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明細書 :基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500996号 (P4500996)
公開番号 特開2005-316348 (P2005-316348A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成17年11月10日(2005.11.10)
発明の名称または考案の名称 基盤に固着した貴金属膜からなるホログラフィック光学素子
国際特許分類 G03H   1/18        (2006.01)
G02B   5/18        (2006.01)
FI G03H 1/18
G02B 5/18
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2004-163827 (P2004-163827)
出願日 平成16年4月30日(2004.4.30)
審査請求日 平成19年3月2日(2007.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】久下 謙一
【氏名】中尾 友昭
審査官 【審査官】大橋 憲
参考文献・文献 特表2004-528726(JP,A)
特開平06-102407(JP,A)
特開平09-050228(JP,A)
特開平10-186119(JP,A)
特開2003-015277(JP,A)
特開2003-227915(JP,A)
特開昭63-004205(JP,A)
調査した分野 G03H 1/18
G02B 5/18
特許請求の範囲 【請求項1】
耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに前記耐熱基盤上に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む膜を固着する工程、を有するホログラフィック光学素子の作製方法。
【請求項2】
耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに前記耐熱基盤上に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む膜を固着する工程、を有するホログラムの作製方法。
【請求項3】
耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに前記耐熱基盤上に金及び白金族元素の少なくともいずれかを含む膜を固着する工程、を有する回折格子の作製方法。
【請求項4】
前記白金族元素は、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムの少なくともいずれかを含む請求項1記載のホログラフィック光学素子の作製方法。
【請求項5】
前記白金族元素は、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムの少なくともいずれかを含む請求項2記載のホログラムの作製方法。
【請求項6】
前記白金族元素は、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムの少なくともいずれかを含む請求項3記載の回折格子の作製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、基盤に固着した貴金属膜で記録された干渉縞からなるホログラム及びホログラフィック光学素子並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィは画像情報を画像光と参照光の位相差による干渉縞として記録する技術であり、3次元像を再現できる3次元画像ディスプレイ及び光学素子の作製技術、干渉を利用した光学計測技術などとして利用されている。そしてこの技術を応用した製品はホログラムと呼ばれている。ホログラムの記録材料としては古くから銀塩感光材料が用いられている。これは単分散できわめて平均粒径の小さいハロゲン化銀粒子を使用して、干渉縞の強度変化を現像銀の有無による透過率の差として記録する振幅型ホログラム、あるいはそれを漂白してハロゲン化銀粒子の有無による屈折率差やハロゲン化銀粒子も除去した後のゼラチン膜の屈折率差で記録する位相型ホログラムとして使用されている。その他にゼラチン膜の屈折率差で記録する重クロム酸ゼラチンや、ポリマー膜表面の凸凹の形で記録するフォトレジスト、露光・未露光部の屈折率差で記録するフォトポリマーなど幾つかの材料が開発され、広く用いられている。

【非特許文献1】 久保田敏弘、日本写真学会誌、65、15-20(2002).
【0003】
これらに記録されたホログラムはほとんどがゼラチンを含むなんらかのポリマーの膜を構成要素として含んでいる。ポリマーの膜は変質、損傷を生じやすく、それにより微細な干渉縞の像が損傷するとホログラム画像は劣化する。そのためホログラム画像は一般的に保存性が良好ではない。アートメディアあるいは光学素子として利用した場合、長期間変質しないということが重要であるが、現在のホログラム記録材料はその点から見て満足のいくものではない。アートメディアとしてのホログラムは、屋外に展示できない、室内でも照明を暗くしなければならない、カバーを掛けなければならないなど、その展示条件に制約が多く、ホログラムを広く展示することができないので、普及の妨げになっている。また、光学素子として使用する場合、強い光に長時間さらされるので光により劣化すると耐久性に問題が生じる。そのため安定で、保存性、耐久性に優れたホログラム記録材料と記録方法が望まれていた。
【0004】
変質の主な原因には、1.光(紫外線)、2.湿度、3.空気中の酸素や微量の酸化性、腐食性ガスなどがある。
【0005】
その改善方法の一つとして、銀塩感光材料では写真乳剤の改良、フォトポリマーなどではポリマーの改質による耐久性の向上が図られている。

【特許文献1】 特開平09-251199号公報
【特許文献2】 特開2000-310936号公報
【0006】
また、吸収層を設けて紫外線を吸収することで耐光性を増すことが図られている。

【特許文献3】 特開2000-310934号公報
【0007】
また、透明な板で挟んで密封することにより湿気、ガスの浸透を遮断することで湿度、各種ガスの効果を排除することが図られている。

【特許文献4】 特開2000-162948
【特許文献5】 特開2001-175154
【0008】
銀塩感光材料は高感度、高解像力という特徴からホログラム記録材料の一つとしてこれまで広く用いられてきている。銀塩感光材料で露光、現像の処理により作製されたホログラムは振幅型であるが、現像後の漂白処理によって現像で生じた銀粒子を透明なハロゲン化銀粒子に変換する、あるいはハロゲン化銀を除去することにより、位相型に変換している。干渉縞はゼラチンとハロゲン化銀粒子、あるいはゼラチン間の屈折率の差で記録されている。湿気や乾燥によりゼラチン膜が不均一に拡大縮小することで干渉縞の像が乱れたり、ハロゲン化銀を含むホログラムは光により光分解銀が析出したりするなど、保存性、耐久性が良好でない。そのためアクリル板等の透明なもので覆って密封する、表面を紫外線吸収膜などでコートするなどの方策がとられている。しかしいずれも完璧な方法ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって,ポリマーが含まれている限り上記の問題の根本的解決にならない。安定な基盤上にポリマーを含まない安定な物質で干渉縞の像を作ってホログラムを記録するのが根本的解決策の一つである。このとき記録材料は高感度、高解像力を併せ持っていることが望ましい。銀塩感光材料はホログラム記録材料のなかでも高い感度と高い解像力を併せ持っていることから、この材料を用いてこの課題を解決する方法が得られれば最適である。
以上、本発明は銀塩感光材料を用いて、ポリマーを含まない安定な物質で構成された干渉縞の像からなる、保存性、耐久性の良好なホログラムを作製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
銀塩写真感光材料を用いた場合、銀より安定な貴金属で干渉縞の像を形成しておき、この干渉縞の像からゼラチンを取り除くことができれば上記目的が達成される。そのため本発明者は鋭意検討を重ねた結果、通常の写真現像処理に代わって、貴金属微粒子で干渉縞の像が形成される処理を行うことと、耐熱性の基盤を用いて加熱焼成によりゼラチン膜を燃焼除去することを合わせて行うことにより、目的が達せられることに到達した。
【0012】
前者の方法として、露光部のハロゲン化銀粒子上に形成される潜像核が、貴金属イオンから金属原子を析出する反応の触媒としても作用することが利用できることを見いだした。ここで潜像核とは露光時にハロゲン化銀の光分解により生じる微小な銀原子の核であり、通常の写真現像時にはこれが酸化還元反応の触媒として作用するため、露光部のハロゲン化銀粒子のみが選択的に還元されて金属銀粒子となり、干渉縞の像が形成される。
【0013】
後者の方法として、耐熱性の基盤上にこのような貴金属微粒子で干渉縞の像を形成しておけば加熱焼成が可能であり、ゼラチン膜のみが燃焼除去されて、残された貴金属微粒子は基盤に固着した膜となって干渉縞の像を保つことを見いだした。通常の白黒写真法で記録した干渉縞の像は加熱焼成により金属銀粒子がその形を崩して酸化銀に酸化されるため像が消失してしまうのであるが、酸化されない貴金属微粒子で干渉縞の像を記録しておくことにより加熱焼成が可能となった。
【0014】
本発明は、次のとおりのものである。1.耐熱性基盤に固着した貴金属膜で干渉縞の像が形成されているホログラフィック光学素子。2.耐熱性基盤に固着した貴金属膜で干渉縞の像が形成されているホログラム、3.耐熱性基盤に固着した貴金属膜で光の回折が可能な干渉縞の像が形成されている回折格子。4.耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有するホログラフィック光学素子の作製方法。5.耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有するホログラムの作製方法。6.耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有する回折格子の作製方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると,耐熱性基盤に固着した貴金属膜で干渉縞の像が形成されているホログラフィック光学素子(請求項1)および耐熱性基盤に固着した貴金属膜で干渉縞の像が形成されているホログラム(請求項2)および耐熱性基盤に固着した貴金属膜で光の回折が可能な干渉縞の像が形成されている回折格子(請求項3)および耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有するホログラフィック光学素子の作製方法(請求項4)および耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに前記耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有するホログラムの作製方法(請求項5)および耐熱性基盤上に感光物質であるハロゲン化銀超微粒子及び支持材であるゼラチンを含む写真乳剤を塗布し、干渉縞を発生させて露光する工程、露光部に貴金属微粒子を析出させて干渉縞の像を形成する工程、焼成して前記ゼラチンを燃焼除去するとともに前記耐熱基盤上に貴金属膜を固着する工程、を有する回折格子の作製方法(請求項6)が提供できるようになった。
【0016】
本発明で得られたホログラムはガラス等の安定な基盤上に貴金属膜で干渉縞の像を形成するものであり、すべての構成要素は化学的に安定である。そのため,化学的に変質しにくいホログラムを作製することが可能となった。さらに、貴金属膜はポリマー膜より強固であるので、通常のホログラムよりかき取り、摩擦などに対して強い機械的強度を持つ。したがって,変質しにくく、機械的強度のある、保存性、耐久性のあるホログラムの製造への応用が最適である。
【0017】
本発明によるホログラムは非常に安定であり、厳重な気密、被覆、遮光処理を必要としない。これは屋外展示も可能な長期間変質しない展示用アートメディアホログラム画像としての利用に適している。
【0018】
文化財、美術作品の保存のためにそのホログラム像を撮影しておくことや、またそのホログラム画像を代わりに展示することが行われているが、そこで使われるホログラムは充分な耐久性・保存性のあるものでなければならない。本発明によるホログラムは充分な保存性、耐久性を有しているので、保存記録用、展示用ホログラム画像としての利用が可能である。
【0019】
ホログラムを回折格子などのフォトグラフィック光学素子として使用する場合、特に強い光にさらされることが多いので、耐光性のあるホログラムでないとフォトグラフィック光学素子として使用しがたい。本発明は回折格子等の耐久性のあるホログラフィック光学素子としての作製に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下,この発明の実施形態を図面に示すモデル的実施態様に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0021】
第1図は本発明の一実施態様(以下、単に本発明ともいう)を示すものである。第1図(a)は無色透明のガラス基盤11と、このガラス基盤11上に設けられたゼラチン膜12及びこの中に分散したハロゲン化銀粒子13からなる写真乳剤層と、を有する写真乾板を示す。この乾板に干渉縞を記録する露光を行った後、露光部に金を沈着させるために金イオンを含む処理液に浸漬すると、第1図(b)に示すように露光部14のハロゲン化銀粒子上に形成された潜像核が触媒となって、潜像核を持つハロゲン化銀粒子上に金微粒子16が析出する。未露光部15にはハロゲン化銀のみである。ついで一般的な写真定着液で処理すると、第1図(c)に示すようにすべてのハロゲン化銀は除去されて、露光部14に金微粒子のみがゼラチン膜12に保持されて残る。このとき金微粒子からなる干渉縞の像が形成されている。次にこの干渉縞の像を電気炉中で焼成すると、ゼラチン膜は炭化した後燃え尽き、その間に金微粒子は凝集、溶融してガラス基盤上に固着するので、第1図(d)に示すようにガラス基盤11上に固着した金の膜17からなる干渉縞の像が形成される。
【0022】
以下に具体的な実施例を示す。写真感光材料としてホログラム記録用超微粒子写真乾板を用い,また貴金属として金を用いたモデル例である。ホログラム撮影用光学系を用いて、干渉縞を記録する露光を行った。第2図にその光学系を示す。露光光源としてはアルゴンレーザ21を用い、波長488nmの光をハーフミラー22で2分割し、それぞれミラー23で反射させ、光束間の入射角が28°になるように感光材料24に入射させて、感光材料表面で1μmの間隔の干渉縞を生じるように露光した。
【0023】
露光後の写真乾板を金沈着処理液に浸漬した。全暗黒中で処理液を20℃に保ち、3~48時間浸漬した。浸漬終了後清浄な水で水洗を繰り返し、金錯体を十分洗浄除去した後、F-5写真定着液に5~10分間浸漬した。その後流水で十分水洗することにより、残留定着液成分を除去した。
【0024】
本発明で用いた金の沈着処理のための処理液は、清浄な水に金チオシアン酸カリウム水溶液を加えた後、それより少ない量の塩化金酸ナトリウム水溶液を加えて、金チオシアネート錯体を形成させ、さらに臭化カリウムを加えて臭化物イオン濃度を調整したものである。処理液の処方の一例は次のとおりである。300mlの2回蒸留水に1mol/lのチオシアン酸カリウム水溶液5mlを加えて混合した後、5×10-2molの塩化金酸ナトリウム水溶液5mlを撹拌しながら、ゆっくり滴下した。滴下と同時に生じた沈殿が撹拌とともに消失して透明になってから次の液滴を加えた。すべての塩化金酸ナトリウム水溶液を加え終わった後、0.4mol/lの臭化カリウム水溶液10mlを加え混合した後、2回蒸留水を加えて全量を500mlとした。
【0025】
ここで貴金属として金の他に白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムなどの白金属元素や、これらの混合したもの、また金と混合したものが可能である。また、ここで錯体を形成する配位子としてはこのほかにチオ硫酸イオン、チオ尿素など、中心金属イオンと配位して可溶性の錯体を形成しうるものが可能である。また、臭化カリウムより低い濃度のヨウ化カリウムをここへ加えることにより金の析出速度を大きくすることができる。
【0026】
金微粒子を形成した膜からなる試料を、電気炉中で徐々に昇温して約480℃に達してから数時間焼成し、加熱を停止してから電気炉中で室温に戻るまで徐冷した。途中300℃ぐらいからゼラチンが炭化して全体が黒い膜となるが、400℃を超えると燃焼しきって無くなり、後にガラス基盤に金膜の固着し、ホログラム画像の再生が可能なホログラムが得られた。
【0027】
本発明で得られたホログラムは、透過光については途中の焼成前の金微粒子からなる段階では金微粒子特有の赤紫色を示したが、焼成後の最終段階では濃い青紫色を呈した。焼成前後の吸収スペクトルを第3図に示す。焼成前のスペクトルは540~550nmにピークを持つ鋭い吸収を示し、これは金微粒子のプラズモン吸収に帰属できた。焼成後の吸収スペクトルはより長波長側にピークを持ち、幅の広がったピークを持つ金のバルク吸収に帰属できることから、金微粒子が焼成により凝集して、連続した金の膜に変化したことを示していた。
【0028】
本発明で得られたホログラムは強い金光沢を有した。焼成前後の反射スペクトルを第4図に示す。焼成により反射率が増大しているが、特に長波長側での反射率の増大が顕著であり、青色成分の反射の少ない金光沢を示すときの反射スペクトルに近づいていた。これも金微粒子が金の膜に変化したことを示していた。
【0029】
干渉縞の像を形成した金の膜の光学顕微鏡写真を第5図に示す。明瞭な干渉縞の像が観察されており、干渉縞の間隔は1μmと光学系の組み立てで設計したとおりの間隔であった。
【0030】
0.1秒で露光し、633nmで測定した透過光での回折効率を、本発明による方法で得られた焼成前後のホログラムと、比較のために現像液GP8を用いて通常の写真現像法で得られたホログラムとについて第1表に示した。
【0031】
【表1】
JP0004500996B2_000002t.gif

【0032】
焼成前の金微粒子からなる回折格子は透過光で観察したとき最大10%近い回折効率を示し、通常の写真現像法で得られる値より大きな値が得られた。焼成により透過光での回折効率は低下したが、本発明で得られたホログラム画像は強い金光沢を有しており、反射光で見た場合強い回折光が観察された。
また、本発明を用いて、光の回折が可能な干渉縞の像が形成された回折格子などのフォトグラフィック素子への応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、展示用アートメディアホログラム画像、保存記録・展示用ホログラム画像、回折格子等のホログラフィック光学素子などが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明の方法によりガラス基盤上に固着した貴金属膜からなる干渉縞の像を得る工程を示す図である。
【図2】 干渉縞を記録するための光学系を示す図である。
【図3】 焼成前後のホログラムが示す吸収スペクトルを示す図である。
【図4】 焼成前後のホログラムが示す反射スペクトルを示す図である。
【図5】 干渉縞の像の光学顕微鏡写真を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
11…ガラス基盤
12…ゼラチン膜
13…ハロゲン化銀粒子
14…露光部
15…未露光部
16…金微粒子
17…金膜
21…アルゴンレーザ
22…ハーフミラー
23…ミラー
24…感光材料
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4