縮液または乾燥粉末を含む健康食品である。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来は廃棄されることが多いパパイア種子を、睡眠改善機能に着目した健康食品として有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
睡眠の客観的評価のために、活動量を測定した。
活動量測定は、腕時計型の活動量計測器(アクチグラフ、Mini-Motion logger Actigraph,AMI社、米国)を用い0.01G以上の加速度を持つ体動の1分毎の数を測定し、これを活動量とみなした。
【0010】
図1~図4は4名の被験者における活動量記録結果を示している。それぞれの被験者が4日間のコントロール記録(C1~4)の後に、パパイア種子の粉末4gを夕食後に飲用し、さらに4日間記録(E1~4)した。横軸は時刻を示す。振幅の大きい部分は起きて活動していることを示す。振幅がほとんどない部分は、休息や睡眠状態で、活動していないことを示している。横にまっすぐな線は、アクチグラフを腕から外している状態であるので、データとしては除く。
【0011】
この図1~図4において、被験者1から3は、記録開始から4日間の対照夜に比較して、摂取した実験夜においては入眠時間が30分~3時間早くなっていることが読みとれる。被験者4の場合、図4に示すように、実験夜(E1~4)の入眠時間は早くならず、睡眠時間も延長していない。この人の場合、対照夜(C1~4)の夜間の睡眠時間は成人の平均睡眠時間よりも長く、7~10時間にもわたっており、昼間の12時まで寝ている日があることが、図から読みとれる。しかも昼間も休息または睡眠状態である時間がしばしばあり、このタイプの人の夜間の睡眠時間をさらに延長する作用はないと言える。しかし、E3の日においては、昼間の2時から6時半まで昼寝をしていながら、夜間も1時から翌日の昼12時までぐっすり寝ていることが図から読みとれる。したがって、この粉末の摂取は何らかの睡眠作用や鎮静作用を示したと考えられる。また、摂取したすべての人が、目覚めがすっきりしたと感想を述べた。
【実施例1】
【0012】
パパイア種子や未熟果の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物に、表1に示す抗酸化活性の強い植物の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物を添加することもできる。
【0013】
【表1】
JP0005142116B2_000002t.gif

【0014】
表の説明
各植物を10倍量の75%エタノール中にて破砕し、1晩4度にて抽出した後、遠心分離し、DPPH(1,1-Diphenyl-2-Picrylhydrazyl)法により上澄みの50μLの抗酸化活性を測定した。高値ほど抗酸化活性が高い。
【0015】
DPPH法とは、不飽和脂肪酸ラジカルのモデルとして安定なフリーラジカルであり、ラジカル消去作用を持つ物質と反応すると、溶液の色が紫色から無色に変化するという性質を利用した抗酸化作用の測定方法である。表1は、各植物の抽出液を、遠心分離し、ミリポアフィルター(25μm)によりろ過し、DPPH法により上澄みの50μLの抗酸化活性を測定したものである。高値ほど抗酸化活性が高い。
【実施例2】
【0016】
パパイア種子や未熟果の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物と、桑の実や、アキノワスレグサの花や茎の白い部分や根の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物とを混合して、睡眠改善剤を得る。
【0017】
文献によると、桑の実には、睡眠改善作用が見られるので、これをパパイア種子抽出物に加えることができる。また、アキノワスレグサの花や茎の白い部分や根には睡眠改善作用を示す可能性があることを下記の実験により知見したので、これを添加することもできる。
【0018】
実験に用いた料理は、生鮮アキノワスレグサの花を30gの他、豆腐、豚肉、島菜を含む野菜炒めである。1名の被験者における活動量記録を、図5および図6に示す。図5は、この野菜炒めを摂取しないときのコントロールの活動記録を示すグラフ、図6はその野菜炒めを摂取したときの活動記録を示すグラフである。図5および図6において、縦方向に細かく刻まれているのは動きを示し、横軸の数値は時刻を示す。振幅のほとんどない部分は、体動のない休息または睡眠状態を示す。この被験者の場合、寝付きも良く、睡眠のリズムもほぼ規則的であったが、図5の活動記録は、被験者が夜間に目覚めてなかなか寝付けないことを示す。上に示した野菜炒めを夕食に摂取したところ、図6に示すように、被験者の深夜の覚醒の回数が減少している。なお、野菜炒めの具としては、後述の表1に示した植物の中、可食な植物を加えることもできる。また、レトルトパウチ食品として保存することもできる。
【実施例3】
【0019】
パパイア種子や未熟果の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物と、桑の実や、アキノワスレグサの花や茎の白い部分と根の加熱乾燥粉末、凍結乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物と、さらに、セントジョーンズワートや、かのこ草の加熱乾燥粉末へ濃縮乾燥粉末、または水や熱水抽出物、泡盛抽出物、エタノール抽出物とを混合することもできる。
セントジョーンズワートや、かのこ草の成分も、睡眠改善作用を示す可能性があるので、これらを添加することもできる。
【0020】
パパイア種子に多く含まれるカルパインは鎮静作用があるといわれる反面、多量では心臓に対して毒作用を示すともいわれているので、この成分を最小限に抑えて効果を発揮させるために、睡眠作用を示すかのこ草やアキノワスレグサの乾燥粉末やその抽出物を添加することを特徴とする。かのこ草の睡眠作用については多くの報告があるが、独特の匂いのために利用をためらう人もいる。したがって、かのこ草、パパイア種子、アキノワスレグサの3者を混合する利点がある。
【0021】
かのこ草については、セイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis L.)でも、国産のカノコソウ(V.officinalis L. var.angustifolia Miq.)でもよいこととする。
【0022】
1回摂取量の混合割合は、パパイア種子乾燥粉末0.1g~10g(生鮮品の場合は0.5g~100g)を基本とし、カノコソウ(吉草根)の乾燥物0.1~15gまたはその抽出物またはアキノワスレグサの花、葉茎、根の少なくとも1種を含むものとする。アキノワスレグサの各部位の1回用量は生鮮重量で3g~60gとする。
【0023】
健康食品の製品の形態は、ソフトカプセル、ハーブテイー、レトルトパウチ食品が考えられる。
【実施例4】
【0024】
パパイア未熟果を細かくスライスして、0℃からマイナス80℃に凍結した後、解凍する場合得られる液100mlには、カルシウムが約50mg含まれている。カルシウムは骨を強くするとともに、神経に対して鎮静作用を示す。牛乳はカルシウムのよい供給源であるが、寝る前のホットミルクの摂取で寝つきにくい人がいたり、高たんぱく質食はかえって入眠時間を遅らせたりするとの報告もある。したがって、たんぱく質を含まない植物由来のカルシウムを提供することができることは利点である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、通常は、果肉を取った後に廃棄されることが多いパパイア種子を用い、睡眠改善機能を利用した健康食品として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】被験者1における活動量記録結果を示すグラフである。
【図2】被験者2における活動量記録結果を示すグラフである。
【図3】被験者3における活動量記録結果を示すグラフである。
【図4】被験者4における活動量記録結果を示すグラフである。
【図5】実験で用いたアキノワスレグサを含む野菜炒めを摂取しないときのコントロールの活動記録を示すグラフである。
【図6】実験で用いたアキノワスレグサを含む野菜炒めを摂取したときの活動記録を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5