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明細書 :光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590645号 (P4590645)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
発明の名称または考案の名称 光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法
国際特許分類 G02F   1/35        (2006.01)
G02F   1/365       (2006.01)
FI G02F 1/35
G02F 1/365
請求項の数または発明の数 24
全頁数 25
出願番号 特願2007-501621 (P2007-501621)
出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
国際出願番号 PCT/JP2006/301780
国際公開番号 WO2006/082897
国際公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
優先権出願番号 2005028319
優先日 平成17年2月3日(2005.2.3)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年3月30日(2007.3.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】坂東 弘之
【氏名】松末 俊夫
【氏名】高橋 了
個別代理人の代理人 【識別番号】100091579、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 芳譽
審査官 【審査官】佐藤 宙子
参考文献・文献 特開2002-323684(JP,A)
特開平06-021918(JP,A)
特開平04-194825(JP,A)
Ultra-Short Optical Pulses,IEE Colloquim on,1993年11月,6/1-6/4
Appl.Phys.Lett.,1990年 4月 2日,Vol.56,No.14,1305-1307
IEEE Photon.Tech.Lett.,2003年10月,Vol.15,No.10,1422-1424
Appl.Phys.Lett.,2000年 7月17日,Vol.77,No.3,355-357
Appl.Phys.Lett.,2004年 7月12日,Vol.85,No.2,239-241
調査した分野 G02F 1/35
IEEE Xplore
AIP-Journal
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
制御光で信号光をオン/オフする光-光スイッチング方法において、
InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0.4以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)のいずれかの組成からなる二光子吸収特性を有する化合物半導体(ただし、量子井戸、量子細線、量子ドットのような量子効果のある構造および半導体周期構造を有しない)に、光強度の低い信号光を照射しつつ、光強度の高い制御光を間欠的に照射し、該制御光の照射時には発生した二光子吸収により該信号光の通過を遮断し、該制御光の非照射時には該信号光を通過させることを特徴とする光-光スイッチング方法。
【請求項2】
Ga1-xAs中の0より大きく0.53以下であり、InAl1-yAs中の0以上0.69以下であり、InGa1-z中のが0.4以上0.75以下であることを特徴とする、請求項1記載の光-光スイッチング方法。
【請求項3】
前記信号光と前記制御光は、式[hc/λsignal+hc/λcontrol ≧ hc/λgap (式中、h:プランク定数、c:光の速度、λsignal:信号光の波長、λcontrol:制御光の波長、λgap:前記化合物半導体の基礎吸収端の波長)]の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光-光スイッチング方法。
【請求項4】
前記化合物半導体が単結晶であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項記載の光-光スイッチング方法。
【請求項5】
前記化合物半導体がバルク半導体であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項記載の光-光スイッチング方法。
【請求項6】
InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0.4以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)のいずれかの組成からなる二光子吸収特性を有する化合物半導体(ただし、量子井戸、量子細線、量子ドットのような量子効果のある構造および半導体周期構造を有しない)、該化合物半導体へ入力する制御光と信号光の伝播手段および該半導体を透過した信号光の伝播手段からなることを特徴とする光-光スイッチング素子。
【請求項7】
Ga1-xAs中の0より大きく0.53以下であり、InAl1-yAs中の0以上0.69以下であり、InGa1-z中のが0.4以上0.75以下であることを特徴とする、請求項6記載の光-光スイッチング素子。
【請求項8】
前記化合物半導体が単結晶であることを特徴とする、請求項6または請求項7記載の光-光スイッチング素子。
【請求項9】
前記化合物半導体がバルク半導体であることを特徴とする、請求項6~請求項8のいずれか1項記載の光-光スイッチング素子。
【請求項10】
前記制御光の伝播手段前記信号光の伝播手段が導波路であり、前記化合物半導体へ連結していることを特徴とする、請求項6~請求項9のいずれか1項記載の光-光スイッチング素子。
【請求項11】
前記信号光の入力用導波路前記制御光の入力用導波路と、前記信号光出力用導波路とが、前記化合物半導体を挟んで対向位置にあることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項12】
前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路とが、前記化合物半導体を挟んで対向位置にあり、前記制御光入力用導波路が、前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路を結ぶ直線に交叉するように前記化合物半導体に連結していることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項13】
前記化合物半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項14】
各導波路と前記化合物半導体とが基板上に形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項15】
前記化合物半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする請求項14記載の光-光スイッチング素子。
【請求項16】
前記化合物半導体、前記クラッド、前記導波路ともに層状であり、前記化合物半導体、前記クラッドは、下部クラッド層、前記化合物半導体層、上部クラッド層の順に、および前記導波路は、下部クラッド層、コア層、上部クラッド層の順に、基板上に形成されていることを特徴とする請求項15記載の光-光スイッチング素子。
【請求項17】
前記化合物半導体が平面視にて正方形または長方形であることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項18】
前記化合物半導体が平面視にて略T字形であり、前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路が、略T字の横線部分を挟んで対向位置に連結しており、前記制御導波路が略T字の縦線の下端に連結していることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項19】
前記一対の導波路間の距離は、100nm~500μmの範囲内にあることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項20】
基板上に前記化合物半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする請求項14記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項21】
基板上に、下部クラッド層、前記化合物半導体層、ついで上部クラッド層を積層する工程および導波路用の下部クラッド層、コア層、ついで上部クラッド層を積層する工程からなることを特徴とする、請求項16記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項22】
二光子吸収特性を有する化合物半導体結晶ウェーハ上に、エピタキシー成長法を用いて前記化合物半導体層を形成する工程および前記導波路を形成する工程からなることを特徴とする請求項21記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項23】
前記化合物半導体層を形成する工程は、分子線エピタキシー法又は有機金属化学堆積法を用いることを特徴とする請求項22記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項24】
(1)基板上に前記化合物半導体用下部クラッド層を形成し、該下部クラッド層上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する前記化合物半導体コア層を形成し、ついで該コア層上に前記化合物半導体用上部クラッド層を形成する工程、(2)前記上部クラッド層上(但し、平面視にて略T字形状の導波路形成予定領域を除く)にレジスト層を形成する工程、(3)導波路形成予定領域の前記上部クラッド層、前記コア層および前記下部クラッド層をエッチングして除去する工程、(4)前記レジスト層上と導波路形成予定領域の基板上に導波路用下部クラッド層を形成し、該導波路用下部クラッド層上に導波路用コア層を形成し、ついで該導波路用コア層上に導波路用上部クラッド層を形成する工程、(5)前記レジスト層およびその上層部をリフトオフする工程、(6)平面視にて略T字形状の導波路領域および前記化合物半導体用上部クラッド層上にレジスト層を形成する工程、(7)前記レジスト層で被覆されていない前記化合物半導体用上部クラッド層、前記化合物半導体コア層および前記化合物半導体用下部クラッド層をエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジスト層を除去する工程からなることを特徴とする、請求項12を引用した請求項17記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング方法、二光子吸収スイッチング素子、すなわち二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会において情報量の増大化が顕著であり、それに対応すべく光を用いた光通信及び光情報処理システムの構築が期待されている。特に光通信及び光情報処理システムにおいては、光交換器、光中継器などが期待され、これを実現するには光を用いるスイッチング素子やこれらを用いた論理回路などが必要である。光を用いるスイッチング素子やこれらを用いた論理回路においては、広い波長領域において高速に応答することが求められている。
【0003】
制御光により信号光のオン/オフを制御する光-光スイッチが、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されている。
【0004】
特許文献1、特許文献2記載の光-光スイッチは一光子吸収特性を有する半導体を利用しており、特許文献3の光-光スイッチは二光子吸収特性を有する擬一次元遷移金属化合物を利用している。
【0005】
図1(A)は一光子吸収特性を示す概念図である。
【0006】
一光子吸収特性は、図1(A)の上部の伝導帯と下部の価電子帯との間のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光が当たれば、一個の光子を吸収して価電子帯から伝導帯に電子が遷移するという特性である。
【0007】
特許文献1記載の光-光スイッチは、一光子吸収特性を利用しており、半導体薄膜のバンドギャップエネルギーがその制御光や信号光などの光の波長に対応するフォトンエネルギーよりも80meV以上小さくなるようにしたものである。この光-光スイッチは、高速応答性を得るために,バンド端波長(基礎吸収端)ではなく、それよりも短い波長(バンド内部波長)を利用しており、そのために低温成長の試料を用いる必要がないことを特徴としている。
【0008】
ここで、一光子吸収を利用した可飽和吸収特性は、強い光励起密度によって発生した高密度キャリアが状態密度を占有するために生じるバンドフィリング効果、あるいは高密度キャリアによって生じる多体効果であるバンドギャップのリノーマリゼーション効果、更にはワニエ励起子に基づく位相空間フィリング効果などによって生じるものである。そのため、価電子帯から伝導帯に励起された電子が元に戻るためには再結合過程を経なければならない。
【0009】
しかしながら、特許文献1の光-光スイッチでは、結局、励起キャリアのバンド端での再結合過程を高速化しているわけではないため、励起されたキャリア(電子,ホール)がバンド端にたまってしまい、連続使用すると特性が劣化していく「パターン効果」が発生するという問題がある。
【0010】
特許文献2記載の光-光スイッチは、一光子吸収特性を利用しており、半導体基板上に製作したIII -V族化合物半導体からなる半導体薄膜結晶において、該薄膜結晶は成長温度が150℃~450℃の範囲であり、V族元素とIII 族元素のビーム強度比V/III が2~200の範囲であり、Be又はCのドーパントがドープされているという条件で成長されており、該薄膜結晶がそのバンド端波長で吸収飽和の過渡特性において1ps程度の時定数を持つ急峻な応答だけを示し、その他の緩慢応答は無視できる程度に小さくするものである。つまり、広波長帯域性・超高速性を得るために、Be又はCドーピングと低温成長をした半導体材料を用いて緩慢応答成分を除去することを特徴としている。
【0011】
しかしながら、特許文献2記載の意図的に薄膜中に結晶欠陥を導入する手法では各半導体材料に応じて成長温度やドーパント量などを個々に調節しなければならず、また再結合速度は有限であるために連続パルス照射時にはキャリアの蓄積が生じる「パターン効果」が生じやすいという問題がある。
【0012】
特許文献1、特許文献2記載の一光子吸収特性を利用した光-光スイッチは、光通信波長として極めて有用な1200nm~1700nmの範囲の様々な波長に対する高速応答が実現されていないという問題もある。
【0013】
さらには、一光子吸収を利用した光非線形材料の中には同時に起こる二光子吸収に阻害されて使いにくい恐れがあるものがあり問題である。
【0014】
一方、材料の二光子吸収特性とは、光強度の高い光を当てると二つの光子を用いた遷移確率(二光子吸収)が上がり、材料の光の吸収係数が増加する特性である。図1(B)は二光子吸収特性を示す概念図である。図1(B)で示すように光強度の高い光を当てると二個の光子を吸収して価電子帯から伝導帯に電子が遷移するという特性である。
【0015】
なお、InPにおける二光子吸収特性が下記非特許文献1に記載されており、GaAsとInPにおける二光子吸収特性の検討が下記非特許文献2に記載されているが、ともに光-光スイッチへの応用は、記載も示唆もされていない。また、GaAsは二光子吸収特性を実質的に有するとは言えず、光-光スイッチングへ応用は困難である。
【0016】
特許文献3記載の光-光スイッチは、光で別の光をオンオフする光-光スイッチにおいて、非線形光学材料として擬1次元遷移金属酸化物を使用し、ポンプ光(制御光)とプローブ光(信号光)のフォトンエネルギーの和を、二光子吸収のピークの近傍に設定したことを特徴としている。特許文献3記載の光-光スイッチは、二光子の各々のエネルギー(波長)を変え、二光子吸収の効率のよい二光子のエネルギー和を検討している。そして、その二光子のエネルギー和値における二光子吸収の時間応答を検討している。
【0017】
特許文献3記載の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチ、すなわち光-光スイッチング素子は、非線形光学材料がSrCuO又はSrCuOであり、組成を変化させることができないため、物性(波長依存性や2光子吸収特性など)の最適化ができないという問題、基板上に成長できないため光導波路を作製し難いという問題、デバイスの集積化に向かないという問題がある。
【0018】
光-光スイッチにおける信号光の波長は、通常の光通信波長域(1200nm-1700nm)にあることが好ましく、特には最もよく使用される1550nm(=0.8eV)近傍であることが好ましい。しかしながら、特許文献3では、信号光の波長が1550nm(=0.8eV)である場合の二光子吸収特性である透過率変化の測定結果は無く、信号光の波長が光通信波長域(1300nm-1600nm)の範囲であったとしても、1.38μm、すなわち1380nm(=0.9eV)での二光子吸収特性である透過率変化の測定結果はτ=1.8psという遅い応答成分が大きく、この遅い成分があるために次の信号光の透過率が影響されてしまうという問題がある。
【0019】

【特許文献1】特開2003-84321号公報
【特許文献2】特開2003-270596号公報
【特許文献3】特許第3533137号公報
【非特許文献1】D.Vignaudら、“Two-photon absorption in InP substrates in the 1.55μm range”、Appl.Phys.Lett.、2004年、85巻、2号、239~241頁
【非特許文献2】C.C.Leeら、“Two-photon absorption and photoconductivity in GaAs and InP”、Appl.Phys.Lett.、20巻、1号、18~20頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、連続使用しても「パターン効果」が生じにくく、光通信波長域において広波長帯域性を有し、高速応答の光-光スイッチングが可能である光-光スイッチング方法;連続使用しても「パターン効果」が生じにくく、材料設計上の尤度が高く、すなわち材料組成を変化させることにより光学物性(波長依存性や二光子吸収特性)の最適化が容易であり、作製条件の制限がゆるく、すなわちドーパント、量子準位等の条件設定が不要であり、基板上での作製が容易であり、デバイスの集積化が可能である光-光スイッチング素子、および前記光-光スイッチング素子を効率よく簡易に製造することができる光-光スイッチング素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は、以下の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法により達成される。
【0022】
本願第1群の発明は、以下の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング方法に関する。
【0023】
[1]制御光で信号光をオン/オフする光-光スイッチング方法において、二光子吸収特性を有する半導体に、光強度の低い信号光を照射しつつ、光強度の高い制御光を間欠的に照射し、該制御光の照射時には発生した二光子吸収により該信号光の通過を遮断し、該制御光の非照射時には該信号光を通過させることを特徴とする光-光スイッチング方法。
[2]前記信号光と前記制御光は、式[hc/λsignal+hc/λcontrol ≧ hc/λgap (式中、h:プランク定数、c:光の速度、λsignal:信号光の波長、λcontrol:制御光の波長、λgap:前記半導体の基礎吸収端の波長)]の関係を満たすことを特徴とする[1]記載の光-光スイッチング方法。
[3]前記半導体は、その基礎吸収端の波長が1700nm以下であり、1200nm~1700nmの範囲内、且つ、該基礎吸収端の波長以上で、二光子吸収特性を有することを特徴とする[1]または[2]記載の光-光スイッチング方法。
[4]前記半導体がIII族元素とV族元素とからなる化合物半導体であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の光-光スイッチング方法。
[5]前記III族元素がIn,Ga,Alの少なくとも1種であり、前記V族元素がAs,P,Nの少なくとも1種である(但し、GaAsを除く)ことを特徴とする[4]記載の光-光スイッチング方法。
[6]前記化合物半導体がInP,InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなることを特徴とする[5]記載の光-光スイッチング方法。
[7]前記化合物半導体がInP,InGa1-xAs(xは0より大きく0.53以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.69以下)、InGa1-zN(zは0以上0.75以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなることを特徴とする[5]記載の光-光スイッチング方法。
[8]前記半導体が単結晶であることを特徴とする[4]~[7]のいずれかに記載の光-光スイッチング方法。
【0024】
本願第2群の発明は、以下の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子、すなわち二光子吸収スイッチング素子に関する。
【0025】
[9]二光子吸収特性を有する半導体、該半導体へ入力する制御光と信号光の伝播手段および該半導体を透過した信号光の伝播手段とからなることを特徴とする光-光スイッチング素子。
[10]制御光と信号光の伝播手段が導波路であり、前記半導体へ連結していることを特徴とする[9]記載の光-光スイッチング素子。
[11]信号光と制御光の入力用導波路と、信号光出力用導波路とが、前記半導体を挟んで対向位置にあることを特徴とする[10]記載の光-光スイッチング素子。
[12]信号光入力用導波路と信号光出力用導波路とが、前記半導体を挟んで対向位置にあり、制御光入力用導波路が、信号光入力用導波路と信号光出力用導波路を結ぶ直線に交叉するように前記半導体に連結していることを特徴とする[10]記載の光-光スイッチング素子。
[13]前記半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする[11]または[12]記載の光-光スイッチング素子。
[14]各導波路と前記半導体とが基板上に形成されていることを特徴とする[11]または[12]記載の光-光スイッチング素子。
[15]前記半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする[14]記載の光-光スイッチング素子。
[16]前記半導体、前記クラッド、前記導波路ともに層状であり、前記半導体、前記クラッドは、下部クラッド層、半導体層、上部クラッド層の順に、および前記導波路は、下部クラッド層、コア層、上部クラッド層の順に、基板上に形成されていることを特徴とする[15]記載の光-光スイッチング素子。
[17]前記半導体が平面視にて正方形または長方形であることを特徴とする[11]または[12]記載の光-光スイッチング素子。
[18]前記半導体が平面視にて略T字形であり、信号光入力用導波路と信号光出力用導波路が、略T字の横線部分を挟んで対向位置に連結しており、制御用導波路が略T字の縦線の下端に連結していることを特徴とする[10]記載の光-光スイッチング素子。
[19]基礎吸収端の波長が、1700nm以下であり、1200nm~1700nmの範囲内、且つ、該基礎吸収端の波長以上で、二光子吸収特性を有することを特徴とする[9]記載の光-光スイッチング素子。
[20]前記二光子吸収特性を有する半導体がIII族元素とV族元素とからなる化合物半導体であることを特徴とする[9]または[19]記載の光-光スイッチング素子。
[21]前記III族元素がIn,Ga,Alの少なくとも1種であり、前記V族元素がAs,P,Nの少なくとも1種である(但し、GaAsを除く)ことを特徴とする[20]記載の光-光スイッチング素子。
[22]前記化合物半導体がInP,InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなることを特徴とする[21]記載の光-光スイッチング素子。
[23]前記化合物半導体がInP,InGa1-xAs(xは0より大きく0.53以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.69以下)、InGa1-zN(zは0以上0.75以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなることを特徴とする[21]記載の光-光スイッチング素子。
[24]前記一対の導波路間の距離は、100nm~500μmの範囲内にあることを特徴とする[11]または[12]記載の二光子吸収スイッチング素子。
[25]前記半導体が単結晶であることを特徴とする[20]~[23]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子。
【0026】
前記[17]では、「前記半導体が平面視にて正方形または長方形であることを特徴とする[13]~[16]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子」であってもよい。
前記[18]では、「前記半導体が平面視にて略T字形であり、信号光入力用導波路と信号光出力用導波路が、略T字の横線部分を挟んで対向位置に連結しており、制御用導波路が略T字の縦線の下端に連結していることを特徴とする[13]~[16]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子」であってもよい。
前記[19]では、「基礎吸収端の波長が、1700nm以下であり、1200nm~1700nmの範囲内、且つ、該基礎吸収端の波長以上で、二光子吸収特性を有することを特徴とする[10]~[18]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子」であってもよい。
前記[20]では、「前記二光子吸収特性を有する半導体がIII族元素とV族元素とからなる化合物半導体であることを特徴とする[10]~[18]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子」であってもよい。
前記[24]では、「前記一対の導波路間の距離は、100nm~500μmの範囲内にあることを特徴とする[13]~[18]のいずれかに記載の二光子吸収スイッチング素子」であってもよい。
【0027】
本願第3群の発明は、以下の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子、すなわち二光子吸収スイッチング素子の製造方法に関する。
【0028】
[26]基板上に二光子吸収特性を有する半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする[14]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[27]基板上に、下部クラッド層、半導体層、ついで上部クラッド層を積層する工程および導波路用の下部クラッド層、コア層、ついで上部クラッド層を積層する工程からなる[16]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[28]二光子吸収特性を有する半導体結晶ウェーハ上に、エピタキシー成長法を用いて半導体層を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする[26]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[29]前記二光子吸収特性を有する半導体層を形成する工程は、分子線エピタキシー法又は有機金属化学堆積法のいずれかを用いることを特徴とする[28]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[30](1)基板上に二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層を形成し、該下部クラッド層上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体コア層を形成し、ついで該コア層上に二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層を形成する工程、(2)前記上部クラッド層上(但し、平面視にて略T字形状の導波路形成予定領域を除く)にレジスト層を形成する工程、(3)導波路形成予定領域の前記上部クラッド層、前記コア層および前記下部クラッド層をエッチングして除去する工程、(4)前記レジスト層上と導波路形成予定領域の基板上に導波路用下部クラッド層を形成し、該導波路用下部クラッド層上に導波路用コア層を形成し、ついで該導波路用コア層上に導波路用上部クラッド層を形成する工程、(5)前記レジスト層およびその上層部をリフトオフする工程、(6)平面視にて略T字形状の導波路領域および二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層上にレジスト層を形成する工程、(7)前記レジスト層で被覆されていない二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、二光子吸収特性を有する半導体コア層および二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層をエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジスト層を除去する工程からなることを特徴とする、[12]を引用した[17]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【0029】
前記[26]では、「基板上に二光子吸収特性を有する半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする[15]~[25]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子の製造方法」であってもよい。
前記[27]では、「基板上に、下部クラッド層、半導体層、ついで上部クラッド層を積層する工程および導波路用の下部クラッド層、コア層、ついで上部クラッド層を積層する工程からなる[17]~[25]のいずれかに記載の光-光スイッチング素子の製造方法」であってもよい。
【0030】
光-光スイッチング素子の製造方法は、以下の通りでもよい。
[31](1)基板上に二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層を形成し、該下部クラッド層上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体コア層を形成し、ついで該コア層上に二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層を形成する工程、(2)前記上部クラッド層上(但し、平面視にて略T字の縦線である導波路形成予定領域を除く)にレジスト層を形成する工程、(3)導波路形成予定領域の前記上部クラッド層、前記コア層および前記下部クラッド層をエッチングして除去する工程、(4)前記レジスト層上と導波路形成予定領域の基板上に導波路用下部クラッド層を形成し、該導波路用下部クラッド層上に導波路用コア層を形成し、ついで該導波路用コア層上に導波路用上部クラッド層を形成する工程、(5)前記レジスト層およびその上層部をリフトオフする工程、(6) 導波路用上部クラッド層および二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層上(但し、平面視にて略T字の横線)にレジスト層を形成する工程、(7)前記レジスト層で被覆されていない二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、二光子吸収特性を有する半導体コア層および二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層をエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジスト層を除去する工程からなることを特徴とする、[12]を引用した[17]記載(但し、平面視にて長方形のもの)の光-光スイッチング素子の製造方法。
[32](1)基板上に二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層を形成し、該下部クラッド層上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体コア層を形成し、ついで該コア層上に二光子吸収特性を有する半導体上部クラッド層を形成する工程、(2) 前記上部クラッド層上に平面視にて略T字形状のレジストを形成する工程、(3)前記レジスト層で被覆されていない二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、二光子吸収特性を有する半導体コア層および二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層をエッチングして除去する工程、ついで(4)前記レジスト層を除去する工程からなることを特徴とする[18]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本願第1群の発明の光-光スイッチング方法によると、連続使用しても「パターン効果」が生じにくく、通常の光通信波長域において広波長帯域性を有し、高速応答の光-光スイッチングが可能となる。本願第2群の発明の光-光スイッチング素子は、連続使用しても「パターン効果」が生じにくく、通常の光通信波長における高速応答が可能であり、材料設計上の尤度が高く、すなわち材料組成を変化させることにより光学物性(波長依存性や二光子吸収特性)の最適化が容易であり、作製条件の制限がゆるく、すなわちドーパント、量子準位等の条件設定が不要であり、基板上での作製が容易であり、デバイスの集積化が可能である。また、本願第3群の発明の光-光スイッチング素子の製造方法により、前記光-光スイッチング素子を効率よく簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一光子吸収特性及び二光子吸収特性を説明するための図。
【図2】二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング動作を説明する図。
【図3】成長温度毎のInGaAs組成比と基礎吸収端波長との関係を示す図
【図4】実施形態に係る光-光スイッチング素子Aの断面概略図。
【図5】実施形態に係る光-光スイッチング素子Bの斜視概略図。
【図6】実施形態に係る光-光スイッチング素子Cの斜視概略図。
【図7】実施形態に係る光-光スイッチング素子Dの斜視概略図。
【図8】実施形態に係る光-光スイッチング素子Eの斜視概略図。
【図9】実施形態に係る光-光スイッチング素子Fの斜視概略図。
【図10】実施形態に係る光-光スイッチング素子Gの斜視概略図。
【図11】実施形態に係る光-光スイッチング素子Cの製造方法を示す図。
【図12】実施形態に係る光-光スイッチング素子Dの製造方法を示す図。
【図13】実施形態に係る光-光スイッチング素子Eの製造方法を示す図。
【図14】光透過率変化を測定するための測定系を示す概略図。
【図15】ポンプ・プローブ法における測定系を示す概略図。
【図16】InPを用いた場合の二光子吸収特性を示す図。
【図17】In0.53Ga0.47Asを用いた場合の二光子吸収特性を示す図。
【図18】InGa1-xAsのxを変化させた場合における吸収係数の変化を示す図。
【図19】化合物半導体層にドーパントを混ぜた場合における吸収係数の変化を示す図。
【符号の説明】
【0033】
A…二光子吸収スイッチング素子、B…二光子吸収スイッチング素子、C…二光子吸収スイッチング素子、D…二光子吸収スイッチング素子、E…二光子吸収スイッチング素子、F…二光子吸収スイッチング素子、G…二光子吸収スイッチング素子、
PC…導波路形成予定領域、PD…導波路形成予定領域、QC…二光子吸収特性を有する半導体形成予定領域、QD…二光子吸収特性を有する半導体形成予定領域、QE…二光子吸収特性を有する半導体形成予定領域、
1A…二光子吸収特性を有する半導体、20A…入力用導波路、20LA…入力用導波路の下部クラッド層、20MA…入力用導波路のコア層、20HA…入力用導波路の上部クラッド層、21A…出力用導波路、21LA…出力用導波路の下部クラッド層、21MA…出力用導波路のコア層、21HA…出力用導波路の上部クラッド層、3A…構造基板、
1B…二光子吸収特性を有する半導体、20B…入力用導波路、20LB…入力用導波路の下部クラッド層、20MB…入力用導波路のコア層、20HB…入力用導波路の上部クラッド層、21B…出力用導波路、21LB…出力用導波路の下部クラッド層、21MB…出力用導波路のコア層、21HB…出力用導波路の上部クラッド層、22B…制御光入力用導波路、22LB…制御光入力用導波路の下部クラッド層、22MB…制御光入力用導波路のコア層、22HB…制御光入力用導波路の上部クラッド層、
1C…二光子吸収特性を有する半導体、1LC…二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層、1MC…二光子吸収特性を有する半導体コア層、1HC…二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、20C…入力用導波路、20LC…入力用導波路の下部クラッド層、20MC…入力用導波路のコア層、20HC…入力用導波路の上部クラッド層、21C…出力用導波路、21LC…出力用導波路の下部クラッド層、21MC…出力用導波路のコア層、21HC…出力用導波路の上部クラッド層、22C…制御光入力用導波路、22LC…制御光入力用導波路の下部クラッド層、22MC…制御光入力用導波路のコア層、22HC…制御光入力用導波路の上部クラッド層、2C…導波路、2LC…導波路の下部クラッド層、2MC…導波路のコア層、2HC…導波路の上部クラッド層、3C…構造基板、
1D…二光子吸収特性を有する半導体、1LD…二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層、1MD…二光子吸収特性を有する半導体コア層、1HD…二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、22D…制御光入力用導波路、22LD…制御光入力用導波路の下部クラッド層、22MD…制御光入力用導波路のコア層、22HD…制御光入力用導波路の上部クラッド層、2D…導波路、2LD…導波路の下部クラッド層、2MD…導波路のコア層、2HD…導波路の上部クラッド層、3D…構造基板、
1E…二光子吸収特性を有する半導体、1LE…二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層、1ME…二光子吸収特性を有する半導体コア層、1HE…二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層、3E…構造基板、
1F…二光子吸収特性を有する半導体、20F…入力用導波路、21F…出力用導波路、22F…制御光入力用導波路、3F…構造基板、4F…分波器
1G…二光子吸収特性を有する半導体、20G…入力用導波路、21G…出力用導波路、3F…構造基板、4G…分波器、5G…レンズ
6C…レジスト層、7C…レジスト層、6D…レジスト層、7D…レジスト層、6E…レジスト層、7E…レジスト層
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
本願第1群の発明である光-光スイッチング方法は、二光子吸収特性を有する半導体材料に対し、二光子吸収を生じさせない光強度が低い光のみを照射した場合は光子を吸収しないため、半導体材料を透過することができるが、光強度の低い光と同時にほぼ同一の場所に光強度の高い光を照射した場合は、二光子吸収が起こり、光強度の低い光も透過させなくなる、という現象に着目して発明したものである。この光-光スイッチング方法は、制御光で信号光をオン/オフする光-光スイッチング方法において、二光子吸収特性を有する半導体に、光強度の低い信号光を照射しつつ、光強度の高い制御光を間欠的に照射し、該制御光の照射時には発生した二光子吸収により該信号光の通過を遮断し、該制御光の非照射時には該信号光を通過させることを特徴とする。この際、該信号光と制御光は、式[hc/λsignal+hc/λcontrol ≧ hc/λgap (式中、h:プランク定数、c:光の速度、λsignal:信号光の波長、λcontrol:制御光の波長、λgap:前記半導体の基礎吸収端の波長)]の関係を満たすことが望ましい。
【0036】
本願第1群の発明である光-光スイッチング方法の原理は、図2に示す通りであり、光強度の低い光であるパルス列の信号光(図中(a))と光強度の高い光であるパルス列の制御光(図中(b))を半導体の同一場所に照射したとき、制御光と時間的に重ならない信号光だけが出力光(図中(c))として現れ、制御光と重なる信号光は半導体に吸収される。なお、前記信号光は間欠的、連続的でもよく特に限定されない。また前記制御光は間欠的、例えばパルス列であることが望ましい。そこでは、時間変化が急峻であると同時に、この動作を実現するために必要な制御光の強度ができるだけ小さいことが望ましい。ここで、信号光の光強度Isは好ましくは、10nJ/cm < Is < 1μJ/cmであり、制御光の光強度Icは好ましくは1μJ/cm ≦ Ic < 10J/cmであり、より好ましくは、10μJ/cm < Ic < 100mJ/cmである。なお、信号光の光強度の下限値は光通信において誤り率ε<10-11を満たす程度の光強度である。使用する信号光と制御光の波長は、使用する半導体の基礎吸収端の波長以上であり、該半導体の二光子吸収特性を有する波長の範囲内である。また、制御光、信号光は光強度の点および光パルスの時間幅の点でレーザー光であることが好ましい。
【0037】
制御光の照射時間や制御光がパルス光である場合のパルス幅は、特に限定されないが、二光子吸収特性を有する半導体が壊れない範囲である。制御光は光強度が強いために、同じ強度でも照射時間(パルス時間幅)が長くなると半導体が破壊・加工されてしまう。この細かい条件は、試料やレーザーの繰り返し周期などいろいろな要素で変わってくる。[0036]に記載した制御光強度(1μJ/cm≦Ic<10J/cm)の範囲で、レーザーアブレーション(半導体をレーザーで加熱したときに構成元素の一部もしくは全てを蒸発すること。)が起きないようにしなければならない。そこで、1μJ/cm≦Ic<100μJ/cmの場合は、パルス幅は100ps以上でも構わないが、100μJ/cm≦Ic<1mJ/cmの場合はパルス幅を100ps以下~10ps以下(100μJ/cmの場合は100ps以下であり、1mJ/cmの場合は10ps以下であり、100μJ/cmと1mJ/cmの間では100psと10psの中間値(制御光強度とパルス幅は反比例関係であり、その関係から得られる)以下という意味である。)に、1mJ/cm≦Ic<10mJ/cmの場合はパルス幅を10ps以下~1ps以下に、10mJ/cm≦Ic<100mJ/cmの場合はパルス幅を1ps以下~0.1ps以下に、100mJ/cm≦Ic<10J/cmの場合はパルス幅を0.1ps以下にすることが望ましい。
【0038】
通常の光通信で使用される光の波長は1200nm~1700nmの範囲内であるため、前記二光子吸収特性を有する半導体の基礎吸収端の波長は1200nmより小さく、該半導体は1200nm~1700nmにおいて二光子吸収特性を有することが最も望ましい。このような半導体であると、1200nm~1700nmという極めて広い範囲内の波長の信号光と制御光を光-光スイッチングに利用することができる。また、前記二光子吸収特性を有する半導体の基礎吸収端の波長が1200nm~1700nmの中間にある場合、例えば二光子吸収特性を有する半導体の基礎吸収端が1500nmである場合でも、1500nm~1700nmで二光子吸収特性を有すれば、1500nm~1700nmの範囲内の波長の信号光と制御光を光-光スイッチングに利用することができる。なお、将来、光通信で使用される光の波長の下限が1200nm未満、例えば1000nmに移行した場合でも、前記二光子吸収特性を有する半導体の基礎吸収端が1000nmであり、1000nm~1700nmで二光子吸収特性を有すれば、1000nm~1700nmの範囲内の波長の信号光と制御光を光-光スイッチングに利用することができる。
【0039】
前記二光子吸収特性を有する半導体は、好ましくはIII族元素とV族元素とからなる化合物半導体である。前記III族元素は好ましくはIn,Ga,Alの少なくとも1種であり、前記V族元素は好ましくはAs,P,Nの少なくとも1種である。ここで、III族元素とV族元素は1:1の比であることが好ましい。なお、GaAsは実質的に二光子吸収特性を有しないので、二光子吸収特性を有する半導体にも、化合物半導体にも含まれない。
【0040】
In,Ga,Alの少なくとも1種とは、In,Ga,Alのうちの1種でもよく、In,Ga,Alのうちの2種の併用でもよく、In,Ga,Alの3種の併用でもよい。As,P,Nの少なくとも1種とは、As,P,Nのうちの1種でもよく、As,P,Nのうちの2種の併用でもよく、As,P,Nの3種の併用でもよい。
【0041】
ここで、化合物半導体が、InP、InGa1-xAs、InAl1-yAs、InGa1-zN、およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)のいずれかであっても、一光子吸収が起こらない望ましい二光子吸収特性を得ることができるためには、各元素の割合が所定の範囲内であることが極めて望ましい。
【0042】
InPの場合はInとPとの比が1:1であることが極めて望ましく、InAl1-yAsの場合はyが0以上0.69以下の範囲内にあることが望ましく、InGa1-zNの場合はzが0以上0.75以下の範囲内にあることが望ましく、0.4以上0.75以下の範囲内にあることが望ましい。また、InGa1-xAsの場合はxが0より大きく0.53以下の範囲内にあることが望ましく、0.05以上0.53以下の範囲内にあることがより望ましい。ただし、基礎吸収端の波長はその半導体層の成長温度に依存するため、半導体の成長温度により望ましい範囲が左右される可能性がある。特に、InGa1-xAsの結晶を半導体層として用いる場合は結晶成長温度(Tg)が380℃である場合は0より大きく0.27以下の範囲内にあることが望ましい。もちろん、xが0.27より大きい0.53であっても、基礎吸収端が1700nmとなり、1700nmで光-光スイッチングが可能となる。結晶成長温度(Tg)が100℃である場合は0より大きく0.53以下の範囲内にあることが望ましい。もちろん、xが0.53より大きい0.8であっても、基礎吸収端が1700nmとなり、1700nmで光-光スイッチングが可能となる。
【0043】
基礎吸収端の波長が1700nm以下であり、1200nm~1700nmの範囲内、且つ、該基礎吸収端の波長以上で二光子吸収特性を有する化合物半導体は、具体的には、InP,InGa1-xAs(成長温度380℃であり、xは0より大きく0.53以下)、InGa1-xAs(成長温度100℃であり、xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)またはInGa1-zN(zは0以上1以下)、In(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなる化合物半導体である。そして、1200nm~1700nmの全域で二光子吸収特性を有することが望ましいので、基礎吸収端が1200nm以下であり、1200nm~1700nmの範囲内、且つ、該基礎吸収端の波長以上で二光子吸収特性を有する化合物半導体が望ましい。具体的には、InP,InGa1-xAs(成長温度380℃であり、xは0より大きく0.27以下)、InGa1-xAs(成長温度100℃であり、xは0より大きく0.53弱以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.69以下)またはInGa1-zN(zは0以上0.75以下)、In(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)の少なくともいずれかの組成からなる化合物半導体である。
【0044】
上記化合物半導体の組成では、III族(In, Ga, Al)の和とV族(As, P, N)の和の比は、いずれの場合も1:1であるが、その誤差範囲は、III族(In, Ga, Al)の和とV族(As, P, N)の和の比で表すと、III族:V族 =49.9:50.1~50.1:49.9であればよく、より望ましくはIII族:V族 = 49.99:50.01~50.01:49.99である。なお、化合物半導体材料と基礎吸収端の関係について下記の表1と図3に記載する。なお、図3は、成長温度毎のInGaAs組成比と基礎吸収端波長との関係を示す。
【0045】
【表1】
JP0004590645B2_000002t.gif

【0046】
前記化合物半導体は、Be、Fe、Crなどのドーパントが含まれていても良いし含まれていなくても良い。二光子吸収特性にドーパントの影響が殆ど見られないためである。但し、ドーパントを導入すると、半導体層における一光子吸収特性が阻害されてくるため、二光子吸収特性のみをより強調するためにはドーパントを含ませることが好ましい。その場合、不純物濃度で概ね1016~1020cm-3程度含有させることが好ましい。III族元素とV族元素とからなる化合物半導体、特には、前記III族元素がIn,Ga,Alの少なくとも1種であり、前記V族元素がAs,P,Nの少なくとも1種であるIII族元素とV族元素とからなる化合物半導体は、ドーパントの厳密な調整が不必要となるため、材料設計の尤度を確保することができる。
【0047】
前記化合物半導体は、以下の点で作製条件の制限がゆるい。
(1)量子準位の形成が不要である
1光子吸収による吸収飽和を利用した光-光スイッチには、量子準位や励起子を利用したものが多く、このためには量子井戸を作製しなければならない。量子井戸の作製には、量子井戸の作製条件(井戸層の組成・幅,障壁層の組成・幅)を厳密に設定し、それらの成長中の揺らぎも押さえなくてはならず、この4つのパラメータのうち1つでもずれると量子準位もずれてしまう。しかしながら、前記化合物半導体ではそれらが不要なため作製が容易であり、工業的には歩留まりがよくなる。
(2)成長中の組成揺らぎが問題にならない
化合物半導体の組成は[0039]~[0044]に記載した条件さえ満たせばよい。そのため、成長中に複数の元素間の組成比が多少揺らいでも(通常、成長中のxの揺らぎは±0.05以下に押さえられる)問題ない。
(3)成長温度を厳密に調節する必要がない
図3に示されているように、通常の成長温度(500℃~600℃)の半分以下の温度である250℃でも、基礎吸収端の波長はさほど変化していないことから分かる。成長温度は、一光子吸収が起きない範囲でありさえすればよい。
(4)不純物濃度(普通はドーピング濃度と同意義であるが、意図していない不純物の濃度を含む場合にはその濃度との合計濃度)やキャリア濃度に依存しない。したがって、不純物濃度を制御する必要がなく、作製が簡便である。また成長温度(成長温度が変わるとキャリア濃度が変化する場合が多い)については、上述の通りである。
なお、前記化合物半導体は、III族元素とV族元素との組合せ、元素比、あるいは成長温度を変えることにより、半導体の基礎吸収端波長と二光子吸収特性を示す波長範囲を制御できるので、光-光スイッチング素子を調製するのに至便である。
【0048】
前記半導体は、単結晶、多結晶及びアモルファスのいずれでも良いが、好ましくは単結晶である。多結晶やアモルファスであると、基礎吸収端の急峻さが失われ基礎吸収端の波長が短くなるが、二光子吸収に使用する二つの波長のうち一方を短くしてやれば多結晶やアモルファスでも二光子吸収を生じさせることができるようになるためである。
【0049】
本願第2群の発明である二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子、すなわち二光子吸収スイッチング素子は、二光子吸収特性を有する半導体、該半導体へ入力する制御光と信号光の伝播手段および該半導体を透過した信号光の伝播手段とからなる。該半導体は前記通りである。該半導体の形状は特に限定されず、基板上の薄膜状、基板上に成長した層状、薄片状、テープ状、紐状、チップ状が例示される。光の進行方向に対して垂直な面の半導体の高さと幅は、光の拡散抑制の観点で共に200μm以下が望ましく、100μm以下がより望ましく、10μm以下がさらに望ましい。高さ、幅共に1μm前後のものが最良である。光の進行方向の半導体の長さは、100nm~500μmの範囲内が望ましい。制御光と信号光の伝播手段は、光源から発した制御光と信号光を該半導体に伝播でき、該半導体を透過した信号光を伝播できるものであればよく、導波路(例えば、石英ガラス製)、光ファイバー(例えば、石英ガラス製)、光ファイバーアレイ、レンズアレイ、レンズが例示される。二光子吸収特性を有する半導体を導波路形にすれば、すなわち該半導体をコアとし、それよりも屈折率が小さいクラッド(例えば、コアの化合物半導体より屈折率が小さい化合物半導体)で挟持もしくは包囲すれば、信号光の伝播手段ともすることができ、あるいは信号光の伝播手段および制御光の伝播手段ともすることができる。
【0050】
基板上に半導体層を形成させる場合は、上記の半導体単層を形成することも可能であるし、これら半導体からなる薄膜を複数積層することも可能である。
【0051】
基板としては、平坦であれば特段に制限は無く様々なものを使用することができるが、好ましくは構造基板(例えば、サファイア板、石英板)であり、より好ましくは上に二光子吸収特性を有する半導体層を成長させることができる構造基板である。例えば後述の分子線エピタキシー法(MBE法)を用いる場合や有機金属化学堆積法(MOCVD法)等の結晶成長法を用いる場合、その結晶成長に用いる半導体基板をそのまま基板として用いることができる。基板は、特に限定されないが、成長させる半導体と格子定数が一致もしくは出来るだけ近いこと、また結晶構造が同じであることが望ましい。したがって、化合物半導体が望ましく、より望ましくは二光子吸収特性を有する半導体の元素をベースとした化合物半導体である。
【0052】
本願第2群の発明の好ましい実施形態に係る二光子吸収スイッチング素子Aは、構造基板3A上に形成された二光子吸収特性を有する半導体層1Aと、この半導体層1Aに対して制御光と信号光を導入する入力用光導波路20A及びこの半導体層を挟んで入力用光導波路と対向して配置される出力用光導波路21Aとから構成されている(図4参照)。なお、図示していないが、信号光と制御光とは半導体1Aの手前で合流している(例えば、図9のように、並行して配置された信号光用導波路と制御光用導波路が半導体1Aの手前で合流している場合、各導波路を近接させる方向性結合器を用いる場合である)。この二光子吸収特性を有する半導体層1A、入力用導波路20A及び出力用導波路21Aを有する限り、二光子吸収スイッチング素子として機能するが、機械的安定性や製作性等の観点から、二光子吸収スイッチング素子は構造基板3A上に形成され固着していることが極めて望ましい(図4参照)。
【0053】
二光子吸収特性を有する半導体1Aを挟んで対向して配置される入力用導波路20Aの先端と出力用導波路21Aの先端の間の距離は、100nm~500μmの範囲内にあることが望ましい。このような範囲を採用すると、光通信波長として極めて有用な1200nm~1700nmの範囲を基礎吸収端よりも長くして使用する範囲とすることができる。加えて二光子吸収は高速性にも優れているので、かかる二光子吸収特性を有する半導体を用いて作製される光‐光スイッチング素子などの光非線型デバイスや光制御デバイスは広波長域にて高速動作することが可能となる。
【0054】
入力用導波路20Aおよび出力用導波路21Aは、所望の波長の光が伝播可能なものであれば、特段限定されず、好ましくはコア層20MA(21MA)と、このコア層20MA(21MA)よりは屈折率が小さい一対のクラッド層20LAおよび20HA(21LAおよび21HA)で挟持あるいは包囲した構成からなる(図4参照)。なお、図4の光-光スイッチング素子は、入力用導波路20Aから光強度の高い制御光と光強度の低い信号光の双方を同時に伝播させる構成を採用している。この構成の光-光スイッチング素子は、光強度の低い信号光のみを入力用導波路20Aから半導体層1Aへと伝播させることにより信号光を透過させて出力光を生じさせ、光強度の低い信号光と光強度の高い制御光を入力用導波路20Aから半導体層1Aへと伝播させることにより二光子吸収を生じさせて信号光を遮断することによってスイッチング機能を発揮させている。
【0055】
図5の光-光スイッチング素子Bは、光強度の低い信号光を伝播する入力用導波路20Bと、光強度の高い制御光を伝播する二光子吸収特性制御用の入力用導波路22Bとを別々に設ける態様を採用しており、制御光の入力用導波路22Bは、信号光入力用導波路20Bと信号光出力用導波路21Bを結ぶ直線に直交するように、半導体層1Bに連結している。なお、該入力用導波路22Bは、該直線に対し例えば、45°~90°未満の角度で、斜めに交叉するようにしてもよい。
【0056】
出力用導波路21Bは、信号光が入力用導波路20Bとの間に配置された半導体層1Bを透過した場合に出力光を伝播させるためのものであるため、入力用導波路20Bと対向して一対に形成されていることが重要である。この入力用導波路20Bと出力用導波路21Bの間には二光子吸収特性を有する半導体層1Bが配されているが、光の損失の関係から、入力用導波路20Bと半導体層1B、出力用導波路21Bと半導体層1Bは、それぞれ空気層を介することなく直結していることが好ましく、一体成形されていることがより好ましい。一体成形されていない場合は、光路結合用接着剤,光導波路形成樹脂等により密着させることが好ましい。また、これらの対向する導波路間の距離は、光の伝達を行うことができる限り特段に制限されないが、遷移確率が高い状態において、十分に光を遮断することができる範囲および光の損失を許容できる範囲を考慮して100nm~500μmの範囲にあることが望ましく、より望ましくは100nm~100μmの範囲内である。これらは、図4に示すタイプの光-光スイッチング素子においても同様である。
【0057】
図6の光-光スイッチング素子Cは、構造基板3C上に、下部クラッド層1LC、該下部クラッド層1LC上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体層1MC、該半導体層1MC上に上部クラッド層1HCの順に積層されてなる積層体1Cが形成され、信号光入力用導波路20Cと信号光出力用導波路21Cとが該積層体1Cを挟んで対向する位置に形成され、制御光入力用導波路22Cが該一対の信号光用導波路を結ぶ直線に略直角に交叉するように前記積層体1Cに連結しており、請求項17記載(但し、平面視にて正方形のもの)の光-光スイッチング素子の好ましい実施形態である。信号光と制御光が積層体1C中の半導体層1MCで交叉するので、半導体1MCがスイッチング部となる。
【0058】
図7の光-光スイッチング素子Dは、構造基板3D上に、下部クラッド層1LD、該下部クラッド層1LD上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体層1MD、該半導体層1MD上に上部クラッド1HD層の順に積層されてなる積層体1Dが形成され、該積層体1Dは平面視にてT字の横線を形成しており、制御光入力用導波路22Dが平面視にてT字の縦線を形成するように該積層体1Dに連結しており、請求項17記載(但し、平面視にて長方形のもの)の長方形の光-光スイッチング素子の好ましい実施形態である。この光-光スイッチング素子では、図示していない導波路を伝播してきた信号光を略T字の横線に相当する部分(即ち、1MDの左端)に入力し、制御光を略T字の縦線に相当する部分(即ち、22MDの上端)に入力する。積層体1D中の信号光と制御光との交叉部分がスイッチング部となる。
【0059】
図8の光-光スイッチング素子Eは、構造基板3E上に下部クラッド層1LEが積層され、該下部クラッド層1LE上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する半導体層1MEが積層され、該半導体層1ME上に上部クラッド層1HEが積層され、該積層体1Eは平面視にてT字形であり、請求項18記載の光-光スイッチング素子の好ましい実施形態である。この光-光スイッチング素子では、図示していない導波路を伝播してきた信号光をT字の横線に相当する部分(即ち、1MEの左端)に入力し、図示していない導波路を伝播してきた制御光をT字の縦線に相当する部分(即ち、1ME′の上端)に入力する。積層体1E中の信号光と制御光との交叉部分がスイッチング部となる。
【0060】
図9に係る光-光スイッチング素子Fは、構造基板3Fと、この構造基板3F上に形成される二光子吸収特性を有する半導体層1Fと、入力用導波路20Fと、この入力導波路20Fと半導体層1Fを挟んで反対例に配置される複数の出力用導波路21Fと、出力用導波路21Fと半導体層1Fとの間に配置され、上記各出力用導波路21Fに入力用導波路20Fからの光が伝播してきた場合に波長に応じて分岐する分波器4Fとから構成されている。なお入力用導波路20Fは、半導体層1Fの手前側において、強い光を伝播させる二光子吸収特性制御用の導波路22Fと接合されており、同じ導波路で半導体層1Fに信号光と制御光を伝播する構成となっている。このような構成とすれば、例えば、入力用導波路3Fから複数の波長の光を伝播させて半導体層1Fに入射すると同時に透過させ、分波器4Fで波長に応じて分岐させて所望の波長範囲の光のみを取り出すことが可能となる。この二光子吸収スイッチング素子を用いると、制御用の強い光は一種類ですみ、極めて簡便な構成で複数の波長の制御を行うことができるという利点がある。また、他の具体例として、入力用導波路20Fと制御用導波路22Fが接合されておらず、入力用導波路と制御用導波路を近接して形成した方向性結合器のような態様もある。また、波長分岐機能のない分波器を使用した場合、各出力用導波路の途中にバンドパスフィルタなどを配置する態様や、二光子吸収特性制御用の導波路22Fの代わりに、レンズ5Gを介して光強度の高い制御光を半導体層1Gへ照射することにより光-光スイッチングを可能とする態様がある(図9、図10参照)。
【0061】
本願第3群の発明である二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子、すなわち二光子吸収スイッチング素子の製造方法は、
[24]基板上に二光子吸収特性を有する半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする[13]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[25]基板上に、下部クラッド層、半導体層、ついで上部クラッド層を積層する工程および導波路用の下部クラッド層、コア層、ついで上部クラッド層を積層する工程からなる[15]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[26]二光子吸収特性を有する半導体結晶ウェーハ上に、エピタキシー成長法を用いて半導体層を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする[25]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
[27]前記二光子吸収特性を有する半導体層を形成する工程は、分子線エピタキシー法又は有機金属化学堆積法のいずれかを用いることを特徴とする[26]記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
であるが、その具体例は以下の通りである。なお、該半導体は前記通りである。
【0062】
以下、図6の光-光スイッチング素子の製造方法について、図11により説明する。図11中の中央列(1′)、(8′)は平面図を示し、左列(1)~(8)は、平面図のY-Y′線断面を示し、右列(1″)~(8″)は、平面図のX-X′線断面を示す。
【0063】
この製造方法は、
(1) GaAsからなる構造基板上3Cに、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる(二光子吸収特性を有する半導体用)下部クラッド層1LCを形成し、該下部クラッド層1LC上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってInGa1-xAs(xは0より大きく0.53以下)からなる二光子吸収特性を有する半導体コア層1MCを形成し、ついで該コア層1MC上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる(二光子吸収特性を有する半導体用)上部クラッド層1HCを形成する工程、(2)前記上部クラッド層1HC上(但し、平面視にて略T字形状の導波路形成予定領域PCを除く)に、例えばフォトリソグラフィ法でフォトレジストを塗布、露光、現像して、レジストパターン層6Cを形成する工程、(3)ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法で、導波路形成予定領域PCの前記上部クラッド層1HC、前記コア層1MCおよび前記下部クラッド層1LCをエッチングして除去する工程、(4)前記レジストパターン層6C上と導波路形成予定領域PCの基板1上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-qAsからなる導波路用下部クラッド層2LCを形成し、該導波路用下部クラッド層2LC上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる導波路用コア層2MCを形成し、ついで該導波路用コア層2MC上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-qAsからなる導波路用上部クラッド層2HCを形成する工程(但し、0≦p<q≦1である)、(5)前記レジストパターン層6Cおよびその上層部2Cをリフトオフする工程、(6)導波路用上部クラッド層2HD(導波路形成予定領域PC)上および二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層1HC上に、例えばフォトリソグラフィ法でフォトレジストを塗布、露光、現像して、レジストパターン層7Cを形成する工程、(7)ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法で、前記レジストパターン層7Cで被覆されていない(二光子吸収特性を有する半導体用)上部クラッド層1HC、二光子吸収特性を有する半導体コア層1MCおよび(二光子吸収特性を有する半導体用)下部クラッド層1HCをエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジストパターン層7Cを除去する工程からなる。
【0064】
図7の光-光スイッチング素子の製造方法について、図12により説明する。図12中の中央列(1′)、(8′)は平面図を示し、左列(1)~(8)は、平面図のY-Y′線断面を示し、右列(1″)~(8″)は、平面図のX-X′線断面を示す。
この製造方法は、
(1) GaAsからなる構造基板3D上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる(二光子吸収特性を有する半導体用)下部クラッド層1LDを形成し、該下部クラッド層1LD上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってInGa1-xAs(xは0より大きく0.53以下)からなる二光子吸収特性を有する半導体コア層1MDを形成し、ついで該コア層1MD上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる(二光子吸収特性を有する半導体用)上部クラッド層1HDを形成する工程、(2)前記上部クラッド層1HD上(但し、平面視にて略T字の縦線である導波路形成予定領域PDを除く)に、例えばフォトリソグラフィ法でフォトレジストを塗布、露光、現像して、レジストパターン層6Dを形成する工程、(3)ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法で、導波路形成予定領域PDの前記上部クラッド層1HD、前記コア層1MDおよび前記下部クラッド層1LDをエッチングして除去する工程、(4)前記レジストパターン層6D上と導波路形成予定領域PDの基板上3Dに、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-qAsからなる導波路用下部クラッド層2LDを形成し、該導波路用下部クラッド層2LD上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-pAsからなる導波路用コア層2MDを形成し、ついで該導波路用コア層2MD上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってAlGa1-qAsからなる導波路用上部クラッド層2HDを形成する工程、(5)前記レジストパターン層6Dおよびその上層部2Dをリフトオフする工程、(6)導波路用上部クラッド層2HD(導波路形成予定領域PD)上および二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層1HD上(但し、平面視にて略T字の横線)に、例えばフォトリソグラフィ法でフォトレジストを塗布、露光、現像して、レジストパターン層7Dを形成する工程、(7)ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法で、前記レジストパターン層7Dで被覆されていない(二光子吸収特性を有する半導体用)上部クラッド層1HD、二光子吸収特性を有する半導体コア層1MDおよび(二光子吸収特性を有する半導体用)下部クラッド層1LDをエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジストパターン層7Dを除去する工程からなる。
【0065】
図8の光-光スイッチング素子の製造方法について、図13により説明する。図13中の中央列(1′)、(4′)は平面図を示し、左列(1)~(4)は、平面図のY-Y′線断面を示し、右列(1″)~(4″)は、平面図のX-X′線断面を示す。
この製造方法は、
(1)InPからなる構造基板上3Eに、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってInAl1-yAs(0≦y≦0.69、但しy=0.52が望ましい)からなる(二光子吸収特性を有する半導体用)下部クラッド層1LEを形成し、該下部クラッド層1LE上に、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってInGa1-xAs(xは0より大きく0.53以下)からなる二光子吸収特性を有する半導体コア層1MEを形成し、ついで該コア層上1MEに、例えば化学気相堆積法(CVD法)によってInAl1-yAs(0≦y≦0.69、但しy=0.52が望ましい)からなる(二光子吸収特性を有する半導体用)上部クラッド層1HEを形成する工程、(2)前記上部クラッド層1HE上に、例えばフォトリソグラフィ法でフォトレジストを塗布、露光、現像して、平面視にて略T字形状のレジストパターン層6Eを形成する工程、(3)ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法で、前記レジストパターン層6Eで被覆されていない二光子吸収特性を有する半導体用上部クラッド層1HE、二光子吸収特性を有する半導体コア層1MEおよび二光子吸収特性を有する半導体用下部クラッド層1LEをエッチングして除去する工程、ついで(4)前記レジストパターン層6Eを除去する工程からなる。
【0066】
上記各製造方法では、前記二光子吸収特性を有する半導体用各クラッド層、二光子吸収特性を有する半導体コア層、前記導波路用各クラッド層とコア層は、化合物半導体薄膜であり、具体的には化合物半導体薄膜結晶エピタキシャル膜である。その形成方法としては、化学気相堆積法(CVD法)の他に、分子線エピタキシー法(MBE法)、有機金属化学堆積法(MOCVD法)、有機金属気相成長法(MOVPE法)、その他のエピタキシャル結晶成長法等の常法が例示される。
【実施例】
【0067】
以下、本願第2群の発明の実施形態に係る二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子、すなわち二光子吸収スイッチング素子の性能を確かめるべく、実際に化合物半導体層を形成し、その特性を測定した。以下具体的に説明する。
【0068】
本実施例では、固体ソース分子線エピタキシャル法を用いて構造基板上に化合物半導体層を形成した。
より具体的には、下記表2における条件に基づき化合物半導体層を形成した。いずれも成長速度は1μm/hとし、成長中の真空度は2×10-6Torrとした。
【0069】
【表2】
JP0004590645B2_000003t.gif

【0070】
以上作成した各化合物半導体層について、まず、光透過率変化の励起強度密度依存性を測定した。図14に本測定系を示す。
【0071】
本測定系では、レーザー光パルスを可変ND及びガラス板、対物レンズを介してシングルモード光ファイバーを介して試料(化合物半導体層)に導入し、その出力光を光パワーメーターで測定している。なお、リファレンスとしてガラス板からの反射光を光パワーメーターで測定している。
【0072】
また同様に、上記各半導体層について、二光子吸収の応答速度を常法であるポンプ・プローブ法により求めた。図15にこの測定系を示す。
【0073】
これら測定系による測定結果を、図16乃至図19に示す。なお、以下に記載のΔαLでは、一般的にαが光吸収係数であるが、L(試料の厚さ)が同じであれば、相対的な意味においてαLは光吸収係数と言えるため、光吸収係数の変化と称している。
【0074】
まず、図16(A)は、上記試料番号1(InP)を半導体層2として用いて測定した場合であって、励起光強度密度を変化させた場合の光吸収係数の変化ΔαLを示している。横軸は励起光強度密度(μJ/cm)を示し、縦軸は光吸収係数の変化ΔαLを示している。ΔαLは、励起光強度密度をI、透過光強度密度をIとしたときに、ΔαL=-ln(I/I)にて計算されるものである。この結果、InPからなる化合物半導体層の場合、励起光強度密度が増加するに従い、ΔαLが増加することが、1630nmから1700nmにおいて確かめられており、一般的に使用される光通信波長域において、光-光スイッチング素子として十分使用できることがわかる。図16(B)は、上記試料番号1(InP)を半導体層2として用いて測定した場合であって、遅延時間を変化させた場合の透過率変化ΔT/Tを示している。横軸は遅延時間(ps)を示し、縦軸は透過率変化ΔT/Tを示している。なお、信号光の光強度は0.9μJ/cmであり、制御光の光強度は190μJ/cmである。図16(A)では1630nm~1700nmにおけるデータのみであるが、図16(B)では1390~1650nmの範囲での応答速度を示している。応答速度の半値幅は0.25psであり、非常に速い応答特性である。したがって、通常の光通信波長域である1390~1700nmの範囲で、光-光スイッチング素子として十分な二光子吸収特性が現れていることが良く分かる。
【0075】
図16(B)では、時間原点(遅延時間0ps;信号光と制御光とが時間的に完全に重なっている時刻)を中心に、遅延時間が負(信号光が制御光よりも先に試料に入射している場合)の時間領域と遅延時間が正(信号光が制御光よりも後に試料に入射している場合)の時間領域での波形が対称である。遅延時間が正の時間領域には、特許文献3のような遅い応答成分はない。一般的に、パターン効果がある系や元に戻る速度が遅い系でも遅延時間が負の波形はレーザー波形と同じ高速な応答波形を示すが、それらは遅延時間が正の領域では遅い応答成分が波形に現れ、時間原点について対称とならない。以上により、本実施例においてパターン効果が無いことが分かる。
【0076】
次に、図17(A)は、上記試料番号3のIn0.53Ga0.47Asを半導体層2として用いて測定した場合であって、励起光強度密度を変化させた場合の吸収係数の変化ΔαLを示す。化合物半導体材料以外についてはほぼ図15Aとほぼ同様である。
【0077】
図17(A)によると、前記InPと同様に、1630nm~1700nmにおいて励起光強度密度の増大に伴うΔαLの増大が確認でき、In0.53Ga0.47Asが二光子吸収特性に優れていることが確認できた。
【0078】
図17(B)は、上記試料番号3(In0.53Ga0.47As)を半導体層2として用いて測定した場合であって、遅延時間を変化させた場合の透過率変化ΔT/Tを示す。横軸は遅延時間(ps)を示し、縦軸は透過率変化ΔT/Tを示している。なお、信号光の光強度は0.9μJ/cmであり、制御光強度は190μJ/cmである。図17(B)によると、応答のピークにおける半値幅が0.25psであり、高速応答が実現できることが確かめられた。もちろん、図16(A)及び(B)と同様、図17(A)及び(B)により、1390nm~1700nmにおいて二光子吸収特性が良く現れていることが分かり、通常の光通信波長域である1390nm~1700nmの範囲で、光-光スイッチング素子として好適に使用できることが分かった。
【0079】
図17(B)は時間原点では、(遅延時間0ps;信号光と制御光とが時間的に完全に重なっている時刻)を中心に、遅延時間が負(信号光が制御光よりも先に試料に入射している場合)の時間領域と遅延時間が正(信号光が制御光よりも後に試料に入射している場合)の時間領域での波形が対称である。遅延時間が正の時間領域には、特許文献3のような遅い応答成分はない。一般的に、パターン効果がある系や元に戻る速度が遅い系でも遅延時間が負の波形はレーザー波形と同じ高速な応答波形を示すが、それらは遅延時間が正の領域では遅い応答成分が波形に現れ、時間原点について対称とならない。以上により、本実施例においてパターン効果が無いことが分かる。
【0080】
そこで、InGa1-xAsにおける望ましいxの範囲を確かめるべく、xの数値を0~0.53の範囲で様々に変えた化合物半導体について励起光強度密度を変化させた場合の吸収係数の変化ΔαLを調べた。この結果を図18に示す。xの数値を様々に変えた化合物半導体材料は、上記表1における試料番号2乃至6に相当する。なお、励起光の波長は1700nmである。
【0081】
図18によると、GaAs以外はほぼ全て、励起光強度密度が増加するとΔαLが増加しているものの、GaAsでは増加を示しておらず、むしろ減少する傾向を示している。これは、GaAsだと強い光を当てた場合であっても、光の遮断を行っていないことを示し、二光子吸収特性を有する半導体層として機能できないことを示している。従って、二光子吸収スイッチング素子として機能させる場合、InGa1-xAsのxは、0より大きく0.53よりも小さい範囲で二光子吸収特性を示していることが確認できた。これは上述した基礎吸収端とほぼ同じ望ましい範囲を示している。ここで、xの下限値は0.05であることが好ましい。
【0082】
次に、ドーパントをドープした化合物半導体について、励起光強度密度を変化させた場合の吸収係数の変化ΔαLを測定した。試料としては表2に示す試料番号1乃至3を用いた。その測定結果を図19に示す。なお、図19中では、InGaAsバルク的薄膜と表示されているが、BeドープIn0.53Ga0.47Asバルク的薄膜のことである。
【0083】
この測定結果によると、図18と同様に、CrドープGaAs基板では励起光強度密度が増加してもΔαLが殆ど増加していないのに対し、FeドープInP基板やBeドープIn0.53Ga0.47Asバルク的薄膜では、二光子吸収特性を十分に示していることが確認できた。
【0084】
以上、二光子吸収特性を有する半導体、特には前記化合物半導体を光-光スイッチング素子のスイッチ部として利用することにより、光通信波長域にてサブピコ秒の動作速度を得ることが可能であることが分かった。
【産業上の利用の可能性】
【0085】
本願発明の光-光スイッチング方法および光-光スイッチング素子は、光ゲート,光変調器,波長変換器,光サンプリングオシロスコープ,ルーター等に有用である。さらには、この二光子吸収スイッチング素子1つのみでも、光通信の波長分割多重(WDM)方式のスイッチング素子として利用でき、必要なチャネル数だけ並列にて使用すれば、光時分割多重(OTDM)方式のスイッチング素子として利用できるため、OTDM-WDM通信のスイッチング素子として利用可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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