TOP > 国内特許検索 > 耐熱性・高強度エポキシ樹脂 > 明細書

明細書 :耐熱性・高強度エポキシ樹脂

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4765053号 (P4765053)
公開番号 特開2005-298788 (P2005-298788A)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
公開日 平成17年10月27日(2005.10.27)
発明の名称または考案の名称 耐熱性・高強度エポキシ樹脂
国際特許分類 C08G  59/50        (2006.01)
FI C08G 59/50
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2004-148422 (P2004-148422)
出願日 平成16年4月15日(2004.4.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第84春季年会(2004)講演予稿集2」に発表
審査請求日 平成19年3月2日(2007.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】阿久津 文彦
【氏名】吉岡 英哉
【氏名】宮下 直樹
【氏名】猪木 真理
審査官 【審査官】繁田 えい子
参考文献・文献 特開2002-080693(JP,A)
特開2001-270976(JP,A)
特開2005-060481(JP,A)
Mari Inoki,CURING BEHAVIOR AND PROPERTIES OF EPOXY RESINS CURED WITH THE DIAMINE HAVING HETEROCYCLIC RING,JOURNAL OF MACROMOLECULAR SCIENCE PURE AND APPLIED CHEMISTRY,米国,2002年 4月26日,A39(4),321-331
FUMIHIKO AKUTSU,CURING BEHAVIOR AND PROPERTIES OF EPOXY RESINS CURED WITH THE DIAMINE HAVING THE QUINOXALINE OR TRIAZINE STRUCTURE,Journal of Applied Polymer Science,米国,1998年,69,1737-1741
調査した分野 C08G 59/50
CA・REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)と芳香族アミン系硬化剤(B)をエポキシ基とアミノ基をモル比2:1で配合したエポキシ樹脂組成物であって、
前記芳香族アミン系硬化剤(B)はポリアミノフェニルキノキサリンであって、前記ポリアミノフェニルキノキサリンが、6-アミノ-2,3-ビス(p-アミノフェニル)キノキサリン、6-アミノ-2,3-ビス(m-アミノフェニル)キノキサリンまたは6-アミノ-2,3-ビス(アミノフェニル)キノキサリンであるエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリアミノフェニルキノキサリンを1~100モル%含有している請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物を硬化したエポキシ樹脂硬化物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,耐熱性・高強度エポキシ樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は接着性、接着強度、非収縮性、電気特性など優れているため、航空機、宇宙機器、自動車、スポーツ用品、レジャー用品などの用途で広く用いられている。
【0003】
一般的に、エポキシ樹脂の耐熱性を向上させるためには、硬化剤の構造中に芳香環を導入すれば効果があることがわかっている。従来、汎用のエポキシ樹脂の耐熱性硬化剤としては、4,4‘-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)や4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DDM)が知られている(たとえば特許文献1参照)。これらの硬化剤を用いて製造されたエポキシ樹脂硬化物は熱変形温度が196℃および156℃で室温では十分な接着強度を示す。しかし、従来のエポキシ樹脂硬化物を高温にさらすと、その接着強度は120℃付近から急速に低下し、180℃においてはDDM効果の場合で室温の67%、DDS効果の場合で室温の54%にまで低下する。このように従来のエポキシ樹脂硬化物では熱変形温度、接着力ともに耐熱性が十分でないという問題があった。

【特許文献1】特開平7-258389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高い耐熱性または、および接着強度を示すエポキシ樹脂硬化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(1)エポキシ樹脂(A)と芳香族アミン系硬化剤(B)をエポキシ基とアミノ基をモル比2:1で配合したエポキシ樹脂組成物。(2)芳香族アミン系硬化剤(B)がポリアミノフェニルキノキサリンを1~100モル%含有している(1)のエポキシ樹脂組成物。(3)前記ポリアミノフェニルキノキサリンが、6-アミノ-2,3-ビス(p-アミノフェニル)キノキサリン、6-アミノ-2,3-ビス(m-アミノフェニル)キノキサリンまたは6-アミノ-2,3-ビス(アミノフェニル)キノキサリンであることを特徴とする(2)のエポキシ樹脂組成物。(4)(1)~(3)のエポキシ樹脂組成物を硬化したエポキシ樹脂硬化物に関する。
【0007】
本発明に係るエポキシ樹脂硬化物は、ポリアミノフェニルキノキサリンまたはポリアミノフェニルキノキサリンを含有する芳香族ポリアミンを硬化剤としエポキシ樹脂を硬化した硬化物であって、樹脂中に3置換キノキサリン構造を有することを特徴とする。3置換キノキサリン構造を下記に示す。
JP0004765053B2_000002t.gif
【発明の効果】
【0008】
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は複素環を含み3置換構造を有しているため架橋密度が高くなり、高い熱変形温度およびまたは高い接着強度を達成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
エポキシ樹脂として旭電化工業製EP-4100(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)を用意した。また、硬化剤として下記のものを用意した。
ABAPQ:6-アミノ-2,3-ビス(4-アミノフェニル)キノキサリン
p-BAPQ:2,3-ビス(4-アミノフェニル)キノキサリン
DDS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン
これらの硬化剤の化学式を下記に示す。
【化2】
JP0004765053B2_000003t.gif

【0010】
上記エポキシ樹脂と各々の硬化剤をエポキシ基とアミノ基のモル比が2:1になるように混合し、加熱硬化してエポキシ樹脂硬化物を得た。
それぞれのエポキシ樹脂硬化物の熱変形温度を求めた。
熱変形温度は、JIS K-7196に従い、針入法によるTMA(Thermaomechanicalanalysis)を行うことによって測定した。
【0011】
また、上記のエポキシ樹脂とABAPQとDDSをモル比で25:75、50:50、75:25の割合で混合した硬化剤を調整し、エポキシ基とアミノ基のモル比が2:1になるように混合し、加熱硬化しエポキシ硬化物を得た。
それぞれのエポキシ硬化物の熱変形温度をTMAで測定した。
【0012】
さらに、上記のエポキシ樹脂と各々の硬化剤をエポキシ基とアミノ基がモル比2:1になるように混合し、ステンレススチール製試験片に塗布した後、もう1枚のステンレススチール製試験片を圧着して加熱することにより接着した。これらの試料について引張試験を行うことにより、接着強度を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【表1】
JP0004765053B2_000004t.gif

【0013】
表1の実施例1~4から、ABAPQの含有率の増加に伴い熱変形温度が著しく向上していることがわかる。また実施例2~4では熱変形温度が上昇しかつ接着強度が著しく改善されたことがわかる。本発明のエポキシ樹脂硬化物では3-置換キノキサリン構造を有するABAPQを用いて架橋密度を上げたことによって、上記のような高い耐熱性・高い接着力が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、他の特性を維持しつつ、熱変形温度または、および接着強度が改善されているので、航空機、宇宙機器、自動車、スポーツ用品、レジャー用品などで耐熱性、接着強度が要求される用途で使用されることが期待される。
【006】
本発明に係るエポキシ樹脂硬化剤は、キノキサリン環を有するポリアミンであって、アミノ基として6-アミノおよびp-アミノまたはおよびm-アミノまたはおよびアミノフェニル基を有するか、キノキサリン環を含むポリアミンと芳香族アミン系硬化剤(DDS、DDMおよびエーテル変性芳香族アミンおよびこれらの誘導体など)と混合したものである。芳香族アミン系硬化剤としては、例えば、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ビス-(アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルスルホン、トルエンジアミン等およびこれらの誘導体が挙げられ、単独または数種混合して使用することが出来る。